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夕飯の場所は、昨年のGWに訪ねて気に入り、思わず翌週も再訪してしまった居酒屋『鴨鶴』に決めていた。では昼飯はと言うと、昨年、散歩中に見かけて気になっていた定食屋を試してみることにした。
浦賀駅から浦賀ドック方面へ歩くこと数分。道の右手に、如何にもローカルな定食屋が2軒並んでいる。手前から、『岩城屋』と『九州屋』。店頭の品書きを見る限り、どちらも気安い何でも食堂だが、『岩城屋』の方が魚料理の色彩が強い気がする。こちらにしてみよう。
↓一年ぶりの浦賀。今日はいい天気。

↓浦賀ドック。今は使われていない。

↓『岩城屋』。

↓気取らない品書き。

店内の雰囲気は、実に期待通りだった。席は4人掛けテーブルが10卓ほどで、数卓が先客で埋まっている。壁には殴り書きの品書き短冊がびっしり。壁に掛けられたテレビではNHKのバラエティー生活笑百科をやっていて、お馴染み仁鶴の声が店内に響く。地元民らしきおっさんがそれを見ながらご飯をかっ込む脇を、白いエプロンをつけた女将さんが料理を持って通り過ぎる。うーん、見事なまでに「休日昼どきの定食屋」だ。
店の奥のカウンターに焼酎やウイスキーの瓶がぎゅうぎゅうに並べられているのを見るに、夜は居酒屋に化けるのだろう。お、よく見ると、壁の短冊の日本酒ラインナップも結構充実している。ふふふ、これならよい昼酒が飲めそうだ。
実のところ、良い予感は店に入る前からあった。店頭で見た品書きでは、刺身や焼き魚のランチ定食に、ご飯や味噌汁抜きの「単品」価格が設定されていたからだ。明らかに昼から飲む層を意識したものである。きっと店主も酒飲みなのだろう。
早速、僕は凱陣(香川)の純米、連れは田酒(青森)の特別純米を頼んだところ、更に嬉しい驚きが。それぞれ600円なのに、真っ当な「もっきり(一合枡の中にグラスを置いて注ぎこぼすやつ)」なのだ。港町の定食屋で純米酒を飲めるだけでも嬉しいのに、この値段でこの量とは、素晴らしい。
↓わーい、たっぷり。ちゃんとした酒が飲めるのは嬉しい。お通しのタコと大根の煮物も美味。

ランチ定食の中から選んだ地魚3種盛り定食の「単品」(735円)は、地場で獲れたキンメ・クロダイ・ヒラメが3切れずつ。さすがに間違いのない美味しさ。この値段でこういう魚を食べるには、やはり海の近くまで出てくるしかないのだな。
昼どきもランチ定食以外の料理も頼めると言うので(このあたりも酒飲み仕様だ)、壁の短冊からあさりの酒蒸し(420円)をもらった。大ぶりのあさりもさることながら、汁が旨い!余計な味付けをほどこさず、あさりのダシを活かしきった力強い味わいに僕らのテンションは上がった。
↓地魚3種盛り。マグロ入りとなしが選べる。地魚好きの僕らは、なし。

↓地元産のあさり酒蒸し。美味!

どちらも量が多いとは言えないが、色々食べたい酒飲みには却ってありがたい。気を良くした僕らは、地ダコ(525円)とはばのり(735円)を追加した。タコで有名な久里浜のお隣だけに、地ダコは当然、美味しい。茹で具合も絶妙で、一切れ一切れに香りと存在感があった。
はばのりは、今回初挑戦。ハバノリという海岸沿いの岩に付着する天然の海藻を集めて干して海苔状にしたもので、炙って食べる。普通の海苔より肉厚な歯応えで、店のおばちゃんが「磯臭いって言う人もいます」と言った通り、磯の香りが濃厚。もちろん、酒飲みには大歓迎の香りだ。
ここのはばのりは、近くの松輪産(松輪サバの松輪)。生産量が少ないので、ほとんど地元で消費されてしまうようだ。この店でも少しの量で735円したのだから、その貴重さはうかがえる。
↓地ダコ。見た目はしょぼいが、一切れ一切れがちゃんと美味しい。

↓はばのり。そこに行かないと食べられないものというのは、日本にもまだまだある。

昼から居酒屋気分ですっかりいい気分。「海の物は結構食べて満足したし、こういう定食屋の揚げ物って美味しそうだよね」と言って牛コロッケを頼んだが品切れで、代わりにホタテコロッケを試したところ、これは市販の冷凍食品を揚げただけのようだった。ホワイトクリームの味がわざとらしく、肝心のホタテが見当たらない。ま、315円だから仕方ないか。
↓ホタテコロッケ。タルタルソースが自家製なのは偉い。

せっかく上がったテンションをホタテコロッケで締めくくる気にはならず、〆にラーメンを食べることにした。隣の客が食べていた如何にも昔風のラーメンがとても旨そうだったのだ。
僕らが選んだのは、神奈川のご当地ラーメン・サンマーメン(600円)。こんがりと焼かれた秋刀魚が一尾丸ごとラーメンの上に乗っている…わけではなくて、いわゆる醤油ラーメンの上にとろみをつけたモヤシ炒めが乗っている。今回サンマーメン初挑戦の連れは、秋刀魚の説明を信じかけていた(笑)。
何故モヤシ炒めがのったラーメンが、サンマーメンなのか。サンマーの語源は「生碼=活きのよい具材(碼)」だそうだが、モヤシで活きの良いや悪いを語るものだろうか。大体、今の中国語だと「生碼=記号」の意味だし、よく分からない。
↓サンマーメン。

ともあれ、サンマーメンは思った以上に美味しかった。いや、むっちゃ旨い!ってわけじゃなくて、このときの気分にぴったりだったと言うか。昔風の清く正しい醤油ラーメンは、田舎の定食屋に期待する味そのものだったし、細い中華麺に炒めもののとろみがからんで妙に旨い。モヤシのシャキッとした食感もいい。
神奈川で幅を利かせている家系ラーメンの、こってりしたスープと太い麺があまり得意でない僕には、ズキュンときた。全くもう、何でうちの最寄り駅には家系ラーメンの店しかないんだか!…とまあ、これは余談。
↓麺は細麺。懐かしい味。

店は女将さん一人が接客を担当していて、主人とそのご母堂らしきが厨房で働いているのが暖簾越しに見えた。うむ、家族経営の定食屋に悪い店なしってやつだ。「港町の定食屋で気安い魚料理をつまみに酒を飲む」という今日のテーマに打ってつけの店であった。
「いやあ、良かったなあ。絶品ってわけじゃないが、気分だった」
「最後にラーメンまで頼むことになるとは思わなかったね」
店を出ると、空は快晴。ぷらぷら海まで歩いて行くことにしよう。
■今日のお店■
『岩城屋』
電話:046-841-1058
住所:神奈川県横須賀市浦賀3-2-2
営業時間:昼 (火~土 11:00~14:00、 日祭日 11:30~14:30)
夜 17:00~21:00
定休日:月曜日
*2人で、4500円くらいだったかな。
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