2008年10月17日

じっくり語り語られてみようNo,13

RDG氏主催のイベントじっくり語り語られてみよう への参加記事です。
辛口の記述もあるかと思いますが、
ご了承のうえで読んでいただけるとありがたいです。

作品はコチラ えびP作

であります。


闇はどこにあるのか?
月はどこにあるのか?

 最初に考えたのはそれ。
厳密には、この映像が「どこ」なのかを知るために
手探りで触れそうなところを探ったというか。

 で、その時点で既に「自分」というフィルタがかかるのを感じた。
これは「視聴者が伊織をどんな存在と考えているか」
によって導き出される答えは違う作品なんだなと。

 作者コメ欄の記述に、意味はないと思った。
言葉の羅列は迷宮で、出口はひとつじゃない。
それがこの動画の指し示すものだ、というヒント。

 一度目の視聴で手に触れたのは闇のほう。
闇は現実。始まる現実か、始まっている現実か。
どっちなのかは再視聴で考えることにする。

 月は揺れて、落ちてきた。
一回目はそれしかわからない。
まだ触れなかった。何だろう? 気になる。


 二度目を見る前に、自分の伊織像を思い浮かべる。
よし、いけるだろう。視聴する。

 見終わって、困る。問題は「時間」だ。
冒頭から月が落ちる「瞬間」までの忍び寄るような「時間」の
長さがわからない。おそらくこの「時間」が
見る者それぞれにとって異なる。

 三度目。さらに悩みが増える。今度は「強さ」だ。
「お前の水瀬伊織はどの位強い?」と、
問われている気がする。それが「時間」を左右する。

 伊織にとって、現実は二度大きく変化する。
取り巻く水瀬家という環境から飛び出すときと、
心を委ねられる相手を得たときだ。

 もし、伊織が弱い存在であるなら
戦慄は飛び出すときで、闇はPと出会って始まるこれからの現実。
彼女はすでに限界で、出会ったばかりの男に密かに縋っていた。
落ちた月は、これまで身を守ってきた鎧。嵐は彼。
歌は夢(願望)と未来。

 伊織が強い存在であったなら、
戦慄は固く守り続けてきた自分を彼に委ねるとき。
それは彼女にとって最大の恐怖。
ただし最高の甘美を伴う。
月は彼女の本能。理性が手放し、弾けて波動になった。
波動はきっと届く。
闇は彼と過ごした現実、フタリの記憶。

 うん、後者がよりしっくりくる。
が、月の下にいる闇の兎たちは?
月の番人? 月が弾けて眠りについた、のか。

 それでも前者、伊織が弱い存在である感覚も
否定できない自分がいる。彼女を過小評価している
わけではなく、個人的な意識がそうさせる。
孤独をかかえて生きる少女がかくも強いことが恐いからか。
はたまた、生きた年数と共に若人の強さを忘れたか。
イオリハ スコシコワイ


 えー、最後になぜ「伊織でこの作品」なのか。
伊織以外の選択肢があり得るのか、逆に問いたい。
心を晒すことの意味が違いすぎると思う。


=10月19日追記 自分の記事をさらに解説=

 読み返して、こりゃ抽象的すぎて不親切だなと思い、
上の記事に自分で解説をつけることにしました。

 まず、「闇」を「現実」だと判断しました。
理由は、伊織にとっての現実が闇だからです。

 伊織は水瀬家という強大な枠組みの中で
不自由のないほどに望むものを与えられて育ちました。
しかし、伊織には肝心なものがなかった。
それは「自分の力で得たもの」です。
何もかも与えられてしまうのですから。
それが嫌で、伊織は自分自身の力で
トップアイドルの座という他人が与えることのできないものを
手に入れようと、765プロのアイドル候補生になるのです。

 さて、この伊織にとって765プロのアイドル候補生になる、
という「現実」は明るい光に照らされた世界でしょうか?
普通はアイドルへの道といえば希望に輝く世界かもしれません。
が、伊織にとっては財閥令嬢という不自由ない生活を捨てて
飛び込んだ茨の道なのです。右も左もわからない、
助けてくれる召使いもいない、これまでの常識も通用しない。
そんな不安な世界に単身飛び込んだのです。
しかも賢い伊織ですから、どんなに自分に自信があったとしても
トップアイドルになれる保証は無いことぐらい理解しています。

 だから彼女はこう考える。
「名門水瀬家の令嬢が芸能界入りし、鳴かず飛ばずで終わったら?」
その恐怖、リスクは他のどのアイドル候補生よりも大きい。
計り知れないと言ってもいいでしょう。

 これが自分のイメージしたひとつ目の「闇」です。
2つ書いたうちの「伊織が弱い存在である」とした場合のですね。
自分にとっての伊織は、この無謀ともいえる状況において
心に何の不安も抱かないような強い少女ではない。

ただ、伊織にはどうしても「自分の力で得たもの」が必要だった。
それが無いまま生きるぐらいなら「闇」にさえ飛び込む。
その生き方が伊織の美しさの根底にあると思います。
だからこそ、自分はこの作品の「闇」をネガティブなもの、
ダークな何かとは少しも感じませんし、作中の伊織の姿、
表情から恐さや狂気を感じることはありませんでした。

「闇」が765プロに飛び込んだ「現実」であるならば。
伊織は出会ったPをどのような存在だととらえたでしょう?

 ここでPと伊織の出会いの場面の言葉を思い出してみる。
「はあ〜あ。私、いつになったら、
デビューできるのかしら?」

 想像ですが、伊織はデビュー前の候補生期間が長かったのではないか?
彼女は初期ステータスが高く、早熟で減退も早く、
しかもデビュー直後からほとんどの仕事をそつなくこなすなど、
アイドルとしての素養が他の誰よりも備わっています。
アイドルを目指した動機から考えても、レッスンも熱心で
カメラの前での立ち振る舞いもよく研究していたでしょう。

 しかし、デビューできない。性格、態度のせいでPがつかないから。
伊織は自分をプロデュースしてくれるPの出現を
どれだけ待ちこがれていたでしょうか。
「彼女はすでに限界で、出会ったばかりの男に密かに縋っていた」
と書いたのはそれが理由です。本当はくすぶっている時間など無い。
でも安易におもねることでデビューするのはプライドが許さないし、
そんな安っぽいPとトップが目指せるとは考えられない。
自分が彼女の立場だったら、この状況に耐えられる自信がありません。
それでも伊織は己を貫き通し、ついにPと出会うのです。

「闇」という「現実」に「嵐=P」がやってくる。
「終わり=候補生時代終了」が近づき目覚めた狂気とは?
ここで自分の最大の妄想をぶっ放すならば、
『目と目が逢う瞬間、好きだと気付いた』です。

 伊織は初めて出会ったPを見た瞬間に、恋に落ちていた。
いや、Pと共に成功し、恋に落ちる夢を見たというべきか。
それぐらい伊織にとってPの出現は「運命を決定づける瞬間」だったと、
これまで書いてきたことからご理解いただけるはずです。
 そんなアホな、唐突すぎる、という方も多いでしょう。
でも恋という感情は不可解で狂気じみている。
理屈や常識通りにはいかないもの、と自分は思っています。

 さて、残るは月です。揺れて落ちた月を、
「これまで身を守ってきた鎧」と書きました。
伊織は誰にも本心を明かさず、アイドルを目指した真意を
伝えることなくこれまで生きてきた。
打ち明ける相手もいないし、そうする気も無かった。
でももしかしたら、自分と共にトップを目指すパートナーが
現れたなら……誰にも知られたくない本心を隠す鎧は
砕け散ってもいい。そう願ってもいたのではないか。
 いきなり会ってまもないPに対してそれは早すぎ! 迂闊すぎ!
と普通は思うでしょう。

ですが、ですが伊織は本当は誰よりも臆病でか弱い少女なのです。
少なくとも自分の伊織は。

 なぜ「伊織でこの作品」なのか?
って、なぜもヘチマもないでしょもうw
蛇足を承知で言えば「イバラヒメ」は伊織そのものだし、
「イバラヒメノ ツミ」とは伊織が765プロに入ることが
水瀬家に対する罪であるといえましょう。
伊織のプロデューサーになるということは、
その罪を共に背負い、歩んでいくということなのです。

 最後に月下の闇の兎について。
これは伊織の鎧のそのまた外側を守る番人、です。
それは伊織にとってのうさちゃんの役割と同じ。
本当の意味で伊織の味方で居続けてくれた存在。
月が砕けた伊織にとって番人は不要とはいわないものの、
少しお休みしてもいいのかな、と。



=2つ書いたうちの「伊織が強い存在である」とした場合=

 なんかもうやりきった感もあるんですがw
でもやはり「伊織は強い子」という認識の人の方が多いでしょう。
ならばPとの出会いの場面で「Pに恋する夢を見る」なんてことは
ありえません。もっと周到に自分がトップアイドルとなる
最善の手を考えつつ、それこそ頼るどころかPを育てながら
進んでいこうと考えていたことでしょう。

 その場合は「闇」が「現実」なのは同じですが
「これから始まる先の見えぬ現実」ではなく
「Pと過ごしてきた日々」つまりプロデュース終盤で
伊織が過去を振り返るという形になるわけです。
その場合も日々は希望より不安の方が大きく、彼女にとって現実は
やはり「闇」だったといえると思います。
「嵐」は伊織のかき乱される感情で、
「終わり=プロデュース終了」が近づき、目覚めた狂気は
やはり「恋心」しかありません。それは認め難く、
理詰めで納得できるものではない。だからこそ狂気。
恋心を言葉にして伝えるのは恐ろしいことです。
特に伊織のたったひとりの理解者であるPに告白することは。
もし受け入れられなかったら全てが壊れ、またひとりぼっちに
戻ってしまうのですから。

 月は伊織の心です。揺れ惑い、しかし落ちる。
止められない狂気。本能の暴走ですね。
そうやって彼女が紡ぎ出した愛の言葉は、
どんなにトゲがあってもバラの香りより甘いのですよ。

 なぜ「伊織でこの作品」なのかと、闇の兎については
「弱い伊織ver」とだいたい同じです。
兎は伊織の心の番人で、
「ツミ」は「しがないPと恋に落ちること」になるでしょうか。

 全体的に「強い伊織ver」の方がしっくりくるのではないかと。
でも宇宙に1人ぐらい弱いverの賛同者がいるんじゃないかなあ?


 最後にひと言。 ふぅ……真がいなかったら即死だったぜ

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/cha73/510378

コメントする

名前
URL
 
  絵文字