Xin X. Zhou, Hokyung K. Chung, Amy J. Lam, Michael Z. Lin
Science 338, 810 (2012) DOI: 10.1126/science.1226854

 ☆光でタンパク質の活性を制御する
 人為的にタンパク質の活性を制御することは、細胞においてタンパク質が果たす生理的な役割を調べるために有効な手段となります。近年になって目的タンパク質に光感受性のタンパク質を融合させることで、光照射のON・OFFでタンパク質機能を制御する方法が開発されています。

 Dronpaは理化学研究所のグループがサンゴの一種から発見したタンパク質を改変することで作成した蛍光タンパク質です。Dronpaは紫外光を当てると光を発するようになり、青色光を当てると消光する特性を持ちます。またこの明状態・暗状態の遷移は可逆的に何度も起こすことができます。

 今回の論文で筆者らはDronpaの145番目のリジンがアスパラギン酸に変異したタンパク質に着目しました。このDronpa145Nは明状態では四量体を形成し、暗状態で乖離して単量体になります。
dronpa
Dronpa四量体

 筆者らはDronpa145K-Dronpa145Nをタンデムにつなげたプローブを作成することで光依存的なタンパク質の活性制御を達成しました。暗状態では目的タンパク質の活性部位が2つのDronpaによって隠されますが、明状態にするとDronpaが乖離して活性部位が露出します。

 本研究ではアクチン細胞骨格の動態を制御するcdc42とタンパク質分解酵素であるHCV NS3-4AプロテアーゼにDronpaタンデム二量体をそれぞれ融合させ、光依存的にこれらのタンパク質機能を制御することに成功しました。光のスイッチで、酵素の活性をオン-オフ切り替えできるようになったわけです。

 これまでの光感受性タンパク質を用いた手法では上手く機能する光制御型タンパク質をスクリーニングすることが難しかったが、今回のDronpa変異プローブを用いることで効率的に光制御型タンパク質を作成することができると筆者らは述べています。光によって人為的にタンパク質機能を時空間的に制御することで、これまで不明であった細胞内における生理的機能を解明することが期待されます。