毎年恒例となりつつある、横浜労働学校港湾教室
今回は全2回で学びます。日程等はこちら
初日は「労働基準法をみにつけよう!」というテーマで、学びました。
講師はこの道20年で、ベテランの域に達しつつある労働基準監督官にお願いしました。
(驚かれますが、労働基準監督官も労働組合の組合員仲間なのです(*´ω`))
18時30分から開始の労働学校には、いろんな組合から30人を超える組合員が参加してくれました。
次回は会場を広いところにしないといけないかもしれません、、、。
労働基準法の意義はなにか
それは、「契約自由の原則を修正する」というところに労働基準法の重要な意義がある
現代社会は、「人間はすべて平等だ!」というのが当たり前の常識です。
かつては人間はすべて平等ではありませんでした。
身分制度があり、人間の価値もそれぞれ異なっていました。
殿様と農民は命の価値も平等ではありませんでした。
しかし現代は「人間はすべて平等」であるという常識が打ち立てられ、
天皇も私も平等になりました。
なので「契約も自由、平等なんだから自由」という考えかたが原則になっています。
それを「契約自由の原則」と言います。
確かに、労働者と使用者は建前としては「平等」です。
でも、実際は?
けして平等ではありませんよね。
今の時代、資産も何もない労働者が面接で「そんな条件じゃ嫌だ!」とはなかなか言えません。
まあ「言えるよ」という人がいることは否定しませんが、例外はあるにしても、一日も早く仕事をしないと金がないというほとんどの労働者は低い条件でも応じざるを得ないでしょう。
契約自由の原則の下では、納得できない条件でも飲まざるを得ないのが現実です。
労働者と使用者(資本家)は、もっている力が絶対的に違うのです。
そこで、この原則を修正する「法」が生まれました。
法律の建前では「平等」でも、実際には格差があるのが現実です。
自由ほど不平等なものはないのかもしれません。
そういう立場に立って、国家が労使関係に関与する!
それが「契約自由の原則を修正する」という意味です。
「契約自由の原則を修正する」ための方法としては具体的には二つの方法があります。
①労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)を憲法で保障して、労働組合に団結して要求を実現させていく労働者の行動を保証するという方法。
②法律で最低基準を定める!という方法です。
要するに
「最低基準は法律で決めます。それ以上は労働者は団結して自らの努力で勝ち取っていきなさい!そのために憲法は労働三権を保証しますよ!」ということではないかと思います。
私たちは
労働基準法や、最低賃金法などの「最低基準の法律」をしっかり身につけ、
労働組合に団結して、行動し、交渉し、それ以上の権利を勝ち取っていくことができるのです。
労働学校の一日目は、その最低基準の代表である「労働基準法」の内容について学びました。
労働基準法の内容は、一時間ちょっとの講義では当然ですが全部は理解できません(;゚Д゚)。
ですが、労働学校で学んだこの機会にそれぞれが独自に学び出せば、大きな力になると思います。
そのきっかけを今回の労働学校でつくれればいいな。と思っています。
一時間半くらい話を聞いて、後半は質疑応答。
質問がたくさん出ました。時間があればもっと出たかもしれません。
以下、簡単に紹介します。
(質問①)
36協定について、残業代の上限はあるの?協定で決めた時間を超えて残業した場合、会社に罰則は?
→上限はあります。1ヶ月の場合は45時間(1年単位の変形労働時間制の場合は42時間)、1年の場合は360時間(1年単位の変形労働時間制の場合は320時間)です。
→36協定を超えたら、労働基準法違反で罰則があります!
(質問②)
現場には派遣社員がいるが、36協定を結ぶときは社員だけ。派遣社員が36協定違反で残業していた場合、それはいいのか?
→36協定は派遣元が結ぶべきですが、派遣先と派遣元が共同して罰則を受けることもある。
(質問③)
自分が労基署にタレこんでもいいんでしょうか?
→大丈夫です。匿名でもOkです。
(質問④)
港でコンテナが落ちてきて、けが人はいなかったがその恐怖でPTSD(心的外傷後ストレス障害)になった。
精神的なものは労災認定が難しいと思うが、会社が保証すると言った場合はそれは有効なの?
→会社が保証するというならそれは有効。ですが、そもそもその問題であれば労災申請してみてはどうでしょうか。労災申請してみる価値はあると思います。
(質問⑤)
60歳定年後に、同じ仕事をしていたのに賃金が下げられたという事案について、「賃下げは無効」という判決が出たがどう思うか。
→個人的には、労働の強度が変わらないのに年齢を理由に賃金を下げるというのはおかしいと思う。同一労働統一賃金の原則に反する。だから、その判決は当然だと思います。
(質問⑥)
労働基準法に書かれていないことで処分された。無実なのに。こういう場合は監督官は動いてくれる?
→労働基準法違反であれば動くことができるが、それ意外だと動けない場合もある。解雇も同様。
民事の争いの場合は、労働基準監督署ではなく、労働局の「あっせん」を活用してみては。
個人でも使えて無料です。
(質問⑦)
就業規則の給与規定が勝手に変えられていた。組合は知らなかったし、認めないと言ったら、会社は「ごめんなさい」と謝ったが、でもいまだに戻っていない。変えられたことすら知らなかった。
→就業規則の変更には、労働者代表(又は労働組合)の意見書が必要。周知義務もある。
知らない間に就業規則が変えられていたということはあってはならないことです。
(質問⑧)
36協定が知らない人と会社が結んでいる
→労働者代表を選ぶ手続きが適正でなければ、協定自体が無効。
こんなところでした。
次回は6月16日(木)「労働組合法を身につけよう!」→詳細はこちら
参加希望の方はお申し込みをお願いします。今回資料が足りなくなってしまいました(;^_^A
今回は全2回で学びます。日程等はこちら
初日は「労働基準法をみにつけよう!」というテーマで、学びました。
講師はこの道20年で、ベテランの域に達しつつある労働基準監督官にお願いしました。
(驚かれますが、労働基準監督官も労働組合の組合員仲間なのです(*´ω`))
18時30分から開始の労働学校には、いろんな組合から30人を超える組合員が参加してくれました。
次回は会場を広いところにしないといけないかもしれません、、、。
労働基準法の意義はなにか
それは、「契約自由の原則を修正する」というところに労働基準法の重要な意義がある
現代社会は、「人間はすべて平等だ!」というのが当たり前の常識です。
かつては人間はすべて平等ではありませんでした。
身分制度があり、人間の価値もそれぞれ異なっていました。
殿様と農民は命の価値も平等ではありませんでした。
しかし現代は「人間はすべて平等」であるという常識が打ち立てられ、
天皇も私も平等になりました。
なので「契約も自由、平等なんだから自由」という考えかたが原則になっています。
それを「契約自由の原則」と言います。
確かに、労働者と使用者は建前としては「平等」です。
でも、実際は?
けして平等ではありませんよね。
今の時代、資産も何もない労働者が面接で「そんな条件じゃ嫌だ!」とはなかなか言えません。
まあ「言えるよ」という人がいることは否定しませんが、例外はあるにしても、一日も早く仕事をしないと金がないというほとんどの労働者は低い条件でも応じざるを得ないでしょう。
契約自由の原則の下では、納得できない条件でも飲まざるを得ないのが現実です。
労働者と使用者(資本家)は、もっている力が絶対的に違うのです。
そこで、この原則を修正する「法」が生まれました。
法律の建前では「平等」でも、実際には格差があるのが現実です。
自由ほど不平等なものはないのかもしれません。
そういう立場に立って、国家が労使関係に関与する!
それが「契約自由の原則を修正する」という意味です。
「契約自由の原則を修正する」ための方法としては具体的には二つの方法があります。
①労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)を憲法で保障して、労働組合に団結して要求を実現させていく労働者の行動を保証するという方法。
②法律で最低基準を定める!という方法です。
要するに
「最低基準は法律で決めます。それ以上は労働者は団結して自らの努力で勝ち取っていきなさい!そのために憲法は労働三権を保証しますよ!」ということではないかと思います。
私たちは
労働基準法や、最低賃金法などの「最低基準の法律」をしっかり身につけ、
労働組合に団結して、行動し、交渉し、それ以上の権利を勝ち取っていくことができるのです。
労働学校の一日目は、その最低基準の代表である「労働基準法」の内容について学びました。
労働基準法の内容は、一時間ちょっとの講義では当然ですが全部は理解できません(;゚Д゚)。
ですが、労働学校で学んだこの機会にそれぞれが独自に学び出せば、大きな力になると思います。
そのきっかけを今回の労働学校でつくれればいいな。と思っています。
一時間半くらい話を聞いて、後半は質疑応答。
質問がたくさん出ました。時間があればもっと出たかもしれません。
以下、簡単に紹介します。
(質問①)
36協定について、残業代の上限はあるの?協定で決めた時間を超えて残業した場合、会社に罰則は?
→上限はあります。1ヶ月の場合は45時間(1年単位の変形労働時間制の場合は42時間)、1年の場合は360時間(1年単位の変形労働時間制の場合は320時間)です。
→36協定を超えたら、労働基準法違反で罰則があります!
(質問②)
現場には派遣社員がいるが、36協定を結ぶときは社員だけ。派遣社員が36協定違反で残業していた場合、それはいいのか?
→36協定は派遣元が結ぶべきですが、派遣先と派遣元が共同して罰則を受けることもある。
(質問③)
自分が労基署にタレこんでもいいんでしょうか?
→大丈夫です。匿名でもOkです。
(質問④)
港でコンテナが落ちてきて、けが人はいなかったがその恐怖でPTSD(心的外傷後ストレス障害)になった。
精神的なものは労災認定が難しいと思うが、会社が保証すると言った場合はそれは有効なの?
→会社が保証するというならそれは有効。ですが、そもそもその問題であれば労災申請してみてはどうでしょうか。労災申請してみる価値はあると思います。
(質問⑤)
60歳定年後に、同じ仕事をしていたのに賃金が下げられたという事案について、「賃下げは無効」という判決が出たがどう思うか。
→個人的には、労働の強度が変わらないのに年齢を理由に賃金を下げるというのはおかしいと思う。同一労働統一賃金の原則に反する。だから、その判決は当然だと思います。
(質問⑥)
労働基準法に書かれていないことで処分された。無実なのに。こういう場合は監督官は動いてくれる?
→労働基準法違反であれば動くことができるが、それ意外だと動けない場合もある。解雇も同様。
民事の争いの場合は、労働基準監督署ではなく、労働局の「あっせん」を活用してみては。
個人でも使えて無料です。
(質問⑦)
就業規則の給与規定が勝手に変えられていた。組合は知らなかったし、認めないと言ったら、会社は「ごめんなさい」と謝ったが、でもいまだに戻っていない。変えられたことすら知らなかった。
→就業規則の変更には、労働者代表(又は労働組合)の意見書が必要。周知義務もある。
知らない間に就業規則が変えられていたということはあってはならないことです。
(質問⑧)
36協定が知らない人と会社が結んでいる
→労働者代表を選ぶ手続きが適正でなければ、協定自体が無効。
こんなところでした。
次回は6月16日(木)「労働組合法を身につけよう!」→詳細はこちら
参加希望の方はお申し込みをお願いします。今回資料が足りなくなってしまいました(;^_^A