Chau Hai Thai Vu, Keehoon Won*
Food Chemistry 2013, 140, 52-56 DOI: 10.1036/j.foodchem.2013.02.056

流通の発達などにより,世界中あらゆる地域の食品を簡単に手に入れられる時代になりましたが,食の安全を守る技術の一つとして貢献しているのが,酸素インジケーターです.食品を劣化させてしまう酸素が、容器内に入り込んでいるかどうか、色調で知らせてくれるものです。例えばこちらのような商品が知られています.

近年では酸化還元色素を利用した,紫外線を照射することで機能し,かつ印刷できるインクタイプのものが開発されています。ただし、食品に含まれる水に弱いために、インクが染み出して食品を汚染してしまうという欠点がありました。今回の研究では,これを大幅に改良することに成功したというのが眼目です.

 インクは酸化還元色素,犠牲試薬,半導体光触媒の混合物ですが,色素として使用しているのはチオニンというカチオン性色素です.
Thionine
チオニン

 今回改良に成功した鍵は、アルギン酸という藻類から得られるゼリー状物質です。カチオン性であるチオニンを、アニオン性のポリマー溶液に浸漬して錯形成させ,不溶化させるというシンプルな原理です.

 Kamitsubo08_fig1
アルギン酸

 このポリマーはわかめなどから得られる低価格・低毒性の材料なので人体に害もありません.著者らは現在も他のアニオン性天然ポリマーについて検討を行っているとのことです.目新しい素材・原理でなくとも、最先端の技術に役立てる方法は、まだまだ無尽蔵に存在するということを示す一例であるといえます.