第12話 好きの気持ち



12 好きの気持ち

  『好きは、人、それぞれ。
       好きの、受け取り方も、人、それぞれ。
              ・・・・・だから、すれ違う・・・・』



 結人は、育ってきた環境のせいで、まともに学校に行けていない。
 結人が大好きな、お父さんとお母さんが生きていた時も、器であることを知らずに、澱みを体内にため込み続けていた結人の体は、澱みにむしばまれ、結人は、寝込んでばかりだった。
 結人の両親が亡くなってから過ごした施設では、施設の子供たちを学校に通わせるための、市からの援助金を、施設職員たちの豪遊につかわれていて、小学校には、行かせてもらえなかった。
 結人を金のために引き取った女は、恋人の男と一緒に、結人を虐待し、部屋に鎖でつなぎ、監禁したのだから、当然、学校にいけるわけがなかった。
 結人を金で買ったタバコの男は、結人を学校に通わせてくれたけれど、学校以外の外出を禁止され、その時間、すべてで、男との性的行為をしいられていたから、勉強なんかできなかった。
 その後の、警察病院でも、入院という名目で、外に出してもらえず、毎日毎晩、男たちの性欲処理の道具にされていた。
 そんな人生を歩んできた結人に、学校に通った記憶は、ほとんど、なかった。
 勉強の仕方すら、覚えられなかった。
 それでも、結人を性欲処理の道具にした男たちが、裏で操作していたのか、結人は、実感がないまま、義務教育期間を、卒業したことになっていた。
 偽装だったとはいえ、学校に通った数値だけで、卒業認定を与えるような国は、結人のような個人まで、把握していないのだろう。
 その結果、まともな勉強を受けていない結人は、その精神と同じで、学力レベルも、小学校低学年レベルのまま、止まっていた。
 そんな結人が、高校の授業についていけるはずがなく、テストは、鉛筆を転がして、出た数字を回答欄に書き、授業中は、あてられたら、笑ってごまかす、そんな毎日だった。
 結人の、そのあまりのテストの点数の悪さは、さすがの要もフォローの言葉を失い、結人が、鉛筆を転がして出たアルファベットを合成して、この世に存在しない化学式を書いたときには、誠志に、死ぬほど冷たい視線をあびせられた。
 さすがに、いい加減、結人自身も、あまりの自分の勉強のできなさが、悲しくてしょうがなかった。
 過去がどうあれ、今は、高校に通わせてもらっているので、ちゃんと、勉強に向き合いたい。
 結人は、そう決意して、今日は、学校の図書室にきていた。
「・・・・・・うぅー・・・・・・・」
 そして、目の前の問題が、意味不明すぎて、頭を抱えていた。
 まぁ、図書室にきただけで、勉強ができるようになるわけでもない訳で・・・。
 自分の不甲斐なさに、瞳をうるうるさせながら、結人は、一緒にきてもらった泉介を頼りにしてみた。
「・・・せんすけぇ、この問題、わかる・・・?」
「オ、オレに、ふるなや!!」
「そ、そっかぁ・・・。じゃ、じゃあ・・・・・その・・・・・ひ、密は?」
 密も、一緒にきていた。
 でも、密は、机の上に、一応、ノートを開いているくせに、イスに座った時から、勉強もせず、結人の横顔を、無言で、見つめ続けていた。
 いつもの無表情のまま、穴が開きそうなほど、ジィっと。
 そんなに、見つめられ続けて、困っていた結人は、教科書で自分の顔を隠しながら、密に話しかけてみた。
 結人なりの、やめてよーのアピールも込めていたのだけど、
「・・・俺は、勉強より、結人を見ている方が、楽しい」
 密は、聞いてもいないことを返してきた。
 無表情のままで。
 しかも、
「隠すな。結人が、見えない。楽しくない」
 そう言って、密は、結人が、自分の顔を隠していた教科書を、奪ってしまった。
 そして、また、結人のかわいい顔を、無表情で、ジィっと、見つめ始めた。
(・・・もう・・・密ってば・・・)
 結人は、思わず、小さく、ため息をついてしまった。
 この間の一件・・・結人が密の体の秘密を知り、密が告白をしてきて、そして、密が結人の願いを叶えると言って以来、密は、本当に、ずっと、一緒にいてくれる。
 結人がいった、『いなくならないで』の願いを、叶えるために。
 教室でも、廊下でも、食堂でも、寮でも、お風呂場でも・・・トイレでも・・・密は、どこまでも、ついてこようとしていた。
 確かに、結人は、『いなくならないで』といったけれど、本当に、どこまでも一緒で、結人は、ちょっと、困ってもいた。
 しかも、密は、さっきのような、まっすぐな愛情の言葉を、照れることもなく、淡々と言ってくる。
 場所も気にしてくれない。
 どこでも、誰がいても、密は、思ったままの言葉を、とても簡潔に、まっすぐ見つめて、でも、無表情で、平然と口にしてくる。
『結人が、好きだ』
『結人が好きだから、一緒にいる』
『結人が好きだから、触りたくなった。でも、今は、我慢する。後にする。結人の許可が出るのを、待つ』
『結人は、かわいい。それは、前から知っていた。でも、好きになったら、もっと、かわいく見えるようになった。不思議だ。どうしてだ?』
 結人的には、これが、もう、かなり・・・・・・恥ずかしい。
 しかも、密のその『結人が、もっとかわいく見えるようになった』気持ちの理由を、結人本人に聞かれても、困るし、恥ずかしくて、答えられるわけがない。
 さらに、密は、思ったときに思ったままに口にするので、言われるのを、予知できないというか、不意打ちすぎて、結人の心臓が、いろんな意味で、バクバク鳴って、ボンって壊れそうになったことは、もう何度あったか・・・。
 せめて、まわりに、人がいないときにしてほしいというのが、結人の思いなのだけれど、密は、それが恥ずかしいという理屈が理解できないらしくて、結局、毎日、この調子だった。
 密に、こんなことを言われ続けてきて平気な顔して笑って受け入れていた要という存在に、結人は、改めて、驚きを感じていた。
『世界に、要だけがいればいい。要のいない世界は、いらない』と、結人と出会った最初の頃に、密がいっていたけれど、そのまっすぐな密の愛の言葉を、要は、いったい、どうやって、対処していたのかと、結人は、今度、その秘訣を、要に聞こうと、本気で思っていた。
 そんな状態で、その後も、結人と密と泉介の3人で、問題を考え続けたけれど、何一つ、解けなかった。
 3人寄れば文殊の知恵にもならず、船頭多くして船沈みまくる。
 ・・・で、結局、目を見交わしあって、誰からともなく、結論をだした。
 自分たちだけでは、何も解決しない。
 なので、みんなのやさしいお兄ちゃん、要に聞きに行こう、と。
 ちなみに、要と誠志はそろって、毎回のテストで、トップに君臨していた。
 二人そろって、トップになれるということは、二人にとって、テストが、簡単すぎるということなのだ。
 毎日毎日、生徒会の仕事におわれている、あの二人のどこを探せば、主席を維持できるほどに、勉強する暇が見つかるのか、結人は、不思議でしょうがなかった。




 結人たちが、要がいる生徒会室へと、3人仲良く現れた途端、誠志に、入口で、通せんぼされた。
「要は今、忙しい。消えろ」
 と、すごく、不機嫌そうに、睨まれて。
 そのまま、ピシャッと扉を閉められ、追い出されてしまった。
「なんやねん、副会長はん。えらい機嫌わるぅ感じやったな?」
「・・・誠志はいつも、あんな感じだ・・・。気にするな。俺は気にしない。なぁ、結人?・・・・・・あれ、結人は、どこだ?」
「ゆ、結人が、おらへんやんけ!」
 追い出され、廊下を歩いていた密と泉介は、結人がいないことに気づき、オロオロと、結人を探した。




※新しい第12話、開始です(*・ω・)ノ
  今回のタイトルは、好きの気持ちです。
  誰の気持ちなのか、推測しながら読んでみるのも、楽しいかもです(☆゚∀゚)
  第12話も、よろしくお願いします。



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  最近は、散ら花書く時の、裏話とか、日記的になってきてますw