Sandip B. Bharate, Sanghapal D. Sawant, Parvinder Pal Singh, and Ram A. Vishwakarma*
Chem. Rev. ASAP DOI: dx.doi.org/10.1021/cr300410v

 ☆新薬の宝庫
 キナーゼは、他の化合物にリン酸を付加させる働きを持つ酵素です。中でもタンパク質をリン酸化するものは、タンパク質の機能調節や、細胞内情報伝達に非常に重要な役割を担います。このためヒトはプロテインキナーゼを数百種類も持っているといわれ、一大カテゴリーとなっています。

 こうしたわけで、プロテインキナーゼ阻害剤は医薬として、また生物学研究用試薬としても非常に重要です。近年がん治療の分野で注目を集めるイレッサ(ゲフィチニブ)やグリベック(イマチニブ)なども、これらキナーゼ阻害剤の仲間です。本総説の冒頭でも、FDAによって医薬として承認されたキナーゼ阻害剤(合成のものも)が列挙されています。
iressa
イレッサ

 ただし本総説のメインは、海洋由来のキナーゼ阻害剤についてのまとめです。前半では、セリン/スレオニンなどターゲット別に化合物が掲載されており、 ペプチド・マクロライド・ステロイド・脂質など、その構造の多様性に驚かされます。全合成のターゲットとして、見覚えのある化合物も多いと思います。

Staurosporine
代表的なキナーゼ阻害剤・スタウロスポリン

 後半では、臨床試験中の化合物についてそのプロファイルがまとめられています。特にがん領域の創薬研究者にとっては、必見といえるでしょう。ぜひご覧のほど。