2004年04月14日

松本清張の代表作を映画化した「砂の器」

松本清張の代表作である社会派サスペンス「砂の器」の映画版をリバイバル上映で観た。
映画「砂の器」は、丹波哲郎さんと加藤剛さんの主演で1974年に映画化された作品で、知られたくない過去を隠すために少年時代の恩人を殺してしまった新進気鋭の音楽家と事件を追う刑事の物語。
最近、リメイクされた中居正広主演の連続ドラマや、田村正和さんや佐藤浩市さんなどの主演で、過去に何度か放映されたテレビ版と違って、映画版「砂の器」では、どちらかというと、刑事役の丹波哲郎さんが主役で、物語は、事件を追う刑事の視点で描かれている。
この刑事は、中居君のテレビ版「砂の器」では、渡辺謙さんが演じている役どころだ。
テレビ版の主人公である音楽家役の加藤剛さんには、ほとんどセリフが無く、前半はサングラスをかけて、素顔も見せないという独特の演出となっている。
天才音楽家役の加藤剛さんは、サングラスを取ると、冷たい表情の奥に熱い思いを秘めた独特の雰囲気で存在感があり、特に全身全霊を賭けた音楽会シーンのクライマックスは圧巻だ。
推理に熱中した刑事役の丹波哲郎さんが、喫茶店で資料調べに没頭しながら、溶けてしまったアイスクリームを飲んでいたのが印象的だった。
フーテンの寅さんでお馴染みの渥美清さんが、ちょい役だが要でもある、どことなく陽気な映画館の支配人役で出演している。
終盤、刑事の推理が真犯人へとたどり着いてからは、ほとんどセリフが無く、回想シーンで、美しい各地の風景と、激しく盛り上がっていくオーケストラの演奏に重ねて、主人公の悲惨な生い立ちと殺人の動機に迫っていくシーンに、全体の3分の1近い時間を割いている。
少年時代と現在とが重なって映し出されるが、少年時代を演じる子役の目鼻立ちがはっきりしていて加藤剛さんにとてもよく似た感じで、全く違和感がなく、回想シーンに浸ることができる。
物語のテーマは重いのだが、情緒ある美しい映像と、力強く美しい音楽と相まって、重苦しい印象を残さない映画だった。


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つい先ほどテレビドラマ化されて、それなりの高視聴率を取っていました。私もちょくちょく見てましたが。 映画の方です。ドラマ版とは大筋は同じでも、内容が全然違います。原作は松本清張の大傑作小説。あるひとつの殺人事件を通して、日本が行った隔離政策に真っ向から
砂の器の考察【私的考察】at 2004年08月23日 10:07
砂の器 DVD-BOX 原作:松本清張 主演:中居正広 松雪泰子 ほか ASIN: B0001GGTGC ビクターエンタテインメント2004/05/28 ¥17,556 昔のリメイクドラマを、流行のタレントを使って軽く仕上ることが多いこの頃。 正直このドラマにも大した期待はしていなかった。 中居君は
砂の器【--yuu's book shelf--】at 2004年09月23日 19:22
この記事へのコメント
トラックバックありがとうございます。

そうなんですよね。映画はすごくヘビーなテーマを扱っているのにも関わらず、見た後の印象がそこまで重苦しくないんですよね。
これって音楽の凄さがあったと思うのと、頭に残っちゃう渥美清の存在感からなのかなって思っちゃいました。

加藤剛、名優です。こないだ2時間サスペンスで見たっす。
Posted by rotterdam at 2004年08月23日 10:12
rotterdamさん、初めまして
トラックバック&ご訪問ありがとうございます。

加藤剛さん、凄いですね。
終盤まで、セリフも無く、表情も見せず、あれだけの存在感を出すとは・・・
加藤剛さんは、松本清張の映画「影の車」にも主演していて、そちらも見応えがありました。
http://blog.livedoor.jp/chiakix/archives/3626235.html

これからも、よろしくお願いします。
Posted by 千晶 at 2004年08月23日 23:12