May 22, 2009

おと な  り

熊澤尚人監督

カメラマンの聡は風景写真を撮りたいと願っているが、モデルである高校時代の友人シンゴの写真でブレイクしたこともあってモデル撮影の仕事ばかりだ。一方、花屋で働く七緒はフラワーデザイナーの勉強のためにフランスへの留学を控えている。2人はアパートの「お隣り」同士だが互いの顔は知らない。しかし壁越しに聞こえてくる生活の音が、互いに互いの癒しとなっていた。そんな二人の生活に漣が立つ。きっかけはシンゴの恋人の茜と、七緒がよく行くコンビニの店員だった……。


気持ちの揺れ動きには感動したけど、話の展開には苦笑……というとこかな。

都会でひとり暮らしをしていて、
夢を持っていて、
多少は夢に手が届きかけているけれど、思い通りにはいかず、道は半ばでもがく毎日。
年齢的にもぎりぎりのような気がしている。
彼氏彼女はいない。積極的に求めているわけじゃないけど、気持ちの支えは欲しい。

そんな気持ちは、誰にだってある。
今現在がそうでなくても、過去に、未来に。また、想像もできる。


隣の部屋から聞こえる「音」。
誰かが生活している音を通して、自分も生きていることを実感する。

いい設定だと思ったし、
柔らかな印象の、気持ちのいい話だし、
壁を通して「歌う」シーンは、それぞれの気持ちや労りが伝わってきて、つい泣けてしまった。

岡田准一、麻生久美子という両主役は文句なく上手いし、
まさに等身大の描き方だし、
脇役も実力のある人を揃えてる。
スクリーンの向うで誰もが「生きている」ことが、ちゃんとわかる。


それだけに、「実は……だった」という展開には、
それでいいのかなあ? と、ちょっと気が削がれる感がありましたね。

……いや、ちゃんと伏線は張られてたけど。
……驚きの展開といえば、驚きの展開だけどさあ。

そんなウルトラCがなくても、なんか音がらみで出会わせようよ。
「音鳴り」というのが、この映画の最大の売りなのに。
そういうのが物語を見る醍醐味だろうに。

そういえば、同じ監督の『虹の女神』を観た時も、同じような感想を持ったなあ
あの時は、映像で語るべきとこを手紙で語っていて、
どうして折角の設定を活かさないのだ? と思ったんだっけ。

いい話だけに勿体ない。

……って思ったんだけど、
もしかしたらこれも、
「実は……だった」人と恋に落ちたい、というのがアラサーの大半の希望で、
自分にも同じことが訪れるかもしれないという期待が持てるじゃないかと、
身近な物語を狙ってのことなのかしらん?


chikachan112 at 01:51│clip!映画 |   【あ行】

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この記事へのコメント

1. Posted by cyaz   May 27, 2009 22:26
ちかさん、TB&コメントありがとうございましたm(__)m
起伏のない映画ながら、そんなこともありかと感じたのは主演二人の持つ雰囲気だったのでしょうか(笑)

波をたてていたのは唯一谷村美月演じる茜嬢だけでしょうか(笑)
岡田クンはその怒涛の攻撃に屈しなかったですね(笑)?
僕も大阪人ですが、東京に来てから一度も大阪人に見られたことはないですよ(笑) もっとも今は東京の方が長くなりましたが(汗)
2. Posted by ちか   May 28, 2009 23:12
こちらこそありがとうございます。

>そんなこともありかと感じたのは主演二人の持つ雰囲気だったのでしょうか(笑)

そうですね、主演二人の清々しい雰囲気もよかったし、とよた真帆さんとか池内くんとか、出演者がみな、バックボーンがちゃんと見える役割だったせいもあり、
こういう結論もありかなあ、とは思いました。
(テーマにからめた音ドラマが、最後の展開になって欲しかったようにも思うけど)

>僕も大阪人ですが、東京に来てから一度も大阪人に見られたことはないですよ(笑)

箸と橋と端、雲と蜘蛛などのイントネーションもバッチリですか?
私も生まれたのは関西圏の端(M県です)だけど、あまり方言が出ないと言われるほうです。
でも、↑などのイントネーションはダメなんですよねえ。