2005年06月10日

庵@目白

dd6b9c1e.jpgふと目にした小さな看板。
 「庵」
と書かれております。
その看板に導かれながら、小さな路地を進むとすぐに突き当たりに・・・
一般のお宅しかない様な所に、そのお店は存在致します。
全く普通のお宅の様でございます。
小さいながらも手入れの行き届いた和風のお庭がすぐに目を惹きます。
その傍らで、やや年配の品の良さそうな奥様がお庭仕事をされておりました。
どうみても、お店には見えません。
〜しかし、看板もある事だし・・・〜
恐る恐る、そのご婦人に声を掛けてみる事に致しました。
〜あのう、こちらはお店なのでしょうか?〜
〜ええ、お店と云うほどではございませんが、お蕎麦と甘味を出しておりますのよ〜
〜お邪魔しても宜しいでしょうか?〜
〜ええ、どうそどうぞ、お上がり下さいませ。〜
まるで、始めて伺ったお宅で
〜宜しかったらお昼もどうぞ〜
と、云われた感じとでも申しましょうか?
私はいつになく緊張した気分で中へ案内されたのでございました。
 お庭に面したガラス戸から中に進みます。可愛い、午後のお茶を頂くのに丁度良いテーブルが土間に配され、そこから靴を脱いで居間に上がります。
 お座敷には、四角い座卓が2つ、それに風格のある木のテーブルが1つ・・・薄い茶色のランチョンマットが配されております。
 お部屋には、季節の花や歌舞伎の絵等が飾られていて、やはり、お店と申し上げるよりも、何処かのお宅に案内された様な気分でございます。
 お客様は私一人でございました。静かにJAZZが流れており、ゆったりとした時間が流れて参ります。
 テーブルの席に付きますと、先ほどのご婦人がお茶とメニューをお持ち下さいました。
 手打ちの冷たいお蕎麦(600円)、のり、とろろ(100円)、ご飯(200円)、温かいきつね蕎麦(600円)
お食事のメニューはこれのみでございますが、夏場は冷たいお蕎麦のみとの事でございます。
他には、そば葛餅、白玉ぜんざい等の甘味が数種と、コーヒー、紅茶、アイスコーヒーでございました。
ご飯付きのざる蕎麦(800円)を頂く事に致しました。
こちらのご飯はお日替わりで、本日は五目散らし。
先ほどのご婦人が全て一人でこなされております。

〜お待たせ致しました〜
やや平打ちのお蕎麦と可愛い五目散らし、それにしば漬けと昆布の佃煮付きでお盆が運ばれて参りました。
女性らしい、優しい内容。
写真の許可をお願いすると、
〜今日は散らし寿司で良かったです。綺麗に見えますものね〜
と、笑顔で快諾下さいました。
なんと可愛らしい方なのでしょう・・・すっかりファンになってしまいました。
さて、こちらのお蕎麦でございますが、田舎風のやや色黒でございますが、しっかりとした歯応え、それでいて何処か繊細な味わいがございます。ややお汁が少なく香りと風味に乏しい感じも致しましたが、美味しく頂けました。
ざんぐりとした、趣味の良い、小振りの御椀に盛られた五目散らしは、錦糸玉子、千切りの絹さや、それに薄赤の生姜が彩りも美しく、家庭的な優しい仕上がりでございます。やや甘めに炊いた蓮根や椎茸等の入ったほんのり温かな、いかにもお手作りといった感じの、懐かしいしっとりとした口当たり。
逆にこう云った散らしすしは、なかなか外では味わえないのではないかと思わせる味わいではないでしょうか?
蕎麦湯を頂きながら、ご婦人と色々とお話をさせて頂きました。
趣味が高じて、一日十数食の売り切りじまいでやられているとの事でございましたが、それはご謙遜。
女性らしい繊細さが溢れている素敵なお昼を過ごさせて頂きました。
営業は12時〜17時まででございますが、夜は3名以上で予約すれば開けて下るとの事、
〜なかなかお客様が本当にご満足頂けるお料理をお出し出来ているかどうか
自信がないので、日々勉強の日々です〜
一見、おっとりとしていてたおやかなご婦人でございますが、大変な勉強家の様でございます。
何かの折に、是非、夜も伺ってみたいと思いました。
名店とも、隠れ家とも違う、ご近所のお蕎麦を打つのが得意なお宅に
〜お蕎麦を食べに伺いました〜
と、云う表現がぴったりのお宅訪問でございました。
〜どうぞ、ゆっくりお休みになっていって下さいね〜
そんなお言葉まで頂いてしまいました。
 
〜どうもお邪魔致しました〜
そんな言葉を掛けてお会計を済ましますと、三和土にはきちんと脱いだ靴が揃えられております。
ご婦人が、庭先までお送り下さいました。
〜お暑いのでお気を付けて〜
 
思わず私も、
〜ごめん下さいませ〜
と、深々とお辞儀をして、庵を後にしたのでございました。
 
外は水無月、入梅前の鈍く晴れた空、その下で色付き始めた紫陽花が
すっかり喉が渇いていて、眠たそうな表情をしておりました。


最寄り駅:目白
料理:そば / 甘味処
採点:★★★★★
一人当たりの支払額(税込み):1,000円以下
用途:昼食



ch_syohin at 21:58│Comments(4)TrackBack(0)clip!麺類 

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この記事へのコメント

1. Posted by yossy   2005年06月10日 23:26
お店の女将さんというよりも、奥様、と呼ぶのがふさわしいような方ですね。お蕎麦よりも、お店の雰囲気と奥様で心が和みそうです。
2. Posted by ch.syohin   2005年06月10日 23:38
>yossy様

いらっしゃいませ。
コメント有難うございます。
「庵」は本当にそんな感じのお店です。
夜に予約して伺いって見たいですね。
3. Posted by ゆるり   2005年06月12日 17:28
一人ですべてこなしてるんですか〜。
きっとお客様へのこだわりがあるんでしょうね。
優しい食事とお店の雰囲気が
文章の感じでよくわかります。
そば葛餅ってそば粉とくず粉で練られてるんでしょうか?
とっても美味しそうです。
4. Posted by ch.syohin   2005年06月13日 09:11
>ゆるり様
そうです。
お蕎麦も接客も調理も一人でこなされていらっしゃる様です。
ご本人(庵の奥様)は、
「結構負けず嫌いなんですよ」
と、おっしゃっては居ましたが、とても柔らかい優しい感じの方でした。
そば葛餅はまだ頂いていないのですが、
是非、一度頂いて見たいと思っております。

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