2008年08月26日

煮こみやなりた






「ねぇねぇ。GW明けの水曜日、空いてる?」
晩春のある夜、いきなりの友人からの電話。
「空いてますが、どこに行くの〜?」
「『煮込みやなりた』の予約が取れたの。19:30から私の名前で3名で予約したから
それじゃ、よろしくね」
「は〜い、了解〜」
相変わらず、用件のみの電話である。
「そうそう、基本的には、ボトル半分以上飲めるのが条件のお店だから、そこんとこもよろしく
じゃあね〜」
…ボトル半分以上飲める事が条件のお店?…
煮込みやという名前だが、モツ煮込みのお店ではないのだろうか?
それとも、意外にビーフシチューが名物の居酒屋さんなのかしら?
そんな風に勝手な想像を膨らませながら、予定を入れる。
恥ずかしい事に、まだ私はこのお店が名前とメニューがまるで一致しない
お店である事は、まだ知らなかったのである。

さて、のんびりと過ごしたG.Wも瞬く間に終わり、
巷の日常が繰り返される頃に
いよいよその日が近づいてきた。
〜そう言えば、お店に直接集合だったから、場所をチェックせねば…〜
思い出した様に、こちらで店名を入れて検索してみると…
おお、しっかりと登録はされていた。
が、しかし!
驚いた事に、livedoorグルメに口コミがないのである。
登録情報を見てみると、ワイン居酒屋とあるが、他の情報は得られない。
これは…
ますます興味津々の私、早速ググって調べてみる事に。
出てきた出てきた、“煮込みやなりた”♪
何と、この様な単純な名前であるにも関わらず、
このお店が、ワインを楽しむためにそれに合ったお料理を出すビストロである事が判明!
“なりたりあん”なるコアなファンまでいて、なかなか予約の取れない人気のビストロ…
(正確には、ワイン居酒屋と言うべきであろうか…)
さらに検索すると、ほとんどがブログ。
素晴らしいポーションの画像やお勧めのメニューも書かれている。
記事も、そのコストパフォーマンスの良さを絶賛しているものばかりである。
とにかく、アポイントと予約を入れるだけでも本当に大変な様だ。
う〜む、恐るべし「煮込みやなりた」
「これは何をおいても伺わなくてはっ!」
画像で拝見した、素晴らしい盛りの
「砂肝のコンフィと生ハムの乗ったサラダ」
に釘付けになりながら、すっかりこの未訪のお店に心捉われてしまうのである。

さて、いよいよ当日となった。
連休後の怠惰な、それでいて慌しい激務の合間を縫って、
これから「恋人」にでも“逢い”に行く様なそわそわした気持ちで
代々木駅へ…
改札を出て、新宿タカシマヤ方面に進み、踏切を渡って一歩路地を入ると、
表通りとは空気の異なる様な、
ちょっと怪しく、それでいて昔懐かしい飲み屋街の様な一角がある。
独特の雰囲気があり、駅に向かう近道なのか、ビジネスマン風の人の往来がかなりある。
そのすく傍らに、摩天楼の様な某携帯会社のビルが聳えていて、そのアンバランスな風景が印象的だ。
初夏の日中の汗ばむ様な陽気と変わり、宵の口の夜風がひんやりと心地よい。
群青から濃紺、そうして漆黒へ…この時期の夜の空の色はあっという間に変貌している。
路地を曲がるとすぐに判る
の言葉通り、白字に赤のサッポロビールのマークの看板があり、
黒字で“煮込みや なりた”の文字が…
ビニールのテントで仕切られた所には、最大で8名で一杯といったテーブル席があり
後は、L字のカウンターが10席、厨房をぐるりと囲む様に配されている。
奥には2人掛けのテーブルが一席、それに並んで座るカップルシートが1席の
細長くも狭い店内である。
でも、お客様で一杯のご様子。
予約した友人の名前を伝えながら席に通される。
カウンターの一番右隅である。
目の前には、なぜか焼かれた鴨の胸肉が、山盛りになっている。
厨房には、白いコックコートを着たシェフがいて
ホールは独特の風貌の、それでいてとても渋い声の男性…
この2人で切り盛りされている。

単に居酒屋を改装しただけなのかしら?
程度に思っていたのだが、ちゃんと洋風に改装されていて、良い雰囲気である。

「こんばんは、お早いお付きですねェ〜」
等々、当たり障りのない挨拶を交わしつつ、他の同席者を待ちながら
小さな黒板に書かれたメニューを拝見。
「キャベツのクミン風味」の300円に始まり、
「トリッパのトマト煮込み」800円、「砂肝のコンフィと生ハムのサラダ」1000円…と、
前菜系の殆んどのメニューが1000円前後
メインのお料理も、
「鴨のコンフィの詰め物」1500円、「鮭のパートカタフィ包み」が1500円
名物の「仔羊のメンチカツラタトゥイユ添え」1500円、
一番高い「牛ステーキのフライドポテト添え」が1800円…
どれも2000円を超えない魅力的な内容。
周辺の方々のお皿のボリュームも素晴らしいポーション
〜これは…〜
すっかり期待に心が震える。

取り敢えず、キャベツのクミン風味をつまみながら、もう一人が到着するのを待つ。
カウンターから窺い知れる厨房では、色々なお料理が相当なボリュームで盛られていく。
こうして、カウンター内から厨房が見れるのも、とても楽しくて嬉しい。
キャベツのクミン風味は、浅漬けキャベツにクミンを加えてマリネしたものであるが、
キャベツの食感が良く残り過ぎていて、これは好き好きといった感じである。

そんな風にして待っていると、本日の首謀者…誘ってくれた友人が到着…
挨拶もそこそこに、まずは泡(スパークリングワイン)で乾杯。
乾いた夜風の中で、程程に冷えた泡は格別なものがある。
早速、3人でメニューを見ながらあれこれと今日の献立を考える。
結構ボリュームがある事を想定して、前菜1、お魚1、お肉1…足りなければ追加…と
まずはこれだけ決めて、そこから選定に。
それぞれの意見は様々だったが、
やはりここは「砂肝のコンフィと生ハムのサラダ」は欠かせない。
これに、お魚は
「鮭のパートカダィフ包みゴルゴンゾーラソース」
お肉は、先ほど目の前に積み上げられていた鴨が気になったので、厨房のシェフにご質問。
〜この鴨はどうなるんですか?〜
〜そのままではつまらないですからねぇ、詰め物して網で包んで蒸し煮か焼くか〜
「鴨のコンフィの詰め物」
想像するだけでも美味しそうなので、こちらをお願いする事に。
もっと色々頼みたかったのだが、そのあたりは胃袋とご相談という事にして
後はゆっくりお料理が来るのを待ちながら、飲んで待つ事に。
紙ナプキンに、ナイフとフォーク、それに取り皿と一緒にパンが運ばれてくる。
このパンは追加は課金(300円)されるので、急がず焦らず頂かなければならない
お料理は自分達で取り分けというスタイルで、隣の席との間隔はそれほどないのだが、
逆にそんな感じなので、こちらも気取らずに楽しく頂けるのが嬉しい。
それにしても、狭い店内…人気店らしく、ほぼ満席で、本当に良い意味で賑わっている。
お行儀悪いのだが、周囲の盛り上がりについ視線が言ってしまう。
外を通り掛かる人が気になって覗いているのだが、丁重にお断りしている。
やはり予約は必須、それでも2巡目辺りで空いた席を狙うのも手かも知れない。

勢いよく、最初の泡のボトルが半分以下になった頃、
「砂肝のコンフィと生ハムのサラダ」
が、運ばれてくる。
画像通り、と云うよりもそれ以上の素晴らしいボリューム!!!
温かな砂肝に、トマト、レタス、クレソン、ルッコラ等の葉野菜を中心とした山盛りのサラダ。
3人で取り分けてもたっぷりの量。充分過ぎるボリューム。
砂肝は柔らかく、サラダも程良いドレッシング具合が良い感じで、
オリーヴオイルにウォルナッツオイルの風味が加わってとても美味しい。
トマトもしっかりと甘くて、これだけでも幸せな気持ちに…
そうして、次のお料理まで泡を飲んで楽しむ。
こうなるとエンジン全開になり、次の白を注文。
こちらのワインは、価格をきちんと説明してくれるのが嬉しい。
おなじみのものから、珍しいものまで、3000円代から用意されているので
心配なく次のボトルをお願いする事が出来る。
〜さすが、飲み屋…である〜
既に、次の「鮭のパートカダイフ包みゴルゴンゾーラソース」の前にボトルが空になったので
ついついまた白をオーダーしてしまう…
さて、鮭だが、本当にパリパリとしたカダイフ生地と、ボリュームのある肉厚の鮭に
ゴルゴンゾーラソースがぴったりと合っていて美味しかった。
実は、いわゆるゴルゴンゾーラは苦手なの方なのだが、
こちらのソースはとても優しく穏やかな味でとても嬉しかった。

さて、これだけ食べておきながらも
〜まだ、食べられそう〜

と、いう事になり、さらに
「仔羊のロースト」
まで頼んでしまう私達…
そうして、勿論お肉となれば、赤ワインをまたまたボトルで注文…

メインも、飾りというものは皆無で、がーんと大きいポーションで登場。

…鴨も羊も素敵なボリュームで大変美味だった事は申し上げる必要もないでしょう…

この日、結局は1人ボトル1本
“お1人様、ボトル半分以上は召し上がって頂く”
この条件はしっかりと満たし、
さらにお料理もしっかり頂いて、一人当たり約6000円程度でございました…

胃袋は満足、お財布に優しいお店でございました。

メニューはその時々で色々と替えているのですが、魚は少なく、お肉が主体といった感じで
お肉好きの方にはとても喜ばれる内容。

カウンターがメインとは言え、20席を厨房1名、ホール1名でやっているので
申し分ないサービス…とは言えない。
また、どうしても狭い、騒がしいのが苦手という方にもお勧めできない。
でも、その辺りは、お店の持つ雰囲気や人柄で十分に補えてしまう事もあるのだと思う。

さて、すっかり気に入った一行は、さっさと次の予約に走る。
このお店、来店時に次の予約を入れてしまわなければならない気持ちに駆り立てるものがある。
それは、美味しいものを美味しく食べるだけでなく、
そのお店の持つ何かの魔法の様なものが加味されているに違いないのである。

驚く事に、次の予約は1ヶ月先でしか取れないとの事…
〜恐るべし、煮込みやなりた〜

勿論、それでもしっかり予約をした事は云うまでもない。

〜ご馳走様でした〜
〜ああ、幸せ♪〜

すっかり満足し、お店の方に見送られて外に出ると
ひんやりと初夏の夜風が心地よく、ほろ酔いの身体を通り抜けていく。
ここが都心えある事をうっかり忘れそうな薄暗い路地を抜けると
新宿の高層ビルや華やかなネオンが空を照らしていた。
ふっと、現実に帰る様な気持ちになる。
振り返った路地は、やはりどこか懐かしさを秘めてゆっくりとそこに佇んでいた。


…しかし、その後、この行っては予約の連鎖は続き、
月毎にメンバーを入れ替えては、ここで弾ける事になろうとは、
まだこの時は予想だにしなかったのである…


そんな魔法に掛ってしまった者を、巷では“なりたりあん”と呼ぶ…
らしい。

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店名:煮こみやなりた
最寄駅:代々木 / 南新宿 / 千駄ケ谷
料理:欧風料理 / ワインバー
評価:★★★★
一人当たりの支払額(税込み):ディナー5,000円〜10,000円
用途:友人・同僚と


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2008年07月15日

みすゞ飴本舗・飯島商店





みすゞ飴…セロファンに包まったゼリーのお菓子…
ぶどう、すもも、杏、りんご、梅に三宝柑…
ほんのり甘酸っぱい果実の味わいと、表面を乾燥させた寒天の独特の食感…
誰もが子供のころに頂いた事のある、ちょっと懐かしい味わいのお菓子。
明治時代から、今日に受け継がれている、銘菓の一つです。

長野新幹線の上田駅から徒歩3分程度のところに、このみすゞ飴で有名な「飯島商店」があります。
石作りの趣のある建物は、明治から大正初期の建築物を改装したシックな作り。
登録有形文化財にも登録されている、素敵な佇まいです。
店内に入ると、どこかの古いホテルのロビーの様に落ち着いた雰囲気。
板張りの床や階段、年代を感じさせる振り子の柱時計や机、レースの掛かった椅子等の調度家具が配置されていて、
まるで博物館のような静謐な空気が流れています。
ポルトガル製のアンティークなシャンデリアの柔らかい光が何とも言えない光と影を投げかけています。

信州の高原で採れた旬の果物を中心に、みすゞ飴
こちらでは、良く見かけるセロファン包装のものと、和紙で包装されたものの2種類があります。
伺うと、和紙の方はやや薄めに作られていて、少しだけ食感も違うのだとか…
どれも、きらきらと美しく、大きな器に試食用に盛られていて、好きなだけ頂けます。
りんご、桃、杏、ぶどう、梅、三宝柑…6種類の信州を代表する果実と、糸寒天を使って仕上げられた
ややハードなゼリー。
派手さはないのですが、
そんな中で目についたのは、一口サイズに切って器に入った「みすゞ阿られ」
6種類のみすず飴が、さいの目にカットされて、八角形のプラスティック容器に入っています。
見た目も可愛らしく美しく、“阿られ”なる名前に反して、ちょっと上品な感じのお菓子です。
最近では、ちょっとした高級洋菓子店で販売されている、フリュイ・ド・コンフィの和風版とでも申しましょうか…
それでも、みすゞ飴同様、どこか懐かしく優しい味わいを伝えてくれます。
この他、こちらでは、やはり信州の果実を使った、無添加の四季のジャムやゼリー菓子等も販売しております。
ジャムは、紅玉りんごや紅すもも、白桃、コンコードの葡萄等…まさに信州の果実をふんだんに使った
ものばかり。
完熟のイチゴや、かりん(マルメロ)、ルバーヴ、金柑のコンポ―ト…等、
その季節にしか出会えない果実もあり、どれも580gのビン詰めで700〜900円位のお手頃な価格で、
お土産にも自宅使いにもぴったりです。

こちらも、購入前に試食をさせてくださいますので、好きな味わいを確かめて頂く事が出来ます。
色々あって迷ったのですが、紅すもものジャムのやや酸味の効いた味わいと、上品な色合いに惹かれ、
こちらを購入致しました。
そのまま頂くだけでなく、こちらをヨーグルトのムースやチーズケーキに合わせても美味しそうです。
余談ですが、このジャムを使ったジュースも、店内で自由に頂く事が出来ます。

もう一つは、ほっそりとした化粧箱にはいったゼリーの
「みすゞふるうつ」
桃やぶどう、梅等のゼリーがスティック状になっていて、丁度羊羹の様に切り分けて頂けます。
桃とぶどうを購入致しましたが、羊羹とゼリーの中間位の、つややかで半透明の美しく上品な甘さのお菓子で、
口にすると果肉の食感と果物の香りが伝わります。
弾力のある口当たりは、水羊羹ともゼリー共異なる、不思議な食感でございます。
ひんやりと冷やして頂くのに丁度良いお菓子で、これからのお気に入りの一つになりそうです。
こちらのお店だけで販売している生のゼリーや杏かん等の手作りの甘味も販売しておりますが、
お日持ちはしないので、お持ち帰りのみでの販売との事。
持ち帰りが出来なかったのが、心残りでございました。
静謐とした店内には、観光客の方が止めどなく訪れ、店員の方が穏やかに接客されているのが
印象的でございました。

帰りしな、丁重にお見送りされながら店を後にすると、
傾いた夕日を受けて石造りの建物の向こうに、澄んだ夕暮れの空の下に連なる山々が見え、
不図、こんな句が、脳裏をよぎりました。

〜みすずかる信濃のはての群山の嶺吹き渡るみなつきの風〜
会津八一(あいづ・やいち)1881〜1956
山中高歌10首・第1首

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店名:みすゞ飴本舗・飯島商店
最寄駅:市役所前(長野) / 権堂 / 長野(JR)
料理:和菓子
評価:★★★★★



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2008年05月16日

ベッカーズ ディライト






赤坂小学校の近く、通りから少し入った路地にある
小さなパン屋さん。
ショーケースの中には、150円位〜280円位の手作り感の溢れる
ドイツ風のパンが十数点並び、クッキーやケーキも数点あります。
チョコレートやレーズンの入ったスコーンもあって、
お茶の時間にも最適です。
どれも手作り感のある、それでも綺麗な仕上がり。
バゲット風のサンドウィッチや、ランチにはスープとのセットも
販売しております。
奥には、明るいオレンジ色の清潔な厨房が見えて、
メガネのご主人がせっせとパンを焼いています。
粉の香りが、そうして作り手の見えるパンは、勿論美味しいですが
それ以上に、どこか懐かしく、ホッとする心和む味わいです。


心がささくれ立った時、
ふらりとベッカーズディライトのパンを買いに行く。
赤坂から乃木坂に続く大通りから、一歩入った路地に面した、
小さな小さなパン屋さん。
まだ若いご夫婦二人で切り盛りされているお店。
プレッツェルをイラストにした、小さな看板が目印。
小さなガラスのドアの向こうに一歩入ると
優しいパンの匂いがして、ホッとした気持ちになる。
ショーケースには、それでも沢山のパンが並んでいる。
ゼンメルやミッシュブロートを始めとするドイツ風のパンが主流。
バゲット風のパン、三日月型のパン、ケシの実や向日葵の種や大麦を乗せたものや
じゃが芋の粉を使ったもっちりとした風合いのパンもあって
どのパンも素朴だけれど、綺麗な仕上りで、美味しそうな表情をしている。
ライ麦を使った地黒でちょっと酸味のあるパンよりも、
日本人の嗜好に合ったパンの様に思える。
木目調の柔らかな売り場には、涼やかな声の女性が応対してくれて
それぞれのパンに付いて質問すると、にこやかに、丁寧に説明してくれる。
こうして、パンを選んでいるだけで、心のささくれが少し解けて行く様な気持になる。
あれこれ質問したにも関わらず、
今日も、大好きなオリーブの入ったおにぎりの様な形のパン、
チーズがたっぷり入ったフロマージュ、それにドライいちじくの入ったパンを購入した。
どのパンも、適度な塩味で優しく、柔らかいけれど香ばしい皮。
噛み締めると豊かな味わいが口いっぱいに広がる。
優しく、穏やかで、口に含む度に素直な気持ちになれる感じだ。


奥には、明るいオレンジ色の壁とステンレスの清潔な厨房が見え、
Tシャツ姿にバンダナにエプロンの眼鏡を掛けたご主人が、せっせとパンを
窯に入れている姿が見える。
作り手が見えるパンは、どこか嬉しい。

白に小さく店名が入った紙袋に入ったそのパンを手に、店を後にすると、
もう、ささくれた心はすっかりと絆され
店からの帰り道…
そっとその包みを両手に包んで嗅いでみると
柔らかな粉の、そうして優しいパンの小麦色の匂いがした。
懐かしい日向の匂い。
愛らしいそのパン達は、袋の中で揺れ合って微かな音を立てて歌っている様だった。




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店名:ベッカーズ ディライト
最寄駅:六本木/乃木坂/赤坂(東京)
料理:パン
採点:
一人当たりの支払額(税込み):ランチ1,000円以下
用途:指定しない


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2007年11月20日

憧れのアル・ケッチァーノ@鶴岡へ・・・5

ff350dda.jpgアル・ケッチァーノ
最寄駅:鶴岡
料理:イタリア料理
採点:★★★★★
一人当たりの支払額(税込み):3,000円〜5,000円
用途:昼食


はるばるやって参りました、ここは庄内平野の鶴岡市。

…憧れのアル・ケッチァーノでランチを食べようッ!…
こんな企画を立てたのは、今年の夏前でした。

各自の日程を繰り合わせていたら、ずれにずれて半年先の実行になりました。

月曜に東京を新幹線で発って、新潟でお乗り換え、そこから特急いなほで鶴岡へ…陸路で約4時間…

因みにアル・ケッチァーノは月曜お休みなので、この日の夜は鶴岡で…
しかし、鶴岡駅前は何もなく、仕方がないので駅前にある唯一の居酒屋、“日本海庄屋”へ…(笑)
まぁ、あくまでも、メインはアル・ケッチァーノなので、この辺りは割り切りました

翌日は、ホテルで朝食を頂いてから、庄内の名湯湯田川温泉へ。

普通の路線バスに乗って、のどかな庄内平野を走ります。
都心のバスと違って、あくせくしない時間。
市街地を抜けて行くと車窓の向こうには、懐かしい田園風景が広がっていきます。

バスに揺られる事、約20分、湯田川温泉へ着きました。

まあ、鄙びたという言葉が本当に似合う、小さな温泉街です。
観光地化されていないと言うか、少々寂れたというか・・・

予定していた大きい方の温泉施設(銭湯みたいな感じです)が
9時から清掃なので、
お土産屋サンで鍵を借りて、
もう一つの公営の温泉施設へ案内されましたが、
これが、自宅のお風呂程度の小ささです(爆)
地元の方が、ふらっと入浴に来られます。

透明な単純泉で、さらっとしたお湯。
掛け流しのそのままとは、何と言う贅沢でしょう。
軟らかな子持ちの良いお湯でございました

バスも一時間に2本・・・まったりとバス停で待つのもまた乙なもの。
見上げれば、ゆくりなく秋の澄んだ青空が広がっています。

ホテルに帰り、荷物をまとめて、チェックアウトしたら
今度はタクシーへ
鶴岡市街地から、庄内平野を進む事、15分・・・

いよいよ、今回のメイン
「アル・ケッチャーノ」でのランチです
お店は、思ったよりも可愛らしい山小屋風の作りで
蔦が絡まり、良い雰囲気です。
地元から、東京や横浜ナンバーの車まで・・・
既に沢山の方々が開店を待っておられました。

早速、案内されて店内へ。
こじんまりとしていますが、とても良い雰囲気です。
厨房前の大きな黒板には、本日のお奨めが手書きで書かれております。
窓側のテーブルに案内されました。
適度に自然光が差し込み、穏やかな日差しがクロスに映えます。

ランチはパスタのコースもあるのですが、
本日は奮発して5,000円のコースをお願い致しました。
まずは食前酒で乾杯します。
おのおの勝手に好きなものを頂きます。
私はミニボトルのスプマンテを・・・

最初の前菜は
「庄内湾で上がったワラサに満月の塩」
1.5cmは有ろうかという大きな一切れのワラサに、美しい塩が振られ
それにオリーヴオイルがさらっと掛かっているだけですが、
黒いお皿にワラサ、そうしてそれを取り巻く結晶の様に
塩が振られていて、何とも美しい一皿。
(お写真を写し忘れたのが悔やまれます)
とてもシンプルなお料理なのですが、これが大変美味しいのです。
お刺身ともカルパッチョとも違うのですが、新鮮なワラサの脂加減と
ほんのり甘味さえ感じる満月の塩・・バランスの妙味です。

続いては、最初のパスタ。
「スズキのカルパッチョを乗せたから墨入りカッペリーニ」
スズキがやはり新鮮で、軽い口当たりでした。
から墨の程好い塩味が、細めのカッペリーニと良く絡んでいます。

3皿目は、
「秋刀魚と秋茄子のマリネ、庄内菊を添えて」
季節の秋刀魚と茄子です。
紫の庄内菊をあしらっているのも何とも美しい一皿。
秋刀魚は本当に新鮮で、肉質もとても良く、程好い酸味が良く合います。
こんがりと焼き上げた茄子はバルサミコで風味付けしています。
香りの強いイタリアンパースリーと塩味のジュレが
シンプルな味わいに花を添えてます。

因みにアル・ケッチァーノのフォカッチャ
見た目が、まるでカステラの様な焼き上がり。
ふんわりと軽く、こちらも美味しゅうございました。

4皿目
「地元の茸を使ったリゾット」
平茸、しめじ、舞茸等、沢山の地場の茸のたっぷり入ったリゾット。
バターも最小限にして、茸の味わいを最大限に引き上げていました。

5皿目は
「青イカのソテーと庄内葱、セロリのスパゲッティーニ」
やはり、庄内で上がった青イカを、地元のお野菜と一緒に
パスタに仕上げています。
青イカはミディアムに仕上げてあり、お野菜の甘味との相性が抜群でございました。

6皿目・いよいよメイン・・・お魚のお料理です。
「庄内で上がった姫鯛のソテーと青いお野菜添え、だだ茶豆のソース」
鯛がふんわりとしていて、とても美味だったのですが
それ以上に美味しいのが、お野菜達!!
このブロッコリー、ほっそりとしていて、
茎まで美味しく頂けたのですが、本当に甘くて美味
シコッとした歯ざわりの豆の蔓も美味しく頂けました。
ソースもバターや生クリームを使っていない、さらっとほっこりとした仕上がり。
お野菜が新鮮だからでしょうか?
本当に地場のものを美味しく頂けるのは幸せを感じます。

7皿目・メインのラストはお肉料理です。
「庄内牛のグリエ、ルッコラやハーブを添えて」
私は、普段こういう場合に牛肉は不得手なのですが、
炭火でグリエした牛肉は香ばしく、物凄く柔らかくはないのですが、
噛むほどにお肉の旨味が伝わり、滋味溢れる味わい。
ルッコラも香り高く、添えられていたトマトも味が濃くて
とても美味しゅうございました。

ドルチェは盛り合わせ。
イチゴのシャルロットにフルーツを添えたパンナコッタ、
カスタードプディング・・・
どれも上品で甘さ控えめで素直な味わい。
2種類のジェラートは、地元のミルクを使ったもので
あっさりと軽い口溶けでした。

エスプレッソを頂きながら、
2時間を越えるゆったりとした午餐は終わりとなりました。

食後に奥田シェフ自らテーブルまでいらしてくださいました。
純朴そうな、口数の少ないシェフですが、
色々とお話を伺いながら、シェフの故郷を愛する心、
そうして故郷の食材をどれだけ愛しているのかを
伺う事が出来ました。

シェフが本に書いて下さったサインには、
お名前の他に、こう書き添えてありました。

“また、庄内を食べにいらしてください”

この、食べに・・・の言葉に、シェフの、そうして
アル・ケッチァーノのお料理の全てが凝縮されている様に思えました。

ちょっと遠いのですが、それだけ価値のあるお店・・・
なかなか簡単には伺えませんが、
また、美味しい庄内を“食べに”伺います。

ご馳走様でした。

お店を後にすると、
旅の途の空は、晩秋の澄んだ青に
ゆっくりと白い雲が広がり、
明澄なやや冷たい風が、紅葉し始めた木々の間を
そっとすり抜けておりました。


2007年10月09日

第74回NHK全国学校音楽コンクール全国大会・高等学校の部5

それは毎年、繰り広げられる合唱の一大イヴェントの一つです。

今年で、何と74回目を迎えたこのコンクール、
50回を皮切りに、放送によるコンクールから、
東京は渋谷のNHKホールでのステージ公開になって、
早いもので25回を数えます。

その時生まれたお子様が、既に大学を卒業して社会に出ている年齢になっている
と思うと不思議な感情に浸ってしまうのですが、
私はこの高等学校の部がとても好きで、毎年必ず聴くか観るかしております。

それは、私も高校時代にこのコンクールに参加した事があったからに
他ならないのですが・・・(勿論、地区予選敗退です・・・)
私が参加した頃は、果たして何回目だったのだろうと考えると
ちょっと怖い気も致しますが・・・(遠い目)

例年なら、NHKホールに実際に観賞(応援)に伺うのですが、
今年は、自宅で生放送にて観賞致しました。

名門校といわれるコンクール常連の高校から、初出場校、
女声合唱から、男性が加わり初めて混声合唱で出場した学校…
全国の地区予選、地区大会を勝ち抜いた11校が、
まさに凌ぎを削る様に、美しいハーモニーを披露致しました。

課題曲は、ゴスペラーズと松下耕氏のコラボレーションによる
“言葉にすれば”
今の若者にマッチした、ポップなリズム。

どう、聴いても女声合唱が不利な音楽です。
おまけに冒頭にソロがあったりして、課題曲としては
少し疑問の残る課題曲であったのは、少し頸を傾げてしまいます。

案の定、と、いうより予想通り今回の入賞団体は全て混声合唱でした。

勿論、それぞれの学校の特色ある歌声は、とても素晴らしく
今年は例年以上に、大変な高レベルの合唱の連続で、
結果も僅差の状態であったのではないでしょうか?

その中でも、特に印象深かったのが、
初出場の千葉県立幕張総合高等学校(関東甲信越代表)と
今回混声で初出場の宮崎学園高等学校(九州代表)でした。

幕張総合高校の高校生らしい清澄な歌声。
とっても爽やかで清々しい印象。

宮崎学園高校の大人に近い南国らしい厚みのある歌声が
とても見事で、こちらは成熟した大人の合唱団と云う印象。

逆に、伝統校で常勝校である
福島県立安積黎明高等学校(東北代表)、
宮城県第三女子高等学校(東北代表)
この2校が入賞しなかったのが、不思議でならなかったのですが、
やはり課題曲で損してしまったのしょうか?
透明感のある硬質な声の合唱団や、まっすぐ伸びた声で
正面から真面目に取り組んでしまった合唱団には、
不利になってしまった感じが致しました。
・・・特に安積黎明は、一番最初の登場でいたので、その辺りもかなり不利だったと
思っています。
捲土重来、来年の巻き返しに期待しております。

自由曲は、相変わらず、数年来の上位入賞校が自由曲に選んだ曲、
またはその作曲家に集中する傾向は相変わらずですが、
それでも1校を除いては、学校独自の個性が良く表現されていた様に思えました。
でも、最初の3校の自由曲が、全て同じ作曲家と云うのは、正直驚きましたが・・・

審査結果発表後の課題曲の全員合唱での
嬉しそうに歌う顔、悔し涙で目を腫らしながら歌う顔・・・
素直に歓び、素直に悔やみ、素直に悲しむ表情・・・
そうして、ひたむきに真摯に歌う高校生の若さに触れて
ふと、過ぎ去った時代が何故か思い出され、
もう戻れない日々を懐かしみながら追憶に涙を禁じ得ない、
今年のコンクールでございました。
出場した高校生の皆様、本当にお疲れ様でした。
素晴らしい合唱、そうして健闘を讃えつつ、心からの賛辞を送ります。
有難うございました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【第74回NHK全国学校音楽コンクール・高等学校の部】
金賞 ・東京都杉並学院高等学校(関東甲信越代表・混声)
銀賞 ・宮崎県宮崎学園高等学校(九州代表・混声)
銅賞 ・千葉県立幕張総合高等学校(関東甲信越代表・混声)
   ・愛知県立岡崎高等学校(東海北陸代表・混声)
優良賞・福島県立安積黎明高等学校(東北代表・女声)
   ・北海道帯広三条高等学校(北海道代表・女声)
   ・島根県出雲北稜高等学校(中国代表・女声)
   ・埼玉県埼玉栄高等学校(関東甲信越代表・混声)
   ・宮城県宮城第三女子高等学校(東北代表・女声)
   ・香川県立坂出高等学校(四国代表・女声)
   ・和歌山県立田邉高等学校(近畿代表・混声)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  


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2007年09月20日

日本橋@メルヴェイユで豚宴会♪5

b1ce8d73.jpgオー・グー・ドゥ・ジュール メルヴェイユ
最寄駅:東京 / 日本橋 / 宝町 / 京橋
料理:フランス料理
採点:★★★★★
一人当たりの支払額(税込み):5,000円〜10,000円
用途:夕食


「メルヴェイユで豚を塊で焼いて食べる宴が有りますが・・・」
友人からの誘惑的なお誘い…

それは、夏の一夜の夢の様な物語でございました。

日本橋のメルヴェイユで、特別に豚を焼いて頂いて
胃袋組酒袋組総勢28名で頂くという、
素晴らしい素晴らしくも恐ろしい企画でございました。
因みにメインが“ぶた”という情報だけで、この日のメニューは
出てきてのお楽しみ♪

まずはシャンパーニュで乾杯。


いよいよ宴の始まりでございます。

◆アミューズ◆
☆とうもろこしの冷製ブルーテ・豚のベーコンとクルトン添え
☆豚のリエット入りのグージェル(シュー)
☆豚の背脂を乗せた無花果とサマートリュフのカナッペ
まったりと濃厚なとうもろこしが蕩ける様に甘く
ベーコンの塩味と食感が良いアクセントになっております。
ああああ、このスープをボウル一杯に頂けたら…
朝露に輝く薄黄色のミニ薔薇の様な存在感。
カナッペの背脂の蕩ける様な柔らかさと甘さに無花果の酸味も
とても美味でございました
これからのお料理にも期待に胸が高鳴ります

◆オードブル・その1◆
☆豚の脛のコンソメジュレと豚レバームース
豚タンと帆立貝柱のグリエ、白人参のピューレ添え
夏らしいコンソメジュレ・・・これも豚で作られております。
滋味溢れながらも柔らかな味わい。ほのかな酸味が爽やかで、
火を入れた豚タンの食感や帆立の甘味ともとても良い相性です。
白人参を頂くのは、初めての体験でございました。
さながら、 たおやかなサテンの白薔薇の様ななめらかさ。
とっても滑らかな口当たりで、良いアクセントでした。

◆オードブル・その2◆
☆豚足と白隠元豆のクロケットのラヴィゴットソース、
豚のテリーヌ、ブーダンノワールのパートブリック包み揚げ、
梨のサラダとピクルス添え

こちらだけでメインと云うボリュームの、
部位も調理法も異なる豚のアンサンブル。
クロケットはさっくりとしていて、可憐な杏色の薔薇の様な
優しい味わい。冷えたマコンの白と良く合います♪
テリーヌはまったりとした味わいで、
白い縁取りのサーモンピンクの薔薇の様に上品な軽やかさ。
ブータンノワールはねっとりと濃厚な
ベルベットの黒薔薇の様な舌触り。
梨とピクルスは丁度良いお口直しでした。

◆メイン◆
☆もち豚のローストの藁の燻製風味
パルマンティエと万願寺しし唐のチョリソー添え
ジュのソース
本当に薔薇色の豚のローストでございました。
一人当たりの厚みは3〜4cmは有りましたでしょうか。
伺えば、何と300gもございました。
薔薇色のお肉は本当に柔らかく、しっとりジューシー
藁の燻製の香りも食欲をそそります。
まるで華やかに匂い馨しく香り咲く、
大輪の薔薇色の薔薇の様でございました。
個人的には、パルマンティエは重かった感が…
でも、心もすっかり薔薇色になりました

◆アヴァン・デセール◆
☆アーモンドのブランマンジェに塩のソルベ、オリーブオイル風味
何度も頂いているのですが、やはり美味しいです。
アーモンドと塩のソルベにオリーヴオイルを一緒に頂くと
懐かしいアーモンドグリコキャラメルのお味が…
すっきりと爽やかに。
まるで 浅緑を潜ませた白薔薇の様な雰囲気。

◆デセール◆
☆桃のロールケーキ、ミントとヨーグルトのアイスクリーム添え
ふんわりと優しいベルベットシフォンの様なスポンジに巻かれた桃がとっても
ロマンチック。
ふっくらと優しい乳白色の薔薇を思わせます。

何度もランチやディナーで色々と頂いておりますが
この様に、大人数でなければ頂けないメニューを特別に頂いて
更に、こちらのお店の度量を識る事が出来て、
本当に楽しい一夜を経験させて頂きました。

素晴らしく、そうして楽しい宴でございました。
メルヴェイユの松本シェフ始め、企画、そうして幹事の労を
お取り計らい下さいましたA氏に心から感謝でございます。
有難うございました。




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2007年08月15日

ほるもん倶楽部あじくら@渋谷でホルモンを堪能しました♪5

7dfc48c8.jpgほるもん倶楽部 あじくら
最寄駅:神泉
料理:ホルモン焼き / 焼肉
採点:★★★★★
一人当たりの支払額(税込み):3,000円〜5,000円
用途:夕食


〜お肉がないなら、ホルモンを食べればいいのに
ホルモンでは不服なのかしら?〜

と、どこかの王妃様が云ったとか云わないとかは
判りませんが、
以前から、とても興味があったお店
「ほるもん倶楽部〜あじくら〜」
通りに面したお店からはいつもお肉を焼く香ばしい匂いと煙
層居てガラス越しには、満席の中で美味しそうに七厘でお肉を焼いている
お客様のお顔が見えるのでございます。
通り掛かる時間が悪いのか、それともご縁がなかったのか
または、焼肉を目的としていない時に限って、空いていたり・・・
どうもタイミングが合いません。
〜いつか入ってみたい・・・〜
お店の様子を見て、お肉の焼ける匂いだけでそう思っておりました。

さて、某日、友人と渋谷で待ち合わせをして夕ご飯をご一緒する事に。
〜さあ、何を食べましょうか〜
特別に食べたいものが思い当たらず、
○○ホテルが林立するこの辺りをちょっと彷徨いながら、
今夜のお店を品定めしておりますと
偶然にも、この辺りには滅法お詳しい友人ご夫妻と遭遇致しました。

〜何か良いお店は?〜
〜「あじくら」は行かれました?〜
〜いえ、気にはなっているのですが、まだ頂いた事がないのです〜
〜是非、行かれて見て下さい、凄くお勧めです〜
〜えっ?そうですか、それでは〜

千載一遇とは、まさにこの事。
m様ご夫妻に御礼を言って別れ、友人と二人、急ぎ足で
いざ、鎌倉、ならぬ「あじくら」へッ!!

開店とほぼ同時だったせいか、日曜の夕方にも関わらず
すんなりと二人、予約もなしにご入店。

店内は思ったよりも広く、
大きなセンターテーブル(10〜12人掛け)がドンと鎮座ましましていて
窓側に4人掛け席が2席、
2人掛けのカップル席・・・ここに通されました・・・が1席
小上がりのお座敷に4〜6名用テーブルが3席、それにカウンター席が10席あります。
開店したばかりですが、既に数組の方がいらっしゃいました。

スリランカ人の素敵なスタッフの方が、スマートにそつなく応対してくださいます。
その愛想良さと云ったら、もう下手な若い日本人のお兄ちゃんなんか適わない位・・・

早速、生ビール(エビス:550円)を注文してメニューを見てお悩み中。
お通し?の替わりにキャベツの切ったものが供されます。

まあ、それにしても、ホルモンだけでなく、豚や鶏、牛も充実しております。
牛も、652円のハラミにんにく爆弾焼き〜熟成和牛上カルビ1575円、
更に特選サーロイン(塩のみ)2415円まであり、他のお肉もとにかくお安いです。
それぞれのお財布とお腹具合に合わせて色々頂ける、とっても嬉しい構成でございます。

〜いやん、色々有って困っちゃう〜
と、みたいな、かってのアイドルみたいな台詞を云ってみたりしながら
〜やはり、ここはがっつりホルモンから、お肉に行きましょう〜
お勧めの「ホルモン6点盛り」にハツ、上カルビ、ハラミ、ゲタ、
豚トロ、カシラ、イベリコ豚ロース、日南地鶏せせり、榛名地鶏ハラミ等
あれこれ勢いで注文致しました。

炭の入った七厘が運ばれてきて、いよいよ戦闘開始です。
3時間一本勝負ッ!
(注)これは、混雑時には、3時間でご退席頂く場合がございます。
しかし、その様に3時間食べ続けるなんていうのは、なかなかできない事でしょう。

キムチの盛り合わせとキャベツを箸休め?に、せっせと頂きます。
ホルモンの6点盛り(1300円)・・・これはシマ腸3人前を、塩、タレ、味噌、辛タレ、カレー味、
そうして「梅じそタレ」で頂くのですが、新鮮なホルモンはやはりとても美味しいです。
特に、まあ、この「梅じそタレ」の美味しい事!
意外な発見でございます。
これが結構ツボにはまってしまい、食べ終わった後もそのまま死守して、
塩味系のお肉に活用致しました。

とにかく、
いつもの通り、
〜焼きます食べます焼きます食べます〜
の繰り返しでございます。
まあ、ビールやサワーが進む事、進む事・・・

気付けば、全ての席がいつの間にか埋まっていて、あちこちでグループやカップルが
七厘を囲みながら、お肉を召し上がっております。

これだけの人々が一斉にお肉を焼くと、どうしても燻される感じは致しますが、
それはホルモンの宿命かも知れません。

レバーも、半生で頂いて遜色がありませんし、鶏もとってもジューシーでございます。
勿論、豚ももっちり美味しかったですし、どれも満足の行くお味でございました。
牛も、お安いハラミやゲタから、上カルビ(それでも1575円)まで堪能致しましたし、
一皿のボリュームもあるので、しっかりがっつり頂けます。

締めは、コムタンクッパに残ったキムチ・・・特にタコキムチがとっても合います・・・を入れて
さっぱりと・・・

結局、3時間どころか、一気呵成に
〜焼いて食べて飲んで焼いて食べて飲んで食べて〜
を、繰り返し、1時間30分でしっかり胃袋は満たされたのでございます。

そんな訳で、遠慮せず気取らずに、欲望の赴くままにホルモンとお肉を堪能致して、
一人5000円以内と云うのもとても嬉しい限りでございます。

すっかりご満悦な私。
朝5時まで営業しているのも嬉しい限り♪
渋谷でホルモンやお肉を食べる際にはとてもとてもお勧めのお店でございます。

それから数日後・・・
別の友人を誘って、平日夜に伺おうと思い、お電話すると
〜今、満席なんですが、もしご連絡先をお教え頂ければ、空いた段階でご連絡します〜
との事、
どうしようかなぁ〜
と、思っていると
〜もし、その時点で他のお店に入られていても構いません〜
との、優しいお言葉。
それならば・・・と、思い、近くのBarで軽く飲んで待つ事に・・・
そうしましたら、ちゃんと20分後にお電話を頂きました。
当たり前の事かも知れませんが、そう云う対応の良さも嬉しい限りでございました。



2007年08月14日

旬の果物を使ったお菓子との出会い@リリエンベルグ5

48f82be2.jpgリリエンベルグ
最寄駅:新百合ヶ丘 / 柿生 / 五月台
料理:ケーキ / タルト・パイ / チョコレート / 喫茶店
採点:★★★★★
一人当たりの支払額(税込み):1,000円以下
用途:おやつ


久々にリリエンベルグに伺いました。
8月15日〜31日まで夏季休業に入ってしまい、おまけに桃のパイが15日までと伺ったので、お盆休みの最中、午前中に伺ったのですが、既にティールームは満員、
別棟のケーキショップの方も、沢山のお客様で溢れておりました。
こんなに暑い日の午前中での盛況振り・・・毎回ビックリでございます。
増改築で、敷地一杯に建物が立ち並び、それぞれがとても広くなりましたお陰で、
以前に比べてケーキの種類も増えて、とても嬉しい限りでございます。
ショーケースには様々なケーキが並んでおります。
焼き菓子類も沢山在って、昔からそのままかわらないものや、
新しく加わったお菓子等、まさしく「お菓子のお家」の様です。

ショーケースに並ぶお菓子達は、どれも
洗練された、と、云うよりも、実直で素朴なケーキ達ばかりです。

複雑に何種類もの異なる味わいを計算して一つのお菓子に仕立てたり、
派手で技巧的な装飾を施したものとも異なる、どこか素直なやや野暮ったい様な
それでいて可愛らしいお菓子達ばかり。
洋酒も沢山ではなく、ごく控えめで、万人の好む味に仕上げてあります。

折角なので、迷う気持ちを抑えつつ、季節の果物を使ったお菓子を選びました。
フレッシュな桃を使った「桃のパイ」や出盛りのピオーネのショートケーキ
それに、葡萄のシャルロットとサバラン・・・
どれも優しく軽やかな味わいです。
特にショートケーキは
スポンジはしっとり、クリームも厭味な味がなく、すんなりと美味しく頂けます。
ピオーネの酸味と相俟って、とても上品な味わい。
美味しさや素材を損なっておりません。

今、先端を行っている有名パティシェの華々しく複雑な味わいや
装飾過多な見た目に慣れてしまっている人々には、
滋味で平凡で物足りないと思うかも知れません。
それでも、このお店が、そうして、ここから作り出されるお菓子達が、
もう20年も昔、まだこの辺りが開発途上の宅地だった頃に
小さな工房とお店として始まり、それから今日まで続いているという事、
そうして、今だに沢山のお客様から、支持を受けていると云う事は、
とても重要な事なのだと思うのでございます。

流行を作る事も大変価値のある事だと思うのですが、
それ以上に長く愛され続けると云う事の重要さ・・・これがとても大切な事なのだ・・・
と、心から感じました。

日向夏のクグロフ、オレンジのパウンドケーキに、ウィーン風のクッキー等、
母が好きだった焼き菓子も沢山買い込み、久々に満足して帰宅致しました。
焼き菓子の詰め合わせを仏前に供えて、ちょっとした満足感に浸りました。
お盆が終わったらお下がりを頂くのが楽しみです。





2007年06月27日

美味しいホルモン食べた〜い♪幸永@東新宿4

1a02a7a9.JPG幸永
最寄駅:東新宿
料理:焼肉 / ホルモン焼き
採点:★★★★★
一人当たりの支払額(税込み):3,000円〜5,000円
用途:夕食


〜がっつり沢山お肉食べたいね〜
特に、この所お肌の調子が悪いので、
美味しいホルモン食べたい・・・
と、いう時にぴったりのお店といえば、
こちら。

間違っても綺麗で小洒落な雰囲気とは縁遠く、
お世辞にも綺麗といえない店内は
いつもお客様で犇き合い、
七厘から立ち昇る煙で、お肉もお客様も洋服も、
しっかり燻されてしまう感じなのですが、
タン塩や豚トロ、ハラミ・・・さらに誰もが食べるという、
名物“極ホルモン”に至るまで、
やや、濃い味付けで美味しい焼肉やホルモンが堪能できます。

食べ過ぎて飲み過ぎると、5,000円超えしてしまうことも有りますが、
通常、“普通”にしっかり食べていれば、一葉様一枚でお釣りが参ります。
皆でワイワイとしっかりお肉を頂くのに
ぴったりのお店ではないでしょうか・・・


昨年以来、久々に訪問のこちら。
“幸永でチャミシル片手にハラミやホルモン食べたい”
前々から希望していた友人と行く事に。
当日は、女性ばかり6名。

待ち合わせ場所の大江戸線・東新宿駅の出口周辺には、
既に幸永からもうもうと流れてくる煙と、
小雨の中に漂う焼肉の香りが・・・
一人二人と集まってくるのを待っている間中
頭の中は、既に"お肉!"の幻影で一杯となります。

メンバーが揃った所で、目と鼻の先のお店へ。
最寄り駅より近いのも嬉しい。
因みに、同じマンションの1階部分が、
それぞれ、一口の異なる同じお店になっております。

今日は、向かって左側に入店。
まあ、相変わらずの店内は大変な盛況振り。
一番奥の席に通されました。
板張りのお座敷は、サブトンはあるものの
相変わらずちょっと座りにくく、換気も充分とは言い難いのですが、
こういう雰囲気も決して嫌いではありません。

早速、まずはビールとキムチの盛り合わせで乾杯。
後は、何かに憑かれた様に、各自食べたいお肉を注文します。
総勢6人で繰り広げられるその凄まじさと云ったら・・・
七厘からボウボウと煙が立ち込め、お肉から落ちた脂がはぜます。
まずは、タン塩に始まり、豚トロ、首こ肉・・・
〜相変わらす美味しい〜♪
初めてこちらに来た友人もご満悦の様です。

最上級のお肉、と云う上質感は有りませんが、
ここのお店は、580円〜1,200円辺りがほとんど(一番高いものでも1,500円)と、
全てのメニューが安いので、
"どんどんオーダーして、どんどん焼いて、せっせと食べる!"
これに尽きます。
ハラミ、ユッケ、ゲタカルビ、豚トロ・・・
前回の肉食人な皆様に較べたら、とてもおとなしい注文内容。
(前回は7名で42人前を食しましたので・・・オホホホホ)

でも、やはり極ホルモンは外せません。
極ホルモン=シマチョウ
毎回頼んでしまうのですが、柔らかくて美味しいのでございます。
素材自体が新鮮な事は勿論ですが、
やや濃い目のタレで味付けされているので、臭みといったものは感じません。
網に乗せると煙が一層もうもうと立ち込めます。
じゅわ〜ッと立ち昇る脂の香ばしさ・・・
勿論、美味しいに決まっています。
ホルモンが好きな人には、堪らないお味だと思います。

今回は、ユッケジャンクッパで〆。
程ほどの辛さですが、そこそこ美味しい内容。
今回は、それ程ペースを上げる事もありませんでしたので、
(それでもしっかり食べたのですが)
予定通り、1人5,000円以内で収まりました。

これからの時期、ビールにもきっと良く合うホルモン。
また、是非伺いたいと思います。


2007年06月13日

ペプシ・アイスキューカンバ2

b1de2e7f.jpg本日より発売になった、ペプシの新商品、
アイス・キューカンバ

〜コーラとキュウリ、驚きのコンビネーションの爽やかなコーラ!〜

なかなか凄い商品コピーです

確かにキュウリを思わせる、綺麗なライトグリーンです。

早速頂いてみましょう。

合掌…………………………
ドキドキ

ゴックン

ええっと……

一口飲んだ感想…
あっま〜〜〜いッ
甘いのです。

最初に抱いていた、
〜キテレツでいたたまれないお味だったら、どうしましょう〜
という不安は消し飛びましたが、
普通のコーラの様に、
ゴキュゴキュ、プハァ〜〜〜ッ
と、いった様な爽快感とは、皆無な位の、なかなか怪しいお味であります

気の抜けたメロンソーダを更に気の抜けたサイダーで薄めて、
安っぽいスイカと、安っぽいバナナガムの様な、ケミカルな香りが堪りません
これが、飲み終わってから嫌な後味として、暫く残ります

当初期待していた様な、キュウリらしい
“青臭さ”
は殆んど感じませんでしたが、それはもしかすると、
今日のお夕飯が、パクチーたっぷりのフォーだったからかも知れません。

取り立てて、“凄く不味い”訳では有りませんが、話のネタに頂くのがせいぜいと言った感想です。
正直、また買うかは微妙〜な印象でした

可哀想ですが、多分、短命に終わる商品の予感が致します。
期間限定だそうですので、
皆様も、話のネタに是非ッ


2007年06月12日

7月7日は♪「Donkusak合唱団」自前演奏会♪

045618db.jpgこちらにも書いてしまいましょう

毎年この時期恒例の
私が出演する
「DonKusak合唱団」の
演奏会が今年も無事開催されます。

なんと、今年は自前演奏会も第15回目となります

昨年に引き続き、今年もご来場頂いた皆様には、
素晴らしい歌声♪と一緒に大変“面白い物”がご覧頂けるかも知れません。
今から準備に余念がございません

七夕の日、当日でご多忙の方も多いかと存じますが、
お時間のかる方は、是非いらしてくださいませ。

詳細は下記の通りでございます。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

日程:2007年7月7日(土曜日)
会場:目黒区民センターホール
   (JR山手線目黒駅より徒歩10分)
   (東急東横線中目黒駅より大井町行きバス
    田道小学校入口より徒歩3分)
    目黒区目黒2-4-36
開場・17:30 開演・18:00
入場無料(全席自由)

【演目】
☆第1ステージ
ミュージカル「メリー・ポピンズ」
作詞・作曲:Richard M Sharman/Robert B sharman
編曲:福永陽一郎

☆第2ステージ
たなばたまつり 星まつり
―キターッ――ぼくの織姫タソ―(仮題)

☆第3ステージ
男声合唱のための「季節へのまなざし」
作詞:伊藤海彦 作曲:荻久保和明

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

詳細はこちらをご覧くださいませ。

http://www.geocities.jp/donkusak1992/

さらに、こちらのゲストブックに
〜今年も面白いものを見せて下さい〜

と、書いていただくと効果的かも知れません。

当日、ステージ上から、皆様のお顔を拝見できますのを
楽しみにしております。

お願いですから、本当にいらしてくださいね〜〜〜ッ!

さあ、今日から頑張って衣装製作ですッ


2007年05月31日

夢の様に贅沢なロールケーキ@王様からのご褒美5

7641fb13.jpg6月1日から販売開始となる、ロールケーキを特別に
前日に頂きました♪

〜王様からのご褒美〜

なんて素敵な名前でしょう?
上品なシルバーグレーの化粧箱がエレガントです。

中を開けると、とってもシンプルなロールケーキが入っています。
ふんわりとした生地に、ジャージーミルクを使ったミルクプリンが
巻き込まれていて、なんとも可愛い仕上がりです。

早速、カットして頂いて見る事に・・・♪

ふんわり、しっとり柔らかな生地・・・
シフォンケーキ生地で作られていて、とても良い口解けで
見た目よりもとっても軽やか♪
ミルクプリンは、甘さが控えめで蕩ける様な、舌触りとなめらかさ。
クリーミーなのに、しつこさがなく、絹の一片の様に
すぅ〜ッと、口中で一つになって消えていきます。
後味もさらっとしていますが、
ジャージーミルクのコクとまろやかさが充分に楽しました。
素材に拘っているロールケーキだけに、とてもシンプルな仕上がりに
なっているのも、嬉しい所です♪

装丁もシックで素敵なので、ちょっとしたお手土産にも喜んで
頂けそうです。
でも、本当は・・・
『王様からのご褒美』よりも、
自分自身のご褒美として、ちょっと贅沢かも知れませんが、
これなら一人で恵方ロールの様にペロッと被り付いて食べてしまえそうです。

明日がオープンとの事ですので、
この、ロールケーキは勿論の事、その他の商品も、是非試してみたいと
思います♪


『王様からのご褒美』
東横線・武蔵小杉駅南口改札




2007年05月28日

ブラッセリークール@神泉でのちょっと嬉しいランチ♪5

483b41e0.jpgブラッセリー クール
最寄駅:神泉
料理:フランス料理 / ワインバー
採点:★★★★★
一人当たりの支払額(税込み):1,000円〜3,000円
用途:昼食


今日は久々にしっかりしたランチがしたい・・・
急に思い立って、ブラッセリークールへ。
こちらのお店は、非常にお値打ちな価格で
フレンチのランチが頂けるお店なのです。
自宅から歩いても10分掛からない所にあるのも魅力的です。

思い立ったら友人もお誘いする事に。
ランチには少し遅めの時間に伺いました。

初夏らしい晴れた午後、空気が乾いていて気持ちが良い気候でしたので
テラス席でゆっくりも素敵かな?と、思ったのですが、
丁度、テーブル席が空いておりましたので、そちらに通されました。

既に13時30分を過ぎておりましたので、
オードブル2品の「クールランチ1,800円」はL.O後。
1,500円のランチ(オードブル・メイン・デザート+コーヒー付き)にすることに。
いずれも数種類の中から選べる事が出来ます。

オードブルは、「サーモンと帆立のタルタル」、「ほろほろ鳥のテリーヌ」か
散々悩みましたが、他の友人と一緒に「ほろほろ鳥のテリーヌ」にしました。

メインは、食べたかった「豚肩ロースのロースト」が終わっていて
「子羊」「鶏」「ホロホロ鳥」「金目のポワレ」と悩んだ末、
ここで一番最初に頂いて美味しかった「鶏もも肉のコンフィ」にする事に
致しました。

テリーヌは、オーソドックスで意外にあっさりしているのですが、
厚さもあり、淡白なホロホロ鳥の肉感が良く残っており、
予め振ってある黒胡椒と良く合います。
付け合せのにんじんのサラダが相変わらず美味でした♪

メインの「鶏もも肉のコンフィ」は、
こちらの定番、そうして人気料理。
相変わらずのボリュームで、外はパリッと、中はしっとり。
塩加減も軽めで、お肉の骨離れも良く、いつ頂いても満足出来るお味です。
本日の付け合せは白いんげんの煮込みでしたが、
実は「洋風の豆煮込み」が不得手な私が、
思わず「美味しいッ!」と喜んでしまう様に、
トロッと柔らかい煮込み加減で、ベーコンの塩味と風味も備わって
非常に美味しかったのが嬉しかったです。
こういった付け合せもちゃんとしているところが、このお店の魅力の一つでも
有ります。

デザートのブラマンジェも食後にぴったりの軽さ。
ランチの忙しさから逃れて、お皿を洗っている
シェフと、少しお話も出来ましたし、
久々に優雅なお昼ご飯のひと時でした。

2007年05月17日

隠れ家の様なお店「USONIAN DEPUT」@中目黒5

f3f21bec.jpgUSONIAN DEPOT
最寄駅:中目黒 / 祐天寺
料理:和食一般 / 鳥料理 / 自然食
採点:★★★★★
一人当たりの支払額(税込み):5,000円〜10,000円
用途:夕食


中目黒の高架下に沿って、祐天寺方面に歩くと、
 
〜こんなところにこんなお店が〜
と、思える場所にこの店は存在する。
 
初めて連れて行って貰った時は、はっきり行って
お店だと気付かない位であった。
まさしく、“隠れ家”の様なお店なのである。
 
以来、友人との会食、誕生会、しっとり飲食・・・
様々な状況で利用する事になる。
多い時には、月に3回以上行ってしまった事も。
まあ、それ位、
「誰かを連れて行きたくなるお店」
なのである。

嬉しい事に、お連れした人達も気に入ってくれて
何度も使ってくれている様で、
伺うと、
「先日、お友達の●●様がお見えになりましたよ」
と、嬉しい報告があったりする。

一見、今風の内装重視のダイニングの様に思われるが
こちらはお料理自体のクオリティーも高いと思う。

勿論、お勧めは
〜馬刺しの盛り合わせ〜
そして
〜桜肉のすき焼き〜
である。

勿論、これ以外にも
和食を中心にした、季節のお魚料理や、和風にアレンジした
エスニック料理等も堪能出来るのであるが、
毎回、伺う度に食べてしまうのは、こちらの2品である。

これがどちらも期待以上に美味しい♪
馬刺しの盛り合わせは
タテガミ、サガリ、大トロ、バラの4種類が盛られてくる。
九州の溜り醤油と、にんにく、または生姜を添えて頂くのだが、
寧ろ、にんにくは控えて、生姜で頂く方が、良いかも知れない。
そのほうが、より“馬肉”本来の甘さや旨味を味わえる様な気がする。
これが事の外、嵌る味なのである。
特にタテガミのとろんとした甘さが口の中で蕩けるのが
何とも云えない位に口福を感じるのである。

そうして、もう一つ
“桜肉のすき焼き”
通称・櫻鍋・・・
味噌、溜り醤油、もろみ等で作った割り下に
馬肉、お豆腐、葱のシンプルな内容。
ふつふつと煮えてきたら、肉が硬くならない程度の
ミディアム程度の状態で、卵をくぐらせて頂く。
こちらも同様に嵌る味である。
すんなり、するりと頂ける味なのである。
1人前が1050円と云う価格も嬉しい。
ついつい、お肉を追加してしまい、これでかなり満足出来る。
〆は特製の卵ご飯。
鍋に残った割り下を卵綴じ風にして、それに葱を加えて
ご飯に乗せて食べるのだが、やや甘辛い卵とご飯がとっても美味しい。

終わった後は、デザートとコーヒーでまったり出来る。
特に、季節のフルーツの乗せたパンナコッタや
黒糖を使ったババロアがお勧めである。

ちょっと不思議な空間で、楽しいひと時を過ごす・・・
今度は誰を連れて行こうか?
そんな楽しみのあるお店である。



2007年02月23日

格別なるフレンチの午餐@コート・ドール5

e2d77352.jpgコートドール
最寄駅:白金高輪
料理:フランス料理
採点:★★★★★
一人当たりの支払額(税込み):10,000円〜15,000円
用途:昼食



春と云ってしまうには、まだ肌寒いこの時期・・・
〜コート・ドールでお昼をいかがでしょうか〜
こんな素敵な午餐のお誘いを頂きました。

白金高輪
すっかり様変わりした都心の街並み・・・夥しく林立するビル
行き交う車の波、その中に取り残された様にある昔ながらの家並み・・・
現代と過去が入り混じり、その不釣合いな光景をまるで異国を旅する
旅行者の様に眺めながら、「黄金の丘」を目指します。
まだ、風は冷たく、晩冬特有の空には重く灰色の雲が垂れ込めています。

歩く事、暫し・・・
大きなマンションが見えて来ます。
こちらが目指す
「コート・ドール〜黄金の丘〜」

マンションの一角に厳粛に佇む、風格のある入り口
ドアを明けると、素敵な生花が出迎えてくださいます。
シックで格調高い店内は、程良い位の広さ。
大き過ぎず、狭過ぎず、厳粛で格式がありそうな、心地良い古さと、
それでも、どこかホッとする様な穏やかな空気が流れております。

窓に近いテーブルに案内されると、雲の合間からほんの少し零れた日差しが
レースのカーテンのガラス越しに、白いテーブルクロスに映っていました。

本日の献立は、お誘いくださった先達の方が予めご予約くださっていて、
メインのみを決める形になっておりました。
この日のメインは、お肉はこの時期ならではのジビエ、蝦夷鹿
お魚はえいのムニエル。
えいのムニエルにも、心惹かれて、少し悩みましたが、
やはり時節のものを頂きたいので、蝦夷鹿を頂く事に致しました。

午餐を祝してシャンパーニュで乾杯致しました。
本日のシャンパーニュはドゥ・ラ・ピエール・ブリュット
早春の木漏れ日を思わせる淡い金色のそれは、華やかだけれども軽い口当たり。
優雅な午餐の幕開けにはぴったりです。

最初のアミューズは、こちらのスペシャリティとも言える赤ピーマンのムース。
真っ白なお皿に、ややくすんだ珊瑚朱色のムースの下には鮮やかな紅のトマトのクーリ・・・
そのドラマティックな色合いがとても美しくて、スプーンを入れるのが、思わず躊躇してしまいそうになります。
仄かに、しかししっかりと舌に伝わる赤ピーマンの風味、そうして淡雪の様に滑らかな口解け・・・
まさしくスペシャリティーといわれるだけの逸品。これからの献立に期待出来そうな素晴らしい幕開けでございます。

一皿目の前菜は、白子と馬鈴薯のガレットのパイ包み焼き。
〜是非ともこの時期に召し上がって頂きたい〜
先達の方が、今回の午餐のためにご用意くださいました、この時期ならではのメニュー。
伺えば、毎年何かしらの創意工夫を凝らされていて、今回は薄く切った馬鈴薯が美しい狐色の焼き色を見せています。
ナイフを入れるとさっくりとした馬鈴薯の下から、たっぷりの白子が顔を覗かせて馨しい湯気が立ち昇ります。
カリッとした馬鈴薯、さっくりとした香ばしいパイ、それに甘さを増した滋味溢れる蕩けるような白子が、
それぞれの異なる食感がお口の中で一つになって、何とも言えないハーモニーを奏でてくれます。
あしらわれた色鮮やかなグリーンのインゲンの優しい味わいと、やや酸味の効いたライトグリーンの香草のソースがアクセントになっていて素晴らしい味わいでした。
グラスでお願いした、程よく冷えたシャブリ・サン・ピエールが熱々の白子とバターの風味一杯のパイに良く合います。


続いての前菜は、小さな牡蠣と下仁田葱の入った、暖かで滑らかなポタージュ。
珍しい南国土佐の蛤程度の可愛い牡蠣ですが、小さい分、凝縮された濃厚なお味で肉質も身が締まっていて程よい食感です。
牡蠣の旨味が溢れているポタージュは、さらりと仕立てられていて、牡蠣の風味を損ないません。
冬に一層甘味を増してくる下仁田葱も堪らない美味しさ。パンと白ワインがとても良く進んでしまう一皿です。
ゆっくりと愛しむ様に頂きました。

そうして・・・
本日のメインは今日は蝦夷鹿のロースト・ボワブラードソース。
表面ははしばみ色にこんがりと焼かれた大きなお肉の断面は、熟れた木苺を思わせる様な、鮮やかな深紅色・・・
血が滴る様な大きなお肉は、野趣溢れるジビエの醍醐味です。
添えられた薩摩芋と林檎のピューレの金色掛かった杏色が柔らかな雰囲気を見せています。
シンプルに焼かれた蝦夷鹿の個性的な味わいに、ベルベットの様にしなやかで濃厚な香りのボワブラードソースが
と良く馴染み、一口毎に美味しさがシンプルに楽しめるローストに仕上がっています。
サツマイモとリンゴのほっこりとした口当たりと甘酸っぱさが、蝦夷鹿のローストに、丁度良いアクセントを加えております。
こちらには、ミシェル・ルーションのシャトー・ド・コスタニエール・フォジェール・キュヴェ・プレステージをグラスで頂き、
ジビエとワインのマリアージュも愉しみました。

アヴァンデセールは、完熟蜜柑のソルベ。
濃厚な蝦夷鹿の後、お口直しに丁度良い、爽やかな香りと甘さ、そうして微かなほろ苦さが、
口の中ですんなりと蕩けます。
まさに季節の果実の持ち味を余す所なく堪能出来ます。

デセール一皿目、今の時季だけのこちらのスペシャリテ、苺のスープ。
真っ白い器に苺の鮮やかな紅が、一際美しく、思わず歓声を上げてしまう様に、眼が惹き付けられてしまいます。
今回は半皿分を盛り付けて頂きましたが、通常の一人前は、贅沢にも苺1パックを使用していらっしゃるとか・・・
完熟の苺を、苺のピューレで和えた非常にシンプルでなデザートですが、素直に美味しいと思えるデザートでございました。
強い香りと華やかな甘さ、そうして仄かな酸味・・・薫り高い苺をしっかり堪能致しました。

続いて、二皿目のデセール、クレームシトロンのパリブレスト。
先ほどの苺のスープとは違って、シックな雰囲気を醸し出しています。
さっくりとしたシューと爽やかなレモンの香りと酸味のクリームの相性が抜群、
底には、焼いたメレンゲが入っていて、その食感がクリーム、シューと共に頂くと
何とも言えない素敵な調和を伝えてくれます。
口の中に一足早く、春風が吹いた様な、爽やかで優しいデセールでございました。

最後は、すっかり満足した気分で、食後の珈琲と、添えられたショコラとフィナンシェでまったり・・・
お昼にも関わらず、すっかり長居をしてしまいました。

冬の終わりのジビエや蜜柑、一足早い春を感じさせる苺・・・
テーブルの上のお皿には、それぞれの季節が交差しておりました。

どのお料理も決して衒うことのない、見た目もシンプルな仕上がりでしたが、
これ見よがしの派手な演出とは違った、存在感のある重厚な内容で、素材を活かす技に満ちております。
とても印象的で、ゆったりとした時間を過ごせる素晴らしいレストランでございました。

丁重に見送られて外に出れば、
まだ、晩冬の風は冷たく、相変わらず鉛色の曇り空に戻っていましたが、
とても幸せな帰り道でした。

〜春はもうすぐそこまで来ています〜

そんな暖かで、晴れやかな気持ちになれる、素敵な午餐でした。

雲の合間から、時折日の光が零れて来て、
どこからか沈丁花の花の香りがふっと届いてきます。

このコメントを、ご手配頂いたA様へ・・・




2006年10月20日

バナナのタルト@トシ・ヨロイヅカ5

cd85b2b2.jpgバナナが一本ありました〜♪

子供の頃、こんな童謡を歌った経験は誰にもあると思う。

実は私はバナナが不得意で、果物そのものはおろか、
同様にそれを使って作ったお菓子も好んで食べることがまずない

美味しいと思ったことが正直余りないのである。

しかし・・・
 
ある日ある時ある人が、
 
〜今日はトシ・ヨロイヅカのお菓子をお土産にお持ちしますね〜

 と、嬉しいメールをくれた。
丁度、友人のお宅でのホームパーティーの折、
さては、ロールケーキか、それとも新作のケーキか?
それとも、定番のお菓子達かしら?
きっと、魅惑のスウィーツが登場するに違いない…
すっかり舞い上がり、期待に胸弾ませながら、
その友人の到着を待ち、晩御飯のデザートに頂く事にしたのである。
 
さて、御飯も終わり、いよいよデザートの登場…
 
出てきたものは、なんと
 
「バナナのタルト」である。

間違っても、自分からは絶対に買わないであろう、バナナのタルト
 
…ええ、バナナ…
 
ちょっと意気消沈してしまった私。
もちろん、薄いタルト生地に、満開の花の様に、ぎっしりと美しく薄切りに並べられたバナナは艶やかにアプリコテされて、きらきらと黄金色に輝いてはいるのであるが…
 
〜夕方、買いに行ったら、もうこれしかホールのお菓子はなくて〜

申し訳なさそうに友人が言う。
 
…でも、美味しそうじゃない…見た目も美しいし…

心とは裏腹に、にっこり笑う私。
 
早速、人数で切り分けて頂く事に。
 
カットされたタルトは、ごく薄いシュクレ生地にたっぷりのクレームダマンド、
それに羽根の様に繊細にスライスされたバナナがふんだんに敷き詰められ、
色良く焼き上げられている。

ぱくっ
 
…え・・・

あら???美味しいじゃないッ???…
 
確かに“美味しい”のである。
さっくりとしたシュクレ生地、バターに卵、それに上質のアーモンドの
柔らかな口当たりのクレームダマンドは、微かにラムが香り、
ややキャラメルの風味を帯びたバナナのねっとりとした食感と
優しく滋味溢れる味わいが良い塩梅で絡み合って、
何ともいえない“美味しさ”なのである。
 
恐らく、私が今まで口にした「バナナを使用したケーキ」で、
初めて心から
“美味しい”
と感じたお菓子である。
甘さも優しく、といって、過度に控えていない。
寧ろ素材の持つ香りや特徴がとても良く出ている様にすら思え、
紅茶でも、食後酒に頂いたヴェルタ(グラッパ)とも、しっかり合う、
“大人のお菓子”である。
 
バナナのお菓子に対しての価値観や先入観を払拭してくれた、
感謝の味わいの「バナナタルト」でありました。
 
 
トシ・ヨロイヅカ恐るべし。
是非、次回は自ら伺って色々購入しなければ…
もちろん、バナナのタルトも忘れずに♪

2006年08月28日

鳥榮@池之端の「鳥鍋」5

鳥栄
最寄駅:上野御徒町 / 御徒町 / 京成上野 / 上野広小路 / 湯島
料理:鳥料理
採点:★★★★★
一人当たりの支払額(税込み):5,000円〜10,000円
用途:夕食


「鳥榮で鳥鍋はいかがでしょうか?」
願ってもないお誘いを頂いた。
名前こそは知っていたのだが、こちらのお店は
何でも予約の仕方が独特で、特に冬場は大変取り辛いお店で、
鶏好きには垂涎のお店である。
勿論、即答で参加させて頂く事となった。
漸く早春のの便りが届く頃の事である。
それから約三ヵ月、漸くその日がやってきた。


約束の時間には少し遅れてしまった。
昼間までの雨は夕方にはすっかり上がり、御徒町の駅で降りて
地下鉄の階段を駆け足で上がって地上に出る頃には、
巷には雨上がりの初夏の風が吹き、見上げれば先ほどまで空一面を覆って
雫を落としていた雲が、急ぎ足で通り過ぎていた。
大通りを、一歩路地に入ると、やや煩雑な店が並び、更に進むと
人目でそれと判る、木造の建物が見えてきた。
 
周囲のビルに囲まれて、そこだけ時代が止まっているかの様な建物。
オレンジ色の暖かそうな明かりが二階から漏れ、
得も言われぬ様な雰囲気と風情を伝えてくれる。
目立つ看板もなく、紺地に白抜きで小さく“鳥榮”と抜かれた暖簾が
はたはたとおりしの風にはためいていた。
 
摺りガラスのはめられた格子戸を明けると、
〜いらっしゃいませ〜
三和土のすぐ脇の調理場から、白い調理着のお店の方が出てくる。
予約をしてくれた友人の名前を告げると、二階へと案内をしてくれた。
 
やや急な、磨きの掛かった板張りの階段を昇ると、ぎしぎし軋んだ音が上がる。
池波正太郎氏を始めとする、沢山の著名人や、先達の客人も、
同じ様に、この音を幾度となく聞いたのだろうか。
 
二階は、畳のお座敷のみ三部屋有り、その一つに通された。
どの席も埋まっており、このお店の人気が窺い知れる。
ざっとみても20人前後で一杯のなるであろうか、
この日は、他に大小4組のお客人がいらしていた。
 
通された卓は台十に設えてあり、友人達は全てそろっていて
お通しのお浸しを頂きながら、既に席に付いていた。
遅延のお詫びもそこそこに、、軽くビールで乾杯すると、
早速、台十に備長炭が入り、火が熾される。
明々と炭が熾ると、その上に浅い鉄鍋が置かれて、鶏のスープが張られる。
綺麗に澄んだスープが、ゆっくりと湯気が立ち昇る。
鬼おろしの入った小鉢が配され、
肉と葱、豆腐が盛られた大皿が運ばれてくる。
鉄鍋に張られたスープが、くらくらと波打つ。
いよいよ、待ちに待った鳥鍋の始まりである。
 
こちらで供されるお料理は、この鳥鍋のコースだけ。
 
大皿には、正肉、砂肝、心臓が並んでいて、
どれも美しく張りが有り、弾力がある。
何よりも、どこにも筋や脂、血の様な物が見えない。
美しく、そうして手際よく捌かれた肉を見ているだけで、気持ちが高揚する。
正肉は、綺麗な桜色、砂肝や心臓は鮮やかな紅色で、
そのままでも頂けそうな位である。
こちらは、東京軍鶏と云う鶏の肉を使用しているとの事で、
同席頂いた女性から、詳しい由来を伺った。
 
“東京軍鶏は、人形町の老舗の「玉ひで」が鶏業者と共に開発した、
しっかりとした歯応えの肉質と滋味溢れる味わいが特徴の、新しい鶏”
との事である。
 
〜鳥のお肉が白くなったら召し上がってください。
赤身は それから少し長めに煮て召し上がってください〜
女将様であろう、おっとりと優しい口調の年配の女性が
頂き方を説明くださりながら、お肉、そうして葱、豆腐を鍋に入れて仕立ててくださる。
柔らかな桜色の正肉が、微かに白いスープを潜ると、肉の表面がさっと白に変わる。
もう食べ頃である。
まずは何もつけないで頂いてみる。
ほんのりと火の通った正肉は、しっかりした歯応えと云うよりも、
しなやかで柔らかく鳥らしい滋味に溢れている。
 
次の一切れは、山椒を一振りした染めおろしで頂く。
粗めの大根おろしと鶏が良く合い、さっぱりと上品な味わい。
それぞれが鶏の持ち味を損なう事なく、存分に楽しめる。
 
くらくらと昇る湯気の中で、赤身に火が通る。
弾力のある砂肝、ほわっと柔らかい心臓。
よく言われる鶏肉臭さとは、まるで無縁である。
至って単純な食べ方故に、素材の鮮度の良さが伝わってくる。
淡泊で有りながらも鶏本来の滋養溢れる穏やかな鶏の味わい。
一切れ一切れを惜しむ様に口に運ぶ。
 
鍋は、相変わらず澄んだまま。
それぞれが、以下に丁寧に下拵えされているか、
そうして鮮度が良いかが伺える。
 
合いの手の様に、葱とお豆腐を頂く。
先ほどの鳥肉から溢れた旨味や滋味をほど良く沁み込んだお豆腐は、
ほろほろと舌に柔らかくその深みを伝え、
蕩けそうに柔らかく煮えた葱も、より甘味を増して味わい深い。
口の中で溶けていく。
 
最初に入れられた鍋の中身がなくなった所で、ほんの少しお塩の入った
お蕎麦のお猪口に塩が出される。
 
〜どうぞ、こちらでスープをお召し上がりください〜
女将に勧められるまま、スープをよそう。
アク一つない、少しだけ白を帯びた透明なスープは、本当に濁りがなく、
さらっとしていながらも、鳥の旨味と甘味がしっかりと融けていて、
当然の如く文句なしに美味しい。
 
一同、スープを堪能していると、やや深めのお皿一杯のつくねが運ばれてくる。
所謂、鶏挽き肉の団子種ではなく、ねっとりとなるまで、叩いて叩いて作られたつくね種である。
自らの手で、真ん中に落とされた卵の黄身と混ぜながら更に掻き混ぜると、一層の粘りと共に、種に弾力が出てくる。
これを、ざっくり人数分になる様に、お団子を作って鉄鍋に落としていく。
ふんわりとした種が、くらくらとしたスープに浮かび上がった頃が食べ頃である。
スープと一緒に、あるかなきかの塩味で頂く。
ほわっと柔らかく、ほろほろと口の中で崩れていく。
言葉を失う位に美味しかった。
 
こうして、すっかり鳥鍋を堪能する頃に、〆の御飯と香の物が運ばれてくる。
この御飯に、鍋のスープを掛け、少しの山葵だけでさらさらと、お茶漬けの様に頂く。
あっさり優しく、それでいて滋養溢れる味わい。
二杯目は、残った染めおろしを加えて頂く。大根の辛味と塩味がより深みのある味わい。
添えられた香の物も美味しかった。
特に、細かく刻まれた白菜を胡麻で軽く和えて有ったのが印象的だった。
 
こうして、二時間以上に渡る、憧れの“鳥鍋”の宴は静かに終演を迎えた。
 
〜いかがでしたか〜
〜はい、大変美味しゅうございました〜
 
既に他の客人はお帰りになり、最後の一組となった私達は、
少しだけお行儀悪かったが、くまなく部屋や他の座敷を拝見した。
少し煤けた塗りの壁や座敷の畳、赤黒く光る柱、軋む床は、
幾度となく繰り返しながらその「鳥鍋」の湯気や炭の香り、
集う人々の楽しい会話を染み込ませていて、ゆっくりと時間を紡ぎながら、
そうして、それはこれからも続いてくのだろう。
この店がある限り…
それが、続く事を願いつつ。
 
丁寧に見送られながら、お店を後にする。
大変人気があり、予約困難なお店にも関わらず、
接客は丁寧で、お高く止まった所等微塵もない。
 
外には、初夏の風が火照った身体を通り過ぎていく。
さやさやと新緑の柳の枝が風に靡く。
 
路地を一つ曲がる前に、何故かその店の佇まいが、
何故か幻の中のものであったかの様に思えて、もう一度、ふっと振り返った。
明かりの落ち始めた周辺のビルや、派手なホテルのネオンとは無縁な空間。
そこだけ時代が止まっているかの様な建物。
私の見ているその建物、そうして過ごした時間は確実に私を和ませてくれる。
 
ひっそりと、そしていと惜しい様な、その小さな木造のお店は、
店仕舞いの時間を迎えて、ゆっくりと絵葉書の一枚の様に静寂に包まれていた。
 
ただ、紺地に白抜きで小さく“鳥榮”と抜かれた暖簾が、
通りを渡る初夏の風に、微かにはためいていた。
 
 
 
 このコメントを、ご案内頂いたK女史、並びにご同席頂いた、
 megarebo様に進呈致したく。
 拝

2006年08月08日

フルーツパーラー・フクナガ

f593f9a4.jpgフクナガフルーツパーラー
最寄駅:曙橋 / 四谷三丁目
料理:フルーツパーラー
採点:★★★★★
一人当たりの支払額(税込み):1,000円以下
用途:朝食
採点:★★★★★
一人当たりの支払額(税込み):1,000円以下
用途:おやつ


あるきっかけからパフェに今夏ははまっております。
なかでも、虜になっているのが、こちら・・・

「フルーツパーラーフクナガ」の旬のフルーツのパフェでございます♪

晩春に苺、初夏のアメリカンチェリーと両方頂いてしまいました。

まずは、今期最後のイチゴパフェ♪
なんて優雅なんでしょう!
グラスには自家製の苺シャーベットのくすんだピンクに乳白色のヴァニラアイスクリーム、鮮紅色の苺が散りばめられています。
そうして、苺とクリームの白と赤の素晴らしいコントラスト。
一口含むと、清涼感溢れる爽やかな甘酸っぱさと共に馥々と香る苺の
柔らかな香りが堪りません。
白いドレスに赤いリボンがひらひらと翻る少女を連想させてくれます。
今年の苺パフェの最後を頂けて幸せでした。

次はアメリカンチェリーのパフェ。
艶やかなアメリカンチェリーがふんだんにあしらわれたパフェ。
下には、アメリカンチェリーで作られた爽やかな香りのシャーベットが・・・♪
苺の柔らかな味わいとは、異なった爽やかで優しい味わいが致します。

先月は、豪華な「佐藤錦」も頂き、次は夏の「プラム」「桃」と
旬に合わせた限定パフェが、誘惑的に待ち構えております。

さあ、近日また行かなくてはっ!



2006年05月21日

ラ・ビュット・ポワゼ@自由が丘で優雅な午餐5

f0b238de.jpgラ・ビュット・ボワゼ
最寄駅:自由が丘 / 九品仏
料理:フランス料理
採点:★★★★★
一人当たりの支払額(税込み):10,000円〜15,000円
用途:昼食


櫻の花ももう終わるかという、ある休日の午後。
その館は、閑静は住宅街の一角にありました。
門の所には、大きな櫻の樹が、久々に晴れ渡った青空に向かって、終焉の美しさを見せる様に沢山の花吹雪を散らしております。
櫻舞う春の午後、こちらの“館”の午餐に伺いました。
来る者を緊張させる様な豪華な雰囲気ではなく、どこか柔らかで穏やかな佇まい。元々、シェフの奥様のご実家を改装してレストランにされたので、どこか懐かしい様な、そうして日常と非日常の狭間の様な独特の雰囲気を持っております。
 
エントランスには、美しい櫻の活けこみがあり、傍らのメインダイニングからは、優雅な午餐を楽しんでいる人々のさざめきが聞こえてきます。
 
私達の本日の宴席は2階の個室でございました。
軋む階段の先に、優雅な部屋があり、座り心地の良いアンティークの椅子、年代を感じさせる壁や窓と共に、そこはまるで明治浪漫の世界の様です。
 
この時期に合わせて下さったのでしょう、花模様の何とも素晴しいお皿が目を惹きます。 それに整然と並んだグラスにクリストフルのカトラリー・・・
 
一同席に着きますと、軽やかで良く通る涼やかな声の女性が 本日の献立の説明をして下さいました。
メインのお料理を選ぶと、櫻の色を模した様なシャンパンが注がれて、華やかな宴の開演のベルが鳴り出します。
ブーヴ・クリコのローズラベルのくすんだピンクが、櫻の花を彷彿とさせます。
ふと、 窓の外に目をやると、風に乗って春が流れていきます。
 
オードヴルは、可愛い花の形のボウルに入った「海の幸のクリームスープ仕立て」
小さな帆立や浅蜊や蛍烏賊、それに桜海老が、ポアローや季節のお野菜の入った優しいクリームスープの春の海を泳いでいるかの様でした。
生海苔のほんのりとした磯の香りが、穏やかな陽光の春の海の香りを彷彿とさせます。
 
続いては魚料理「細魚と山芋のマトファン、ホワイトアスパラガス添え」
季節が確実に春を送るに相応しい、走りの初夏の食材で、鮮やかな山吹色のプレートに本当に美しく盛り付けられており、白とブロッコリーのソースのコントラストも素敵な一皿です。
細魚の淡白な味わいにねっとりとした山芋の食感、それに一足早いホワイトアスパラガスのほろっとした甘さが馥郁とした印象の一品でした。
 
肉料理はカツオ菜で包んだ仔牛のローストの季節野菜と椎茸のフリット添え、野芹のソース
本日のお肉は2種類あり、霧島豚か仔牛か悩んだ挙句、こちらを頂戴致しました。
こちらのプレートもアイビーが描かれていて、何とも言えず素敵な演出です。
しっかりとした味付けで、ロゼに焼き上げられた仔牛はしっかりとした弾力と味わいを持っておりました。
それ以上に、菜の花、ブロッコリー等の添えられた春野菜の何と滋味溢れる力強く味わい深いものだったのでしょう…
こちらには、ボーヌ2002をあわせました。
 
デセールは、美しいアクリルの重箱に、可愛らしいプチフールに仕立てられたスウィーツが、花遊びの様にあしらわれていて、
思わず歓声が上がります。
マスカルポーネのムース、苺とルバーヴの王冠仕立て、柑橘類のクレープの重箱仕立て、苺のソルベ添え
一つずつは少量なのですが、どれも小さな一皿に、それぞれの世界を描いておりました。
 
食後のお茶で暫しまったりとしながら、優雅な午餐の余韻を満喫致しました。
こちらは、お水がとても美味しく、聞けば毎週丹沢の湧き水を汲みに伺っているとの事で、そちらで淹れて頂いたお茶も、また格別に感じるものでございました。
 
大きく活けられた季節の花々、所々に点在する間ティークの家具や調度品、そうして、お庭に咲き乱れる花々…
決して派手さはありませんが、どれもこの空間と時間の中で一つに融合している…
そんな印象すら抱いてしまう、非日常の中に存在する、贅沢な“上質な空間”でのひと時でした。
 
お店を後にして、門の前で、ふと振り仰げば、
大きな櫻の木は、私達のために精一杯、久々に晴れ渡った青空の下で、しなやかな花びらの雪を振り注いでくれていました。


2006年05月08日

久々の更新でございます。2

56524973.jpgすっかりご無沙汰してしまいました。
まあ、公私共々、忙しい日々で、本当に余裕がなかった・・・と、
云ってしまえばそれまでなのですが、
実の所、忙しいのを良い事に、怠惰な気持ちが勝ってしまい、つい
〜明日になったら、書き込みしよう〜
と、思ってしまうと、なかなか書けなくなってしまうものでございます。
なんと、最後に書いてから数ヶ月も経ってしまっていました。
これでは、いけませんね(猛省)

先日、久々にケーキを作りました。
今はイチゴが甘くてお安く求められます。

ショートケーキにしようと思っておりましたが、こんな
ロールケーキにして見ました。

今年の春はとても短く、気が付けばもう初夏の風光る季節が到来しています。
余りにも短すぎる春が逝ってしまうのを惜しみながら、このケーキを作ってみました。

甘酸っぱい味わいが、華やかでありながらも、どこか切なさを感じさせます。