映画「真実のマレーネ・ディートリッヒ」は、「リリー・マルレーン(Lili Marleen)」や「花はどこへ行った(Where Have All The Flowers Gone)」などのヒット曲や映画「嘆きの天使(Der Blaue Engel)」や「モロッコ(Morocco)」などで知られる伝説的な歌手で女優のマレーネ・ディートリッヒの波乱に満ちた生涯を、関係者の証言を交えて綴ったドキュメンタリー映画で、原題は「Marlene Dietrich Her Own Song」。
これまでにも、マレーネ・ディートリッヒの生涯を描いた作品はいくつかあるが、この映画はマレーネの実の孫が監督した作品で、インタビューには、マレーネの娘(監督の母)や、マレーネの友人や仕事仲間など、当時を知る関係者が多数登場して、生前のマレーネ・ディートリッヒについて語る。
ドイツ出身のマレーネは、第一次大戦後、ナチスの台頭するドイツからアメリカに亡命して、ハリウッドで一躍スターダムに乗るが、第二次大戦に突入して、マレーネはアメリカ市民として米軍兵の慰問を積極的に行い、軍服姿で前線を回り続け、戦後、合衆国から自由勲章を授与される。
しかし、戦後、ドイツ公演を行った際には、ドイツ人のファンから歓迎されると同時に、アメリカに亡命し、米軍に従軍していたことから、祖国を裏切った「裏切り者」と非難されるなど、複雑な立場に立たされる。
マレーネ・ディートリッヒにまつわる作品は、日本でも、元宝塚男役スターの大浦みずきさんが「マレーネ・ディートリッヒ・ストーリー」という作品で、マレーネ・ディートリッヒを演じていた。
「マレーネ・ディートリッヒ・ストーリー」は、ロンドンで上演されていた舞台作品で、どちらかといえば、マレーネの全盛期ではなく、1970年代以降の後年のマレーネの姿を描いた作品で、日本版では、大浦みずきさんが、独特の低い声でオーラを放つマレーネを演じていた。
今回の映画「真実のマレーネ・ディートリッヒ」は、ドキュメンタリー映画で、マレーネのステージ上の姿を映した映像は少ないが、マレーネと親しかった関係者から貴重なエピソードが聞かれ、これまで知られていなかったマレーネの素顔や、今なお愛され続ける理由を垣間見るようだった。