こんにちは！佐渡の本間です。
１２月２日（日）大崎活性化センターで催される大崎そばの会に行った。大崎そばの会は今年で３５年目となる（１９７８年１２月１７日が最初）
（０７年１１月２９日号「歴史スポット：大崎そば」）。
当初は地元主体の年１回だが、評判になって口コミを通じて近隣町村に知られ、そして島内各地に伝わり（近年は、島外からのお客もいる）、それに伴い回数も増え、近年は１１月最終と１２月最初の土・日の計４回開催が恒例となっており、今年は更に２月５日（日）に行われたので、当日は今年で５回目・最終会となった。
そばの会といっても、蕎麦を食べるだけでなく地元大崎に伝わる郷土芸能を楽しみながら地元料理を味わっていただく趣向で、それが大崎そばの会の特徴。料金は税込み２，０００円、電話による予約申込制。時間は、１２：００〜１６：００。
私の場合 今回で２回目の出席となる（０７年１１月２７日号「佐渡の風景３５：大崎そばの会」）。
今回の目的は、大崎にしかないチョボクリなどの芸能を知り 何故それらが大崎に残っているのかをつかむことにあった。なお大崎は、田んぼ少なく羽茂川が流れる中山間地にあり、０９年３月末住民基本台帳によれば８０世帯・人口２２８人の集落。
当日８：４０両津埠頭発南線佐和田行きバスに吾潟から乗って 真野新町で小木行きバスに乗り換え、小泊中山で下車。そこには、１０：１０前後になるだろうということで前日予約してタクシーが待機していた。中山から川茂方向への山沿い道を１０分近く走ると眼下に大崎集落が見え、１０：２０過ぎ頃には会場に着いた。なお、帰りのバス時刻との関係でタクシー運転手には、１４：００に出発することで予約。
１２：００開始には９０分ある。座席指定は経験済みで １１：３０過ぎには受付を済ますとして残り１時間をどう過ごすかとなる。幸い天候晴、目論んでいた通り大崎芸能にゆかりがあると思っていた所を再訪した。
１．大崎芸能ゆかりの地
（１）法乗坊のエドヒガン 
�ー�齢２７０〜２８０年からして、１７４０年には誕生。樹高２１ｍ、枝張りは東西南北とも２６ｍで近くを流れる羽茂川の真上まで枝を伸ばしている。
��宮本坊の住職が、法乗坊に隠居し諸国行脚の際吉野で３本の苗木を買って帰り、３ヶ所に植えたもののうち、この一本だけが残ったとされる。所有・管理者は、宮本寺。
�８鼎�から「法乗坊の種蒔き桜」と呼ばれて農作業の目安にしたり、憩いの場所として親しまれてきた。４月１５日は桜念仏が行われ、１９６５年頃まではそばを集めて「そば人形」が上演された。今でも花見は有名で、夜はライトアップされる。
（０８年１０月２１日号「佐渡の生物２８：大木（１０）法乗坊のエドヒガン」）
（２）白山神社能舞台
� 岷�茂の能は幕末、天保の頃大崎の葛原五兵衛（文化元年１８０４〜弘化２年１８４５）が、潟上の本間大夫に学び、後に江戸の宝生大夫について芸を深めて帰国し、多数の門人を育てたに始まる」（『近現代の羽茂』）。
�■隠牽僑廓�「社人届定能場控」に記されていることから、その頃には白山神社に能舞台が建てられていた可能性が高い。
�ぁ愃甘呂稜汁函戮留蘿週�録に４件が載り、そのうち１件の大正中頃（８年とする）の大崎能の写真には、見物客で一杯で盛況な様が写っている。最新の１件は昭和３９年３月１５日で報恩山宮本寺（報恩寺と宮本坊の両寺が合併）開基祝能、舟弁慶：後藤忠一郎・百畑丈雄 石橋：中嶋武雄・福永晴・早川要 とある。
（１０年６月２２日号「佐渡の能楽：能舞台巡り（羽茂地区））
�じ什澆稜宿饌罎六箸錣譴討�らず、舞台正面の戸が一部破れたまま野ざらし状態になっている。
（３）宮本寺
�ゝ榾椹�は、人形寺と呼ばれた。前住職 故本間敞政氏は、文弥人形のカシラ（頭）づくりの達人。ご当人は、文弥語りや人形使いもせず専らカシラづくりで、人形に魂を入れ込むため文弥節のテープを聴きながら刻み ３，０００体は作ったという。人にくれたため今は残っていない。同寺の温室にはサボテンが1500種類ほど栽培されていることから、現在サボテン寺と呼び親しまれている。
��大崎には、文弥人形芝居をする大崎座がある。宮本寺の現住職 本間敞詮氏は大崎座の太夫で、且つチョボクリの語り役を務めるなど地元芸能の伝承に貢献。寺の中へ入ったところ本堂前に住職がおられ、挨拶方々お伺いもした。現在、座員は７名とのこと。一番期待して来たチョボクリは１４時近くになるかもしれないということを先ほど関係者から聞き、何とか早くできないかと頼んだところ 自分が担当しているから可能とのことであった。（なお、演目スケジュールがお客に公表されているものであれば 出来ない話である）
a．佐渡文弥人形は、明治初期誕生し創始者が大崎出身の大崎屋松之助（１８１８〜１８８４）であることは通説。
ァ．天保の末頃（１８４０〜１８４３）、大崎の木戸場、甚太郎、兵衛（松之助のこと）、三郎、小沢の５人が伊勢参りの折、上方から人形を習ってきたという。
「この５人他国に行き見て直ちに其の技を全得し、手製の人形に渋紙の衣装などを着せ、萓薦を幕の代用として行いたり。当時の太夫（語り手）は兵衛の多聞なり、その後川口宇兵衛出て人形を巧に刻み、美服調へ操縦の技も一段の進歩を加えて、・・・」（『大崎村誌』。後掲）。
ィ．松之助は、通称「多聞」といい大崎の兵衛に生まれ、長じて同所の平内牧という農家へ婿養子に行き、１人男子を持ったが 人形に没頭したため離縁となり、２９歳で小木の大崎屋先代の養子に入った。
ゥ．松之助はザルを作っていたが、冬は家の２階に人形の舞台を作って常設興行をしていた。番所役人も見物に来たので高桟敷を設けた。人形のカシラも刻んだ。大崎活性化センターには、松之助の作った人形が展示されている。
（０７年９月１２日号「文弥人形３：大崎座」、同１０月１３日号「人形９：役者（使い手））
b．活性化センター前の県道脇に大崎屋松之助に碑があることを、後日『近現代の羽茂』で知った。「常念心観真士 文弥節遣人形元祖之碑 俗称 大崎屋松之助 大正７年８月１０日建之 発起人 小倉 新田伊作 黒山 藤井良蔵 下端 中川伝平」と刻まれているとある。通った時見たであろうが、関心は今回チョボクリにあったためそのまま通り過ぎたに違いない。
（４）長塚節 文学碑
�‖膾蠅烹幹陲△訝罎裡唄陲如�第2文学碑（大崎活性化センター横）に当る。
��長塚節（１８７９〜１９１５）は、２８歳の年の１９０４年（明治３９）８月２４日から東北・越後・上州への一連の旅をした。佐渡へは９月１４日に新潟からの船で夷泊。その後金北山登山、相川金山見学、そして真野御陵参拝して１７日に小木泊。１８日は 佐渡へ渡った時船と夷港の宿で一緒になって知り合いとなった大崎の博労（ばくろう）の平内宅を尋ねる約束をしたことから、大崎へ向った。
「街道は小山の間に入る。羽茂川に添うて行くと少しばかりの青田があつて青田へは小さな瀧が落ち込んで居る。瀧の側からは杉の大木が聳えて其杉の木には蝋が流れたやうに藤の實の莢が夥しく垂れて居る。丁度そこへ來かゝつた老人が頻りに合掌して其瀧を拜んで居る。余は此老人に大崎はまだ遠いかと聞いたらウン此かこれは御來迎の瀧だといつた。老人は耳が遠いのである。大崎の博勞の家はまだ遠いのかと大きな聲でいつたら老人はにこ／＼笑ひながら此から少し先へ行けば大崎になる。牛でも買に來たか、まだ二十にはなるまい、能う來たのうといひ捨てゝ去つた。羽茂川に添うたまゝ街道は狹い峽間になる。羽茂川に添うたまゝ街道は狹い峽間になる。路傍に大桶へ箍を打つて居る桶屋があつたので聞いて見ると博勞の家ならば後へ戻つて坂の上の高い所に見えるのがさうだといつた」（長塚節『佐渡が島』より）
その後 博労に案内され赤泊へ向って行くと赤泊・禅長寺に能があるらしく、連れられて行って見物し、赤泊の宿で同宿。１９日は越後の博労の牛を積んだ船に乗せてもらい（事前に世話してもらった）、風向きの影響で柏崎でなく寺泊に着いた。（旅の日程・日付は、「東北物語伝承館 東北紀行 長塚 節」サイトを基にいたが、日に矛盾があったので、本文とも整合性がとれるよう推断）
��佐渡での体験を基に書いた紀行小説『佐渡が島』は高浜虚子・夏目漱石から絶賛され、長塚節の名作『土』が一流新聞に掲載される契機となった。
１）佐渡弁あり、写実性に富む。また、今日貴重な史料となる事柄が随所にある。
例：軍談師
「村へおりると穢い家ばかりで中に一軒夫婦で網糸のやうなものを縒つて居る所があつた。そこで土地の名を聞いたら亭主が皺嗄れた声で西三河といふ所だといつた。ふと檐端を見ると板看板に五色軍談営業と書いてある。軍談師が内職に糸を縒つて居るので軍談師だから声が変なのだと思つた。夫でも五色軍談が了解されぬので再び聞いて見ると三味線なしで語るのが只の軍談で三味線のはひるのが五色軍談だといつた。余は更にそれでは此の女房が三味線を彈くのだなと心の中に思つた」
軍談師という職業は、明治時代にあった。単なる軍談語りは「ただの軍談」、三味線付きが「五色軍談」。ここまで来るとおそらく職業統計には無く、産業史でも「軍談師業」一般で済ませるかもしれない。西三川という当時おそらく１００軒もない漁村でも、「軍談営業」の看板を出している所があった。勿論、農業・漁業等兼業でなければ成り立たない。小説の中で、旅人は三味線は女房が弾くと思ったとあるが、語りも三味線も同一人というのが古くからある浄瑠璃の原点。「思った」ことは事実で、何も間違いではない。むしろ、貴重な事柄が記述され 歴史的には非常に価値ある文面になっている。
２）小説に出てくる「博勞」「平内さん」は、平内歌次という実在人物で、一時平内家の婿養子に入った文弥人形創業者・大崎屋松之助の子供。
２．大崎そばの会 当日の演目
（１）文弥人形『国性爺合戦』「柳歌君奮戦の場」
１）『国性爺合戦』（こくせんやかっせん）は、近松門左衛門の人形浄瑠璃代表作の一つ。１７１５年大坂竹本座で初演。非常な人気で、初演から17ヶ月続演の記録を立てた。
２）内容は、江戸時代初期、中国人を父に、日本人を母に持ち、台湾を拠点に明朝の復興運動を行った鄭成功（国性爺）を題材に脚色。
３）「柳歌君奮戦の場」は『合戦』全五段の中の一段目の終わりに位置。舞台は中国。韃靼（だったん）国が明を属国にしようといろいろ圧力をかけてきた。その一つが、皇帝の妃あるいは妹を賜れとの強要。柳歌君（呉三柱の妻）が、栴檀皇女（明朝１７代皇帝の妹）を奪い去ろうとして攻めてきた韃靼軍に柳歌君（呉三足柱の妻）が奮戦して守り、皇女は無事海に逃れるという場面。二段目は、日本の平戸に着いた所から始まる。
（２）チョボクリ
由来等について２つの書籍から転載する。
� 惷畍渋紊留�茂』（１９９８年刊）「チョボクリ」
大崎に伝えられてきたチョボクリは、正しくはチョボクレといい、江戸時代中期以前に関西から始まった大道芸だといわれる。仲間には祭文語り（デロレン祭文）、阿呆陀羅経等があって江戸ではこれらを総称して浪花節（浮かれ節）と呼び、またチョンガレ節といい、やがて浪曲に成長して行ったといわれる。長い語り文句が特徴である。
大崎へは明治３０年ころ、北海道への移住や屯田兵に行っていた人が帰ってきて教えたという。明治３２年（１８９９）生まれの大山満蔵は、明治３０年代の末ころ、大場鉄蔵（慶応元年生まれ）と本間治吉（明治３年生まれ）の２人が踊っていた記憶があるという。そのころから大正期にかけて広く普及し、酒が出れば板の間や囲炉裏縁（いろりぶち）をたたき、畳半畳のひろさがあればすぐチョボクリを踊ったものだという。
中断していて復活したのは昭和３９年のことで、宮本寺に台本が残っていたことと、文弥人形の遣い手の葛原五兵衛の記憶があったこと、本間敞政住職の努力等で再現することができた。そのときの地方（ぢかた）は大山満蔵、立ち方は平内鍵太郎の名コンビであった。なお、昭和５３年以来、毎年の「大崎そばの会」に上演することによって地域に定着してきた。
昭和５９年４月１８日、畑野町の長谷寺の開帳に上演したとき、大道芸の研究者小沢正一氏は「これだけ文句のまとまっているものは他に知らない。文句の中に『聞いてもくんない』という文句が入っていることは、正統性を物語っている」と語られた。
地方と立ち方
もともと、ちょぼくりは大道芸であったといわれるが、大崎では地方は机に向って座し、机を拍子木で打って調子を取りながら歌う。
立ち方は、地方が歌い始めると静かに出て来る。衣装は文句にあるように、黒い破れ衣に一文字笠。腰の一升徳利を「八升九升飲み流す」で、手に取って飲む。「おっと変って」からテンポが早くなると、踊りも曲に乗って軽快になり、文句に合ったユーモラスな踊り方が連続して展開される。最後は文句の通り、雲を霞と逃げ込んで行く。
《歌詞》
東西、東西、東西。
ただ今相勤めまするは、江戸時代の芸当、願人坊ちょぼくりの手踊り、早速、始まり左様。トウ、トウ、トウ、トウ、来たれや来たれ。男、裸で百貫貫匁、土用も寒さも、わしゃ苦にゃならぬ。お門に立ちたる一文字、見離されたる破れ衣、浮世をめぐる道楽爺、八升九升を飲み流す。
おっと変って、ちょっと、ちょぼくりかけべえが、そもそも、わっちが、すっぺらぽんのぬっぺらぽんの坊主となったる、いわく因縁、聞いてもくんない。しかも、１４のその春初めて、裏のかみさん、椎茸さんに、お松さんに、干瓢（かんぴょう）さんと、触り次第にお手てん枕に、ねったあげくに、女郎と出掛けた。やあれやあれ、畜生奴（ちくしょうめ）、その場をやらかせ、手練手管（てれんれくだ）に、がらァりはまって、すべってのめって、うちにかたときゃ、おえどもすわらず、お舟じゃあぶない、お駕籠で来なさい。ソッ ソッ その時文那が下のおおじゃれに、ついでに悪玉踊りはどうじゃいな。ハハハー、どうじゃいな。道具・薬缶に、鍋、釜、へっつい、擂鉢か、すりこぎか、ついでに女（おなご）はどうじゃいな。ハハハー、どうじゃいな、おらが隣の、そのまた隣の、一軒、二軒、三軒目の、いたずら娘の、おカヨという子が、２文団子横ちょにくわえて、昨日今日まで、ねんね子守りしていたのんが、にわかに色気が付きかかり、食い気と寝相（ねぞう）がさっぱりしらばけ、銀のかんざい鼈甲（べっこう）のかんざしや、八頭（はっとう）むきだが、真鍮（しんちゅう）のかんざしゃ、頭痛がするよだ、鉄のかんざしゃ火箸（ひばし）ようだが、蝶々（ちょうちょ）のかんざしゃ飛び立つようだよ。椿の油や菜種の油を、流行（はやり）の頭髪（あたま）にこてこて塗り付け、鏡に向こうて化粧を始めた。イヤハヤ、これでは坊主も、むっきにたまらぬ。とんび烏（からす）にわしゃなるならば、飛んで行こうも、浮身の寒さ、源八和尚は雲をやみ、足にまかせて走り行く。
�◆愼�本の民俗芸能調査報告書集成 中部地方』（２００５年１０月刊）「大崎のちょぼくり」
一、伝承地
佐渡郡羽茂町大崎（佐渡郡羽茂村大崎）。農業中心の集落で、現在の戸数は９２戸。佐渡の南部、羽茂町のほぼ東北部に位置する。地形はおよそ長方形。山里の村で、柿・みかん・椎茸なども産出する。小佐渡山脈の経塚山（きょうづか・さん：６６３ｍ）から流れ出る羽茂川が、集落の中を貫流している。
二、上演の時期及び場所
演じられる期日や場所に決まりはないが、現在、大崎では、１２月第一日曜日は、公民館で行われる新蕎麦の会で、必ず演じられている。かっては、祝いの席に呼ばれて、民家の座敷等で演じられることが多かった。現在は座敷芸として、舞台で行われることが多い。
三、芸能の概要
ユーモアたっぷりの大道芸である。明治２０年（１８９７）頃、この地から北海道に渡った者が、北海道でこの芸を習い、帰村した際に伝えたといわれている。ｓどのため、佐渡にはこれに似た芸はない。
「ちょぼくり」の語源に関しては、以下のような話しが伝えられている。江戸の中頃、比叡山の若坊主が訴願のため江戸に遣（つか）わされた。しかし、訴願はかなわず、路銀も底をつき、とうとう物もらいになってしまった。若坊主は破れ衣に身をまとい、どんぶり笠を被り、江戸市中をもらい歩きをした。このように物もらいになった坊主を、江戸市中の人々は願人坊（がんじんぼう）と呼んだ。
願人坊は数多くいたが、その中の一人に「千代保久利（つちよぼくり）・加恵兵衛（かけべえ）」という坊主がいた。この坊主は、歌を歌い、拍子をとり、拍子に合わせて踊るのがうまく、物もらいの名人であった。この千代保久利・加恵兵衛が、「ちょぼくり」の語源になった、というのである。
現在、この芸は、語らいと踊り手の２人によって伝えられている。語らいの役を石淵巳之八（大正６年・１９１７生まれ）が、踊り手の役を広嶋源市（昭和７年・１９３２生まれ）が行っている。
語らいは裃袴（かみしもばかま）を着て、語りながら俎（まないた）を拍子木や火箸で叩く。踊り手はどんぶり笠を被り、頬被りをし、破れ衣を着て、股引（ももひき）の上に褌（「ふんどし）を付け、草鞋（わらじ）をはき、帯には徳利をぶら下げる。さらに、硬貨を入れた茶碗を手手拭いで包んだものを右手に持って、音を立てながら踊る。ちょぼくりの文句は、次の通りであるが、演目・歌詞ともに一つしかない。
東西、東西、東西
只今相勤めまするは、江戸ｊ時代の芸当、願人ちょぼくりの手踊り、・・・・。（以下略）
記録・文献：『山里お人々』佐藤利夫他、大崎郷土史研究会 昭和５７年
（山本修巳）
（３）鳥刺し
小鳥は、長い竿の先端に鳥黐（もち）を塗った黐竿（もちざお）で「刺し」（くっつけ）て捕らえた。無言のまま２分ほどで終了する素朴な寸劇。
（４）蟹（かに）舞い
蟹が出てきてカラスのような鳥が登場。同じく無言劇で数分で終了。
（５）出雲節
トンボ、チョウ、ムカデ登場。ムカデは手で糸を操ることによって動いている。出雲節は、その昔 出雲から北前船で伝わったのだろうとされる。
無言劇で、同じ。
（６）大崎ハンヤ
物語の筋はわからないが、かあちゃん・あねさんが踊っているところに褌（ふんどし）姿の一人男が現れて 歓待され いろいろな料理が振る舞われ竜宮城の浦島太郎のような待遇を受けるが、やがて見捨てられその後を追って幕 のように感じられる。
（７）お漫才
語りと囃子・太鼓打ち（拍子＝調子取り）のコンビ。
（８）相撲甚句
かあちゃんたちが、一人づつ四股名をあげて登場し、甚句を踊る。
（９）チアサ （甚句と踊り）
（歌詞：聞き間違いは、若干あるだろう）
花の羽茂を甚句でとえば マルダイ味噌ややまか味噌
マルハの名を得たおけさ柿 設備ととのう選果場
・・・・・・・・・・
昔を残す山里に
文弥の元祖松之助
舞とちょぼくり江戸時代
石臼ずりの手打ちそば 心かかよわすそばの会
いくよ久しき末永く 通う心のある限り
（「当日の演目」は以上。次に続く）
