【か行】

July 14, 2010

恐怖

論理と感覚の間で戸惑っているような。

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February 05, 2010

ゴールデンスランバー

中村義洋監督

堺雅人秀逸。
本当に青柳にみえる。
『ラッシュライフ』では黒澤にみえてたのに。


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January 26, 2010

今度は愛妻家

行定勲監督

これは面白い。地味そうに見えてかなりの傑作です。

タイトルのせいもあって、仕掛けは、カンのいい人なら早くにわかっちゃうんですよ。

私は濱田岳が登場した時に「もしや」が確信に変わりましたが、
それ以前、「今からでかける」「俺のメシは?」とか言っている前から、宅配ピザの箱が積まれていることでわかるかもしれない。

でも仕掛けがわかっても、本当は仕掛けのことを言っているのに、「遊び人の男が妻を大事にしようと改心しつつある」「そのために周囲も気遣う」という意味にも取れるセリフやしぐさが幾つも重なっていて、
そのダブルミーニングのうまさに頷きながら観てました。
美術(衣装や小物含めて)もいちいちうまい。

そして仕掛けは、観てる人全員にわかるようにちゃんと開示がされ、
丁寧なのに間延びしていない。

でも本質はそこじゃなく、登場人物それぞれの気持ちなんですよね。
「あ!」と思わせた後もたっぷり時間がとってあるし、
ずっと引き込まれたまま。
各人の心の動きを、役者たちが表情やら間やらで、うまく表現してる。
誰かが下手打つと、ガタガタになっちゃう物語を、芸達者が見事に支えている、という感じ。
たとえばワンシーンしか映らない井川遙も、巧い。
さすがはキャスティングに秀でた行定監督。

ラスト前、どう落ち着かせるのかと思っていた話が綺麗に決まったとき、
特に石橋蓮司のセリフには、泣けてきました。

「○○が、この人の○○で良かったと思える生き方をしようと思う」

いい言葉だなあ。
……一字一句正確じゃないんだけどね(^^;


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January 24, 2010

キャピタリズム

マイケル・ムーア監督

「なるほどー」「はああ……(そしてダウナーになる)」
という以外の感想がなかなか出てこない。

でも、この映画(というかルポ?)は面白かった。
ファニーじゃなくて、インタレスティングの意味。

労働者のストのこととか、会社が勝手に賭けてた保険のこととか、
びっくりしたーじゃなく、
今頃なに言ってるの?と感じてしまう。

アメリカってスト権がないの? 本当に? だって去年か一昨年か、脚本家ストの関係でアカデミー授賞式が開けるの開けないのって言ってなかった?

会社が勝手に賭けてる保険にしても、日本では、5年……いやそれ以上前に問題になってなかった? こちらはかなり今更感あり。
(以前、派遣先で総務を担当していたときに、会社が職員に無断で保険を賭けてはいけないという理由で、本人に承諾の印鑑を貰った、、、という記憶があるんですよね。6,7年前に勤めていたとこなんですが)

金融も税金も労働問題もなにもかも、
本人が知らないと損をするということなのよね。

知っててもなかなか言えない日本人と違って、
個人主義のアメリカではガンガンに言い立てているとばかり思っていましたが……。

アメリカンドリームですべてが誤魔化されているという話も、なるほどでした。


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October 17, 2009

クヒオ大佐

吉田大八監督

クヒオ大佐・36歳は、父はカメハメハ大王の末裔で、母はエリザベス女王の妹の夫のいとこだというアメリカ人、湾岸戦争勃発の現在、日本駐在の米軍特殊部隊ジェットパイロットである。……というのはもちろん大嘘。その正体は結婚詐欺師で、弁当屋の女性経営者から金を巻き上げつつ、学芸員と銀座のホステスにも手を伸ばしているのだ。

……誰が騙されるんだよ、そんな経歴で。
と平成生まれの人は思うのかもしれないけど、マジに実在の人物です。
女性たちから一億円ほどもまき上げてたらしい。

でまた、どうして騙され続けるかな、と思わされる怪しい手口満載なんだけど、
映画の中のクヒオ大佐は、憎めないキャラクターとして描かれてます。
海千山千のホステスさんは別として、
弁当屋の彼女が騙されるのはなんかわかるなあ。

好きだから騙されてしまったというだけでなく、
自分が騙されていることを認めたら、それまでのすべてが終わってしまうような気がする。
信じていれば嘘ではなくなる、そう願ってしまうかのよう。

それこそが詐欺にまきこまれた人間の心理として怖いところではあるのだけど。

映画の中では、詐欺師であるクヒオもまた、自分の心を騙し続けることで、嘘が本当になると信じているかのようだった。

クヒオ演じる堺雅人の怪演っぷりがハナマル。
計画して騙すというより、息をするように騙していて、
彼はすでに竹内武男(本名らしいけど仮名とも聞く)ではなくなっていたのかもしれない。

ターゲットとなる3人の女性も魅力的だし、
女性経営者の弟とのかけあいもかなり笑える。

そういえば、昔『カタクリ家の幸福』(韓国映画『クワイエットファミリー』のリメイク、でもなぜかミュージカル)という映画で、忌野清志郎がクヒオ大佐をモデルにしたかのような怪しい白軍服のキャラを演じていたなあ。


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September 07, 2009

空気人形

是枝裕和監督

東京下町の古いアパートで、ある男に囲われている空気人形。どういうわけだか、彼女は「心」を持ってしまう。持つはずのない、持ってはいけない心を。やがて外の世界に出た彼女が出会ったものとは……。

今年は南極がらみの映画が多いのかな?
……じゃなくて、……いえ、説明しないほうがいいですね。
人形が主人公です。

名演で監督挨拶付き先行上映会があったので観に行ってきました。(8月28日)

是枝監督の今までの作品とは雰囲気が違いました。
人間を人間たらしめているもの、人間が人間であると認識できるものってなんだろう、なんて思いましたよ。
「めんどくさい」というセリフがなんともせつない。

ま、哲学的な部分はおいとくとして。
ペ・ドゥナ可愛い。もう、めっちゃ可愛い。
動き始めたばっかの人形演技が最高。

公開は一ヵ月後。

以下は挨拶の覚書(ネタバレ注意)↓↓
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July 01, 2009

ガマの油

役所広司監督

デイトレーダーの拓郎は、幾億をもの金を動かす男。慈愛に満ちた妻と、真面目な息子に恵まれ、自由奔放きままで豪快な日々を生きている。そんなある日、友人を迎えに行った息子が突然の交通事故に遭ってしまう。眠り続ける息子にかかってきた恋人からの電話に、つい息子のふりをしてしまい……。

若いうちに役者から転向した監督はけっこういるけど、
50くらいまでずーっと役者として生きてきた人間が監督をしてみる、というのはどういう気分なのかな。
色んな才能ある監督と組むうちに、刺激を受けたということだろうか。
原案も役所広司だそうだから、オリジナルみたいだけど。

ともあれ。
そんな情熱がほとばしったパワーのある話。
でもどこかすべってる。
気持ちが先に行き過ぎて、伝えたい(だろう)部分が伝わらなかったり、思ったより当たり前の結論になったりしてる。

親子三人の暮らしに突然の悲劇が襲い、しかしそれを乗り越えようとする……というあらすじだけ書くと、ありがちなんだけど、
そこに主人公拓郎の、子供の頃の記憶とも夢ともわからないものが混じり、
拓郎と妻、拓郎と息子の友人・恋人との会話は、すっかりコメディ。

だから観ていて面白かったし、ファンタジーと現実が混じっているところも痛いとは思わなかった。
それでもやっぱりファンタジー部分は浮いてるし、
特にラストの仏壇のシーンはどこかの宗教か仏壇屋のCMか?(「お仏壇のH」が仏具を提供してるようだけど)という気分で、
みんなでキャンピングカー生活になってるのも唐突だし、
ご先祖様を大切に……とか言われてもねえ。

と、話の流れは後半しぼんでいくのだけど、
でも演出というかシーンシーンの描き方は面白く、
特に息子の恋人「光」が、素人くさいけど生き生きとしていて、
電話のやりとりも、彼女のおばあちゃんとの裏に見え隠れする物語もよかったですよ。


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May 07, 2009

クライマーズ・ハイ

原田眞人監督

1985年8月12日。群馬の北関東新聞の記者・悠木は、翌朝、販売部の友人安西とともに、谷川岳の衝立岩に登るべく帰社するところだった。ところが突然の一報。日航123便が消えたというのだ。どうやら、群馬と長野の県境に墜落したらしい。

どこにポイントがあるのか、全然わからない話になってる。

人物関係を語ることなく現場の「雰囲気」だけを絵にしてるからか、感情が伝わらない。
たしか撮影当時の宣伝で、編集部内の絵を撮るのに、脇役もすべて演技をさせて引きで撮っていて、大変時間がかかった(だから凄い)というような話が出ていたけど、
そこにいくら力を投入しようと、他の演出がダメならどうしょうもないと思うよ。

主人公は誰なんだろう。
悠木(堤真一)より佐山(堺雅人)の方がよほど「男気良く」描けているんだけど。

山に行きそびれて大事故起きてるのに、安西に連絡取りたがってるようにしか見えない最初のほう。
佐山に締め切りが過ぎていることを伝えそこなったシーンも軽く流して。
家に帰って寝るなとは言わないけど、家族が出ていったという設定にしてるなら、あんなでかい事故の最中に戻らなくてもいいんじゃない?と感じてしまう。

もちろん、スクープを落としてしまうわけだし、家庭でも疎まれる父親だし、カッコよくある必要はないんだけど、
仕事や上司部下の軋轢の中で「苦悩」しているようすを描きこんで欲しい。
描いてるつもりだとは思うのだけど、過去の失敗がエピソードから抜かされていて、また上記のような「え?」なシーンがあるせいで、ちゃんと伝わってこないのよ。

悠木の家庭パートも説明不足。
息子とのあれこれ、安西の遺児とのあれこれ、バックボーンを語らぬまま山登りされても伝わらない。アンザイレンってなになのか山登りしない人にはわからないはず。
(ちなみに大辞泉:登山者が岩壁などを登る際に、安全のために互いにザイルで身体を結び合うこと)
しかもラストがニュージーランドって! 爆笑したよ。

原作も読んでるし、NHKのドラマ(主役は佐藤浩市)も観てるけど、映像でみるならNHKのほうが面白いですよ。
二夜分だったから描きこめたのかなと、試しにDVDをアマゾンで検索したら150分となってました。本放送で観たけど、そんなだったかな。
で、映画版は145分。
5分しかかわらないよ?? どれだけ薄い映画だったんだ……。


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May 06, 2009

グラン・トリノ

クリント・イーストウッド監督

妻に先立たれたガンコ爺さんの愛しているものは、グラン・トリノ(フォード車)と古き良きアメリカ。
朝鮮戦争の帰還兵で、フォードの自動車工として長年勤め上げ、しかし周囲の住宅街は彼の嫌いなアジア系移民ばかりになってしまった。
そんな彼が、とある事件で知り合った隣人一家と、そこに暮らす気弱な少年タオとかかわりを持っていく……。

男の子に道を示すことこそが、父親の仕事なのだろうか。

貞淑なカトリック信徒の妻と家庭を持ち、芝生のある一軒家に住まい、二人の息子を育て上げたという、理想の「形」を生きてきたことを自負するものの、
しかしその息子は自身の妻と子供の言いなりで、ライバルたる日本車のセールスマン。

息子にどう接していいかわからなかったと言いながら、タオに「男の生き様」を見せていく。

衝撃のラストというほど衝撃でもなく、むしろ日本人には納得のいく選択だったようにも感じる。
もっとも、武器には武器を!と、力で相手をねじ伏せてきたアメリカ(ひいては物語が始まったばかりのウォルト老人)にとっては、
こういう選択をするのか、という驚きはあるのだろう。

そのラストに向う道も、定型だけに丁寧に描かれていて、ゆっくりと変化が心にしみてくる。

エンドロールのグラン・トリノの歌もいいなあ。
クリント・イーストウッド本人と、『硫黄島からの手紙』の音楽も担当した子息カイル・イーストウッドの合作とのこと。


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May 04, 2009

銀河ヒッチハイク・ガイド

ddbda909.jpgガース・ジェニングス監督

その日、地球はあっけなく消滅してしまった。なぜか地球最後の生存者になったアーサーは、親友フォードに助けられて宇宙の旅へ。実はフォードは異星人で、銀河系で最も売れた本『『銀河ヒッチハイク・ガイド』の調査員だったのだ。ちなみにフォードという名は車の名前から。彼は、車が地球という星の支配者だと思って挨拶しようとし、轢かれそうになったらしい……。
原作はラジオドラマの脚本で小説版にもなっているダグラス・アダムスの同名SFパロディ。かのモンティ・パイソンの製作にも参加した人物。

『アース』の後で観たものだから、余計に笑えたよ。
イルカがジャンプを決めて見せるのは、地球滅亡の危機を人類に教える行為だとは……!

「さよなら、さよなら、いままでお魚ありがとう」という
あの歌が耳について離れない。
しかも地球滅亡の理由が、○○○○工事とは!

ユーモアと毒のある話で、コネタ満載で、実にくだらなくて、でも私は好き。
うつ状態のロボット(というか人型コンピュータ?)・マーヴィン(声優はアラン・リックマン)が銃をうつシーンにも爆笑。
写真の丸い人(人じゃないが)ですが、
このサイトの花粉予想のボールンロボの「多い」の顔に似てない?
そりゃあ暗くもなります。

一般受けはしないと思うけど、変な映画が好きな人にはおススメ。


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April 26, 2009

鴨川ホルモー

本木克英監督

我こそは京大生なり!と達成感に満ちていた四月が過ぎ、葵祭りのころにはすっかり気の抜けた安倍(二浪)。ごく普通のサークル、と繰り返す上級生の菅原に誘われ、友人の高村(帰国子女枠)とともに“京大青竜会”の新歓コンパに顔を出す。世にも美しき鼻をもつ早良(一浪)に惚れた安倍は、思わず青竜会に入部。そこには双子兄弟や、眼鏡女子の凡ちゃん、現役合格をひけらかす芦屋などがいて、風変わりながらもレジャー系サークルの粋内。しかし祇園祭宵山の四条烏丸交差点で明かされた真実は、仰天極まるものであった。

素敵に正しく阿呆な大学生活だ。
新歓コンパでタダ酒かっくらって怪しいサークルから抜けられず、
勝負がついてる三角関係に本人だけ気づかず、
他人にはまったく見えないもののために懸命の努力をし、
狂喜乱舞の発展形は裸になることで、
死闘をくりひろげつつも友情を育む。

オニがいようがいまいが、大学生がやることはかわらない。

今の大学生もああなのかしらん?と少々疑問もあるけど、
それでも基本的な部分は同じなのかも。

でもこの物語世界にはオニ……もとい、式神がいるらしい。
京の町を守るために、東西南北に位置する大学がホルモーなる対抗戦を繰り返しているらしい。
式神を操るには「言葉」と「ポーズ」が必要で、
会得するまで一年近くを要するらしい。
代替わりは二年に一度で、主人公が誘われたのは、第500代め。
つまりは千年の歴史があるわけで、
さすがは京都と言うしかない。

その京都の四季折々の風景、観光案内も散りばめられていて、
見所がある……というか観光案内を狙っているような気もするけど。
でも京都の各所や立命大他の協力もあるようだし、
なにより本物の吉田寮(京大)でも撮影されたそうで、ここは紛れもなく現在なので凄くも怖い。

無駄に筋肉がついてる(別映画のせい?)山田孝之も、不摂生で肉がついた感じに見えて良く、
濱田岳のピンクのシャンプーハットは最高で(ちょんまげは原作で知ってるしなー、と高をくくっていたからインパクト大)、
栗山千明は見事に大木凡人でした。鶏肉に喰らいついている顔がキュートです。


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March 09, 2009

クローンは故郷をめざす

f4d80d0e.jpg中嶋莞爾監督

近未来。宇宙飛行士の高原耕平は、宇宙船外での事故で殉職する。しかし彼はその直前、公には初となる合法クローン再生の契約をしていた。クローン医療の弾みになるとほくそえむ研究所の影山。当初の説明では記憶のバックアップは万全で、すべてが元の「耕平」になるはずだった。……がしかし、目覚めた再生クローンがまず話し出したのは、幼いころに死んだ双子の弟、昇のことだった……。

2006年度、サンダンス・NHK国際映像作家賞受賞脚本。中嶋莞爾は本作で商業映画監督デビュー。ヴィム・ヴェンダース製作。及川光博主演。

なかなか面白いテーマで楽しめました。
けど、あれこれ惜しいなあ、という印象。

たとえば名前のつけかた(双子の生き残るほうが大地に根ざす「耕平」で、死ぬ方が天に「昇」、妻の名前が「時枝」=時間・遺伝子の枝分かれ(双子・クローン)とかあれこれ恣意的)などみても、
きっと練りに練ってるんだとは思うのね。
だけど、逆に、考えすぎてるのか、変なとこも目に付きます。

というわけでネタバレ以下(というか、観た人しかわからない内容かもしれません)↓↓
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January 18, 2009

GOTH

高橋玄監督

森野夜はいつも黒い服を着て感情を表さないことで有名な美少女だ。彼女に近づくクラスメイトはいない。唯一、……くん、を除いては。ふたりの共通点は、猟奇殺人や死体に興味を抱く趣味を持つ「GOTH」であること。周囲からは優等生とみられている……くんと、見かけどおり独特の雰囲気を持つ夜は、とある連続殺人事件に惹かれていく……。

乙一の原作は最近でた新作も含めて読んでいるのだけど、
……くんの名前って、出ててよかったんだっけ? (っていうか、名前を忘れててヤバいですが)

ともかく、主役たる「彼」を演じた本郷奏多は、とても雰囲気出てました。
年齢が高くてもいいなら、二面性演技の巧さから堺雅人を勧めるところなんだけど、さすがに無理だよなあ、とも思ってました(舞台ならアリ?)。
それだけに、儲けものです。

森野夜役の高梨臨は棒読みが気になったけど、感情を出さないという設定だから、それでもいいのかな。ビジュアルはよい感じです。
中盤で「ショーパンのギャル」になったときは、少々引きましたが。

喫茶店の怪しげな客たちも、公園や森も小川も、雰囲気はとてもいい。

そう、「雰囲気」はいいんだけど、話は断片的になってしまった印象。
特に、○○と夜と首に巻いた紐の関係など、なぜいきなりここで追加するんだ? という感じです。
せっかくモトが短編集なのだから、人物設定などは借りるとして、新たな「別の事件」を作ってもよかったのでは? と思うのだけどなあ。
実にもったいない。


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December 31, 2008

K-20(TWENTY) 怪人二十面相・伝

佐藤嗣麻子監督
1949年の帝都。第二次世界大戦は起こらなかった、と仮定しての世界であるそこは、身分と貧富の格差が残ったままであった。街では富裕層を狙う盗賊・怪人二十面相が出現し、名探偵・明智小五郎との対決を繰り返していた。そんなある日、サーカス団の曲芸師・遠藤平吉はとあるきっかけから二十面相の罠にはまる……

2008年最後の劇場映画となりました。
とっても楽しい映画でしたね。満足。

架空世界の中で起こる物語ということもあり、
少々ベタで漫画っぽいところも「お約束」として納得。
古きよき冒険活劇で、誰もが楽しめる展開。
心を強くして前を向いて時代を変えていくのだ、というひねていないテーマが温かい。

お転婆で気の強いお嬢様と、罠にはまった貧しくも前向きな曲芸師の青年、っていうのも
古典的な萌え。
ちょっと宮崎アニメが入ったアクションも面白い。
わたしは、屋根から壁からひたすら進むあたりがルパン三世や未来少年コナンのイメージだったんだけど、
一緒に見た人はラピュタイメージと言ってましたね。

そして巨大マシーンに、思わぬ(?)敵。
ワクワクして、気持ちが浮き立ちました。


金城武はコメディが似合いますね。でも仲村トオルも思ったより似合ってた。
金城のまねをする仲村の表情の作り方がそっくりで、唸ります。


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August 06, 2008

カメレオン

阪本順治監督

伍郎は、仲間と結婚詐欺をしながら暮らす小悪党。ある日、詐欺成功の後の駐車場で、偶然、政治家の拉致現場を目撃してしまう。そのため困難な立場に立たされる仲間や伍郎。一方、伍郎は町で出会った占い師佳子に惹かれていて…。

「探偵物語(TV)」「野獣死すべし」などの脚本家丸山昇一が松田優作をアテ書きして作った話を三十年ぶりに映画にした
……ということで興味があったわけですが。

んー、いかにも松田優作イメージというか、
今見ると、どうにも古い話でした。

昭和の、しかもバブル前のハングリーな時代であれば、面白かったと思いますよ。
自分、野獣も蘇金もすごい話だと思うし、探偵物語のテーマソングが流れるとわくわくしちゃうし。

でもこれを、平成の今やられてもなあ……、という気分。

埋もれさせてしまうには勿体無い話、という製作者の気持ちはわかるんだけど、
物語には「旬」というものがあるのだと、この映画を見てつくづく感じました。

だって、主人公の過去、ただものじゃないよ。
親が他人に騙されて自殺して、その相手を殺して鑑別所送りになって、格闘技のテスト生になって、ヤクザの三下になって、どっちも放逐されて、その後アメリカ行って、傭兵になってたってんだよ? だからむちゃくちゃ強いわけ。
……なんなんだ、その大時代的な設定は。

たしかに当時の松田優作なら似合うかもしれないねえ……。


主演の藤原竜也も、少々甘いかな。
本設定では主人公は25歳とのことだけど、この話なら、もうちょっと上、30前後のほうがまだいいような。
(といっても、硬派でよさげな役者が思い浮かばない)

ヒロイン役の水川あさみも、いまひとつ。
不幸顔は似合うんだけど、爛れたような色気がない。

このふたりがサングラスをかけて雑踏の中にいる、
というシーンがあるのだけど、

あれはいかにも「松田優作&風吹ジュン」でしょう。

ついでに子分的な親友役の塩谷瞬も、本当は水谷豊でやりたかったのかも(もちろん今の水谷豊ではないよ)などと思ってしまいました。


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July 11, 2008

ぐるりのこと

橋口亮輔監督

1993年、翔子とカナオ、結婚。二人は美大時代からの友人で、出版社に勤める几帳面な翔子は妊娠中。女好きのカナオをうまくコントロールしている。カナオは先輩から法廷画家という仕事を紹介され、多少の不満はかかえつつも幸せな毎日。ところが、生まれたばかりの子どもが亡くなり、二人の間がきしみ始める。翔子はうつになり、カナオもまた、彼女を見守りながらも法廷でさまざまな事件の暗部を見ることになるのだった……。

一組のカップルの10年をじっくり描いた映画で、壊れていくさまも、再生していくさまも丁寧。
140分くらいある上映時間を感じさせません。

最後に描き上げられた天井画が、柔らかでとっても素敵。
ふたりで寝転がりながら、その絵を愛しむようすが、もとは他人だった二人がともに暮らした時間を感じさせてくれました。


……と、いい映画なんだけど、
ただなんというか、どこか地味なのね。

カナオ役のリリー・フランキーが、
アテ書きか素のままかというくらいにはまってて(実際、彼しかいないということで監督が口説き落としたらしい)、
ここぞというところで「びしっ」と決めてくれる。

頼りなさげにみえて、しかし誰よりもゆるぎないものをもっている……という彼はなかなかよいキャラ。
夫婦という名の他人だったふたり。
その一方が彼だったからこそ、結びついていられたのだと思わせてくれます。

ただそれだけに、「法廷画家」として「10年のさまざまなできごと」と関わった彼が、それぞれの事件をどう感じていたのかというか、
「法廷画家」という要素を、(映画の中で)彼に負わせた結果が、映画から見えてこないんですね。

「人の気持ちは見えない」というような台詞があったけど、
彼が「ゆるいでいない」キャラなだけに、
この職業の元でこの映画をつくる必要があったのかな? とちょっと思ってしまいました。

法廷画家とその妻、というアイディアが先にあったことも、
外のできごとを見つめつつ、内のできごとをかみ締める……というテーマも、やりたかったことはなるほどと思います。
でも、伝わってきたか? と訊ねられると、
単なる背景にしか見えてないなあと、首をひねってしまうんですよ。残念。


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June 07, 2008

幻影師アイゼンハイム

ニール・バーガー監督

家具職人の家に生まれたイリュージョニストのアイゼンハイムは、身分違いのために引き裂かれた少年時代の初恋の相手公爵令嬢ソフィと再会する。彼女はハプスブルグ家皇太子の婚約者となっていた。ソフィに気持ちを残しているアイゼンハイムは、皇太子の女性関係の悪い噂も知って、皇太子を思わず挑発してしまう。激怒した皇太子は……。

小粒の映画なんだけど、アカデミー賞の撮影賞にノミネートされただけあって、雰囲気のある画面づくりでした。
狩猟が趣味という皇太子の居城がなかなか悪趣味に素敵で、
廊下にずらああ〜とカモシカの剥製が並んでるんですわ。
ここでまず、お!とひきつけられました。

アイゼンハイムが気に食わない皇太子。
一度は自分の運命を諦めたものの、再会によって心が揺れるソフィ。
そんなソフィを救い、今度こそ手に入れたいと願うアイゼンハイム。

駆け落ちを計画した矢先、
ソフィは皇太子と会った後、死体となって見つかった。

人間を一人消す方法とは、と考えると、
ミステリ読みにはどうしてもその後の展開がわかっちゃうんだけど、
それでも「どこに仕掛けが隠されてるかな」と
裏を考えながらみるのが楽しい。
身分違いの恋物語にも見どころアリ。
(しかもロミオとジュリエットのリスペクトにもみえるんだ、これが)

この3人に上手に絡んでくるのが皇太子の手先になって動いている警部。
アイゼンハイムの敵に見えて……という人物。
物語の話者でありながら、どっちの方向に動くかな〜というオイシイ役で、オイシイ仕事をしてました。
ラストも決めてくれます。

ところで皇太子のモデルはこのルドルフ(ウィキペディアリンク)かな?

映画中に出てきた「イリュージョンで見せた父君の肖像」がフランツ・ヨーゼフ一世だったし。


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May 06, 2008

隠し砦の三悪人(1956)

黒澤明監督

戦国時代。隣国との戦いに参加して一旗上げようとした二人の百姓。しかしなんの利も得られず荒野をとぼとぼ故郷へ戻ろうとする。ところが領主が隠した軍資金を見つけたことで、お家再興を託された姫、腕利きの臣下が絡まってきて……。

ここから「スターウォーズ」のアイディアが……って話は聞いたことがあるけど、観たことのなかった映画。
リメイク(リボーン?(笑))されるということで、WOWOWでやってました。

はあ、なるほど、こんな話だったんですか。
いつになっても二人がコントをやっているので、どうなってるのかと不安だったんだけど、
姫が出た辺りから話が動き出し、敵陣突破を仕掛ける辺りから面白く見ることができました。

真壁六郎太(ミフネ)と敵方武家の田所兵衛の対決がいいねえ。
ヤマ場、雪姫も加えたやりとりが最高。
ふたりの義侠心、姫の凛とした態度、
今の時代から見ると「くさい」んだけど、
ちょっとうるっときてしまいました。

うん、やっぱりこの話の魅力は姫だ。

祭りのシーンは、北野武の「座頭市」にも引き継がれてるのかも。なんて気もしました。

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November 22, 2007

壁男

早川渉監督

街の噂をレポートするアナウンサー・響子の元に、壁男という都市伝説が届けられた。壁男は、壁の中にいて、いつも人々を見ているのだという。そうして、その番組が放映された北の街では壁男の噂が広まった。一方、響子の恋人のカメラマン・仁科も、撮影材料としての“壁”に興味を惹かれ、やがて、壁男にとり付かれていく……。

堺雅人主演、諸星大二郎原作ってことでちょっと期待してたんだけど

……外しちゃいました〜〜。

これ、ホラーなのかな。怖くないんだけど。

なんというか、すべて中途半端なんですよ。
ラストも夢なのか現実なのか妄想なのか、どっちつかずに終わらせていて。
マスコミ批判、大衆批判もちらつかせながら、でも「なんか感じ取れればいい」程度で。
感じ取れるひとにだけ感じてもらえればいいとか、思ってるのかな。

見どころは、堺雅人の狂気っぷりくらい。……か?

北海道オールロケでご当地映画でもあるらしいのだけど、
あえて「ここ札幌!」と主張もしていないようす。
それ、いいのか悪いのか。

雪が降って寒くて家の中ばかりにいる土地。
家にはかならず壁がある、
だから壁男が……なんて狙いなのかな?
それほど北海道ならではという感じはしないよ。

もっとも自分、今年始めに札幌に行っていて、
地下街のすっきりした感じは、なんとなく見覚えがあるようなーという気持ちはしたけど。
(蛇足だけど、札幌と名古屋はどこか似ていると思う。
 地下街、緑地の多い道路中公園(札・大通公園<>名・セントラルパーク)、テレビ塔、それをはさんでメイン終発着駅と繁華街が中途半端に離れているという、街の構成が)


観たのは名古屋の某映画館でした。
それなりに人は入ってたんだけど(一日一上映しかなく、その日は男性会員サービスデーだった)

いびきが。


寝たくなる気持ちはわかる内容だったけどさあ。

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November 14, 2007

クワイエットルームにようこそ

松尾スズキ監督

佐倉明日香。28歳。フリーライター。連載コラムの執筆に苦悩している最中。同棲相手はTVの構成作家。すれ違いが多い。打ち合わせの最中、届いたメールが…………、
ええ? 仏壇が戻された??
そこから明日香の記憶が飛ぶ。真っ白な部屋。繋がれた手足。覗き見てくる怪しげな少女。
わたしに何が起こったの?? ……という話。

そこは精神病院の閉鎖病棟。
入院する幾人かの人々と、自分は単なるOD(オーバー・ドーズ:薬の飲みすぎ)で誤って入所させられてしまったという明日香の対比。

彼女に何があったのかという流れで話は進み、
「へええ」と面白がりました。
蒼井優、大竹しのぶなどの入所者のリアルな演技にも感動し、
まあ、そんなこんなで物語は終わるわけですが。

自分はまともだと思っている明日香に共感しつつも、
そっかー、狂ってるかそうでないかというラインって、決められないんだなあ、と頷かされる展開。

ああ、将来マジメに考えないとね(違)





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October 06, 2007

隠された記憶

ミヒャエル・ハネケ監督

人気キャスターのジョルジュのもとに届いた不審なビデオテープ。そこには彼の家(外観)の隠し撮りが映っていた。やがてそのテープに奇妙な絵が加わり、幸せな生活を送っていた彼の心は揺さぶられていく。そしてジョルジュはやっと思い出すのだ。少年の頃の記憶を。

わかりやすい映画をとるつもりはまったくないんだろうなあ、この監督は。
と、つくづく感じた映画。

結局犯人はわからないまま、というのは、
事件の真実が明らかにされない現実をみれば充分納得できるけど、
「彼」の自殺には疑問符の嵐。
自分の命を犠牲にするほどのことなんだろうか。


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September 03, 2007

グエムル 漢江の怪物

ポン・ジュノ監督

廃液の流された漢江(ハンガン)で、謎の巨大生物が生まれた。人が襲われて喰われ、河川敷は大パニック。そこで売店を営むパク一家の娘ヒョンソも混乱の最中にさらわれる。一方、政府と軍は、怪物が病原ウィルスを持っていると発表し、その場にいた人間を隔離。ヒョンソを助け出そうとする一家は、国家権力と対立しながらも怪物を追う。

家族愛と軍への批判とモンスターパニックものと。
合成されたテーマは面白いし、スピード感もあるんだけど、
やってることがへたれてて、なんかB級映画っぽかったなあ。

アーチェリーの銅メダリストでヒョンソの叔母の役に、ペ・ドゥナが出てた。
試合のシーン(TVを通してだけど)では清楚な美人という印象で、すぐにわからなかったけど。
中盤からは上下揃いのジャージ姿&前髪パツンで高校生(日本の)のよう。
衣装によって全然雰囲気が違うのね。


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August 01, 2007

傷だらけの男たち

アンドリュー・ラウ監督

2003年クリスマスの香港。刑事のポンは上司ヘイとともに追跡中の犯人を無事逮捕。しかしその夜、ポンの家では同棲中の彼女が自殺をしていた。3年後、ポンは飲んだくれの私立探偵になり果て、一方のヘイは金持ちの一人娘と結婚する。そんなある日、ひとつの事件が起き、ポンはそれを追うことになるのだが、そこに浮び上がった容疑者が……という話。

「インファナル・アフェア」のアンドリュー・ラウ監督&トニー・レオン。そして「恋する惑星」で彼と共演した金城武。
……となりゃ、観ないわけにはいかないでしょう。

ところが1週間で地元の上映回数が半減。時間をやりくりしての鑑賞になってしまったのでした。
えー、こんないい顔合わせなのに、なんで?
ディカプリオがハリウッドでのリメイク権を買ったとかいう話も聞こえてくるのに。


とまあ、そんな外野の話はともかく、映画の話。
面白かったですよ。切なかったですよ。

「インファナル・アフェア」のヒリヒリした緊迫感、クールさはないけれど、
哀愁漂ってて、ウェットで。
ま、どっちを選ぶかというと「インファナル・アフェア」ではあるけどね。

事件の犯人は最初から見えていて、
あとは誰がどういう過程で真相に迫っていくか、
そして犯人の真の「動機」はなんなのか。
そのあたりが見所。

あとは鑑賞者が女性であれば、の限定になってしまうけど、
トニー・レオンと金城武が、垂涎もののカッコよさ&可愛さ。
雑誌のインタビューなどを読むと、金城くんはひたすら飲まされて演技してたらしい。
(……って、演技できるのかなあ?)
いやー、あのとろーんとした目つきがなんともエロくて可愛い。

香港の夜景を眺めながらのラストシーンも情緒があってよい感じです。


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June 22, 2007

キサラギ

佐藤祐市監督

一年前に自殺したB級アイドル如月ミキ。ほぼ無名の彼女だが、いまだにコアなファンはネットの掲示板で交流を続けており、一周忌のこの日、追悼オフ会を開催することになった。
かくして集まった5人の男。ハンドルネームから「なるほど」と納得される人間もいるが、「まじかよ!」と激怒される人間もいた。そして如月ミキの追悼……とされた集まりが、ひとりの男の発言によって、いつしか変化していく。
そう。その男は言ったのだった。「自殺じゃない。如月ミキは殺されたんだ!!」と。

アイドル万歳!!

じゃないや、ワンシチュエーション万歳! な、面白い映画でした。

これでもかと繰り出される展開やアクション、CG、涙と感動の怒涛の嵐。……そんな映画も面白いですよ。
でも、そういった派手さはなくとも、
ある一部屋である時間内である限定された人物だけによって物語が進められるワンシチュエーションドラマというのも、また別の面白さがあるものです。
「縛り」が多いだけに、脚本力が試されてるのだと思います。
もちろん、無駄がなく、不足もなく、限定されたキャラの設定がそれぞれに光っていて、演じる役者の力量もあって……という条件付きだけど(でなければただの自己満足なので念のため)。

笑いのなかにさまざまな伏線が紛らせてあり、
「あっと驚く」よりも、「納得してミエミエの部分も楽しむ」奥の深さ。
そしてラストにむけ、観てる人間に情報があつまっていき、スクリーンの展開が逆にじれったく感じるというのも、
ミステリよりコメディに寄っている物語にはピッタリです。

礼儀もプライドもレベル高な管理人、田舎くさい「いいひと」、調子のいい兄ちゃん、ハードボイルド気取りの男、人生の落伍者な中年おたく、という5人の男が、
それぞれ
○○だったり、XXだったり、あっとおどろく変身を遂げていたり、実は……な関係だったり、落ち込んだり救われたり、と転換する様子が、実にお見事です。

設定も巧いけど、俳優も巧いんだよね。
「オダ・ユージ」というハンドルにぴったりのユースケ・サンタマリア。わけ合って(笑)中盤までの出番は少ないのだけど、おいしいところを持っていったドラドラ塚地。そして引締め役の香川照之。「イチゴ娘」というハンドルの訳が、後で納得できます。
まあ、小栗旬と小出恵介に関しては、それぞれの役を交換してもそれなりにできるようには思ったけど、でも芸達者な3人にしっかと食いついて、物語を真面目と不真面目の両面から上手に進行しています。この若手二人の関係は、どちらかが欠けてもうまくいかない。

そしてラスト。
如月ミキの歌にあわせ、5人の男たちが狂ったように踊るようすが、
心臓にささるように、しみじみと、共感です。
解放! と、新たな気持ちの再生! なんだよねえ。あの踊りは。
アイドルって、自分のさまざまな気持ちの投影なんだもんねえ。
ミッチーライブで踊ってしまう私には、とても納得できる、アイドルに捧ぐエンドロールでした(爆)。


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June 12, 2007

きみにしか聞こえない

荻島達也監督

友だちのいない女子高生リョウ。彼女は学校で唯一、ケータイを持っていない少女だ。
そんなリョウが拾ったおもちゃのケータイ。なぜか、それにシンヤという男性からの声が繋がる。
不思議に感じながらも繋がるふたりの心。少しずつ、解放されていく気持ち。やがて互いに会いたいと思うふたりだが。

映画としての感想は、やさしく爽やかにまとまっている、かな。
ちなみに原作は、乙一の短編。

「長編小説を映画にするより、短編小説を映画にするほうが面白い」という説を聞いたことがあります。

どこまでのデータを基にしてるのかちょっと覚えてないけど、
それは、長編だと、もとの要素に縛られて、無理にあれこれ盛り込みすぎてしまうけど、
短編だと想像の羽をひろげることができる、という意味だと思ってました。

まあ、その説の真偽はわかんないんだけど、
しかし少なくともこの映画は、もとの要素、そのまんまでしたね。
短編小説を100分の尺にするためになにをしてるかというと、
想像の羽をひろげるわけではなく、もとの話を詳しくしてるだけ。
原作にはない設定(シンヤが聾唖だという設定)も盛り込んでいるんだけど、
それがどれだけ面白さを高めていたのか、疑問。
(ちなみにリアルな話をすると、生まれつきじゃなく途中で耳が聞こえなくなったようなので、喋れないはずがないんですけど。生まれつきの人にも訓練がされるんですけど)

もうひとり、頭のケータイで繋がる女性がいるのだけど、
そのひとを見せてしまってるために、逆にネタバレしてるように思うし。

原作は短いんだけど、なんか、なんでだか、泣けるんだよねえ。
物語にふさわしい長さ、ふさわしいツール(テキストとか映像とか漫画とか)ってあるのかもしれない。

とはいえ、映画も「いい話」ではありました。
いい話、やさしい話、なんだけどねえ。


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May 15, 2007

黄色い涙

犬童一心監督

昭和30年代末。漫画家、小説家、音楽家、画家、それぞれの道を極めたいと東京にでてきた若者たちがあった。彼らはひとつ部屋に集い、笑い、悩み、哀しみ、葛藤する。そんなひと夏のものがたり。

永島慎二原作で、昔、NHKドラマになったそうです。
監督がそれをみていて、ぜひやってみたい!とおもって実現した企画だとか。
青春物語プラスノスタルジー。

その狙いはわからんでもないのだけど、
若者でも昭和を懐かしむ世代でもない中間層に位置してるからかもしれないけど、
面白いとは思わなかったです。すまん。

というか、もどかしい。
無駄に自意識が高い若者、という性格付けは今にも通じるから頷けるけど、
夢を追う4人ともが最終的に中途半端に終わってて、リアルとはいえ、強弱がない。
……って、主役たる「嵐」は5人組だけどさ。
ひとりマツジュンだけがなぜか「地に足をつけている人」というキャラで、
でもほとんど出てこなくて、でも最終的に「地に足をつけた幸せ」を掴んでます。
それ……そんなに幸せか? とは思うのだけど、一応、彼は幸せらしい。

うーん。原作がそういうつくりだからと言われればそれまでだけど(永島作品は読んだ事がない)、
そんな「燃えない」物語が、面白いのかなあ。

好みの問題だからなんともいえませんが。


さて、この映画のロケ地(商店街かいわい)ですが、実は、それなりにお近くでした。
愛知県北部のまち、江南市に、古きよき(?)商店街の雰囲気が残っているとかで、
わざわざ撮りにきたそうです。

会社の同僚がこの近所に住んでるんですが、
さる06年5月末から6月はじめにかけて、ロケが行われたとか!
同僚は当然ながら仕事で見られなかったそうだけど。

クランク型に残る商店街、……って、もう半分ほどしか店が残っていないさびれた通りだそうですが、
夜、近くを通りかかったら、なんでこんなに明るいの!!って思ったほど人ばっかりだったとか(どうやら七夕祭りのシーンだったそうだ)。
「さかえや」なる食堂は、ちょっとはなれたところに元の店があって、それもまたかなり古いようだけど、
映画で使われた「店」は、つぶれた衣料品店をもとに、セットを組まれたそうです。
(公式発表じゃなく、地元の子とその母親ネットワークの話ですがね)
ええ? そうとう古い雰囲気だったよ?? てらてらの花飾りとかが電信柱にさしてあるんだよ、と映画のシーンを話したら、
「さもありなん、そのとおり」だと頷かれてしまいましたとさ。
「GWもロケ地目当ての観光客こなかったみたいだしねえ……」とも言ってましたっけ。

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March 22, 2007

県庁の星

西谷弘監督

上昇志向のつよい県庁公務員、野村。大規模プロジェクトの前段階として民間企業の人事研修のメンバーに選出されたが、しかしその派遣先は時代遅れのスーパーで、教育係はパート職員だった。……てな話。

官と民の違いを面白く描いているようですが、
いやいや民間のでかい会社の正社員だって、
公務員なんてくらべものにならないほど鼻持ちならねえぞ。
……それはともかく。

「マニュアル主義」「上司に聞かないと発言」など、たいへん笑えました。
世界の中の日本人をネタにしたジョーク集にも似たようなのがあったよね。
ええ、けっしてお役所だけの問題じゃないんですよ。
マニュアル主義。ことなかれ主義。自分は偉いんだ幻想。けっ!(<<よほど思うところがあるらしい)
ラストの一撃もリアルでよかった。
県や市の倒産も、それこそ「いま、そこにある危機」だしねー。

全体の流れにはなるほどと思わされたけど、
残念なのは、ラブロマンス要素かな。
無理に入れ込んだ感が漂ってました。

なんで、恋人に振られたからって、いきなり教育係の女性の家にいくかなあ。
それも出世のためにつきあってたよーな彼女なのに(違うかもしれませんが、あの映画では読み取れない)

なんで、男が傷心だからって、いきなりプロジェクトの現場に迎えにいくかなあ。場所聞いてたっけ?

仕事のいきさつとか、事象の流れとか、そういった理詰め事項は、後追いで説明されても納得するんだけど、
気持ちの動きってのは、その時点のキャラクターの気持ちに寄り添えてないと、
面白いとは感じられないね。


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March 19, 2007

グッドフェローズ

マーティン・スコセッシ監督

こどもの時からギャングに憧れていた主人公。仮親となるマフィアに見込まれてその世界に入り、暴力と栄光の人生を歩む。仲間も女も手に入れたと思ったものの、やがて裏切りが……。

「ディパーテッド」より面白いスコセッシ・マフィア映画と聞いたので、観てみました。
音楽の乗せ方、キレた暴力シーン、けっして頂点に立てないアイルランド系の悲哀など、なるほど「インファナル・アフェア」をスコセッシ流に料理するにあたって、本作が影響していたのだろうと思わせられる映画でした。
90年作。……つまり17年も前の話なのね。
(舞台はさらに古く、60年代から80年代で、実話に基づくらしい)

そのためか、面白いけどどこかありがちな印象。
けど、ナマの時代に見ていたら、きっと「かっこえー」と思っただろうな。
音楽もね。今は、やや時代を感じてしまうんだ。

でも俳優陣は古びないね。
デ・ニーロ、脂がのってます。
レイ・リオッタ、これが出世作だったのか。脳みそ食われるひとの印象が強くて(笑)
ジョー・ペシ、怖い。リアルな怖さ。


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December 27, 2006

g@me.

井坂聡監督

広告代理店勤務の佐久間は、決まりかけていた仕事をキャンセルされてしまう。その原因となった相手副社長の家につい足が向かってしまった佐久間。そこで、館からひとりの女性が逃げ出てくるのを目撃。愛人の子だというその女性と意気投合し、偽装誘拐の話にのる……という話

実は原作を読んでいて……つか、東野圭吾のものはたいてい読んでるんですが。
でも、適度に忘れてるんで、映画は映画として新たな気持ちで楽しめるんですね。(すばらしきわが記憶力のなさ!)

しかし今回の原作は覚えてます。
いつもなら「おお!」と驚かされるヒガビョンの話なんだけど、
この話は残念ながら展開がバレバレでそれほど面白くなかった……ということを。
(というより、「ゲームの名は誘拐」という原作のタイトルがアレなんですけど……)

今回の映画も、原作ともども、「ふーん、ありがちねー」という印象。

誘拐ゲームというか、トレンド俳優によるラブゲームというか。


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November 21, 2006

薬指の標本

ディアーヌ・ベルトラン監督

21歳のイリスは工場の事故で薬指の先を失ってしまう。それを機に工場を辞めたイリスは港町に行きつき、ある標本室で働くこととなった。そこで標本にされる品物は「自分から永遠に遠ざけたい思いのつまったモノ」だった……という話。

小川洋子の短編を、フランス映画にした……んだそうです。
同名の短編は、読んでいないのだけど、
映画は、自分のイメージする「フランス映画」そのものでした。

綺麗で、謎めいていて、空気がしっとりと濃厚。
説明や納得は求めてはいけなくて、
スクリーンを眺める「その時」に身を委ねることに意味のある映画。

観ながらあれこれと考えはするのだけど、
けれど観終わると、巻き取られたフィルムとともに、
その思考もすっとどこかに消えていってしまうような、
そんな不思議な映画でもありました。

――ある場所に絡めとられたモノがおりました――

という一文を、100分の映画にするとこうなるのかしら。

なまじなホラー映画より、よほど空恐ろしかったです。

そして、スクリーンに映し出されるすべてのものがため息が出るほど美しいので、よければ公式サイトをご覧くださいな。


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November 20, 2006

帰郷 (邦画・04)

萩生田宏治監督

母親の再婚で久しぶりに帰省したハルオは、かつて一度だけ関係のあったミユキと再会する。ミユキは小学生の娘チハルとふたりくらしだという。娘に会ってくれと言われアパートを訪ねたハルオだが、そこにはチハルがいるばかり。どうやらミユキは出奔したと感じた2人は……という話。

ハルオはチハルの父親なのかどうなのか、
……という「真相」は、
実はこの映画ではそんなにたいしたことではないみたいです。

ただ、その「謎」に直面してしまったひとりの男が、
チハルという小学生の少女と一日をすごしているうちに、
ちょっとだけ変わっていく。
ある男が「人と関わる」面白みを実感していくようすが、しみじみといい映画でした。

といっても、この男、
別段冷めているわけじゃないし、人嫌いなわけでもない。
ただなにごとにも「薄い」。
父親は早くに死んでしまったけど、母親はとても愛情豊かで愛嬌があって、
久しぶりに会う彼を暖かくむかえる田舎の友だちやご近所さんもいる。
でもそんな空気が面倒なのかなんなのか、都会にいて、彼女もなく、面白くなさそうに毎日を送っている。
感情の波が低くて、ただ生きているだけにみえる、にぶそうな男。

そういう、都会に山のようにいそうな「男A」ハルオ。
演じてるのが西島秀俊で、
薄そうな空気が実に似合ってました。

ミユキは片岡礼子。
タフだけど、中身がどこかバランスを崩しかけている様子は、
なるほどと感じたけれど、
共感はできなかったなあ。
「論理」としては納得できたけど、「感情」としてはわからない部分があれこれありました。


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November 19, 2006

木更津キャッツアイ ワールドシリーズ

金子文紀監督

ぶっさんが死んで、三年。毎日のようにつるんでいた木更津キャッツアイのメンバーは、しかしばらばらになっていた。唯一、市役所職員として木更津に残ったバンビは、巨大ショッピングセンター建築予定地で天の声を聞く。「If you build it, he will come(それを作れば彼がやって来る)」と。
そしてトウモロコシ畑を開墾するバンビの元に、昔キャッチボールをした父が……という話。

ごめん。最後の一文は嘘。
それは元ネタの、「フィールド・オブ・ドリームス」です。

テレビシリーズから映画、そして最後に総括をやって、
綺麗に「卒業」しましたね。
……という以外に、これといった感想はありません。
詳しいひとが言い尽くしていることでしょう。

それぞれのキャストの大騒ぎが楽しいです。
おおいに、笑え!


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November 10, 2006

奇談 キダン

小松隆志監督

時は、1972年。東北の“隠れキリシタンの村”にかつて預けられていたことを思い出した大学院生の里美と、異端の考古学者・稗田礼二郎は、ダムに沈むというその村で奇跡を目撃する。……という話。原作は漫画家・諸星大二郎。

山奥の村になにかがある……という世界観は好みだし、このネタは凄いと思う。(多分原作の力だろう)
でもなんかワクワクはしなかったなあ。

多分、主要人物と観客たる自分との距離。
この謎を追いかけていきたい、謎を解きたい、という強い気持ちが起こるかどうかが
どんな話でもキーポイントだと思うのだけど、
それを感じなかった。
ふたりとも冷静なんだもの。

稗田は「研究者」だから冷静でもいいけど、
里美は、変な夢を見る、かつて神隠しにあった、というのだから、「当事者」設定のはずなのに。
もっと村とか驚異とかに巻き込まれていく役割じゃないと、一緒にワクワクできないよ。
……作り手としては充分そのつもりで、演技力とか演出力のせいでノレないのかもしれないけど。

そういえばこの監督はTVドラマ「結婚できない男」とか「ドラゴン桜」とかも演出してるみたいですね。
稗田役の阿部ちゃんとの相性はいいのかな。
昔風のめがねといい、怪しげで面白かったです。
(監督はコメディのほうがあってるのでは……と思うけどねえ)

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November 09, 2006

この胸いっぱいの愛を

塩田明彦監督

九州行きの飛行機に乗り込んだヒロシ。しかし気づくと、なぜか20年前にタイムスリップしていた。そこには、子どもの頃のヒロシと、そして憧れのカズミ姉ちゃんがいた。それはまだ、カズミ姉ちゃんが生きていた時間だった……という話。

タイムトリップものとしてはよくある話だと思う。
どうしても変えたかった過去を変えるところとか、結局○○だったところとか。

泣きを入れるための演出も時々鼻をつく。

でも悪くない映画だった。

これは泣けるぞ、いやもっと泣けるのはこっちだぞ、という今の映画(だけじゃないけど)の風潮は正直好きじゃない。
病気モノ、生死モノだったら泣けるだろうという、
そういうものを要素として置いておく話は正直しらける。

だけどそれプラス、それでも生きていけ、諦めずに進んでいけ、というメッセージが
この映画ではブレずに一本ちゃんと入っていて、
そこがよかったかな。

スタンダードな話なんだけど、キャラがちょっとだけ変化球だったのもプラスポイント。
布川(勝地涼)の妙に文学的なチンピラ、カズミ(ミムラ)の不機嫌な顔が印象的。

ラストのラストは意味不明だったけどね。
あれはタイタニックを狙ったのかなあ?


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November 07, 2006

クローサー

マイク・ニコルズ監督

ロンドン。小説家志望の新聞記者と、アメリカからやってきた元ストリッパー。写真家と医師。4人の男女の関係が複雑に絡まりあう……という話。

で、その絡まってる時間が、物語の中で2年か3年かあるわけ。
あっちとこっちがくっついて離れて……という感じ。
まあ、誰が誰と絡まろうがいいんですけど、
でもこの映画って、絡まるきっかけと絡まった後は描いていたけど、葛藤が薄いというか、
観客にみせている段階では時間が飛んでいて、みなさん、結論がでていたように思うのよ。
ドラマって、決めた後じゃなく、その最中というか、
決めるまでのうだうだした気持ちこそが面白いんじゃないのかなあ。


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October 08, 2006

記憶の棘

ジョナサン・グレイザー監督

アナは愛する夫を突然失った。それから10年、再婚しようとしている彼女のもとに、ひとりの少年が現れる。少年の名は死んだ夫と同じ、ショーン。ショーンは言う。僕はきみの夫の生まれ変わりだと……という話

このストーリーラインで観る気になった映画なんだけど、
後半、正直、はあ? でした。

いやすまん。見所が違ったようです。
後でリーフレットの有名人レビューを読んでみると、「二コールが綺麗」「ニコール演じるアナの感情に共感」といったものが多かった。
たしかに褒めどころは、そこだよなあ(爆)

なるべくまっさらな気持ちで映画に入り込みたいので、必要以上の情報を入れたくないんですよね。今回は失敗した。


というわけで、本当に、心から、ニコール・キッドマンは美しかったです。
そして美しさと上手さが融合していました。
オペラ(舞台は見えないのでよくわかりませんが)を鑑賞している彼女が、
ただそこに座っているだけなのに、
気持ちがどんどんかき乱されて狂おしくなっていく様子など、惹きこまれましたね。
アナが、信じていく「さま」を描いているシーンが、もっとも観甲斐があります。

それだけに、後半の「オチ」を示されるところは辛かった。
色んな意味で、辛いわ。

以下、おかしいでしょうというところの一部↓↓↓

続きを読む

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October 06, 2006

カポーティ

ベネット・ミラー監督

カンザス州の一家四人惨殺事件。「ティファニーで朝食を」の作家トルーマン・カポーティは、事件に興味を持って取材を進める……という話。

重く、しかし人間味の溢れた話でした。
この場合の「人間味」というのは、温よりも冷に、美しさよりも醜さに属する意味でなのだけど。

この映画で描かれるカポーティという作家は、とても自分に正直な人です。
作品のために被害者友人に近づき、刑事に近づき、そして犯人に近づく。
それぞれに「友だち」と思わせて、そう思わせることのできた自分を誇っている。

しかし彼は、自分の欲望に正直なだけでなく、
自分の感情にも正直で敏感です。

興味を持つことがらに突進して、
犯人と自分の共通性に気持ちを乱し思い入れを持ち、
けれどちょっとしたきっかけで、掌を返すように離れていく。
そしてラスト近く、彼は「手を差し伸べない」。
受け止めきれなかったことと、自分の欲望のためと、両方の理由で。
その結果、つきつけられたものにショックを受ける。

はたから観ていると、とてもわがままで冷たい彼。
だが彼自身は、激情にも似たこころの揺れに押しつぶされそうになっている。

彼の多面性が、納得できてしまいました。
強い自尊心と懐疑心のはざまにいるんだろうなと。

主役のフィリップ・シーモア・ホフマンの旨さゆえでしょうね。
もちろん、本物の「カポーティ」は知らないので、この映画の物語の中で、だけど、
「ある偉大なる作家」の素顔として、リアルに感じられます。

この事件で得られた「冷血」を最後に、カポーティは寡作になってしまったそうです。

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September 03, 2006

ゲド戦記

宮崎吾朗監督

アースシーにおいて、人の世界に現れぬはずの龍が現れ、ともぐいをし、世界の秩序は乱れていた。
王の息子アレンは父を刺し、逃げ、自らの影に怯える。そんな危ういアレンを救ったハイタカ(中年期のゲド)は、なじみの女性の家に匿う。そこには親に捨てられた少女がいた。またその街近くには、永遠を手に入れたいと願う魔法使いクモがいて……、という話。

正直、中途半端でした。
もうちょっと整理するか、もうちょっと説明するか、もうちょっと強弱のある話にすれば、面白いのに……と、睡魔と闘っていました。

まあ、もうちょっともなにも、原作のある話なわけだから、切り方とか演出の仕方とかを間違えたのでしょうけど。

原作は読んでいませんが(同じ作者の「闇の左手」は高校の時に読んだ。雌雄同体設定のSFファンタジーの傑作なのかな?? 世界観も重厚だった)、
今回映画にされた部分は、原作の長いお話の真中から先のいくつからしいですね。
そこをピックアップしたのは、もちろん理由あってのことでしょうけど
今回、映画という形で見せられたそこの部分は、さほど面白いとも感じられませんでした。

命を大切に、とか、乱れた世界とか親殺し(死んだの?)とか捨てられた子とか、今の世の中にヒットしそうなモチーフだからなのかな?
けっこう崇高なテーマだとも思うんですけど、
……でも、「説教くさい」と感じてしまうほどの青臭さで作中に放置されていて、その青臭さが萎えます。

そして主人公に魅力も奥深さも見いだせなくて、展開もだらだらとしていて、大人のキャラ関係とか龍の設定とか世界のようすとか原作を読んでいることをベースに作られているようで、
……つまりは乗り切れませんでした。

絵もねえ……。キャラが可愛く魅力的に見えるどうかは主観の問題だからともかくも、
「光と影」がテーマのひとつにも関わらず、
「絵」としての「影」が、物体をちゃんと浮かび上がらせてない。
20年前のアニメかっつーほど、荒い影のつけ方で、人がぺらぺらに見え、
「違うだろ、その影の動きは!」と心で叫んでいました。>幽霊でしたが、元美術部員。

……なおこの件に関しては、翌日たまたま漫画喫茶で読んだ「日経エンターテインメント」の中に、
昔のジブリの絵を意識したとか監督談話として書かれていて、そーかあれはわざとだったのか、と思ったのだけど、
でもそれを読んでも、納得したというより、むしろ、なぜあえて? しかもこの話で? という気持ちの方が浮かんできました。
シリアスな話なんだからさー。ほのぼの物語じゃないんだからさー。
なにより、テレビ画面じゃなくてスクリーンなんだからさー。

声は、テルー役の女の子を除いて、みんな上手かったです。
有名な俳優だと、どうしても「なまの顔」が浮かんでしまい、「絵」の邪魔をするものだけど、
岡田准一なんて、彼がアテていたことは知ってたはずなのに、まったくの黒子に思えるほど上手くてビックリしました。
風吹ジュンも気丈な雰囲気があってたし、今年さまざまな役をみせてもらってる香川照之もとてもイヤらしくてバッチリです。


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August 12, 2006

皇帝ペンギン

リュック・ジャケ監督

南極大陸に生息する皇帝ペンギンの生態。……を父ペンギン・母ペンギン・子ペンギンの心の声を入れてゆっくりと見せる映画。

去年、劇場で見損ねていた一作。
遠い将来、もしも100インチなんてゆー大型のテレビを、もしくはプロジェクターとスクリーンを買えたとしたら、ぜひこいつを流しっぱなしにしたい。
……と思えました。

生き物すべてが、自然の流れのひとつなんだよなあ。


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August 06, 2006

嫌われ松子の一生

中島哲也監督

ある日、荒川の近くでひとりの中年女性の死体が発見される。彼女の名は松子。お姫様のような人生に憧れた少女は教師となったが、ある窃盗事件にからんで職を負われ、家族に縁を切られ、甥はそんな叔母がいることさえも知らなかった。彼女の怒涛に満ちた人生をミュージカル仕立てで描いた映画。

楽しい130分でした。画面もポップで音楽も踊りも楽しく、仕事後映画はしごの2本目というキツイ視聴も気にならなかったし。

松子はただひたすら、愛を求めて生きていく。
最初は父の愛。そして数々の男たちの愛。
けれどどれも得られず、次次と不幸が彼女を襲って……。
「これで人生が終わったと……思った」後も、しっかり頑張っていく姿は頼もしい。

龍(伊勢谷友介)は松子を神だといった。
なにをされても愛を与えてくれる存在だと。二度目に入った刑務所の中で、彼はやっとそれに気づく。
この順序が逆なら、二人の人生は変わっていたのでしょうね。
あとの祭りだったからこそ、ドラマとして面白いのだけど。

……たださ、ひたすらに愛を与えてくれる女って、すごく「都合のいい女」では? 
……松子は、どんな男にとっても自分は都合のいい女で、「待つ子」になっていることに気づかなかったのかな。
……それとも気づいて、自暴自棄になってゴミためのなかで生きてきたのかな。人生を立て直すこともできたのでは?

そんな松子にイマイチ感情移入ができなかったなあ。
若気の至りはあるにしても、教師を辞めるくだり、家出するくだりは完全に彼女の責任。
真ん中の、ドラマが次々展開していくあたりは伝わってくるものもあるのだけど、でもあまりにも周囲が見えていない。
どうするんだろう、と思って観ていたけど、40過ぎてからの彼女は、人生投げちゃうし。
不器用という表現がされていたけど、投げちゃう人間も不器用って言うのかな?

うーん、「下妻」の方が好き。
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」(<悲惨な人生ミュージカル代表)よりは何倍も好きですけどね。

夢を叶えられるのはひとにぎりだし、
人生なんて所詮そんなものだし、
多かれ少なかれ松子のようにあちこちで道を踏み外しながら生きていくものだし、
きっかけによって、良くも悪くも変わるのはわかるけど。

面白いけど、後味が「え?」という印象。そんな不思議な映画でした。


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May 22, 2006

グッドナイト&グッドラック

ジョージ・クルーニー監督

1953年、共産主義を恐れるあまりの上院議員マッカーシーによる赤狩り弾圧。それに立ち向かった唯一の番組、そのキャスター、エド・マロー。そんな彼にも圧力はかかる……という話。

その当時のアメリカで、赤狩りという恐怖があったことは、知識としては知っていました。
……というかその程度しか知らなかったんですけど。

だから、マッカーシーの論理を崩していくテレビクルーたちの物語は、なるほど、であり、なかなか面白いなあ、でした。
モノクロ&ジャズがつくる世界。洒落ているけど重めの映画。
楽しい話ではないけれど、引き込まれました。
特に、エド・マロー役のデヴィッド・ストラザーンの、一瞬一瞬の表情が素敵。
ライトがあたり、カメラが回っている時の様子と、
そこから外れた時の違い。
作っている表情と、自分の行っていることが引き起こすものと闘う素の表情(素といってもそれもまた演技ですが)。
落ち着こうとふかすタバコ。足元の震え。いいですねえ。

議員マッカーシーの部分は昔の映像をそのままつかっています。
視点はあくまでテレビクルー側からです。
だから一方的な感はあります。
それでも、行過ぎた赤狩りによる人権侵害を訴える彼らのドラマは面白かったです。

個人的には、伏流たるふたつのモチーフが興味深かったなあ。

ひとつはクルーの中にいるカップルのこと。
ワケありっぽく出てきてたから、何か秘密があるのだろうとは思ってました。
どちらかの家族が共産主義者の集会に参加したとか、かなと。
(話の肝となる事件も、家族がそれを疑われた程度で職を追われる……というようなものだったのです)
それがラストで上司から、
「うちが職場結婚禁止なのは知ってるね、今リストラする候補を探しているんだ」
ときたもんだ。

驚きましたよ。
……職場結婚禁止?? 内緒で結婚していたって、クビになるほどのこと? それが彼らの秘密?? なんだそれ。
――そんな時代なんだ。

もうひとつはタバコ。
みなさんタバコをくゆらせながらニュース番組に出ているんですね。
しかも「うちの番組を見ている人は知能レベルが高く…………レベルの高い方の選ぶタバコ、○○」なんてCMまで流れてる。
タバコCMをシャットアウトしてる今からみると、不思議な気分でした。
――これも時代なんだなあ。

でもどちらも、当時は普通だったことなのかなあ。

当時の普通が今の普通に切り替わるまでの間に、
今の普通を普通にするために闘った人もいるんでしょうね。
例えばタバコ業界の話なら「インサイダー」のように。

93分という上映時間の間に、そんなことを感じました。

あ、上映時間は93分だったんだけど、劇場にいたのはもっと長かったな。
途中でフィルムトラブルで止まっちゃったんだよねー。10分か20分くらい間があいたかな?

おかげで再入場券っつのを貰ってしまいましたよ。つまりタダ券ですね。
なに観ようかな〜。

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April 15, 2006

コーヒー&シガレッツ

ジム・ジャームッシュ監督

街角の喫茶店。もしくは気取ったカフェコーナー。そこで繰り広げられる11個の、コーヒーと煙草をモチーフにした短編集。

気が利いているようでいてどこかずれた会話や、シチュエーションを愉しむ話、かな。

それ、どこが面白い? と感じる話もあれば、自分の気分にぴったりの話も。

コーヒーも煙草も、栄養素のように、生きていくために絶対必要なものではないんだよね。
要らない人は全然要らない。
でも依存性があって、やめられない人はやめられない。
そのほどほどの距離感が、この映画の好き嫌いとの距離感を示しているようで面白い。
(コーヒーも煙草も嫌いな人はこの映画が嫌い、という意味ではないです。念のため)

登場する人たちも、コーヒーと煙草を持って、互いの微妙な距離を推し量っていて可笑しい。

個人的にすきなのは、「いとこ同士」と「いとこ同士?」。
「いとこ同士」はケイト・ブランシェットがセレブ女優とはすっぱな女を演じ分けていて、たまに凍りつきそうな空気が面白いし、
「いとこ同士?」は曖昧なかけひきの最後に、強烈な皮肉が襲ってきて、ニヤニヤしました。

あ、「カリフォルニアのどこかで」の、居心地の悪さも好みです。


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April 08, 2006

彼女を信じないでください

ペ・ヒョンジュン監督

仮出所になった詐欺師のヨンジュは、スリに狙われた薬剤師くんヒチョルを思わず救ってしまう。ところがその隙に、乗っていた列車においてきぼりに。自分の荷物を求めて薬剤師くんに会いに行く彼女だが、彼の家族に婚約者と間違えられてしまい……という話。

人の心を手玉にとる……はずの彼女は、心優しい女性で、薬剤師くんとも敵対関係から徐々に心通わせて、
けどそのままうまくいくはずもなく、障害が立ちふさがって、さあどうなる??

なーんて、わかりやすい展開でした。
意地悪そうな昔の「塀の中の仲間」が意外とわかるヤツってのも、恋敵(?)が妙に諦めがよかったりってのも、安易といえば安易。
ただ、笑いのなかにほんのりと感動できるエピソードを織り込んでいて、安心してみていられる映画ではありました。

たまたまカン・ドンウォン主演の映画をふたつ続けて見ましたが、
こっちの方が好みです。


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April 07, 2006

かもめ食堂

荻上直子監督

フィンランドはヘルシンキ。
日本からやってきた、合気道を生活の基盤にしているサチエが経営する「かもめ食堂」には、まだ客が一人も訪れていない。
そんな「かもめ食堂」の記念すべき第一号の客とは? 本屋で出会った女性とは?? そして“実は過去があった”ある男とは???

……というほど謎めいていません、この映画。
ほんわかして、にこにこ楽しい時間でした。

ゆったりとした空間と、美味しそうなメニュー。
日本人もフィンランド人もサーモンが好きだよね、という理由で(本当か??)
異国にきて食堂を開いたという主人公。

ストーリー展開で見せるというより、
キャラクター(多分に、俳優)の味わい深さとか、
細部の面白さとか、間合いとかで楽しむ映画ですね。

も、最初っから、コネタがおかしいです。
「かもめ」食堂に、「にゃろめ」Tシャツで客がきた、ってだけでぐふぐふしてしまいますよね。
トンミ、という自分の名前を漢字で書いて欲しい、……というのも、手元の動きからどんな漢字かわかっちゃって。
というか、他に当てられる漢字があったら教えて欲しいわ。

ガッチャマンやムーミンもツボ。
……でも、そんなコネタや同世代的な面白さだけが魅力じゃない、よね?

炊き立てのご飯とか、おむすびとか、丁寧に作られたお菜とか、
郷愁を誘う「食」に、暖かさを感じてしまうのです。
だれしも、食べずには生きていけない。
最大なる真理です。

ひとつひとつの時間を積み重ねて、
食べて、語らって、笑って、眠って。
丁寧に毎日を過ごす、過ごすことのできる喜び。

「癒しの映画」と、そんな言葉にしてしまうと
とたんに嘘臭くなってしまうおそれはあるので、
「一歩立ち止まる映画」ということにしておこう。
自分のなかで。


あ、原作つきだったようです。群ようこ氏です。<エッセイは読んだことあるけど小説は読んでないなあ。


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March 28, 2006

クラッシュ

ポール・ハギス監督

二人の黒人少年は、富豪カップルが自分たちを差別の目で見たと言い、車を奪う。強奪された車と同じ車種に乗っていたパーティ帰りの黒人カップルは、巡回中の市警察官により辱めを受ける。一方、イラク人と誤解された雑貨店のペルシャ人店主は護身用の銃を手に入れようとして口論に。日常会話程度の英語しかできない彼は銃に相応しい弾を購入することができず、娘が棚の中から選ぶ。
アメリカはLA。様々な場所で様々な人間がぶつかり、苛立っている。そんなある冬の夜、翌夜までの36時間の話。

描かれている人種差別について、自分に深い実感がないからかもしれませんが、
差別はモチーフではあるけど、それだけが本題ではないように感じました。

これは、どこででも起こりうる「人と人との衝突」の話なのではないかと。

人が何人かあつまれば、当然考え方の違いが浮き彫りになります。

相手を思い込みで判断することもある。
気分によって自分の行動が左右される。
相手の反応を深読みしたり、勘ぐることもある。
無意識の言葉が、相手を傷つけてしまう。
逆に、意味なくひねくれてしまうこともある。
誤解が傷を広げ、そして他人との間に亀裂がうまれる。

本映画では、ある夜に起きた出来事が、
翌朝にはいろんな場所でいろんな風に発展していました。
一日の間に、登場人物たちがそれぞれ動いて、
その日の夜には、昨夜とはまったく違う人間模様を描くことになります。

それぞれの心の中で解決した問題もあれば、
新たな火種も生じる。
残酷な現実を突きつけられた人もいれば、
奇跡のような幸運に恵まれた人もいる。

でもそれは、一人一人が変化したというより、
人には色んな面があるということを告げられたようでもあります。
特に二人の市警の辿った道は……。

「今」を切り取って投げてみました、とでもいわんばかりのラスト、空中からのショット。
あとは観た人がそれぞれの受け取り方で受け取ればいい、と
そんな風に感じました。

とさて、ところで以下、ネタバレ↓↓続きを読む

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March 24, 2006

コラテラル

マイケル・マン監督

タクシー運転手の主人公(ジェイミー・フォックス)が、偶然乗せたイケメン銀髪のビジネスマン(トム・クルーズ)。一晩のうちに済ませたい仕事があると大金を見せるビジネスマンだが、実は殺し屋。タクシーの中に死体まで乗せられ、この分では最後に殺されかねない。はたして主人公は、無事に朝を迎えることができるのか。

一晩の物語、というのはやっぱりスピード感がありますよね。
最悪の状況から逃れたいとじたばたする主人公の様子は見ごたえがありました。

ええ、主人公!!はあくまで、タクシーの運転手の方ですから(笑)

主人公はどちらかというと真面目なタイプ。
自分の会社を興したいという夢もある。
けれど今の生活に慣れてしまっていて、自ら夢を遠くに置いている。
母親の病気もあるけれど、
実際に行動を起こそうとしていない。

そんな主人公が、最悪の夜を過ごし、自分の足で走ろうとする。

タクシー運転手の方から映画を見ると、
クールでハードボイルドな話かな、と思っていたのが、
次第に熱くなってきて、心躍りました。

警察がところどころ間抜けだったり(職務質問から簡単に解放されるとか)、
ダンスホールの銃撃戦がご都合主義だったり、
「あれ?」と思うところも多多あったけれどね。

殺し屋は、悪魔のような天使だったのかもしれませんね。

あのラスト、彼も人生から解放されたと受け取りました。

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March 07, 2006

恋は五・七・五!

荻上直子監督

俳句甲子園。その舞台に挑むのは、帰国子女にして漢字音痴の主人公をはじめとして、見た目でチアガールを辞めさせられた女子、ウクレレを抱く不思議系女子、野球部万年補欠おどおど男子、写真部片思い妄想系男子、の5名。
もともとは、統廃合される高校名を残そうとする教師陣の思惑だったけれど、いつしか俳句にのめりこんでいく生徒たち。

おちこぼれ主人公が、理系の甲子園と言われる高専ロボットコンテストにまきこまれる『ロボコン』と同じような構成。
細かなネタに笑わされました。
中盤の、教室まるごと習字教室にしたシーンが印象的。

全体に爽やかだったけど、ちょっと物足りないというか、薄いというか。

メインの生徒、5人のキャラのせいかもしれません。
一人ずつは個性的で魅力的なんだけど、まとめるとどこか似てて、対立の面白さがなかったなあ。
特に男子は、ふたりとも弱気なタイプ。
そのせいなのか、彼らの詠んだ句に、個性の違いが感じ取れませんでした。

話のテーマが、5人ともに
「わたしはわたし」「自分らしく」ということを気付く話だから、とは思うんだけど。

対して、敵役になるアンドロイド軍団(笑)はよかったです。
キャプテン……いえ、教師の嶋田久作がいかにもだし、
クローン1号とでも呼びたい中村靖日もいい味でした。


もうひとつ残念だったこと。

最初の方の、主人公たちが海を臨む堤防脇の道を自転車で走っていくところで、
「あれ? この風景どっかで観たぞ、セカチューと同じロケ地?」と感じてしまいました。
(場所ははっきりわかりませんが、エンドロールによると愛媛です)

だからてっきり舞台全部が愛媛だと思っていたのですが、
実際、俳句甲子園は愛媛の松山で行われていたのですが、
しかし、主人公たちの高校はお茶所の静岡県という設定なのですね。

途中で「どこからどこに移動したんだっけ?」と混乱してしまいました。
気にするほどのことでもないんだけどねえ。


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March 03, 2006

キャットウーマン

ピトフ監督

かの、アカデミー賞主演女優ハル・ベリーが、
かの、ラジー賞(ゴールデン・ラズベリー賞)の授賞式に出席して漢をあげたという、本作。
(2004年度作品として2005年3月……つまり一年前に受賞)

どんなに素晴らしくぶっとんだ作品かと思ってましたが、
まあ、ふつーに、よくあるストーリーでした。

遊びすぎた、というほど遊んではいないし、
カッコいいと思って作っているのだろうし。

そこそこに注目を集めたからこそ、ラジー賞を受賞したわけで、
人に知られることなく消え去る映画より、よっぽどいいんでは?

今年の発表は現地時間で3月4日だっけ?


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February 23, 2006

逆境ナイン

羽住英一郎監督

地区大会毎年一回戦敗退の「全力学園」野球部は、その弱さゆえに廃部を迫られていた。しかしキャプテン「不屈」は校長に言う。甲子園に行ってみないか!!と。

えっと、基本的にナンセンスギャグ映画ですから、細かなとこはおいといて。

爆笑して死にそうでした。

島本和彦の原作は読んでないのですが、それはそれ、これはこれ、ってことで。

くだらねえー!! つー展開のなにもかもが笑えました。
仕事の気分転換に観たつもりが、すっかりはまってしまいました。
藤岡弘、。似合いすぎてます。
玉鉄。体張ってます。
楽しかった。それだけでいいです。


……ま、それではなんなので、舞台の話など。

観るまで気付かなかったのだけど、
ロケには三重県が全面協力していたようですね。(あ、わたし、三重出身す)

伊勢うどんと長栄軒のパンの看板に、あれ??と思ってたのだけど、
海と山が迫った風景に、どこかで見たようなと思ってたのだけど、
地区大会初戦のアナウンスを聞いて噴き出してしまいました。
三重県が舞台だったのね。

色んな学校がロケに使われたようですね。
鳥羽以南は観光でしか行ってないけど、
校門から見える風景を撮ってるのは、鳥羽高校のようですね。
丘の上から小さな街を見て、島を掠めた海(たぶん左手の端か画面外に鳥羽水族館があるはず)を写してるし。ジャスコもあるし。
つか、ジャスコ誘うのかー。いまどきの高校生でも。
遊園地が「パルケ・エスパーニア」ってのも、チープでいいねえ。
……あそこ、人、いないからロケも楽かもねえ。
五十鈴川とか、夫婦岩とか、伊勢の市街地とか、観光地もでてました。
途中で出てきた海水浴場も、志摩近辺かな。リアス式海岸の地域だから崖が浜に迫ってるんだよね。

一回戦から出てた球場は、津の市営球場の設定だけど、海の近くだったはず。背景はあんなに山がちじゃなかったかも。……ちょっと記憶あいまい。
決勝戦で出てきた球場は、四日市の霞ヶ浦の球場ですね。注釈なかったけどこっちのが大舞台ってことかな。
コンビナートの煙突や煙がマウンドの背景に写りこんでて、
そこで死闘が繰り広げられるというロケーションは、なかなかいい雰囲気です。
海からなめて、四日市コンビナートを見せて、という最初の情景は、舞台設定おいといて、
元住人としては「懐かしい!!」でした。
もっとも、このあたりを知らない人が見たらどう感じるんでしょうね。
山と海の田舎町から、いきなり工場地帯って、「?」かも。
ぱっと見、ゴジラでも出てきそうな雰囲気だしねえ(笑)

エンドロールでも、「伊勢志摩フィルムコミッション」と出てました。
最近この手のフィルムコミッションが流行ってるみたいですね。
「セカチュー」の某愛媛県では観光収入もあるようです。
それに乗っかりたいという気持ちもあるのかな?
まだ観てないけど、「埋もれ木」も三重の鈴鹿がロケに使われてるし、
この春公開される「ガメラ」も、名古屋駅のあたりを封鎖して撮ったとか??

最高に面白かった「逆境ナイン」だけど、
しかしこの映画で観光誘致できるのかどうかは、ちょいと疑問っす。


あ。追記。
ナインの中に、どっかでみた子ども(失礼!)がいると思いましたが、
『響』の「明日夢くん(栩原楽人)」でした。ショタな人も是非!!

決勝の解説者も、どっかあやしいと思いましたが、
原作者、島本和彦(エンドロールでは炎尾燃)ではないかと思われます。炎な人も是非!!

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February 19, 2006

カミュなんて知らない

柳町光男監督

……ヒトを殺したらどんな気持ちがするか試したかった。
それが少年の殺人動機だという。愛知県豊川市で起きた殺人事件をモチーフとして映画をつくるワークショップ。教授は元映画監督だが、妻の死以降、ふぬけとなっていた。学生たちもそれぞれに問題を抱えつつ、映画に意識を向けるのだが……という話

どこか懐かしい!!と思ってしまいました。

映画製作そのものの経験はありません。
自主映画を作っている友人とか、小劇団にのめりこんでる昔の同僚とか、一人で特撮映画(つか変身ヒーローものです)撮ろうとしてた大学の先輩とかはいるんですけどね。
漏れ聞く範囲で伝わる雰囲気はあるんですが、まじに世界がリアルかって聞かれると正直わからない。

でも彼らの醸し出す空気みたいなものは、懐かしかった。
サークルとかゼミとか、趣味嗜好が似通った集団のコアな雰囲気+学生特有のいいかげんさ。まんまです。
目指す目的は、この映画では「映画製作」なのだけど、
多分どんな集まりであっても、似た空気が漂ってるんじゃないでしょうか。

監督は、実際に大学(か映画学校)で学生に関わって、彼らに興味を持って、それがこの映画のきっかけになったと聞くのですが、この映画と今の学生たちの姿は近いのかな?

彼しか見えなくて、利用されてても狂気スレスレの行動を繰り返しちゃう、痛い女の子。(吉川ひなの)
目的に対して盲目で自己中心的で傲慢なのに、女にもてて、それを自覚してる男の子。(柏原収史)
有能でしっかり者で、他集団に彼がいても男の子に慕われてて、でも悩みも多く自己防衛も強い女の子。(前田愛)
軽そうに見えるけど、求めるものにのめりこんで総てをそれの栄養にしようとしてる男の子。(中泉英雄)

そして、知識は豊富だけどそこからなにも生み出してない人とか、他人を利用することしか考えていない人とか、客観的な視点が損なわれてる人とか、みこしを担ぐふりしてよっかかってる人とか。いろいろ。

まったく同一ではないけど、いるよ。いたよ。
そう感じてしまいました。

とんでもない人間しか集まってないように見えるけど、
でも、誰から見ても完璧ハナマルって人間はいないわけで。
ワガママも嘘もずるさも、そしてひたむきさも抱えてるものなんだよ。
いつのまにか、そんな剥き出しの心を隠す術を身に付けてるんだよねえ、って、今の自分は思う。

けれど、そんな「煩悩」から卒業した、と思い込んでいる教授もまた、
煩悩の罠に引っかかってしまうのですね。
やっぱり人間って変わらないものなのかも、と、思わせるとこがいいな。

画面の中の彼らがじたばたする姿を見るのは、
懐かしく、時には恥ずかしく、でも楽しかったです。


さて、映画の話に戻ります。

映画製作の準備が進むにつれ、どんどんと人間関係の軋みは大きくなっていきます。
ヒトを殺したらどんな気持ちがするかと試したかった、という少年は、正常だったのか異常だったのか。
学生たちは、討論するけど結論はでません。そして見ているものも、わからなくなってしまいます。
その少年の気持ちと、太陽がまぶしかったから人を殺したというカミュの「異邦人」が被せられます。

そしておきる、できごと。

ひとつめのある事件は、有りうるかも、と思わせてくれる。
いや、「なにかが起きる」という雰囲気が盛り上がってて、見るものに予想させてもくれました。
そしてそれがあるからこそ、ふたつめの事件(?)が、生きてきました。
有ったのか無かったのか、見ていて混沌としてしまいました。
ラストの数分、なかなかの迫力でした。


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