◆広西で食べた◆

2017年12月03日

目指すは犬肉料理!南寧・玉林で食べた! 2017年5月

家族の一時帰国中に、2泊3日で広西に行ってきました。
旅の主目的は、毎年夏至の日に開かれる犬肉祭りで有名な玉林の犬肉料理です。
最近の上海では犬肉を食べられないので、「愛犬家」の僕は不満たらたらで、
思いが募りに募って、犬肉未体験者の後輩を誘い、現地へ飛んだのでした。
お目当ての犬肉も、それ以外の料理も、旨いものばかりで大当たりの旅でした!

<日程>
1日目 上海→南寧→玉林
2日目 玉林
3日目 玉林→南寧→上海

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<記事一覧>
「食」=食べ物関連 「★」=オススメ! 

なんと今回は全てがオススメ記事です!!
僕の犬肉への熱い思いは、「玉林1」を読んで頂ければと思います。

★ 南寧1 - 旅の初戦は、数年来の宿願・檸檬鴨!摩訶不思議な美味にうなる!
★ 南寧2 - 南寧名物・老友粉の複雑豪快なスープに興奮!ローカル甜品にほっこり!
★ 玉林1 - 強い気持ち・強い愛!僕らが犬肉を求めて旅に出た理由。
★ 玉林2 - 犬を探せば、猫にも当たる!南橋市場での思わぬ幸運!
★ 玉林3 - 遂に犬肉鍋!『寧大姐』の脆皮狗肉に舌鼓を打ち鳴らす!
★ 玉林4 - 夜市を彷徨い、アヒルの水かきとタニシの土鍋煮込みに行き着く。
★ 玉林5 - 玉林の朝は米粉で決まり!『陳七牛腩粉』の牛バラ肉ライスヌードルに唸る!
★ 玉林6 - 犬肉を求めて訪ねた南橋市場で、超ローカル腸粉(ライスクレープ)に出会う!
★ 玉林7 - やったぜ!勘を頼りに玉林の犬猫肉市場へたどり着く!
★ 玉林8 - 龐村古建築と龍泉洞を観光し、農家楽の元気な鶏に大興奮!
★ 玉林9 - これぞ農村料理の醍醐味!素材が主役のシンプルな炒鶏に感動! 
★ 玉林10 - 犬肉料理、再び!薬味も部位も多彩な白切狗肉に大喜び!
★ 玉林11 - 犬肉料理をハシゴ!あっさり薬膳鍋・清水狗肉の滋味に陶然!
★ 玉林12 - 玉林の朝食にハズレなし!肉・モツ・魚が入った生料粉の澄んだ味に唸る!
★ 玉林13 - 多彩な小吃をハシゴ!巻餡粉、涼拌粉からの特濃マンゴーシャーベット!
★ 玉林14 - 旅の〆はモツ三昧!鮮度抜群の牛モツをどっさり炒めた炒牛料で大団円!



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広西チワン族自治区で食べた!

マイナーだけど独特の魅力を持つ広西料理。
発酵を活かした酸味やにおいと辛さのコラボレーションが魅力です。

目指すは犬肉料理!南寧・玉林で食べた! 2017年5月
家族の一時帰国中に、2泊3日で広西に行ってきました。
旅の主目的は、毎年夏至の日に開かれる犬肉祭りで有名な玉林の犬肉料理です。
最近の上海では犬肉を食べられないので、「愛犬家」の僕は不満たらたらで、
思いが募りに募って、犬肉未体験者の後輩を誘い、現地へ飛んだのでした。
お目当ての犬肉も、それ以外の料理も、旨いものばかりで大当たりの旅でした!

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◆桂林・陽朔で食べた! 2009年5月◆
端午節の休みを利用して、3泊4日で2度目の桂林に行ってきました。
前回の旅では渇水期で断念した「漓江下り」が旅の主目的だったはずですが、
何だかんだで新たな美味に出会えたことの方が、よっぽど思い出に残っています。
同じ場所に2度行くと、打率も上がるし、色々と理解が深まるのがいいですね。

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◆桂林・龍勝・三江で食べた! 2008年1月◆
年末年始の7日間で、広西チワン族自治区の北部を食べに行きました。
渇水期の漓江を避けて、場当たり的に龍勝・三江を攻めたところ、これが大当たり。
ヤオ族・チワン族・トン族の村々で、少数民族ならではの美味を堪能!
もちろん桂林にも見逃せない「食」がたくさんありました。

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<その他記事一覧>
「見」=観光記事 「★」=オススメ! 「★★★」=超オススメ!

◆出張ついでに食べた! 2011年〜2016年◆
仕事の合間を縫って食べた地元料理の数々。開拓すれば、発見あり。

<2016年>
★    防城出張1 - 辺境の港町で飲んだ泥丁湯は、サメハダホシムシスープだった!
★    防城出張2 - これぞ食で学ぶ地理歴史!特産の生牡蠣とベトナムルーツの京族米粉!
<2013年>
★    北海出張1 - またも海鮮!北海名物の沙虫は、見た目はスゴイが味はいい!
★    北海出張2 - 土地に味あり。急ぎの昼飯で、自由で楽しい豚足ライスヌードルを発見!
★    北海出張3 - ホワッ!僑港風情街で出会った火筒貝の意外過ぎる食べ方!
★    北海出張4 - 巻粉の意外な正体!舌で知るベトナム移民史と今なお残る広東文化!
★    欽州出張 - 漁村の海鮮レストラン。海亀やカブトガニは無理でも、海蛇を!
<2011年>
★★★ 南寧出張 - 放浪の末にありついた檸檬鴨の意外極まる美味!

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◇柳州で食べた! 2007年9月◇ (旧ブログから転載)
上海駐在時代、出張で初めて訪れた広西チワン族自治区が柳州。
このときはさらりと柳州名物をひとつ食べただけでしたが、
まさかこのときからたったの2年で広西料理が大好きになろうとは。。

見 柳州1 - 死の街で出世して金持ちになる!
★ 柳州2 - 死の街の名物は、激辛タニシビーフン!

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あー、写真を見るだけで、自分でテンションが上がってしまいます!
また行きたいなあ。




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2017年11月17日

玉林14 - 旅の〆はモツ三昧!鮮度抜群の牛モツをどっさり炒めた炒牛料で大団円!

玉林13 - 多彩な小吃をハシゴ!巻餡粉、涼拌粉からの特濃マンゴーシャーベット!」の続きです。

二泊三日の玉林の旅も、いよいよ最後の食事を迎えた。本来なら犬肉料理で有終の美を飾るべきだろうが、何故か犬肉料理の店は夜からしかやっていないようで、開いている店を見つけられなかったので諦めた。とはいえ、初日も二日目も美味しい犬肉料理をたっぷり食べて満足していたので、僕らに落胆はなかった。

その代わりに僕らが目をつけたのは、炒牛料という料理だ。何種類もの牛モツを炒めるだけの料理なのだが、玉林名物として市民に親しまれているらしい。モツ好きの僕としては、そそられるものがある。

江濱路を城站路から東に向かって歩いていくと、炒牛料の専門店がいくつか軒を連ねる地域があった。どの店も客が多いとは言えなかったが、モツ炒めという料理の特徴上、恐らくは昼よりも夜に賑わうのだろう。適当に店内の様子を伺って、清潔感が高い感じだった『大柯二牛料館』という店に入ってみた。

↓『大柯二牛料館』の店構え。
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冷えたビールをあおり、炒牛料を待った。最初に運ばれてきたのは、サポート役として頼んだ韮菜牛紅湯だ。ニラと牛の血プリンのスープである。

↓韮菜牛紅湯。
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牛の骨のダシと思われるスープは、予想通りというか期待通りというか、実にあっさり。都会でスープを頼んだら化調が入っていないことの方が珍しいのに、玉林のスープは百戦百勝だったなあ。

もちろん、具もたっぷり。スープの中には味の濃いニラとつるりとした牛の血プリンが山のように沈んでいた。

↓たっぷり!血プリン、大好き!
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そして、主役の炒牛料が運ばれてきた。注文は重さ単位になっていて、これは1斤だったか2斤だったか、とにかく凄い量の牛モツだ!

↓大迫力の炒牛料!
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↓とにかく、たくさんある!
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ミノ、センマイ、ダイチョウ、レバーなど、何種類ものモツが使われている。大ぶりに切られ、ホカホカと湯気を立てるモツたちは、僕の目にはひとつひとつが宝石のように映った。

「これは凄い迫力だな!絶対旨いだろ!」
「間違いなさそうですね!頑張って食べましょう!」

ガバッと皿にとって、ガバッと食べた。

ただ炒めただけではあるが、牛モツの鮮度が抜群なので異様に旨い。葱・唐辛子・生姜・大蒜のほか、よく分からん香辛料がいくつか一緒に炒められていて、その風味が過不足なくモツに華を添えている。

「これにはビールじゃないな」
「ですね。米酒、いっときましょうか」

ということで、最後の食事もやっぱり米酒。アルコール度五十度の力強さが、牛モツとがっぷり四つに受け止める。

↓地元の米酒。
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米酒という相棒を得て、あらためて炒牛料を頬張る。ブリッ、モキュッ、ミチッ。多彩な食感から溢れ出る旨味がたまらない。たかがモツ、されどモツ。いやいやそれどころか、極上のご馳走だ。これぞ全世界のモツ好き垂涎、プリン体上等の美味だ!

↓しばらくはこのモツの旨さを思い出すだけで幸せに浸れる感じ。
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すっかり満足して、ご馳走様。食後は、店を出たところで見つけた甜品屋で、〆の亀苓膏(亀ゼリー)。さすが広西は亀苓膏の本場だけあって、濃厚でおいしかった。

↓これまた小さな店。
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↓亀苓膏。
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その後、玉林→南寧の高鉄と南寧→上海のフライトでしっかり睡眠を取った僕らは、上海に帰還して打ち上げ。大成功に終わった玉林旅行の締めくくりを祝った。

↓さらば、広西!
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↓めでたい!!
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後輩Gは、犬肉と素敵な初体験を遂げることができ、大満足だったようだ。

僕自身も、久々の辺境旅行を大いに堪能した。お目当ての犬肉料理のみならず、未知の料理にたくさん出会うことができ、興奮した。どの料理も本当に美味しくて、都会と比べて食材の地力が違ったし、味付けにも品があった。

「食は辺境にあり」

これまでの人生で打ち立ててきた持論を、改めて確信できる旅だったと言えよう。

そして、この記事を書き終えたことで、玉林の犬肉料理について今のうちに書き残しておくという、連れから託された重要な使命も、無事果たしたと言うことができよう。

安堵のため息とともに、広西玉林篇、これにて終了!


<2017年5月> 

■店舗情報■
『大柯二牛料館』
住所:江濱路476号
電話:189-7758-0062



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2017年11月16日

玉林13 - 多彩な小吃をハシゴ!巻餡粉、涼拌粉からの特濃マンゴーシャーベット!

玉林12 - 玉林の朝食にハズレなし!肉・モツ・魚が入った生料粉の澄んだ味に唸る!」の続きです。

雲天文化城から写真だけ撮って引き返した僕らは、大南路で朝食の二軒目を物色していた。このあたりは近隣住民の生活の場であるようで、小吃店や雑貨屋、果物屋などが軒を連ねていたのだ。

どうせなら食べたことがないものを食べてみたいという基準で僕らが選んだのは、愛想の良いおばちゃんが声をかけてきた道端の小さな店だ。店頭の屋台に書かれた品書きを見ると、いくつかの「粉(ライスヌードル)」系小吃を扱っているようだ。

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まずは、巻餡粉。「餡を巻くライスヌードル」という名前から想像した通り、これは玉林版生春巻きだった。生のライスペーパーで豚挽肉、葱を巻いてあり、醤油・ピーナツ油・牛巴汁(牛肉の煮汁)を合わせたタレをかけて食べる。

↓巻餡粉。
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↓切ってからタレをかけて供される。
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書いたままの味ではあるのだが、つるんとした皮が旨くて、いくらでも食べてしまいそうだ。

続いて、涼拌粉。ピラピラの生のライスヌードルを折りたたんで切ったものに、巻餡粉と同じタレがかかっているだけ。いわば、ライスヌードル界の生醤油うどん的存在だ。

↓シンプルな涼拌粉。
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少々味気なさはあるが、層になったライスヌードルの食感の楽しさは侮れない。「米ばっかりで腹にたまるな」などと言いつつも、ペロリと食べてしまった。

腹は膨れた。あとは散歩でもして、昼食までの時間をつぶすだけだ。だが、亜熱帯の玉林、この日の気温は三十度を悠々と超え、湿気もすさまじい。大して歩きもしないうちにグッタリしてしまった僕らは、休憩場所を探して、街をさまよった。

↓中国南方特有の騎楼は、一階が屋根付き通路になっていて、日光を避けられる。でも暑い。。
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すると、お誂え向けの店を発見!何ともレトロな甜品屋(デザートパーラー)ではないか。こういう店って、広州駐在時代にはお馴染みだったから、懐かしい。さすがは同じ両広文化圏だ。

↓『冰美人』の店構え。
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頼んだのは、きゃぴっと芒果沙冰(マンゴーシャーベット)。男二人でこんなもんをすすっているのは、端から見たら不気味だったかもしれないが、当人たちは至って幸せだった。超濃厚で、吸うたびにマンゴーの香りが鼻を抜ける。一気に気力が蘇った。

↓芒果沙冰(マンゴーシャーベット)。
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「いやあ、すばらしかった。求めていたものが正にあった感じだ」
「確かに美味しかったですね!」

そうこうするうちに、この旅最後の食事となる昼食の時間がやってきた。


<2017年5月> 

■店舗情報■ 
小吃店は、店名不詳。大南路の真ん中あたりの西側。
『冰美人』



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2017年11月15日

玉林12 - 玉林の朝食にハズレなし!肉・モツ・魚が入った生料粉の澄んだ味に唸る!

玉林篇、再び再開!今回含め、あと三回で終了です。
玉林11 - 犬肉料理をハシゴ!あっさり薬膳鍋・清水狗肉に感動!」の続きです。

二泊三日の玉林旅行も、終に最終日。これまでの食事でお目当ての犬肉はしっかり腹に詰め込んだので、最終日の朝は玉林ならではの小吃を攻めるとしよう。

僕らがまず白羽の矢を立てたのは、生料粉だ。聞き慣れない響きである。字面をそのまま解釈すれば、「生の材料(生料)が入ったライスヌードル(粉)」なのだろうが、今ひとつイメージが湧かない。

百聞は一食に如かず、ということで、僕らはこれまでの街歩きで目をつけておいた『超味美粉店』へ飛び込んだ。

『超味美粉店』の店構え。
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店主らしき老人に「生料粉ふたつ」と告げたあと、じっくりと店内と調理場を観察した。

調理場の横のテーブルにはアルミのプレートが並べられていて、生の豚肉やら牛肉やらダイチョウやらレバーやら淡水魚の切り身やらが分けて盛られてあった。見た感じ、何らかの下味がついているようだ。なるほど、これが生料粉の材料か…!

↓生料粉の材料。
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亜熱帯の玉林でモツを常温で放置するのはどうかとも思うが、朝早い時間だけあって、現時点では新鮮そのものだ。量から察するに、どうせ早い時間に売り切れてしまうのだろう。

調理場のあんちゃんはプレートから肉やモツや魚を適当にとって小碗に入れ、コンロに向かった。小鍋に何かの骨で取ったと思われるやや白濁したスープを注いで火にかけ、スープが煮立ったところで、小碗の具をどさっと入れた。

しばらくスープの中で具を泳がせてから、塩を入れてかきまぜ、更にやや厚めの切粉(幅広の生ライスヌードル)を入れる。そこから煮込むこと数分、鍋の中身を碗に取り分け、刻み葱を散らして出来上がり!だ。

↓生料粉を作るあんちゃん。結構時間がかかる。
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生の材料を一杯一杯その場で仕上げるから、生料粉という名前があるのだろう。店にとっては手間のはずだが、こんな料理が一杯5元程度だとは恐れ入る。

↓できた!生料粉!
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早速、いただきます!熱々のスープをふうふう冷ましてすすり、様々な具を口の中に放り込み、切粉をかじった。

「おお、う、うまい!!」
「これまたあっさりしていますね!」

骨のダシと具の旨味を塩でまとめただけのあっさりスープが、しみじみと旨い。それを吸ったつるつるの切粉も、当然旨い。そして、値段の割りにたっぷり入っている具も、全て美味しかった。見た目通り、ダイチョウやレバーは鮮度抜群だったし、魚にも臭みがなかった。

↓うまいぞー!
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朝からモツだなんて随分重いものを食べるんだな、という当初の違和感は、その旨さの前に霧散した。素材の味をそのままに押し出したあっさり味だからこそ、ペロリと食べられるのだ。

しかし、玉林の小吃は、本当にレベルが高いな。例によってこの店でも「不要放味精和鶏精」の呪文は唱えていたのだが、多分、唱えなくても結果は同じだったと思う。厨房に化調が見当たらなかったからだ。

「いやあ、スープをたっぷり飲んでも後味がいいのが素晴らしい」
「本当ですね。美味しかった」

満足して店を出た僕らは、腹ごなしついでの観光として、雲天文化城へ向かった。まずはその威容をご覧あれ。

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かつて壮族仏教の聖地として栄えた玉林。信仰の総本山として十六世紀に建立された雲天文化城は、世界最大の銅製仏像を内包した高さ110mに及ぶ荘厳な寺院である…というのは真っ赤な嘘。

その正体は、2010年に正式オープンしたテーマパークだ。中には彫刻展示館や民俗文化博物館を中心として、様々な展示があるそうだ…といきなり伝聞系になったのは、僕らは中に入らなかったからだ。

だって、入場料が150元もするんだもの。モノホンの歴史遺産である紫禁城だって入場料は40元なのに、何が悲しくて、こんなクソ田舎の得体の知れないテーマパークにそんな大金を払わねばならないのか。リスクしかないじゃない。

ってことで、写真だけ撮って引き返した次第。

「やっちまった感、満載ですね」
「でも、こんな田舎でも金が余りまくっているということでもあるな」

ま、一応、腹ごなしにはなったので、もう一軒朝食をハシゴすることにした僕らなのだった。


<2017年5月> ■店舗情報■



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2017年11月03日

玉林11 - 犬肉料理をハシゴ!あっさり薬膳鍋・清水狗肉の滋味に陶然!

玉林10 - 犬肉料理、再び!薬味も部位も多彩な白切狗肉に大喜び!」の続きです。

白切狗肉で始まった、玉林「犬肉ハシゴ」の夜。前夜の放浪で二軒目の当たりもつけていた僕らは、迷いのない足取りで次の店へと向かった。一軒目と同じ新民路にある『興旺白切香肉館』である。

因みに、香肉は犬肉の別称だ。「美味しい肉」という意味なので、この名前からも犬肉の美味しさを想像してもらえればと思う。

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表の看板には、「白切狗」「生燜狗」「清水狗」という三種類の犬肉料理が掲げられていた。「白切狗」はさっき食べたし、「生燜狗」は恐らく昨晩食べたのと同じやつだ。そうなれば、ここで頼むべきは「清水狗」。名前から察するに、犬肉そのものの味が楽しめるあっさりとした鍋料理なのではないだろうか。

店内のテーブルに陣取って、主人に「清水狗を1kgちょうだい」と頼んだ。1kgと言っても骨も含めた重さなので、二人でも十分食べられることは昨晩身をもって経験済みだ。

しばらくして運ばれてきた清水狗肉は、予想通りの鍋料理だった。白濁した犬肉ダシのスープに棗や枸杞が浮かんでいる。レンゲでスープの中を探ると、下茹でされた犬肉がたっぷり!メインは薄切りの皮付き三枚肉で、その他、骨付きの脚、腸、レバーなどが入っていた。

↓清水狗肉。
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↓中には犬肉がたっぷり!
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「これはあっさりした感じだなあ」
「昨日のこってり鍋とは全くの別物ですね」

鍋とは別に、タレが供された。中身はなかなか複雑で、ピーナツ油と醤油をベースに、刻んだ香菜、漬物の生姜やエシャロット(もどき)、大蒜、紫蘇、唐辛子などが入っている。

「面白いタレですね」
「さっきの白切狗肉のタレとも似ているが、紫蘇や漬物の風味でまた別物になっているな」

↓タレに犬肉をつけて頂く。
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早速、いただきます!

まずはスープをすする。犬肉の力強いダシに棗や枸杞の甘みが効いた薬膳スープで、濃厚だが、優しい。「不要放味精和鶏精(化学調味料も鶏がらスープの素も入れないで)」の呪文もしっかり通じて、口の中でふくらむ旨味に嫌らしさがない。

これはいいぞ!と、犬肉を頬張る。先ほどの白切狗肉同様、臭味などなく、柔らかに仕上がっていて、肉自体の味が濃い。犬肉というものは旨いものだなあという感想が素直に出てくる。

スープには仄かな塩気がついているので、そのまま食べても十分旨い。だが、上述のタレをつけると、味に起伏が生まれてこれまた旨い。あるときはタレをつけ、あるときはつけず、それぞれの味を楽しんだ。

↓三枚肉。
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↓腸。
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↓これはレバーかな。
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↓骨付き肉も。
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「ワイルドだけど、上品な味だよなあ」
「本当に味付けが控えめですね。驚きました!」

初日の鍋も旨かったが、犬肉そのものの味を楽しむなら、こちらに軍配を挙げるべきかもしれない。

酒は、ここでも米酒。アルコール度は50度あるが、米の風味がストレートに出た綺麗な味で、犬肉を邪魔せず、しっかり受け止めてくれた。

↓味が強い犬肉には、やはり蒸留酒が一番。
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鍋に入れる野菜は、南瓜花(カボチャの花)。スープが旨ければ、どんな野菜を入れたって旨い。

↓カボチャの花。中国南方では普通の食材。
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↓こちらはカボチャの葉。ちょいとぬめりがあって、それがまた美味しい。
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↓野菜もたっぷり採れて、ヘルシー!
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〆も、最高。犬のダシがたっぷり出たスープで煮込む米粉(ライスヌードル)が絶品なのだ!玉林の干米粉(乾燥ライスヌードル)は、歯応えが良くて本当に旨いなあ。スープは、濃厚なのに後味すっきりだ。

↓ぐつぐつ煮込む。
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↓旨いんですよ、これが。
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「これは素晴らしいな!」
「思わず食べ過ぎちゃいますね!」

大満足で、ご馳走様。ホテルへ戻る道すがら、昨晩と同じ涼茶スタンドで〆の一杯をすする。これのお陰か、これだけ大量に犬肉を食べたのに、身体が火照って辛くなることはなかった。

↓うーん、不味い!もう一杯。
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ということで、玉林の犬肉文化は期待以上に素晴らしいものだった。大した事前情報もなく、適当に街を歩き回って入った店でこれだけ美味しいものが出てきたということは、街の地力が高いのだと思う。

改めて思うことは、犬肉はゲテモノでも何でもなくて、ただの美食。単に美味しいから食べられているに過ぎない。

旨い犬肉をハシゴした僕らは、膨らみ切ったお腹を天井に向けて、心地よい眠りをむさぼったのだった。


<2017年5月> ■店舗情報■



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2017年11月02日

玉林10 - 犬肉料理、再び!薬味も部位も多彩な白切狗肉に大喜び!

再び、玉林篇再開!今日はまたも犬肉料理が登場します。
玉林9 - これぞ農村料理の醍醐味!素材が主役のシンプルな炒鶏に感動!」の続きです。

50度近い米酒と共にさばきたての鶏をむさぼって、昼から満腹泥酔となった僕らだったが、帰りのタクシーでの睡眠とその後のマッサージで、元気を取り戻した。

玉林市街で迎える二日目の夜。もちろん、僕らのお目当ては犬肉料理だ。

「昨晩はこってりとした煮込み鍋を食べたので、今夜は違う線を攻めよう」
「そうですね。違う味付けも食べてっみたいです」

そう話しながら僕と後輩Gが向かったのは、 新民路の『博白李記粉店』。昨晩の放浪時に見つけておいた店だ。店名は米粉(ライスヌードル)の専門店のようだが、実は煮込み鍋以外の犬肉料理があり、大勢の客で賑わっていたところが、僕らの目に留まったのである。

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余談になるが、「客が多いからきっと美味しい店だ」という店の選び方は、数十年前ならともかく、今の大都会では全く役に立たないと思っている。大都会の住民は自分の舌で店を判断せず、「メディアで紹介されていた」とか「口コミサイトの点数が高かった」とかいう店に群がりがちだ。それに、舌自体がもはやチェーン店などの濃い味付けに慣らされている人が多いので、正直、人気がある店ほど自分の好みと合わないものが出てくる可能性が高いという状況だからだ。

そう思っている僕が、何故玉林では客の多さで店を選んだのかと言えば、昨晩からの三食で、「玉林人がおいしいと思うものは僕の好みに合う気がする」という信頼感が醸成されていたからである。化学の力に頼らず、素朴な味付けで素材の味を味わう食文化が、玉林にはまだ残っているように思える。

結果から言えば、その思い込みは的外れではなかったようだ。

まずはビールで乾杯し、犬肉のお供として頼んだ甜酸泥鰍魚をつまんだ。素揚げしたドジョウをトマト・葱と炒め合わせたものだ。一匹一匹が立派なドジョウはサクッと揚げられていて、そこに「甜酸」という名前の通り、甘酸っぱい味付けが施されている。その按配がなかなか良く、実にビールを呼ぶ味だ。

↓甜酸泥鰍魚。見た目も器もアレだけど、美味しい。
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↓ビール。
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そして、お目当ての白切狗肉。茹でた犬肉を細かく刻み、香菜やピーナツ、ピーナツ油・醤油・生姜・大蒜などを合わせたタレに付けて食べる。他地域で食べた白切狗肉は、茹でた犬肉に醤油ダレをつける程度だったり、そのまま食べたりするスタイルが多かったが、この薬味の華やかさが広西らしさを感じさせる。

↓白切狗肉。うまそう!
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↓タレはこんな感じ。
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これが実に旨かった。柔らかく煮込まれた犬肉は、臭味など皆無。三枚肉は、むっちりした皮、しつこさが抜けた脂、力強い味わいの肉の三者が口の中で賑やかにそれぞれの魅力を発揮し合い、それを様々な薬味の香りや食感が彩る。

「旨いな!だが、これにはビールじゃないな!」
「ですね!米酒ですかね!」

ということで、ビールから米酒(米焼酎)に酒を切り替え、一気にむさぼった。

嬉しいことに、三枚肉だけでなく、モツや貴重な足まで入っていた。色々な味が楽しめていい。

↓三枚肉。
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↓おみ足。むちむちして美味しい。モツは撮り忘れた。
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↓帰り際に激写した厨房の犬肉。
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犬肉なんて嫌だという偏見を持たずに食べたら、普通に万人受けする味だと思う。人は誰しも自分の好きなものを喰って死んでいく権利があるので、食べたくないという人に勧める気はないが、僕自身はつまらない偏見で美味しいものを食べ逃すことがないように生きていきたい。

「一軒目は大成功だな。次も連続ヒットといきたいものだ」
「きっと大丈夫でしょう。期待しましょう」

さくっと二品だけでお勘定したのは、もちろん別の犬肉料理を攻めるためだ。

犬肉料理のハシゴ。玉林ならではの楽しみと言えよう(笑)。


<2017年5月> ■店舗情報■



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2017年10月24日

玉林9 - これぞ農村料理の醍醐味!素材が主役のシンプルな炒鶏に感動! 

玉林8 - 龐村古建築と龍泉洞を観光し、農家楽で活きた鶏を注文!」の続きです。

玉林近郊の「農家楽(農村レストラン)」で昼食。テラス席に陣取った僕らは、朝、市場で買った米酒で乾杯し、料理の出来上がりを待った。

↓気持ちのよい風が抜けるテラス席。
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↓米酒で乾杯!
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メインの鶏以外に頼んだのは、二品。最初に出てきたのは、酸菜牛肉だ。青菜の漬物と牛肉のシンプルな炒め物である。

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青菜の正式名称は分からないが、恐らくはアブラナ系で、その根茎を漬物にしてある。歯応えが良く、塩気は強いが豊かな旨味があり、嫌らしい旨味はない。ひと口で真っ当な自家製と分かる味だ。

旨い漬物は、共に炒めるものをご馳走にする。この場合、それが牛肉だ。脂身がなく、みっしりとした食感の牛肉は、日本で持てはやされる類の牛肉とは異なるが、噛むとしっかりとした旨味がある。そこに漬物の旨味が加わるのだから、旨くないわけがない。実に酒を呼ぶ味だ。

「なかなか美味しいですね!」
「単純だが、旨いな!」

注文時に唱えた「不要放味精和鶏精(化調も鶏がらスープの素も入れないで)」という呪文もちゃんと効いた。僕らの店選びは、間違っていなかったようだ。

二品目は、店のおばちゃんに勧められた芥菜車螺湯だ。芥子菜と貝のスープである。車螺は、名前から巻貝かと予想していたが、アサリによく似た二枚貝だった。淡水の貝なのかな?

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地味ながら、これも良かった。車螺はふっくらとして美味しく、そのダシがよく出たスープは上品で豊か。芥子菜も味が濃く、やはり田舎の野菜は旨い。

そして、満を持して先ほどの鶏が登場。その名も、炒鶏。骨ごとぶつ切りにした鶏を葱、白木耳と炒めただけのものだが、これが最高のご馳走だった。

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鶏肉は、香りも歯応えも味も期待以上。「これは美味しい!」と、初めてこういう鶏を食べた後輩Gもうなった。キノコが大好きな彼にとっては、ぶりんぶりんの白木耳もご馳走だったようだ。

ガシガシと鶏を喰らい、骨をぺっと吐き出して、米酒をあおる。二人で一羽だから、量はたっぷりある。旨いものがたくさんある幸せを、存分に味わった。

都会での食べ歩きなんて所詮グルメごっこかもなと思うのはこういう時だ。食材に勝る調理なし。旨い食材は手をかけなくても美味しい。こういう料理を食べると、小手先の調理や奇抜な見た目で人気を集める都会の流行店が、なんと浅薄に思えることか。

暇つぶしで出かけた観光だったが、思わぬ美味に出会えた僕らは気分上々。帰りの車では、二人揃ってすやすやと眠り込んでしまった。


<2017年5月>



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2017年10月23日

玉林8 - 龐村古建築と龍泉洞を観光し、農家楽の元気な鶏に大興奮!

再び玉林篇、再開。
玉林7 - やったぜ!勘を頼りに玉林の犬猫肉市場へたどり着く!」の続きです。

市場の見学を終えた僕らは、そこらを走っていたタクシーを捕まえて半日チャーターし、暇つぶしの観光に出かけた。

訪れたのは、玉林近郊の龐村古建築と鹿峰山の鍾乳洞・龍泉洞。わざわざ普通の観光目当てに玉林へ行く日本人がいるとは思えないので、細かい情報は割愛して、写真だけ載せておく。

まずは龐村古建築。

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龍泉洞では、中国の鍾乳洞ではお馴染みの極彩色のライティングにゲンナリ。また、鍾乳洞の成り立ちなどの説明は一切なく、どの岩が猿に似てるとか仙人に見えるってだけのガイドの解説にもウンザリ。鍾乳洞自体はすごいんだけどねえ。。

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昼飯は、 近くの農家楽(農村レストラン)でとった。軒を連ねていた二、三軒を見比べて、食材の鮮度と厨房の整理整頓が良さげに思えた店に入ってみた。

↓ここにしました。
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↓あたりはこんな感じ。
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中国の農村での恒例の楽しみは、鶏をその場で捌いてもらうことだ。都会の鶏と違って、山を元気に走り回って虫を喰って育った鶏は、ひと口目から目を見開くほど旨いのだ。

僕らが鶏を注文すると、店のおっちゃんは虫取り網の化け物みたいな取り網を持って、店の裏へ歩いていった。店の裏はかなり広い範囲が高い網で囲われていて、その中では何羽もの鶏が元気に走り回っていた。

↓元気そうな鶏たち。
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「二人なら、そんなに大きくない鶏でいいな!?」

僕らにそう話しかけながら、どの鶏を捕らえるか狙いを定めるおっちゃん。しばし追いかけっこが続き、ようやくゲット!

↓つかまえた!
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思わず「おお、旨そうだな!」と叫んだら、「・・・え!?この時点でですか?」と後輩Gには驚かれてしまったが、肉付きがよく、実に旨そうな鶏じゃないの!

おっちゃんが捕らえた鶏をコックに渡すと、コックは手早く鶏の首をナイフで切り裂き、血を絞り出した。それから鶏を熱湯につけて、毛をむしる。実に手早い。僕もできるようになりたいな。

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席に戻った僕らは、わくわくしながら料理の出来上がりを待った。

皆さんも、わくわくしながら明日の記事をお待ちください!


<2017年5月>



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2017年10月18日

玉林7 - やったぜ!勘を頼りに玉林の犬猫肉市場へたどり着く!

玉林6 - 犬肉を求めて訪ねた南橋市場で、超ローカル腸粉(ライスクレープ)に出会う!」の続きです。

牛腩粉と腸粉のハシゴで、お腹は満たされた。しかし、市場で犬肉の売り場を見るという当初の目的は、まだ果たされていない

「昨日のあそこ、行ってみるか」
「そうですね、あそこに望みを託しましょう」

「昨日のあそこ」とは、昨晩犬肉鍋を食べたあと街をさまよっているときに見かけた場所のことだ。大通りから少し入った路地裏の暗闇の中に、偶然、「猫狗批発(猫・犬卸売り)」と書かれた看板を見つけたのである。

もちろん、そのとき店は閉まっていた。あまりにもボロい店構えだったので、そもそも今も営業しているのかどうかも怪しい。だが、今の僕らに残された希望は、そこしかなかった。

結論から言うと、これが大当たりだった。いざその場所まで行ってみると、そこは昨日見かけた看板の店だけでなく、犬や猫を売る店がずらっと軒を連ねる食材市場だったのである。

「きたな!」
「きましたね!」

二人揃って、思わず声を上げた。いやあもう、何の前情報もなく、しかもかなり酔っ払っていたにもかかわらず、暗闇の中に看板を見つけた自分を褒めてあげたい。それこそ犬並みの嗅覚ではないか、わはははは。

ということで、百聞は一見に如かず。まずは市場の様子をご覧頂こう。

↓昨夜発見した店。明るくなったらシャッターが開き、屋台が出ていた。
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↓どーん。下処理した犬と猫が仲良くぶら下げられている。
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↓売り場にゴロゴロと転がしてある店も多かった。
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↓これらは全て犬。
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↓内臓も売っている。
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↓こんな感じで、犬肉を売る店は何軒もあった。
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↓ずらーっと全部、犬肉屋。
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↓これは猫。猫を扱う店は一部だけだった。
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この市場では鶏肉や豚肉や牛肉も扱っていたが、売り場スペースは犬肉が一番広かった。玉林において、如何に犬肉が一般的な食材かが分かるというものだ。

「すごいなあ。玉林人は一般家庭でも犬肉を調理して食べるんだろうなあ」
「え、さすがにそれはないんじゃないですか?レストラン用でしょう」
「いやいや、あれを見ろ。そうすれば納得するはずだ」

僕が指差したのは、犬肉屋の向かいにあった香辛料専門店だ。一見、他地域でもよくあるような、八角だの肉桂だの唐辛子だのの香辛料を量り売りする店だが、それだけではない。店頭に並べられていた小さなビニール袋を、僕は見逃さなかった。

ビニール袋の後ろには、「狗肉料」「猫肉料」と書かれた札が立てかけられている。これらは何かと言うと、犬肉や猫肉を煮込む香辛料を小分けして詰め合わせたものなのである。

↓香辛料専門店の棚。
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「業務用ならば、こんな小分けは必要ないだろう。やはり家庭用ではないか」
「確かにこれはそうですね!玉林、恐るべしですね!」

しかも、店が独自に詰め合わせたものだけでなく、メーカーで大量生産された感じの「狗肉調味料」まで売っていたのには驚いた。それだけ需要があるということだもんな。

↓きっちり包装されたメーカー製の狗肉調味料。
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さすがに犬肉を買って帰ることはできないがこれならば・・・ということで、店が調合した狗肉調味料と猫肉調味料をそれぞれ1つずつ買い求めてみた

↓ひとつ2元くらいだったと思う。
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香葉(月桂樹の葉)と陳皮はどちらにも入っているが、八角や甘草は猫肉調味料だけに入っていて、芍薬は狗肉調味料だけに入っている・・・という程度の特徴は発見できたが、何故そのように調合するのかという理由に至っては、想像すらつかない。

そもそも、悲しいかな、素人の僕では中身の香辛料を全て特定することすらできなかった。いつか犬猫料理のプロに出会う機会があったら伺いたいものだ。

↓狗肉調味料。
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↓猫肉調味料。
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因みに、同じ狗肉調味料でも、メーカーのと市場のとでは調合が異なっていた

メーカーのには入っている黒胡椒、花椒、山黄皮が市場のには入っていなかったし、逆に、市場のには入っている香葉(月桂樹の葉)、陳皮、芍薬などはメーカーのには入っていなかった。

まあ、こういう調合に正解があるわけではないだろうから、結構適当なのかもしれない。

話は変わって、幸運なことに、今回は下処理する前の活きた犬も見ることが出来た。とある犬肉屋の前でパシャパシャと写真を撮っていたところ、僕らを犬肉食反対派と勘違いした店主のオヤジに話しかけられたことが切っ掛けになった。

「你们是爱狗的吗?(お前ら、愛犬家ってやつか?)」

僕は答えた。

「不,怎么说,我是爱吃狗肉的 (いや、なんと言うか、犬肉好きかな)」

オヤジ、この答えが気に入ったらしく、破顔一笑すると、店の奥からまだ活きている犬を連れてきて見せてくれたのだ。犬の動きが速過ぎてしっかり写真に撮れなかったのが無念だが、いわゆるチャウチャウによく似た犬だった。

↓僕の脇を駆け抜けていく犬。
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誰かこの犬を注文する客がいれば、屠殺方法も見学できたのだが、さすがにそこまで運は良くなかった。

ここからは余談になる。

玉林旅行の直後に、僕が上に載せたような写真をインスタに上げたところ、ヒステリックな英語のコメントが繰り返し書き込まれた。見ず知らずの相手に汚い罵声を書き込んでくる低劣な品性の持ち主は一体どんな人?と確認してから速やかにブロックしたんだけど、書き手は全て西洋人の犬猫好きだった。自分の好き嫌いでしか物を考えない独善性は、さすがと言うしかない。

そういう子供じみた相手には別に腹も立たないのだが、何故彼らが見たくもないであろう写真をわざわざ検索してまで見ているのかってのは少々不思議だ。ヒマなのだろうか。

僕も暇つぶしを兼ねて、その中の多少は話が通じそうな相手に何回かコメントを返してみた。面白かったのは、「犬を食べるなんてありえない!」と叫ぶ相手に「牛や豚と何が違うんだ?」とぶつけると、ほとんど全員が「文化の多様性は認めるけれど、犬の屠殺方法が残虐なのが許せない」と論点を変えてきたことだ。

確かに、ネット上には中国人が面白半分に犬を叩き殺したり、火をつけたりする動画が出回っている。それらを見れば、僕だって犬に無用の苦しみを与えていると思う。

だが、動画のように残虐な屠殺方法が日常的に行われているなんてことがありえるだろうか?

今回、残念ながら活きた犬を屠殺するところは見られなかったので、推測混じりの話にはなるが、僕らが見たひとつの市場ですら、毎日何百匹という犬を処理するのだ。一匹一匹叩いたり、火をつけたり、そんな非効率な方法をとるほど、プロはヒマではないはずである。

この市場で見た犬と猫は、全て喉元に穴が空いていた。その穴から推察するに、これらの犬と猫は「最初に喉を切って血を採り、その後、表面を火で炙って毛を取り除く」という方法で屠殺されたものだと思われる。それならば、豚や牛などと大差ない、ありふれた屠殺方法である。

以上を踏まえて、コメントしてきた西洋人たちに「君たちが見た動画は一部の極端な例ではないか。大半の犬は普通に屠殺されていると思うので安心して欲しい」と返したら、fxxk的な罵声を最後に返信が途絶えた(笑)。表面的には「文化の多様性は認める」などと言いながらも、結局のところ、感情論で反対しているだけなのだろう。

更に、余談を続ける。

では、普通に考えたら非効率としか思えない「一部の極端な例」は何故行われるのだろうか。これには犬肉祭りが関係しているのではないか、というのが僕の推論だ。

毎年夏至の日に開催される玉林の犬肉祭りには、大勢の観光客が訪れる。祭りで犬肉需要が急増すると、普段の養殖犬では供給が足りず、そこらの犬を捕まえてきて売る輩が出てくる。とある年に金持ちの犬肉食反対派が犬を買い取って助けたというニュースが報じられたら、翌年には反対派に高く売るために犬を捕まえてきて売る輩が出てきたくらいだから(笑)、これは間違いない。

そうなれば、当然、プロ以外の人間が屠殺を行う例も増える。中には悪目立ちしたがる奴も出てくるだろう。そういう流れの中で、「一部の極端な例」が行われるのではないだろうか。

だから、反対派が犬肉のトレーサビリティの確立や屠殺資格の厳格化などを主張するのならまだ建設的だと思うのだが、馬鹿の一つ覚えみたいに「犬を食べるなんて残酷だ。人類の友達だ。祭りをやめろ。キー!」しか言わないから、玉林の市民も行政も聞く耳を持たないのだろう。僕にしても、自分を正義だと思い込んだ単細胞ほど始末の悪いものはないな、としか思えない。

とまあ、余談はここまで。

自分たちの勘を頼りにお目当ての犬肉市場にたどり着いたことで、僕らのテンションは上がった。あとは観光でもして、昼飯までの時間を潰すことにしよう。


■店舗情報■
市場の住所は伏せます。
万が一にも、頭の悪い反対派がその情報を元に現地へ行って騒いだりしたら嫌なので。


<2017年5月>



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2017年10月17日

玉林6 - 犬肉を求めて訪ねた南橋市場で、超ローカル腸粉(ライスクレープ)に出会う!

玉林5 - 玉林の朝は米粉で決まり!『陳七牛腩粉』の牛バラ肉ライスヌードルに唸る!」の続きです。

犬肉売り場を求めて、玉林の南橋市場を歩き回る。かなり大規模な市場ではあったが、結論から言うと、この市場では目的を果たせなかった。

鶏、アヒル、鴨、鳩などの家禽類は活きたまま売っていて、鶏インフルの影響で活きた家禽類を売ることが禁じられた上海中心部の市場に慣らされてしまった身にとっては、久々にちゃんとした市場にいる実感を味わうことができたが、お目当ての犬肉はどこにも売っていなかった。

「本場でも大っぴらには売っていないんですかねえ」
「そうは思いたくないなあ。きっと他の市場には売っていると信じよう」

そんなことを言い合いながら、市場の雰囲気にしばし浸った。

↓中学校の体育館2個分くらいの南橋市場。
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↓新鮮な野菜が並ぶ。
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↓様々な家禽類。
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↓淡水の魚や貝類も。正直、これらはそれほど食指が動かない。
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↓竹の子を多食する広西だけあって、竹の子売り場は充実。
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もっとも、肝心の犬肉こそなかったが、全くの無駄足だったわけではない。市場の片隅に量り売りの酒屋を見つけた僕らは、抜け目なく米酒(≒単式蒸留の米焼酎)を仕入れた。昨晩の店には四川省の大規模メーカーが作った白酒しか置いていなかったから、今日はこの酒を店に持ち込んで飲むことにしよう。

↓市場内の酒屋。
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↓米だけでなく、もち米、とうもろこし、コーリャンなど各種蒸留酒が並ぶ。
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↓一番良い酒はどれだ?と尋ねたらこれだった。普通、良い酒を甕に入れるもんじゃないか?(笑)
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↓酒で殺菌したペットボトルに入れてくれる。田舎ではこれが普通。
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更に、収穫は米酒にとどまらなかった。市場の周りに朝食を出す小さな店や屋台が並んでいたので、ひと回りしてみたところ、なんとも風情のある腸粉の店を見つけたのだ。僕ら以外、観光客などひとりもいないエリアだ。見た目通り、地元民が通う店なのだろう。

「これは入って見ねばなるまい」
「そうしましょう。店名も品書きも何もありませんね」

↓どうです、この店構え。
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狭く薄暗い店内は全て客用のテーブルで、店頭では主人と女将がせっせと腸粉を作っていた。

腸粉とは米を挽いた液を蒸して作るライスクレープのことで、玉林がある広西だけでなく、広東、海南などの中国南方ではお馴染みの小吃だ。

腸粉の作り方は、米の液を布の上に広げて下から蒸気を当てる布拉式と、引き出し型の蒸し器に米の液を注ぐ抽屜式の二種類ある。この店の作り方は、後者の抽屜式だった。

↓店主が左手で持っている引き出しに米の液を注ぎ、奥の蒸し器に入れる。
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↓米の液とともに、玉子、葱、豚ひき肉を入れる。
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腸粉のことを飲茶でご存知の方もいると思うが、こういうローカル店の腸粉は、あれとは違って豪快だ。蒸し上がった腸粉は、ぐちゃぐちゃっと適当に折りたたんで、どちゃっと皿に盛る。

↓腸粉、出来上がり!
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「こういう腸粉は初めて食べます」と、後輩G。
「見た目はアレだが、旨いんだぜ」

かつての広州駐在時代にこの種の腸粉に親しんでいた僕にとっては、懐かしい一品だ。

もっとも、広州の腸粉は海老だの牛肉だのがたっぷり入った豪華なものが主流。一方、玉林の腸粉は至ってシンプルだ。ひとつ3元と安いこともあって、具は玉子と葱にほんの僅かな豚ひき肉だけだった。

さて、肝心のお味。早朝の牛腩粉に続き、これも当たりだった。素朴ながら、むっちりとした腸粉は舌触りも喉越しも良くて、実に旨かった。都会のヘタな店で頼むと下世話になりがちなタレも、味は濃い目ではあるが、嫌な旨味はない。これはいい。

主人に聞いてみたところ、タレは醤油と油と牛巴汁を混ぜたものとのことだった。牛巴とは中華風ビーフジャーキーのことで、玉林の名物だ。そして、牛巴を作るときに牛肉を煮込んだ煮汁が牛巴汁である。

↓醤油と油と牛巴汁(手前)。
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たかが腸粉、されど腸粉。タレにはしっかり玉林らしさもあって、僕はすっかり満足した。

勘を頼りに食べ歩いて、ちゃんと美味しいものに出会えるのが、地方旅行の良さだ。しょーもないチェーン店やフランチャイズ店ばかりが街にあふれる都会では、こうはいかない。

朝食のハシゴ二軒がいずれも当たりという結果に、僕らの意気は大いに上がったのだった。


■店舗情報■
店名・住所不明。南橋市場の北側の路地裏にある。

<2017年5月>



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2017年10月16日

玉林5 - 玉林の朝は米粉で決まり!『陳七牛腩粉』の牛バラ肉ライスヌードルに唸る!

久々の玉林編、再開!
玉林4 - 夜市を彷徨い、アヒルの水かきとタニシの土鍋煮込みに行き着く。」の続きです。

玉林二日目の朝。特に観光の予定もないお気楽な旅のはずなのに、我々は七時に起床した。観光の予定はなくとも、食べたいものはたくさんある。たくさんの料理を胃袋に詰め込むには、食事と食事のインターバルをしっかり取って、消化時間を確保することが必要だからだ。

「…いつになくストイックですね」と、後輩G。
「なんせ二泊三日とはいえ、実質六食しかないからな。春眠暁を覚えないわけにはいかんのだ」

玉林で食べるべき朝食とは何か。下調べしたところ、まずは「米粉(ライスヌードル)」だということが分かった。米粉は中国南方一帯で広く食べられているもので、玉林も例外ではないようだ。

だが、玉林の米粉文化の多彩さは僕の予想を超えていた

牛腩粉(牛ばら肉ライスヌードル)、牛巴粉(ビーフジャーキーライスヌードル)、腸粉(巨大ライスクレープ)あたりは他地域にもあるので想像がつくが、生料粉、測測粉、肥婆粉、巻餡粉あたりになると、何だかよく分からない。ワクワクする。

問題は、それらの専門店がどこにあるかよく分からないことだった。ネット上に一応情報はあったのだが、「○○ホテル横」とか「○○村」とか「○○ターミナル側」とか、部外者には不親切なものばかりで、店の場所を特定するのは一苦労だった。幸い、僕らが泊まったホテルの隣に牛腩粉の有名店があることを突き止めたので、まずはその店を試すことにした。

さあご覧いただこう、『陳七牛腩粉』の店構えだ。道端に並べた椅子と机の上にテントを張っただけの、屋台に毛が生えたような構造だ。現代化されていない、素朴な佇まいに好感が持てる。

↓質素な店構え。
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↓品書き。
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牛腩粉以外にも色々メニューがあったので悩んだが、やはりここは店名にもなっている牛腩粉だろう。ライスヌードルは二種類から選べたので、ひとつは普通の米粉、もうひとつは河粉にした(違いは後述)。

↓牛腩粉。手前が河粉、奥が米粉。
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薄く茶色がかったスープに米粉が沈み、具は牛腩(牛ばら肉)と刻み葱だけ。店構え同様、素朴な佇まいだ。目を引くものは何もないが、僕はこの時点である種のオーラを碗から感じ取っていた。

↓絶対旨い気がする。尚、こちらは河粉。
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早速、スープをすする・・・ふふ、期待通り!都会の麺屋のスープにありがちな、化調由来のぬっとした旨味は皆無だ。食べる者をひと口目から無理やり満足させようとしない、あっさりした舌触り。素材本来の味わいのみで構成された、素直な味だ。

このスープは、牛骨スープに牛ばら肉を煮込んだ煮汁を合わせたものだそうだ。ネット情報によれば、煮汁には葱・生姜・大蒜のほか、沙姜、桂皮、八角、甘草、草果、陳皮、唐辛子、胡椒など様々な香辛料が使われるらしい。この店がそのうちどれだけを使っているかは知らないが、ひとつの香辛料が突出した感じはなく、様々な風味が上品に調和している。

「あっさりしていますねえ!おいしい」
「これだよ、これ!これを求めてこんな田舎まで来たんだよ!」

上にのった牛ばら肉も、驚くほど抑制が効いた味付けだ。長時間煮込んであるのだろう、むっちょりと柔らかく、とても美味しい。

↓こちらは米粉。
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そして、ライスヌードル。幅広の河粉は、ペースト状にした米を布状に蒸し上げてから、麺状に細く切ったものだ。広東省にも全く同じものがあり、広州駐在時代はよく食べていた。ちゅるちゅるとスープがよくからむのが特徴だ。

↓河粉アップ。
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もうひとつの米粉は、ペースト状の米をところてんのように熱湯の中に流し込んで煮固めたもので、断面は丸型になる。河粉にしろ米粉にしろ、中国南方の店では大抵、生のものが出てくる印象だったが、玉林では細めの乾麺タイプが使われていた。生のものよりしっかりした歯応えがあり、プリプリしている。

↓米粉(乾麺タイプ)アップ。
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「これ、昨晩の犬肉鍋の〆に入っていた米粉と同じですね!」
「そうだな。米粉だけ生じゃないってところが面白いな。何故だろう」

理由はともあれ、とにかく旨かった。都会の麺屋だと、食べ終わる頃には舌はのっぺりとした旨味に覆われ、胃もたれを感じることがよくあるが、この米粉は最後まですっきり爽やか。旨いものを喰ったぞ、という余韻にゆったりと浸れた。

「当たりでしたね!」
「この店が上海にあったら、通いつめるのにな!」

一般的に、都会の小吃店の方が店構えや内装は綺麗かもしれないが、肝心の味は田舎の小吃店の方が綺麗なんだよな。朝っぱらから「田舎の実力」を堪能し、僕らの意気は上がった。

↓卓上の漬物まで、隙がなかった。
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その勢いのまま、昨夜見かけた南橋市場へ足を伸ばした。朝八時過ぎの市場は、遠くから見ても分かるほど、人出が多い。

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市場の入り口には山羊を売る屋台が出ていた。肉はもちろん、頭部、モツ、血旺(血を塩水で固めたもの)などが部位ごとに並べられている。

↓山羊屋台。
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↓さばきたて。
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↓この血旺、旨そうだったなあ。
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「いい感じだな!こんな風に犬肉も売っているといいんだが」
「結構エグイですね(笑)。でも、見てみたいです!」

興奮した我々は、犬肉を求めて南橋市場の中へ歩みを進めていった。


■今日のお店■
『陳七牛腩粉』

<2017年5月>



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2017年08月31日

玉林4 - 夜市を彷徨い、アヒルの水かきとタニシの土鍋煮込みに行き着く。

玉林3 - 遂に犬肉鍋!『寧大姐』の脆皮狗肉に舌鼓を打ち鳴らす!」の続きです。

広西玉林犬肉旅行、第一夜。お目当ての犬肉鍋で大勝利を収めた僕と後輩Gは、上機嫌で夜の街をぶらついていた。既にお腹は一杯だが、ホテルに帰るにはまだ早い時間だ。明日以降の偵察を兼ねて、腹ごなしの散歩をしよう。

すると、さすがは玉林、数百メートルも歩かないうちに、次々と犬肉料理店が見つかるではないか。まあ、今夜僕らが訪ねた『寧大姐』は玉林で最も有名な犬肉料理店と言っていい存在のようだから、その周りに犬肉料理店が集まってきているということだろう。玉林市ならどこでも、犬肉料理屋が軒を連ねているわけではない。

↓犬肉屋その1。看板に輝く「狗肉」の文字。
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↓その2。「香肉」も狗肉の意味。左下の看板にも狗の文字が並ぶ。
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白切狗肉、生燜狗肉、清水狗肉・・・。「白切」は茹でてぶつ切りにすること。「生燜」は珍しい調理法名だが、事前調査によると、さっき食べた脆皮狗肉と同じように香辛料と醤油でとろ火煮込みにするものらしい。「清水」とは何だろうか。あっさりスープで鍋にするのだろうか。看板の文字を見るだけで心が躍る。

そんなことを話しながら、気になる店をチョイス。店に入って主人に声をかけ、営業時間を確認しておいた。ふふふ、明日の食事がまた楽しみだ。

さて、犬肉料理店の偵察を抜かりなく終えた僕らは、「夜市」を冷やかしてみることにした。

「夜市」とは、夜だけ営業する青空屋台街のことだ。日本人には台湾の夜市が有名だが、夜市は別に台湾の専売特許ではなく、中国南方では特に珍しいものではない。亜熱帯地域ではみんな、暑すぎる日中は避けて、夜に活動するのだ。

ここ玉林にも、いくつかの夜市があることは下調べで分かっていた。だが、具体的にどんな料理が食べられるのかという情報は乏しかった。直接行ってみるほかあるまい、ということで、まずやってきたのが西街口夜市だ。

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なるほど、確かにいくつも屋台が並んでいる。だが、どこも客が少なくて活気に欠けるし、ひとつひとつの屋台をよく見ていくと、海鮮メインの焼烤(バーベキュー)と粉(ライスヌードル)の店がほとんどだった。内陸の玉林で海鮮(しかも牡蠣とか)を食べる理由はないし、粉だと〆になってしまう。数百メートルの通りを一往復してみたが、結局、試したい店は見つからなかった。

因みにこの西街口、昼間は玉林名物・牛巴(ビーフジャーキー)の土産店が建ち並んでいるが、どこも添加物満載で味が濃すぎたので、僕は味見だけにしておいた。

「酒徒さん、あれは何ですか」

むむうと唸っていた僕に、後輩Gが声をかけてきた。目を向けると、「木菠羅(木菠萝)」という看板を掲げた果物屋台だ。僕も一瞬首を傾げたが、現物を見て納得。菠羅蜜(ジャックフルーツ)だ。玉林では木菠羅と言うんだな。

↓「木菠羅(木菠萝)」。
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↓ジャックフルーツは巨大なので、ばら売りしてくれる。
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後輩Gが食べたことがないというので、あとでデザートにしようと少しだけ購入。それをぶら下げて、次の夜市・解放路夜市へ向かった。こちらは玉林の目抜き通りにあるだけあって、大層賑やかだった。ショッピングモールの間に屋台が所狭しと並び、若い地元民を中心に人がひしめきあっている。玉林最大の夜市だと書いているサイトもあった。

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だが、僕にとっては、西街口夜市以上に惹かれなかった。その理由は、屋台の料理のほとんどが他地域のものばかりだったからだ。麻辣烫やら、天津甘栗やら、果ては北海道を名乗る握り寿司もどきである。総じて、ここはあくまで玉林人が各国各地の料理を楽しむところで、旅行者が玉林ならではの料理を求めてくるところではなかったようだ。

歩き疲れた僕らは、立ち止まって作戦会議を開いた。

「いい加減ビールでも飲みたいが、この屋台街で無理して食事をするのは避けたい」
「確かに、胃袋の残存容量も少ないですから、狙いを定めたいですね」
「そういえば、夕方、犬肉料理屋に向かって歩いているとき、タニシ屋を見かけた気がする」
「タニシ!?タニシも名物なんですか?」
「そうなんだよ。広西ではタニシをよく食べるんだ」

ということで、最後の気力を振り絞って向かったのは、江濱路と城站路の交差点から西へ200mほどのところにある『美林田螺煲』だ。タニシの土鍋煮込み(田螺煲)を売りにした店のようだ。

↓あった!『美林田螺煲』。僕の脳みそは、レストランの場所だけは記憶に残るようできている。
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↓全席テラス席・・・というほど格好いいものではないが。
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品書きはいくつもなかったので、店のイチオシらしき鴨脚田螺煲の小サイズを頼んだ。アヒルの水かきとタニシの土鍋煮込みである。日本人が聞くとギョッとする組み合わせかもしれないが、アヒルとタニシはどちらも同じようなところに棲んでいるわけだから、ある意味、自然な組み合わせと言えよう。

↓鴨脚田螺煲。どこが小サイズなんだ、というボリューム(笑)。
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アヒルの水かきは手で持ってしゃぶりつき、むっちょりとしたゼラチン質を楽しむ。タニシは楊枝で殻の中の肉をくるっと引き出して、コリコリムチムチした肉を味わう。こっくりした醤油味に辛味がじんわりしっかり効いていて、次第に額から汗が噴き出してくる。そこにぐいっと流し込むビールが旨い。じめっとした亜熱帯気候にぴったりの佳肴だ。

↓ありがたいことに、ちゃんと冷えたビールがあった。漓泉啤酒は桂林のブランドで、燕京啤酒グループ。
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「美味しいものですね、タニシ。水かきも」
「だな。意外にちゃんと砂抜きしてある点も評価したい」

どちらも食べるのが面倒くさいという点も、つまみとしてはぴったりだ。だらだら話しながら、二人でのんびりと土鍋をつつき、ビールをあおった。

↓オツなつまみ。
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↓なんせ量はたっぷりある。ゆっくり食べるとしよう。
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↓夜市で買っておいたジャックフルーツも店で食べた。
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↓独特の香りが大好き。
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「いやあ、すっかり満腹になりましたね。歩いた甲斐があった」
「だな。今朝は四時起きだったし、今日はこのくらいにしておくか」

ホテルに戻る道すがら、道端で見つけた涼茶舗(涼茶スタンド)で、〆の一杯。「上火と胃もたれに効きそうなやつをくれ」と頼んだら渡された清腸胃茶をキューっと干す。名前も強烈な苦味も、如何にも効きそうだ。

↓気取りのないローカル涼茶舗(涼茶スタンド)。
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↓苦い!
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これで暴飲暴食への対処も万全。初日の首尾は、実に上々だった。

明日も朝から食うぞ!


■今日のお店■
西街口夜市
解放路夜市
『美林田螺煲』

<2017年5月>






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2017年08月30日

玉林3 - 遂に犬肉鍋!『寧大姐』の脆皮狗肉に舌鼓を打ち鳴らす!

玉林2 - 犬を探せば、猫にも当たる!南橋市場での思わぬ幸運!」の続きです。

南街市場の屋台で猫肉を試食した僕らは再び歩みを進め、当初の目的地である江濱路と新民路の交差点へ到着した。ここには数軒の犬肉料理屋が軒を連ねていたが、『寧大姐 玉林第一家脆皮肉館』という店が僕らのお目当てだった。

下調べしたところでは、脆皮狗肉という犬肉料理を玉林で最初に始めた店だそうで、玉林で最も有名な犬肉料理屋と言っていい存在のようだ。

交差点を挟んで二つの店舗を構えており、店の中に置かれたテレビでは女主人(寧おばさん)が中央電視台の取材を受けたときのビデオ映像が繰り返し流されていた。犬肉料理屋の女主人が「人気レストランのやり手経営者」的扱いでテレビに出ているあたりが、さすが中国である。

夕暮れ時の店は、既に大盛況。席は全てアウトドア席で、僕らは辛うじて空いていた二人がけのテーブルに腰を下ろした。

↓『寧大姐 玉林第一家脆皮肉館』。
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↓老若男女が集う。犬肉は美味しいからだ。
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僕の興味を引いたのは、店の看板には犬を示す「狗」の字を除いて「脆皮肉館」と書かれていたのに対し、テーブルに置かれたティッシュ箱には堂々と「脆皮狗」と書かれていたことだ。

勝手な想像だが、犬肉祭りのときに玉林に押しかける内外の活動家たちは、店頭に「狗」の字を掲げている店を探して、抗議活動を行うのかもしれない。そういう輩が近付いてこないための対策ではないだろうか。

↓ティッシュ箱には「狗」の文字が。因みに、「フランチャイズ加盟店募集中!」だそうだ(笑)。
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まあ、これは僕の気の回し過ぎかもしれない。と言うのも、店頭の屋台には、下処理して部位ごとに切り分けられた犬肉が、どーんとぶら下がっていたからだ。看板で「狗」の字を隠したところで、これではまるで意味がない(笑)。

↓どーん!!
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↓一番目立つところに置いちゃってる(笑)
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「おお、確かに犬ですね…!足が犬だ…!

興奮しているのか、驚いているのか、後輩Gがやや震えた声を出した。その横で淡々と写真を撮る僕に、重そうな中華包丁を片手に持ったおっさん店員が声を掛けてきた。

「いくらいるんだ?」

なるほど、犬肉は量り売りらしい。この店の犬肉料理は脆皮狗肉1種類だけなので、犬肉の量さえ決めれば、あとは勝手に料理が出てくるという寸法だ。

「二人だと普通どのくらい?」
「二人なら二斤(1kg)だな。骨が多いから、一斤(500g)だと大して肉がない」

どうせならたっぷり食べたい。「じゃあ、二斤もらうよ」と答えた僕の傍らでは、後輩Gが「…犬肉を二人で1kgも。もう後には引けませんね」と苦笑していた。

「部位はどうする?」と、おっさん。
「選べるの?」
「ああ。肉は、ここ(三枚肉)かここ(腿肉)。あと足」
「3つの盛り合わせってのはあり?」
「大丈夫だ」
「じゃあ、それで。…お、そこの皿に入っているのは、犬の腸?」
「そうだ。これも入れるか?」
「お願い」

ウキウキして席に着く。尚、値段はどこの部位を頼んでも変わらず、45元/斤だった。

↓中華包丁でガンガンと叩き切っていく。
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↓腸を見逃さなかった自分を褒めてあげたい。
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冷えたビールをもらい、犬肉を待った(ここでも北京ブランドの燕京啤酒が幅を利かせていた)。犬肉のお供に頼んだのは涼拌黄瓜(キュウリの和え物)炒絲瓜(ヘチマ炒め)だ。どちらも10元もしないのに四人前くらいの量が出てきて、物価の安さを胃袋で実感することになった。

↓燕京啤酒の純生。
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↓炒絲瓜。涼拌黄瓜は撮り忘れた。
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やがて、主役の脆皮狗肉が運ばれてきた。その正体はと言えば、干鍋(汁なし炒め鍋)形式の犬肉鍋だった。1kgの犬肉が入っているだけあって、十分な迫力がある。

↓どーん!!脆皮狗肉の登場!!
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「おお、旨そうだな!同じ広西だけあって、昔、桂林で食べたやつに似ている」
「そんな比較をされても、分かりません(笑)。僕はなんせ初めての犬肉ですから」

鍋を運んできたおばちゃん店員が言うには、最初に肉を食べ尽くし、そのあと犬ダシスープを注いで、野菜や米粉(ライスヌードル)を煮て食べるのだと言う。おお、その食べ方まで桂林と同じではないか。

<桂林で食べた犬肉鍋>
桂林7 - 旨味爆裂!桂林の犬鍋は香ばしい!

早速、立派な三枚肉をひと口。

・・・おお!何という旨味。これだよこれ、これが犬肉だ!久々の犬肉に、僕の顔は思わずほころんだ。

三枚肉全体が犬肉自体から出た脂で揚げ焼き状態になっていて、とても香ばしい。「脆皮」と聞くと、広東の子豚の丸焼きや北京ダックのようにサクサクパリパリの皮を想像するかもしれないが、実のところ、皮はむっちりしている。それが旨い。肉の表面はややカリッとしていて、噛むとしっかりとした弾力がある。

その肉は、多彩な香辛料と醤油でこっくりと味付けされている。恐らく腐乳も入っている。濃い目の味付けだが、濃過ぎない。犬肉は肉自体の味も濃いので、濃い味付けもしっかり受け止めるのだ。噛めば噛むほど旨味が口の中に広がっていく。犬肉は別名・香肉(=旨い肉)とも呼ばれるのだが、その異名に恥じぬ美味だ。

「うん、美味しい!もっとこう、変な味なのかと思いましたが、全然普通に美味しいですね!」

後輩Gも、初めての犬肉に興奮気味だ。よかったよかった、わざわざ玉林まで来た甲斐があったというものだ。

↓やったね!旨いよ!
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脆皮狗肉の正確な作り方はわからないが、ネットを調べて僕が一番それっぽいと思ったのは、以下の通りだ。犬肉を入手できる環境にいる方は、是非試して欲しい。

<脆皮狗肉の作り方(多分)>
1)犬を〆て熱湯で毛を取り除き、表面を弱火でじっくり炙る。
2)内臓や血を処理したあと、適当な大きさに切り分ける(これが上の写真でぶら下がっていたやつ)。
3)各部位をひと口大に切り分けて塩をふり、大鍋で生姜とともに炒める。
4)焦げ目がつくまで炒めたら、米酒、醤油、腐乳を炒め合わせ、かぶるくらいの水を加える。
5)八角、陳皮、青檸檬皮などの香辛料を加えたら、蓋をして三十分ほど煮込む。
6)蓋を取って水気を飛ばしたら、できあがり。

さて、この犬肉の旨味にはビールじゃ太刀打ちできないな、ということで、僕らは酒を白酒に変えた。地元の白酒はないというので、四川省の郎酒。他の店でもこればっかりだったので、玉林の白酒界では大きなシェアを持っているのだろう。

↓ひとり一瓶・・・で済むわけはなかった。
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勢いがついたところで、足や腸も食べる。足は、むっちりした皮とゼラチン質が魅力。コリコリした食感の腸も、旨味ぴゅるぴゅるで美味しい。

↓色々な部位を並べて愉しむ。全部美味しい。
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そうそう、脆皮狗肉には、大蒜がガッツリ効いた腐乳ダレと大蒜の芽と唐辛子の漬物が添えられてきた。犬肉にはもともと味がしっかり付いているので、正直、タレはトゥーマッチな気がしてほとんど使わなかったが、大蒜の芽と唐辛子の漬物は、合間合間に齧ったり、鍋に炒め合わせたりすると、良いアクセントになった。

↓脆皮狗肉のお供。
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肉があらかたなくなったところで、犬ダシスープを加えてもらった。スープが沸くのを待って、青菜と干米粉(乾燥ライスヌードル)を投じる。前半戦の干鍋は桂林の犬鍋と非常によく似ていたが、スープを足す後半戦は玉林ならではのものだ。

↓犬ダシスープをたっぷり注いでくれた。
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↓玉林では、火鍋に干米粉(乾燥ライスヌードル)を入れるのがスタンダードのようだ。
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↓青菜とともに、どさっと投入。
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最初は消化試合のように考えていたこの後半戦が、また旨かった。大量の犬肉で火照っていた身体に、大量の青菜が吸い込まれるように収まっていく。そして、力強く豊かな犬のダシを吸った干米粉が想像以上の美味で、この後のハシゴ計画も忘れて貪ってしまった。

↓これ、激旨!!
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「やむをえない!旨いものを目の前にして逃す手はない。後のことは考えずに喰おう!」
「そうですね、食べちゃいましょう。乾燥しているからこそのコシが最高ですね!旨い!」

二人で、大興奮。大量の青菜と干米粉は、きっちり僕らの胃袋に収まった。

いやあ、旨かった。なんでもう、こんなに旨い肉がこんな辺境まで来ないと食べられないようになっているんだろうな。人間なんて所詮動物なのに、世の中、舌じゃなくて頭で食べるものを決める人間が多過ぎるってことだな。全く嘆かわしい。

ともあれ、南寧での三連勝を引き継ぎ、玉林犬肉旅行の初戦は見事な大勝利だ。意気揚がる我々は、膨れ上がった腹をさすりつつも、夜の玉林の街へ繰り出したのだった。


<2017年5月> ■店舗情報■



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2017年08月29日

玉林2 - 犬を探せば、猫にも当たる!南橋市場での思わぬ幸運!

玉林1 - 強い気持ち・強い愛!僕らが犬肉を求めて旅に出た理由。」の続きです。

昔に比べて、中国の地方旅行は遥かに便利になっている。交通手段しかり、現地情報収集しかり。中国語さえできれば、事前に現地の食情報を細かく調べることも可能になってきた。

しかし、それはあくまで一般論。広西の辺境の犬肉料理の情報となると、専門店の詳しい場所や地元民の口コミといった、痒いところに手が届くような情報はなかなか見つからなかった。

「でもまあ、玉林では名の通った犬肉料理の専門店があるという交差点は突き止めた」
「では、そこまで歩いていってみましょうか」

玉林旧市街の中心部である人民公園の近くに宿に取った我々は、公園の南を東西に流れる湾江という川に沿い、濱江路という道路を西へ向かって歩いた。

我々の右手には、宿の近くで買った涼茶がある。犬肉は精が強く、食べると身体が火照る。いわゆる「上火」の状態になりやすい。その対策として、あらかじめ涼茶を飲んで、身体の熱を冷ましておこうという狙いだ。

↓涼茶。広州在住時もお馴染みだった『平安堂』。
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↓まずい!もう一杯!
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「これ、むちゃむちゃ苦いですね…!!」
「これはまだ飲みやすい方だよ。それに、慣れると意外にクセになるんだ」

涼茶は初めてだという後輩Gに対して先輩風を吹かせながら、日暮れ時の町を歩く。

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やがて、濱江路と大南路との交差点で、比較的大きな菜市場(生鮮食品市場)を見つけた。あとで調べたところ、南橋市場と言うらしい。日も暮れかけた時間であり、既に市場は閉まっていたが、あたりにはいくつか惣菜の屋台が出ている。

「あの市場には、明日の朝にまた行ってみよう。犬肉を売っているかもしれない」
「これだけ大きな市場なら可能性がありますね」

我々は、そんなことを言いながら屋台に近づいた。屋台には大きな洗面器のような皿が並べられ、中には何やら肉の煮込みが入っている。

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もしかして…と、屋台に張り出された品書きに目を移した我々は、思わず笑い出してしまった。

「狗肉」(犬肉のこと)

ビンゴ!これはまあ、予想通り。しかし、それに並んで書いてあったのは、

「猫肉」

猫もいるんかい!
今回は犬肉を食べる旅だと思っていたのに、猫肉にまで出会えるとは。幸先がいいなあ。

↓並んで書かれた狗肉と猫肉。あとの二つは牛モツとタニシ。どちらも玉林ではよく食べる。
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しかし、これを買っても温める鍋がないし、食べる場所も食器もないぞ…と悩んでいたところ、店の兄ちゃんは気前よく、「ひとつ味見しなよ」と言ってくれた。猫肉は広州駐在時代、スープに入っていたのを食べて以来だ。さて、どんな味だったか。

↓お言葉に甘えて、いただきます!
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意外にも肉付きの良い三枚肉をつまみ、パクリ。

…うーん、肉は結構柔らかいし、別に臭味もないのだが、如何せん味付けが濃過ぎる。続いて、犬肉の煮込みも味見させてもらったが、こちらも味が濃過ぎて、猫肉も犬肉も同じに感じられてしまった。兄ちゃんには悪いが、正直、微妙だ。

だが、こういうとき、猫肉や犬肉そのものがまずいと思ってしまってはいけない。

これはただ、この店の味付けがイマイチなだけなのだ。ネット上では、日本人旅行者がそこらの屋台かなにかで薄い犬肉が数切れのっただけの犬肉ラーメンなんぞをいっぺん食べただけで、「犬肉はくさい」「犬肉は大したことない」などと書いているサイトも散見されるが、それはその人がまずい店でろくでもない犬肉料理を食べたと言うだけの話である。

例えば、魚を食べたことがない外国人が日本に来て、安いチェーン店で安い刺身を食べ、魚の全てを知ったかのような顔で「魚はまずい」などと言っていたらどうだろう。日本人として、何か言いたくなりはしないだろうか。

「ということで、犬肉はもっと旨いから心配するな」
「分かりました。とりあえず、人生初の犬肉と猫肉を同時に食べられて良かったです」

結果から言うと、このあとの旅程では、猫肉を売る店は見つけたものの、猫肉料理を出すレストランは見つけられず、我々の猫肉体験はこれきりになってしまった。だが、今回の旅は犬肉が主目的だったので、悔いはない。美味しい猫肉料理は、将来の課題に残すとしよう。

ともあれ、犬を探して猫に当たった我々は、再び犬肉専門店を目指して、歩みを進めたのだった。


■今日のお店■
玉林市南橋市場近くの屋台


<2017年5月>



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2017年08月28日

玉林1 - 強い気持ち・強い愛!僕らが犬肉を求めて旅に出た理由。

広西旅行篇、再開!
南寧2 - 南寧名物・老友粉の複雑豪快なスープに興奮!ローカル甜品にほっこり!」の続きです。

広西チワン族自治区の首府(≒県庁所在地)・南寧から高速鉄道に乗ること一時間半。僕と後輩は旅の目的地、玉林へ到着した。

玉林市中心部の人口は80万人。日本ならば大都市であるが、中国の場合、ざっくり人口を五分の一にして考えると、日本人の肌感覚に合う。つまり、玉林は人口16万人程度の地方都市だとイメージしてもらえばよい。

玉林駅から市中心部への道路脇には、レンガとコンクリート造りのボロい低層建築が延々と並んでいた。中心部でも、背の高いビルはまばら。典型的な中国の地方都市だ。

↓玉林中心街。
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そんなところに僕らがわざわざやって来た理由は、ただひとつ。

「犬肉料理を食べるため」だ。

もちろん、僕は犬肉を食べたことがないわけではない。と言うか、むしろ犬肉料理が大好きな方で、これまで東北、貴州、広東、海南など中国各地で犬肉を食べてきた。特に犬肉鍋屋が身近にあった広州駐在時代は、連れともども極普通に犬肉を食べており、僕らは「日本一の愛犬家夫妻」(意味が違う)を自称しているくらいだ。

だから、今回の旅の目的を正確に言うなら、「玉林ならではの犬肉料理を食べるため」だ。犬肉をゲテモノ扱いして、興味本位で冷やかしに行ったわけではないことを最初に強調しておきたい。

では、犬肉自体は中国各地で食べられるのに、何故敢えて玉林なのか。これは最近、玉林が有名になり過ぎていることに危機感を覚えたからだ。

毎年6月21日に開催される玉林荔枝狗肉節(玉林ライチ犬肉祭り)のことを、ニュースでご覧になったことがある方も多いと思う。テレビやネットで祭りが広く報道された結果、動物愛護主義者と言う名の独善的差別主義者に目を付けられてしまい、ここ数年、祭りを中止に追い込み、犬食を止めさせようという勢力が大騒ぎしている。

彼らの幼稚な愚かさをここでいちいち指摘する気にはならないが、理不尽なクレーマーの主張も声の大きさとしつこさだけで通ってしまいがちなのが、今の世の中だ。今後、何がどうなるか分からないので、今のうちに食べておくに越したことはない。そう考えたわけだ。

敢えて犬肉祭りの時期を外して訪問したのは、祭り中はアホな活動家が町中に湧いて落ち着いて食事できなさそうだし、下手したら店側から彼らと同類だと勘違いされるリスクすらあると思ったからである。そんな屈辱的な事態だけは避けたい。

本来であれば、旅の同行者はいつもの「連れ」であった。なんせ犬肉を出す店がすっかりなくなった今の上海生活に不満を覚え、「久々に犬を食べたいねえ。ホント、上海はダメな街になったねえ」などと言うやつなのである。

しかし今、僕らは乳児を抱える身だ。さすがにまだ中国の僻地へ家族で旅行できる状況ではない。そもそも僕としては、今回の駐在期間中に玉林へ行くことは難しいと考えていたくらいなのだが、あるとき連れが言った。

「今度、私と子供が一時帰国している間に、誰か後輩を誘って玉林へ行ってくれば?」

へ?なんでまたそんなことを?と聞き返した僕に、連れは言ったものである。

「そりゃ私だって行きたいけど、数年後なんて言ってたら食べられなくなるかもよ。
 どちらか片方でも、今のうちにきちんと食べて、記録に残しておいた方がいいと思う」


我が連れながら、何とまあ、見上げた犬肉愛であろうか。僕は感動した。

「分かった。お言葉に甘えるよ。必ずや、立派なご報告をさせて頂きます!!!」

早速、次の飲み会で後輩たちに声を掛けてみたところ、最終的に同行した一人を除いて、即座に断られた。まあ、普通はそうだよな。その一人にしても、これまで犬肉を食べたことはなく、最初はかなり躊躇していたのだが、それを釣り上げた誘い文句がこれである。

「日本語での料理解説付きで、本場の犬肉料理を食べに行ける機会なんて、
 今回を逃したら一生ないと思うぞ」


別になくていいです、とそっけなく言う他の後輩たちをよそに、彼は言った。

「確かに…!」

愛すべきかな、旺盛なる好奇心。こうして旅の同行者は決まった。ただ「後輩」と呼ぶのも分かりにくいので、今後、彼のことは「後輩G」と書くことにする。犬肉(狗肉=Gourou)を食べる旅の同行者だから、後輩Gだ(←適当)。

…そんなこんなで、僕らは今、玉林の地へ降り立ったわけである。

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もちろん、今夜の夕食は犬肉だ。

「下調べした店が美味しいといいなあ」
「私にとっては初めての犬肉ですからね。期待しています!」

ホテルでチェックインを済ませた僕らは、日が暮れかけた玉林の街へ繰り出したのだった。


<2017年5月>



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2017年08月15日

南寧2 - 南寧名物・老友粉の複雑豪快なスープに興奮!ローカル甜品にほっこり!

南寧1 - 旅の初戦は、数年来の宿願・檸檬鴨!摩訶不思議な美味にうなる!」の続きです。

檸檬鴨を平らげた僕らは、タクシーに乗り、次の目的地へ向かった。南寧を去る前に、もうひとつ食べておかねばならぬものがある

それは、南寧名物の老友粉だ。発祥は、1930年頃。茶館の主人が体調を崩した「老友(=古い友人)」のために考え出した「粉(=ライスヌードル。米粉の略)」だというのが、名前の由来だと言われている。

煮粉(汁あり)と干捞(汁なし)の二種類があり、六年前の南寧出張では干捞(汁なし)を食べ(→当時の記事)、四年前に広西南部の北海に出張したときは煮粉(汁あり)を食べた(→当時の記事)。だが、今回改めて老友粉について調べたところ、スタンダードは煮粉(汁あり)の方らしい。ならば、老友粉の本場である南寧で、汁ありの老友粉を食べてみたくなるのが人情というものではないか。

老友粉の老舗はいくつかあるが、今回訪ねたのは七星路の『舒记老友粉』だ。このあたりは南寧の旧市街で、下町のような雰囲気が残っている。

↓『舒记老友粉』。
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お目当ての老友粉は、具を選べた。猪肉(豚肉)、猪雑(豚モツ)、牛肉、牛雑(牛モツ)などから、猪雑(豚モツ)を選んでみた。1杯9元だ。

↓品書き。
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最初に食券を買って、カウンターで料理を受け取る形式で、カウンターからは厨房の様子がしっかりと観察できた。これがなかなか面白かった。

米粉(ライスヌードル)は生の切粉(河粉)が使われていた。米の液を薄い板のように蒸し上げたものを、包丁で数cmほどの幅に切ってある。要は、ベトナムのフォーと同じものだ。

↓切粉(河粉)。
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厨房のおばちゃんは中華鍋をを熱すると、まずは生姜、大蒜、唐辛子、豆豉を投じて香りを出し、続いて下味がついた豚肉や豚モツをドサッと加えた。火勢は、火柱が立ち昇るほどの強火だ。

↓ジャワー!!と威勢の良い音が響く。豪快!
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少しして酸筍(発酵タケノコ)を入れると、独特の発酵臭があたりに漂い始める。うひょー、もう旨そう。で、酸筍に火が回ったら、隣の鍋から大きなお玉でスープをすくい、中華鍋に注ぎ込む。そのスープが沸いたら切粉(河粉)を投入し、切粉(河粉)が温まれば出来上がり!というわけだ。

要は一碗一碗、具を炒めて、スープを足して、米粉を茹でるという作業を繰り返すのだから、おばちゃんは忙しそう。ずっと火の前に立ち続けているので、汗だくになっている。

↓スープを注ぐところ。
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↓できたて熱々!
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カウンターの横には、小口切りの葱と唐辛子の漬物がどさっと置かれている。それを適当にぱらぱらっとかけて、さあいただきます!

↓トッピングをかけて・・・
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↓いただきます!旨そう!
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まず、スープをすすった。・・・ウホ、うまい!!

酸筍の発酵臭と唐辛子の辛味とスープやモツのコクが渾然一体となっていて、なんとも深みのある味なのだ。クセのある面々を掛け算するような組み合わせなので、ともすれば下世話になってしまいそうなのに、見事にバランスが取れている。嬉しいことに、ローカル店には付き物の化学調味料を感じない。食材の旨味だけだからこそ、過剰さがないのだ。

そのスープに、つるりとした切粉がよく合う。たっぷり入った豚モツも、全く臭みがなく、実に美味しかった。揚げた豚の皮、レバー、腸など、色々な味が楽しめるのもいい。

↓切粉がおいしい。
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↓モツもおいしい。
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「美味しい!これがたったの9元とは!」
「だな!当たりだよ、これは!」

ここにしかない味に、我々は興奮した。檸檬鴨ですっかり膨らんでいたはずの腹にも、この老友粉はするりと収まった。

「ローカル店で食べる安い小吃がとても旨い」という体験は、大都会の上海では滅多に味わえなくなってしまったが、地方ではまだまだイケるのだな。これこそが、旅をする意義であり、醍醐味だ。

「ちょいとデザートでも喰うか」

上機嫌で店をあとにした僕は、後輩に声を掛けた。さっきタクシーで店に乗りつけた際、近くに気になる店を見つけていたのだ。

どうです、この店構え。看板には、『老牌甜品涼茶』と大書されている。

↓『老牌甜品涼茶』。
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かつては両広と呼ばれ、広東省と共通した文化的背景を持つ広西チワン族自治区には、甜品(中華スイーツ)や涼茶(漢方茶)の専門店があちこちにある。この店も、広州の下町にあったローカル店と雰囲気がそっくりで、広州に住んでいた僕としては、郷愁をそそられたのである。

カウンターの上に書かれた品書きを見ると、これまた安い!どれも5元前後だ。

↓さて、何を頼もうか。
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この日の南寧は、5月初旬だと言うのになんせ暑かったので、身体を冷やす効果のある甜品を二つ選んだ。広東・広西の甜品は、漢方思想とは切っても切り離せない関係にある。

ひとつは、黒涼粉(仙草ゼリー)だ。広西は仙草の産地だからか、たったの5元の割には、仙草特有の苦味と香りが濃厚だ。仙草には身体を冷やす効果があると言われているが、そうでなくとも、つるりとした舌触りが涼を呼ぶ。

↓旨いぜ、黒涼粉!
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もう一つは、清補涼。乾燥した棗、クコ、緑豆、小豆、ハトムギ、山芋、蓮の実、百合根などをコトコト煮て、氷砂糖で甘味をつけた「糖水」の一種だ。これまたたったの6.5元なのに、随分と色々なものがたっぷり入っている。

↓清補涼も豪華だ。
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どちらも甘さが控えめところが、いい。また、涼を得るためのものなのに、常温で供されるのがミソ。直接的な冷たさではなく、あくまで食材が持つ効能で涼を得るのが中国南方スタイルなのだ。

「これも美味しいものですねえ」
「ホッとする味だよな。懐かしいよ」

↓日本の真夏並みの暑さだが、木陰で甜品をすすっていると、涼しさを感じてくる。
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すっかり満足した僕らは、タクシーで玉林行きの高速鉄道が出る南寧東駅へ向かった。南寧での三連戦は、見事、三連勝。この流れを、果たして本番の玉林でも維持できるのか。

玉林篇は、少し中休みを頂いて、月末頃に再開します!


■店舗情報■
『舒记老友粉(七星路店)』

『老牌甜品涼茶』
住所:南环路x七星路の交差点

<2017年5月>



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2017年08月14日

南寧1 - 旅の初戦は、数年来の宿願・檸檬鴨!摩訶不思議な美味にうなる!

今日からしばらくの間、久々の国内旅行巨編をお送りする。テーマは、二泊三日で訪ねた広西チワン族自治区の玉林。家族が一時帰国していた五月初旬、後輩を誘って男二人の気軽な食べ歩き旅行を決行したのだ。

四時起きで浦東空港へ向かった。景気付けの常温青島ビールが、旅気分を盛り上げる。幸い、飛行機は定刻通りに飛んだ。この日は中国初の国産旅客機C919の離陸試験が実施された日で、九時以降の便は全てグチャグチャになったらしいから、朝一の便にしといて本当に良かった。

↓行くぜ、広西!
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旅の主目的はおいおい書くとして、今日のところは、経由地の南寧で食べた料理について書く。僕らは上海からまず南寧へ飛び、市内で昼食を取ってから、高速鉄道で玉林へ向かった。南寧は広西チワン族自治区の首府(≒県庁所在地)だ。当然、広西ならではの旨いものがある。

僕のお目当ては、南寧名物の檸檬鴨だった。数年前、出張で食べた美味が忘れられず、今度こそちゃんとした専門店で食べてみたいと思っていたのだ。(→南寧出張の顛末

南寧空港からタクシーで乗り付けたのは、『甘家界牌柠檬鸭』だ。檸檬鴨の専門店としては一、二を争う有名店で、市内に何店舗か展開している。今回訪ねたのは、旧市街に程近い新陽店だ。

↓『甘家界牌柠檬鸭』。
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まずは地ビールの漓泉啤酒で乾杯。水ビールではあるが、五月なのに夏のように暑い広西では、この軽さが悪くない。

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メインの檸檬鴨の前に、いくつか広西料理を頼んだ。

トップバッターの賓陽酸粉は、南寧市賓陽県の名物小吃だ。ひとことで言うなら和えライスヌードルなのだが、これがとても旨かった。

↓賓陽酸粉。
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供された碗には、一旦木綿のように薄くピラピラに蒸し上げられ、常温に冷まされたライスヌードルが折りたたまれて盛られている。

酸粉(酸っぱいライスヌードル)という名前の通り、タレのベースは米酢。更に砂糖、塩、各種漢方を煮詰めた鹵水を調合したものだ。

そして具は、豚チャーシュー・紫蘇・香菜・胡瓜・赤玉葱・ピーナツなど。広西料理は紫蘇(と言っても、香りはエゴマに近い)を多用することを思い出した。

↓びろーん。
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酢の酸味が効いた、爽やかなタレがとてもいい。そのタレがよくからんだピラピラのライスヌードルを様々な具と共にガバッと頬張ると、軽やかな協奏曲が口の中で流れ始める。一見、主食に見えて、実に理想的な開胃菜(アペタイザー)だ。

「これは面白いものだな!」
「うまいですね!初めて食べました!」

二品目の野山椒炒鴨雑は、アヒルのモツ(主にハツ)を二種類の酸辣椒(発酵唐辛子)、酸筍(発酵タケノコ)、大蒜で炒めたものだ。プリプリで旨味の塊のようなモツに発酵の旨味と唐辛子の辛味が加わるのだから、これはもう旨いに決まっている。ビールがどんどん水位を下げていく。

↓野山椒炒鴨雑。
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野菜補給の一品は、干椒酸筍紅薯葉。サツマイモのつるを干し唐辛子と酸筍で炒めたものだ。広西料理にはやはり酸筍が欠かせない。独特の発酵臭が、アクの強い旨味を持つサツマイモのつるによく合う。

↓干椒酸筍紅薯葉
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そして、満を持して檸檬鴨の登場だ。直訳すればレモンアヒルだが、アヒルのぶつ切りをレモンで炒めました…などという単純な料理ではない。

↓檸檬鴨。二人なので小サイズを頼んだが、それでもこの迫力!テンション上がるぜ。
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早速、アヒルのぶつ切りを頬張る。歯応えの良い肉を噛んでいると、何やら複雑なコクと爽やかな酸味とじんわりした辛味が口の中に広がってくる。

旨い。他の地域の料理にはない、複雑な旨さだ。コクにしても、酸味にしても、ちょっと食べただけではそれらが何に由来しているのか、さっぱり見当がつかない。だが、それがいい。いやあ、これだよこれ。こういう摩訶不思議な旨さを求めて、僕らは遠路はるばる広西まで来たのだ。

「複雑で、変わった味ですけど、妙に美味しいですね!」
「だな。檸檬の酸味だけでなく、発酵の酸味も感じる。本当に複雑な味だな」

↓少しズームアップ。一体、どうやって作っているんだろう。
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最近は、自分でもそこそこ中華を作るようになったので、レストランで食べた料理をどうやったら再現できるかという視点が以前より強くなっているんだけど、こればっかりは完全にお手上げだ。あとで作り方を調べてみたところ、案の定、「こんなの喰っただけじゃ分かるわけないや」というくらい複雑だった。

味の決め手は、酸檸檬黄皮醤。酸檸檬とは、ライムに似た青檸檬という柑橘を三年以上(!)塩漬けしたものだそうだ。そして黄皮醤は、黄皮果(ワンピ)という黄色い葡萄のような果物と白腐乳ともち米酒と芝麻醤(胡麻ペースト)、黄豆醤(味噌)、酢、砂糖、大蒜、醤油を合わせてペースト状にしたものらしい。

で、アヒルをぶつ切りにしたら、まずは細切り生姜、大蒜、酸辣椒(発酵唐辛子)、砂糖で和えて、下味をつける。次に、中華鍋に少しの湯を沸かし、下味を付けたアヒルを入れたら蓋をして、蒸し煮にする。鍋の水気がなくなったら、たっぷりの油、調理酒、胡椒を加えて、しばらく炒める。

アヒルの水気がなくなったら黄皮醤を加え、引き続き炒める。アヒルに火が通ったら酸檸檬を加え、ざっと炒め合わせて出来上がり。酸檸檬は炒めると苦味が出るので、最後に加えるのだそうだ。

作り方は分かったが、再現する気はまるで起きない。だって、「三年以上塩漬けした青檸檬」の時点でハードルが高すぎるよ(笑)。でも、これこそが「現地まで足を運んで食べる価値のある料理」というものだろう。広西の発酵食文化が結実したと言ってもいい一皿に、僕らは感動した。

「どの料理も美味しかったですね!」
「初戦から幸先がいいな!」

やはり、地方の料理を食べ歩く旅は楽しい。理想的なスタートを切り、我々の意気は大いに上がった。


<2017年5月> ■店舗情報■



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2016年09月01日

防城出張2 - これぞ食で学ぶ地理歴史!特産の生牡蠣とベトナムルーツの京族米粉!

昨日に続いて、広西チワン族自治区の防城出張での昼食について書く。泥丁湯(サメハダホシムシスープ)で最高のスタートを切った昼食は、その後も更なる盛り上がりを見せた。

サメハダホシムシを嬉々として平らげる僕らの様子を見て、恐らく取引先のお偉いさんは更に気を良くしたのだろう。最初はお茶しか出てこなかったのに、「海鮮を食べるときはビールを飲んだ方が身体に良いです」などと謎の理屈を持ち出してきて、ビールでの乾杯合戦が始まった。

そこで敢えて常温のビールを指定するところは、さすが広西人。広東もそうだが、南方の人ほど冷えたビールを避ける傾向がある。身体を冷やし過ぎるのは良くないそうだ。その理屈は何年も前から聞いているが、そこだけは馴染めないので、僕と同行者は冷えたビールを所望した。

その間にも食卓には、広西ならでは、防城ならではの料理が次々と運ばれてきた。

まずは、辣炒花甲。アサリを平べったくしたような二枚貝で、殻に綺麗な文様がある。海南島で芒果螺(マンゴー貝)と呼ばれていたものに似ている気がするが、確証はない。ともあれ、肉厚で旨味があり、ビールのお供には最高だ。

↓辣炒花甲。
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↓生前の姿。
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お次は、小魚のスープ仕立て。泥猛鱼仔汤と言っていた気がするが、自信がない。それが正しければ、アイゴのこと。鰭に毒があるとも言っていたので、たぶん合ってる。ともあれ、このあたりでよく獲れるそうだ。クセのない白身で、普通に美味しい。

↓泥猛鱼仔汤。
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↓恐らくこの魚。
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そして、蚝蛎煎蛋。このあたりは牡蠣の養殖も盛んだそうで、小ぶりの牡蠣(蚝蛎)をたっぷり入れた卵焼きである。福建の海蛎煎や台湾のオアジェンと違ってさつま芋の粉は入れないので、ぶわぶわした感じはなく、あくまでかっちりした卵焼き風だ。見たまんまの美味しさ。

↓蚝蛎煎蛋。
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お偉いさんは、「日本人ならご存知でしょうが、牡蠣は生食も美味しいんですよ。防城の牡蠣は日本のものにも負けませんよ」と、生蚝(生牡蠣)も頼んでくれた。なるほど、こちらは大ぶりで立派だ。

↓ドサッと生蚝。
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↓こんな感じで供された。
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日本から来た同行者は、生の牡蠣を見て「だ、大丈夫なんですか・・・」とドン引きしていたが、先方の好意を無下にはできない。そもそも牡蠣に当たる当たらないは鮮度とは関係がなく、その牡蠣にノロウイルスがいるかいないかだったはずだ。要は運次第なのだから、目の前の旨そうな牡蠣を見逃す理由にはなりえない。

せっかくなので一番大きなのを頂いて、ガブリ。お、確かに味が濃くて、良い牡蠣だ。しかも、この土地ならではの薬味が実にいい感じ。砕いたピーナツに、刻んだ香菜、唐辛子、玉ねぎの酢漬けらしきものがかかっていて、その食感と風味が牡蠣の味を上手く引き立てている。これは真似したくなる組み合わせだぞ。

結局、最後まで手を伸ばすのを躊躇した同行者の分も含めて、4つの牡蠣を頂いた。食後、二週間が経過した今も何事もないから、今回の運勝負には勝利を収めたようだ。喰っておいて良かった(笑)。

海鮮以外の料理も、あれこれ出た。まず、咸鹅。ガチョウの塩漬けだ。味の濃いガチョウの肉にしっかり塩が効いていて、なかなか美味しい。

↓咸鹅。
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「そのまま食べてもいいですが、これを浸けても旨いですよ」と、取引先の若者が教えてくれた。それは、刻んだ生唐辛子と大蒜を醤油に入れたもの。広西や海南島の食卓ではよく見かける調料(タレ)だ。彼らはガチョウに限らず、色々なものにこれを浸けていた。生唐辛子の鮮烈な辛さと大蒜の香りが良いアクセントで、確かに癖になる。

↓定番の調味料。
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そして、腊肉炒竹笋。中国ベーコンとタケノコの炒め物だ。冒頭の貝の炒め物もそうだが、さりげなくトマトが入っているのが面白い。

↓腊肉炒竹笋。
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恐らくこのタケノコは、方竹笋。日本では四方竹と呼ばれているもので、細長いのが特徴だ。旨みたっぷりのベーコンと食感が小気味よいタケノコ。定番料理だが、これまた美味しい。

↓下の写真の右端のやつ。
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次は何だったかな。青菜の上湯仕立て(上湯○○)だったのだが、青菜の名前は忘れてしまったぞ。なんせこの頃にはビールの乾杯合戦がかなりの盛り上がりを見せていたのだ。写真が残っているだけでも重畳(笑)。

↓上湯なんとか。
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〆は、海鮮炒米粉。ライスヌードルの海鮮炒めだ。有名な桂林米粉を持ち出すまでもなく、広西は米粉のメッカ。それだけに、地域ごとに様々な米粉があるそうだ。「これは京族米粉と言って、普通の米粉と違って平べったくて、コシがあるんです」とお偉いさん。

↓海鮮炒米粉。京族米粉が用いられている。
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そのときは京族が何かもよく分かっておらず、「へー、美味しいですね。確かにコシがある」なんて流したのだが、調べてみたらこれが面白かった。

京族(ジン族)は中国の少数民族のひとつで、人口はわずか25,000人程度。しかし、実はベトナム人の85%を占めるキン族と根は同じ。要は、中国国内に住んでいるキン族が京族(ジン族)と呼ばれていて、ベトナムと中国が混じり合った言葉と文化を持つのだそうだ。

京族米粉の作り方を調べたところ、石臼で挽いた米の汁を開いた雨傘のような形に蒸し上げ、天日干しにし、平らにならしたあと細い麺状に切り、更にそれを束ねて天日干しにし、完全に乾かすのだそうだ。干す工程が加わることで、独特のコシが生まれるのだな。

中国語サイトによると、この京族米粉、ベトナム語では「Bun Người Việt」と言うそうだ。しかし、それをググッても全くヒットしないので、正しいのかどうか分からない。そもそも、切り口が丸いライスヌードルをBunと呼ぶと思っていたが、例外もあるのかな。ベトナム料理に詳しい人がいたら、教えてください。

しかしまあ、辺鄙なところまで来ると、それなりに発見があるものだな。すぐそこがベトナムという土地柄だけに、何かしらの影響はあると思ってはいたが、実に面白い米粉に出会えた。うん、やっぱりこれが出張の醍醐味だな(←違う)。

ともあれ、昼からのビール乾杯合戦は盛況を極め、すっかり満腹になった。午後の視察を終えた後は、お偉いさんのオフィスでご自慢のプーアル茶を手ずから淹れてもらい、最後は堅く握手をして、防城を後にした。

出発前の冴えない予想とは裏腹に、わずか1日の滞在でも大きな収穫を得られたぞ。こういう出会いがあると、長時間移動の疲れも吹き飛ぶというものだ。


<2016年4月>



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2016年08月31日

防城出張1 - 辺境の港町で飲んだ泥丁湯は、サメハダホシムシスープだった!

中国のほぼ最南端・広西チワン族自治区の防城へ初めて出張。食文化に地場の少数民族やベトナムの影響を受けているに違いない土地柄だけに、本来なら血湧き肉踊るところだが、今回はスケジュールがひどすぎたので、萎えた気持ちで現地へ飛んだ。

だって、初日は23時にホテル着。翌日は朝8時から会議や現地視察の連続で、16時には防城を発たねばならないのだ。しかも、唯一のチャンスと言っていい昼食は、現地の取引先と一緒。これじゃあやる気も出ない。

↓ホテルの窓から。辺境の田舎町だ。
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↓防城の海。やはりなんとなく雰囲気がベトナムに似てる。
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その日の朝、せめてもの慰みとしてホテルで米粉をすすったものの、上海で食べても同じような平凡な味わいで、僕はひとりため息をついた。

↓米粉。ヤケクソで煎蛋(目玉焼き)ものせてもらった。
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↓同じくヤケクソで牛腩(牛バラ煮込み)や椎茸も入れてもらった。
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ところが、食の神は僕を見捨てていなかった。午前中の会議は予想以上に順調に進み、取引先の若者がくつろいだ様子で聞いてきたのだ。

「昼食は、このあたりの料理でよいですか?田舎なので綺麗な店ではありませんが」

キタキタキタ、この流れ!ここは、こちらの熱意をアピールしておかねば。

「もちろん!地元の料理こそが、僕が最も食べたいものです!!!」

すると、僕の横でその言葉を聞いていた取引先のお偉いさんの眉がピクリと動いた。あとで色々話して分かったことだが、この人も食べることに並々ならぬ情熱がある人で、どうやら僕の言葉を聞いて「もてなしのスイッチ」が入ったようなのである。

五人で円卓を囲み、お偉いさんがささっと注文を済ませた。「豪華な料理」ではなく「地元の料理」が食べたいという意図はしっかり伝わったようだ。なんせ、最初に出てきた料理がこれである。一見、ただのスープだが、うっすら浮いて見えるのは大量のホシムシだ。

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普通の日本人ならギョッとするところかもしれないが、こちとらそんなにやわではない。むしろ目を輝かせて、「これは沙虫(スジホシムシ)ですか?」と、広東や広西でよく食されるホシムシの名前を挙げた。お偉いさんが微笑んで言うには、「ほう、よく知っていますね。でも、少し違います」。

お偉いさんによると、これは沙虫ではなく、泥丁。見た目も味も非常に似ているが、沙虫とは別物だそうだ。食後、調理前の状態を見に行ったところ、なるほど、確かに沙虫より小さい。そして、色が黒ずんでいる。何も知らなければ、鮮度が悪い沙虫と思ってしまうところだったが、泥丁はこれが普通の状態なのだそうだ。

↓生前の泥丁。
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・・・と、そのときは「へー」と思っただけだったのだが、帰ってきて調べたところ、びっくり。なんと泥丁の正式名称は可口革囊星虫。いわゆるサメハダホシムシのことだったのだ!!

「なんと」とか「だったのだ!!」とか書いてもこの驚きが分かってもらえている気がまるでしないので補足しておくと、サメハダホシムシは僕の大好物であるアモイ名物の小吃・土笋冻に用いられるホシムシで、これまで何度も食べたことがあったのである。

<土笋冻への愛の遍歴>
アモイ12 - 好き好き大好き!土筍凍!!
アモイ再訪1 - 稲妻の如き本日の昼食。
アモイ再訪4 - アモイ人イチオシの沙茶面でまとまる商談!?
懐かしのアモイ2 - 我が最愛の土筍凍!スジホシムシじゃなくてサメハダホシムシ!

今思えば、スジホシムシでない時点でサメハダホシムシである可能性に思い当たるべきだったが、不覚なことに、僕はこれまで生きた状態のサメハダホシムシを見たことがなかったのだ。土笋冻を食べるときは、もう細かく切り刻まれてるからね。。いやあ、勉強になった。これこそが出張の意義だな(←違う)。

さて、肝心のお味だが、とても良い。味付けは本当にシンプルな塩味で、たっぷり入った泥丁のダシが味の決め手だ。内臓を抜いただけで丸ごと入った泥丁を、数匹まとめて口に放り込む。ホッキガイのような食感で、上品な旨味。見た目とは大違いの美味なのだ。

↓あらためて、料理の写真。泥丁汤(サメハダホシムシスープ)だ。
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↓おいしいのですよ。
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今回の出張には、同行者がいた。いつもの同行者と違って、中国に来ることすらほぼ初めての若い女性だ。その女性に向かって、お偉いさんが柔らかな微笑を浮かべて言った。

「泥丁には鉄分が豊富に含まれていますから、女性に良いのですよ。是非どうぞ」

それを通訳して伝えると、同行者はドン引きした顔に強張った笑みを浮かべた。彼女は救いを求めるかのように僕を見たが、相手が悪い。なんせ僕である。僕もお偉いさんと同じような微笑みを浮かべ、彼女の眼を見て無言でうなずいた。

そもそも彼女は、食事時間からテンションが急上昇し、初対面のお偉いさんといきなり打ち解けて、奇妙な料理を嬉々としてほおばる僕を変な生き物を見るような目で見ていたのだが、ことここに至って、自分の周りにはひとりも味方がいないことに気付いたようだ。

周囲(僕含む)の強い期待に溢れた視線を受けて観念したのか、彼女はやがて恐る恐る泥丁に箸を伸ばし、えいっと一気に口の中に放り込んだ。不安そうな顔で歯を噛み合わせる。そして・・・・

「あれ、目をつむって食べたら、意外に美味しいですね!」

その言葉に、場の全員が笑顔になった。そうだろうそうだろう、ものの本質は見た目などにはないのだ。よかったよかった、せっかく防城くんだりまで出張して、ホシムシも喰わずに日本に帰らせたら僕の沽券に関わるからな。

ということで、宴席の序盤は上々の出足。ずいぶんと長くなったので、他の料理は次回で!


<2016年4月>



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