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有機化学を中心に、興味ある新着論文の情報を提供してゆきます。

Perali Ramu Sridhar* and Patteti Venukumar
Org. Lett., 2012, 14 (21), pp 5558–5561 DOI: 10.1021/ol302677z

☆非天然型7員環糖はこうやって作る!

シクロプロパン開裂を利用した7員環糖の合成法。非天然糖の合成法としても面白いですが、7員環を持つ糖は糖ミミックとして機能するのかなど生物学的な応用にも興味を惹かれます。

Dr. Seok Joon Kwon, Prof. Kyung Bok Lee, Kemal Solakyildirim, Sayaka Masuko, Mellisa Ly, Dr. Fuming Zhang, Dr. Lingyun Li, Prof. Jonathan S. Dordick, Prof. Robert J. Linhardt
Angew. Chem. Int. Ed. 2012, 51, 11800-11804, DOI: 10.1002/anie.201205112

☆超高感度酸性糖検出が可能に!

糖鎖研究のボトルネックはサンプル調製(多段階合成or天然からの抽出がメイン)や検出(発光団がないand MSでもイオン化しにくい)が困難であること、糖鎖ー蛋白質の相互作用が弱いこと等が挙げられます。何より糖鎖はDNA研究におけるPCR法のような増幅法がないため、微量サンプルの分析は非常に困難と言えます。
彼らは「糖鎖は増幅できなくとも増幅できるものと結合させればよいじゃん」というコンセプトで、最終的にはzmolオーダーでも検出可能であることを報告しています。簡単に方法論を紹介すると、カルボン酸を持つ糖鎖にDNAを縮合し、そのDNAを増幅することで検出感度の大幅改善に成功していますし、アッセイにも応用可能であることを示しています。今回の論文では酸性糖を有する糖鎖で方法論の妥当性を調べていますが、中性糖でも可能になれば非常に汎用的な方法論になりうるのではないでしょうか。

☆光るクリックケミストリー

Frédéric Friscourt, Christoph J. Fahrni, and Geert-Jan Boons*
J. Am. Chem. Soc., 2012, 134, 18809 DOI: 10.1021/ja309000s

こちらはアルキン+アジドのクリックケミストリーですが、反応が起こって結合するとリンカー部分自体が蛍光を発するようになるもの。アルキン側の分子設計がミソ。もちろんこれも金属フリー。置換基を変えることで、発光色を変えたりできるとさらに応用が広がりそうです。 
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(さとう)

☆コンパクトで便利なリンカー

David M. Patterson, Lidia A. Nazarova, Bryan Xie, David N. Kamber, and Jennifer A. Prescher*
J. Am. Chem. Soc., 2012, 134, 18638 DOI: 10.1021/ja3060436

シクロプロペンとテトラジンの反応によるクリックケミストリーの報告。金属塩不使用なので生きた細胞にも適用でき、手軽に蛍光タグなどを導入することができる。また、アジド+シクロオクチンのクリックケミストリーと併用も可能。

銅などの金属を使わないクリックケミストリーは、Bertozziらの研究をはじめとしていくつか報告されていますが、これは合成も簡便ですし、リンカー部分がコンパクトに収まるのがよいですね。
(さとう)

 ☆有機触媒でC=CとC=Oを組み替え

Allison K. Griffith, Christine M. Vanos, and Tristan H. Lambert* 
J. Am. Chem. Soc., 2012, 134, 18581 DOI: 10.1021/ja309650u

C=CとC=Oの結合組み替え(メタセシス)を、金属でなく有機触媒で行うというちょっとびっくりな反応。触媒となるのは環状ヒドラジンで、基質のオレフィンは今のところシクロプロペンに限られます。反応機構を見るとなるほどと思いますが、非常に斬新な発想です。

有機触媒は、既存の金属触媒などでできる反応を置き換えただけであり、「有機触媒ならでは」という反応は少ないと言われてきましたが、これはそうした批判に答えるものになりそうです。
(さとう)

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