食と食材からみるアフリカ 
第4回レクチャー「日本に伝播したアフリカ起源の植物と料理」

講師:木俣美樹男(東京外語大学アジアアフリカ言語文化研究所フェロー)
2018年7月22日(日)13:00~15:00  JICA地球ひろば市ヶ谷 
参加者:22名+スタッフ4名

会場:JICA地球ひろば市ヶ谷2Fセミナールーム202B
主催:アフリカ理解プロジェクト
記録:白鳥くるみ

■はじめに
私たちが登録団体になっている施設「JICA地球ひろば市ヶ谷」のお話を今回は少し。
JICA地球ひろばは全国にあり、世界が直面する様々な課題や、開発途上国と私たちとのつながりを体感できる施設です。イベントや展示などたくさんの催しが行われています。ぜひ一度訪問してみてください。

ワクワクする入口
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「SDGsってなに?!」分からないことは、地球ひろばのスタッフ「地球案内人」に何でも質問してください。私たちは、SDGsの1と4と12に取り組んでいます。1貧困の根絶 4質の高い教育 12責任ある消費です。
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今日の講座は、この施設のセミナールームで行いました。
当日は38℃という厳しい暑さのなか、22名ものみなさまにお集まりいただきました!

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副代表のあいさつ 木俣先生の紹介
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木俣先生の雑穀への熱い思いから、お話は始まりました。先生は「素のままの美しい暮らしSOBIBO」を提唱しています。
”「雑」というバラエティ豊かな雑穀を見直すことは先人たちの知恵を再び学ぶ事となります。おじいさんやおばあさんに聞いてみましょう。わたしたちの暮らす土地にあった食物や食べ物の話、祖先の暮らし方をもう一度見つめなおしてみましょう。
これからも私たちの営みが、永く持続できるようにするためにも、持続可能な暮らしはみんなの工夫や知恵によってできるのだから”

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つづいて1農耕文化基本複合 2地理・気候とアフリカの穀物 3日本に伝播した栽培植物(穀物、他の栽培植物)と話が進みました。2のアフリカの穀物のお話では、「アフリカ起源の種」と「アフリカ以外の国の種」の実物もみることができました。

アフリカ起源の種↓↓

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それ以外の国に起源をもつ種
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穀物の発生地と伝播ルートの図を見ながら;
雑穀の起源を考えるには、生育地の気候の特徴を捉えることも必要。なぜなら、地中海気候、サバンナ気候、熱帯気候など気候や降水量に影響を受けるから。アフリカやインドの発生地の穀物にはササゲ、シコクビエ、ヒョウタン、ゴマなどがあり、サバンナ農耕文化と呼ばれています。

アフリカ起源の穀物では、トウジンビエ(写真上)とモロコシ(写真下)の研究が進んでいます。これはアフリカの人口増加に伴うもので、日本でも最近、雑穀は健康食、高級食として米より高く販売されています。またアフリカでは、新しいものを取り入れつつ、伝統的なものを大事にしようという動きがあります。自分たちで在来種を集め増やしていこうという動きが広がっています。

図2
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アフリカからインド、中国を経て日本まで伝播した雑穀にはシコクビエ(写真下)とモロコシがあります。この2種はともにトウジンビエと並んで、現在のアフリカのサバンナ、半乾燥地域では重要な穀物です。シコクビエの料理はウガリ(インドではムッダ、日本ではオネリ)と呼ばれ、そばのオネリはソバガキと呼ばれています。ソバガキは、アフリカの料理法でもありました。モロコシはキビ団子として調理されています。


図3


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日本の食卓は雑穀とともにありました。
パンコムギ、イネ、トウモロコシは売買する商品ですが、雑穀は生きる糧です。と熱く語る木俣先生

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最後に日本に伝播したアフリカ起源の植物のお話がありました。穀類【モロコシ、シコクビエ、テフ、トウジンビエ、アフリカイネ、フォニオなど 飼料【ギニアキビ】豆類【ササゲ、バンバラマメ、キマメなど】油糧作物【アブラヤシ、ヌグ、シアバター、ベニバナ、ゴマ、ヒマ】野菜・果実【オクラ、スイカ、ローゼル、アビシニアバショウ、ユウガオ、タマリンド、オイスターナッツなど】嗜好作物【コーヒー、コラなど】中尾1967ほか

2時間では足りないほどの情報量、木俣先生の心のこもった話が伝わってくる内容でした。毎回、記入していただくアンケートでもお話を聞いて「雑穀についてすごく興味が沸いた」という回答が多くありました。

またアンケートには
「アフリカでどのような作物が栽培されているかは多少実体験から知っていましたが、栽培起源という観点で考えたことがなかったので大変勉強になりました。またキャッサバやカカオがアフリカ原産ではないとは知らなかったです。カカオを作るということは自分達のための食べ物がつくれないことというのに考えさせられました」

「雑穀の起源、伝播で作物と言葉も伝わったという説明が興味深かった。シコクビエ等が縄文時代、弥生時代に伝わっていたとは驚きでした。」

「雑穀の実物を目にして。こういうものを食べるくらい生きることに切実な国が多いんだなということに衝撃をうけた。日本は本当に恵まれているし、もっと歴史を学んで持続可能なライフスタイルに変化させていきたいと思った」

などたくさんの感想が寄せられ(すべて掲載できませんが)、参加者の雑穀への熱い思いがもまた伝わってきました。「今回のアフリカプロジェクトの企画は高く評価いたします。どうぞ来年も楽しいプログラムを組んで下さい。」という嬉しいコメントもいただきました。

みなさまご協力ありがとうございました!