2010年11月24日

初冬の東京3 - 銀座『泰明庵』での蕎麦屋酒を、シェリーで締めくくる!

翌日は、意外にもすっきり目が覚めた。
頭痛もだるさも、明らかに昨日の朝より減退している。

常日頃から「風邪なんて酒でも飲んでりゃ治る」と触れ回っている僕ではあるが、
風邪気味のときにあれだけ酒を飲んで、二日酔いもないばかりか体調が改善するなんて、
さすがに自分の身体が不気味に思えた。アルコールの殺菌効果かな?

ともあれ、体調が良くなったこと自体は実に喜ばしい。
ゆっくりとシャワーを浴び、丹念に歯を磨き、昼から予約しておいた虎ノ門の歯医者に向かった。
基本、不摂生な僕だが、歯だけは定期的に検診と歯垢除去を受けている。
まともにものが食べられないなんて、考えただけで寿命が縮みそうになるからだ。

「よく磨けています。虫歯もありません」

お医者さんのお墨付きを得て、晴れ晴れとした気持ちになる。

検診を終えると、街はランチ帰りのサラリーマンで溢れていた。
その間を縫うようにして、銀座まで徒歩で向かう。2駅分、ちょっとした散歩兼ダイエットだ。

目的地は、泰明小学校の裏手にある老舗蕎麦屋・『泰明庵』。店に着いたのは午後1時半で、
戸を引くと、店内には昼のコアタイムが過ぎてホッとした感じの空気が漂っている。うむ、計画通り。

というのも、食べるだけのサラリーマンが次々押し寄せるコアタイムじゃおちおち酒も飲めないので、
わざと人が多い時間を外して来たのだ。   
午前中を丸々休息に充て、ランチタイムに歯医者を済ませ、昼過ぎから蕎麦屋酒。
一週間前、中国から歯医者を予約した時点で、この流れを想定していたのである。(←ドヤ顔)

↓ここが銀座とは思えぬ店構え。
PB124947

さて、話は戻って、『泰明庵』
この店の存在自体は10年くらい前から知っていたのに、訪ねるのはこれが初めて。
うっかり定休日に行ってしまったり、営業時間を間違えて入れなかったりしていたからだが、
この日、初めて店内に足を踏み入れた僕は、思わず心の中でつぶやいた。

「・・・うわ、こりゃ十年間、もったいないことをしたよ・・・!」

「街場の蕎麦屋」をイメージしろと言われたら真っ先に思い浮かびそうな、見事な佇まい。
店内はほぼ真四角で、土間造りの床に如何にも蕎麦屋って感じの椅子と机が並んでいる。

結構な老舗のはずだが、「いらっしゃい!」と明るく迎えてくれた女将さんに代表されるように、
店内に流れるのは個人経営ならではの緩やかで温かな空気で、ある種の蕎麦屋のような、
「おれは蕎麦道を追求しているんだぞ、お前ら心して喰え」的な威圧感とは無縁だ。
こんな店いいな、通えたらいいな♪と猫型ロボットのメロディーで歌いだしたくなる感じなのである。

そして、思わず目が釘付けになるのが、奥の壁にびっしりと貼られた品書きだ。
種物や丼物に卵焼きや板わさなど、いわゆる蕎麦屋メニューの種類も多いのだが、
「ここは居酒屋か?」ってくらい、酒の肴と日本酒の種類が充実しているのである。

「ご注文、お決まりですか?」

思わず口を開けて呆けていた僕に女将さんが声をかけてきたが、ちょちょ、ちょっと待って、
これじゃそんなすぐ決められないよ(笑)。

その後も数分間、品書きとのにらめっこを続ける僕を女将さんは不思議そうに見ていたが、
「とりあえず、お酒ください。○○(←銘柄失念)」と告げると、納得したような顔になった。
きっと、酒を飲む客と思われてなかったんだろうな。蕎麦だけで何をそんなに悩むんだろうって。

ともあれ、出された冷酒をついーっとすすり、改めて注文を告げた。
悩みに悩んで頼んだのは、芹のお浸し小柱のかき揚げだ。

いくら肴が豊富でも、蕎麦屋と全く関係ないものでは、ちょっと気分が出ない。
その点、小柱のかき揚げは言うまでもなく、芹も芹そばの材料を流用したものだから、
「蕎麦で使う材料を肴に仕立てる」という、蕎麦屋における肴の基本に倣ったわけだ。(←ドヤ顔)

芹のお浸しの、クセのある香りが、いい。
特有のほろ苦さやエグみも、日本酒に合わせると全てが「小味」になる。
というか、芹に限らず、もはや酒を飲まずにお浸しを食べるところが全く想像できないぜ。
下戸の人は、お浸しとご飯を一緒に食べるの?それ、旨いの?
(↑アホな酒飲みの放言ですので、流してください)

僕の後ろでは、手伝いのおばちゃんがまかないを食べている。
その隣の机では、近くに住んでいるらしき常連のおばちゃんと女将さんが世間話に興じている。
うーん、何ともゆるい空気。こういうところで飲む昼酒は旨い。

やがて運ばれてきた小柱のかき揚げが、これまた良かった。
バカ貝の貝柱と言うとショボイ感じだけど、小柱の香りとか食感とか甘みって、ほんと大好き。
大ぶりのかき揚げにほんの少しだけ塩をつけ、ひと口→酒、ひと口→酒を繰り返す。
汁そばの上にのったかき揚げもいいけれど、こうやって酒の肴として食べるのも最高だな。

因みに、いつかどこかで、「貝が好きだと言うと江戸っ子ぶれる」という話を聞いたことがある。
何となく分かる気もするが、うちのルーツは青森と埼玉なので、そのつもりはございません(笑)。

〆の蕎麦も、悩みに悩んだ。
僕と相席した初めて来たと思しき40代の女性客は、席に着くなり「けんちんうどん」と言ったが、
あれはどういう思考過程を経たのだろう。初めての蕎麦屋でけんちんうどん・・・うーむ、世界は広い。

そう言う僕は、初めてだし、財布の都合もあるし、シンプルにざるかかけかと悩んだが、
結局は種物の魅力に抗えず、今週から始まったという牡蠣南蛮(1200円也)を奮発した。

これは、なかなか豪華な一品だった。小ぶりの、でもぷっくりとした牡蠣は、全部で8つ。
その周りに、笹がき牛蒡、芹、小葱の白い部分が少しずつ盛られていて、野菜もたっぷりだ。

汁は濃く、黒く、「東京風」と言うだけでなく、街場の蕎麦屋らしいかなり甘めの味付けで、
たくさん飲むのはちょっと厳しいけれど、この店の気安い雰囲気にはぴったりの味かもしれない。

その気安さは蕎麦にも表れていて、やや太目の、特にどうということもない蕎麦なのだけれども、
高級蕎麦屋の2倍以上と思われる量が、たっぷり汁の中に沈んでいる。

そんな感じだから、いわゆる「蕎麦好き」の人が蕎麦だけ食べに行ったらどう思うか知らないが、
「蕎麦屋酒好き」の僕としては、大いに気に入った。

銀座で、昼から、豊富で手ごろな値段の酒と肴で酔い、ちょいと下世話な種物でがっつり〆る。
こんな楽しい店、なかなかないよ。うんちく捏ねるんじゃなきゃ、素晴らしい店だ。
午後もずっと通しで営業してるってのもいいよな。飲みたいときにすぐ飲める(笑)。

新たな「昼酒処」を見つけ、笑顔で店を出た僕。
そのまま泰明小学校方面に足を向けたところ、その先でおまけの喜びが待っていた。

「よろしかったら、どうぞ。本日オープンなんです」

フラメンコの衣装を着たお姉さんから手渡された紙を見ると、
「3日限定! シェリーチョコレート&コーヒー又はシェリー酒サービス券」とある。
僕の目が、シェリー酒に釘付けになったのは言うまでもない。

↓小さな店。
PB124948

早速、店に入り、辛口シェリーのオロロソを頂きながらお姉さんに聞いたところによると、
シェリーを混ぜ込んだオリジナルチョコレートの専門店で、テイクアウトももちろん出来るが、
店内ではコーヒーやシェリーと一緒にチョコを楽しんでもらうコンセプトなんだそうだ。

タダだったから言うわけじゃなくて、頂いたチョコレートはとても美味しかった。
皆さまも銀座にお立ち寄りの際は、下記のお店情報をご覧になって、是非。

でも、なんでまたシェリーなんだろう?と思ったところで、ひらめいた。そういや、このビル、
日本のシェリーバーの草分け的存在である『しぇりークラブ』が入っているビルじゃないか!
東京にいた頃、先輩に連れられて何度か行ったことがあったっけ。

「そうなんです、『しぇりークラブ』が出したお店なんです」

お姉さんは、我が意を得たりといった感じで頷いた。

「11時から20時まで通しでやってるわけですね?」
「はい」
「日中でもシェリーは飲めるわけですね?」
「はい、もちろん」

よし、またも「昼酒処」が増えたぞ(笑)。  
しかしまあ、歩いているだけで酒の方からこっちに寄ってくるとは、幸せなことだなあ。

■今日のお店■
『泰明庵』
住所:東京都中央区銀座6-3-14
電話:03-3571-0840
*1人で、2700円。酒1杯、料理2品、牡蠣南蛮。

『Sherry & Sweet Cafe ("Bota de Rosa"直営Shop)』
住所:東京都中央区銀座6-3-17 悠玄ビル1F 
電話:03-3572-2677
*タダ!好! 



↓皆さまの反響だけが更新の原動力です。コメント・拍手・シェアを頂けると、小躍りして喜びます。


このエントリーをはてなブックマークに追加


トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔