2019年04月15日

食遊上海534『紅房子』&『老大昌』 - 上海の洋食文化に再び迫る!

19世紀から20世紀前半にかけて西洋から伝わった西洋料理が変容して発展した日本の洋食と同じように、上海にも独自の洋食文化があるということは、以前にも触れたことがある。(→過去記事

この日は、改めて上海の洋食文化を掘り下げてみることにした。

まずは、上海の老舗洋食屋の本丸とでも言うべき『紅房子』へ。1935年にイタリア人が始めたフランス料理店で、その後紆余曲折を経つつも、上海人には「ハレの日の洋食といえば紅房子」という存在として親しまれてきたそうだ。

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外観や内装はイメージ通りのモダンレトロ。店内に響くのはもちろん上海話だ。

黒スーツの渋い老齢男性給仕に案内されて席に着くと、バタークリームが添えられたコッペパンが供された。パンもクリームも地味旨。ここまでで既にレトロ上海気分で一杯。

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まずは、名物のオニオングラタンスープ(法式洋葱湯)。チーズは少しチープな味とはいえ、スープはちゃんと美味しい。濃厚だけど変に旨味を足してない濃厚さで、真っ当な味わいだ。

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上海風ボルシチ・羅宋湯は、「紅房子はフランス系の店なのでロシア系の料理は控えた方が良い」と上海通のヒロヲカさんからご助言を頂いてはいたけれど、一番人気だというので一応頼んだ。何故か結構辛味が効いていたものの、予想していた過剰な甘味はなく、結構好印象だった。

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面白かったのは、法式烙蛤蜊。名物料理だったエスカルゴの原料が1950年代の大躍進以降入手できなくなってしまい、アサリで代用したもの…が、今や店の歴史を示す名物料理となって残っているというのだ。

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↓皿には、殻を置くための凹みがある。
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アサリの身は細かく刻んであって、パセリ・ニンニク・バターの風味が豊かだった。ヒロヲカさんによれば、昔はパセリも高級品だったので、ニンニクバターだけだったとか。因みに、今はちゃんとカタツムリを使ったエスカルゴも復活しているのだが、アサリ版の方が人気があるようだ。

奶油忌司烙蟹は、蟹クリームグラタン。これまた少しチープなチーズの下には穏やかな味のホワイトソース。底には蟹の身が…と思いきや、なんと上海蟹の蟹黄(メスの卵やミソ)がたっぷり。当時としては「地元の食材を採り入れた斬新な創作料理」…だったのだろうか(笑)

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更に、巨大な炸猪排(カツレツ)。ルーツはオーストリアのヴィーナー・シュニッツェルなので、フランス系のこの店で頼むべきなのかは分からんけど、揚げ方も肉の質もなかなかのもの。辣醤油と呼ばれるウスターソースをかけて食べるのがお約束だけど、そのままの塩味でイケた。我が子もパクパク。

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最後は、意大利冰糕(イタリア式アイス)。デザートの一番人気らしいので一応頼んだだけだったのだが、意外なヒット。生クリーム・卵・砂糖を練っだだけって感じの素朴な味。砕いた胡桃がたっぷり入ってて、良いアクセントに。一人一つ頼めば良かった。

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総じて、「行ってみて良かったな」という感想。舌で味わう上海の歴史は色々と興味深かった。味だって、感動した!とかではないんだけど、ちゃんと楽しめたし、値段が若干高めな分、他の上海洋食の店より美味しく感じた。上海の洋食に興味があるなら、一食の価値は十分にありだと思う。

さて、話は『紅房子』だけでは終わらない。店を出て歩くこと数分。雨のプラタナス並木にたたずむのは、南昌路107号。1930年代建築の四階建てマンションだ。煉瓦とコンクリートの混合建築で、表面は褐色の煉瓦に覆われており、一階には上海の老舗洋菓子店『老大昌』が入っている。

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この『老大昌』のパルミエ(大蝴蝶酥)こそが、僕らのお目当て。いそいそと家に持ち帰って雲南の紅茶と共に頂いてみたところ、香りも食感も良く、甘さも控えめで、手放しで褒めたくなる美味しさ!

↓『老大昌』のパルミエ(大蝴蝶酥)。小サイズもあるが、大の方がうまいそうだ。
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素材は真っ当だし、五、六枚入って25元という激安なお値段も凄い。最近よくあるオサレな高級洋菓子店の存在意義を問いかけているかのようである。

「上海の老舗の実力を見せつけられたね」
「まだまだ上海にも知らない世界があるんだねえ」

色々教えてくださった ヒロヲカさんに感謝!


<2018年12月> ■店舗情報■



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