元米海兵隊員の軍属による女性暴行・殺人事件を受けて、619日沖縄県で行われた「被害者を追悼し、海兵隊の撤去を求める県民大会」に参加してきました。

会場は那覇市の奥武山公園で65000人もの人が集まりました。

この大会は、未来ある若い命、20歳の女性を追悼することと、二度と繰り返さないために海兵隊の撤去を迫る集会でした。
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一部、
「追悼と言いながら政治的な課題を持ち込むのはいかがか」
「そっとしておいてやれ」といった主張をされる方がいますが、本当にこのような事件を二度と起こさないと決意した人々がとる道は、やはり根本的な問題の本質である「米軍基地の撤去」抜きには考えられないのだろうと思います。
 

基地があるゆえに絶え間なく引き起こされる米兵による事件や事故に、本気で向き合おうとすれば政治的な日米安保条約・日米地位協定に基づく、在日米軍の存在は避けては通れません。
「そっとしておいてやれ」という言葉は、一見もっともで優しい配慮のようにも思えます。
しかし、これは問題から目を背け、これからも沖縄県民に苦悩を強いることになるということを認識することが必要だと思います。


だからこそ、被害女性のお父さんから大会に「なぜ娘は殺されなければならなかったのか。次の被害者を出さないためにも、全基地撤去、新基地建設断念は県民が一つになれば可能です」というメッセージが寄せられたのではないかと思います。

単にそっとしておくだけでは、問題の解決にはならないし遺族の思いにこたえることにもならない。
事件の本質に切り込んだ今回の大会の意味はとても大きいと感じました。

 (大会の実行委員会の方は、「政治利用」という意見にも配慮したのだと思います。大会が始まってからは団体ののぼり旗や独自のプラカードは下げるようお願いをしていました。もちろん参加者もその要請に応じて、団体器などはしまっていました。政治利用というのは失礼なレッテル張りだと思います)
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 ※ご覧の通り団体の旗などは一切立っていません。
 

沖縄では戦後70年を超えて米軍による県民への「強姦」「殺人」「交通事故」などの犯罪行為が繰り返されてきました。日本に返還されて以降だけでも、明らかになったものだけでも約6000件以上と報告されています。

この異常な事態の背景には、沖縄にある在日米軍の存在があります。

沖縄の面積は日本の国土の約0.6%です。

その沖縄に、在日米軍基地の74%が集中しています。そしてその根拠となるのが「日米安保条約」であり、在日米軍の特権的な地位を定めた「日米地位協定」の存在です。

 

県民大会の決議文は次のように呼びかけています

「元海兵隊員の凶悪な犯罪により、20歳の未来ある女性の命が奪われた。これは米軍基地あるが故の事件であり、断じて許されるものではない。

繰り返される米軍人・軍属による事件や事故に対し、県民の怒りと悲しみは限界を超えた。

私たちは遺族とともに、被害者を追悼し、2度と繰り返させないために、この県民大会に結集した。

日米両政府は、事件・事故が起きるたびに「綱紀粛正」「再発防止」を徹底すると釈明してきたが実行されたためしはない。このような犯罪などを防止するには、やはり「基地をなくすべきだ」との県民の怒りの声はおさまらない。

戦後71年にわたって米軍が存在している結果、復帰後だけでも、米軍の犯罪事件が5910件発生し、そのうち凶悪事件は575件にのぼる異常事態である。

県民の人権といのちを守るためには、米軍基地の大幅な整理、縮小、なかでも海兵隊の撤去は急務である。

私たちは、今県民大会において、以下決議し、日米両政府に対し、強く要求する。

1、日米両政府は、遺族及び県民に対して改めて謝罪し、完全な補償を行うこと。

2、在沖米海兵隊の撤退及び米軍基地の大幅な整理、縮小、県内移設によらない普天間飛行場の閉鎖・撤去を行うこと。

3、日米地位協定の抜本的改定を行うこと。

 

宛先 内閣総理大臣

   外務大臣

   防衛大臣

   沖縄及び北方対策担当大臣

   米軍大統領

   中日米国大使

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2016年06月21日赤旗・県民大会


大会に参加した翁長知事は、あいさつの中で、事務方の用意した原稿にない言葉で会場へ訴えたそうです。

「私たちは心を一つにして、この壁を突き崩していかなければならない」と。

当初、知事は自民公明が参加しないと表明する中で、超党派での開催にならないことや決議文に「海兵隊の撤去」が盛り込まれることから、そこまで踏み込むのかどうか悩んだそうです。

しかし、大会三日前に出席を決断した思いは、「政治家として重い責任を感じた」からだと報道されています。

 

最後に、翁長知事と共同代表の玉城愛さんの挨拶を紹介します。

【翁長県知事の挨拶】
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ハイサイ、グスーヨー。チュウガナビラ。沖縄県知事の翁長雄志でございます。

炎天下の中、このように多くの県民の皆様方がご結集いただきましたことを心より感謝を申し上げます。

今回の事件によってお亡くなりになられた被害者のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族に対し心から哀悼の意を表します。

 そしてこのような非人間的で女性の人権を蹂躙(じゅうりん)する極めて卑劣な犯罪は断じて許せるものではなく、強い憤りを感じております。

 

 先日、被害者が遺棄された場所に花を手向け、手を合わせてまいりました。心の底から「あなたを守ってあげることができなくてごめんなさい」という言葉が出てまいりました。21年前のあの痛ましい事件を受けての県民大会で、二度とこのような事故を繰り返さないと誓いながら、政治の仕組みを変えることができなかったことは、政治家として、知事として痛恨の極みであり、大変申し訳なく思っております。

 

 先月、安倍(晋三)総理にこの事件について抗議した際に、沖縄県知事として県民の生命と財産、尊厳と人権、そして将来の子孫の安心と安全を守るために日米地位協定の見直しを強く要望し、運用改善による対応では限界であることを沖縄県民は等しく認識していることを伝えました。

 

 このような凶悪事件が継続して発生したことは、広大な米軍基地がある故であることも改めて強く申し上げました。しかしながら、非人間的で凶悪な事件が明らかになった直後の日米首脳会談であったにもかかわらず、安倍総理は日米地位協定の見直しに言及せず、辺野古移設が唯一の解決策であるとおっしゃっております。この問題を解決しようとする先に、いかに大きな壁が立ちはだかっているか。私たちは思いをいたさなければなりません。

 

 私たちは心を一つにして、強い意志と誇りを持ってこの壁を突き崩していかなければなりません。今日の日を改めての決意の日にし、全力で頑張っていこうではありませんか。

 

 さらに安倍総理には、沖縄は戦後米軍施政権下で、当時の高等弁務官から「沖縄の自治は神話である」と言われたこと、総理は常々「日本を取り戻す」とおっしゃっていますが、この中に沖縄は入っているのか。現在の日米地位協定の下では、米国から「日本の独立は神話である」と言われているような強い思いを感じていることを伝えました。

 

 昨年に引き続き、ワシントンDCに行き、新辺野古基地建設が環境問題をも含めて大変厳しいことを、連邦議会、有識者会議、そして米国の副大統領や駐日大使を務めたモンデール氏に訴え、しっかり説明をいたしました。米国でお会いした方々も、この1年間工事がストップしていること、裁判の和解勧告でも、国に対して厳しい判断が下されていること。安倍総理がオバマ大統領に急がば回れと説明したことにも注目をしており、懸念を示しておりました。

 

 数日前には有識者会議のメンバーの方が、辺野古唯一では問題が解決しないこと、それでなくても抑止力や地政学上の問題はクリアできることを提言されております。少しずつではありますが、着実に前に進んでいることを感じております。

 

 安倍総理や菅(義偉)官房長官は「普天間飛行場は世界一危険だ」と何度も言及しておりますが、私が「本当に新辺野古基地ができなければ、世界一危険な普天間飛行場を固定できるのか」と何回も問い掛けましたけれども、一言も発することはありませんでした。政府が普天間飛行場の周辺住民の生命・財産を守ることを優先にするならば、辺野古移設の進捗(しんちょく)に関わりなく、残り3年を切った普天間飛行場の5年以内運用停止を実現すべきであり、政府には普天間飛行場の固定化を絶対に避け、積極的に県外移設に取り組むよう強く要望を致します。

 

 政府は、県民の怒りが限界に達しつつあること、またこれ以上の基地負担に県民の犠牲は許されないことを理解すべきであります。私は県民の生命と財産、尊厳と人権、そして将来の子や孫の安心と安全を守るべき知事として、このような事件が二度と起きないよう、県民の先頭に立って、日米地位協定の抜本的な見直し、海兵隊の撤退・削減を含む基地の整理・縮小、新辺野古基地建設阻止に取り組んでいく不退転の決意をここに表明し、私のあいさつと致します。

 

 グスーヨー(みなさん)、負ケテナイビランドー(負けてはいけません)。ワッターウチナーンチュヌ(私たちの沖縄人の)クワウマガ(子や孫を)マムティイチャビラ(守っていきましょう)。チバラナヤーサイ(頑張っていきましょう)。

 

 

【オール沖縄会議共同代表の玉城愛さんのスピーチ】
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 被害に遭われた女性へ。絶対に忘れないでください。あなたのことを思い、多くの県民が涙し、怒り、悲しみ、言葉にならない重くのしかかるものを抱いていることを絶対に忘れないでください。

 

 あなたと面識のない私が発言することによって、あなたやあなたがこれまで大切にされてきた人々を傷つけていないかと日々葛藤しながら、しかし黙りたくない。そういう思いを持っています。どうぞお許しください。あなたとあなたのご家族、あなたの大切な人々に平安と慰めが永遠にありますように、私も祈り続けます。

 

 安倍晋三さん。日本本土にお住まいのみなさん。今回の事件の「第二の加害者」は、あなたたちです。しっかり、沖縄に向き合っていただけませんか。いつまで私たち沖縄県民は、ばかにされるのでしょうか。パトカーを増やして護身術を学べば、私たちの命は安全になるのか。ばかにしないでください。

 

 軍隊の本質は人間の命を奪うことだと、大学で学びました。再発防止や綱紀粛正などという使い古された幼稚で安易な提案は意味を持たず、軍隊の本質から目をそらす貧相なもので、何の意味もありません。

 

 バラク・オバマさん。アメリカから日本を解放してください。そうでなければ、沖縄に自由とか民主主義が存在しないのです。私たちは奴隷ではない。あなたや米国市民と同じ人間です。オバマさん、米国に住む市民のみなさん、被害者とウチナーンチュ(沖縄の人)に真剣に向き合い、謝ってください。

 

 自分の国が一番と誇るということは結構なのですが、人間の命の価値が分からない国、人殺しの国と言われていることを、ご存じですか。軍隊や戦争に対する本質的な部分を、アメリカが自らアメリカに住む市民の一人として問い直すべきだと、私は思います。

 

 会場にお集まりのみなさん。幸せに生きるって何なのでしょうか。一人一人が大切にされる社会とは、どんな形をしているのでしょうか。大切な人が隣にいる幸せ、人間の命こそ宝なのだという沖縄の精神、私はウチナーンチュであることに誇りを持っています。

 

 私自身は、どんな沖縄で生きていきたいのか、私が守るべき、私が生きる意味を考えるということは何なのか、日々重くのしかかるものを抱えながら現在生きています。

 

 私の幸せな生活は、県民一人一人の幸せにつながる、県民みんなの幸せが私の幸せである沖縄の社会。私は、家族や私のことを大切にしてくれる方たちと一緒に今生きてはいるのですが、全く幸せではありません。

 

 同じ世代の女性の命が奪われる。もしかしたら、私だったかもしれない。私の友人だったかもしれない。信頼している社会に裏切られる。何かわからないものが私をつぶそうとしている感覚は、絶対に忘れません。

 

 生きる尊厳と生きる時間が、軍隊によって否定される。命を奪うことが正当化される。こんなばかばかしい社会を、誰が作ったの。このような問いをもって日々を過ごし、深く考えれば考えるほど、私に責任がある、私が当事者だという思いが、日に日に増していきます。

 

 彼女が奪われた生きる時間の分、私たちはウチナーンチュとして、一人の市民として、誇り高く責任を持って生きていきませんか。もう絶対に繰り返さない。沖縄から人間の生きる時間、人間の生きる時間の価値、命には深くて誇るべき価値があるのだという沖縄の精神を、声高々と上げていきましょう。


書籍紹介「Q&A 辺野古から問う、日本の地方自治」
普天間基地の移設をめぐって沖縄と国とのたたかいがどういう意味を持つのか。
複雑なこの争いを理解するのにちょうどよいと思いました。
沖縄の米軍基地の問題に限らず、地方自治とはどうあるべきなのかについても考えさせられます

Q&A 辺野古から問う日本の地方自治
白藤 博行,亀山 統一,前田 定孝,徳田 博人 本多 滝夫
自治体研究社
2016-05-10