December 04, 2005

「抑圧された記憶の神話/エリザベス・ロフタス」「目撃者の証言/エリザベス・ロフタス」


「抑圧された記憶の神話 偽りの性的虐待の記憶をめぐって/エリザベス・F・ロフタス、K・ケッチャム」
を紹介する。

レーティング:☆☆☆☆ 一般向け

内容(「MARC」データベースより)
もし、実際にはなかった性的虐待やトラウマの記憶が、暗示や誘導によって作られていたとしたら…。実例や実験から「抑圧された記憶」の形成を検討し、行き過ぎたカウンセリングや面接の危険性を指摘するノンフィクション。

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セラピストは、神経症患者に「幼児期の性的虐待がトラウマとなり、それを抑圧していることで神経症が生じるのだ」と断定する。リラクゼーション技法、薬物、催眠などの技法によって、患者がありもしない虐待経験を思い出す(回復記憶)。そして、患者は親・兄弟などの家族を訴えた。アメリカではこのような現象が多発し、社会問題となった。

エリザベス・ロフタスは、記憶研究の専門家として、回復記憶を批判した。現在では、回復記憶による性的虐待訴訟事件のほとんどがえん罪であったとされている。

このように、「神経症・精神疾患には原因があって、それを原因にさかのぼって修正することで、症状の根本的な改善が可能だ」とする「抑圧主義」は、ありもしないトラウマを作り出してしまう場合があり、有害と指摘する著作である。この著作では、「抑圧」というキーワードですべて片付けてしまうことの危険性について重点的に述べている。

ここから導かれる帰結としては、神経症などの原因を、すべて「幼児期のトラウマ」「PTSD」のせいにしてしまうことは無意味であり、危険でさえある。そして、「過去退行療法」「過去生退行療法(前世療法)」も同じであると言えるだろう。

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記憶のあいまいさについて、そしてそれを裁判の直接的な証拠として用いることの危険性については、以下の著作も参照されたい。

一言で言うと、「記憶は再構成される」ということだ。つまり、記憶はテープレコーダーではなく、自分の都合のいいように組み替えられる。そして、「自分の記憶が正しい」という確信と、「実際にその内容がどれだけ正しいか」ということには、ほとんど関係がないのだ。


「目撃者の証言/エリザベス・F・ロフタス」
を紹介する。

レーティング:☆☆☆ 学生(心理学・法学)、法曹関係者(弁護士など)向け

内容(「BOOK」データベースより)
目撃者証言の信ぴょう性をとりあげた本書は、人間の知覚と記憶についてのこれまでの心理学的研究に認知心理学的な理論づけをおこない、それが法律的問題とくに刑事事件の証人をめぐる捜査・公判上の正当な法の手続きにどのような意味を持つかを述べている。心理学者として法廷で証人に立ったことのある著者自身の経験が織り込まれた本書は、具体的で分かりやすく、専門の枠をこえて広い範囲の読者に大きな問題提起をしている。

目次
第1章 誤認
第2章 目撃者証言の影響力
第3章 事件の知覚
第4章 記憶における情報の保持
第5章 記憶からの情報の検索
第6章 記憶研究における理論的問題
第7章 人の識別
第8章 目撃者の証言能力の個人差
第9章 目撃者の供述に対する誤った信頼感
第10章 目撃者と法曹制度
第11章 実際の殺人事件―ガルシア訴訟事件


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[仏語] 抑圧された記憶の神話―偽りの性的虐待の記憶をめぐって【特集!フランス語・フランス語会話】at December 04, 2005 23:27
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この記事へのコメント
関連するブログを紹介する。
「小枝の超!極私的読書術」
http://blog.livedoor.jp/dogmania/archives/14443138.html
Posted by CAN at December 04, 2005 23:31
こんにちは。トラックバック、それに記事のご紹介ありがとうございました。「記憶」の曖昧さ、再構成に関する文献や著書は多数ありますが、
こちらはまだ読んでおりませんでしたので、今度手にとってみます。
最近記事を更新しておりませんが、
時間をみつけてアップしてみようと思っておりますので、
またお立ち寄り下さいませ。
Posted by 小枝 at February 08, 2006 18:41
コメントありがとうございました。またの記事更新を楽しみにしております。
Posted by CAN at February 17, 2006 01:23