2004年04月27日

伝説的女優のドキュメンタリー「真実のマレーネ・ディートリッヒ」

映画「真実のマレーネ・ディートリッヒ」を観た。
映画「真実のマレーネ・ディートリッヒ」は、「リリー・マルレーン(Lili Marleen)」や「花はどこへ行った(Where Have All The Flowers Gone)」などのヒット曲や映画「嘆きの天使(Der Blaue Engel)」や「モロッコ(Morocco)」などで知られる伝説的な歌手で女優のマレーネ・ディートリッヒの波乱に満ちた生涯を、関係者の証言を交えて綴ったドキュメンタリー映画で、原題は「Marlene Dietrich Her Own Song」。
これまでにも、マレーネ・ディートリッヒの生涯を描いた作品はいくつかあるが、この映画はマレーネの実の孫が監督した作品で、インタビューには、マレーネの娘(監督の母)や、マレーネの友人や仕事仲間など、当時を知る関係者が多数登場して、生前のマレーネ・ディートリッヒについて語る。
ドイツ出身のマレーネは、第一次大戦後、ナチスの台頭するドイツからアメリカに亡命して、ハリウッドで一躍スターダムに乗るが、第二次大戦に突入して、マレーネはアメリカ市民として米軍兵の慰問を積極的に行い、軍服姿で前線を回り続け、戦後、合衆国から自由勲章を授与される。
しかし、戦後、ドイツ公演を行った際には、ドイツ人のファンから歓迎されると同時に、アメリカに亡命し、米軍に従軍していたことから、祖国を裏切った「裏切り者」と非難されるなど、複雑な立場に立たされる。
マレーネ・ディートリッヒにまつわる作品は、日本でも、元宝塚男役スターの大浦みずきさんが「マレーネ・ディートリッヒ・ストーリー」という作品で、マレーネ・ディートリッヒを演じていた。
「マレーネ・ディートリッヒ・ストーリー」は、ロンドンで上演されていた舞台作品で、どちらかといえば、マレーネの全盛期ではなく、1970年代以降の後年のマレーネの姿を描いた作品で、日本版では、大浦みずきさんが、独特の低い声でオーラを放つマレーネを演じていた。
今回の映画「真実のマレーネ・ディートリッヒ」は、ドキュメンタリー映画で、マレーネのステージ上の姿を映した映像は少ないが、マレーネと親しかった関係者から貴重なエピソードが聞かれ、これまで知られていなかったマレーネの素顔や、今なお愛され続ける理由を垣間見るようだった。
  
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2004年04月24日

イメージを具現化した「ピーター・パン」

実写版の映画「ピーター・パン」を観た。
ピーター・パンは、1904年(明治37年)に、イギリスの作家ジェームズ・マシュー・バリーが書いた作品が戯曲として上演され、これまで、小説や絵本の他に、アニメーション、芝居、ミュージカルなど様々な形で映像化や舞台化され、世界中で愛されてきた作品だ。
この映画「ピーター・パン」は、ロンドンでの初上演から100年となる今年、最新のSFXを駆使して、実写版の映画として公開された。
これまで、ピーター・パンの役は、すべて女性が演じてきたそうだが、今回初めて少年によって少年の役が演じられたそうだ。
やきもち焼の妖精ティンカーベルは、言葉を話さず、すべて表情とゼスチャーによって表現され、特撮によって、羽や、宙を舞うときに散らす虹色の粉を描き、チャーミングで幻想的な姿を見せる。
昔から、舞台では、ピーター・パンの宿敵フック船長とウエンディの父親とは、同じ俳優が二役で演じる習わしになっているそうで、この映画版でも同じ俳優が二役を演じているが、残忍だがエレガントでどこか悲しげな表情を見せるフック船長と、生真面目で上役の顔色ばかり窺っている厳格な銀行員の父親が同じ俳優とは、言われなければわからないほど対極にあるキャラクターだ。
この映画版「ピーター・パン」には、ダイアナ元英国皇太子妃の恋人で、ダイアナ元妃と共に死亡したドディ・アルファイド氏の父親で、英国の名門デパート「ハロッズ」や「リッツ・ホテル」の現在のオーナーでもあるアラブの富豪、モハメッド・アルファイド氏がプロデューサーとして名を連ね、エンドロールには「この映画を故ドディ・アルファイドに捧ぐ」とクレジットされている。
空を自在に飛び回るピーター・パンの姿や、幻想的なネバーランド、恐ろしげな海賊たちなど、作品中のイメージをすべて具現化したファンタジックな映像で、とても楽しませてくれる作品だ。
  
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2004年04月21日

離婚大国アメリカならではの「ディボース・ショウ」

ジョージ・クルーニーとキャサリン・ゼタ=ジョーンズ主演の映画「ディボース・ショウ」を見た。
「ディボース・ショウ(Divorce Show=離婚劇)」は、結婚する人よりも離婚する人の方が多いのではと思わせる離婚大国アメリカの離婚事情をコミカルに描いた作品で、原題は「Intolerable Cruelty(耐えられない残酷さ)」。
ジョージ・クルーニー演じる離婚問題専門の弁護士と、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ演じる結婚と離婚で財を築くことを狙う女性とが、狐と狸の化かし合いのような駆け引きを繰り広げ、やがて、弁護士は立場を超えて女性に惹かれていく。
劇中で、鏡に向かって作り笑いしながら歯の浮くようなセリフを練習しているジョージ・クルーニーの姿が可笑しかった。
  
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2004年04月20日

いかりや長介さんの遺作となった「恋人はスナイパー」

先月、亡くなったドリフターズのリーダー、いかりや長介さんの最後の出演作となった映画「恋人はスナイパー(劇場版)」を観た。
「恋人はスナイパー(劇場版)」は、水野美紀演じる女刑事と内村光良演じる国際的なスナイパーが恋人同士という設定のテレビ・シリーズに、トラベル・ミステリーでお馴染みの推理作家・西村京太郎氏が1978年(昭和53年)に発表した「華麗なる誘拐」の犯罪プロットを取り入れて映画化された作品だ。
西村京太郎原作の「華麗なる誘拐」からは、“無差別連続殺人を行う犯人グループが「日本国民全員を誘拐した。誘拐の定義は、人質の命をいつでも奪うことが可能な状態」として、実際に人質を取ることなく、政府に巨額の身代金を要求する”という犯罪のプロットだけが使われている。
「華麗なる誘拐」では、喫茶店の砂糖に青酸カリが入れられて、無差別に一般市民が殺害されるが、「恋人はスナイパー」では、犯人グループによる無差別狙撃事件という形に置き換えられている。
西村京太郎氏の「華麗なる誘拐」は、発表当時、大胆な着想から話題となり、「華麗なる誘拐」にヒントを得たのではないかとも言われる「青酸コーラ事件」が起きたり、その後の「地下鉄サリン事件」のような無差別殺人を予見したかのような先見性のある作品として知られている。

「恋人はスナイパー」では、世界の要人を次々と暗殺してきたという国際的スナイパーを演じるウッチャンの、凶悪犯には見えない風貌と、どこか寂しげな表情が、「根は優しい孤独なスナイパー」という役柄によく合っていた。
ウッチャンも得意のカンフーを披露しているが、スナイパーの恋人で刑事役の水野美紀も、かなり激しいアクション・シーンに挑んでいた。
長さんは、刑事役の水野美紀の父親役で、中華料理屋の親父を飄々(ひょうひょう)と演じていた。
長さんの温かみのある演技が、もう見られないかと思うと実に寂しい。
中村獅童の悪役ぶりや、竹中直人のうさん臭い犯罪組織のボス役や、阿部寛の外国帰りのエリート弁護士役など、それぞれ実によく合ったキャラクターを演じている。
「恋人はスナイパー」は、元々テレビ・シリーズの劇場版という位置付けのせいか、個性派を揃えたキャスティングと大胆なプロットのわりには、盛り上がりが少なく、やや物足りない印象だ。
もう少し、事件の核心部分や、解決に至る道筋をしっかり見せてほしかった。

最後に、この場を借りて・・・。
いかりや長介さんのご冥福をお祈りします。
  
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2004年04月18日

ディズニーのコミカル・ホラー「ホーンテッド・マンション」

先行上映で、エディー・マーフィー主演のディズニー映画「ホーンテッド・マンション」を観た。
「ホーンテッド・マンション」とは「幽霊屋敷」の意味。
映画「ホーンテッド・マンション」は、ディズニーランドの人気アトラクションであるお化け屋敷「ホーンテッド・マンション」を、最先端のSFXを駆使して映像化したコミカルタッチのホラー作品だ。
エディー・マーフィー演じる不動産屋が、家族連れの旅行の途中で売買を依頼された大邸宅に立ち寄ると、そこは呪われた幽霊屋敷で、一家は屋敷に閉じこめられ様々な危険に遭遇する。
荘厳な雰囲気の屋敷と、SFXによる幻想的な映像が“別な世界”を演出し、その中で、戸惑い、逃げまどうエディー・マーフィーの姿が笑いを誘う。
約1時間半と短めの作品だが、ストーリーもよくまとまっていて、ロマンティックでもあり、ファンタジックでもあり、楽しめる作品だ。
  
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2004年04月17日

ミュージカル映画の名作「ウエスト・サイド物語」

ニュープリント・デジタル・リマスター・バージョンとしてリバイバル上映されたミュージカル映画の名作「ウエスト・サイド物語(ウエスト・サイド・ストーリー)」を観た。
1961年に公開された映画「ウエスト・サイド物語」は、「ロミオとジュリエット」をベースに、舞台を現代のニューヨークに置き換え、白人の不良少年グループとプエルトリコ系不良少年グループの対立抗争と、白人青年とプエルトリコ娘の禁断の恋を描いた大ヒット・ブロードウェイ・ミュージカルを映画化した作品だ。
映画の冒頭、ドラマがスタートするのでもクレジットが出るのでもなく、レナード・バーンスタイン作曲の劇中曲をオーケストラ演奏のメドレーで流し、画面にはマンハッタン島をモチーフにした単色の図柄が写り、その背景色が少しずつ変化していくという独特のシーンが数分間続くのが印象的で、ストーリー全体を象徴したような雰囲気が漂い、画面がマンハッタン島上空から急降下するようにダウンタウンのスラム街がクローズアップされていく大胆な映像に移った頃には、一気に物語の中に引き込まれている。
「ウエスト・サイド物語」は、ミュージカルに、人種間の対立などの社会性を持たせた最初のミュージカルだと言われている。
乱闘シーンや張り合うふたつのグループの感情などを踊りと音楽だけで表現したジェローム・ロビンスの斬新なスタイルは、後のミュージカルに多大な影響を与えている。
ほとんどセリフがなく、踊りと歌だけで物語を運ぶ場面も多いが、逆に、終盤では音楽がなくなり、セリフだけのシーンが続くなど、メリハリの利いた演出でストーリー性を際立たせる展開となっている。

ヒロイン役のプエルトリコ娘「マリア」を演じたナタリー・ウッドは、ジェームス・ディーン主演の「理由なき反抗」でジェームス・ディーンの相手役を演じるなど、1950年代〜60年代に青春スタートして一世を風靡した女優だ。
プエルトリコ人グループのリーダー「ベルナルド」を演じたジョージ・チャキリスは、実際にはギリシャ系の白人だが、彫りの深い顔を褐色にメイクして、抑圧され屈折したプエルトリコ移民の青年をニヒルで個性的な表情で演じ、アカデミー賞助演男優賞を受賞している。
ダイナミックで華麗な抜群のダンスを見せるジョージ・チャキリスは、舞台版「ウエスト・サイド物語」のロンドン・ツアー・カンパニーで、映画版とは逆の白人グループのリーダー役を演じていて、映画版の出演者の中では、唯一、舞台版にも出演している俳優だ。
ジョージ・チャキリスは、その後、度々来日し、日本のドラマに出演したり、一時期、日本に居住するなど、親日派としても知られている。
ベルナルドの恋人アニタ役のリタ・モレノは、役柄同様にプエルトリコ出身で、「ウエスト・サイド物語」では、ジョージ・チャキリスと揃って、アカデミー賞助演女優賞を受賞している。
他に、映画「ウエスト・サイド物語」は、1962年の第34回アカデミー賞で、作品賞、監督賞、撮影賞、ミュージカル音楽賞、美術賞、録音賞、編集賞、衣装デザイン賞の計10部門と特別賞を受賞している。
「マリア」や「アメリカ」、「トゥナイト」、「アイ・フィール・プリティ」などレナード・バーンスタインが作曲した「ウエスト・サイド物語」の劇中曲は、そのどれもが、スタンダード・ナンバーと言ってよいほど親しまれている名曲揃いだ。
ストーリー展開と絶妙に絡み合った音楽とダンスが相まって、40年以上経った今見ても非常に新鮮で、ミュージカル映画の傑作と言える作品だ。
  
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2004年04月14日

松本清張の代表作を映画化した「砂の器」

松本清張の代表作である社会派サスペンス「砂の器」の映画版をリバイバル上映で観た。
映画「砂の器」は、丹波哲郎さんと加藤剛さんの主演で1974年に映画化された作品で、知られたくない過去を隠すために少年時代の恩人を殺してしまった新進気鋭の音楽家と事件を追う刑事の物語。
最近、リメイクされた中居正広主演の連続ドラマや、田村正和さんや佐藤浩市さんなどの主演で、過去に何度か放映されたテレビ版と違って、映画版「砂の器」では、どちらかというと、刑事役の丹波哲郎さんが主役で、物語は、事件を追う刑事の視点で描かれている。
この刑事は、中居君のテレビ版「砂の器」では、渡辺謙さんが演じている役どころだ。
テレビ版の主人公である音楽家役の加藤剛さんには、ほとんどセリフが無く、前半はサングラスをかけて、素顔も見せないという独特の演出となっている。
天才音楽家役の加藤剛さんは、サングラスを取ると、冷たい表情の奥に熱い思いを秘めた独特の雰囲気で存在感があり、特に全身全霊を賭けた音楽会シーンのクライマックスは圧巻だ。
推理に熱中した刑事役の丹波哲郎さんが、喫茶店で資料調べに没頭しながら、溶けてしまったアイスクリームを飲んでいたのが印象的だった。
フーテンの寅さんでお馴染みの渥美清さんが、ちょい役だが要でもある、どことなく陽気な映画館の支配人役で出演している。
終盤、刑事の推理が真犯人へとたどり着いてからは、ほとんどセリフが無く、回想シーンで、美しい各地の風景と、激しく盛り上がっていくオーケストラの演奏に重ねて、主人公の悲惨な生い立ちと殺人の動機に迫っていくシーンに、全体の3分の1近い時間を割いている。
少年時代と現在とが重なって映し出されるが、少年時代を演じる子役の目鼻立ちがはっきりしていて加藤剛さんにとてもよく似た感じで、全く違和感がなく、回想シーンに浸ることができる。
物語のテーマは重いのだが、情緒ある美しい映像と、力強く美しい音楽と相まって、重苦しい印象を残さない映画だった。
  
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2004年04月12日

デンゼル・ワシントン主演サスペンス「タイムリミット」

デンゼル・ワシントン主演の映画「タイムリミット」を見た。
映画「タイムリミット」は、アカデミー俳優デンゼル・ワシントン演じるフロリダの小さな島の警察署長が、何者かに陥れられ、殺人犯人にされそうになっていくサスペンスで、原題は「Out Of Time(時間切れ)」。
捜査を担当する殺人課の刑事は、離婚を申し立てている別居中の妻で、署長を犯人と示す証拠ばかり出る中で、時間に追われながら自力で解決しようと奔走する。
署長の妻で殺人課の刑事を演じるのは、アントニオ・バンデラス主演の「レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード」でジョニー・デップ演じるCIA捜査官を翻弄していたラテン系女優のエヴァ・メンデス。
署長を陥れる暴力的な男を演じていたのは、テレビ・シリーズの「新スーパーマン」で、クラーク・ケント(スーパーマン)を演じた日系ハーフの俳優、ディーン・ケインだ。
署長の友人で検死官役のジョン・ビリングスリーが、ユーモラスで味のある演技を見せていた。
海の近くの小さな町の雰囲気が、ワイルド・シングスやダブル・ジョパディーにも似ていた。
ブルージーな曲やラテン系の曲など、サウンド・トラックもなかなかよかった。
  
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2004年04月10日

田宮二郎主演、最初の映像化「白い巨塔」

映画版「白い巨塔」をリバイバル上映で観た。
山崎豊子原作のベストセラー小説「白い巨塔」は、腐敗した医学界の裏側を鋭く描いた社会派サスペンスだ。
「白い巨塔」は、1967年(昭和42年)に佐藤慶主演や、1978年(昭和53年)に田宮二郎主演などでテレビ・ドラマ化され、最近も唐沢寿明主演でリメイクされて話題になったが、映画版はドラマ化よりも早い1966年(昭和41年)に田宮二郎の主演で最初に映像化された作品だ。
この映画版「白い巨塔」も、先日見た「野獣死すべし」と同じく、リバイバル上映のモノクロ映画だが、カラーだったら、冒頭から生々しく映し出される手術シーンでは目を背けてしまうだろう。
野獣死すべし」で刑事役を演じていた水戸黄門の東野英治郎さんが、「白い巨塔」では、退官間際の医学部教授役で、その後釜の教授の座を狙って、田宮二郎演じる出世欲に取り憑かれた助教授らが様々な裏工作を繰り広げる。
良心的な研究者タイプの助教授を若き日の田村高広さんが演じている。
東野英治郎さん演じる医学部教授の娘を演じる藤村志保さんが、昨年夏、パフォーミング・アート・センター公演で私が音楽を担当した井上ひさしさん原作の「雨」で主演した新人女優にとてもよく似ていた。
教授の地位に執着する田宮二郎の鬼気迫る演技とリアルな描写で、非常に見応えのある映画だった。
  
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2004年04月07日

仲代達矢主演の初代「野獣死すべし」

大藪春彦原作、仲代達矢主演の映画「野獣死すべし」をリバイバル上映で観た。
「野獣死すべし」というと1980年に映画化された松田優作主演版を思い浮かべるが、今回観たのは、1959年に仲代達矢主演で最初に映画化された“初代”「野獣死すべし」だ。
主演の若き日の仲代達也さんは、異様な目の光り方で、頭脳明晰で冷酷な犯罪者の役にとてもよく合っていた。
水戸黄門でお馴染みの東野英治郎さんが事件を追うベテラン刑事の役で出ていたり、白川由美さんが若い刑事の恋人役で出ていたり、何人か見たことのある俳優も出演していた。
「野獣死すべし」は、ハードボイルド作家・大藪春彦氏のデビュー作で、国産ハードボイルド小説第一号ということだが、当時としては斬新だったと思われる犯罪の動機や犯罪者の心理描写など、21世紀の現代社会を暗示しているようで、50年近く年前に描かれているとは驚かされるが、主人公の設定や行動には、大藪春彦氏自身の生い立ちや青春時代が投影されているそうだ。
モノクロ映画をスクリーンで観たのは初めてだったが、とても見応えのある作品だった。
  
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2004年04月05日

ジャック・ニコルソンがセラピストを演じる「N.Y.式ハッピー・セラピー」

ジャック・ニコルソンとアダム・サンドラー主演の映画「N.Y.式ハッピー・セラピー」を観た。
「N.Y.式ハッピー・セラピー」は、セラピー大国アメリカならではの、カウンセリングにまつわる騒動を描いたコメディーで、原題は「Anger Management」。
アダム・サンドラー演じる平凡で優柔不断な男が、ものの弾みで暴力行為を働いた凶暴な人物とされて、裁判所の命令でジャック・ニコルソン演じるイカれたセラピストの「怒り抑制セラピー(Anger Management)」と呼ばれるカウンセリングを受ける羽目になる。
セラピストにかかる必要のない大人しい人物が、常軌を逸したような過激なセラピストのせいで、様々なトラブルに遭遇する。
実生活で、他人の車をゴルフクラブでめった打ちにして大暴れしたこともあるジャック・ニコルソンが、劇中で他人の高級車をバットを振り回して破壊するなど、ギャグかと思わせるようなシーンもあった。
ラストのニューヨークのヤンキー・スタジアムでのシーンでは、ジュリアーニ・元ニューヨーク市長や大リーグ・ヤンキースのスター選手や様々な有名人が、それぞれ本人の役で出演しているのも見所のひとつだ。
劇中、セラピーを受けている一風変わった患者たちが、キレそうになると、「グースフラバー、グースフラバー」と意味不明のまじないを唱えて感情を抑えようとしていて、ウィル・スミスとマーティン・ローレンス主演の「バッドボーイズ2」でも、逆上しそうになると、皆、深呼吸しながら「ウ〜サァ〜、ウ〜サァ〜」と唱えていたのを連想したが、こうしたシーンが笑いを誘うのも、セラピーが歯科医よりもポピュラーだとも言われるアメリカならではのものだろう。
  
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2004年04月01日

韓国で実際に起きた事件を元に描いた「殺人の追憶」

韓国映画「殺人の追憶(Memories of Murder)」を観た。
「殺人の追憶」は、1980年代軍事政権下の韓国で実際に起きた未解決の「ファソン連続殺人事件」と呼ばれる事件を元に映画化した作品で、農村で連続して起こる猟奇殺人を追って奔走する刑事たちの姿を描いている。
横暴な刑事たちがずさんな捜査を繰り返し、真犯人に迫れずにいる間に新たな殺人が起こっていく。
「ファソン連続殺人事件」は、実際に迷宮入りした事件で、韓国で、「私に会いに来て」という題名で舞台化もされていて、96年から繰り返し上演され、人気を博しているそうで、「殺人の追憶」のポン・ジュノ監督は、舞台版に触発されて映画化を思い立ったということだ。
主人公の後輩でコンビを組む暴力刑事役のキム・レハと、頭の弱い容疑者役のパク・ノシクは、舞台版でも同じ役を演じているそうだ。
主演のソン・ガンホは、野暮ったい愚鈍な刑事を演じるために体重を10キロ増やしたという。
劇中、ところどころコミカルなシーンもあるが、救いようのないストーリーで、全体的には重くどんよりとした雰囲気の映画だ。
それまでの暗い雰囲気とは対照的なのどかな田園風景のラストシーンで、「殺人の追憶」という題名の由来がわかった。
  
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