最賃審議会傍聴記(2017年8月1日)

 

はじめて神奈川の最低賃金の額を(実質的に)決める審議会を傍聴しました。

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↑ひっそりと掲げられた看板、、、
↓神奈川県の労働局の入居している第二合同庁舎
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傍聴者は6名。そのうち4名は神奈川労連加盟の組合員でした。

 

審議会の委員は「公益」「使用者」「労働者」から委員が選出されていて、今日は15名中13名の委員が出席で定足数を満たしているという報告でした。

 

正直な感想は、「儀式」ですね。

スケジュールに沿って淡々と進行し、特に質問もなく(声を発したのは会長と労働者側代表と使用者側代表の13名中3名のみ)10時から始まり11時前に終わってしまいました。

「詳細はこのあと専門部会を開催し、、、、」と事務局が言っていたのでこのあとやるんでしょうが、傍聴人は退席を促されました。

 

「儀式」めいた会議も必要だとは思いますが、私たちが傍聴したいのは「審議の内容」であって儀式ではないので、傍聴するなら「専門部会」の方を膨張させてもらいたかったなと思いました。

 

この日の神奈川県最低賃金審議会では、月27日(木)中央審議会で出された目安を踏まえ、神奈川の最賃の改定について検討するというのが主な目的です。

労働者の生活実態を見て最低賃金の大幅引き上げが必要だという判断をしてもらいたいと思います。

「(最賃引き上げは)中小企業の経営を圧迫し、雇用の維持確保を困難にする(使用者側委員)」という意見はいつも出されますが、だからこそ審議会は「最低賃金の額」だけでなく、国が講ずるべき中小企業支援策なども幅広い視野に立った審議をするべきなんだと思います。

「景況感も少し良くなっているが、不安感はまだある(使用者側委員)」という不安はいつまでたってもありますよ。だからこそ、「アメリカでは15ドルにしている州も増えているが、支援策を講じることによって企業の倒産は起こっていない。むしろ地域で消費が拡大し、適正な価格でも物が売れるようになる(意見陳述したユーコープ労組のAさん)」との指摘を真摯に受け止め、審議を進めてほしいと思います。

 

以下、ユーコープ労組のAさんの意見陳述を紹介します。(勉強になります)

 
私は、ユーコープ労働組合書記次長のAです。
神奈川県内のパート労働者は2015年では全労働者の35%を越え、
正規雇用を望みながらもパートやアルバイト、派遣といった不安定雇用でしか仕事が見つからない若者が急増し、特に女性労働者の半数以上が非正規雇用という実態です。
2016年度の神奈川県の最低賃金は25円引き上げられ、930円となりました。
その影響率は約2割と全国トップクラスとなり、約75万人の労働者の賃金の引き上げに直接結びついています。
時間給で働く人の多くはパートやアルバイトなどの非正規労働者で、圧倒的多数は労働組合に組織されていませんから、労使交渉によって賃金が引き上げられることは非常に少なく、最低賃金の引き上げ以外に非正規労働者の賃金の引き上げはほぼ望めません。
デフレ脱却のためにも最低賃金を引き上げて、非正規労働者の賃金を上げていかなければなりません。
また、政策的課題として「長時間労働をなくそう!労働時間を短縮しよう!」と言われていますが、
非正規労働者はあまりにも低い時間給のために、ダブル・トリプルワークをしてなんとか生活をしている長時間労働者が多くいます。
長時間労働を是正するためには、8時間働けば生活できる時間当たりの賃金に引き上げなければなりません。
改定額の930円で月に150時間働いても14万程度です。そこから、税金や社会保険料、水道光熱費、住居費など最低限の支払いをすると残りは数万円にしかならず憲法25条で保障されている「健康で文化的な最低限度の生活」は到底できません。
2007年の改定最賃法には「生活保護との整合性」が明記され、労働者の生計費が補強されました。
当時の厚労省大臣は、「最賃は生活保護を下回ってはならない」と国会答弁していますが、国は、最低賃金と生活保護とを比較する際の計算式を労働時間や勤労控除など5つのゴマカシを使って生活保護を不当に低く算出し、その結果、全国すべての地方で生活保護との乖離は解消したとしています。
神奈川でたたかった最低賃金裁判でもこの算出基準は大きな争点のひとつとしましたが、被告である国はこの算定基準には一切触れず、東京高裁での控訴審では、控訴を棄却する不当判決を出しました。労働者の生計費を考える際に国は生活保護を唯一の指標としていますが、私たちはたくさんのアンケートを集約しながら、持ち物調査や価格調査など手作業での最低生計費調査を行ってきました。
首都圏、東北、九州、東海でも月額では23万円以上、時間給では1300~1500円が必要である結果となり、憲法25条が保障する健康で文化的な最低限度の生活を実現するためには全国一律最低賃金1000円以上、1500円の実現が必須であることが明らかとなりました。
最低賃金が今すぐ1000円になれば、いままで我慢してきたもの、必要なものを買って、経済の好循環に役立ちます。
「そのようなレベルまで最低賃金を引き上げると、会社が倒産する」という事業主の声が聞かれますが、アメリカでは最低賃金15ドルがいくつかの自治体で実現し、その結果の取材などを調べると、最低賃金が引きあがることによって消費が向上し、賃上げ分が吸収され会社はつぶれていません。また、地域全体の最低賃金が上昇するので、企業は企業間競争を気にすることなく、商品の価格をいっせいに上げて価格に転嫁できます。
最低賃金を引き上げることで事業主が本当に経営危機に瀕するのであれば、国の責任として事業主に有効な支援策を整備する必要があります。
私たちは関係団体に対して要請を行っていますが、中小企業団体中央会では、「社会保険料負担を減らしてほしい」という要望の声を聞いています。
韓国では時給1万ウォン(約993円)を求める運動が広がり、7月15日には政労使27人で構成された最低賃金委員会で2018年度の最低賃金を7530ウォン(約750円)にすることで一致しました。実に16.4
%の引き上げとなり、韓国は全国一律制のため、この改定により463万人の労働者が対象になるといいます。同時に中小企業への支援策も打ち出し、最近5年間の最低賃金の引き上げ率(7.4%)を上回る分の人件費を直接支援する必要額として4兆ウォンを見積もっています。
7月25日、中央最低賃金審議会は地域別最低賃金の改定について、
全国平均の時給を25円引き上げ、848円、
A ランクの神奈川県は26円とする目安を示しました。
政府の働き方改革実行計画で掲げた、年率3%程度の目標にあわせた結果で、2年連続の3%引き上げです。
2016年6月に閣議決定された「新成長戦略」において、政府は2020年までに「全国最低800円、全国平均1000円」にすると国民に約束しました。
3%程度の引き上げでは、この目標は実現できません。
神奈川地方最低賃金審議会におかれましては、労働者の生計費や中小企業・小規模事業者への支援策などについて神奈川独自の調査審議を尽くして、目安額に「いくら上乗せするか」の議論にとどまらず、大幅な引き上げをしていただくよう強く要望します。

 

以上

 サイチン
↑最賃くんです(Twitter @saichinkunver2
↓7月15日の「最賃1500円を目指す!希望のダンプカーデモ」
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