August 2006

August 28, 2006

ファンタスティック・フォー

ティム・ストーリー監督

宇宙嵐の研究のために旅立った4人が遭遇してしまった事故。それにより、多種多様の超能力を持ってしまう。……しかしその能力を得たのは彼らだけではなく……という話。

能天気な展開でしたが、楽しかったです。

……いや本当に能天気で、最近のアメコミ原作モノが「正義とは? 悪とは?」「自分って、なに?」「進む道はこれでいいのか?」と悩んでいるのとは対象的。

もちろん悩んではいる(ひとり除く)んですけど、でもみんな「治ると思っている」
そして最終的には「治らない自分も、まあ、いいじゃん」と自信をもって前向きに進む。

なんという自己肯定。そして勧善懲悪。……よく考えると、ミッションに参加した仲間内のいざこざって気もしますが、ま、それはそれ。

あれこれ壊しても、なお清々しい映画でした。


chikachan112 at 22:36|Permalinkclip!映画 |   【は行】

August 26, 2006

最後の恋のはじめ方

アンディ・テナント監督

ヒッチはデート・ドクター(恋愛コンサルタント)。女性の気持ちをうまくつかめぬ失敗続きのモテない男たちのために、アドバイスを行っている。今回の仕事はセレブお嬢様に惚れた会計士のアルバート。不器用なアルバートだが、彼女への恋心は本物だ。様々に協力するが、もちろんヒッチは黒子なので正体がばれてはいけない。ところがヒッチ個人がバーで惹かれデートにこぎつけた女性は、ゴシップ誌の記者をしていて……。

楽しいし、爽やかだし、ほろりとくるし、なかなか拾い物の映画でした。
外さないデート映画、です!

カップルの恋模様にそれぞれの仕事がバッドな影響を与え、
まんまと正体がばれて破局して、
でもそれによって一番大事なものはなにか知らされることになって……と、
さんざん描き尽くされてきた予想できる展開ではあるんですよ。
恋愛コメディをあまり観ないわたしでも、
「恋は邪魔者」とか「10日間で男を上手にフル方法」とか、タイトル浮かんでくるくらいだから。

でもいくらパターンでも、キャラや素材やエピソードでこんなに面白くなるんだと改めて思いました。

主人公ヒッチ(ウィル・スミス)もラテン美女のサラもノリがよくていい感じだけど、
アルバートをやってたケヴィン・ジェームスって人が実に可愛い。あの体格であのダンスはお見事!
バーでのナンパ術とか移民台帳のオチとかバッファローとか帆立貝アレルギーとか、エピソードも軽快でひねりが効いてました。

原題は主人公の名前「HITCH」なのだけど、
それに「最後の恋のはじめ方」という邦題を乗せたのもうまいなあ。

昔、ユーミンの歌で
「男は最初の恋人になりたがり、女は最後の愛人でいたい」とかいうのがあったけど、
今、「最後の」を望むのは男性の方……なのかな?

chikachan112 at 22:31|Permalinkclip!

August 25, 2006

これぞバーゲンの醍醐味?

ハンズメッセに行ってきたのですね。
あ、東急ハンズのやってる半期に一度(年一度?)のバーゲンのことです。

軽い携帯傘を買うのが主たる目的。

ほかに掘り出し物はないかなあと周囲を見回し、
そういえば、うちはトートバックに防災グッズを入れてるけど、
リュックかウエストポーチの方がいいんだよねえ、安いのがないかなあ
と、そばの鞄売り場に出向き、
「FIRE FIRST」のポーチを候補のひとつとして手に持ったまま、隣のワゴンでより便利そうなものがないか物色してたところ、

おばさんに腕をつかまれた。

え?

ええ? なんで?

まさか万引きしたとか思ってないよね?

戸惑う私におばさん(50代くらい)は、
「それっ! どこにおいてあったのっ?」

唾も飛ばそうかというほどの、たいした勢いでした。

教えると、ひとことだけどちゃんとお礼も言われたし、変な人じゃあまったくないのだけど、
……聞くのか。……いきなり聞くのか。

なんか毒気を抜かれた気分になり、さっさと撤退しました。

まあ、よく考えてみれば聞いたほうが早いだろうけどね。

chikachan112 at 23:47|Permalinkclip! 

August 24, 2006

ノロイ

白石晃士監督

怪奇実話作家の家で火災が発生し、妻が焼死したが、本人は行方不明だ。彼の作ったドキュメンタリービデオ「ノロイ」が事件に関わっているらしい。そこには謎の女や、超能力少女や、アルミ箔男性や、心霊スポット取材などの映像が残っていた。

……という擬似ドキュメンタリー手法で、いかにもそれが事実であるかごとくに展開していく映画ですが。

いかにも事実……という狙いを持って進んでいく「遺されたビデオ」という手法が、
いかにも作り物、と感じさせてしまうのですね。
もはや2005年(昨年公開)では。

この手法は、最初に見た時には、「いかにも事実」に見えるのだと思います。
最初に思いついた人は偉いと思います。

でも、矢追純一ものとか、本当にあった……などというあおり文句の各種心霊・UMA他の特集ものとか、某雑誌とか、テレビだと「ダムド・ファイル」とか、映画だと「邪願霊」とか、「ブレアウィッチプロジェクト」とか。
もうさんざん観尽くしてしまって。
呪いのネタはそれなりに興味深いのだけど、使われ尽くした手法なだけに、物語が進めば進むほど嘘臭く見えてしまいます。
2、30分くらいの短編ならまだどう展開するか興味がもてるのですが、2時間近いと、のんびりしすぎて萎えました。途中までは笑ってたけど、そのうち早く終わらないかと時間をチェックする始末でした。

それともこれはホラーじゃなく、作り物くささを狙ったメタ作品、コメディなんでしょうか?
呪いの「ノロイ」じゃなく、展開が「ノロイ」というオチ? <いやそのギャグも手垢つきすぎ。

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August 23, 2006

Shall We Dance?

ピーター・チェルソム監督

世間的には幸せながら、ほんの少しの物足りなさを感じている男が、ふと見かけた社交ダンスの教室に通い始める。仲間との交流、美人の教師と、久々に達成感と充実感を味わう彼だが……。

今更感が強いのですが、一応チェックを、と観てみました。
リメイク元の周防監督作品(96年作)は、劇場で観ています。今は亡き(閉館した)名古屋伏見の映画館で、たしか同じビルにダンス教室だがダンス用のドレスを売っている店だかがあったんじゃなかったかなあ。映画を観て、でもそれらの店に人が入っているのを見たことないなあなんて思ったっけ。もはやビルそのものがないし、10年前だから記憶が怪しいけどね。
でも映画はとても面白かった。その前の「シコふんじゃった」も「ファンシーダンス」も楽しかったし期待値も高かったけど、充分応えてくれた。

で、ハリウッド版。
奥さんの役が、主婦からキャリアっぽい働く女性に。たまこ先生=ミッツィー先生が、ポケットウィスキーを隠れ飲む女性に。ラストでは薔薇持って奥さんをパーティに誘いに行く演出追加、などなど、
文化の違いなどからくる展開の違い、見せ方の違いを楽しみました。
なかでもコンテスト前の、ジョンとポリ−ナのセクシーなダンスには、
これってベタなラブストーリー映画の盛り上がり前に挿入されるベッドシーンそのものじゃん、と感じました。
黄門さまの印籠シーン、由美かおるの入浴シーン、片平なぎさの崖っぷちシーン、それらに共通するベタ展開。
でもそれはそういう「観客の趣味(なにを楽しむか)」に合わせた演出なので、アリなんでしょう。興味深かったです。

と、笑えるコメディとしては面白かったのだけど、哀愁と滑稽さは感じられなかったなあ。

やっぱり中年男性(しかも96年の)が社交ダンスを習うというとんでもなさ、ぎこちなさが、
ハリウッド版では出ないんだよねえ。
偏見かもしれないけど、高校でプロムパーティがあったり、結婚式でおじいちゃんおばあちゃんが踊ってたり、という映画を観てると、ノリノリでダンスしそうなお国柄に見えるし。
正直、日本でも、「今」創ると、当時ほどのギャップは感じられないかもしれない、とも感じます。
主役の役所公司は96年当時で40歳。でも今の40歳は、77年作の「サタデー・ナイト・フィーバー」を中学生くらいで観てるわけで、大学ではディスコブームで踊ってるから、それほど違和感感じないんだよねえ。
映画の面白さって、時代も関係してるんだよなあ。


chikachan112 at 23:58|Permalinkclip!映画 |   【さ行】

August 22, 2006

ちょっと、悔しいかも。

久しぶりに献血に行ったら、血液比重(ヘモグロビン量)が低いから、ダメ! といわれてしまいました。

ちょいっと血を採って、比重の液に垂らして調べられましてね。

「浮くような、浮かないような、……ああでも、浮いちゃいますねー」と職員の方に言われました。(重ければ沈む。軽ければ浮く)
なんでも、比重で1.052以上ないと献血できないそうですね。はねられても、女性の場合は充分標準値らしいっけど。

たんぱく質とビタミンと鉄分を増やす必要があるようで、肉とか豆腐とか納豆とかほうれんそうとか取ってね、と言われました。

充分に喰ってるんですけど。
肉も内臓も大好きだし、野菜も玄米も卵も毎日食ってるし、ビタミン剤取ってるし、コレステロール値も、善玉中心で充分あるのに。

なのに、はねられた。夏バテはしてるけど、夏痩せはしてなくて、食欲満点なだけに、悔しいです。冬から春はヤクチュウ(花粉の)なので出来ないんですよね。それなのに、これ以上どうしろと。


さっそく夕食にレバーを買ってきましたよ。

くそー、リベンジだ。





chikachan112 at 00:02|Permalinkclip!カラダ 

August 21, 2006

最近読んだ本

図書館から借りた本を一気に返しに行きました。そしてまた一気に……。際限ない負債に追いまくられてます。でも買うとスペースをとって、時間以上に床にも負債が……。

さて今回、あまりにも面白かった本があったので、ご紹介を。

佐藤正午「小説の読み書き」岩波新書 740円税別 です。

小説家の視点から見た、日本の文豪(川端康成とか夏目漱石とか)24人プラスおまけ(本人作)の名作を、評してしまおうという企画。
取り上げられている作品が、「雪国」「暗夜行路」「雁」「こころ」「たけくらべ」「豊饒の海」「放浪記」「山椒魚」「人間失格」ってな具合だから、肩のこりそうな本かと思ってたら、とてもとても笑えました。クソ暑い通勤電車の中、楽しい時間を過ごさせていただきました。

混んだ通勤電車で岩波新書を読みながらにたにたしているOL風の女。なにが書かれているのかと思って本の中を覗き込んでみたら、太宰治「人間失格」がどうこうとかある。

自分で言うのもなんですが、そんな女には近寄りたくないね!

ってゆー怪しい人になるほど面白かったです。(<いや、怪しいのはいつもか?)

でまあ、どう面白いか説明しないと話にもなにもならないのですが、
ものの見方が変なんですよ。紹介している本人の文章や話の持っていき方も、それぞれの作品によって微妙に違え、凝ってるんですよ。

松本清張の文章を引いてきて、漢字二文字の組み合わせ言葉が頻出している、「選定」(という言葉を使う場所)には、松本清張以外の日本語の作家は全員「選ぶ」の活用形を用いるだろう、と断じ、本人の文章もそこだけいきなり漢字二文字の多用に走っているんです。
三島由紀夫を評していて、蝉の声の表現に悩んだ自身のことを書き、「数珠を繰るような蝉の音」と三島は書いているけれど数珠を繰る音とはどんな音だ、と、これまた悩んでいるんです。ネットで蝉の声を聞けるページを探して聞いたとまであります。(これ、以前わたしも用があって探したことあります。同じページかどうかわからないけど、ここで聞けます)
菊池寛のテン(読点)の打ち方を、カステラを切り分けるようだと言っているんです。
読んだ作品ならより面白いし、読んでいない作品でも面白い。

中でも面白かったのは、森鴎外の「雁」についてですね。再読しないのに初読からの30年ずっと気にかけていて、その理由が「サバの味噌煮」だっていうんだから。そしてレシピを本屋で立ち読みしてくださいなんてくだりが(冗談だけど)あるんだから。
もっともこの章には最後にオチがあって、佐藤正午の「Y」「ジャンプ」を読んだことのある人なら、おお! と唸ってしまう創作のヒントが隠されてました。

丁度、この本の前に斎藤美奈子の文芸評本を読んだのだけど、アプローチから書き方から全然違ってて興味深かったです。
ぶった切って決め付ける斎藤美奈子の踏み込みも好きだけど、ためらいを持ちつつも意固地な佐藤正午の踏み込みは味わい深いですね。
評論家と実作者の違いかな。

ええ、図書館で借りたのだけど……、買おうかと思ってます(笑)
新書なら床への影響は少ないだろうし。

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August 20, 2006

深紅

月野木隆監督

修学旅行中、カコ(奏子=かやこ)の家族は惨殺された。両親に加え、幼い双子の弟もだ。犯人はその場で逮捕されたが、彼にはカコと同じ歳の娘がいた。8年後、犯人の死刑判決が迫る中、「わたしも一緒に殺せばいい」と犯人の娘が言ったことを知り、カコはその娘(未歩)に近づく。由香子(呼び名はカコ)という偽名を使って。
原作と脚本は野沢尚。

公開時、大きな宣伝はされていないけれど、口コミで面白いという話を聞きました。
でもそれゆえに公開館が限られていて、ぼんやりしてるうちに終わっちゃったんですよね(笑)

DVDでやっと観たのだけど、確かに秀作ですねー。
被害者と加害者の残された二人の娘の間で繰り広げられる心理戦が、ビシバシ伝わってきます。
でも、宣伝が行き届かなかったというのも納得できる、売りの少ない地味な展開(爆)
キメの殺人事件はもう終わっているので、あとはふたりの再生の物語なんですよね。
生き残ったことに罪悪感を持つカコと、親の正当性を感じつつも罪を引き継ぐべきだとも考えている未歩。
DVに苦しむ未歩に同情する気持ちも、親(犯人)と同じ犯罪者にしてやりたいと思う気持ちも、両方持っていて、カコは揺れ動く。

どんな選択をすればカコは過去から解き放たれるのか。
観ながら一緒に考えてしまう映画でした。
ラストのさわやかさも○。

けどさ。小学6年生のカコが堀北真希で、20歳のカコが内山理名ってゆーのは、かなり無理がないか?(2005年の作品なので、堀北真希は16歳か17歳)

最初、堀北真希の修学旅行シーンから始まった時には、「高校の修学旅行?」と思い、8年後に内山理名が大学生っぽい雰囲気(恋人が塚本高史)で出たときには、「中学生だったのか」と思い、後からもうすぐ20歳という設定だとわかって、頭が混乱しました。
同じ年に小学生役で堀北真希が出たという「HINOKIO」を観てないってこともあるだろうけど。

堀北真希の方が惑っている演技が上手そうだったし、20歳なら充分できるんじゃない?


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August 19, 2006

タッチ

犬童一心監督

達也と克也。そして南。一緒に育った彼らの目標は「甲子園に行くこと」だった。克也は高校に入ったと同時に野球部のエースとなるが、達也はいつしかその道から外れ、自分の目標を定められずにいた。そんな夏の選抜、都大会決勝戦。運命の歯車が回る。

ストレートな青春物語に、思ったより感動しちゃいました。

かなり端折ってはいるんですけどね。必要なところだけをピックアップしてさくっと繋げ、でも盛り上げるところは溜めて時間を取る、よくも悪くも、観客を意識した話のつくり。
(まあ、K○○CHAN球団とか、完全不要な部分は大人の事情ですかね。少々うさんくさい)
正直、新体操をやっていない南ちゃんというのは、彼女自身の生き方(他人の夢にだけ乗っているわけではない)にも関わってくるので、どうかなあ、とは思ったのだけど、2時間という分量の中で焦点を絞ったのは、結果としてはよいのではないかと。

南ちゃんがプロテクターつけてキャッチャーミット構えた時には、その男らしさに惚れ惚れしました。……はっきり覚えてないけど、原作は打席に立ってたんだっけ? でも、ずっと盛り上がる演出。

昨日の記事のNANAとは真逆に感じましたね。
原作を相当に分解して沢山の部分を切り捨てているけど、見せる部分はちゃんと料理できている。

ところで斎藤兄弟(双子)も悪くないけど、
新田くんを演じた福士誠司も正統派の美形でカッコいいです(爆)

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August 18, 2006

NANA

大谷健太郎監督

恋に生きる奈々。夢に生きるナナ。同い歳のふたりは偶然出会い、暮らし始める。バンドで成功したいというナナの夢に惹かれ、自分もなにものかを求めようとする奈々。ふたりの人生は絡まりながら進んでいく……。

どこが盛り上がりなんだか、どこかラストなんだかよくわからないまま、いきなり映画が終わってしまい、ビックリしました。

続編狙いで、途中で切ったのだろうけど、
それにしたって約2時間の映画にするなら起承転結があるだろーが。

すべてが忠実ではないけれど、かなり原作に沿って作ってる様子がうかがえます。(原作は読んでいます)
成宮くんのノブとか、各キャラも「がんばってる」感はあります。
でもそのがんばりって、誰に向かってるのかなあ……。意識しすぎてるようにも思う。

私は映画は映画、原作は原作という考え方なので、どれだけ原作から変わっていても映画として面白ければそれで「○」だと思ってます。
でもだからこそ逆に、スクリーン上で表現できないものを伝えきれずに、原作やら読み解き本やらで補足するという物語の作り方は好きではないです(あ、観客の想像力にゆだねるというのはアリですよ。面白がる対象者が限られるというリスクはあるけどね)。
小説にせよ漫画にせよ、それぞれなりの表現の仕方があるのです。
2時間の「映画」で表現できないなら、あえて映画にする必要などない。
漫画のキャラが実体を持って動いてる、そんな程度のことに感動できるほど、
観客の感性は古くないはず。

原作のエピソードとかセリフとか、なぞってはいるけど、本当にツボがわかって使ってるのか? と感じてしまう部分もありました。
将来、主人公に大きく関わる主要キャラも、最後の最後にちょっとだけ出てるんだけど、でも性格もなにもわからないままで、一応出してみましたという扱いでした。「今回の映画」に限定すれば無理に前面に出す必要がないキャラでは? (……ってタクミのことです)

繰り返しになるけど、
一本の映画にするなら、キャラを絞り込んでエピソードも絞り込んで、単独で観ても面白い作品にすべきでは?

なぜそれができなかったのかなあ。
大谷監督は、デビュー作(アベック・モン・マリ)など、会話劇の上手いちょっと面白い感性の人という印象があっただけに、残念です。

あと宮崎あおいも、同じくデビュー作(ユリイカ)から観てるけど、今作はあまり可愛くなかったなあ。
イマドキメイクのせいか、狙いすぎたファッションのせいか……。キメの笑顔表情が1個だけだったし。


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August 17, 2006

ユナイテッド93

ポール・グリーングラス監督

その日。2001年、9月11日、午前。アメリカで4機の飛行機がハイジャックされ、目標地点に向けて突撃をかけた。しかし、ユナイテッド航空93便だけは、目標地ではないところにおちていた。そのときなにが起こっていたのか……。

そのとき。自分は。
別に見るTVもないしな……と、ニュースステーションをだらけて見ていたんじゃないかな。記憶がはっきりしないけど、一つめのアメリカン航空11便が突っ込んだ後の映像をいきなり見せられて、え?? と感じたような気がする。
たしかこの映画でもあったように、最初は民間の飛行機がぶつかったようには報道されてなかった。そして番組が終わりかけた頃だったか、チャンネルを切り替えた後のニュース23だったか、もうひとつの塔に、二つめの、ユナイテッド航空の175便がぶつかって炎を上げた……ような気がする。その後のニュースは推論ばかりで、ずっとは見ていられずに寝てしまったのだけど。

そのとき。
フライト時間から遅れて飛び立ったユナイテッド航空93便でなにが起きていたのか。管制センターや、軍や、いろいろなところで(<すいません、公式サイトが見れなくて記憶だけです)、ひとりひとりがどう感じて行動したのか。

エンドロールを見てる限り、「AS HIMSELF(本人出演)」という方が何人かいて、また、以前に観た、93便に乗っていた家族の人が証言するルポ番組(墜落前の便から電話がかかってきたらしい。留守電に本人の声が残っているのも聞いた)から考えても、想像の入る部分はあるとはいえ、かなり事実に忠実に描かれた映画なのでしょうね。

そのとき起こったこと。選択した行動。それ自体に、そとにいる私が感想を挟む余地はないように思う。
それぞれが、それぞれなりに最善の道と信じて、必死に動いたのだろうと思う。
あえて、乗客の彼らをただのヒーローにはしない、ドラマチックな演出を避けるかのような構成に、
単なる歴史の「ある日」にしてはいけない、物語のひとつにしてはいけない、という製作者の意図を感じました。

テロリストたちも、乗客たちも、飛行機が落ちるその寸前にそれぞれの神に祈っていたのが印象的でしたね。
テロリストはとても敬虔な信者として描かれています。そしてその思いに殉ずるために行動を起こしたかのように。
他人を犠牲にすることが、どうしてその神のため、宗教に殉ずることになるのか、私にはどうにも不思議でなりません。理屈はわかるけど、感情がついていけない。
八百万の神がおわす日本に、平和なこの時代に生まれた、ぼよーんとした人間だからでしょうね。
でも、彼らがそう考えてしまう、教えられてしまう、追い込まれてしまう理由を考えると、哀しくも感じます。宗教だけでない、圧力とか貧困とか差別などもあるんでしょう。

当時のことを思い出そうと思って、以前の日記(主に12日から14日が該当部分)を読んだけど、
あのころも「彼らが理解できない」って書いてました。
もやもやとした「納得できないこと」を、抱えたまま覚えておきたいとも思ってます。


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August 16, 2006

タナカヒロシのすべて

田中誠監督

平凡な暮らしを送る田中宏32歳。人付き合いは悪く、恋人もいない。しかしあえて誰かとコミュニケーションをとろうとも結婚しようとも思っていない。そんな彼に次々と不幸が訪れ……という話。

ストライクゾーンの狭い男だなあ。
まずはそう感じました。

田中宏は全然もてないわけじゃない。誠実そうです。気持ちは優しい。……いや、妖しい雰囲気を漂わせる鳥肌実ゆえ、いきなり豹変しそうだと思いながら観てたけど(笑)
ただ、次の世界に踏み出すのが、「めんどくさい」。そして病院に行くのさえ「勇気がいる」。
自分の気持ちをさらけ出すことをしない。自分を大事にしすぎている。

そういう風に生きている人間って、結構いそうだなあ。
次にはそう感じました。

もう一歩を踏み出してみればいいのに。
そう思いながら見てたころ、
田中宏は自分の居場所を奪われてしまう。
そして大事な誰か(「人」ではないけど)を失いそうになってしまう。

やっと動き出したかな、と思ったところ、どこかほほえましさを残して、ジ・エンド。

物語の構成はこんな感じで、作りようによってはホノボノにも爆笑コメディにもなりそうなんだけど、
田中宏を初めとして、とりまくキャラクターがそれぞれ少しずつずれているから、
ただのコメディにはなっていないんだよねえ。

このキモワル、キモカワっぽさが魅力なんだと思う。


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August 15, 2006

TAKESHIS’

北野武監督

ビートたけしの前にそっくりな男が現れた。その名も北野。売れない役者でコンビニ店員。ふたりが楽屋で出会ったときから現実が崩れ始め……という話。

ってゆーか、現実じゃなく夢の話でしょう。

セルフパロディとでもいうのか、ビートたけしが演じてきた一連の映画をモチーフに、北野の夢の中で別の物語が生まれていく。
それがラストには、ビートたけしの中にも生まれている。

ああ、座頭市のタップダンス、とか、ああ、ソナチネの海岸サッカー、とか、観ている方としては楽屋落ちのようなシーンを楽しんだのだけど、
正直、監督・北野武の狙いがよくわかりませんでした。

噂では「簡単に感想の言えない映画を作ろうと考えた」とか。
実際に監督の見た夢だとか。

夢には潜在意識が現れるというけれど、
彼は成功した自分を醒めた目で見ているんでしょうか。
現実が夢のように感じているんでしょうか。
いつか足元が消えてなくなっていくような恐怖を感じているんでしょうか。

私の想像力ではとても追いつけません。


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August 14, 2006

ハチミツとクローバー

高田雅博監督

浜美大は花本先生の家に集う学生たち。そこで建築科の竹本は先生の姪だという油絵科の新入生はぐみに出会う。彼女と、彼女の天才的な絵に、ひと目で恋におちてしまう竹本。その瞬間を目撃した真山は「ひとが恋に落ちる瞬間を初めてみてしまった」と驚きを覚えるが、真山もまた、年上の女性に心を奪われストーカーまがいの行動を取っているのだ。そんな真山に恋する山田も同じ美大の学生だ。やがて春のある日、彫刻科8年生の森田が放浪の旅から帰ってきた。

気恥ずかしいほどに初々しい映画でした。

AはBが好き。でもそのBは別のCが好きで……と哀しきループ。
自分の気持ちが届かない苦しさ、届いても叶わない辛さ、
いくら言い聞かせても変えられない自身の歯がゆさ。

学生特有の、なんとなくつるむ友人たち。
それぞれの中でカップルができたり、一方的な思いがあったり、苦しんだり。
そんな懐かしい風景に気持ちが暖かくなりました。
あとさき考えなく行動したよなあ。
なぜかいきなり海に行ったりするんだよなあ(笑)

今ドキの大学生ってこんなに純真なのかなあ。
……まあ、5人もいれば、ひとりくらいとんでもなくオンナ(か、オトコ)に手が早い人間が混ざっていそうな気もするけど。
でも、皆が、恋に、夢に、将来に一途だからこそ、気持ちを打つんですよね。

原作は未読なので、キャラと役者があっているかどうかはわからないけど、
どのキャラも魅力的で、また演技が上手かったです。
ぼやーんとして純粋で人がいい役がピッタリの櫻井翔(竹本)。
スマートな現役大学生……でいながらあるときストーカーという落差がぴったりのカメレオン役者加瀬亮(真山)。
関めぐみ(山田)も役によって全然違う雰囲気になるし。
無軌道な天才っぷりが似合う森田こと伊勢谷友介(本人も芸大出身・TRではぐみたいにどでかい不思議系の絵を描いていたっけ)。
そしてなおさらに不思議ちゃんな天才の蒼井優(はぐみ)。あまりしゃべらないけど独特の存在感。

そしてそんな5人の青春が、
写真だけでしかわからないけど、
花本先生の境雅人や、建築事務所の西田尚美や、なにものかわからないけど(西田夫?)田辺誠一に繋がっていくんだよなあ。
10年後か、20年後か、あの5人も
それぞれの道を歩んでいる自分たちを「懐かしく」「面映く」「愛しく」思うのだろうなあ。
きっと海で撮った写真を眺めながら。
境雅人の家に同じような大学生の頃の写真が飾られているのを見て、そう思いました。

櫻井・蒼井・……他、大学生組、現役青春バリバリの世代が観ると、また違った印象を受けるのでしょうが、
境・西田・田辺などOB組にいる自分としては、
「思いのままにいかない青春時代」に、なんだかしみじみしちゃいました。

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August 13, 2006

隣人13号

井上靖雄監督

小学校の頃にいじめに遭っていた村崎十三。いじめの首謀者赤井と同じアパート、同じ職場にやってくる。そんな十三の傍には、彼と同じ服を着た凶悪な男13号が。はたして13号との関係は。十三の狙いは。そして性格は変わっていないが、妻子を持つ男となった赤井はどうなるのか……。

13号と十三の関係がよくわからなかったです。
いやもちろん、分裂した自身だというのはわかってますが。

ただ、なにかをしでかそうとしているのが13号であるなら、
十三はどういう立場に立っているのか、
どこまでふたりが役割を分けているのか、
十三は13号をどうしようとしているのか、
そのあたりがわからなかったんですよね。

十三もまた復讐を考えているのか、
赤井の家族を見て思いとどまろうと気持ちが変化しているのか、
別の隣人や同僚まで殺してしまったもう一人の自分にどう感じているのか。
もっと言うなら、アパートや職場を選んだのはどっちの彼なのか。
ジギルとハイドというほどに人格が割れてはいないようだけど。

心の中にも見える「ある家」のなかでふたりが葛藤しているシーンはあるけど、
現実の中での十三の葛藤があまり見られなくて
なんだか不思議な感じがしました。

赤井もよくわからない。家族の愛を押し出していながら、息子がなかなか帰らないことをあまり心配していないし。
母親(赤井の妻)のめぐみも無防備。ケータイの番号も聞かずに息子を預けていいの? そういうキャラなのか?

なんでこの人たち、現実感が希薄なのかなあ……と思っていたら、
ラストの「ひっくりかえし」で理由が氷解しました。

つまり…………以下ネタバレ↓↓
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August 12, 2006

皇帝ペンギン

リュック・ジャケ監督

南極大陸に生息する皇帝ペンギンの生態。……を父ペンギン・母ペンギン・子ペンギンの心の声を入れてゆっくりと見せる映画。

去年、劇場で見損ねていた一作。
遠い将来、もしも100インチなんてゆー大型のテレビを、もしくはプロジェクターとスクリーンを買えたとしたら、ぜひこいつを流しっぱなしにしたい。
……と思えました。

生き物すべてが、自然の流れのひとつなんだよなあ。


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August 11, 2006

あと3年ほどじゃない?

300b635e.jpg
名古屋高裁で裁判員制度広報映画の上映会があったので参加してみました。
中村俊介主演の「評議」という作品。いかにも〜な啓蒙映画で、三角関係の末の傷害事件を、「殺人(未遂)罪」とするか「傷害罪」とするかで論議が巡るお話。
具体的には、婚約者を寝取られた男が寝取った男をナイフで刺した……という案件。被告に「殺意」が存在したかどうかが焦点。それによって罪状も量刑も変わるわけです。
かなりストレートなつくりだけど、その分、制度の説明としてわかりやすいです。

後で質疑応答と、法廷内見学もありましたよ。
以前、傍聴見学をしたことがあるのだけど、
今回は普及のためということで、裁判官たちが座る内側まで入らせてもらいました〜。
写真がそれ。
裁判員制度用の席はよこならびで9人席。裁判官3人体制の席よりちょっと低くつくってあるとか。

制度は平成21年5月までにスタート……らしいのだけど、
まだこれから詰めなくてはいけない部分がいくつかあるみたい。
また、裁判員は選挙人名簿を使って選出されるそうだけど、どうしても大都市の方が地裁刑事事件も多いので、選出される確率も高くなる(0.なんパーセントっすけどね)とか。東海三県だと、名古屋は津や岐阜より高いわけ。

裁判員には興味あるけど、例えば自分が選ばれたら……って考えると、自信ないっすねえ。
なにせ、件の映画見ながらついつい、
「被告が本当に殺したかったのは相手の男じゃなく婚約者の女性ってオチだったり」
「裁判員の気持ちが事件によって変わり、裁判員の人生も変わるとか」
な〜んて広報映画ではありえないドラマな妄想が頭を過ぎってたからなあ。
もちろん実際の裁判は証拠主義なので、妄想の入る余地はないけどねー(笑)

裁判員制度についてはここ

chikachan112 at 22:10|Permalinkclip! 

バットマン ビギンズ

クリストファー・ノーラン監督

タイトルのとおり、まさにバットマンが誕生する背景の話。両親の死と恐怖心というトラウマを背負ったブルース少年が長じて紆余曲折を経た末に生まれたバットマン。彼の目的は故郷ゴッサムシティから悪を消し去ることだった……という話。

執事萌え。

……あ、すいません、いきなりトチ狂った発言をして。

富豪の正義の味方(クリスチャン・ベイル)もいいんだけど、
彼を支える執事アルフレッド(マイケル・ケイン)がなんともとぼけた味を出していて華があります。
さらには科学担当(?)フォックス(モーガン・フリーマン)、
加えてゴードン警部補(ゲイリー・オールドマン)も!!
ついでに敵役がリーアム・ニーソンで、なんでこんなに豪華なの??

お話の流れはテキストに沿ったつくりだけど、
台詞の一つ一つに味がありました。
そして、手作りっぽい武器や衣装にもおかしみが。

好きな台詞はやっぱり、
「人が落ちるのはなぜか。這い上がるためだよ」と
ラストの警部(補から出世)の
「警察が武器をそろえれば、犯罪者はその上をいく武器を持つ(もっと長いです)」
でしょうか。
……どっちも支えている人間の台詞っす。

chikachan112 at 00:04|Permalinkclip!映画 |   【は行】

August 10, 2006

レイクサイド マーダーケース

青山真治監督

お受験合宿のために湖畔の別荘に集まった3組の家族と塾講師。しかし主人公の並木はあまり乗り気ではない。妻との仲も冷えている。そんな彼らのもとに、並木の愛人が現れる。さらに夜、彼女は死体となって並木の目の前に……。

原作は未読。
映画は、ちょっとバランスが悪いなあという印象。

2時間の映画で、「死体」になるまでに1時間近くかかってる。
真犯人・事件のなりたちへの伏線とか、主人公夫婦の心情とか、集まった人々の様子とか、全部をまず紹介してから……というつもりなのかもしれないけど、
すっかり飽きてしまいました。

その後の展開とどんでん返しは次々進んだのだけど、
台詞が上滑りしていて、社会派なのかサスペンスドラマなのか親子愛(?)ものなのかわからないなあ。

見直したばかりのトヨエツ(塾講師)ですが、この映画では「まあまあ」でした。……すいません。
本性がわからない人間という部分はうまく出ていたと思いますが。
怖いのは、柄本明かな。さりげなくストーンズのTシャツ着てたりして。

予知能力の部分とラストシーンはよくわかりませんでした。

chikachan112 at 23:02|Permalinkclip!映画 |   【ら行】

August 09, 2006

ダブリンの鐘つきカビ人間

後藤ひろひと作

WOWOWで観ました。その突拍子もないタイトルに惹かれたのだけど、かなり有名な舞台だったんですね(でなきゃWOWOWでやらないか)。再演の方です。

旅人ふたりに一夜の宿を貸してくれた男の語る昔話。今はなきその街には、ある時、奇病が流行ったという。そんな街にいた、全身にカビの生えた男と、語る言葉が逆になってしまう女、そして街の物語……。

舞台劇って全身で演技するため、妙に大仰で、TVで観るとギャグが上滑って感じることも多いのだけど、
これはどんどんと場に引き込まれてしまいましたねー。

悲劇的な運命の恋物語もいいけど、加わるキャラクター(市長とか牧師とか騎士とか)も楽しいし、劇中劇のような構成なのに、外にいる旅人が入り込んでいくところもいい。
そしてなにより、ラストのどんでんがえしが恐ろしくも面白い。


chikachan112 at 00:01|Permalinkclip!観る 

August 08, 2006

気温37度は熱い

8c3bbc4e.jpg
誤変換じゃなくて。「暑い」じゃ伝わりません。

日曜のネタですが。
用があって岐阜県まで行ったのだけど……いや、地獄の熱さです。
途中の道(山県市と岐阜市の境くらい)で、コスモスが咲いていて、向日葵が枯れてました。
なぜ? と思ったけど、そんなこともあるかも、と納得してしまえる熱さ。

で、もちょっと足を伸ばして、関市で美味しいというラーメン屋さんに行ってみました。TVチャンピョンかなにかで紹介されてたみたい。

麺屋 白神」(はくしんと読む)です。


手打ちの付け麺がオススメらしいです。
というわけで、私はピリッと風の味噌味の、同行者は醤油味の付け麺で。麺、ボリュームあります。
つけだれは、魚の出汁がとってもきいてて美味しかった。甘く炒めた玉葱も好き。
メンマが異常に太くてでかい。
気のせいかもしれないけど、味噌の方はあっさりと、醤油の方はしっかりと、メンマに味がつけてあったような。
煮卵半分と、さらにチャーシュー……のつもりなのか、いやこれ豚の角煮だろって思えるほどの、ボリュームありありの肉がごろり。
こんなの全然麺に絡まないじゃん! と思ったら、
麺を先に食べてから具をどうぞ、というコンセプトみたいですね。(後で出し汁を入れてスープみたいにしてもらうそうです。これもいけました)

大盛りでも同額(700円だったかなあ)というので大盛りにしてもらったら、さすがにおなか一杯。

chikachan112 at 18:47|Permalinkclip!食う 

August 07, 2006

ローズ・イン・タイドランド

テリー・ギリアム監督

ママはオーバードラック死。パパもヘロイン中毒。亡き祖母の廃屋に越してきたローズの友だちは頭だけのバービー人形。でも想像力豊かな彼女はまったく平気。奇妙な隣人もネタにして自分のストーリーを作るのだけれど、でも遂にパパも薬を打ったまま動かなくなってしまい……という話。

えーと。
やっぱりギリアムはよくわからない。
頭の中になにが詰まっているんだろう。

ローズの想像力の豊かさは、不思議の国のアリスを下敷きにしているとはいえ、楽しいし只者ではないです。
廃屋、秘密のクローゼット、壊れた車、どこまでも続く草原。
そういうのって、小さい頃、わくわくしたよなあー。
なにかに「みたて」て遊んだよなー、と、懐かしい世界でした。
でも、それ以上の筋立てや意匠はちんぷんかんぷん(笑)
昨日の記事の「嫌われ松子の一生」と同じ日に見たのだけど、117分のこちらの方が長く感じました。

10歳の少女がふたおやの死に立ち会うというシチュエーションから、
通過儀礼のような位置付けがあるのかなー、とも思ったのだけど、
(あえていえば、ラストがそれかなあ)
ちょっと考えすぎかな。
なにも考えずに不思議世界の想像力にどっぷり浸かるがよろしい、ってこと?

ローズ役のジョデル・フェデルランドは可愛くてなまめかしかったなあ。
演技なのか素なのかわからないけど。


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August 06, 2006

嫌われ松子の一生

中島哲也監督

ある日、荒川の近くでひとりの中年女性の死体が発見される。彼女の名は松子。お姫様のような人生に憧れた少女は教師となったが、ある窃盗事件にからんで職を負われ、家族に縁を切られ、甥はそんな叔母がいることさえも知らなかった。彼女の怒涛に満ちた人生をミュージカル仕立てで描いた映画。

楽しい130分でした。画面もポップで音楽も踊りも楽しく、仕事後映画はしごの2本目というキツイ視聴も気にならなかったし。

松子はただひたすら、愛を求めて生きていく。
最初は父の愛。そして数々の男たちの愛。
けれどどれも得られず、次次と不幸が彼女を襲って……。
「これで人生が終わったと……思った」後も、しっかり頑張っていく姿は頼もしい。

龍(伊勢谷友介)は松子を神だといった。
なにをされても愛を与えてくれる存在だと。二度目に入った刑務所の中で、彼はやっとそれに気づく。
この順序が逆なら、二人の人生は変わっていたのでしょうね。
あとの祭りだったからこそ、ドラマとして面白いのだけど。

……たださ、ひたすらに愛を与えてくれる女って、すごく「都合のいい女」では? 
……松子は、どんな男にとっても自分は都合のいい女で、「待つ子」になっていることに気づかなかったのかな。
……それとも気づいて、自暴自棄になってゴミためのなかで生きてきたのかな。人生を立て直すこともできたのでは?

そんな松子にイマイチ感情移入ができなかったなあ。
若気の至りはあるにしても、教師を辞めるくだり、家出するくだりは完全に彼女の責任。
真ん中の、ドラマが次々展開していくあたりは伝わってくるものもあるのだけど、でもあまりにも周囲が見えていない。
どうするんだろう、と思って観ていたけど、40過ぎてからの彼女は、人生投げちゃうし。
不器用という表現がされていたけど、投げちゃう人間も不器用って言うのかな?

うーん、「下妻」の方が好き。
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」(<悲惨な人生ミュージカル代表)よりは何倍も好きですけどね。

夢を叶えられるのはひとにぎりだし、
人生なんて所詮そんなものだし、
多かれ少なかれ松子のようにあちこちで道を踏み外しながら生きていくものだし、
きっかけによって、良くも悪くも変わるのはわかるけど。

面白いけど、後味が「え?」という印象。そんな不思議な映画でした。


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August 05, 2006

ゆれる

弟・猛は東京で写真家として成功している。兄・稔は地元で家業を継いでいる。
女出入りの激しい弟。地方という要因もあり、30半ばにして嫁もない兄。
母の一周忌で帰郷した弟は、兄の思い人・智恵子に手を出す。そして三人が遊びに行った渓谷で、智恵子は吊橋から落ちる。そばにいたのは兄。はたして事故なのか殺人なのか。

映画以外の情報を入れたくなかったし、記事にもメディアにも目を通してなかったので
(そしてサイトは、うちの98頭脳では見れないのねえ(笑))
映画本編を予備知識なく観ることができ、大変楽しませていただきました。

いや、これ、すごいわ。
映画ならではの、映像ならではの作品だと感じました。
語られるものが「言葉」じゃなく「仕草」「映像」なんです。
どうやら小説版を監督自らが書かれているようす、……ですが、私はしばらく封印したいな。(興味はあるけど)
映画として、ビジュアルとして、この余韻をもうしばらく楽しみたい。

猛が、母親の一周忌のために東京から故郷に帰っていくシーン、稔のGSに寄るシーンでまずやられました。

東京で成功した自分を誇示したくて、胸張ってGSに入った猛。
けれど、幼馴染で過去になにかがあった女性(智恵子)がフロントガラスに見えると、サングラスをかける。
灰皿を返されなかったこと(<後からわかることだけど)にも気づかないほどの動揺が。
一方女性のほうも、声で彼だとわかる。ウインドウを叩こうとしてタイミングがあわず、サイドミラーに映るなにか言いたげな女性の顔。それを無視して走る車。
わー、このシーンだけで、猛のプライドの高さと屈折、智恵子の一歩を踏み出せない暗めの性格が透けて見えるよ。

その後も、あれもこれもと気持ちを掻き乱す映像の連続で、うならされました。
稔のズボンに落ちる日本酒のしずく、忙しいといいながら、法事の後処理をこなす甲斐甲斐しさ。
智恵子は更衣室の鏡を見る。車内でもぎこちない。化粧っけのないその日の自分に、田舎で暮らす自分に自信がない。しかし、一方で行為が終わった後に嫌らしいほどの馴れ馴れしさを見せる。
そして猛のワガママなことといったら。彼女の部屋で自分の写真集を目にした途端に気持ちは萎える。やばい女に手を出しちゃったと思ったことが、ありありと感じ取れる。猛は終始、保身に流れている。なにかしらの責任から逃げている。女性関係、故郷、家。重いものには背を向ける。

そのすぐ後のシーンもいいんですよね。
洗濯物をたたんでいる兄の、背中と首筋。ぞわぞわします。あ、こいつは「気づいてる」と観客にはわかる。嘘をついて、フリをして生活している人だとつきつけられる。
酒に強いか弱いかの前に、匂いでわかってるはずなんだよね。
チェーンの居酒屋の匂いと、シャワーを浴びたあとの匂いって、……もう、全然違うから(笑)。
そして、その後に畳み掛ける「風呂は?」の台詞。
ぞっとしました。

……って話を続けるとどれだけかかるかわからないので以下略。

ともかく、兄弟の確執や心に秘めたものが、シーンごとに浮き上がってきて只者でない!
のです。

ってわけで、割愛してキモ部分の解釈。
事件のなりたちや、兄弟の心のうちは、観る人によって解釈が違ってきそうですね。
一回目を観終わった今の自分なりの答えですが…………以下ネタバレ↓↓続きを読む

chikachan112 at 13:24|Permalinkclip!映画 |   【や行】

August 04, 2006

ロング・エンゲージメント

ジャン=ピエール・ジュネ監督

第一次世界大戦下、敵前逃亡(自傷)の罪で死刑にされたという恋人。しかし婚約者マチルドは、彼は必ず生きているという直感を頼りに捜し続ける。

オドレイ・トトゥは、頑固でどこかイッちゃってるヒロインが巧いですね。
同情を引くために、ここぞってところで車椅子に乗る性格がなんとも。

オトメな感情より、シュールなところの方が面白かったです。
カラダ、死体、その一部、喪失、爆破、生々しい肉体の描き方がグロくておかしい。<おかしい、ゆうな!
野戦病院の爆発シーンなども笑えて、でもとても綺麗で、さすがにジュネ監督という印象。

ただ、捜す、謎を解く、まだ捜す、謎を解く、……という展開が、ちょっと単調で長かったなあ。


chikachan112 at 23:58|Permalinkclip!映画 |   【ら行】

August 03, 2006

阿修羅城の瞳

滝田洋二郎監督

江戸の世。人々の間に紛れて鬼がいた時代。1000年の時を経て甦るという阿修羅に望みを託す鬼たち。
その阿修羅の復活の鍵を握る「つばき」と、元鬼祓いの「出門」。二人の出会いがなにをもたらすのか……という話。

リメイクだとは知ってたんですけど、昔の映画のリメイクじゃなくて、舞台のリメイクだったんですね。
エピソードとエピソードの繋ぎの部分に間延びが多くて、古い映画のような気もしました。
とはいっても、この設定はかなり好み。
鬼が幼女の形を借りて、続いて生娘の形を借りて現れ、どちらも昂ぶりを持って転生とするというのは、
アリ! というか、とてもドキドキする設定ですね!
キャラの名前とか設定とかも面白い。歌舞伎役者を、作中作というか、歌舞伎舞台で使うおかしさもいいです。

ただちょっと、間が悪い……かな。

アクション(<ワイヤーじゃなく殺陣の方ね)も悲恋物語もいいのだけど、
大仰な台詞回しと主要なエピソードとエピソードを結ぶシーンの間の悪さ、ための重さに、
時々ずっこけました。

俳優さんたちはどのひとも素敵です。
宮沢りえってつくづく幸薄い役が似合いますねえ。
市川染五郎 もミエの切り方とかほれぼれしちゃいました。着流しの身に付け方、動き方、とくになんてことないシーンの足さばきとか、流石!! 
男性の着物って、着慣れていないとどこか足元がおぼつかなくて、腰が据わらないんですよ。軽い感じになっちゃうんですよ。
そこのとこ、うまく処理してて、剣の遣い手らしく見えました。

chikachan112 at 21:52|Permalinkclip!映画 |   【あ行】

August 02, 2006

ベルリン、僕らの革命

ハンス・ワインガルトナー監督

ベルリンで不思議な事件が続発していた。金持ちの邸宅に押し入り、家具を模様替えして、でもなにも盗らずに「贅沢を終えろ」なるメッセージを残して去るエディケーターズによる犯行だ。彼等の正体は、富裕層がさらに得をする現代社会の歪みを憂う純粋な若者なのだが……という話。

資本主義社会において、チャンスが皆に平等に与えられているというのは幻想。
かといって、社会主義も共産主義もまた、過去のもの。
じゃあどうするの? どうなればいいの?
はい、これが理想の社会です。未来です。なんて答えはどこにも用意されていない。

かくして情熱と理想だけは高いけど、呆れるほどに未熟で考えなしの若者三人が、あるきっかけによってパフォーマンスにミスを犯し、のっぴきならない状況に追い込まれていく。
そこらあたりのエピソードには観ていて頭を抱えたくなるほど呆れましたが、面白かったです。

社会を変えたいけれど、壁が高すぎて強靭すぎて全然変わらない。壁が形ある明確なものとして見えていない今だからこそ、ぶつかりどころが難しい。その苛立ちが伝わってきました。

また同時に、飼いならされた元活動家男の言い分もわかる。
「古い車より新しい車に乗りたくなる。結婚もしたくなる。子供ができればいい教育をうけさせたくなる。そうやって保守系の候補に票を投じる」
失うものがあるかないかで、立場は違ってしまうものだし。
そうやって「ずるく」なっていった彼を責めることは、……自分に突きつけてみると、もうできないなあと感じます。

最終的に、情熱、理想のせいで失敗するのではなく、
友情や愛情や嫉妬が破綻のきっかけになってしまうというくだり、
けれどその失敗を下敷きに、彼等の絆がまた復活するという展開も納得いきました。

さてラスト。
三人の微妙な関係を見抜いて揺さぶりをかけた元活動家男はどうやら警察に通報した模様。
しかし三人は裏をかいて、国外逃亡(だか新たな活動だか)していたというオチ。

あれは何語で喋ってるんだろう。イタリア語? だとしたらまじに地中海に行ったのかな。
失敗するのも、それでもめげずに再トライするのも、若さゆえの特権だなあと、ちょっと羨ましくもあり。

主人公の男の子(可愛い方。もとい、ひたむきなヤンの方)は、「グッバイ・レーニン」にも出てます。未熟な若者という雰囲気たっぷりでよいです。

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August 01, 2006

ホステージ

フローラン・シリ監督

交渉人として活躍してきたジェフはある事件の失敗で心に傷を負い、田舎街の警察署長となる。家庭も離婚の危機。そんな中、彼の管轄の街で人質たてこもり事件が。そして被害者たる会計士に秘密があったことから犯人グループとは違う人間が絡み、ジェフの家族もまた囚われの身に……という話。

細かいところに目を瞑るか瞑らないかで評価が変わってきそうなんですが。
でも、単純にハラハラドキドキ楽しかったです。

困難、危機、謎、急展開、強引。
ハリウッドの得意技てんこもり。

子ども役の子がいじらしくてよいです。
そしてヒゲづらのブルース・ウィリスも。
ヒゲのある方がハンサムに見えるんですが……私だけ?


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大統領の理髪師

イム・チャンサン監督

1960年代韓国、大統領官邸おひざもとの町で理髪店を営む男が、大統領お抱えの理髪師となってしまったために巻き起こる騒動。

好みが違うだけといえばそれまでなんだけど、どこを観ればいいのかわからない映画でした。
うーん、これコメディ? 圧制当時に対する反体制映画? 啓蒙映画? 家族愛?

自由にものを言えなかった時代の喜悲劇だとは思うんですが……。


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