2006年01月29日
ラテンアメリカ史研究会出席
ラテンアメリカ史研究会出席
本日(2006年1月29日)、ラテンアメリカ史研究会が、東京大法文2号館で開催されたので、出席しました。中米専門の狐崎 知己 教授が、ボリビア大統領選挙において米州機構(OAS)が実施した選挙監視団に日本政府からの派遣員として参加されたということで、ボリビアのモラレス政権誕生の背景を解説してくださいました。題して『「左傾化」した中南米を読む:ボリビア・モラレス政権誕生を手がかりにして』また、恒川 惠市 教授が、ラテンアメリカ全体の中で今回のボリビアをはじめとする南米の左翼政権誕生の意味を開設されました。
午後2時から5時までの予定だったのですが、僕は、迂闊にも1時間遅れてしまいました。そのため、肝心の孤崎先生のプレゼンの大半を聞き逃してしまったのが、残念でした。僕が、到着したときには、ローカルガバナンスにおける地方自治体と住民コミュニティーのキャパシティー・ビルディングについて話していらっしゃいました。結局、全体を通して話が聞けたのは、恒川先生の解説された部分だけだったのですが、その要旨をまとめてみます。
ラテンアメリカの90年代以降は、以下の3点でまとめてみることが出来る。1)新自由主義経済、2)民主化、3)先住民運動。新自由主義による経済政策によって、インフレ低下を経験し、国民が生活向上を実感できるようになった。そして、新自由主義を推進する政策または政党支持に傾いた。だが、その一方で失業増加や、雇用が生み出されない状況で、あらためて新自由主義が、多くの国民の生活を改善しないという判断が、一般的になってきた。面白いのは、かつては階級による組織が進んでいたのだが、現在民族による組織化が進行している。
また、新自由主義の代案が見つからぬまま、とりあえず、新自由主義に反対する左翼政党に投票する勢力が過半数を占める。しかし、こうした左翼政権が興味深いのは、かつてのポピュリストと異なり、財政規律を保っている点である。その一方で、資源の国有化という形でのナショナリズムが進行している。
ベネズエラのチャベスに関しては、ナショナリスティック、ポピュリスティック、ストロング・リーダーという3点で特徴付けられる。しかし、これらを維持するには、財源が必要となる。OPECメンバー国でもあるベネズエラの場合、原油高が、そうした強気な政治姿勢を支えている。インド、中国と言った大国のエネルギー需要が続く限り、こうした傾向はしばらく続くかもしれない。
ラテンアメリカ全体について言えば、アジア諸国に対して、雇用の広がる製造業の競争で遅れをとっているのに、新自由主義導入で効果があるのかどうか、が問われている。現在では、天然資源依存とオリガルキーだけが進行している。
大まかに言えば、上記のような話だったと思います。ところで今回は、日曜日だと言うのに150人もの人たちが、学会に集合していて驚かされました。ラテンアメリカに興味がある人がこんなにいるんだという心強い思いがしました。学生、商社マン(ウァマン)、研究者、開発関係者など、さまざまな分野から出席していました。しかし、質問の時間になると、皆の関心がボリビアの細かい話に集中して、ラテンアメリカ全体にとっての意味や、グローバリゼーションにおける意味といった大きい枠組みの議論には、なりませんでした。あ、あと慶応で教えている友人のY君に、久々に会いました。
本日(2006年1月29日)、ラテンアメリカ史研究会が、東京大法文2号館で開催されたので、出席しました。中米専門の狐崎 知己 教授が、ボリビア大統領選挙において米州機構(OAS)が実施した選挙監視団に日本政府からの派遣員として参加されたということで、ボリビアのモラレス政権誕生の背景を解説してくださいました。題して『「左傾化」した中南米を読む:ボリビア・モラレス政権誕生を手がかりにして』また、恒川 惠市 教授が、ラテンアメリカ全体の中で今回のボリビアをはじめとする南米の左翼政権誕生の意味を開設されました。
午後2時から5時までの予定だったのですが、僕は、迂闊にも1時間遅れてしまいました。そのため、肝心の孤崎先生のプレゼンの大半を聞き逃してしまったのが、残念でした。僕が、到着したときには、ローカルガバナンスにおける地方自治体と住民コミュニティーのキャパシティー・ビルディングについて話していらっしゃいました。結局、全体を通して話が聞けたのは、恒川先生の解説された部分だけだったのですが、その要旨をまとめてみます。
ラテンアメリカの90年代以降は、以下の3点でまとめてみることが出来る。1)新自由主義経済、2)民主化、3)先住民運動。新自由主義による経済政策によって、インフレ低下を経験し、国民が生活向上を実感できるようになった。そして、新自由主義を推進する政策または政党支持に傾いた。だが、その一方で失業増加や、雇用が生み出されない状況で、あらためて新自由主義が、多くの国民の生活を改善しないという判断が、一般的になってきた。面白いのは、かつては階級による組織が進んでいたのだが、現在民族による組織化が進行している。
また、新自由主義の代案が見つからぬまま、とりあえず、新自由主義に反対する左翼政党に投票する勢力が過半数を占める。しかし、こうした左翼政権が興味深いのは、かつてのポピュリストと異なり、財政規律を保っている点である。その一方で、資源の国有化という形でのナショナリズムが進行している。
ベネズエラのチャベスに関しては、ナショナリスティック、ポピュリスティック、ストロング・リーダーという3点で特徴付けられる。しかし、これらを維持するには、財源が必要となる。OPECメンバー国でもあるベネズエラの場合、原油高が、そうした強気な政治姿勢を支えている。インド、中国と言った大国のエネルギー需要が続く限り、こうした傾向はしばらく続くかもしれない。
ラテンアメリカ全体について言えば、アジア諸国に対して、雇用の広がる製造業の競争で遅れをとっているのに、新自由主義導入で効果があるのかどうか、が問われている。現在では、天然資源依存とオリガルキーだけが進行している。
大まかに言えば、上記のような話だったと思います。ところで今回は、日曜日だと言うのに150人もの人たちが、学会に集合していて驚かされました。ラテンアメリカに興味がある人がこんなにいるんだという心強い思いがしました。学生、商社マン(ウァマン)、研究者、開発関係者など、さまざまな分野から出席していました。しかし、質問の時間になると、皆の関心がボリビアの細かい話に集中して、ラテンアメリカ全体にとっての意味や、グローバリゼーションにおける意味といった大きい枠組みの議論には、なりませんでした。あ、あと慶応で教えている友人のY君に、久々に会いました。