2019年08月09日


超久しぶりにブログを書きます。
ひどいひどいと言われていた映画「ドラゴンクエスト YOUR STORY」を覚悟の上で見に行ったら、その覚悟をはるかに上回るひどさだったという話です。
以下、映画の内容のネタバレを含みます。もちろん誉めていないので、「ユアストーリー最高!」という方は見ないことを強くおすすめします。







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「VR ドラゴンクエスト YOUR STORY」レビュー
タイトル:ラストリベリオンVRならOK
評価:★☆☆☆☆

良かった点

・グラフィックは良い。人間キャラが鳥山デザインではないのが気になるが、慣れるは慣れる。ビアンカとフローラもかわいかった。

・声優も悪くはない。俳優を起用すると発表された時は不安だったが、おおむね良かった。

悪かった点

・人間キャラのデザインが鳥山デザインではないどころか、もろにベイマックス。そのくせスライムやブオーンは鳥山デザインのままなので違和感。

・町や城はほぼ全てカット。「民家」というものがパパスと主人公の住む家ぐらいしかない。なぜかセントベレス山のふもとに普通の町があるが、そこも酒場ぐらいしか出入りできない。あとはルドマン邸、サラボナの宿屋ぐらいしか入れる建物がない。ラインハットは外観のみ。

・ダンジョンは全てカット。レヌール城も、サンタローズの洞窟も、神の塔も、妖精の森も、ボブルの塔も、大神殿も、エビルマウンテンも、一つも出てこない。そもそも上記のように入れる建物が極端に少ないので、探索という概念自体がない。町や城がほとんどなく人もいないという点で、「ラストリベリオン」を思い起こさせる。

・ストーリーの大幅カット。アトラクションという性質上プレイ時間の限られている参加者向けに、少年時代をスキップできる機能があるのはわかる。が、その他のストーリーもほぼ端折られている。

・キャラクターの大幅な改変。ヘンリーは嫌なやつで、主人公は奴隷生活を経てもヘンリーに敬語のまま。ビアンカは頼れるお姉さんではなく(そもそも主人公が「お前」呼ばわりしていたので年上設定も消えている可能性あり)、ただ口うるさく気の強い女性といった印象。町や城がほぼカットされている影響はここにもあり、グランバニアの城が出てこないのでパパスは王ではなく、主人公はグランバニア王子ではない。エルヘブンが出てこないのでマーサは天空の血を引く女性。その息子である主人公も、結婚相手のビアンカも天空の血を引いているので、特別な人間イコール天空人になっている。そして天空城も出てこないので、天空人というのがどういう存在なのか、何一つわからないままストーリーが終わる。

・ゲームシステムの改変。雑魚との戦闘がなくイベント戦闘のみ。自分で操作する戦闘がなく、レベルアップの概念もない。町や城がないのでゴールドもなく、買い物もない。装備は武器のみで、主人公はかしのつえ→パパスの剣、ビアンカはいかづちのつえ、息子はてんくうのつるぎで固定。鎧、盾、兜、装飾品の類は全てなし。

・仲間モンスターシステムの大幅なカット。主人公にモンスターと心を通わせられる設定がなく、雑魚との戦闘がないので起き上がりなし。仲間になるモンスターはスラリン、ベビーパンサー、ブオーンのみ。しかもブオーンは仲間になった描写はあるもののすぐどこかへいなくなり、最後のイベント戦闘に駆け付けるだけ。ドラクエ6のDSリメイクで仲間モンスターを大半カットしてスライム系のみにした時に大不評だったことを忘れたのだろうか。

上に挙げた改変についてはまだ許容できる。ドラクエ5をVRアトラクションにする以上、ストーリーも自由に歩き回れる範囲も制限されるのは仕方ないと思うからだ。実際、ストーリーをリアルに「体感する」ということに限って言えばそれなりの価値があるアトラクションかもしれない。

が、一番大きな問題は、元のゲームから追加されているセリフがどれも非常に陳腐で没入感を妨げていることだ。

4から6はリメイクの時に仲間会話が追加されたが、キャラのイメージに合っていないと思うユーザーもいたと言われる。このアトラクションのセリフは、それよりはるかに軽くて薄くて不自然だ。全体的に軽いので、もしかしたら同じスクエニの「ブレイブリーセカンド」のチームが参加しているのかもしれないと思ったが、クリア後のエンドロールにはそれらしき名前はなかった。

たとえばパパスが死ぬ名シーン。
原作ゲームでは、主人公を人質に取られてジャミとゴンズに痛めつけられたパパスがそれでも立ち上がって、気を失っている主人公に「お前の母さんはまだ生きているはずだ。私に変わってマーサを……」と言いかけたところにゲマが火球を放つ。そして「ぬわーーーっ」という叫び声を残してパパスは跡形もなく消えてしまう。

一方このアトラクションでは、ゲマにとどめを刺されそうになったパパスが主人公に向かって「主人公、頼む……」と言う。そしてゲマが火球を叩きつけて、パパスは焼かれる。それでも息があるので、主人公は駆け寄る。するとパパスは主人公に「お前の母さんは生きている」と言い残すのである。
この改変には何か効果があるのだろうか?「主人公、頼む……」だけで死んだら何を頼むのかさっぱりわからないので、何も言い残していないも同然だ。パパス自身が火球で焼かれた後もまだ何か言う余裕が残っているとわかっていてこういう言い方をしているように見えるのである。

要はこのセリフを書いたライター自身が、何を思ったかパパスの最後の言葉をゲマの火球の前後に分けようと思い、そのライターの手によるパパスのセリフも、前後に分けるという前提のもとで書かれているだけなのである。

終始こんな感じで、このアトラクションのセリフは「ライターのわかっていること」を観客に伝えるための記号として書かれているだけという印象を受ける。そのため普通の人間が言わないような言い回しや単語が頻出していて、そのキャラクターたちが生きていると実感することは到底できない。

ビアンカと協力してブオーンを倒すシーンも、ルドマン家の財宝が盾ではなくてんくうのつるぎになっていて、それがブオーンに奪われたという改変はまだいい。が、ブオーンの元からてんくうのつるぎを奪い返した主人公が、「ブオーン、今からお前にこのてんくうのつるぎを食らわせてやるー!」と叫ぶのはいただけない。なんだその宣言は。百歩譲って何か宣言するにしても「今からお前にこのてんくうのつるぎを食らわせてやる」と言うだろうか。口を動かして言ってみてほしい。

また、一度フローラに求婚したもののビアンカと結婚することにした主人公にルドマンが言う、「お前はわしの逆鱗に触れたということにしておこう」というセリフも不可解だ。「逆鱗に触れたということにしておこう」なんて言うか?これも口を動かして言ってみてほしい。すこぶる言いにくいセリフだ。「お前がわしを怒らせたということにしておこう」で十分だ。
ただ、これはおそらく「ブオーンを倒した者はルドマン家の跡継ぎになる」と言ってブオーンを退治する猛者を集めていたのになぜ主人公はフローラと結婚しなかったのかというサラボナの住民たちへの言い訳を決めておこうという意味なのだろうが、それも何で怒らせたのかまで決めておかないと口裏を合わせたことにはならないのではないだろうか。

繰り返すが、終始こんな感じである。オミットされたキャラクター、ストーリー、設定、システムが多々あるのは仕方ないが、残されたキャラもストーリーも至って薄いのでもはやストーリーは跡形のないものとなっていて没入しようがない。

VRアトラクションとはいえ、ドラゴンクエストという名前で出すのであれば、テキストもそれなりのクオリティにしてほしかった。

以上はゲーム内容についての評価だが、このアトラクション自体にも大きな問題が起きた。SNSなどでも話題になっているが、アトラクションのシステムがハッキングされて、ミルドラースの出現部分以降を改変されたプレイヤーがいるという。

SNSに上がったレポだと、そのミルドラースは白い仮面をかぶった全身タイツのような格好をしていて、「天才プログラマーが作ったウイルス」と自称して、VRの世界がただのプログラムであることを話し、VRのプレイヤーに「大人になれ」と言ってきたらしい。その時、どこからともなくスラリンが現れて、「俺はこのゲームに用意されていたアンチウイルスプログラムだ!」と名乗り、その場でワクチンを生成したという。ロトの剣の形になったワクチンでミルドラースを退治して、そこからは普通のエンディングが始まったということだ。

そもそもハッキングされるとなるとこのアトラクションのセキュリティに不安がある。プレーを始める前に全身を3Dスキャンされるが、そのデータも筐体に残っていて流出しているのではないだろうか。予約の時に入力した個人情報も筐体に入っているかもしれない。

また、通常であれば係員が異変を察知してその時点でゲームを止めるべきだと思うが、なぜプレイヤー自身が対処することになったのか。スラリンが「用意されていたアンチウイルスプログラム」だと言うのなら、スタッフは最初からハッキングされるのを想定していたということだろうか。

第一、このハッカーというものの存在も非常に怪しい。同時接続しているプレイヤーが2名しかいないアトラクションをハッキングした上、自分で「天才プログラマー」と名乗り、「大人になれ」と言ってくるとは、正直痛々しくてたまらない。今どきゲームをしている人間に「大人になれ」が刺さると思っている時点で天才でも何でもない。天才の割にはミルドラースのデザインを構築し直すことを放棄しているのも不自然だ。
MMORPGの広場のど真ん中とか、スマホゲームに熱中する大人がたくさんいる電車の車内とかそういった場所で「こんなのただのゲームだ、大人になれ」と叫ぶ方がよほど大勢に伝わるのではないだろうか。

そういったわけで、SNS上ではこのハッカーのハッキングとスラリンというアンチウイルスの存在自体が、最初からアトラクションに仕込まれていたものではないかと言われている。
もともとこういう展開になるルートは用意されていたものの、没になってそのデータだけが残っていて、何かのバグでこのプレイヤーの回にだけそのルートが現れたのではないかということだ(ファミコン版のドラクエ4で没になったモンスターがある場面でだけ現れたように)。

だとしたら没にした判断は大正解だと思う。スーファミ版の発売からこれだけの時間が経ってわざわざVRアトラクションに参加するような熱心なドラクエファンのプレイヤーに「大人になれ」と言うのは、たとえその後アンチウイルスプログラムが現れてその相手を倒せるとしても、ワクチンがロトの剣の形をしているのがスタッフにとってはファンサービスのつもりなのだとしても、あまり受け入れられるものではないだろう。

ただ、一度はこのような展開を考えて、没データとはいえアトラクションの中に残しておいたこと自体、プレイヤーに対するスタッフの姿勢が疑われることは間違いない。
今のドラクエのスタッフは、ゲームというものを、物語というものをどう考えているのか。
最初に挙げたストーリーの壊滅的な薄さとこの没データ(?)の存在を合わせて考えると、プレイヤーは今後のドラクエを信用することができなくなってしまうのではないだろうか。

今はコンシューマゲームよりもスマホゲームの方がはるかに売り上げを上げている。
ドラクエもいろいろなスマホゲームを出していて、買い切りのゲームだけではなく基本無料のいわゆるガチャゲーも多くあるが、自分たちの使ったお金が面白いコンシューマゲームを開発するための資金になると信じてガチャを回しているプレイヤーも少なくない。

が、ガチャに使ったお金がこんな薄っぺらい、物語やゲームをする人そのものをバカにするようなアトラクションに投じられたのなら、こんなに空しいことはない。

このアトラクションのプレイ料金は1800円だが、それならもう少し足して10連ガチャでも回した方が有意義なような気がしてしまう。
薄いセリフに薄いストーリー、挙句の果てに薄ら寒い「ハッカーとウイルス」などという展開が用意されるような作品をプレイするぐらいなら、ポチポチとスマホゲームに興じていた方がマシだ。
でもラストリベリオンならあの薄いストーリーをそのまま持ってきてもボリューム的に問題はないと思うから、このエンジンを使ってラストリベリオンVRをプレイしたいという気持ちは少しある。


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っていうレビューが存在する世界の話ですよね、あの映画は。

オチがひどいひどいと聞いて覚悟して見に行ったんですが、オチに至るまでの何もかもが全部ひどかったです。根本的にセリフのテキストがひどくて見れたもんじゃないって誰か教えてくださいよ〜。

最初の方の何かのシーンで「あ、これはリレー小説レベルのシナリオだ」って気付いて、そこから本当にひどいセリフのオンパレードだったから、もう1時間ぐらい経ったところで席立って帰ろうかと思いましたよ。

リレー小説ってある、というかあったじゃないですか。何人かで小説を一行ずつ書いて、前の行に続けて書いたり、逆に話をとんでもない方向にやったりして楽しむみたいな。
ドラマとか映画を見ていると、あれと同じレベルのシナリオって結構あるんですね。シナリオの全部の行に連続性がなくて、本当に同じ人が書いているのかと疑問になるやつ。そのキャラがどういう性格なのかわからない、心の動きがわからない、前にあったような展開を受けたセリフがない。ただ「こういう場面ならこういうセリフだろうな」っていう惰性で書いているセリフで、字で見たらそんなにおかしくないけど映像で見たら違和感しか感じないっていうやつです。

最近だと、「IQ246」っていうドラマがザ・リレー小説ドラマだったんですよ。誰が何を知っているとか、この人はこうするはずとか、そういう前提が何もなく、みんなその場で思いついた適当なセリフを言ってるだけ。宿敵を追い詰めたはずなのに、ちょっとアクシデントがあったらみんな気を取られて宿敵が普通にいなくなってたり。

惰性で書くとどうなるかというと、変な言い回しが増えるんですよ。上に書いた「お前にこのてんくうのつるぎを食らわせてやるー!」もそうだし、「お前がわしの逆鱗に触れたということにしておこう」もそうだし。

パパスが「リュカ、そろそろ旅に出るぞ」って言うんですよ。あと何日かで旅に出るぞという意味ならわかるんですが、まさに今から出発するぞっていう意味で、玄関から出てきて言うんです。つまり「そろそろスーパーに買い物に行くぞ」と同じ意味ですよ。言います?ねえ今から旅に出る時に「旅に出るぞ」って言います?

あと、熟語が増えるんですよ。妖精の村に行くシーンでプサン(元のプサンの面影もない顔かたちのじいさん。声はヤスケン)が「妖精たちは己の力のみで試練を乗り越えてきたものを評価するということだ……」みたいなことを言ってるんですが、評価?ってなるんですよ。普通に人が喋ってたら、そこで評価っていう熟語はまず出てこないと思うんですよ。「己の力で試練を乗り越えたものだけが妖精に認められるということだ」でいいじゃないですか。
「逆鱗に触れる」もそうですが、ただ惰性のまま手で書いてるから、人の口から出てくる言葉らしくならなくて、文語に近くなるというか。

そんなセリフばっかりなので、見ていて本当に嫌になってきます。
キャラデザとか表情のモーションはマジで全部ベイマックスなので、ベイマックスのヒロがちょっと大きくなってちぐはぐなセリフを言っているような場面をずーっと見せられます。

ビアンカに求婚するシーンとかめちゃくちゃ安いんですよ。タメも何もなくただセリフだけがあって、それも別にいいセリフではなくてやっすいセリフで、私の心の中のアンタッチャブルの柴田さんが「激安王だよ!」と叫んで、ザキヤマさんが「……王様じゃないか!」と返すほどです。あの「……王様じゃないか!」の前のタメって完璧ですよね。効果的なタメってああいうのですよ。

ストーリーを端折るのは仕方ないんですが、残ったストーリーもこれらのセリフによってクソアンドクソと言った趣のものにしかなっていないので、ただただ苦痛なんですよね。
ストーリー、本当に何もないんですよ。ラインハットは外観が映ってこじんまりした城と二軒ぐらいの民家が見えるだけ。サンタローズはなぜか雪に覆われてて、村はずれで隠棲してるみたいなパパスの家しか映らなくて遠くに五軒ぐらいの民家が見えるだけ。なぜかセントベレスに大きな町があるけど酒場しか映らない。あとはブオーンの襲撃を受けているサラボナ。

だから冒険してる感とか一切ないんですよ。奴隷生活から解放されて(この経緯も文字通りクソなので割愛)リュカとヘンリーでラインハットに行こうとして、門番のトムに「お前偉そうになったな」とカエルの話を持ち出して、通してもらえそうになったらリュカは「やっぱり母さんを探したいから」とか言って回れ右するんですよ。ラインハットになんて入らない。門が開いた先に広がる城下町とかそんなものは見られない。そもそも引きの画だとラインハットの小さい城と二軒の民家しかないし。「シルバニアファミリー・小さい城と二軒の民家」ですよ。

そのくせいらないカットが大量にある。サラボナでリュカが歩いてたら行く先の建物から騒がしい声が聞こえてきて、足を止めて「なんだか騒がしいな……」と呟いてまた歩き出す。そこは酒場でビアンカが大勢の人と飲んでいて、リュカはビアンカに絡まれながら二階の宿の部屋へ……っていうシーンがあるんですが、足を止めて「なんだか騒がしいな……」が完全にいらないじゃないですか。騒がしいのはこっちにも聞こえてるから、「騒がしいな」ってわざわざ言う必要がない。そもそも元からその建物に入る予定なんだから、騒がしいのが外に聞こえてる必要すらない。そこに足を向ける理由をわざわざ作る必要がないんだから。宿に戻ってドアを開けたら一階の酒場でビアンカが大勢と飲んだくれてる、でいいんですよ。こういうセリフって、「なんかセリフを書かなきゃいけないから」という理由だけで挿入されるんだと思います。

最後の戦いに駆け付けたブオーン(とヘンリー率いるラインハット軍。あの小さい城と二軒の民家がこんな人数を収容していたとは)が、空に空いた魔界の門をどうにかしようとするアルス(主人公の息子。娘の存在は大胆にもオールカット)に言うんですよ。「おでが投げるぞー!」って(ブオーンの一人称は「おで」です)。
で、アルスはブオーンに投げられて空に空いた穴にてんくうのつるぎを投げ込む(これはガイアのつるぎリスペクトですかね、ファンにはうれしい小ネタのつもりかもしれないですね)んですけど。もうかっこの中が長すぎますね。
とにかく、「おでが投げるぞー!」っていります?空を見上げてううむ……ってなってるリュカとアルスの後ろから敵を振り切ったブオーンが来て、「アルスー!」って言いながら腕を振り上げて、そこにアルスが捕まって投げてもらってすっ飛んでくとかでいいんですよ。「おでが投げるぞー!」という宣言いります?これから投げるってわざわざ言う必要あります?

だから、最後のウイルスさんとアンチウイルスプログラムさんが登場しても台無しとかがっかりという気持ちにはならなかったです。だってそれまでも超つまらないから何にも入り込めてないんだもの。入りこめてない世界が「これはゲームなのだ……」って言われてもねえ、じゃあすげえクソゲーだなという感想しかないなっていう。

しかもウイルスとアンチウイルスプログラムとワクチンって。ここまでの適当な熟語をふんだんに使った適当なセリフと同じマインドが流れた、適当なサイバーチックな言葉ですよね。これらの言葉を使っただけで「うおおおなんてリアリティがあるんだー!」ってなるかっていうと、ちょっとならない。

何がって、「IQ246」でもウイルスとワクチンが出てきたんですよ。宿敵(IQはちょうど300)が仕掛けたチャチな装置から8×4みたいな白いガスがプシューって出てきて、それが宿敵の開発した新種のウイルスなんですって。ガスにウイルスっていうのもわからないし、ウイルスのくせに潜伏期間はないらしいんですけど。
で、その場でううって苦しくなって主役の織田裕二は死んだのかと思いきや、あらかじめワクチンを開発しておいて打ってあったから大丈夫だったっていう。

いきなりウイルスが出てきてワクチンもいきなり同時に出来てて即解決するって、アレな脚本を書く人に共通した発想なんですかね。ウイルスとかワクチンとか言ったら賢そうな高度なストーリーになったぞって思うのかもしれないです。

だから「大人になれよ」も何を言ってるんだかとしか……。だってそれまでのセリフも全部ひどかったし、その延長で天才プログラマー師匠のおウイルス様もトンチキな言い回ししかしてないんだもん。
あとウイルスが「私はウイルス」って言うんですよ。アンチウイルスプログラムくん(声:山寺宏一)も「俺はアンチウイルスプログラムだ!」って言うし。ドラえもんが「ぼくドラえもん」って言ったりサザエさんが「サザエでございまーす!」って言ったりするようなもんですかね。でもちびまる子ちゃんは「あたしゃちびまる子だよ〜」とは言わないですよね。

で、ジーニーとか加地リョウジと同じ声のアンチウイルスプログラムくんがひねり出したロトの剣(天空シリーズなのにロトの剣ですよ!ここはスタッフの溢れるドラクエ愛を感じるべきポイントと思われます)をしたワクチンでおウイルス様を倒してエンディングになるんですが、世界が危機に瀕していたような描写が何一つないので、平和になりました感が一切ないんですよね。なんか崖の上からサンチョ(ケンコバ)が「ぼっちゃ〜ん、下にサンタローズが見えますよ〜」って言うだけ。見えてるからなんやねん。見えてたら平和なんか。

で、主人公が「俺は勇者だったんだ……!」っつって、映画のタイトルがバーンと出て終わり。映画の前半は主人公が天空の勇者かもしれないっていう引きが一応あって、後半で息子のアルスが勇者でしたっていう展開なので、それを受けて「自分は天空の勇者はではなかったけれど、ドナルドダックや名犬チーズと同じ声をしたアンチウイルスプログラムの力を借りてこのVRの世界を守ったプレイヤー自身はこの世界の勇者に他ならないのだ……!これこそがユア・ストーリー……!」っていうことですよね。ひえ〜〜〜〜。

一仕事終えた感を出してエンドロールが流れてくるんですが、脚本としてクレジットされてたのは監督の名前だけでしたね。

で、エンドロールの終盤で、

挿入歌「Virus」

って確か流れてきたんですよね。
たぶんおウイルス様が出てきたシーンの曲なんでしょうね。だからタイトルがVirus。でも「Virsus」だったかもしれないです。ちょっと自信はないです。

ストーリーやセリフの出来が悪いのは仕方ないと思うんですよ。それで怒るほど子どもじゃないですよ、こっちも。監督は話が来た時に断ったと言っているし、忙しいんだろうし。そもそも「STAND BY ME ドラえもん」もドラえもん大好きな私にはクソクソアンドクソな話でしたし。

ただ、映画の随所に言い訳が見え隠れしてるんですよね。

「STAND BY ME ドラえもん」も、のび太たちのデザインは漫画やアニメとは別物です。が、ドラえもんはもちろんそのままです。
そのリアルなデザインののび太くんが0点取って先生やママに怒られてると、いたたまれない気持ちになるんですよ。小学校のテストで0点取ってる子どもが本当にいたら、怒ってる場合じゃないじゃないですか。なんか別のケアをした方がいいじゃないかと思ってしまう。

あと、ドラえもんが「未来に帰りたい」と言ったら電気ショックを食らわされる設定になってるんですよ。どうかしてるじゃないですか。でも一応原作に出てきたことのある道具を使って電気ショックをやってるんです。

0点取るのも電気ショックもギャグ漫画の絵柄だから成立することであって、それをリアル寄りのデザインでやると、ただただ悲惨で残酷なんですよ。
漫画やアニメとは別物だからデザインは違う、でも漫画やアニメにあったことだから0点も電気ショックもやる。原作をどう扱うのか、矛盾しか孕んでいなかったんです。

この映画も同じように、「ゲームだから」と「ゲームとは別物だから」を巧妙に使い分けて言い訳をされてるような気持ちになるんですよね。

映画化なんて断ったのにまた頼んできやがって。
ゲームのストーリーを一本の映画にまとめるなんて無理無理。
ゲームを知ってる人しか見に来ないからセリフがめちゃくちゃでも意味は伝わるだろう。
オチはちょっとひねった方がいいだろう、だってゲームを知らない人も見に来るかもしれないし。
ゲームをやってる大人をバカにしてる?でもゲームを脅かすウイルスを倒して終わったんだからいいじゃん、バカになんてしてないよ。
町や城がないし人がいない?それはこのVRゲームがそういう設定なだけだよ。
え、ゲームを映画にしただけなのに本気で腹立ってるの?大人になりなよ。ひょっとしてウイルスが言ってたことが図星だったの?
出来が悪い?でも俺の他の映画もこんな感じだよ、わかってるなら見に来なきゃいいじゃん。知らないにしても下調べとかしてくれば?
何より、スクエニが俺に頼んだんだよ?この脚本でOKしてもらったんだよ?スクエニのお墨付きをもらってる俺に文句言うの?

そういう風に、どこまで行っても「ゲームだから」と「ゲームとは別物だから」とか、「原作があるから」と「原作とは別物だから」を使い分けながらバカにされているような気持ちになっていくんですよ。そこを突き詰めれば言い訳同士ですら矛盾していくから、本当にわけがわからない。だってVRゲームとして考えても、上に書いたレビューみたいになってしまうぐらい売り物にならないレベルのダメさなんですもの。あのオチも、面白く仕上げるためには圧倒的にそれまでの伏線もゲームの世界であることがわかってからの展開も少ない。ちゃんとやればしっかりした後味の残るものになるんですよ。

「進撃の巨人」や「鋼の錬金術師」の実写化も劇場なり配信サイトなりで見てるんですが、あれも原作あっての作品なわりに、原作を好きな人の存在を無視するどころかバカにしてるんですよね。原作を好きなのか憎みたいのかさっぱりわからない。

その点、「名探偵ピカチュウ」はいろんな不安要素があったけど、蓋を開けてみたら想像力を無限に羽ばたかせて「ポケモンがいる世界」を作っていて、さらにゲームに対する深いリスペクトも感じ取れる映画だったんですよね。
ユアストーリーみたいな映画があることで「名探偵ピカチュウ」みたいな素晴らしさのありがたみがわかるのはまあ、いいことなのかもしれないです。

限りない言い訳と侮蔑に溢れた映画を見終えて外に出てみると、世界にはそんな風に自分をバカにしてきたりしないものがたくさんあるんだ、むしろそういうものの方が多いんだと気付くことができます。

この映画を見るぐらいならスマホゲームの周回でもした方がいい、好きな野球選手が初球を引っかけて二ゴロで凡退する打席でも見た方がいい、作りかけのプラモのパーツを一つ組み立てた方がいい。

だってそれらは私のことをバカにしてはこないですから。

それに気付くことができた、それが私のSTORY……!ってんなわけあるか、じゃかあしい。

ということで以上です。




(23:45)

2017年12月04日


今年は予選を全く見に行っていませんでした。
簡単に各組の感想を。
今年は次にネタをやるコンビをその場で「笑神籤(えみくじ)」を引いて決めるというルールが導入されました。

・ゆにばーす 泊まりの営業
トップバッターながら全ウケ。どのボケもツッコミも予想をきちんと超えてきて、動きがありつつも無理やり盛り上げている感じがなくて楽しく面白い。トップバッターでなければ……ということが悔やまれる出来でした。
得点は626点。89点平均なので、きれいに基準点というところですね。大吉さんが「トップバッターだと付けられるのは最高で92点だから92点にした」という趣旨のことを言っていましたが、基準点の範囲内で最高の評価をされるべき出来だと思います。一方、松本さんが「お客さんが良すぎるだけなのかもしれない」ともコメントしていて、この時点ではそれはどうなのかなとも思いましたが……。

・カミナリ 一番強い動物
ロジックはきちんとしているし、方言で言うことで面白くなるワードも盛り込まれているし、忙しかったこの一年でもちゃんとパワーアップしたのがすごいと思います。後半の、たくみくんが自分で喋りながら次のツッコミどころに気付いて頭を叩くタイミングがまた完璧なんですよね。流れに乗って気持ちよく笑えます。
ただゆにばーすの後だけに…ということで少し下げられた結果、618点。上沼さんの「頭は叩かなくてもいい」というのは無粋なコメントにも見えますが、どつき漫才にする必要がないほどロジックやワードで笑いを取れているという評価と言えないこともないと思います。

・とろサーモン 旅館
これまで実に9回も準決勝で敗退してきたとろサーモンがついに決勝に。ブラックさや突拍子のなさを円熟味で包み込む、とんでもない手練れの漫才になっています。とろサーモンはずーっと面白いですが、ここまで来たことによっていろんなものが「味」になるようになったのかもしれません。
得点は645点。92点平均と大きく上げてきました。この流れでこういうネタだと点数が付けやすいんですよね。それでもまだ序盤だから様子を見るのもあってこの点数に落ち着いたのかなと。

・スーパーマラドーナ 合コン
敗者復活戦からの勝ち上がり組。はっきり言って敗者復活戦ではダントツの出来だったので、これは3位に入るかなと思ったのですが、敗者復活戦とはネタを変えてきました。勝負ネタは温存したのかもしれませんが、その分期待を下回ってしまった感じが。みんなウケているので、点数を付けるにあたってはウケ以上のプラスアルファを求めざるを得なくなるんですが、このネタだとそれがあるとは判断されにくいかなと。
結果は640点。敗者復活戦の仕上がりからするともっと高得点を予想していましたが、この出来だととろサーモンを上回れないですね。

・かまいたち 学校の怪談
賞レース準決勝常連の彼らがキングオブコントを制し、そのままの勢いでM-1でも決勝に進出。コントをそのまま漫才にするのではなく、がっつりと喋る漫才ができるというとんでもないコンビです。このネタも本当にウケています。
が、スーパーマラドーナと同じく、ウケ以上のプラスアルファがあるかとなるとちょっと厳しい気がしました。おそらくかまいたちがこれまで数えきれない回数準決勝で敗退してきたのは、そこのプラスアルファがないと判断されていたからじゃないかと思うんですよね。それがここでも出たんじゃないかなと。
結果は640点。点数でもちょうどスーパーマラドーナと並びました。

・マヂカルラブリー 野田ミュージカル
かなり早い時期から注目されてきた彼らも初めてM-1決勝の舞台へ。どう引っかき回してくれるかなと思ったのですが……。
同じボケを何度も引っ張るという構成で、でも期待を超えてこないので大きな笑いが起きにくい。こうなると巻き返せないですよね。あと手を挙げるところが何度もあるので、野田さんの脇汗が目立ってしまっていました。やっぱり緊張するよなあと。
結果は607点。87点平均です。ここまでみんなウケている中で、こういう構成のネタでこのウケ具合だと、下げるしかないんですよね。おそらく最低点は87点ぐらいでというのが審査員の間の暗黙の了解だと思うので、最低評価ということにはなりますが、この流れの中での下げどころだというだけなので、極端に面白くないということではないと思います。
上沼さんが「好みじゃない」と言っていましたが、もっともっと強く否定することはいくらでもできたと思います。それを「自分の好みではないだけ」という言い方にとどめたという点で、むしろ優しいコメントだと思います。笑い声測定器を置くのではなく審査員が採点する以上、審査員の主観は絶対に入ってきます。その主観を信用していいと判断された人が審査員なわけで。

・さや香 歌のお兄さん
完全に初見でしたが、こんなにストレートなのにこんなに面白い漫才ってまだできるんですね。衝撃を受けました。
これは相当行くのではと思ったのですが、得点は628点。ゆにばーすとほぼ同じ。まあ、やっていることがすごくシンプルなのは事実なんですよね。その分漫才としての評価のしどころとなるとちょっと見つからないのかなと。

・ミキ 漢字を教える
こんなにテンションを上げているのに客が置いて行かれない。もうえげつないぐらいすごいですよね。ミキを見ていると、このレベルの若手漫才師って東京の非吉本にはいるんだろうかと思ってしまいます。
審査員にも指摘されていた通り、ボケの内容がすごくオーソドックスなんですよね。でも大阪の若手の漫才は、ボケの内容よりも腕前や見せ方で他と差別をするものという意識があって、それでオーソドックスなボケがあまり気にされないという気がします。
結果は650点。とろサーモンを超えてこの時点で1位。

・和牛 ウェデイングプランナー
カップルの設定じゃないんだ、水田さんが屁理屈言わないんだ……と肩すかしを食らったような気持ちで始まり、中盤までの内容も至って平坦な印象を受けるネタ。これは期待外れかもと思ったところで終盤に入り、怒涛の伏線回収が始まります。それが盛り上がるのなんのって。
期待されていると同時にこすられている屁理屈ネタではなく、ゴリゴリに仕上げた構成で持っていくというそのお笑い脳が怖いです。
果たして結果は653点。文句なしにここまで一番の爆笑です。

・ジャルジャル ピンポンパンゲーム
漫才でもコントでも斬新なネタをいくつもいくつも見せてきたジャルジャル。このネタもまた斬新で、それでいて技術が高くて、ゲーム的な漫才という新しいジャンルを提示しつつも機械的でない笑いの取り方をする。最高に面白いネタだと思います。ミキからの三組が本当にえげつないですね。レベルが異常に高すぎる。
どう評価されるんだろうと思ったら、636点。松本さんは95点と高評価ですが、他がいまいち奮わずという感じでした。結果が出た後の福徳さんの表情が辛くて……。こんなに天才なのに賞レースで一度も優勝できたことがないなんて、残酷すぎます。

これで10組のネタが終わり、上位3組の和牛、ミキ、とろサーモンが最終決戦へ。

・とろサーモン 石焼き芋
少し前に話していた「ミッキーマウスを意識した」のおかげでミッキーにしか見えないw
最初の「流れに身を任せる」のボケが面白すぎますよね。そこでぐっと流れを引き寄せて、怒涛の宗教ゾーン(!)へ。これもやっぱり数年前ならもっと過激に見えてたと思うんですよね。

・ミキ スターウォーズ
これも面白かったです。面白いんですが、仕掛けを入れられるタイプのコンビではないだけに、二本見ると高止まり感があるんですよね。そこはちょっと気になりました。

・和牛 旅館の仲居
一本目を見た時に、これで二本目で屁理屈+伏線回収のネタをやったらえげつないなと思っていたのですが、まさにそれでした。
期待してた屁理屈ネタだ!と思ったのですが、仲居さんとお客さんという設定なんですよね。これだとちょっと水田さんの当たりがきつく見える、というか単に「クレーマー」という言葉で片付けられてしまうんですよね。カップルの設定だと「こんな屁理屈言う彼氏なんて嫌だな」と思いつつも別れられない理由が垣間見えるギリギリのラインを保っていたと思うのですが、こうなると仲居さんがかわいそうに見えてくる。で、後半の伏線回収で仲居さんが反撃するのですが、前半でクレーマーに見えてしまった分の感情はそれでもチャラにならないんですね。
屁理屈ネタだし伏線回収という構成上の武器もある、でも……という、なかなか微妙な仕上がりでした。

これで全組終了。
私が審査員なら、ミキの高止まり感と和牛の若干の食い足りなさを理由に、とろサーモンに一票入れると思いました。でも実際は和牛の勝ちだろうなと。

が、結果はとろサーモン4票、和牛3票で、とろサーモンの優勝!

呆然とする村田さん、両手を広げて紙吹雪を浴びながら「ジーザス」と呟く久保田さんw

「和牛に入れたけど不満はない、そのぐらい僅差だった」と松本さん、めっちゃ泣いてる渡辺リーダー、そして大吉さんは「つかみが速かった」とコメント。

誰もが認める実力派でありながら超苦労人だったとろサーモンの優勝で、今年のM-1グランプリは幕を閉じました。


今回は番組側が客席の雰囲気を良くすることにかなり気を遣ったのではないかと思います。その結果、トップのゆにばーすからみんなきちんとウケて、とてもレベルの高い決勝になりました。

そうなると、審査の基準が単にウケ具合だけではなくなってくるんですね。みんなウケているからみんな93点ぐらいとするわけにはいかない。
では何で差を付けるとなると、審査員それぞれの思う基準にかかってきます。
かけ合いを重視する人もいれば終盤の畳みかけを重視する人もいる、キラリと光るフレーズが一つあればそれをもって高得点を付けていいと考える人もいるでしょう。
さまざまに考え得る基準の中で何を重視して点数を付けるか。それを一言で表すと「好み」という言葉になるのではないでしょうか。
上沼さんが言っていた「好みではない」は結局そういうことなのではと思います。

ネタ順がその場で決まっていく新ルールですが、なかなかよかったのではないかと思います。全組終わってみてもやはりゆにばーすはもったいなかったですが、それはこのシステムのみによるものではないですし、あらかじめネタ順を決めておく従来のルールであっても、トップバッターの誰かは結局不利になってしまいます。
この新ルールのメインは「敗者復活から上がってきた組の圧倒的有利を何とかすること」にあったと思うので、その点では新ルールの目的も果たされたと思います。
順番に出てきてネタをやる以上、どうしてもその順番による有利不利は発生します。たとえばオンエアバトルはトップバッターがオンエアされやすかったですし。
出番順が点数に全く影響しないシステムは存在しないという事実がある上で、どこを落としどころに設定するか。それがルールというもので、その点で今回のルールは落としどころとして一つの答えになっていたと思います。

それにしても、最終決戦のレベルの高さは近年稀に見るものだったと思います。ただそれゆえに、3組ともがいい意味でも悪い意味でも決め手に欠いていたと思うんですね。
私個人の好みで言うと、和牛の「仲居さんとお客さんの設定だと当たりがきつく見える」という点はかなり大きかったです。これだと3組の中から1組選ぶという気持ちになりにくい。
ミキの高止まり感も引っかかったんですよね。まだ完成していない、もう一皮剥ける余地がどこかにあるようにも見える。
となると、とろサーモンかなあと。二本とも面白かったし一本目は出番がもっと遅ければもっと高得点だったかもしれないし、何よりも最初の「流れに身を任せる」のくだりで今日一番笑ったので。
もちろんプロの審査員はもっといろいろなことを考えて票を入れたと思います。でも、本当に本当にレベルが高いと、何かピンと来た一点を理由にしてえいっと票を入れないといけない。そういう境地に達した戦いだったんじゃないかなと思います。

しかしレベルが高すぎて、東京非吉本の漫才師はここに割って入れるんだろうかと不安になったのも事実です。ミキもさや香も、まだ若いのに本当にえげつないほどすごい漫才をしてるじゃないですか。
磁石三拍子流れ星あたりがM-1決勝に行けるぞ行けるぞと言われていた時代は終わってしまって、その後の層がぽっかり空いてしまっているように思います。私はライブに全然行けなくなってしまったので東京の若手に詳しくないというのもありますが、賞レースで惜しいところまで進んでいる、順番待ちの前の方にいそうな若手が純粋な数字として少ないんですよね。
ハライチの岩井さんが「吉本だけの大会にはさせない」と言っていましたが、そうならざるを得ないぐらい、頭数が圧倒的に違うのが現実です。やっぱり劇場に立つ回数が違うのは大きいのかなあとか、いろいろなことを考えました。

今年は予選に全く足を運べなかったのでどうかなあと思っていたのですが、夢中になって見てしまいました。やっぱりM-1グランプリって最高に面白いですよね。
そして優勝してトロフィーや副賞を受け取るとろサーモンのお二人は最高にかっこよかったです。

芸人さん、ファンの皆さん、今年もお疲れさまでした!


(00:47)

2017年02月22日



行ってきました。会場はメルパルクホール、MCははりけ〜んず。
今年は大阪会場との中継はなく、東京のみ。かなり広い会場ですが、ステージ後方には大きなモニターがあって、フリップネタでも後ろの席まで見やすいようになっていました。

・AMEMIYA ご飯のお代わり自由です
トップバッター、かつこれだけネタが知られているわけですが、それでもきっちりウケていました。

・あばれる君 第二ボタン
ファイナリスト経験者ではありますが、タレントとしてのイメージと違ってネタがきれいなんですよね。その分こういう場では爆発しにくい感じ。

・石出奈々子 なんとなくジブリのヒロインっぽい子が大阪に行ったら
よくウケていました。浅井企画だけどナベプロっぽいなーと思ったらナベコメ出身なんですね。

・キャプテン渡辺 バイトの鬼
ネタは前からあるやつ。絶対笑うようにできてるのがやっぱりすごいなあと思いつつ、ちょっと声が聞き取りにくい…。ピンマイクは付けてるっぽいんだけど、会場が大きすぎるのかも。

・西村ヒロチョ ロマンティック
ステージの後ろに学芸会みたいな三色のライトが並んでいて、確かヒロチョさんの時だけチカチカ光る演出がw でも声に比べてBGMが大きくて、全体的に聞き取りにくかった…。

・粗品(霜降り明星) フリップ
一発ネタの詰め合わせというか、フリがないむき出しの笑いどころの連打でこれだけ面白いってどういうことなんだと。

・サンシャイン池崎 ボン・ボヤージュ
客席にはものすごく期待感があったしウケてたんだけど、その期待を超えきらなかった感じが。音響のせいなのか、そこまで声が出ているようにも見えなかったんですよね。石出さんに続いてトトロ要素が。

・中山功太 ラジオCM
功太さんはいつもアイディアとその提示がきっちりしていて、気持ちよく笑えるなあと思います。

・バイク川崎バイク 高校野球
BKBではなく一人コント。それでも尻上がりにウケていました。

・藤崎マーケット田崎佑一 カリスマ居酒屋店員
広い舞台をセグウェイですいすい駆け回る。とにかくセグウェイが欲しくなる。

・脳みそ夫 アラサー縄文人
ここも声がちょっと小さくて、聞いちゃう姿勢になっていたと思います。たぶんもっと小さい会場ならもっとウケていたと思います。

・クロスバー直撃前野 自販機解体ショー
始まる時はすごくわくわくしたけど、何でどう笑わせるのかというのが少し散らかっていて、流れに乗りにくかった感じがしました。

・パーマ大佐 ツッコミアンサーソング
知られている分の期待を上回れるかなという感じの滑り出しでしたが、後半は結構ウケていて、森のくまさん事件に触れたところでドカンと来ていました。

・平野ノラ 幼稚園の先生
これはほとんどの人が見たことあるネタなのでは。

・マツモトクラブ ホームにて
これも見たことあるネタではあるんですが、やっぱり引き込み方が段違い。一段上のウケ方をしていました。

・もう中学生 寿司
笑うとか笑わないとかの次元じゃないですね。宇宙みたいな感じがしました。ていうか終わり方すごすぎる。

・守谷日和 表現力選手権
古坂大魔王さんとかサイクロンZさんのネタと似てると思う人もいるかもしれませんが、アイディアや見せ方は違っていると思います。何がすごいって、「表現力」っていうラベルがこの上なくぴったりなんですよ。

・横澤夏子 ママチャリ
安定したウケ方でした。

・ルシファー吉岡 大化の改新
これはウケてた!そういえば下ネタじゃなかったということに後で気づきました。顔を見ただけで下ネタを見たような印象になっていたということですね。

・ゆりやんレトリィバァ
タイトルが付けにくい…。見た目や見せ方のインパクトはもちろんすごいんですが、ネタの精度が全くそれに負けてないのが本当にすごい。

・藤崎マーケットトキ あえて感謝状
いろんなパターンの笑わせ方を入れてるんですが、その分入り込みにくいというか、流れに身を任せにくかったかなあと。でも田崎さんとそれぞれ全く違うタイプのネタでよかったです。

・ZAZY 転校生
こんなに立派な会場なのにこれがちゃんとウケちゃうのがR-1準決勝のすごいところだと思います。私の中でもう中さんに次ぐ宇宙枠でした。もう理屈じゃないんですよね。

・エハラマサヒロ うたのお兄さん
相当こすってるネタではあるんですが、それでもわりと見られてしまうし間が持ってしまうのがエハラさんの「芸」だなあと。

・おいでやす小田 真に受ける彼女
いやー、さすがとしか言いようがないです。一人コントというジャンルで言うと、マツクラさんと小田さんが群を抜いていると思います。

・紺野ぶるま 占い
どういうネタをやるんだろう…と思ったらきちんとしたネタで、演技もうまかったです。

・アキラ100% 絶対見せないDE SHOW
やったー!めっちゃウケてた!そして全然見えてなかった!知名度ゆえの期待感を超えられない組も多い中、文句なしのウケっぷりと盛り上がりでした。

・三浦マイルド ことば研究家
これだけ面白くてこれだけ勢いがあったら笑わずにはいられません。さすが。

・ニッチェ近藤 日本アラサー大賞
やってることはそれっぽいんですが、全然笑いが起きていませんでした。もちろん私もそうだったわけですが。なんでだろう…。

・パタパタママ木下 バイトをしすぎるとこうなる
キャプテン渡辺さんのネタを逆から見たような感じのネタ…と思ったらちゃんとその点に触れたので笑いやすくなりました。そういうケアがないとお客さんがずっと引っかかっちゃうんですよね。ウケていたし拍手も来てたけど、拍手笑いとはちょっと違う印象なので加点にはなりにくそうな感じ。

・中村涼子 留守番電話
これ、マツクラさんがこの設定で作って演じたらもっともっと面白いんだろうなと…。設定は面白そうなんだけど、何かかゆいところに手が届かない感じがしました。

・ナオ・デストラーデ セールスマン
コンビでやっているネタをピンネタに。湘南デストラーデのどのネタもそうなんですが、テキストがものすごくしっかりしていて、展開も説得力があるんですよね。なので今回も意図通りに笑いを取れていたんじゃないかなと思います。

・とにかく明るい安村 行司風に言うと
裸ネタじゃないとなるとどうしても観客はややがっかりするところからスタートしてしまうわけですが、それでも後半きっちりウケていました。読み方がうまい。

・スリムクラブ真栄田 ラジオ「私の近況」
いやー、これだけ芸風が知られているのにまだこんなに面白いかっていうぐらい笑いました。この前のM-1準決勝もそうですが、やっぱりこのキャラクター性と発想力は舞台で見たら圧倒的ですよ。

・アイデンティティ田島 次回予告
太田プロが誇る正統派漫才師のボケである田島さんが、一年ほど前からやっていた野沢雅子ネタでついにR-1準決勝に。このネタだろうなと思っていたので、田島さんの出番までの怒涛のトトロかぶり(池崎さん以降も誰かいたような)に冷や汗をかいてしまいました。ウケてはいたのですが、準決勝という場になると、ピンネタとしての作りがもっとちゃんとしていないとウケきるところまでは行きにくいのかなーと。それにしても田島さんはクリカンパターンで将来悟空の声をやってもおかしくないと思います。

・まとばゆう アニメのあらすじを手短かに
ピアノがすごくうまいしアレンジも上手。これでピアノがつたなかったら気持ちよく笑えないと思うんですよね。ここでもダメ押しのようにトトロが。

・ブルゾンちえみ 女
たぶん客席が一番期待していた芸人さんのはずですが、まずどうしても「後ろの二人がいない」というところでちょっとがっかりしますよね。で、こうやって舞台で見ると芸歴が短いことが透けて見えてしまうんですよ。だから言っていることに笑いにくい。でも後ろのモニターに映っている姿はやっぱり面白いという不思議な感覚でした。まともな笑いが一回しか起きなかったのですが、まあ今の勢い的には絶対上がるんだろうなという感じがしました。

・ぶらっくさむらい ベスト
これは盛り上がってました。この日の歌ネタの中では一番だったかも。

・レイザーラモンRG ドナルド・トランプ
登場するや「USA!USA!」に合わせて軽やかに手拍子してしまう訓練された我々R-1の客。RGさんがR-1に出始めた頃って、「HGの相方がなんかやってるよー」みたいな反応だったじゃないですか。でも今はもうネタとしてめちゃくちゃ面白いんですよね。もちろん人としても好かれてるし、この何年かでRGさんが全部兼ね備えちゃったっていう。

その日のうちに審査結果が出ました。
決勝進出者とブロック分けは以下の通り。

Aブロック
レイザーラモンRG
横澤夏子
三浦マイルド
復活ステージ3位

Bブロック
ゆりやんレトリィバァ
石出奈々子
ルシファー吉岡
復活ステージ2位

Cブロック
ブルゾンちえみ
マツモトクラブ
アキラ100%
復活ステージ1位

メンツとしては、準決勝のウケ具合でほぼ半分より上の人たちから選ばれているので、そんなにおかしい感じはしないです。M-1の優勝コンビの片方がどんなに滑っても選ばれていたような過去のR-1準決勝の審査よりはよっぽどましなので…。
ブルゾンさんよりウケていた人はたくさんいましたが、今の勢い的には外すことが絶対できないんだろうなと思わざるを得ないし、たぶん彼女のネタが終わって暗転した瞬間、会場のお客さんのほとんどが「これでも上がるんだろうな」と思ったはずです。
たぶんテレビで映える芸人さんだと思うので、本番でそんなに悲惨なことにはならないんじゃないかなと思います。
あとは女芸人を多くしようみたいな裏テーマがあるのかなあと。しかし女芸人さんが4組いて、ブルゾンさんがその一番最後だというのがどう転ぶかも気になります。

ブロック分けの方は、ネタのタイプごとにうまく散らばったなあという感じですね。誰がどうウケていくかは予想がつかないですし、池崎さんや田島さんのようにキャラや勢いのある人が復活ステージで上がってくるとまた流れが変わることも考えられます。

あとは宮迫さんが「アホやなー」「あー、ほんまアホや」をどこで何回言うかにも注目が集まるところです。まずは早速RGさんのところで言うと思うのですが、どうでしょうか。


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