数ヶ月前、うちの近くのホテルの中に『タンドール』というインド料理屋が出来た。
連れが散歩ついでに立ち寄ったところ、偶然「開店当日、最初のお客様」になり、
以来、店の前を通るたびにインド人マネージャーから笑顔を向けられるようになった。
  
高級感のある内装やサービスで、肝心の料理も丁寧に品のいい味を作っているのだが、
単品の値段設定が高い上に、ホテル内にあるためサービス料が15%かかるのが玉に瑕。
 
「東京で食べるのと同じような値段で、量と質にはお得感がある」といった印象で、
「東京で食べるより遥かに安く、量と質にも更にお得感がある」別のインド料理店が
もう少し歩いたところにあるものだから、結局、あまり足が向かなくなってしまった。
   
他の人もそう思ったのだろうか、開店から数ヶ月経っても店には客が入っておらず、
店の前を通りかかるたびに、
「味はいいのだから、もう少し安ければねえ」
「ホテル内の奥まったところにあるから、フリの客を期待できないのも痛いなあ」
などと言い合って、行く末を心配していたのだが。

その『タンドール』が最近、ビジネスランチセット(土日もOK!)を始めた。
値段は、お1人様68元。
バスマティライスの単品が40元もする店だから、かなり思い切った値段だ。
 
「こりゃ、どう見ても客寄せのためのテコ入れ企画だな。結構お得かもしれんぞ」
「『最初のお客様』の縁もあることだし、一回くらい試してみようか」
 
そんなわけで今日の昼に試してみたのだけど、これがもうあなた、スゴイ!!

まず、驚くべきはそのボリューム!
ヨーグルトサラダに始まって、スパイシースープにタンドールチキンとシークケバブが続き、
カレーは野菜カレー、チキンカレー、豆カレーの3種がお碗一杯に供され(2人分)、
バスマティライスにナンとロティがドドン!
これに更にビール1杯(恐らくはキングフィッシャー)とデザートまで付くのだ!
  
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量のみならず、質も落としていないのが偉い。
カレーはどれもスパイスの香りが豊かで、食材の質も単品で頼んだときと同じ。
タンドリー系もナンもロティも、注文が入ってからの焼きたてだ。
 
「・・・これ、単品で頼んだら数百元する内容だよな?」
「・・・本当に68元?いざお会計をしたらすごい高かったりして」
  
そんな風に勘繰ってしまうほどの満足感。テコ入れにしても、これ、儲け出るの?
実際、店で出されたメニューにビジネスランチは記載されておらず、
店員に尋ねて初めて供されたくらいだから、店としては採算ギリギリなんだと思う。

「この値段だったら、何回だって来るよね!」
「うん、それには全く賛成なんだが、店にとっていいことなのかなあ?
 だって、昼にこの値段で食べられるなら、単品値段で夜に来る理由が益々なくなるぞ?」

とりあえず、なりふり構わず店の認知度を上げようってことなのかな。

入店直後は僕らしかいなかった店内には、徐々にインド人の奥様グループが集い始め、
僕らが店を出る頃には結構な賑わいになっていた。
  
「彼女らも全員、ランチセットだったね」
「これでインド人社会に口コミが広がって、昼は来られない旦那たちが夜に接待で使う、
 とかいう流れになればいいのかなあ?」
「『最初の客』としては、何にしろ繁盛してくれるといいんだけど」

ともあれ、僕らみたいにケチ臭い消費者にとっては大歓迎のランチ企画。
いつ終了になるか分かったもんじゃないので、これを見たあなたも近日中に是非!
  
 
<2009年7月追記>
遂に力尽きたのか、改修を名目に営業を休止してしまった。
このまま閉店なんだろうなあ。。
素人目で見ても、場所が悪すぎたよ。。

<2011年1月追記>
と思ったら、いつの間にか営業を再開していたので、久々にランチセットを試してみたところ、
客は僕らだけで、値段と料理の内容は同じだったが、明らかに食材の質を落としていた。
こうなるともう、オススメは出来ないなあ。。初期に固定客がつけば良かったんだろうけど。。
  
   
■今日のお店■
『TANDOOR/タンドール』
住所:広州市环市东路326号 亚洲国际大酒店2F
*ビジネスランチセットはメニューに書いてないので、店員に聞いてください。