2009年12月06日

菊地真の「ClubNights」(表)

★菊地真の「ClubNights」

※この記事は「ClubNights」に関するまとめ記事であり、
同時に関連SSのエピソードをお借りしております。合わせて読むと楽しいかも。
@ClubNight's Pre-Pre-Talk  春雨バナナ君作
Club Night's前夜祭  上の続き
『企画』01 『@ClubNights』02 ガルシアさん作

「ClubNights」公式サイトはこちら。

「ClubNights」会場はこちら。





真:「感想ですか? そ、そうですね……」


 春雨書房の記者の問いに、真は言葉に詰まらせた。



 菊地真と、真の担当プロデューサーである私に「ClubNights」のチケットをくれたのは、
美希と美希の担当プロデューサーだった。
小さいハコなので、関係者や報道陣でさえチケットを持っていないと入場できないらしい。
ただ、中の模様はネットを通じて全国に生中継されるという、
すごいんだかすごくないんだかよくわからないイベントだ。

 お陰でウチが独占取材なんですよ、と春雨書房の記者さんはホクホク顔である。
その顔がたった今カーテンコールを迎えたばかりのこのイベントが、
伝説として語り継がれるほどの大成功を収めたことを物語る。

 客席から見ていた私と真は、席を立つ前に記者さんに呼び止められた。
普通なら「楽屋に花を持っていくので」と取材を断るのだが、
あえて私は黙っていた。真は私を見上げて目で合図を送ってきたが、
私はそっと半歩下がった。真の判断に任せる、というサインだ。

 すると真は楽屋へ向かおうとせず、記者さんの取材に応じようとした。
が、いきなり言葉に詰まってしまった。当然である。
こんなライブを見た直後だ、気持ちの整理がついているわけがない。

 真の今の心理についてはあとで訊ねることにして、
私はまず、真が記者さんに語る「表の」感想を拝聴することにした。



記:このイベントを客席から見終えた、今の率直な感想は?

真:ボクはほとんど何も知らされないまま、
  美希に「絶対見に来てなの!」と言われて来たんですけど、
  驚いた、という言葉しか出てきませんね。
  765プロでこれまで歌ってきた楽曲をやるとは聞いていましたが、
  みんな、いつもと全然違って。

記:じゃあ、1曲目から順に訊かせてください。
  1番手は天海春香ちゃんの「太陽のジェラシー」でしたね。

真:この曲は出だしですぐ「太陽のジェラシー」だって
  わかるのがいいですよね。曲がわかったあとで、
  伴奏がまるで違う! ってことに気付いて、
  それから春香がいつもと違う歌い方をしてるって気付いて。

記:いつもと違う歌い方を?

真:春香って、その場その場の空気に合わせるのがうまいんですよ。
  でも今日はお酒を呑みにきているお客さんたちの空気に合わせないで、
  「ClubNights」は音楽が主役のイベントですよ、っていう空気を作ったんです。

  その空気が作れなかったら、歌と演奏は店内を流れるただのBGMになっていたでしょうね。
  それくらい春香の務めた1番手は難しいポジションだったし、責任も大きかったんじゃないかな。

記:むむ、なるほど。

真:もちろん、春香の力だけじゃないですけどね。
  伴奏もそうですし2番手の伊織の力量もありますし。

記:伊織ちゃんの「リゾラ」もよかったですね。

真:こう言ったら伊織に怒られちゃいそうですけど、
  春香の次が負けん気の強い伊織でよかったなと思いました。

記:それはどういう?

真:春香がいい空気を作ったわけですけど、
  ここで2番手が堅実なパフォーマンスをやってしまうと、
  お客さんのテンションが落ち着いちゃうんですよ。

  そうはさせないぞと、勢いをつけたのが伊織ですよね。
  絶対春香より目立ってやるんだから! って意気込みがすごかった。

記:意外でした。あの伊織ちゃんが小規模なイベントでこんなに
  気合いの入ったアクトを見せてくれるなんて。


真:また怒られそうなことを言いますけど、今回の出演者の中では
  伊織が一番小さくて子供っぽいじゃないですか。
  だからって「伊織ちゃんはかわいかったね」で終わったら彼女の中では負けなんです。
  ボクに言わせれば羨ましいですけど。

記:かわいかった、じゃダメなんですか?

真:伊織ちゃんのためにおじさん達が演奏してあげた、っていう風に見えたらダメなんですよ。
  伊織と演奏者さん達が対等に見えなかったら「所詮はアイドルか」ってお客さんは感じるでしょ?
  それが伊織には許せないんです。特に一番小さい伊織だからこそ。
  分かるんですよ、千早あずささんと組むとボクって頭ひとつ小さいでしょ?
  そこでこの子はオマケか、みたいに思われたくない。意地っていうんですかね?
  だから心の中で伊織ガンバレ! って応援してました。

記:真ちゃんならではの感想ですね。
  じゃあ美希ちゃんの「I want」はどうでしょう?


真:美希のすごさが証明された、って感じですかね。

記:すごさ?

真:この曲って、春香のイメージしかないじゃないですか。
  歌う時の心理とか、歌に乗せる感情とか、すごく難しいんです。
  春香のモノマネになったら意味がないですからね。
  これを生で、しかもこんな奇想天外なアレンジで歌うなんて、
  普通の神経だったらムリですよ。千早だって断りますよこんなの。

記:あの千早ちゃんでも!?

真:この曲で何を表現すればいいのか、わからないですから。
  でも美希にはできるんです。説明はできないけど、表現できちゃう。
  美希ってそういう子なんですよ。

記:それが美希ちゃんのすごさ?

真:わかりにくいですよね。だからこそ、
  主催者さんは美希にこの曲を用意したのかもしれないですね。
  美希のための「I want」……うん、きっとそうなんです。

記:次の雪歩ちゃんの「迷走Mind」も、そんな感じがしますね

真:この曲については、すみません、ノーコメントで。
  雪歩がこれを歌うって知らなかったので、
  今でもまだ、落ち着いて話せる状態じゃないんです。

記:わ、わかりました。では再び伊織ちゃんの「いっぱいいっぱい」で。

真:「リゾラ」で手応えを感じたのか、ちょっとだけ普段の伊織に
  戻っていましたね。8割ぐらいの力で、ほどよく力が抜けていて、
  見ていて安心感がありました。お客さんも、誰も伊織を子供として
  見てなかったですよね。
子供の姿をした大人、っていう
  本来の伊織らしさを、余裕をもって表現できていたんじゃないですかね。

記:確かに「リゾラ」がなかったら、また印象が違ったかもしれません。

真:伊織のメガネ、レアですよね。あんな遊び心も「リゾラ」のあとでなければ
  子供っぽく見えちゃうから、やらなかったと思いますよ。

記:次はまた雪歩ちゃんの「9:02PM」ですけど、こっちは感想をもらえますか?

真:こっちは、なんとか。すごくはっきりした声で歌っていましたね。
  伴奏がゆらゆらした音だったので、雪歩の声が通って聞こえたのかもしれないですが、
  不思議と強さを感じました。

記:ほう、強さを。 

真:もしかしたら、ですけど、あの歌を先に歌ったあとだから、
  自信を持って歌えたのかもしれないです。
  雪歩って、覚悟を決めたら誰よりも強いですからね。

記:「好き」って言う時、真ちゃんの方を見ていたような気もしましたが?
 
真:え? そっ、それはその、客席は男性ばっかりだから、
  勘違いさせないためというか、雪歩は男性が苦手だからとか、
  いろいろあってはい、そういう……ゲフンゲフン

P:もしもし、記者さん?

記:おっと、すみません! ではあずさちゃんの「Kosmos Cosmos」について。

真:雪歩と入れ替わる所から、お客さんがみんな体でリズムをとってましたよね。
  あずささんて、ステージに上がると別人みたいになることが多いんですが、
  今回は何だか、雪歩みたいなあずささんになっていましたね。

記:雪歩ちゃんみたいな?

真:衣装室で雪歩の衣装を仕立て直して着れないか、試してたんですけど、
  あれってたぶんこのステージのためにやってたんですね。
  結局サイズが違いすぎてあきらめてましたけど。

記:それはぜひ見てみたかったなあ!

真:でも衣装に頼る必要はなかったですね。
  雪歩の色の宇宙とは違う、あずささんの色の宇宙が見えましたから。
  ただ、無限に広がっていく世界に向かっていく明るさ、喜びが
  雪歩の歌と同じように感じられました。さすがですね。

記:あずさちゃんは物怖じしないタイプですもんね。

真:日頃あれだけ迷子になっていればそりゃ……おっと! あの、次行きましょう!


記:はあ……では千早ちゃんの「Colorful Days」はどうでした?

真:千早の表情がすべてでしたよね。
  千早は「Colorful Days」の振り付けの、ぐるぐる回るやつが
  どうにも気に入らないらしくて、最初はかなり抵抗したんですよ。

記:通称エ●グザ●イルですね。

真:この動きが歌と何の関係があるんですか! って。
  歌自体はすごく気に入っていたから、余計に不満だったんでしょうね。
  で、今回はその振り付けもなく、歌に専念できたわけで。
  
記:それが嬉しかったんでしょうか?

真:それだけじゃないですよ。お客さんがみんな次の歌を待っている、
  そこに自分が出て行くなんて、千早にとっては夢のような場面じゃないですか。

記:歌手志向が強いですもんね、千早ちゃんは。

真:この曲をもらって、千早は特別な想いもあっただろうし。
  今年の765プロを象徴する歌ですからね。
  自分が代表してこの歌を届けるんだ、という気持ちを強く感じました。

記:コーラス隊の登場もよかったですね。

真:ボクもステージに上がりたくてしょうがなかったですよ!
  響にヘンタイ765プロって言われた時より悔しかったですよ!

  あーもう! 忘れようとしていたのに! 思い出しちゃいましたよ!

記:ま、真ちゃん落ち着いて! プロデューサーさん!

P:真、そういうのはあとで聞くから、な?

真:わかってます! 次は律子の「目が逢う瞬間」ですよね?

記:りっちゃんは何か、この歌を誰かのために歌っているような、
  そんな印象を受けたんですけど、真ちゃんはどう感じました?


真:そうですね。ここまでの曲、流れと何か違っていたかも。
  行き過ぎた感情が歌に込められていたような。

記:真ちゃんも感じましたか。

真:それなのに、演奏のみなさんが優しく律子を包んでくれていたような。
  原曲と違う静かな演奏だから、歌の強弱が動きすぎると合わせるのが
  すごく難しいはずなんですけど、律子を見守るような暖かさが音から感じられて、
  律子もそれに甘えるように、ちょっとわがままな歌い方をしていました。
  律子が誰に、どんな想いを伝えようとしてそうしたのか、それはわからないですけど。

記:それは楽屋に行った記者が聞き出してくれているでしょう。
  では、大トリを務めた美希ちゃんの「隣に・・・」を。

  

真:美希は「I want」がすごかったから1曲だけで、最後は春香だと思っていたんですよね。
  そうしたら美希が出てきて。そりゃ、絶対見に来て! って言いますよね。

記:そうですねえ。堂々とした歌いっぷりでした。

真:美希は、律子の歌に影響されたかなって思いました。
  この歌って、誰かのことを想って歌わないと、輪郭がぼやけてしまう歌なんですよ。
  美希は間違いなく誰かのために歌っていました。
  そうでなければ、こんなに魂を揺さぶられたりしませんよ。

記:気になりますね、誰を想って歌っていたのか。

真:もしかしたら知らないほうがいいのかもしれないけど。
  ただ、美希がこれだけの歌を歌ったってことが嬉しいし、
  素直に感動しますよね。

記:美希ちゃん、今年はいろいろありましたもんね。

真:はい。だけど色々乗り越えてきたからこそ、
  今の美希があるんだってボクは思うし、
  変な話、綺麗になったな、って……。

記:真ちゃんに見せたかったのかもしれませんね。今の美希ちゃんを。

真:困らされることもあるけど、ボクは美希のこと好きですよ。
  怪しい意味じゃなくて、ひとりのアイドルとして、
  ひとりの人間として。仲間として。

記:では、最後にもし真ちゃんが「ClubNights」に……




──私は記者さんの最後の質問を遮り、真を連れて外に出た。
楽屋へ向かうタイミングは逃してしまった。
もうバラしが始まっており、楽屋も撤収作業で大騒ぎしている頃合いだ。
春香達には明日、ゆっくり話をすることにしよう。


                   菊地真のClubNights(裏)に続く

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この記事へのコメント
真の言葉で動画の感想を語らせるスタイルなのが面白いですw

CNに出演していない真が(裏も合わせて)主役を張っていて、他のブロガーさんのSSまで設定に取り込んでしまってるってスゴイですよね。
Posted by LEM at 2009年12月07日 03:27
>>LEMさん

しょーじき、ガルシアさんの凄さを思い知りました。
こういう記事の書き方するの、初めてだったんですが
見よう見まねじゃ全然ダメっすねえ。

このステージに立てなかった、ということで
真のテンションがちょっと低いんですが、ランクB〜C想定だと、
やはりまわりのアイドルはライバルでもあると思うんですよ。
このランクまで勝ち抜いてきたわけだし。

クラブナイツを見たPさんたちがルサンチマンした気持ちも
わかるんですよ。みんな自分のアイドルがいて、
このステージを見せつけられたわけですからね。
そういう心情も入っちゃったみたいです。
もっと楽しかった! って内容にすべきだったのだろうけど、
それはみんなに任せた!w
Posted by cha73 at 2009年12月07日 07:50

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