2012年01月25日

ショートショート「ネカフェ・ネロ」

「ベッドあたためます!」「ドレイク」「暇つぶし」「進化(革命)」「新たな歓び」に続いて、“オーストラリア・プログラム”最後の作品「カフェ・ネロ(Nero's)」──オーストラリアのジョエル・ロクストン監督によるモノクロ作品で、カフェ“ネロの店(Nero's)”でアルバイトすることになった青年が、他の従業員たちに挨拶をして、さっそくコーヒーを運ぶ係として働き始めるが、初老のオーナー・ネロは、従業員たちにガミガミとうるさい、いけ好かない人物で、些細なことで厨房にいるインド系の無口な従業員に当たり散らしたりしているが、興奮した拍子に心臓発作で倒れてしまうが、ネロを快く思っていない古手の従業員たちは救急車を呼ばず、知らん顔してしばらく放置しておくが、やがて、厨房の従業員が気づいて救急車を呼ぶという短い作品で、先程の「ドレイク」や「暇つぶし」などと同様に大きな展開があるわけではないが、なかなか緊張感もあって面白かった。
パーカッシブなウッドベースとドラムを前面に出したミステリアスな雰囲気の音楽もよかった。
今回の“オーストラリア・プログラム”は、比較的短めな作品が中心だったが(1時間のプログラムに6作品上映)、どれもなかなか面白かった。
また、今回の“オーストラリア・プログラム”6作品のうち、「暇つぶし」と「カフェ・ネロ」の2作品がモノクロだったが、モノクロ映像は静かで情緒的な雰囲気を醸し出していて味わい深い。──最近の作品では、「白いリボン」もモノクロ映像が印象的な作品だった。
「カフェ・ネロ」の厨房設備で、“GOLDSTEIN(ゴールドスタイン)”というロゴがあったが、日本の“HOSHIZAKI”のようなものらしい。

★★★☆☆
  

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ショートショート「新たな歓び」

「ベッドあたためます!」「ドレイク」「暇つぶし」「進化(革命)」に続いて上映された「新たな歓び(SCOFF=嘲笑)」──昨年観た「エドガーとエリザベス」も手掛けているオーストラリアのレニー・ウェブスター監督による作品で、農場で働く男たちの世話をする冴えない女性を、荒くれ男たちが、からかう姿を描いた作品で、甘いものに目がない女性が、ケーキをつまみ食いして、全部食べきってしまうまでの時間を賭けたり、何かと女性をからかい、そのうち様子に変化が見えてきた女性が、屋外の囲いの中でシャワーを浴びる女性を覗いたり、相変わらず、興味本位で女性をからかおうとしていると、女性は男と逢っていたというだけのストーリーで、特に面白みもなかった。
冒頭で映し出された、朝陽をバックに人物のシルエットが浮かび上がる映像が、先程の「ドレイク」に似ていたが、オーストラリアの強い日差しの朝陽や夕陽は、こうした陰影の強いシルエットを浮かび上がらせるのだろうか。
また、最後に、“水は大事に使おう(Use water wisely)”と出ていたが、オーストラリアというと天然資源が豊富なイメージがあるが、「ベッドあたためます!」も環境問題をテーマにしたコメディだったが、全体に欧州は環境問題への意識が高いのだろう。
日本は、幸い水資源に恵まれていて、大気汚染の削減や──昨年の大震災による原発事故の影響で──節電に主眼が置かれているが、世界的に見ると、フランスのショートフィルム「Ra」でも描かれているように、近い将来、水不足が深刻な問題となっていくのだろう。
続いて、「ネカフェ・ネロ」

★★☆☆☆
  
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ショートショート「進化(革命)」

「ベッドあたためます!」「ドレイク」「暇つぶし」に続いて、「進化(革命)/(R)evolution」──オーストラリアのマイケル・キューザック監督による実写とストップモーション・アニメーションを組み合わせた作品で、薄暗く不気味な雰囲気の実験室で、本人がモンスターかクリーチャー風の科学者が、茶色い粘土の粉でなにやら研究しているが思うように進まず、科学者が席を離れた後、科学者のクシャミから飛び散った緑色の鼻水が粘土の粉に混ざり、魂を与えられた粘土は、独りでに形を作っていき、ただの粘土の塊から二体の小さなクリーチャーになって動き出し、やがて、目玉ができて手足が出てくると、二体は研究室の丸い台の上でケンカを始める。──小さな粘土の塊のモンスターが丸い台の上で、ぶつかり合う姿は、まるで相撲のようだが、案外、相撲にヒントがあるのかもしれない。
そして、さらに進化して、大声を出して相手を威嚇したり、噛みつくことを覚え、武器を使うことまで覚えるが、その武器がアダになって結局共倒れして、元の粉に戻ったところに、何も知らない科学者が戻ってくるという結末を迎えるが、進化をしたがために争いを始めて、その文明故に自滅するという展開は、人類の行く末を暗示しているようで、示唆に富んでいて興味深い。
「進化(革命)」は、全体に緑がかった映像で、科学というより呪術のような雰囲気の研究室を舞台にした、ちょっと不気味なSF作品で、ちょっと「ナイン」を思い起こさせるような要素もあって、独創的でなかなか面白かった。
「進化(革命)/(R)evolution」は、“進化(Evolution)”と“革命(Revolution)”をかけた「(R)evolution」という非常に面白いタイトルだが、こういう語呂合わせや言葉遊び的な題名は訳しにくいだろう。
続いて、「新たな歓び」

★★★☆☆
  
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ショートショート「暇つぶし」

「ベッドあたためます!」「ドレイク」に続いて、「暇つぶし(Pass Time)」──オーストラリアのイーヴ・ステニング監督による作品で、かつては、オーストラリア初の女性不動産業者として活躍したという老婦人がボケてしまって、久しぶりに訪ねてきた、映画学校に通う孫を相手に、同じ昔話を繰り返し話す様子をセピアがかったモノクロ映像で描いた作品で、ストーリーに大きな展開があるわけではないが、生き生きと若き日の活躍を話す老婦人と、優しく話を聞きながらも、時々ついイラついてしまう青年の姿が実に自然で、独特のモノクロ映像も情感を感じさせる、いい雰囲気の作品だった。
老婦人が、“あなた、ハンサムね。ポール・ニューマンに似てるわ”と孫を褒めると、青年は──映画学校に通ているのにポール・ニューマンを知らないのか(!?)──、“あのパスタソースの人?”と聞き返すのが可笑しかった。(ポール・ニューマンは、ドレッシングやパスタソースを販売する“ニューマンズ・オウン”のオーナーとしても有名なのだ)
続いて、「(R)evolution」

★★★☆☆
  
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ショートショート「ドレイク」

「ベッドあたためます!」に続いて、ブリリアショートショートシアターで“オーストラリア・プログラム”として上映された「Drake(ドレイク)」──オーストラリアのクリストフ・レイナー監督による作品で、車を走らせていた父親が、燃えるような夕陽をバックに、妻と子供と一家三人の写真を撮ろうと三脚を立ててセルフタイマーで写そうとするが、タイミングが合わなかったり、退屈した子供が動き出してしまったりしているうちに、イラついた父親が妻に暴力を振るい始めて、それに起こった妻が子供だけを乗せて、夫を置き去りに走り去ってしまう様子を、遠くから固定カメラで映したワンカットだけのセリフのない作品で、ストーリーは、ただそれだけだが、美しい夕陽をバックにシルエットで浮かび上がる家族の映像が、とても美しく印象的で、なかなか面白かった。
シルエットだけなので、はっきりとは分からないが、一家の乗っていた車は、70年代の初代ホンダ・シビックのようだった。
続いて、「暇つぶし」

★★★☆☆
  
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ショートショート「ベッドあたためます!」

ブリリアショートショートシアターで、“オーストラリア・プログラム”として上映された「ベッドあたためます!(The Bedwarmers)」──オーストラリアのパスカル・マーケイ監督による作品で、環境問題に対する意識が高い近未来を舞台に、体温が異常に高い人々が公的な資格を取得して他人の家のベッドを暖める“ベッド・ウォーマー(ベッド暖め隊)”なる職業に従事している姿をドキュメンタリー風に描いた作品で、モジモジくんのようなぴっちりした全身タイツに身を包んだ、業界の第一人者のような、ちょっと意地悪な先輩と、力をつけてきた後輩の二人の“ベッド・ウォーマー”が、ある家のベッドを暖めているが、先輩は、後輩が、まだ誰も達成したことのない日本式の布団(英語でもフトンと呼んでいた)を規定の温度まで暖めたことに焦りを覚えるが、業界の先駆者である先輩は、実は、バッテリーを使った電気毛布を身につけてインチキしていたことが発覚して逮捕されるという展開で、新たに第一人者となった後輩が、逮捕された先輩についてのコメントを語ったり、最後までドキュメンタリー風にできていて、なかなかユニークな作品で面白かった。
逮捕された先輩が連れて行かれる“パトカー”も、二人の警官が漕ぐ自転車で、被疑者はロープに繋がれて付いていくという徹底したエコぶりが可笑しかった。──「ベッドあたためます!」は、ショートショート・フィルムフェスティバルの“ストップ!温暖化”部門にエントリーされてもいいような作品だ。
最後に、夏には新たなビジネス“ベッド・クーラー(ベッド冷やし隊)”が登場するというオマケ付きだった。
続いて、「ドレイク」

★★★☆☆

みなとみらい21
山下公園から“みなとみらい”をフィルム・カメラで撮影。

みなとみらい21
遊覧船シーバスの船上から“みなとみらい”をフィルム・カメラで撮影。
  
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2012年01月24日

すり鉢山


すり鉢山
近所の公園の通称“すり鉢山”と呼ばれる山の入口をフィルム・カメラで撮影。
  
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2012年01月19日

全米ポップコーンの日


公園のベンチ

今日、1月19日は、“全米ポップコーンの日”なのだそうだ。。。??
そんなことは、どうでもいいとして・・・
近所の公園のベンチが、映画のワンシーンにしたいような寂しげな風情を醸し出していたので、愛用のフィルム・カメラで撮影(*^^)v
  
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2012年01月16日

ジャッキー・チェン主演「プロテクター」

「プロジェクトA」、「プロジェクトA2」に続いて、ブリリアショートショートシアターの“香港祭”で上映された「プロテクター(原題:The Protector/威龍猛探)」──「バトルクリーク・ブロー」に続く、ジャッキー・チェンのアメリカ進出第二弾となるジェームズ・グリッケンハウス監督による1985年公開の作品で、ジャッキー・チェン演じるニューヨーク市警の刑事が、パーティー会場から拉致されて香港に連れて行かれた裏社会の大物の娘であるファッションデザイナーを助け出すために、白人の刑事とコンビを組んで、勝手知ったる香港に乗り込んで、香港裏社会の大ボスと対決するという展開のアクション作品で、ジャッキー・チェンの独創的で奇抜なアクションも多いが、同時代ということもあって、クリント・イーストウッド主演の「ダーティ・ハリー」に似たハードボイルド風の趣もあり、また、異邦人が敵を追って、管轄外で暴れまわる様子は、クリント・イーストウッドの「マンハッタン無宿」や、マイケル・ダグラス主演の「ブラック・レイン」を思わせる。
前半のニューヨーク市内の景色では、当然ながら、ワールド・トレード・センターのツインタワーが立派にそびえる姿が映っていた。一方、自由の女神は、工事中で、完全に囲われて、ほとんどその姿が見えなかったのが惜しい。
そして、実質的なドラマは香港に渡ってからで、大物マフィアに恐れをなした現地警察が協力的でなかったり、いきなりマフィアの手先から手荒い歓迎を受けたりと、この手の“異邦人モノ”の常道だが、猥雑な独特の雰囲気の香港を舞台に、ジャッキー・チェンが奇抜でダイナミックなアクションを次々披露して、目を見張るシーンの連続でとても楽しめる。

「プロテクター」は、オリジナルのアメリカ版の他に、ダーティーハリーばりのハードボイルド的な演出に拒否感を示したジャッキー・チェンが、多くのシーンを自ら取り直して差し替えたジャッキー版があるそうで、アメリカ以外の地域での公開やビデオソフトの発売は、もっぱらジャッキー版だったそうだが、今回上映されたものは、オリジナル版のようなので、貴重な機会なのかもしれない。
ただ、フィルムの状態がよくないのか、音声が全体的に“シュワ〜〜ン”とフランジャー(音声効果を与えるエフェクターの一種)がかかっているような違和感のある音質だった。
冒頭、コンボイ・トラックが、「マッドマックス」か「北斗の拳」かというサイバーパンク風の武装強盗団に襲われ、続いて、ジャッキー・チェン演じるNY市警の刑事が、相棒と立ち寄ったカフェで、強盗に遭遇して、相棒を殺され、その仇討ちで、執拗に犯人を追跡して、最後は、ボートでのチェイスとなり、ジャッキーが乗っていたボートを犯人のボートに突っ込ませて爆破してしまうという派手な追跡劇を演じて、そのために交通整理やパーティー警備に配置換えされるという展開で、カフェの強盗と配置換えは分かるが、最初の“マッドマックス”は、ジャッキーの見せ場があるわけでもなく、ほとんど意味のないシーケンスだった。
何はともあれ、今回の「プロテクター」は、ジャッキーらしさやオリジナリティは薄いものの、なかなかよくできていて面白かった。

★★★★☆

三宝庵・彩りおろしそば

三宝庵・そばがきの揚げ出し
横浜スカイビルにある蕎麦店“三宝庵”で、彩りおろしそばと、そばがきの揚げ出しを食べる。
彩りおろしそばは、いわゆる“ぶっかけ”タイプの蕎麦で、見た目もカラフルでなかなか美味しい♪
そばがきの揚げ出しも美味しかった♪(*^^*)
  
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2012年01月07日

溝口健二監督「折鶴お千」

小津安二郎監督の「出来ごころ」に続いて、神保町シアターの特集“巨匠たちのサイレント映画時代”で上映された「折鶴お千」──泉鏡花の「売色鴨南蛮」を原作に、溝口健二監督が映画化した昭和10年(1935年)公開のサイレント作品で、今回は、生演奏や弁士による生の語りは付かず、公開当時、収録された活弁士・松井翠声氏による活弁と、松井氏の選曲によるBGMが付いたサウンド版での上映となる。
「折鶴お千」は、当時17〜18才の山田五十鈴さん(!)演じる娼婦お千が、親戚でも恋人でもない年下の青年のために、身を犠牲にして、青年を養って医学部に入れようとする姿を描いた作品で、停電で電車が止まったところから過去への回想として、青年と女性が貧しさ故に苦しみ、悪漢たちに虐げられる日々が描かれているが、あまりに理不尽かつ酷い苛められ方で、伊野紗紀監督の「正当防衛」を思い起こさせる。
そして、最後は、山田五十鈴さん演じる青年に献身的に尽くしてきた娼婦は無実の罪で牢獄へ送られ、無力だった青年はやがて立派な医師になるが、姉のようでもあり母のようでもあった娼婦は、過酷の環境の中で精神に異常を来しているという救いのないラストを迎える。

「折鶴お千」は、叙情的で印象的な映像が映し出されたりもするのだが、──昔の弁士による活弁は、こんな感じが普通だったのだろうが──今回の「折鶴お千」に収録されている松井翠声氏の活弁は、シリアスなドラマに似つかわしくないトボけた声で、役による声の違いもなく、単に画面に現れる字幕を棒読みしているだけという印象で、先ほどの「出来ごころ」の片岡一郎さんや、片岡さんの師匠である澤登翠さんの見事な話芸を聴き慣れていると物足りなく、いかにも昔の“活動写真”というイメージで古くさい印象だった。
また、山田五十鈴さん演じる情婦が、なぜ、縁もゆかりもない青年に、そこまで尽くすのか理解しがたく、悪漢たちによる執拗な虐待になされるままになっている青年の姿と合わせて、感情移入しにくい作品だった。
「折鶴お千」も、おそらく、澤登翠さんや片岡一郎さんの活弁で観たら、情感が際立って、全く違った印象だったのではないかと残念に思われる。
冒頭のオープニングのタイトルバックに、“ムテシス・ドンウサ〜〜〜”と出て、何だろう?と思ったら、「出来ごころ」の“ルービンオニユ(ユニオンビール)”同様、右から書かれた“〜〜〜サウンド・システムだった。
この後、久しぶりに、友人のKプロデューサーと会食。

★★☆☆☆
  
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小津安二郎監督「出来ごころ」

神保町シアターで開催された“巨匠たちのサイレント映画時代”で上映された小津安二郎監督の「出来ごころ」──昭和8年(1933年)に公開された小津安二郎監督の“喜八もの”と呼ばれるサイレント映画で、小津安二郎監督の「浮草物語」にも主演し、「学生ロマンス・若き日」「淑女は何を忘れたか」「淑女と髯」「東京の合唱」「青春の夢いまいづこ」など多くの小津作品に出演し、戦後のトーキーでは、「日本一のホラ吹き男」や「鶏はふたたび鳴く」にも出演している坂本武さん演じる喜八を中心にした人情喜劇で、以前、新文芸坐でも観ているので、二度目の鑑賞で、今回も前回同様、片岡一郎さんの活弁付きで、さらに、柳下美恵さんのピアノ演奏を伴っての豪華な上映で、会場は満席。
そして、喜八役の坂本武さんと同じく、「浮草物語」「学生ロマンス・若き日」「淑女は何を忘れたか」「淑女と髯」「東京の合唱」「青春の夢いまいづこ」「大学は出たけれど」「落第はしたけれど」などの小津作品に出演し、戦後は、「鞍馬天狗・大江戸異変」「警察日記」「黄色いからす」「狐と狸」、「日本一のホラ吹き男」、「鶏はふたたび鳴く」などにも出演している飯田蝶子さんが、いかにも庶民的なおかみさん的な飯田蝶子さんが、長屋暮らしの人々の行きつけの食堂の女主人を演じている。
幼い息子と貧乏長屋で暮らす工員の喜八が、行く当てのない若い娘と出会って、行きつけの食堂の女将に頼んで、娘を住み込みで食堂で働かせてもらい、なんだかんだと世話を焼き、好意を寄せるが、娘は喜八を人のいいおじさんとしか思わず、喜八の同僚の独身の青年に思いを寄せ、それならと、喜八は痩せ我慢して、娘と青年を一緒にしようとするが、青年から拒まれ、それでも意地になって、二人の仲を取り持とうとする人の善い喜八の姿が、ユーモアを交えた人情味溢れるタッチで描かれている。

「出来ごころ」では、戦前の人気女優、伏見信子さんが喜八に助けられて食堂で働くことになる娘を演じ、同じく戦前の二枚目俳優、大日方伝(おびなた・でん)さんが喜八の同僚のストイックな青年を演じている。
大日方伝さんは、現代の感覚で見ても、なかなかの二枚目で、とても存在感があるので、主演作などを観てみたいものだ。
そして、なんといっても、「出来ごころ」の、もう一人の主役は、「浮草物語」「淑女は何を忘れたか」「落第はしたけれど」など小津作品には欠かせない天才子役の突貫小僧(青木富夫さん)が演じる喜八の息子、富坊(富夫)で、ユーモラスな表情を見せるかと思えば、泣き叫んで、父親に殴りかかったり、大人顔負けの圧倒的な名演技で存在感を放っている。──大人になってからの青木富夫さんは、昨年末にデジタル修復版で観た「幕末太陽傳」にも出演していた。
また、今回の上映で活弁を務める片岡一郎さんは、人情味溢れる喜八の庶民的なキャラクターから、ニヒルな二枚目、おぱさん、若い女性と、見事に声を演じ分けているが、その中でも、片岡一郎さん演じる突貫小僧は絶妙な可笑しさがあって実に楽しい。
最後は、ヤケになって酒浸りのすさんだ生活をして息子を失望させていた喜八が、病気になった息子の治療費のために、“蟹工船”に乗ることを決意するが、北海道へ向かう船の中で、息子と離れることが耐え難くなって、家に帰るべく海へ飛び込んでしまうというエンディングを迎えるが、この“飛び込み”が喜八の“出来ごころ”ということで、タイトルの由来のようだが、ちょっと唐突なラストで、いくらか無理のある題名に思えるが、「出来ごころ」は、初期の小津安二郎作品らしいウィットに富んだ軽妙な展開で面白い。
また、今回の上映では、柳下美恵さんの軽快で作品の雰囲気によく合うピアノ演奏と、片岡一郎さんの名調子による語りによって、作品が数段面白くなっているように思える。
劇中、「非常線の女」にも出てきた、この時代お馴染みの“クラブ歯磨”のネオンも出ていた。
また、喜八たちが運ぶにもつに、“ルービンオニユ”と書かれていて何かと思ったら、“ユニオンビール”という社名が右から左に横書きされているのだった。
続いて、溝口健二監督の「折鶴お千」

★★★★☆

ボルシチ

ウクライナ風壺焼きビーフシチュー
神保町のロシア料理店“ろして亭”で、ボルシチとウクライナ風壺焼きビーフシチューのランチを食べる。
どちらも、とても美味しいが、濃厚なデミグラスソースのビーフシチューが絶品!(*^^*)
シチューの壺は、自家製のパンで蓋がされていたのだが、そのパンがまた美味しかった♪
  
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2012年01月06日

夕暮れ時の氷川丸


夕暮れ時の氷川丸

夕暮れ時の氷川丸

放送ライブラリーの帰りに、山下公園を通りがかったら、ちょうど夕暮れにさしかかったいい雰囲気だったので、フィルム・カメラで氷川丸を撮影。
  
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仮面ライダー40年の軌跡展“懐かしの昭和ライダー”


新1号ライダー先日の“伝説のライダー”に続いて、放送ライブラリーの“仮面ライダー40年の軌跡展”で、“懐かしの昭和ライダー”として上映された「仮面ライダーX」、「仮面ライダーアマゾン」、「仮面ライダーストロンガー」、「(新)仮面ライダー」、「仮面ライダースーパー1」、「仮面ライダーBLACK」、「仮面ライダーBLAK RX」のそれぞれ第一話と、9番目のライダーである「仮面ライダースーパー1」と、11番目の「仮面ライダーBLACK」の間に、単発の特別番組として放映された「10号誕生! 仮面ライダー全員集合!!」を観る。
「仮面ライダーX」といえば、その後、クールな風貌とソフトなイメージで昼メロなどに出演した速水亮さんが仮面ライダー5号=Xライダーを演じているが、第一で殺されてしまう主人公の頑固な父親役で、新東宝の名優、田崎潤さんが出演していた。

「仮面ライダーストロンガー」は、後に「特捜最前線」に刑事役で出演する、グループサウンズのドラマー出身の荒木茂さんが、7号ライダー=ストロンガーを演じて、悪の組織の大幹部役を浜田晃さんが演じている。
それにしても。ストロンガーは、変身後に、崖のてっぺんなどで大見得を切って、“天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ、悪を倒せと俺を呼ぶ! 俺は、正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!!”などと桃太郎侍のような口上を述べるのが時代劇のようで面白い。
考えてみると、ヒーロー物の敵の組織の幹部や怪人たちの大仰なセリフ回しなども、時代劇に通じるものがある。

そして、ストロンガーの後、数年、放送が途絶えて、原点回帰を狙って登場した「仮面ライダー(新)」では、1号・2号によく似た風貌の8号ライダー=スカイライダーを若き日の村上弘明さんが演じ、次は、自衛隊レンジャー部隊の出身である高杉俊介さんが主演する「仮面ライダースーパー1」へ続いて、ここでまたシリーズが一度終わることになって、数年のブランクを経て、映像作品としては単発の特別番組しか存在しない10番目のライダーが登場する「10号誕生! 仮面ライダー全員集合!!」となるが、なんと、主人公の仮面ライダーZX(ゼクロス)を、今では大柄で厳つい風貌で、どっからどう見てもヤーさんにしか見えない菅田俊さんが、子供たちのヒーロー=仮面ライダーを演じていることに驚かされる。
余談だが、菅田俊さんといえば、ヤクザ役かマル暴担当の刑事役しか合わないが、「誘拐ラプソディー」の暴力団幹部役は最高だった。

そうして、また数年のブランクがあって、倉田てつをさん主演の「仮面ライダーBLACK」と、その続編として作られた「仮面ライダーBLACK RX」だが、「仮面ライダーBLACK」の第一話に登場する主人公の父親を、オリジナル版「十三人の刺客」で暗殺の対象となる将軍の弟を演じている、悪代官俳優の菅貫太郎さんが演じているが、Xライダーの父親役の田崎潤さんと言い、BLACKの父親役の菅貫太郎さんと言い、意外なところで名優の姿が見られる。
また、「仮面ライダーBLACK RX」では、悪の組織の幹部役で、高畑淳子さんもレギュラー出演している。

今日の上映は、4時間半と長丁場だったが、前回の初代(1号+2号)とV3に続いて、X、アマゾン、ストロンガー、スカイライダー、スーパー1、ゼクロス、ブラックと続いたシリーズをダイジェストで観られてよかった。

“進化を続ける平成ライダー”に続く。

  
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2012年01月05日

スパゲティ・アラビアータ


アラビアータ
夕食に、スパゲティ・アラビアータを作る。
ナポリタンとの違いは、私の作り方では・・・ナポリタンはケチャップで、アラビアータはかなり辛みを効かせてトマトピューレでドロッと仕上げる。
  
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三崎港○○丸


三浦の田園風景
三浦ののどかな田園風景をフィルム・カメラで写す。

庄和丸
またまた半年ぶり以上のインターバルで、三崎港の○○丸に行く。
水産問屋直営の料理屋で、マグロを中心とした鮮魚が美味しい店だが、焼き魚もかなり美味しくお気に入り♪
今日の焼き魚は、“ヘダイ”だということで、美味しそうなので頼んでみたら大当たり!
淡泊すぎずクセもなく、香ばしく焼き上げられていて、とても美味しかった♪(*^^*)
  
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2012年01月04日

ジャッキー・チェン監督主演「プロジェクトA」

今年の2本目。ブリリアショートショートシアターで、昨年夏から開催されている香港映画祭で、初期のジャッキー・チェン作品やジェット・リーの“ワンス・アポン・ア・タイム”シリーズから、元祖カンフースターであるブルース・リー主演作などに続いて、今年最初に上映された香港映画「プロジェクトA(原題:A計劃/Project A)」──1983年に公開されたジャッキー・チェンが監督・主演を務める作品で、海賊による被害が続出しているイギリス植民地統治下の香港で、陸上警察と水上警察が反目してばかりいて、海賊退治が進まない中、ジャッキー・チェン演じる主人公ら解散に追い込まれた水上警察の警官たちが、陸上警察や顔見知りのコソ泥らと協力して、海賊を退治するという痛快なアクション作品で、ジャッキー・チェンの友人役や弟分的な役を演じることが多いユン・ピョウが、ジャッキー・チェンと対立する陸上警察の隊長を演じ、──警官役には似合いそうもない──サモ・ハン・キンポーが、今回もコソ泥を演じている。
日頃から仲の悪い水上警察と陸上警察の集団が、酒場で大立ち回りのケンカをするが、それにしても、ジャッキー・チェンもユン・ピョウも見事なバネと身の軽さで、軽快かつユーモラスな痛快アクションを見せてくれる。
「五福星」にも出演していたオジサンだと思うが、毒舌政治家のハマコーこと浜田幸一氏に似たオッサンがイカサマ麻雀をやっていたが、胡散臭さがいい味を出していた。

「プロジェクトA」は、ストーリー性よりも、全編痛快なアクションの連続で、目を離す間もないほどで、狭い路地裏で繰り広げる自転車によるカーチェイスシーンや、スタントを使わないジャッキー・チェンが時計台から飛び降りる有名なシーンなど、目を見張るようなアクションシーンが満載で見応えがある。
最後は、海賊のアジトである島に乗り込んで、拉致されていたイギリス船の乗客や乗組員を救出して、ジャッキー・チェン、ユン・ピョウ、サモ・ハン・キンポーが協力して海賊と対決して派手なアクションで締めくくる。
長髪にタトゥだらけの上半身裸でレザーパンツという出で立ちの、見ようによってはロック・ミュージシャンのような姿のディック・ウェイ(狄威)演じる海賊のボスが、非常に存在感があった。
「プロジェクトA」は、スピード感溢れる痛快なアクションと、ジャッキー・チェンの上官を小馬鹿にしたようなユーモラスなキャラクターで、理屈抜きに楽しめる作品だ。
次回、“香港映画祭”で上映される「プロジェクトA22/史上最大の標的」が楽しみだ。

★★★★☆

夢吟坊
お気に入りのうどん店“夢吟坊(むぎんぼう)”で、ミニかきあげうどんと麦とろのセットを食べる♪
暖まるしおいしい♪(*^^*)

夢吟坊とは関係ないが、うどん業界では、“年越しそば”に倣って“年明けうどん”というのを流行らせようとしているそうだが、昔から伝わる風習の年越しそばに対して、そういう無理矢理作るイベントはちょっとねえ・・・
“子供の日”はかりか、おもちゃ業界が高齢者に金を使わせようと作った“孫の日”とか・・・、そのうち、一年中、記念日だらけになってしまいそうだ(^^;
  
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2012年01月03日

初映画・SFコメディ「宇宙人ポール」

今年の映画鑑賞一本目、ユナイテッドシネマ豊洲で「宇宙人ポール(原題:Paul)」を観る。──「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」でもコンビを組み、「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」でも双子のように瓜二つなコンビの刑事を演じているサイモン・ペグとニック・フロストが共同で脚本を手掛けて主演し、グレッグ・モットーラが監督を務めるSFコメディ、イギリス人のSFオタクの仲良しコンビが、憧れのアメリカにやってきて、キャンピングカーを借りて、オタクの祭典“コミコン”(日本でいうコミケのようなもの)を見物して、さらに、UFOが目撃された地点など、アメリカ各地のSFオタクにとっての“聖地”を巡るうちに、本物のエイリアン“ポール”に遭遇して、当局から追われるエイリアンを母星に逃がすために逃走劇を繰り広げるバディムービーにしてロードムービーという趣の作品。
「宇宙人ポール」で登場する宇宙人(=エイリアン)は、カップヌードルのCMに出てくるような“いかにも”という姿だが、そのエイリアンは流ちょうな英語で“ポール”と名乗り、マリファナを吹かし、見た目は宇宙人だが、陽気なアメリカ人のオッサンという感じで、イギリスから来た二人組=外国人(=エイリアン)がアメリカ文化に戸惑う姿と合わせて、SFというよりもドタバタコメディのような可笑しさを醸し出している。
また、自ら脚本を手掛けているだけあって、サイモン・ペグとニック・フロストの仲良しオタクコンビがユーモラスで可笑しい。サイモン・ペグは、「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」で、トム・クルーズの仲間を演じているが、真面目なスパイ役よりも、「ホット・ファズ」や「宇宙人ポール」のようなおバカ映画の方が合っている。

「宇宙人ポール」は、“宇宙人の存在を合衆国当局が隠蔽し続けてきた”というお約束の設定や、定番のSFネタがちりばめられ、いかにもという造形のUFOなど、SFのパロディのような趣で面白い。
また、逃げてきたエイリアンを、「メン・イン・ブラック」風の謎の黒服の男が追って来るなど、徹底的にSF作品のパロディのように作られている。
ラッセル・クロウ主演の「消されたヘッドライン」で事件の鍵を握るオカマっぽいコンサルタントを演じていたジェイソン・ベイトマンが、そのエージェントを演じている。
他に、エージェントとは別にエイリアンを追う刑事役のビル・ヘイダーは、秋野太作さんに似ていた。
「宇宙人ポール」では、色々なSF作品へのオマージュがちりばめられているが、「E.T.」も「Xファイル」もポールのアイディアだとしていて、劇中で、1980年当時の回想として、ポールが「E.T.」のアイディアを伝授する電話では、スティーブン・スピルバーグ監督本人が登場するのも可笑しい。
さらに、“エイリアン”を執拗に追うエージェントの女ボスを、「エイリアン」シリーズに主演しているシガーニー・ウィーヴァーが演じているのも可笑しい。
また、驚くことに現在も進化論を否定しているキリスト教原理主義に対する当てこすり的な描写も多く可笑しかった。
「宇宙人ポール」は、爆笑するほどではないが、シガーニー・ウィーヴァーの出演を含めてSF作品へのオマージュや小ネタがふんだんにちりばめられていて、気軽に楽しめる作品でなかなか面白かった。

★★★☆☆

ストーングリル・リブロース
ユナイテッドシネマ豊洲が入るアーバンドックららぽーと1階の“H.B.グリル”で、ストーングリル・リブロースを食べる。
高温に焼いた溶岩石の上に乗せて遠赤外線でじわじわと加熱して、肉の旨味を逃がすことなく、石の表面に無数に空いた穴が余分な脂を吸収して、美味しく仕上げるのだそうだ。

遊覧船ヒミコ
豊洲アーバンドックを出港する遊覧船ヒミコ。
SFっぽいデザインだと思ったら、松本零二さんのデザインなのだそうだ。

新年会
O船の居酒屋“くいもの屋・わん”で親戚と新年会。
個室で落ち着けるなかなかいい店だった。若い店長(?)の正人君がとても行き届いて接客がよかった。
  
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2012年01月02日

お正月


おせち&お雑煮
元日は、醤油仕立ての雑煮だったので、今日は信州味噌仕立ての雑煮を作る(*^^*)
今日は、白ワインのカベルネブランでさっぱりと♪(*^^)u
そういえば、何年か前には、トマトベースのミネストローネ風雑煮とかチリコンカルネ雑煮を作ったことがあった・・・(^^ゞ
  
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2012年01月01日

謹賀新年

新年、あけましておめでとうございます。

2004年の元日にスタートしたこのブログも今年で9年目。
映画の劇場鑑賞100作以上を目標にしていたのが、いつの間にか、200本オーバーは当たり前で、一昨年からはショートショートを頻繁に観るようになったこともあるが、昨年は、345本の記録を達成。
しかし、今年は制作に専念したいので、今年こそ劇場へ行く回数を少なくしなければ・・・と例年言っているけれど・・・(^^ゞ

皆さま、今年もよろしくお願い致します。

自家製おせち
今年は、自家製おせち&お雑煮で静かなお正月♪(*^^*)
おとその代わりにスパークリングのロゼ♪(*^^)u

ジンギスカン
夕食は、ラム&カモ焼肉のジンギスカン♪(*^^*)
♪ジン、ジン、ジンギスカン・・・♪(*^^)/
  
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