- ブログネタ:
- 中華料理 Part3 に参加中!
広元西路の『山間堂民間瓦罐煨湯館』だ。
江西料理は中国でもマイナーで、専門店は滅多にない。
マイナーな理由は、四川料理や湖南料理のような分かりやすい特徴がないからだろう。
それなりに辛く、醤油や油のこっくりした味わいに、 生姜や胡椒をしっかり効かせる感じ。
総じて、湖南、広東、浙江など、周りの省の料理の特徴が混じり合っていて、
良く言えばいいとこ取り、悪く言えば個性に欠けるイメージだ。
でも、マイナーだからダメだということは全然ない。
河や湖が多い場所柄、カエルやスッポンをよく食べ、肉も野菜も種類が豊富。
調理法は「煮込む」「蒸す」に特徴的なものがあり、スープにもこだわりが見られる。
僕にとっては、好みの料理体系のひとつだ。
「美味しい店なら、今後の食生活のバリエーションが広がるな」
「そうだね、期待しよう」
何となく田舎くさいイメージのある江西省だが、このレストランは随分とお洒落だ。
驚くべきことに、化学調味料や食品添加物を使用しないことを売りにしている。
そんなコンセプトの江西料理店があるなんて、時代も変わったなあ。
江西料理と言われて僕が真っ先に思い出すのは、瓦罐煨湯。
大きな甕の中で小さな甕を加熱する、いわばマトリョーシカスープだ。
小さな甕の中にスープの具材と水を入れて蓋をしておく。
大きな甕の底で木炭を燃やし、甕の中を加熱する。
小さな甕を大きな甕の中にいくつも並べて、大きな甕に蓋をする。
言わばサウナ状態の大きな甕の中で、スープが出来上がるまで、約8時間。
直火ではなく、低温でゆっくり加熱することで、旨味が十分に抽出されるそうだ。
↓大きな甕。
↓小さな甕。これを中にいくつも入れる。
スープの味付けは最小限。「原汁原味」がこのスープの基本だ。
そういう料理だけに、化学調味料不使用のコンセプトが活きる。
六種類ほどあるスープの中から、この日選んだのは玉米龍骨湯。
トウモロコシと豚肉の背骨のスープだ。
服務員が小さな甕の蓋を開けると、実に鮮やかな香りが立ち昇った。
ほのかに炭の香りもして、ちゃんと木炭で熱していることが分かる。
↓目の前で小さな甕の封を解く。
↓立ち昇る香り!
↓トウモロコシと豚の背骨。
期待通りの澄んだ味だ。美味しい。
トウモロコシの甘味と豚肉の旨味が、すっきりかつ豊かに出ている。
こういう手の込んだ、でも余計なことはしないスープが気軽に飲めるのは嬉しいな。
↓美味しい。
酒は、自家製の米酒。
アルコール度数は十度程度かな。やや甘めではあるが、気分気分。
その他の料理も、良かった。
味付けは濃い目だが、それは江西料理の特徴というもの。なかなか楽しめた。
まずは、革命の聖地の名を冠した井岡山焼豆皮。
豆腐を薄く押し固めて細く切った豆腐皮を一度揚げてから、甘め重めの醤油味で炒め煮にしたものだ。
不思議とカップラーメンを思わせるジャンキーな味がした。
より似ているものを探すなら、広東の伊麺だろうか。
伊麺は小麦粉の麺を保存のため素揚げしたもので、言わばカップラーメンの元祖だ。
油で揚げた麺状のものに醤油味を煮含める、という点がこの料理と共通している。
お次は、豌豆粉蒸肉。これも江西料理のド定番。
薄く切った豚の三枚肉に下味をつけ、米の粉をまぶし、蒸籠で蒸し上げる。
肉の旨味を米の衣が吸い込み、逃がさず、なかなかの美味に仕上がる。
↓米が衣。
〆は、腊肉香腸炒飯。中華ベーコンとソーセージ入りの醤油チャーハン。
湖南料理の長沙炒飯から、辛さを抜いた感じだ。
ぱらりあっさりとした江南や広東の炒飯も旨いが、この手のこっくり炒飯も僕は大好き。
正直に言うと、明らかに頼みすぎた。
井岡山焼豆皮か豌豆粉蒸肉のどちらかを削るか、青菜炒め程度で済ませるべきだった。
それでも思わず完食してしまった結果、この日の午後は連れも僕も過度の満腹に苦しんだ。
でも、久々の江西料理が嬉しかったんだよな。
そのうちまた行こうっと。
<2015年11月> ■店舗情報■
コメント