July 2008

July 11, 2008

ぐるりのこと

橋口亮輔監督

1993年、翔子とカナオ、結婚。二人は美大時代からの友人で、出版社に勤める几帳面な翔子は妊娠中。女好きのカナオをうまくコントロールしている。カナオは先輩から法廷画家という仕事を紹介され、多少の不満はかかえつつも幸せな毎日。ところが、生まれたばかりの子どもが亡くなり、二人の間がきしみ始める。翔子はうつになり、カナオもまた、彼女を見守りながらも法廷でさまざまな事件の暗部を見ることになるのだった……。

一組のカップルの10年をじっくり描いた映画で、壊れていくさまも、再生していくさまも丁寧。
140分くらいある上映時間を感じさせません。

最後に描き上げられた天井画が、柔らかでとっても素敵。
ふたりで寝転がりながら、その絵を愛しむようすが、もとは他人だった二人がともに暮らした時間を感じさせてくれました。


……と、いい映画なんだけど、
ただなんというか、どこか地味なのね。

カナオ役のリリー・フランキーが、
アテ書きか素のままかというくらいにはまってて(実際、彼しかいないということで監督が口説き落としたらしい)、
ここぞというところで「びしっ」と決めてくれる。

頼りなさげにみえて、しかし誰よりもゆるぎないものをもっている……という彼はなかなかよいキャラ。
夫婦という名の他人だったふたり。
その一方が彼だったからこそ、結びついていられたのだと思わせてくれます。

ただそれだけに、「法廷画家」として「10年のさまざまなできごと」と関わった彼が、それぞれの事件をどう感じていたのかというか、
「法廷画家」という要素を、(映画の中で)彼に負わせた結果が、映画から見えてこないんですね。

「人の気持ちは見えない」というような台詞があったけど、
彼が「ゆるいでいない」キャラなだけに、
この職業の元でこの映画をつくる必要があったのかな? とちょっと思ってしまいました。

法廷画家とその妻、というアイディアが先にあったことも、
外のできごとを見つめつつ、内のできごとをかみ締める……というテーマも、やりたかったことはなるほどと思います。
でも、伝わってきたか? と訊ねられると、
単なる背景にしか見えてないなあと、首をひねってしまうんですよ。残念。


chikachan112 at 00:08|Permalinkclip!映画 |   【か行】

July 10, 2008

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国

スディーブン・スピルバーグ監督

最後の聖戦から19年。
時は、米ソ冷戦下の1957年。とある軍の保管庫に連れてこられたインディ。拉致したのはソ連の秘密組織に所属するイリーナなる美女で、そこにある「軍が密かに回収したモノ」が目当てだという。はたしてインディの冒険は始まった。目指すは南米、秘宝クリスタル・スカル。

感想をひと言で言うと、「年寄りの冷や水」かも。

……いやまあ、面白かったですよ。あれはあれで。

ネヴァタ州、というテロップ。そして保管庫の扉が閉まって「51」という文字。行き先がマヤだのアステカだのの遺跡。
物語の冒頭から、ああ、そっちに行くんだねえ(遠い目)
……という気分が満ち満ちてしまいました。

「インディ」を観にきたのか、「未知との遭遇」を観にきたのか、少々混乱しましたが、
謎をばらまいて、スピード感豊かに展開して、笑えるシーンもたくさんあって、バトルがどんどん派手になって。
典型的なエンターテインメントのつくりで、
安心して観ていられます。
テーマソングが流れると、文句なしにワクワクしちゃうし。


とはいえやっぱり、前三部作のインディとは別物のような気も。

冷蔵庫に入って生きのびた、って時点で、
インディは、外見はかわらずとも中身はゴジラになったのかもしれません。
だから滝から落ちても平気だったんでしょうね。


chikachan112 at 21:07|Permalinkclip!映画 |   【あ行】

July 07, 2008

ザ・マジックアワー

三谷幸喜監督

守加護なる港町のボスの女に手を出した備後は、命乞いのために伝説の殺し屋を探し出すことを命じられる。……といっても、アテなどない備後。そこで売れない役者の村田を雇い、村田には映画の撮影と思い込ませ、ボスには彼を殺し屋だと思わせてなんとかその場を逃れようと考える。そのため巻き起こるさまざまな騒動……というお話。

面白くは、ありました。ひきつけるほど笑ったところも。
だから満足はしてるんだけど、でも「最高傑作」ではないなあ。

正直、前作の「The 有頂天ホテル」のほうが、キレがあったように思います。


どちらも豪華キャストだし、キャラクターはそれぞれ個性的で、グランドホテル形式であっちこっちで物語が起こって絡み合って……という話なんだけど。

その絡み合い方が無理やりな感じがするのかな。

村田という男は、舞台裏を知ってる備後たちがみると俳優で、ギャングの連中からみると殺し屋なんですよね。

「有頂天……」でも、あるひとからみるとAという姿で、あるひとからみるとBという姿、というキャラクターが沢山扱われてました。
松たか子は、ホテルの人間から見るとクリーンスタッフで、津川雅彦の関係者からみるとオヤジの愛人。
役所広司は、ホテルのスタッフであり、でも元妻にはイベントの表彰者と見せかける。
篠原涼子も、売春婦でありながら、マドンナ。
麻生久美子は、ベルボーイの同窓生のスッチーで、でも本当は彼女こそオヤジの愛人。
あらかじめ知らされている場合もあれば、あとでサプライズされる場合もあるんだけど、
観客はそのギャップを愉しむわけですよね。

で、「有頂天……」は、物語が数時間の間にさくさく進むので、ギャップもどたばた感も、多少不自然でも楽しめるんですが、「ザ・マジックアワー」は数日使ってるんですよね。

いいかげん気づけよ、という気分が……。
話がもたついている、とも言えます。


種々のパロディも面白かったんだけど、
どうせやるなら、「黒い101人の女」で撃たれるのは中井貴一じゃなく、船越英一郎にしたほうがいいんじゃない?


chikachan112 at 17:37|Permalinkclip!映画 |   【さ行】