TKY201004270200

1 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 16:36:46.24 ID:dXi1bY/U0
全ての漫画家志望に捧ぐ




7 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 16:40:35.93 ID:dXi1bY/U0
スペック
男・フツメン
17歳まではごく普通の生活を送ってきた。
特に大それた短所も長所も無い感じ。
まさに「どこにでもいるようなごく普通の男」

人生の分岐点が訪れるのは17歳の夏。
進路希望表が配られた日のことだった。



コメント:T先生と書かれてて真っ先にあの人を思った。




9 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 16:43:52.49 ID:dXi1bY/U0
俺の高校は割と偏差値のいい高校だったが、
周囲の頭のよさに付いていくことに俺は限界を感じていた。
そこに俺の親友だった男に進路をどうするつもりかを相談してみた。

彼は「俺はミュージシャンになるぜ」と言った。


その迷い無き即答っぷりに…

俺はカッコイイと思った。




11 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 16:46:28.59 ID:dXi1bY/U0
「人生は一度きり、ならば好きなことを全力でやってみたい」
「退いて後悔するより、進んで後悔したい」
彼の口癖だったが、
それまで何となくのレールに乗ってきた俺には新鮮な発想だった。

そして、俺も昔から大好きだった漫画家を真剣に目指すことを考え始めた。



18 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 16:53:11.98 ID:dXi1bY/U0
「漫画家になろうかな」と思ってから、成績が下がるまでの間は凄まじかった。
「漫画家に学歴は関係ない」というのが逃げの口実となり、
次の考査で一気に赤点連発。落第の一歩手前まで行きかけた。

高校をちゃんと卒業してから漫画を描き始めようと決めていたが、
あの成績では意味が無かったかも。

ともかく、高校は無事卒業できて、俺は漫画を見よう見真似で書き上げ、
S社に持ち込みに行った。




31 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 17:00:36.13 ID:dXi1bY/U0
S社で俺を受け持ってくれた編集さんは
今振り返ると結構な敏腕編集だったのかもしれない。
一流少年誌の看板漫画の当時担当編集だった。
俺の原稿をとても字を追ってるとは思えないくらいのスピードで読み、
「君の原稿を読む義理は読者には無い」というようなことを言った。

俺は自信があったということもあり、
その言葉一つ、その編集の厳しいテンションに
一気になえてしまった。
「金の卵がやってきた!これは即デビュー、次は連載用のネームを持ってきて」
くらいの反応を期待していたのだ。
今思うと本当に有り得ないことだけど、当時は本気でそうなると信じていた。

しかし、その時点ではまだ士気は折れていなかった。




33 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 17:04:53.03 ID:dXi1bY/U0
S社の編集の腕なのかもしれないが、
けなされはしたけど俺の作品のいい所も挙げてくれて、
いい具合にやる気を促されたような気がした。

その作品は月例賞にまわされることになった。


発表日まで何も手につかないくらいにそわそわしたが、
結局「あと一歩」にも引っかからず落選。
これにも相当なショックを受けた。
今まで自信満々だったが、ここで初めて自分は天才ではないと思い知らされた。

そして、そんな中なんとか第二作目をかき上げ、
同じ編集さんに見てもらうことになった。




38 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 17:10:22.02 ID:dXi1bY/U0
第二作目の持込のとき、その編集さんは1時間も遅刻した。
俺はいつ訪れるか分からない編集さんに失礼のないよう、
背筋を伸ばしたままで1時間待ち続けた。

一時間後訪れた編集さんは、大げさな仕草で事務的に謝罪し、
特に雑談も無く俺の原稿をめくり始めた。
相変わらずめくる速度が速い。

そして「これは賞に出しても絶対に引っかからないでしょう」と言った。
「え?」
「主人公にまったく感情移入できません。例えばここのvんヴぁいhbf」

そこから先はよく覚えていないが、とにかくこの作品は賞に出すことすら拒まれた。
2ヶ月掛けて仕上げた俺の第2作目は、預かってもらうことすら出来ずに
そのまま家へと持ち帰ることになったのだ。
帰りの電車の中、ものすごく惨めだった。

今のままではいけない!と思った。




43 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 17:15:02.47 ID:dXi1bY/U0
次の作品をかき上げるのには半年以上かかった。
バイトで生活費を稼ぐのも楽じゃなかったし、
原稿も今まで以上に丁寧に仕上げた。
ネットや本屋で技術を学び、透視法、ケズリなどの技術も織り込ませた。

すると明らかに今までと違う、かなりいい原稿に仕上がった。
ストーリーは「金色のガッシュ」の亜流みたいな感じになってしまったが、
少年誌らしい自分の漫画に満足だった。

意気揚々とS社にカムバック。同じ編集さんに見てもらうことになった。




50 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 17:20:10.38 ID:dXi1bY/U0
反応は良かった。
今活躍している作家陣の新人時代と比べても遜色ないよ…とまで言ってくれた。
「これは賞に出しましょう」とも言ってくれた。

やった!!!!と思った。

それから賞の結果が出るまでの一ヶ月間、本当に幸せだった。
どれくらいの賞がもらえるのかがかなり気になった。
ちなみに漫画の賞はどこも大体同じような名前で、
大賞→準大賞→入選→準入選→佳作→奨励賞→期待賞→もう一歩
という格付け。
佳作をとれればデビューレベルなので、
俺はその佳作に何とか食い込めないものかと願った。


しかし、結果は…もう一歩にすら名前がなかった。




56 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 17:25:06.87 ID:dXi1bY/U0
信じられなかった。
何かの間違いかとも100回くらい思った。
しかし確認の電話を入れられるほどの度胸もないため、
放心のまま一週間くらいを過ごした。

ここで俺は初めて将来に対して焦り始めた。
こんなニートに近いフリーターのような生活をしていて、
ものにならなかったらどうなるんだろう?

当然、こんな場合は我武者羅に漫画を描き続けるしかない。
でもクオリティを落とすわけにはいかないし、
やる気が加速につながらないのも作画のじれったいところだ。

結局バイトに追われながら次の作品が仕上がったのは
8ヶ月以上も経ってからだった。




59 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 17:28:31.72 ID:dXi1bY/U0
しかし、俺はS社には連絡を入れられずにいた。
編集さんが俺のことを覚えているはずもないだろうし、
いよいよとなるとこの8ヶ月分の結晶が砕かれるのが怖くなったのだ。

そして俺は、別の出版社A社に持ち込むことにした。
S社に比べるとかなり格が落ちてしまうが、俺はとにかく結果が欲しかった。





74 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 17:34:55.16 ID:dXi1bY/U0
A社の編集さんは恐ろしく優しかった。
志望雑誌のレベルを下げたこともあり、俺は初めてそこの賞で期待賞を獲った。

これは本当に嬉しかった。
受賞者は名前とカットが雑誌に掲載されるのだが、
その雑誌が発売される日は、近くのコンビニまで0時を回ってから、
自分のカットをチェックしに行ったくらいだった。

その時点で俺の年齢は21歳。大学に行った奴らは3年生。
もうすぐ就職活動という時期。
順調に人生を歩き始める同級生。
この波にきちんと乗れれば、何とか彼らと肩を並べられるな…とか、
そういうことを思ってたのは今でも覚えている。

そして、それから先は一進一退の打ち合わせ。
ネーム段階から話し合いをして、賞に出すという時期が続いた。




77 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 17:39:53.25 ID:dXi1bY/U0
その時期は落ち込むこともあったが、やはり基本は楽しかった。
そして1年以上打ち合わせを繰り返した後、俺は終に佳作を獲ることに成功する。

人生最高の時だったと思う。

その報告を電話で受けた時には、喜びと安堵で涙が出そうになった。
これで俺の漫画人生は開ける!
次はいよいよ連載ネームを切れるんだ!

年は既に23歳になり、同い年の奴らは働き始めていたが、
何とか俺も社会人としてやっていけそうだ…と思った。

ここからが地獄の始まりだった。




85 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 17:45:09.11 ID:dXi1bY/U0
連載ネームを切る作業は楽しかった。
特に今まで書いたことのない第2話、第3話を描くのが新鮮だった。
読みきりではキャラ数を減らせと言われるのが普通だが、
連載ではそうはいかない。
逆に魅力的なキャラクターをどんどん出していかなければ、
物語は広がっていかない。

今まで溜めた欲求を晴らすかのごとく、
暖めてきたネタの全てをネームに込めた。

この作業にも半年はかかったと思う。
担当編集を通り、次に編集長に見せられることになった。
編集長がokサインを出せば、晴れて俺も連載作家、漫画家になれる!!


しかし、結果はボツだった。




92 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 17:49:27.62 ID:dXi1bY/U0
「漫画家はデビューするまでは簡単。デビューしてからの方が遥かに難しい」
というのは、その時点で結構耳にしていた。
しかし俺自身自分の連載用ネームにはかなりの自信があった。
波に乗っていたということもあり、編集長も通すだろうと思ってた。
しかし結果は惨敗。
このネームを手直しするとかじゃなくて、
完全に沈めて新しい何かを描けとの事だった。


「このストーリーを描くために漫画家を目指したんだ!」
と思えるほどのネームが完全にボツになったショックも冷めぬうちに「新しい何か」
俺は頭を捻った。




96 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 17:54:59.97 ID:dXi1bY/U0
新人にも旬というものがある。
近く行われた賞で授賞をした新人はやはり編集部からの注目度も高い。
記憶に新しいし、若さもある。
逆にくすぶり続けると、もうセンスが枯渇しているとか古いとか、
編集部内で飽きられてしまったりすることがあるそうだ。

俺が連載用ネームを切っている間にも、何人かの受賞者が生まれた。

俺は焦ってネームを切った。
しかし、俺が切れるネームは方向性が似ていて、
そのネームは担当編集の時点でボツをくらった。

そんな中、俺と同じ時期に授賞した人の連載が決まった。




104 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 18:02:25.26 ID:dXi1bY/U0
俺は負けたと思った。
でも悔しさよりは焦りの方が勝っていたと思う。

この時点で24歳。


気分転換に久しぶりに同級生と飲みに行った。
同級生は社会人2年目で、仕事が段々と板についてきた。
高校も割とレベルの高い高校だったため、皆良いところに就職できたようだ。
ちょっと前まではひたすら皆で牛丼食べていたのに、
今や良さげな店で洋酒を飲むようになっていた。
未だに1500円の服を着ているのは俺だけだった。

「それで、お前の漫画いつ読ませてくれるの?」
と友人は言った。


何も言えなかった。


それから半年掛けて、2回目の連載用ネームを編集長に提出する。





107 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 18:05:10.49 ID:dXi1bY/U0
一週間から二週間は待たされただろうか。
担当編集から電話がかかってきた。


「俺君!あのネームだけどね、編集長ok出したよ!!」


マジか!!!???

 

遂にきた!!!!!




116 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 18:10:03.92 ID:dXi1bY/U0
やったぞ、遂に6年もの努力が実ったんだ。
もう25歳になるがおれはまだまだ若い!
これからだ!親父やお袋にも長いこと迷惑を掛けた。
親戚づきあいでも肩身の狭い思いをさせた。
友達に俺の授賞カットを自慢してくれた妹も、
これだけ俺がくすぶっていたんじゃ肩身が狭かったろうな。

これから挽回だ。


俺は仕事場はどこにするか、真剣に考え始め、
画材も大量に購入した。

そしてひたすら連載が決まるまでの間、
先回りできそうな背景とかを書いたりして
連載開始日が伝えられるのを待った。




124 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 18:14:01.84 ID:dXi1bY/U0
しかし、待てど暮らせど担当編集からの連絡はなかった。
一度連絡したが「もうちょっと待って」と言われ、
それから2週間~3週間は連絡がなかった。
何度も連絡するのも気が引けるし、
決まったら向こうから連絡がくるのは間違いないので
俺は「こういうものなのかな」と気長に待つことにした。

その間、お世話になった人に色々とメールとか電話をした。
皆「おめでとう」と言ってくれて、本当に心から喜んでくれた。


担当から連絡があったのは、更に2週間が経過した頃だった。




127 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 18:15:31.32 ID:dXi1bY/U0
「待たせちゃって、ごめんね。あの話だけどね、やっぱりダメになった」

 

え?

 

頭が真っ白になった。




138 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 18:19:11.38 ID:dXi1bY/U0
担当編集はその後、怒涛の謝罪か言い訳か事情を説明するかと思いきや
何も言わずにこちらの出方を待っていた。
完全に開き直っているような雰囲気が伝わってきた。
俺がどんなに何を言っても無駄だということがその態度で分かった。

俺は震える手で携帯電話を何とか持ち、「分かりました」とだけ言った。

ここでヤケになってはいけないと必死に言い聞かせ
「もう少し届きませんでしたね。今度はもっといいネームを書きます」と
担当編集に伝えた。向こうの反応は覚えていない。




149 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 18:23:20.67 ID:dXi1bY/U0
「俺が漫画家になれないとは思わなかった」

…と一番最初に思った。
唐突に出てきた言葉だ。

そして次に両親のことが頭をよぎった。妹のことも。
何て言おう。友達には?
今まで大言壮語をかまし、平凡な人生なんてクソクラエとわめいていた俺は、
急にそのことが恥ずかしくなって、誰もいない部屋で丸くなった。

そして自分に残されたのは25歳・職歴なしという現実だけ。

完全に心が折れた。




168 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 18:27:13.62 ID:dXi1bY/U0
すっかり戦意を失った俺は今からでも普通の人生は送れないだろうかと模索した。
だが、高卒、職歴なしの25歳が働ける環境なんてブラックしかなかった。
そのブラックですら必死に頑張って雇ってくれるかどうか…というような状況だった。

いつか一発当てて夢の印税生活…。そんな夢は遂に夢として消えてしまうのか…?


そんな中一本の電話が届いた。




182 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 18:32:02.13 ID:dXi1bY/U0
それは俺が7年間の漫画家志望生活を送ってきた中で出来た、
数少ない漫画家志望友達だった。


「俺君さ、アシスタントやってみない?」

 

この一本の電話が俺を更なる破滅への道へといざなって行くことを
俺はまだ知らなかった。


第2章アシスタント編へ

※遅くてすみません、思いつくまま書いてます。チラ裏と思ってのんびり見てやってください




200 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 18:36:15.67 ID:dXi1bY/U0
その電話を受けたときに思い出した。
そういえば担当編集伝で編集長が漏らしていた不満点に、
俺の絵がとにかく未熟だと。

ストーリーに関しては及第点かもしれないが絵が…とのことだった。

もし俺の人生にこの先漫画界に、夢に、しがみつけるチャンスがあるというのなら、
もはやここしかない。
年齢的にも次の作品が最後のチャンスだ。
今のどうにも動けない状況を打破しなくては。

「やります」

俺はそう答えた。




209 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 18:41:34.02 ID:dXi1bY/U0
アシスタントについてはやりたがる人とやりたがらない人の二通りがいる。
理由は様々だが、俺は後者だった。
眠れないという話は有名だし、安いし、キツイ、緊張もするし、
漫画界での上下関係に巻き込まれるのが嫌でもあった。

別の理由に「アシスタントもせずに漫画家になった」
という人への憧れもあったのかもしれない。


だが、そんな風に努力を放棄したツケは確実に遅過ぎるタイミングで回ってきた。
今がギリギリ取り戻せる最後のチャンス。

現場は2時間近くかかる場所にあった。
緊張しながら俺は先生の家のチャイムを押した。




222 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 18:48:26.04 ID:dXi1bY/U0
「や~どうもどうも」
T先生の風貌はかなりごつくて、
漫画を書いている人とは無縁そうなビジュアルだった。
(※アルファベットは適当です)

先生の家には4人のアシスタントさんがいて、

Aさん・34歳・男・ヒゲが顔一周している。小太り。
Bさん・26歳・女・メガネで大人しそうに見えるけどすごく明るい
Cさん・26歳・男・痩せ型で有名大学出のインテリ
Dさん・33歳・男・でかくて茶髪。絵がすごい上手い

俺は5人目のレギュラーになった。




233 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 18:54:44.54 ID:dXi1bY/U0
先生が明るいせいか、現場は健康的でのびのびとした雰囲気だった。

現場に入ってまず思ったことが
「絵うめええええええええ!!!!!!」ということだ。
漫画家を目指し始めて一番の衝撃だった。
信じられないくらい線が細く、空間の奥行きがすごかった。
トーンで表現される立体感も常軌を逸していた。

雑誌で見るのと生の原稿はこうもちがうのかと思った。
俺が今まで頑張って仕上げて悦に浸っていたものはなんだったんだ?

簡単な背景を書いてみて、と言われたので、
持てる力の全てを注ぎ込んで学校の絵を描いたが、
明らかに線の太さがAさんたちのものとは異なり、
幼稚園児が描いた様な酷い絵に仕上がってしまった。

先生は俺の絵を見て失笑した。


そして、誰にでも出来る簡単なベタという
黒く塗りつぶすだけの作業が俺の仕事になった。




241 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 18:59:01.59 ID:dXi1bY/U0
仕事が始まると誰も喋らなくなった。
明らかに空気が一変した。

俺も緊張感を持ってベタに集中する。
「×」印の付いた箇所を塗るだけの単純作業だったが、
「はみだしてはいけない」と思うとなかなか時間がかかる。

しばらくして別室から先生がアシ部屋に戻ってくる。


まだ一枚目のベタ作業に苦戦中の俺。

 

「え?どういうこと?なんでこんなに時間かかってるの?」


俺はドキリとした。




247 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 19:02:47.51 ID:dXi1bY/U0
「おいC!」と先生は若干声を荒げて言った。
Cさん「はい」
先生「お前ちゃんと新人に時間に対する意識教えたの?
こんなペースじゃ仕事にならないよ」


俺の作業が遅いせいでCさんが先生から怒られた。
Cさんは「俺君、もっと手早く…、でも丁寧にね」と俺に言った。
俺は「すみません」と謝った。

この時、既に俺はこの現場の違和感にうすうす気付いていた。




252 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 19:06:33.21 ID:dXi1bY/U0
先生は豪快なルックスだったが、作業に関してはとてつもなく神経質だった。
ベタ一つにしてもはみ出しはもちろん、ヌリムラが許せず、
塗り忘れにもかなり厳しかった。
そして一つ俺がミスをするごとにCさんが叱責された。


Cさんが叱責されるたびに現場には緊張が走った。
そんなことが初日のわずか一晩で何度も起きた。

段々と楽しい気分だったのが恐怖へと摩り替わっていった。




262 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 19:11:42.38 ID:dXi1bY/U0
先生は特にCさんを目の敵にしているような感じだった。
俺は新米だから仕方ない、だがCは違うだろ!みたいなことも何度も言われていた。

他のアシさんもみんな黙っていて特に助け舟を出すことはしなかった。
たまに先生に意見を求められるときには先生の味方になって、
一緒になってCさんを責め立てた。

俺は俺が起爆剤となりCさんが攻め込まれるという状況に居たたまれなくなった。
しかし、どうしたって最初ということもあり時間がかかってしまう。


そして、働き始めてから30時間がたとうかという頃に仕事が終わった。




271 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 19:17:11.20 ID:dXi1bY/U0
それからというもの、先生のCさんに対する苛立ちは日を追うごとに酷くなっていった。
何かといえばCさんが怒られていた。
もちろん俺やAさん、Bさんが叱責されることもあるのだが、
とにかくCさんがターゲットになっているという感じだった。

Cさんの顔色は悪く、明らかに憔悴しているようだった。
「これミスってるよ」→「すみません」→
「すみませんじゃないよ、なんでミスしたの?」→「うっかりしていたとしか…」→
「うっかりってなんだよ!緊張感持ってやってねえってのかよ!?」→「そうじゃないです」→
「じゃ、なんでミスったんだよ」
というようなやり取りが続き、酷いときには何時間も説教が続くこともあった。


俺もどんどんと心を悪くしていった。




283 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 19:21:49.63 ID:dXi1bY/U0
Cさんの限界が近いことは誰の目にも明らかだった。
俺の目から見ても「ありえない」と思うようなミスを連発していった。
それに比例して先生の苛立ちも膨れ上がっていった。

「おめーは仕事したくねえのか!!?やめるか!!??」
と怒鳴られることも多くなっていった。
本心ではやめたいだろうが、先生に対する恐怖心が上回り
「いえ、頑張りたいと思ってます」と答えるだけだった。




290 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 19:23:47.77 ID:dXi1bY/U0
すまんが急な仕事落ち。
ダラダラなチラ裏に付き合ってくれてありがとう。


中途半端でゴメン。いつかまたノシ




300 名前:以下、VIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/11(土) 19:24:49.77 ID:pQ8Oep0n0
>>290
仕事あってよかったな、頑張れ




305 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 19:25:19.46 ID:uCql9aby0
崩壊はしたけど
今現在職にはついてるのか

ちょっとほっとした




379 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 04:04:41.53 ID:Kd5WzAli0
それからもCさんとT先生との
「やめるか!?」「いえ頑張ります」の問答は何度か続いた。

先生の理屈は今思い返しても全て正しいように思えた。
「頑張ると決めたのなら緊張感を持って」
「ミスするのは緊張感が欠けている証拠」
「どうしてもミスしてしまう体質ならばそれを先回りする工夫を」
などなど。

俺自身その理屈には納得できたし、上手くいくような提案にも思えた。

しかしCさんのミスが止むことはなかった。




381 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 04:09:19.03 ID:Kd5WzAli0
閉鎖された空間に何十時間も一緒にいると、
なんだかある種異様な空気になってくる。
今振り帰るとT先生の容赦のない叱責は
どこか常軌を逸していたことが分かるのだが、
当時はT先生が絶対的な存在として他のアシスタントさんの心までも掌握していた。

そういう映画は何本か観たことがあるけど、まさにあんな感じ。


俺自身も何度かCさんに助け舟を出すチャンスはあったのだけど、
T先生理論を聞いていると、
そして他のアシスタントさんがそれに賛同しているのを見ると、
なんだかそっちの方が正しいような気がしてきてきてしまうのだ。

 

そして、遂にCさんが崩壊する日が来た。




383 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 04:13:46.42 ID:Kd5WzAli0
その日のCさんの怒られ方は特に酷かった。
大袈裟でなく10分単位で怒られていたと思う。
多分「また怒られてしまう」というような焦りが次のミスを生んで、
それによりもたらされた叱責が憔悴を生み、
あとはひたすらその負の連鎖が起きるという感じだったのだろう。

もう誰のどんなアドバイスも通じなかった。
そしていつものようにT先生が「お前やめるか!!?」と彼に怒鳴った。

 

Cさんはしばらく黙った後、静かに「…はい。もう付いていけません」と言った。

俺は思わず涙がこぼれそうになった。




388 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 04:18:54.00 ID:Kd5WzAli0
いつもの返答ではなかったことに驚いたのか。
その後はT先生も大人しくなった。

そして急にCさんに対して申し訳なく思ったのか、
優しい態度で「おいおい、ここで投げ出していいのかよ」
というような激励の言葉を掛け始めた。


その後T先生はCさんを説得し続けた。
そして、そんな先生の態度にほだされたのか、それとも恐怖からか、
最後にはCさんは「やっぱりもう少し頑張ってみます」と言った。


そしてそれが俺が聴いたCさんの最後の言葉となった。




391 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 04:26:47.98 ID:Kd5WzAli0
次の仕事日。
待てど暮らせどCさんは現れず、連絡も一向に付かないという事態が発生した。
Cさんは仕事場ではかなりの仕事量をこなしていたので、
Cさんがいないとなると仕事は大変なことになるのは目に見えていた。

Cさんの担当編集にも連絡が行き、
アシスタント全員で何とか連絡を取ろうとしたが、
携帯はつながらなかった。


そんなことしている間にも締め切りは近づいてくるので
俺とアシさんは原稿に着手する。
その回の仕事は地獄だった。
ほんの3時間程度の仮眠で40時間は働いたんじゃないかと思う。
今まで簡単な仕事ばかり回されていた俺にも背景、ケズリなどの仕事が回ってきた。

頭がくらくらして、今まで標的とされていたCさんがいなくなったことで
先生も苛々していたように見えた。
俺は一刻も早くここを辞めたいと思った。




394 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 04:33:10.78 ID:Kd5WzAli0
Cさんが漫画家を目指すのを辞めると聴いたのはそれからまもなくのことだった。
実はCさんは既にデビューが決まっており、連載案も進行中だったのだが、
編集部へ一本の電話が入ると「もう漫画家は諦めます。今までお世話になりました」と消え入りそうな声で言ってきたらしい。
あれほどの叱責に耐え、努力し続けたCさんの漫画家への夢はこうして終わった。

これは同じ道を歩くもの同士にしか分からないことなのかもしれないけど、
俺はそれを聴いて本当に悲しくなった。
彼はもう漫画家としての命を捨て、新しい道へと歩き始めたのだ。
そして、未だ何も成し得ていない俺は、
それでも夢から最後の指を外すことが出来ずに、
こうしてこの環境に身を投じている。


Cさんが消えて、次の標的になったのは俺だった。




398 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 04:39:01.08 ID:Kd5WzAli0
Cさんの仕事を引き継ぎ背景などを描くようになった俺だったが、
日に日にT先生の俺に対する風当たりはきつくなっていった。

「この背景どれくらいで描ける?」→「えっと3時間もあれば」
→「3時間?!遅過ぎるだろそれは。もっと高い目標を自分に課せよ」
→「えっと、それじゃ2時間で」→「よし頑張れ」
しかし結局3時間かかる背景。俺の場合4時間になることも多かった。
そして「何でこんなに時間かかってるんだよ!?2時間で出来るって言ったろ?」


…大体こんな流れが皮切りとなった。
そこから先はまるでCさんと同じ道をなぞるように、俺がCさんと同じ目に遭った。





406 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 04:44:40.11 ID:Kd5WzAli0
何度も辞めたいと思った。
辞めようとも。

しかしT先生を納得させるだけの説明が思いつかなかった。
「きついので辞めます」ではT先生を通して編集部に悪い印象をもたれてしまう。
俺はその時そこの出版社にも持ち込みをしていたので、
その辺のいざこざで全てがおじゃんになってしまうのは避けたかったのだ。

またゼロから育ててもらった恩もある手前
「あなたのところはきついので他のところに行きます」というようなことは
面と向かって到底言えなかった。


そんな生活がひたすら惰性で一年近く続いた。




414 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 04:52:28.44 ID:Kd5WzAli0
一年経って俺はようやく一つの作品を仕上げた。
一般人に比べたら遥かに安い給料で、
どうにかこうにか日々を凌ぎ、やっとの思いで上げた作品だった。

今までで一番出来のいい作品だったが、もう俺にはこれが最後の砦だった。
これを上手く連載につなげることが出来たら、
穏やかにT先生のもとを離れることが出来るし、
自分も独り立ちできる。

T先生のいる出版社とは今まで自分が書いてきてボツを食らった作品を見せたりして
打ち合わせをしてきたけど、T先生とは正直縁を切りたかったので、
別の、更にグレードを落とした出版社に持っていくことにした。




422 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 04:59:55.92 ID:Kd5WzAli0
今まで培ってきた技術を全て詰め込んだ作品だった。
トーンも背景も入れまくり、素人に見せたら
「すげええええ」と言わせる自信は今でもある。

作品のレベルは上がっている反面出版社のレベルは落としたんだ。
これはもう絶対に上手くいくだろう。
中学生が小学生のテストに挑むようなものだと、尊大なことを思った。
その確信があった。自信も。

出版社の編集に原稿を手渡し、
「すごい」と驚く顔になる瞬間を見るため、
俺は下唇をかみながら編集の顔を凝視した。


しかし、編集の表情は特に変わらず、代わりに俺にこう言った。


「君、いくつ?」




423 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 05:03:34.78 ID:Kd5WzAli0
「え?」

唐突な質問にどきりとした。
俺は既にその時26歳になっていた。

漫画家志望がサバを読むというのはよくある話だったが、
今後この人ときちんとした人間関係を築くつもりならウソはいけない。
俺は正直に「26歳です」と答えた。


「おほぉ~w結構いってるねw」


心臓が冷たくなった。




433 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 05:10:50.75 ID:Kd5WzAli0
漫画家に年齢なんて関係ない…というのは一応事実だが、
暗黙のボーダーラインがあるのもまた事実だ。

ジャンルによってそのラインは異なるが少年漫画なら大体25歳だと言われている。
25歳までにデビュー出来なければ、その先も厳しいだろう…というわけだ。
これは割と一般的に知られていることだし、俺も知っていた。

しかし、ここにくる時にはそのことを全く考えてはいなかった。
なぜなら俺は一応25歳までに「佳作」を獲ることには成功していたわけだし、
そういった意味ではレールには乗っていたからだ。
しかし、今までの出版社との関わりを全て絶ち、ゼロからのスタート、
「初めて現れる男」となった俺は、新人としては年齢を重ね過ぎていたのだ。


編集は「よく描けているけども…」と渋い顔をして俺の原稿をパラパラとめくり続けた




442 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 05:20:10.97 ID:Kd5WzAli0
編集は終始暗く、
「特に言うことがない」というのをごまかすために、
何かを喋っている…という感じだった。
その言葉の中に好意的なものはなかった。

「アシスタントはしてるの?」と訊かれたので
「T先生ってご存知ですか?」と答えたら。
「ああ~~!もちろん知ってるよ!」と上機嫌になった。
彼が好意的になった唯一の瞬間だった。
その時ほどT先生と自分との差を実感したときはなかった。

こともあろうに俺は「悔しいな」とは思わず「凄いな、T先生は」と思ってしまったのだ。


そして編集が別れ際に言った台詞。
「これどうする?賞に出す?
出したとしても…まぁ奨励賞ってとこだと思うけど。
次の作品描くなら打ち合わせには応じますよ」




455 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 05:28:14.32 ID:Kd5WzAli0
その言葉にダメを押された俺は、
「いえ…、いいです。もうちょっと考えて見ます」
と小さく笑って自分の原稿を手元に手繰り寄せた。

今日、またイチからやり直すつもりではいたけど、
多分連載用ネームを切る…というところまでは一気にいくと思ってた。
原稿のレベル自体は上がっているのだから自惚れではない筈だった。
それなのに俺に突きつけられた現実は「再び奨励賞からの出直し」。

あのテンションの低い編集と打ち合わせを重ね、賞に出し、
何とか佳作か入選を獲り、そして連載用ネームを切り、
担当編集を通して、今度は編集長にokをもらって…

…って、一体どれだけの時間がかかるっていうんだ?

それまでずっと俺はあの現場でアシスタントを続け、この生活なのか?

そして、帰りの電車、窓に映る自分の顔を見つめながらこう思った。


「俺…、才能ねーんだ」




480 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 05:35:46.74 ID:Kd5WzAli0
自分の降りるべき駅に着いたが、そのまま終点まで行ったのを覚えている。
そして何でもいいから気分転換に遊ぼうと思ったが、
全く俺には自分を持ち上げられるだけの発想が光らなかった。
金もなかった。

町の花壇の柵に腰を掛けて、携帯を無意味にいじった。

まだ返信していなかったメールに気付く。
友人からのメール。
「今度晴れて結婚することになった。ぜひ式に来てください」
という内容のもの。


目に涙が浮かんだ。
俺は行けない。

夢に敗れても友達は友達。
でも「今なにやってるの?」「漫画は順調?早く読ませてよ」
たったこれだけの質問が怖くて、
俺は友人の晴れ舞台を見守ることを拒絶してしまった。


家に帰ったのは朝方だった。




504 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 05:45:51.98 ID:Kd5WzAli0
ひとつの出版社でダメでも別の出版社に持ち込め。
…というのはよく言われていること。
今手元にある原稿も別のところに持ち込めば光がさすかもしれない。
現に回る出版社の候補は色々あった。
3つくらいは回ってみようと思っていたのだ。

しかしあの編集のあの態度に打ちのめされた俺は、
急に自分の原稿がつまらないもののように思えてきた。
一年間も掛けて仕上げた力作。
この一年、この作品が俺の全てだった。
しかし、この作品は誰の目にも留まらず、
誰からも読まれない。誰も必要としていない作品だった。
この作品を呼んだのはこの世界でたったの二人。俺と編集さん。
そのためだけの作品となってしまった。


持ち込みする気力を失ってしまった俺は、
処分するつもりで別の雑誌にその原稿を投稿したが、
授賞する確立は低かったし、
授賞したとしてもその道のりを考えると辟易とした。

つまり、これが俺の最後の作品。
夢は破れた。




527 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 05:55:47.06 ID:Kd5WzAli0
翌週にはアシスタントの仕事があった。
もはや俺の獲る道は一つだった。
アシスタントを辞める。漫画業界からも身を引く。
26歳職歴なしだけど、
あの現場に一年耐えた俺ならどんなブラックでもやっていけるだろう。
今はただ、本当にただ、
「俺は今~~やってるよ!」と胸を張って言える何かが欲しかった。

今までの自信満々の頃の俺を知ってる知人にはしばらく会いたくないけど、
いつか自分に自信が持てるようになったら連絡を取ろう。
一発逆転なんて夢は無くても。
慎ましやかな人生で良いから生きていこう。
まずはハローワークにでも登録しようか。

…そう思うと、割と清清しい気分になれた。

そして翌週の仕事日。
アシスタントさん全員とT先生の前で「仕事をやめます」ときっぱりと伝えた。




541 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 06:03:03.41 ID:Kd5WzAli0
虚を突かれたという感じでT先生は「え?どうして?」と言った。
「見切りを付けました。漫画家は諦めて就職します」と答えたら、
それ以上は何も言わなかった。
周囲のアシスタントさんも何も言わなかった。
俺は依然最も叱責される回数が多かったし、
他のアシスタントさんには単なる逃げ口上のように響いたのかもしれないけど、
その言葉にウソはなかったから凛として発言できたんだと思う。


そして俺は完全なニートになった。

気が抜けて一ヶ月くらいは
何となくハロワの募集ページを見るだけの日々を送っていた。


そんな時に再び、一本の電話が鳴り響く。




552 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 06:08:49.67 ID:Kd5WzAli0
「おめでとうございます。
当社に応募いただきましたあなたの作品が入選に選ばれました」


なんですと!!?

 

それは最後のあの原稿を投稿した出版社からだった。
26歳職歴なし…
これは本当に社会にギリギリなんとか
まだ頑張ればカムバックできるかもしれない状態だ。
今、引き返せばまだ…、でも…、でも…。


希望は時として絶望以上に残酷だったりする。

 

次章 そして破滅へ編




565 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 06:11:25.13 ID:Kd5WzAli0
引っ張り過ぎてごめんなさい。
自分でもこんなに書くつもりが無かったもので…。

付き合ってくれた人はありがとう。
次章!とか書いたけど続きは書くか分かりません。
でもここまででも随分破滅的な人生だと思うので、
それで何とか納得してください。

ありがとうございました。おやすみノシ

続き↓
漫画家を目指した俺が崩壊するまでを粛々と語る ~破滅編~

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コメント一覧

1. 名無し   2010年09月13日 19:11
続きは?

2. 名無し   2010年09月13日 19:14
続きまってる

3. 名無し   2010年09月13日 19:17
>>1
ハム速へ行け

4. 名無し   2010年09月13日 19:23
続きが気になるところで切るなよ
ああ気になる

5. 名無し   2010年09月13日 19:31
え?終わりかよ

6. 名無し   2010年09月13日 19:32
ハム速は行きたくないから、早めにつづきたのむ

7. 名無し   2010年09月13日 19:38
そこで切るなよ。

8. 名無し   2010年09月13日 19:50
俺の友達と同じ軌跡辿っててフイタ
あれ

9. 名無し   2010年09月13日 19:57
漫画家、声優、芸人で喰っていくのは東大に入るよりも
プロ野球選手になるよりもはるかに難しい

10. 名無し   2010年09月13日 20:10
続きめちゃ読みて~

11. 名無し   2010年09月13日 20:18
難しいよな、漫画家は
でも1は行動を起こしてるのが偉いよな

俺の兄貴は漫画家なるって言ってもう6年は書いてないけどまだ目指してるっていう
実家に寄生してて今もゲームやってるっぽい

そんな人には夢を語って欲しくない

12. 名無し   2010年09月13日 20:35
冨樫の職場は結構すごいらしいな。
アシ全員が辞めたのってこの>>1が辞めた時期かもな。

13. 名無し   2010年09月13日 22:02
blog.livedoor.jp/chihhylove/archives/3581196.html

ほら続き

14. 名無し   2010年09月14日 01:39
漫画の世界はどこかゆがんでいる気がするな。

15. 名無し   2010年09月15日 00:22
少し読んで止めた、
なんで漫画家目指してたのに漫画にしてないのか謎。。
ダラダラ文章にするぐらいなら、ラフでもいいから絵UPしてたらよかったのに。

16. 名無し   2010年09月15日 01:27
何というか漫画家での現実の厳しさを知った

17. 名無し   2010年09月15日 07:25
なんか後編の方でも、マンガやラノベにしたらとかコメントしてる奴いるけど、そりゃ難ありだろ。
「読ませる文章力」とか複数名が言ってるけど、掲示板だから続けて書けるのであって、これをそのまま小説やマンガでしたら冗長というか饒舌というか。

ダラダラ文章……と批判できるもんじゃなく、これは掲示板カキコとしてのスタイルに合わせて、うまく分割アップされてると思うけど。

18. 名無し   2010年09月15日 07:55
「漫画にしたら」とか軽々しく言える奴は本当の意味でこのスレの内容を理解出来てないんだろ

19. 名無し   2010年09月15日 11:48
文章うまいから一気に読めちゃったよ。
ネタじゃなくてマジっぽいな。

20. 名無し   2010年09月15日 14:31
もうなんでもいいから描いた漫画見せろよと思う

21. 名無し   2010年09月15日 23:53
描いた画どころか。

タイトルやジャンルまでも省略している……普通なら「最初に描いたのは“デッドヒート”という短編だった」とか、「次は超能力バトルもの」「雰囲気を変えて野球マンガ」みたく自分が描きあげた作品という結果をクリエーターは伝える。

でも、「何ヶ月かかった」「苦心した」というプロセスを語るだけ。
もちろん簡単に言い表せる内容でないかしれないが、プレゼンは苦手なのか。
あるいはエピソードを積み重ねる技巧には凝りながら、「ここがクライマックス」「大どんでん返し」とかいうのを読み手にアピールすることへの執着があまりなかったのか。
一連の書き込み自体がネタで、後編のラストが泣かせどころ……というつもりだったのならともかく。

22. 名無し   2010年09月16日 14:51
自分の作品を見せたい芸術家肌なら、web漫画で晒すだけだし
売って金に換えたいだけなら、同人で売るからな
たまにはいるな、たまにw

23. 名無し   2010年09月16日 21:42
>>22
中学生かよ
自分の作品見せてそれで生計たてるのが一番にきまってる
屁理屈ごねるな、発想が稚拙すぎる

24. 名無し   2010年09月16日 23:50
まぁ、後編で
>うpは今も絵の仕事をしているためできません。ごめんなさい。
>(そもそもうpどうやるのか分かってない。

って書いてんだから、画はナシで良いじゃんか。

25. 名無し   2010年09月21日 16:19
まぁ、これだけのことに耐えて得た技術だし、
小説の挿絵とか、小さな仕事からでも食っていけるだろう
俺の知り合いで無名すぎるやつもやってるくらいだ
言っとくが、悪い意味じゃないぞ?

26. 名無し   2010年10月25日 13:02
>>19
同意。希望と絶望感がすごい伝わってきたわ

27. 名無し   2010年12月09日 19:21
漫画やタイトル等をアップできないのは
「この絵…あぁ~あいつか~」って
身バレしたくないからでしょ?
これだけ書いてるんだもん、そのT先生や編集者って誰よ?と凸されたらヤバイし、
それによって、
周りにも迷惑かけたくない無いんだと思うよ。
でも本当、良い意味でこの人の漫画読んでみたい!


28. 名無し   2010年12月15日 14:21
読んでるこっちがなぜかめっちゃどきどきする・・・

29. 名無し   2011年01月09日 01:04
編集の駄目出しおぼえてないとか悲劇のヒロインぶってたりとかいちいち甘ったれすぎ
こいつが破滅するのは自業自得
Cさんが夢をあきらめざるをえなくなったのもこいつきっかけじゃねーか

30. 名無し   2011年01月22日 02:45
後半で一気に吊り臭くなるけどなw
なんであんなので爆釣なのかと思ったら
前半で同情集めてたのね
感情移入させちゃえば穴だらけの創作でも
釣り放題なしな、一応基本は出来てるんだな


31. 名無し   2011年03月23日 09:26
漫画家もそうだけどプロ棋士とかも子供から行動起こしてないと無理だよね
子供の時にほぼ決まっちゃう

32. 名無し   2011年08月06日 04:55
別にこんなことはよくあることだと思うけど。


33. 名無し   2011年09月13日 20:35
これを漫画のネタにしろよ。才能も無いバカな夢を見るガキ共に現実を教えてやれよ

34. 名無し   2011年09月14日 23:42
自分の机の上に参考書のように
プロ作家の単行本や切り抜きを置いてある時点で
駄目だこいつと思ったが駄目かやっぱり

でもなんでこんなに天狗でいられるのか不思議
自分を冷静に見る目がなければ作家は無理よ
と一応プロ漫画家が言ってみる

35. 名無し   2011年09月15日 04:53
うーん……
仕事なんだから出来ないことを「出来る」と言って結局出来なくて怒られる……
というのを繰り返してるようじゃ駄目なのでは

36. 車オークション   2011年11月27日 03:46
徳島県 ディアス ワゴン さてい!
千葉県 カローラ ランクス 無料査定。
山梨 センチュリー 下取り!
青森 ミニクーパー 下取。


37. 名無し   2011年12月01日 20:08
これをマンガにしろって言ってる人いるけど
もろ、バクマン。のパクリになるだろw

38. 名無し   2011年12月06日 17:17
これ読んだ印象だと
行動原理が感情的かつ人の目を気にしすぎ 
客観的に見るのは自分の作品だけでいい
適性考えて進路決定すればよかったのにな・・・

39. 名無しさんあじゃじゃしたー   2012年06月15日 23:05
いける。カッコいいよ。
ファミレスで漫画描いてる人がいて、魔法みたいだった。デビュー願ってます

40. 名無しさんあじゃじゃしたー   2012年06月17日 10:43
この内容を全部自伝漫画アンチバクマンとして描いたら大ヒットw

41. 名無しさんあじゃじゃしたー   2012年06月17日 17:30
大多数の人が夢が叶わなかったり、人生上手く行かなかったりするから何とも言えない
プロのスポーツ選手とか芸術系はそれが分かりやすいだけで、他の職種でも何でも挫折してるやつなんて一杯いるだろ
良い学歴が手に入らなかっただとか、好きな人が違うやつと結婚しただとかさ


42. 名無しさんあじゃじゃしたー   2012年08月11日 12:53
マンガ家目指してただけあって面白いや

43. 馬鹿ども   2012年09月01日 05:47
家族だまして仕送りさせるぐらい腹くくれ、ばか。
これを読んでる馬鹿達は
「学校は馬鹿製造工場である」で検索しては絶対にいけない。

44. 名無しさんあじゃじゃしたー   2012年11月26日 21:35
結構面白い。

ストーリーの才能あるんじゃない。

45. 名無しさんあじゃじゃしたー   2013年05月13日 16:03
っっっっ

46. Hada Juri   2013年06月26日 15:00
気持ち悪いスレだな

47. 名無しさんあじゃじゃしたー   2013年07月17日 21:39
なんだ、釣りか

48. 名無しさんあじゃじゃしたー   2013年09月11日 00:49
>>23
自分の作品見せてそれで生計たてるのが一番にきまってる ←馬鹿なお前が決まってるとかアホすぎる

金とか頭良いやつはいくらでも手に入るからどーでもいいんだよカス

49. 名無しさんあじゃじゃしたー   2013年10月10日 16:03
gurange.blog.fc2.com/blog-entry-554.html
ランキングしますた(^J^)
相互リンク、相互RSS募集中です。
よかったらご連絡ください。


50. 名無しさんあじゃじゃしたー   2014年08月16日 17:59
pixivに上がってる漫画家志望者の挫折エッセイも、同様に読んでて心が痛くなる内容だったな。

51. 名無しさんあじゃじゃしたー   2014年10月19日 15:46
ブラック企業に勤めてるが限界の人か
こっちは映画化にはならずだったんだな

52. 名無しさんあじゃじゃしたー   2015年06月22日 13:49
競争しない人が安定的なお金を得ている事実についてw
ランチェスターの弱者の戦略について学ぼう


53. 名無しさんあじゃじゃしたー   2015年08月18日 01:04
岡田あーみんが漫画家になりたいと17歳のとき思って
一年でデビューしたのは今考えると奇跡だったんやな・・・

54. 名無しさんあじゃじゃしたー   2017年08月15日 04:08
おめでとうございます入賞のくだりが嘘臭えんだよな~

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