EMDR療法についてその2
皆さまの体験で既にご存知のように、日本の精神医療は筆舌にし難いほど悲惨なものです。世界の常識から驚くほどかけ離れています。2015年、OECD世界経済開発機構(人々の健康を向上させ世界の経済発展に寄与する活動理念に基づく団体)から「日本社会の精神健康が深刻な事態にあり世界でも突出している。心理療法を中心とする合理的な対策を講じることが急務である」と勧告されています。現にお隣の韓国でも90分のEMDRが保険適用されています。一方、日本はというと心理療法を治療として認めていない、つまり日本にはあって当然の治療がなされてこなかった、といっても過言ではありません。それがOECDの指摘するところです。皆さまは、長年、治療を求めて色々なところの精神科、心療内科で受診されてきました。しかし、どこを探しても皆さまが期待する治療を受けられないでいる、この現状を臨床現場で目の当たりにしています。探しに探し、やっとの思いで当心療内科にたどり着かれたそのご苦労のほどは想像に難くありません。
厚生労働省の調査でも明らかなように、日本には心理療法を満足に実施している病院、心療内科、精神科はごく稀です。このことは皆さまが一番ご存じではないのでしょうか。世界の常識、それは、薬物療法は心理療法の補助的手段、薬で心の病は治らない、というこの常識がこの国には通じていないのです。日本は勿論世界共通の精神科ハンドブックに薬物療法と心理療法の併用が最も治療効果があるとも詠われています。当方を見つけられ来院され心理療法を受けられている、またこのホームページにヒットされた方々は、まさに幸運としかいいようがありません。ぜひ、その強運を回復への道程を歩まれる礎としください。
心理療法には多くの有効な手法があります。ご自分の症状にマッチするものが用意されています。EMDR療法は守備範囲が広いというのが特徴です。しかし、症状によっては他の療法もいいかもしれません。例えば、軽いうつ症状や悩みを抱えながら自分の力だけでは解決できそうにない、どうも人とのかかわりが苦手だ、何事も完璧でなければならないそれが苦痛だ、などなど、症状の比較的軽い方には他の療法も有効です。EMDRは症状を選びません。それぞれに特化したプロトコルが用意されていて、一定の戦略が提示されています。とはいえ同じような症状であっても内容も病状も千差万別、その人に合った個別の治療方略は完全にオーダーメイドで同じものは二つとしてありません。そこが私たちのやりがいでもあるのです。どうかご自分の症状にマッチする治療法をお選びください。
臨床心理士 EMDR治療者 木村肇
千葉駅前心療内科
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