August 2009

August 30, 2009

南極料理人

沖田修一監督

南極の内陸部に建てられたドームふじ基地。そこではわずか8名の隊員が、一年半もの観測のために勤務していた。海保に勤務する西村は、運命のイタズラで調理担当として赴任。彼らの胃袋を預かることになる。
二度の南極越冬経験のある西村淳氏のエッセイをもとにしたコメディ(コメディ……なんだろうなあ)。

最近、グルメ映画が流行ってる。
話の展開温度が低めで、生活と食べ物を丁寧に描き、「なんかほっとするー」と感じさせる話が。
『かもめ食堂』、好きなんだけど、
でもパターン化すると飽きちゃいそうな気もする。
このあとも『プール』とか『食堂かたつむり』とか、いかにもなものが待ってる模様。

この映画もソレ系のひとつと言えるかもしれないけど、
「可愛い動物はいません。いるのはおじさん8人です」(寒すぎてペンギンも白熊もウィルスもいないそうだ)と作中で出演者に言わしめしたように、男ばっかりのグルメもの。
いや、グルメものと言っていいのか、むしろ合宿物語というべきなのか。
どこか椎名誠の探険隊エッセイにも似て、
その「男ばっかり特殊世界」の、脂っぽくてだらけた感じが面白かった。

地球の将来を担うほどの仕事を任された大人の(20代?から50代まで)人たちなのだけど、
当初から子供臭さがあった彼ら、時間が経つにつれて一層子供になっていく。
原作にも書かれてたけど、東大・京大を初めとした頭のいい人たちの集団。
天才と変人の距離が近いからそうなったのか、
それとも男子校のノリで若返っているのか。
いや、男子ってもともとそういうものなのか。

映画ということで、キャラクターを濃くしてるのかもしれないけど、
8人が個性的で身勝手で、わがままっぷりがとても可笑しい。
彼らの母親みたいに、柔らかな平常心をモットーとしているように見える堺雅人演じる西村も、
その「平常」を表情に保ちながらも、たびたび静かに「ムカっ」としている。
見なかったことにしよう、とそっと扉を閉めていたのが、最後には向ってくる人間をけり倒して進んだりもする。

穏やかな顔をしてるけど、海保の巡視船隊員だもんなあ、肉体派だよな、と思ってたところ、
原作を読んでみたら、かなり豪傑なおじさんだった。納得。

女性の立場から言わせて貰えば、
冒頭のシーン、
天ぷらの後におひたしを作るなんてダメじゃん(天ぷらは揚げたてじゃなきゃ! 料理は冷めてもいいものから作るのが基本)と
その後の展開が不安になったけど、
だんだんどうでもよくなってきた。
そんな細かいことを気にしないのが男の料理なのだろうな、きっと。


chikachan112 at 23:29|Permalinkclip!映画 |   【な行】

August 26, 2009

古代と明日と未来の旅行

東京にプチ旅行してきました。
展覧会めぐりです。

火曜日。

横浜で、「海のエジプト展」
平日だけどさすがは夏休み。人が多い。
5mもの巨大遺跡など、面白かったんだけど、
動線が悪いのかなあ。妙に疲れた。
なんというか、人が溜まりやすいのよ。
小さめの展示物が固めておかれると、どうしても列になって展示を見ることになり、動かない。
また、海に沈んだ遺跡を発掘するという説明のスペースでは、
「地図」と「場所」と「映像」が、数歩戻って見直したいという位置に置かれていて、でも逆行できないから、先に行ってから空きスペースから戻ることになり
(素人なんだから理解しようと思わず、ぼんやりみればいいのかもしれないけどね)
ストレスがたまる。
モニターも幾つか置かれていたけど、「客の食いつき度」を考えて、大きさや溜まる人間が居られる空間を工夫して欲しいところ。

ガンダム
その後、お台場に移動して、「ガンダム」(笑)
三時半くらいに着いて、股の下くぐったりあれこれ。
こちらは噂で聞いていたほど人は多くなかった。暑さもそれほどじゃなかったし。
最盛期(?)は2時間待ちだと脅されたからね。
スタバで休憩した後、六時過ぎくらいに再び見にいきました。
昼も悪くないけど、夕方から夜が最高。
00分ごとにライト点灯、頭を動かし、ミストが出るということを聞いていたので、
ライト脇のスペースを確保して、30分ほど待つ(爆)。
……そうやって待ったガンダムは、本当に美しかったー。
拍手があちこちで起きてたものね。
いいものを見せていただきました。

日帰りする同行者と別れて、渋谷。
目的は、岡本太郎の「明日の神話」。
JRと京王井の頭の連絡通路にあるとのこと。
方向がわからなかったけど、適当に移動したら着きました(笑)
8時半くらいになってたから、じっくりと見られたし。
ただ、柱の所為で写真がうまく撮れないのね。
そこは残念。NEC_0082








水曜日。

上野に移動して、都美術館で「トリノ・エジプト展」。
こちらは横浜に比べて、やや学術的な色が濃かったようです。
ヒエログラフの「絵文字」がアルファベットのどの文字にあてはまるかとか、エジプトの神の説明とかも詳しくありましたね。
ミイラの作り方なども詳しく紹介されてました。
もちろん、ミイラそのものも。
王族貴族のミイラや石棺に手がかかっているのは当然としても、
官僚的な立場の人の、立派な棺が現在に残されていて、
……どの時代も同じか……、なんて思ってしまった(笑)

続いて「黄金の都シカン展」。
インカ帝国のルーツと言われる、9世紀初頭から興ったとされる文化。
ペルーの北部で、なんとこの20〜30年ほど前より、日本人の学者(島田泉)によって発見されたというもの。
場所は国立科学博物館で、水曜レディースディのため、ありがたくも1000円で観られました。
幾人かの生け贄を従えて、胡坐をかいて上下逆さまで埋葬された「墓の主」に興味深々。
シカンの文化や慣習など、まだ詳しく判っていないらしく、
「こういう理由でこうなった」という決定打がないみたい。
それだけに、妄想……いや、想像が広がるねえ。
そばの層でみつかった生け贄の女性が、ひとりは仰向けで、向かい合うひとりが足元にいたために、
私は出産シーンを思い浮かべてしまいました。
主は座って埋葬されていたので、
「来世への復活・胎児ポーズ?」などと思ってしまったんだけど、
でも生け贄女性は砂の圧力でたまたま仰向けになっただけかも。
ここも、一般に知られていない遺跡ということで説明用のモニターが多かった。
たっぷり二時間体験してしまったものね。
比較的すいてたからいいものの、人が溜まりやすい構造になってるのは仕方ないのかなあ。

上野では、他にも伊勢神宮の宝物展などがあって、ここにも人が吸い込まれるように入っていました。
伊勢神宮脇にある宝物殿の中身だとしたら、現地で見てるよなあ、とパス。……えーと、たしか300円くらい(爆)だったような記憶が。
同じものなら、多分、日本刀がたくさんあるはずだけど、どうなのかな。



chikachan112 at 19:19|Permalinkclip!遊ぶ | 観る

August 15, 2009

MW −ムウー

岩本仁志監督

16年前、“沖之真船島”で島民全員が一夜で虐殺された。生き残ったのは、少年が2人だけ。長じた彼らは別の道を歩むことになる。ひとりは、神父として。そしてひとりは、冷酷な殺人者として。やがて彼らは運命に導かれ、ひとつの名前にたどり着く。16年前の悪夢、その名は、『MW(ムウ)』

原作未読で映画を観て、やっと先日、手塚治虫の原作(1976年〜78年ビッグコミック連載)を読みました。
漫画喫茶ですがね(笑)
三巻しかないから、一時間で楽勝かと思ったら、さすが33年前の漫画だ。セリフが多くて死んだわ。……ヤワになったなあ、自分。

さて、原作を読まずに観た感想としては、
「つっこみどころはあるけれど、適度にエキサイトする、アクション映画」
「もっとも、どこかで観たアクションを積み重ねた感じ。そこが邦画アクションらしいともいえるけど」
「山田孝之は厚みがたりないかも。玉木宏は魅力的な悪役っぷり」
「ラスト、もったいつける意味があるのかなあ。ラスボスを殺さずにどうするんだ」

でした。

しかし自分、あまり余計な情報を入れずに観るほうなので、

どうやら、二人は同性愛者らしい
どうやら山田くんの役は、もっと年上だったらしい
どうやら原作ファンはがっかりしているらしい

ということを後で知りました。

……え。どこに同性愛が??
たしかに同世代ではなく、諌める役割の年上か、護って貰った負い目のある年下のほうが、ええと思うよ
つか、原作ってそんなに凄い作品なの?

と思い、
「面白いが取り立てて凄くもない。ごく普通」という程度の映画だったので、原作を読んでみようと思いました。

で、感じたのは。

たしかに枝葉落として幹だけにして、
しかしベニヤ板に加工されたらこういう映画になるわね、でした。
ラスト、実は○○でしたってとこだけ原作を踏襲してるのかな。(まったくの逆効果だけど)

当時、タブーとされていることをことごとく盛り込んでみました、という巻末のコメント
(読んだのは流通してる文庫サイズじゃなく、講談社の手塚治虫漫画全集です)
などを見ると、
多分、描かれた当時はショッキングだったんだろうなあ。

でも、今読んで、そんなに「トンデモナイ」と思えなくなってしまったのは、
時代のせいなのか、この世の中の色んな害毒に侵されてしまった自分のせいなのか。
(あ、手塚治虫がこんな問題作を……的なビックリはもともとないですが。なにしろ、最初に手塚作品にふれたのは小学校のとき『火の鳥』で、何編だったかは忘れたけど、ホテイアオイが怖かった。その次が『BJ』なんで、手塚=社会派という印象)


けど、原作の持つ衝撃度というのは、
きっとそのままの形で映画にしても「今の時代」には伝わらないと思うよ。
本映画の形がいいとは思えないけれど、でも原作に光を当てることだけはできたんじゃないかな。

作品の持つ力を伝えるには、映画化する時期を逸したような気がする、というのを結論とさせていただきます。


chikachan112 at 20:27|Permalinkclip!映画 |   【ま行】