2016年08月16日

夢を与える男の話

 先日のタイに行ってきた、東部のブリーラムという田舎町に行き、ブリーラム・ユナイテッドのアフシン・ゴトビ監督とお会いしてきました。実は、ゴトビ監督からは日本全体を揺るがしかねない大スクープを預かっています。たぶん、来月初頭くらいには発表できるでしょう。

 さて、ゴトビ監督はかつて日本でも清水エスパルスで監督を務めておられましたが、今年からはタイにいるわけです。当然というべきか、タイ語は話せません。したがって、通訳がいつもついています。

 私はプレスパスをもらって試合後の監督記者会見にも行きました。私もタイ語は文字通り一言もわかりませんが、職業柄通訳者がいい仕事をしているかどうかは言葉がわからなくてもすぐにわかります。かなり若い方ですが、非常に有能な人材であることがすぐにわかりました。

 試合翌日に監督と対面した私はそのことを伝えました。

  私「あなたの通訳は相当にできる人物ですね。どうやって見つけたのですか?」 
 監督「私が見つけたのではない。クラブが事前に任命していた。私の前にはエリクソンの通訳もやっていたとのことだが、君の言う通り大変優秀な男だ。今は二十代後半だが、将来はモウリーニョになりたいとのことだ」

 この言葉を聞いて思いました。モウリーニョ監督に毀誉褒貶があるのは誰もが知る通りです。しかし、一つだけ誰にも否定できない事実があります。「この男が、全世界の通訳者にとって希望の星となっている」ということです。前にも言いましたが、私は「翻訳者のイチロー」と呼ばれても嬉しくありません。凄腕の外科医か何かが「手術室のタカ大丸」とでも呼ばれるほうがよほど嬉しいです。そして、50代前半のイラン系アメリカ人と30代後半の日本人がタイで交わした対話で「次のモウリーニョ」といえば何を指しているのか言わなくてもわかる、これが男の目指すべき究極の姿ではないでしょうか。

 10年後くらいに、「あの男は次のタカ大丸を目指している」と言うのが通り相場になっているのが、私の一つの目標です。
 あの日、監督と私は直接二人だけで対話しましたので、この場にかの通訳君はいませんでした。私は、まだ名前も知らないあのゴトビ監督の通訳が15年後に「タイのモウリーニョ」になっていることを確信しています。

chairmantaka at 18:38│Comments(0)TrackBack(0)

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
Archives