January 09, 2006

マインドマップなどの視覚系情報処理が有用な理由

これまでに、マインドマップなどの、「視覚系情報処理」が有効であると述べてきた。一般的にマインドマップなどは「右脳系」などのカテゴリーとされるが、情報処理は「右脳・左脳」などと二分されるような簡単なものではない。

マインドマップについては、詳しくは、参考文献をご覧頂きたい。



「図解・マインドマップノート術」




「ザ・マインドマップ/トニー・ブザン」


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脳科学の立場から、多少正確に述べてみよう。

マインドマップであれ、箇条書きのノートであれ、視覚野・前頭連合野・側頭連合野などの協働によること自体は違わない。その違いのひとつは、「海馬体の機能と線維連絡経路」にある。

海馬体は、陳述記憶に重要である。新しい情報は、海馬体のフィルターを通ってから新皮質に蓄積される。その主要な連絡経路は、(1)多シナプス経路、(2)直接経路、である。(図は、「脳MRI(1)正常解剖 第2版/高橋昭喜」のP161)

海馬


(1)多シナプス経路
・比較的原始的な経路
・空間記憶やエピソード記憶に関与する
・海馬への入力:頭頂葉後部連合野(視覚情報を統合する上位システム)→海馬傍回→嗅内野(ブロードマン28野)→
・海馬内での処理:嗅内野(第2層錐体細胞)→貫通経路(海馬台や海馬溝を貫通して)→歯状回顆粒細胞。歯状回→mossy fibers→Ammon角(CA3→Schaffer collaterals→CA1)→海馬台。海馬台→白板・海馬采経由→脳弓→嗅内野。
・海馬からの出力:海馬台→脳弓・嗅内野→・・・

※(1)の多シナプス経路で重要とされるのが、海馬から出て海馬に戻る「パペッツPapezの回路」である。Ammon角・海馬台錐体細胞→(遠心線維)→白板→海馬采→脳弓→視床下部乳頭体(外側乳頭体核)→乳頭視床路→視床前核→帯状回後部→帯状束→海馬

(2)直接経路
・ヒトで重要
・意味記憶、物体認知を担う経路
・海馬への入力:下側頭連合野(視覚情報を統合する下位システム)→嗅内野(ブロードマン28野)→
・海馬内での処理:嗅内野(第3層)→白板経路→(海馬台や海馬溝を経由せず直接)Ammon角・CA1錐体細胞
・海馬からの出力:海馬台→嗅内野→側頭葉下部・側頭極・前頭前野などに投射

(引用:「脳MRI(1)正常解剖 第2版/高橋昭喜」

このように、「意味記憶・物体認知」の情報処理は「直接経路」を使う。マインドマップなどの手法は意図的に「空間記憶・エピソード記憶」を入れ込むことで「多シナプス経路」を活性化・活用していると考えることが出来る。

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1/15追記

「Brain & Mind Sports Blog」からトラックバックを受けたので、さらなる解説を試みる。

(トラックバック元記事)

これは、シナプスの動きを通じて、マインドマップがさまざまなアプローチで脳に働きかけていることを説明している。主な情報の経路(多シナプス経路、直接経路)をフルに活用することによってより強く働きかけるということであると思う。
しかし、このエントリーはマインドマップについて、一部分しか解析していないような印象を受けた。マインドマップ12のルールに照らし合わせれば、他の要素、つまり、ブランチを曲線を描くこととか絵を描くことなどについての考察がない。これらのルールも当然脳科学の視点で見れば何らかの理があるはず。個人的にはこれらについても考察してほしかったのだが。

(小職の返答)

「一部分しか解析していないような印象」は、そのとおりです。現在の脳科学でも、「視覚野からの、文字情報と、絵情報が、どのように違った経路で処理されるか」という話は、推測でしかモノが言えないからです。
そういった状況で、私には、「ブランチ、曲線」などの細かい点を考察することが重要とは思えません。
ですので、情報処理・知覚に最も重要な辺縁系(海馬など)に絞った紹介をしているのです。

あえて皮質の話をすれば、一般的には「単語・文法・語彙などの主要な言語機能は左半球優位」ですし、文字情報については、ブローカ、ウェルニッケ以外にも、左紡錘状回、中下後頭回も寄与しています。また、「絵や曲線」は、右半球皮質で処理されていると考えていいでしょう。そういった意味で、「マインドマップは、左右の皮質をバランスよく活性化させる」と言ってもいいでしょう。

ただ、そういった皮質の情報の流れを究極的に支配しているのは、辺縁系(海馬など)なのです。

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この記事へのコメント
はじめまして。TBしていただきましたが、実を申しますと、
お話の内容が私からすると、専門的で難しく、あまりよく
理解できていません。ごめんなさい。

でも、脳科学大好き!なので、またお邪魔します。
Posted by Deen at January 10, 2006 21:48
Deenさん
コメントありがとうございます。最近「右脳系」が流行でして、それに対して私は単純に右脳左脳と割り切れるものではないという事が述べたかったのですが、内容が難しく衒学的だったかも知れません。
次のエントリでは、もっとわかり易い記事を心がけます。
Posted by CAN at January 13, 2006 12:58
CANさん、はじめまして。
海馬についての面白い記事を見つけたので、TB先の自分のブログで紹介しています。記憶なんて直接的に測るのが難しい現象も年々少しずつ解明されているのがとてもわくわくします。今後もよろしく。
Posted by 綺麗山 at February 05, 2006 00:29
綺麗山さん
コメントありがとうございます。貴ブログの記事も拝見しました。
ご指摘のように、「記憶のように、直接的に測るのが難しい現象も、少しずつ解明されて」いますので、今後が楽しみですね。
Posted by CAN at February 17, 2006 01:18