発酵食品

2017年07月20日

中華なお取り寄せ6「酸鴨」 - 広西トン族の伝統発酵食!アヒルの塩漬け肉で昇天!

中国ならではの食材を通販で取り寄せて楽しむ、「中華なお取り寄せ」コーナー。
第六回の今日は、日本では絶対食べられないであろう珍味が登場する。

それは、広西チワン族自治区や貴州省に住む侗族(トン族)の伝統食品・酸鴨だ。
アヒルを一羽まるごと塩漬けにして発酵させた保存食品である。

侗族は俗に「侗不離酸(侗族は発酵食品なしでは生きられない)」と言われるほど、
豊かな発酵食文化を持っている。

その中でも特に有名な三種の発酵食品は「三酸」と呼ばれ、酸鴨もその一つだ。
他の二つは、豚肉を発酵させた酸肉と淡水魚を発酵させた酸魚である。

僕はかつて広西北西部のトン族の村・三江を旅したときに「三酸」を食したことがあり、
特に酸鴨の美味がずっと忘れられず、今回の注文に至った。
辺境の美味がスマホをいじるだけで届くようになったのだから、便利なものだ。
(→三江で食べた三酸については、こちら

で、これが三江からはるばる届いた酸鴨。
半身で、送料込みで、40元。タダみたいな値段である。

↓真空パックで送られてくる。
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↓半身。
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酸鴨の材料は、アヒル、塩、唐辛子、もち米
下処理したアヒルにその他の材料をすり込み、大きな甕の中に入れて密封する。
熟れ寿司のアヒル版と思えばいい。

やがてアヒルの肉は乳酸発酵し、独特の酸味を生じる。
これが、酸鴨の名前の由来だ。

熟成期間は最低でも十ヶ月。今回買ったのは、一年もの。
長いものだと、五年もの、十年もの、三十年ものなんてのまであるらしい。いつか食べてみたい。

でも、とりあえずは目の前の酸鴨を食べよう。
侗族は生のままでも食べるそうなので、興味のある人は自己責任でお試しあれ。
それはちょっとという人向けに、今日はかつて現地でも食べた、最もポピュラーな食べ方を紹介しよう。

<材料>
・酸鴨
・トマト、ピーマン

<手順>
1)酸鴨・トマト・ピーマンをひと口大に切る。酸鴨は骨ごとぶつ切りにする。
2)中華鍋を小〜中火で熱し、少量の油をしき、酸鴨を炒める。
3)酸鴨の表面が色付き、中まで熱くなったら、トマトとピーマンを加える。
4)全体を炒め合わせ、トマトとピーマンに火が通ったら、出来上がり。


↓酸鴨以外の食材は、トマトとピーマン。
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酸鴨自体が旨味のカタマリなので、大した手はかけない。
味付けも一切いらない。塩気も酸味も、必要なものは全て酸鴨から出てくる。

↓イメージ図(かつて三江で食べたもの)。
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さあ、作ろう。

1)酸鴨・トマト・ピーマンをひと口大に切る。酸鴨は骨ごとぶつ切りにする。

↓ぶつ切り。
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↓ひと口大に切る。
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2)中華鍋を小〜中火で熱し、少量の油をしき、酸鴨を炒める。

↓強火だと焦げるので、小〜中火で。
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↓だんだんと酸味と辛味が混じった香りが立ち昇ってきて、食欲を刺激する。
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3)酸鴨の表面が色付き、中まで熱くなったら、トマトとピーマンを加える。

↓じゃじゃーっと加える。
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4)全体を炒め合わせ、トマトとピーマンに火が通ったら、出来上がり。

↓酸鴨の旨味を全体に回すようなイメージで炒める。
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よし、できた!
調理自体は簡単極まりないが、どうだ、この旨そうな見た目!こりゃ間違いない!

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言うまでもなく、これは完全に酒のつまみなので、どうせなら広西の酒を合わせたい。
別途広西から取り寄せておいた米酒(50度の米焼酎)を、生(き)で舐めることにした。

お供の野菜も、広西料理で。
桂林産の腐乳を水で溶き、小白菜を炒めた後に絡め合わせた腐乳炒小白菜だ。

↓広西の食卓をおうちで再現!手前味噌ながら、すごくテンションが上がる!
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「旨そう!いただきます!」
「三江で食べたものと、全く同じ見た目だね!いただきます!」

今回買った酸鴨は、添加物を一切使わず、伝統製法で作られたものだ。
熟成期間もしっかり一年かけた、本物の本物である。
僕はそれに少しだけ手を加えたに過ぎない。

何が言いたいかと言うと、「だから、むちゃむちゃ旨い!」
見た目だけでなく、味もかつて三江で食べたものと全く同じだ!

鼻をつくような酸っぱい匂いを楽しみつつ、酸鴨のカタマリを口に入れる。
大量の塩で熟成した肉は、ぎゅっと締まって、しっかり硬い。
それをグッと噛むと、最初は強い酸味と辛味と塩気を感じるが、その奥から凄い旨味が広がってくる。

その旨味を口の中一杯に広げるように、何度も噛む。
すると、旨味の土台がどんどん堅固になり、その上で酸味や辛味がバランスを取って踊り始める。

歯を噛み合せながら、目をつむり、その踊りをしばし楽しむ。
やがて、踊り手たちが喉の奥に消えていったところで、舌に残った塩気をいなすように、米酒を舐める。
アルコール度は強くとも滑らかな甘味のある米酒が舌をいたわり、「さあもう一つ」と次を促す。

「うわあ、これは旨いな。取り寄せてみて良かった!」
「発酵食品万歳だね!」

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酸鴨の描写に力が入り過ぎたが、この料理の陰の主役は、トマトとピーマンだ。
何年も貯蔵できるほどの発酵食品だから、酸鴨の塩気は相当に強い。
単体で食べたら、あまりにしょっぱ過ぎて、きっと何切れかしか食べられないだろう。

ところが、そこにトマトやピーマンの水気が加わることで、酸鴨の塩気が程よく薄められる。
また、酸鴨から出た塩気や旨味がトマトやピーマンにからむことで、それらもまたご馳走になるのだ。

「よくできているねえ」
「ホント、侗族の知恵だねえ」

食べながら首を縦に振ってうなずき、我々はしみじみと感心したのだった。

いやあ、これは我ながら良い企画だったな。
となると、次は酸肉や酸魚も試してみたくなる。

中華なお取り寄せ、盛り上がってきたぞ!(僕の中で)


■今日のお取り寄せ■
『三江县土特产旗靓店』で、購入。
*現時点では取り扱いがなくなっている。。

■備忘録■
酸鴨の食べ方
<材料>
・酸鴨
・トマト、ピーマン
<手順>
1)酸鴨・トマト・ピーマンをひと口大に切る。酸鴨は骨ごとぶつ切りにする。
2)中華鍋を小〜中火で熱し、少量の油をしき、酸鴨を炒める。
3)酸鴨の表面が色付き、中まで熱くなったら、トマトとピーマンを加える。
4)全体を炒め合わせ、トマトとピーマンに火が通ったら、出来上がり。

<2017年6月>



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酒徒 at 12:00|PermalinkComments(0)clip!