【さ行】

June 15, 2010

シーサイドモーテル

キャストも設定も面白いのに……(× ×)

chikachan112 at 19:37|Permalinkclip!

April 12, 2010

シャッターアイランド

マイケル・スコセッシ監督

字幕か吹替えか迷ったのですが、結局字幕にしました。
TV画面ならともかく、大画面で、いかにもな外国人が日本語を喋る、というのがどうにもあわなくて。
(『ワルキューレ』みたいに、英語VS独語というのは気にならないんですが。
 ダーリンやらベイベーやらが外国人だというなら、もちろんいいですが)

でも別に、字幕でも問題なかったです。
アナグラム部分をどう表現していたかは気になったけど、本質はそこにはないし。


「ラストの衝撃は決して話さないでください」タイプの映画で、
「二度見ないとわからない」タイプの映画。

いや、場面ごとに解釈するのは何度見ても難しいだろうし、
逆になんでもありっちゃなんでもありで、
幾通りもの解釈の正解不正解を決められるのは製作者だけじゃないの? なところがあるので鼻白むのだけど。

でもどうやってそう持っていくか、楽しめたので、アリです。

最後の最後にディカプリオの発するセリフと選択が、重みを与えてくれたかな。

chikachan112 at 14:21|Permalinkclip!

March 12, 2010

シャーロック・ホームズ

ガイ・リッチー監督

わーい、わーい、ガイ・リッチーだー。という印象。
楽しかった。

誇張はあるけど、ホームズの変人らしさがよくでてた。
ワトソン、君は元気すぎるよ。

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October 06, 2009

正義のゆくえ I.C.E.特別捜査

ウェイン・クラマー監督

ICE捜査官のマックスは不法移民たちを取り締まりながらも鬱屈を抱えていた。アメリカという移民の集まった国において、彼らを断ずることはできるのだろうか。
同僚の捜査官ハミードはイラン出身。一家でアメリカにやってきたものの、家庭に不和を抱えている。
オーストラリアからやってきたクレアは女優志望、グリーンカードの判定官コールと出会う。タズリマは幼い頃にバングラデシュから両親とともに入国。とあるレポートを提出したことでクラスの仲間からブーイングを買い……

一応、ハリソン・フォードが主人公ということになってるけど、群像劇。
幾人かのストーリーが絡まりあってます。

単純に、なにが正しくてなにが悪いかとは言えない物語。
それぞれの立場や考え方で、それぞれ生きてきた道があり、それぞれの選択があるということでしょう。
むごい部分もあるけれど、二時間たっぷり満足できる映画でした。

自分に誠実に向き合った人間の、いくたりかは報われていくのが救いかな。


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June 03, 2009

重力ピエロ

森淳一監督

遺伝子研究に携わる、大学院生の泉水。落書き消しの仕事をするフリーターの春。仲の良い兄弟である二人、優しい両親。しかしその家族には、ある秘密があった。
連続放火事件、24年前のとある犯罪、母の事故、すべてのパーツが絡まりあって……。

伊坂幸太郎はよく読む作家さんなんだけど、この話は自分の中での評価はそれほどでもなく。
初期の作品で一番好きなのは、なんといっても『ラッシュライフ』
新宿のバルト9でやるみたいだけど、地方にも来て欲しいな。

おっと、『重力ピエロ』の話でした。
そうそう、当時の感想メモを探したところ、展開がのんびりしすぎてるという印象だったようです。
ミステリの仕掛けとしては、かなり早い段階でわかっちゃったからね。
内容は悪くないのだけど、ミステリとして読んだのがまずかったのかも。(いやいや、これ、ミステリだよね)


で、映画だ。

主人公が兄なのも、彼の視点が中心なのも同じなのだけど、
映像が加わったせいもあって「家族の構図」みたいなものが鮮明になってきて、
家族ドラマ人間ドラマに重点が置かれてて、飽きませんでした。
風景と物語もマッチしてて、とても丁寧。

キャストもそれぞれの雰囲気にぴったりだと感じましたね。
ダサ理系院生というイメージを体現している加瀬亮、爽やかだけど内側の見えない岡田将生、謎のストーカー吉高由里子。
悪役を追わせるに相応しい渡部篤郎。彼の演技があるからこそ、後半の展開に説得力があるわけで。

それにしても、小日向さんのかつら姿が出るたびに笑えてきたなあ。
いくら若い頃という設定にしても、多すぎませんかね、髪。


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April 23, 2009

スラムドッグ$ミリオネア

ダニー・ボイル監督

“クイズ$ミリオネア”に出場したジャマール。彼は無学なお茶くみの青年だったが、なぜか難問を相次いで破り、残り1問までたどり着いた。しかし、不正を疑われて突然逮捕される。拷問を受けながらも、彼は胸を張る。答えはすべて、ストリートにあったのだと。

疾走する少年たち。アドレナリンを刺激する音楽。
ああ、わたしの好きなダニー・ボイルが戻ってきた!

という印象が一番強い。舞台はある意味特殊だけど。

基本はストレートな青春映画。
主人公は幾多の困難に立ち向かい、最大の危機を乗り越えて愛しい人をその手に抱く。
お約束の小道具だてに、大団円のラスト。

そうか、ボリウッド映画もこの基本に則っているんだ……と、ラストのダンスショーを観ながら納得。
あれはハッピーエンドの象徴であり、アンコールに応えてお辞儀をする役者の挨拶でもあるんだろうなあ。

2月末にあったアカデミー賞の授賞式を思い出してしまいましたよ。
本作の関係者たちは、何度かノミネートされ、壇上に呼ばれて興奮し、
そのたびに歓声に迎えられ、途中の音楽賞の場面では2曲(だったかな)踊りと歌を披露し、
そしてラスト8部門目の受賞に、最高の笑顔を見せて喜んでいました。

ムンバイから参加してる俳優さんたちが、
慣れない(実際は知りませんが、そう見えた)場所に立って目を輝かせている初々しさ、
次々に身に与えられる栄誉への戸惑いと感慨、
作品はまだ観ていないものの、こちらにも感動が伝わってきて。

そのシーンと被るような、ミリオネラのクイズシーン。
スラム育ちの孤児ということで、ラストは国中挙げての大興奮。
こういう一体感を演出するところがうまいなあ。

はたしてインドの貧困の現実を描けているのか、
貧乏も殺し合いも糞まみれのシーンも、実際、もっと過酷な状況で、あれでも十分綺麗な場所を描いている、とかいう話は聞いています。
ある男が孤児を集めて商売に利用しているエピソードがあるけど、
現実にはさらにむごく、本当の親が子供の足を折り物乞いをさせ、生活の為に子を売っているのが、インド・タイなどの姿だと、現地に赴任したことのある人から聞いたことも。
(……って書いてたら、子役のルビーナ・アリが離婚した父親に競売にかけられたやら、
 いや記事のためにでっちあげられた嘘だやら、ヲイヲイなニュースがやっていましたよ。
 真実はわからないけど、なにが真実だとしても驚かないほど「底が深い」よなあ)

とはいえ、それらを「見せられる」程度にするのが、映画という産業の役割でもあると思う。
現実と虚構をうまく織り交ぜて、そして観る人間を魅了する、
とても楽しい映画だった。

……だから日本の宣伝にあのひとは要らんと思うよ。興ざめだから。


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March 17, 2009

ジェネラル・ルージュの凱旋

中村義洋監督
愚痴外来の医師にして倫理委員会長である田口のもとに届いた匿名の投書。そこには、ERセンター長・速水が医療メーカーと癒着しているという内容が書かれていた。ジェネラル・ルージュの異名を持ち、受け入れ要請のある総ての患者を断らないことで有名な速水になにがあるのか。一方、厚生労働省の変人白鳥が骨折により再び病院にやってきて……

なぜあのCDーRにあの声が入っていたんだろう。とか、
ヘリポートって、ドクターヘリを持ってなくても消防(救急隊)がヘリを持ってたら使えると思うんだけど。そして消防でヘリを持つかどうかは自治体の問題のはずなんだけど(ドクターヘリは「医師」が乗り込むからドクターと名称がはいるんで、現地やヘリ内で治療行為ができることが売りでは?)。とか、

いろいろツッコミどころはあるんだけど、なかなかドラマティックで面白かったです。

今回は原作未読。田口が医者とは思えないくらいにトロいのは気になるけど、
他のキャラクターはそれぞれ立ってたように思います。
変人白鳥は変人ぶりをアピールし、ベテラン看護師藤原@野際陽子は如才なく、
平泉成演じる黒崎教授など、セリフを喋ったとたん、笑えるほどに平泉成でした(それ、褒めてる?)
なかでもチュッパチャプス速水医師@堺雅人が見事な存在感。

話も地味に進みながら、あれこれと謎が深まりつつ、
後半大スペクタクルになって、一気に盛り上がり。

かつて地下鉄サリン事件が起きたとき。聖路加国際病院において、非常事態宣言をアナウンスして外来をストップさせ、野戦病院さながらに大規模救急を受け入れたことがあったそうです。
聖路加ではロビー、廊下、礼拝堂などのスペースに酸素排気口が装備してあり、緊急事態に備える体制をとってあったとか。(理事長日野原重明氏の戦時中の体験によりどうしても設置したかったそうです)ありとあらゆる場所で治療を行ない、スタッフも総出で一体となったそうです。
以前聞いたことのある、この話を思い出しました。
ヒントにしたのかな?

ラストも、意外感はないものの、こうあってほしいというとおりに、綺麗に着地。
チュッパチャプスも効いてましたね。


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March 05, 2009

少年メリケンサック

宮藤官九郎監督

退社寸前のレコード会社契約社員・栗田かんなが見つけたのは、パンクバンド“少年メリケンサック”のライブ映像。これぞいけると契約交渉に臨んだものの、しかしそこにやってきたのはよれよれの「中年」ロッカー……。ありえない!と吼えるものの、なぜだかネットで人気が高まって、周囲を騙したまま”中年メリケンサック”は全国ツアーに……!?!

愛ですねえ、愛。
もちろん、パンクロック愛。おじさんバンド愛。

よれよれになってくだまきながらも、しかし誰より根っこは太いぜ。情熱負けないぜ。
おっさんそれでもかっこええやん、というのが描きたかったんだろうなあ。
しかし同時に、可愛い女の子にお世話されるのもええのお、っつー妄想が現実化したんだろうなあ。


倒れそうに可愛い宮崎あおいも、匂いそうな佐藤浩市も、情けない勝地涼もいいんだけど、
やっぱり一番は「テルヤ」の田辺誠一でしょう。


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November 09, 2008

その土曜日、7時58分

シドニー・ルメット監督

郊外ショッピングモールの宝石店に強盗が入った……。


という以外のあらすじを知らないほうがいいですよ。

なので以下隠す。(あらすじは載せません。感想だけ)
続きを読む

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August 14, 2008

ジャージの二人

中村義洋監督

とある暑い夏の日。無職の息子とカメラマンの父、そして愛犬は、北軽井沢にある山荘にでかけた。息子は妻に浮気をされており、父も再婚相手と微妙な状況。都会とは別世界のように涼しい山荘には祖母の集めた古着のジャージが置かれていて、二人はそれらに袖を通し、つかのまの休日を楽しむ……。

↑のジャージというのは、小学校の指定運動服らしく、
「●●小」というネームが左胸に記されているんですね。

なんで小学校の服が、あんだけでかい大人(鮎川誠と堺雅人)に合うんだ(笑)
……と最初思ったのだけど、
この山荘に来れば、彼らは大人ではないということなのかな。
ケータイの電波が通じないから、都会においてきた様々なものと連絡が取れない。
悩みはとりあえず棚上げとして、食べて寝て遊んで時間を過ごすことになる。

つまりジャージは、下界のしがらみから解き放たれるためのコスプレですね!!

とはいえ、あくまで山荘もジャージも「ひとときの逃げ場所」であって、
いつかは下界に戻らなくてはいけない。
ジャージになじめなかったものは早々と山を降り、また、家庭や暮らしを修復して生活と向かいあおうと考えたものは、都会に戻る。

たまにはこういう命の洗濯、田舎暮らしもいいんじゃない? と言いたいような映画。
まったり系小説などによくあるシチュエーションだけど(原作は小説)、
ジャージというのは面白いコンセプト。


しかし田舎暮らしというのは、ひたすら同じ収穫物を食べる日常でもあるのよねえ……と、
これでもかと出てくるトマトを見ながら笑ってしまいました。

……そう、うちの冷蔵庫は現在、田舎暮らしただなかにある実家から貰ってきた
大量のきゅうりとプチトマトと獅子唐で溢れています……orz


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July 07, 2008

ザ・マジックアワー

三谷幸喜監督

守加護なる港町のボスの女に手を出した備後は、命乞いのために伝説の殺し屋を探し出すことを命じられる。……といっても、アテなどない備後。そこで売れない役者の村田を雇い、村田には映画の撮影と思い込ませ、ボスには彼を殺し屋だと思わせてなんとかその場を逃れようと考える。そのため巻き起こるさまざまな騒動……というお話。

面白くは、ありました。ひきつけるほど笑ったところも。
だから満足はしてるんだけど、でも「最高傑作」ではないなあ。

正直、前作の「The 有頂天ホテル」のほうが、キレがあったように思います。


どちらも豪華キャストだし、キャラクターはそれぞれ個性的で、グランドホテル形式であっちこっちで物語が起こって絡み合って……という話なんだけど。

その絡み合い方が無理やりな感じがするのかな。

村田という男は、舞台裏を知ってる備後たちがみると俳優で、ギャングの連中からみると殺し屋なんですよね。

「有頂天……」でも、あるひとからみるとAという姿で、あるひとからみるとBという姿、というキャラクターが沢山扱われてました。
松たか子は、ホテルの人間から見るとクリーンスタッフで、津川雅彦の関係者からみるとオヤジの愛人。
役所広司は、ホテルのスタッフであり、でも元妻にはイベントの表彰者と見せかける。
篠原涼子も、売春婦でありながら、マドンナ。
麻生久美子は、ベルボーイの同窓生のスッチーで、でも本当は彼女こそオヤジの愛人。
あらかじめ知らされている場合もあれば、あとでサプライズされる場合もあるんだけど、
観客はそのギャップを愉しむわけですよね。

で、「有頂天……」は、物語が数時間の間にさくさく進むので、ギャップもどたばた感も、多少不自然でも楽しめるんですが、「ザ・マジックアワー」は数日使ってるんですよね。

いいかげん気づけよ、という気分が……。
話がもたついている、とも言えます。


種々のパロディも面白かったんだけど、
どうせやるなら、「黒い101人の女」で撃たれるのは中井貴一じゃなく、船越英一郎にしたほうがいいんじゃない?


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May 16, 2008

しゃべれどもしゃべれども

平山秀幸監督

今昔亭三つ葉は、まさに「二つ目」の落語家だ。いまいち芸がつかめていない。古典落語への情熱と、行き詰まりを感じる現実に悶々としている。そんな彼がなぜかとある三人の話し方教室の師匠となる。ひとりは愛想のない美人、ひとりは関西弁ゆえにクラスから浮いている小学生。そして解説が下手な元プロ野球選手にして元解説者。

淡々としつつも、ほっこり暖かい、そんな映画。

国分太一の不器用な噺家ぶりもよく、どのキャラクターも万事解決といかない着地点もよく、
風情のある話でした。

ラストの船の上のシーンは要るのかなあ。
なにかしらのエンドマークをつけたかったのかもしれないけど、
ちょっと唐突な感じもしましたね。


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April 15, 2008

スルース(2007)

ケネス・ブラナー監督

有名推理作家ワイクの暮らす豪邸に、野心に富んだ若い俳優マイロがやってくる。実は彼、ワイクの妻の浮気相手。ワイクに妻との離婚を迫りにきたマイロだが、現在は失業中。互いの幸福のために……とワイクが持ちかけた提案は、保険金詐欺のための泥棒。果たしてこの計画に、乗るべきかそるべきか……。

元が舞台で、72年に映画化もされてるそうです。
72年の作品とは脚本を変えているらしく、観ていないのでコメントはできないけど、
かつて若いマイロを演じたマイケル・ケインが、老人ワイクの役に。
そして今回のマイロはジュード・ロウという豪華新旧対決。(ちなみにジュード・ロウは「アルフィー」のリメイクでも昔マイケル・ケインがやった役を演じてる)

二人舞台ということもあり、セリフが中心の心理劇。化かし合い。
物語は大きく3幕に分かれていて、2幕目のあの人があの人というのはバレバレだったんだけど(でもメイクはすごく良かった)、
90分の間、どう話が進んでいくのか、目が離せない。
それだけに、ラストの解決方法はやや乱暴。
もうちょっとスマートな「絶対勝利」の方法はなかったものかと残念。

ワイクの哀しみや嫉妬は、妻を寝取られたというだけでなく、
マイロという青年の「若さそのもの」に対しても向けられているようで、
気持ちのどこかが捻じ曲がっていて、凄みを感じる。

マイロは大胆で勝手で、でもどこか虚勢を張っていて、
相手をなんとかねじ伏せてやろうというパワーに満ちていて、
エネルギーに溢れてました。

ふたりとも、とても色気があって艶かしい。
壮年と青年の色男対決を愉しませてもらいました。

ワイク「どんなホテルでも好きなところに泊まるがいい」
マイロ「じゃ、王宮に泊まってやる」
ワイク「いいとも、女王とは知り合いだ」
というやり取り(大意)には笑ってしまいました。
これも原作舞台や前作にあるのかなあ。
マイケル・ケインは「サー」の称号が与えられているから楽屋ネタかと思ったけど。

一度機会をみつけて前作を見てみたいもんです。


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April 13, 2008

死神の精度

筧昌也監督

死神「千葉」は、不慮の死が訪れる人間のそばで7日間観察し、「実行」か「見送り」かを決める役割だ。人間にさほど興味はないが、“ミュージック”は最高だと思っている。そして彼が仕事に就くときは必ず雨が降っている。クレーム処理担当のOL、昔かたぎのヤクザ、美容師の老婦人……と、彼は約40年のなかでひとつの物語をつむぐことになる……。

うー……ん。これは正直微妙でした。

筧監督は「美女缶」も好きだし、深夜ドラマの「ロス:タイム:ライフ」も好きなんだけど、
どちらも、独自アイディアの巧さと、それを処理するキレのよさや驚きが、自分的評価の大きなポイントなんだよねえ。
いずれも短編向きの資質。

今回は初の長編にチャレンジ、ということだったらしいけど、
短編をぶつぶつとつなげ合わせただけの物語にしか思えない。

というか、それもそのはずで、原作は伊坂幸太郎の短編小説。
初回(クレーム処理OLの話)を小説雑誌で、残りを単行本で読んだんだけど、
さりげなくもセンスのいい物語という印象。
「死神」というキャラはありがちだけど、伏線の張り方が巧妙なので「騙され感」がある。
特に第一話とラストの繋がりは、上記のような変な読み方のせいで「良かったねえ、いい人生だったねえ」と軽い感動を与えてくれた。

映画は、原作を読んでるせいで、「実は……」の物語を先に知ってたのがまずかったのか、
(それにしてもバレバレな使い方だったけど)
細かな演出がわざとらしく感じられたし、間延びしてる。113分も要らない。

原作付きが多少なりともプラスだったのか、それともマイナスに働いたのかはわからない。
それを見極めるためにも、今度はオリジナルでの長編映画が見てみたい。

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April 09, 2008

ジャンパー

ダグ・リーマン監督

デヴィットは川に転落したことで、自分のテレポート能力に気づく。父親との葛藤に悩んでいた彼は、能力で銀行から金を盗み、ひとり立ちをする。10年後、その能力で得た生活を満喫していた彼の元に、謎の組織「パラディン」の手が伸びて……。

話はかなり大雑把。主人公があまりに頭が悪くて呆れてしまう。
狙われてるのにうかうか親元に戻ったり彼女に会いにいったりって、どうなのよ。
まあ、でも最初から考えなしだったから、彼のキャラ的には正しい行動かもしれないけれど。

ストーリーにはのれないけど、テレポートでバトルするアクションは面白かった。
超能力っていろいろ種類があるけれど、テレポート能力しか持ってないと使い道も限られてしまうかもしれない。

そういう部分では、なるほどこの手があったか、と思いました。


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March 08, 2008

潜水服は蝶の夢を見る

ジュリアン・シュナーベル監督

昏睡状態から脱出したジャン=ドーは、しかし身体は動かず、左目だけでしかコミュニケーションを取れない状況だった。死にたいと思っても叶わない現実。やがて彼は、目のまばたきで思いを伝え、まばたきで自伝を書き始める。

脳梗塞(他・脳関係の発症)の後、
体は動かないけど意識はクリアな回復状態を
「閉じ込め症候群」とかいうらしいですね。

そんな状態で、唯一動く「目」を使って自伝を書いた「元ELLE編集長」のお話。
途中までカメラの視点が彼の「目」そのものだったので、リアルで震えました。
潰瘍ができてしまった右目を塞ぐシーンの怖さといったら……!! 

悲惨な状況に置かれながらも、
女性の唇とか胸元とかスカートが巻き上がるシーンとかに、エロい反応をする主人公。
(でもって、なぜか女性ばかりが彼の介護者として集ってるんだな)
「想像力」「性的欲求」が、人生の愉しみで、人を動かす原動力、なのかも、と、
人が、単なる動物ではなく「物思う」生物であるということを、しみじみ感じます。

フランスの俳優にこだわってキャスティングしたという話を聞きました。
もしもハリウッドテイストで作られたなら、感動させようとして「いらん小細工」をしたでしょうね。
愛人と妻とのあれこれとか、看護士目線とか子ども目線とか。
モチーフが病気系なだけに、作ろうと思えば観客の気持ちは左右できる、と思う。

感情の上下が少なくて、そのあたりは乾いているけど、
でも人の根っことか気持ちとかを「ねっとり」させた造りが自分にフィットしました。

フランス映画でよかったと、つくづく。

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January 27, 2008

ジェシー・ジェームズの暗殺

アンドリュー・ドミニク監督
アウトローヒーロー・ジェシー・ジェームズ。彼は強盗犯でありながら、南軍の人々からは英雄視されている。しかし、強盗を主導していた兄フランクは足を洗うことを考え始め、ジェシーもまた逃亡生活で神経過敏になっていた。そんなころ、彼を慕うひとりの青年がロバート・フォードが仲間に加わる。後に彼は、ジェシーを殺すことになるのだ……という話。

やや長かったけど、面白かったですねー。
実在の人物であるジェシーも、ウエスタンもなにも知らないんだけど、それでも物語の力が強いのか、目が離せない。

社交的に見えながら神経質でわがままな無法者、ジェシーを演じたブラピもいいんだけど、日陰の存在であるロバート・フォード役のケイシー・アフレックがとてもいい。

最初の登場シーンは、本当に田舎モノという感じで、喋ってる言葉も聞きづらかった。
でもジェシーに憧れて真似をして、どんどん変わっていく。
そして憧れの気持ちが少しずつ捩れていく。

憧れて、でもその憧れの誰かになりきれないところとか、憧れの相手に冷たくされることとか、
屈折していく彼の気持ちが画面の中から伝わってきて、ぞくぞくする。
うーん……わかるなあ(笑)

ケイシー・アフレックはベン・アフレックの弟なんですね。

「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち (1997)」はもちろんのこと、「チェイシング・エイミー (1997)」も「誘う女 (1995)」も観てるはずなのに、さっぱり記憶がない(をい)。

これからちゃんと注目していこうと思います。

あ、彼のお兄さん(映画の中の)チャールズを演じていたサム・ロックウェルも良かった。
ちょっと癖のある映画(「コンフェッション(2002)」とか「マッチスティックマン(2003)」)に出てます。

久しぶりに観られて嬉しい。


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January 26, 2008

スウィーニー・トッド

ティム・バートン監督

19世紀のロンドン。理髪師のスウィーニー(元ベンジャミン)は、ターピン判事によって無実の罪を着せられ、妻と娘を奪われる。15年後、脱獄し妻子のもとに戻った彼に、大家のパイ店女主人ラベットは「妻は毒をあおり、娘は養女にされた」と告げる。スウィーニーはターピンへの復讐を決意し……という話。

ブロードウェイミュージカルの映画化とあって、筋は単純。
伏線もわかりやすく、「狂人の女性」の正体も、少年のラストの行動も、予想範囲。
でも観てる二時間たっぷり笑って楽しんでという話だった。

見どころはこってりゴシックホラーな画面と、主演のジョニデ&ヘレナ・ボナム=カーターかな。
ジョニデはつくづくコスプレが似合うなあ。
でもひさしぶりに、市井の一男性というキャラクターや、その立場での「苦悩」や「気持ちの動き」を見てみたいな。「ギルバート・グレイプ」とか「フェイク」とか良かったしね。

なお、スプラッタもグロも平気なんだけど、某昆虫だけは気持ち悪かったなあ。


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October 16, 2007

サウスバウンド

森田芳光監督

上原二郎の父は、とにかく破天荒だ。ライターの仕事をしているというが、家ではゴロゴロし、しかし学校や社会といった「体制」に対しては、嬉々として吼える。一家の生計を賄っているのは喫茶店を経営している母。凛としたたたずまいの母だが、ぐうたらで破壊的な父を尊敬している。他の家族は、就職したばかりの歳の離れた姉と、可愛い妹。うすうすながらも二郎はわかっている。父はどうやら「元・カゲキハ」らしい…しかも母にも、人には言えない秘密があるらしき……という話。奥田英朗原作。

原作は読んだけど、細かいところは忘れました。
もう少しシリアスで熱い話だったように思うけど、映画はコメディに寄っている……のかな? 話の展開もいそぎすぎているような印象。西表島に渡るに到る重要人物がいないような……。
ただ、細かく比較するほど覚えてないので、展開を楽しんで観ることが出来ました。

ついでに、松山ケンイチが出てるのも知らなかったので(をい)
美味しい気分でした。

正義は他人から教えられるものではない。
自分で判断して行動すべきである。


ってあたりが、作品のテーマになってるのかな。
視点が、父・一郎と、息子・二郎との間で揺れているのが、やや見づらいところ。

見所は、トヨエツの「逆噴射」「つっぱしってる」様子。

彼のような“親”は欲しくないが(笑)、
彼のような“親戚のオジサン”なら欲しい、というのが本音かな。
そんな「世の中に迎合しない勇気」という
実行したいけどなかなか実行できないことをする「ファンタジー」を大人に見せている。

子どもはどう感じるのかな。

監督が、子どもにも見て欲しい、と言っているとどこかの記事で観ました。
狙いが当たったのかどうなのか、
わたしが観に行った回では、レイトショーなのに(笑)、小学生らしき男の子がお母さんに連れられていました。

ふうんー、と、その図を見て、
島の「校長先生」の言葉がストレートに響いてればいいなあ、なんて、
おばさん的な感想を抱いてしまいましたとさ。


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October 11, 2007

サッド・ヴァケイション

青山真治監督

中国からの密航者を手引きする仕事に就いていた健次だが、トラブルが起き、追われる身に。その後、代行運転の仕事に鞍替えし、自分を捨てた母親に再会したことをきっかけに、母の再婚先である間宮運送にもぐりこむ。同じ頃、実はワケアリの人間を受け入れる会社だった間宮運送では、バスジャック事件の生き残りの梢が職を得たばかりだった……。

健次@浅野忠信主演の「Helpless」、梢@宮崎あおい(正しい崎の字は、可の上に大ではなく立)主演の「EUREKA ユリイカ」に続く“北九州サーガの集大成”だそうです。

え……、両方観たはず、……だけど、あまり記憶がないわ(爆)

自分と父親を捨てた母親を恨み、その気持ちから離れられず復讐に囚われる健次と、
総てを置いて、周囲を赦し、自分の力で生きることを選ぶ梢。
それは、過去にからめとられてしまう「男性」と、
過去は過去として、前を見て生きる「女性」との対比なんでしょうか。

そして、母性は凄い、善も悪も包み込んでしまう、
という女性賛美もテーマに入っているようです。

……まあ、そんな辺りはわかるのだけど、
どのキャラの心情も響いてこないし、物語の時間も飛び飛びだしで、
理解力が低いせいか、ピンとこなかったのでした。

ラストの、あのアクリル板を挟んでの会話は、
むしろホラーだと思うよ。
母親の側から見ると包容力だろうけど、
子どもの側から見ると、袋から逃れられない行き詰まり。

青山監督には興味があるからつい観てしまうけど、
やっぱ、わからんかったっす。


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September 23, 2007

スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ

三池崇史監督

壇ノ浦の戦いから数百年が経ったころ。ひとりのガンマンが寒村に訪れる。そこは平家の埋蔵金が隠されているという噂の村。その金を狙って、源氏と平家の末裔ギャングたちが睨みあっていたのだった。

マカロニ・ウエスタンをもじって、スキヤキ・ウエスタン。
銃もでれば日本刀もでる。
セリフがなぜか全編英語。
オープニングでタランティーノが、「祇園精舎の金の声……」と詩を披露。
白と赤に色分けされた源氏と平家が、キモノ風グランジウエスタンな衣装をまとってバトル。

スキヤキの起源は、農具の鋤をつかって鶏肉などを焼いたところからきてるそうだけど、
この映画は、「鋤」焼きじゃなく、「好き」焼き。
好きなものばっかりごっちゃに入れて、さあ、喰えよ!という映画。

くだらないー、けどアホ臭くて面白かったです。
バカ丸出しの佐藤浩市とか、マウスピース(なのか?)でブサイクメイクをした安藤政信とか、
キレてる伊勢谷くんとか、カッコよすぎる桃井姐さんとか、
あれこれ個人的萌えどころが多くて。

まあ、もうちょっと短い時間で収めてくれればよかったとも思いますけどね。
(そうすりゃ後ろのカップルも飽きて喋ったりしなかったろう……)
あと、主役のガンマン(役名はなかったような)の目的が何だったかよくわかんなかった(爆)<<どうみても、他のキャストに喰われていました


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September 01, 2007

シッコ

マイケル・ムーア監督

アメリカの医療保険はどうなっているのか? という社会派毒舌ドキュメンタリー。

公的国民健康保険は社会主義の萌芽ってことで、アメリカ合衆国では敵視されているらしい。
ゆえに民間の保険会社が健康保険の大半を担うことになった。そのため、約4700万人がその保険料の高さに無保険状態を選ばざるを得ない。そのうえ保険に加入している国民も、保険会社からの支払い拒否に苦しみ……エトセトラエトセトラと、「あまりに酷い」エピソードをみせつけ、
次には、カナダ、イギリス、フランス、そして仮想敵国(今でもなのかしらん? ほんま敵多いなあ(笑))のキューバでの医療を賞賛。

アメリカの制度の不備にはおおいに同情。
でも、他国の状況を手放しに褒めてるとこは、ちょっと疑問。
映画では見えてないところで何らかの問題があるはずなのに、そこへのツッコミが甘いように思える。

国営の保険による無料医療ってのはすごいけど、その財源はどうなってるんだろ。
税金とか物価とか失業率とか移民率とか、映画では数値化して紹介されてない。
フランス編でちょこっと税金に触れられてたけど、富裕層のインタビューに終わってたから参考にはならなさそう。

とはいえ、つくづくアメリカの「利潤主義」っぷりは恐ろしい。
で、同時に、日本だって安寧ではないと思う。
ちょうどこの映画を見てきた日に、奈良にて妊婦受け入れ拒否で死産ってニュースがあったばかり。
保険会社の請求拒否とかごまかしとかも、ここ1、2年問題になってる。
そういや、昔の健康保険は、被保険者本人は1割負担だったよなあ……。


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July 13, 2007

図鑑に載ってない虫

三木聡監督

美人編集長から、死後の世界が見える「死にモドキ」の調査を依頼されたフリーライターのオレ。アル中の相棒エンドーとともにあちこちにぶつかるなか、自殺マニアの女性サヨコや、ヤクザの目玉のおっちゃん、三下のちょろりと出会い、生と死の秘密に近づいていく……てな?? 
話。

はてなな設定、プラス、満載の小ネタ、で構成された、毎度の三木映画。
……今回は、いまひとつでした、自分としては。

三木聡がらみの作品は、
「イン・ザ・プール」「亀は意外と速く泳ぐ」「時効警察」がインで、
「ダメジン」、本作「図鑑に載ってない虫」がアウトでした。

……ああ、「イン・ザ・プール」は原作の力が強いので、おいておくとしても。

どの話も、起こるエピソードにせよ小ネタにせよ、実にくだらないんですよねー。
しらける一歩手前の、アホくさい面白さなんですよ。

でもあるものは面白く、あるものは面白くない。

インとアウトの違いって、なんでしょうね。
自分としては、出てるキャラクターの強さにあるのかな、と思ってます。
物語を引っ張ってく強烈な個性や目的。
また逆に、そのジャンルにおいては、強烈さや目的を持たないゆえに目立ってしまうキャラ。

……だって、「刑事モノ」において、時効が成立しちゃったせいで解決しようがどうしょうがどーでもいいのに、それでも推理する。とか、
「スパイモノ」において、スパイに見えないようにひたすら平凡を追求して右往左往する。とか、
それ、ジャンルそのものを否定してるわけですよ。
否定してるがゆえに、ありえないキャラで、目立ってるんですよね。

今回は、みかけ強烈なキャラクターはいましたけど、
さほどは生かされてなかった感じ、かな??


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June 26, 2007

ゾディアック

デヴィッド・フィンチャー監督

69年、独立記念日。湖畔に車を止めたカップルが銃撃された。そして1ヶ月後、シスコの新聞社クロニクルに“ゾディアック”と名乗る犯人から声明文と暗号文が届けられる。
ゾディアックとは何者か。その後も犯行は続き、ゾディアックからの手紙も続く。記者エイブリー、漫画家グレイスミス、そして関わった刑事たちが、彼の追跡と探求に人生を支配されてしまった。アメリカで60年代末から70年代にかけ実際に起こった連続殺人事件の映画化。

主眼は謎解きじゃなく、事件を追う男たちの苦悩にあるようで。
次々に起こる残忍な事件、見えない犯人、謎の暗号、わずかな手がかり、そんな事件のなりたちも、
また、敏腕記者が酒と薬に逃げていく様子とか、暗号に夢中になった漫画化の家庭が崩壊していく様子とか、核心に近づいているのか遠のいているのかわからなくなる焦燥感とか、事件から派生した人生模様も、
どちらも、じっくりたっぷり味わえるのですが。
ですが。
……いやさ、たっぷりすぎるよ。
157分は長すぎ。

これ、未解決事件の映画化なんですよね。
事件が解決していないってことは公に知られているので、ネタバレじゃないと思うので書いてしまうけど、
こいつが犯人、っていう、結論は出ないのね。
まあ、出ないから盛り上がりに欠けちゃうってのは、仕方がない。
でももうちょっとなんとかならなかったのかな。
演出のための演出、みせかけの怖さ(に思える)シーンが、繋がらず、バラバラな印象。

アメリカではかなり有名で、相当怖がられたという事件。
「ダーティハリー」の第一作の犯人「スコーピオン」は、ゾディアックをモデルとしたそうで。(サービスなのか、映画の中でも「ダーティハリー」が使われていた)
だから「こんなこともあった」「これも必要」「ここも説明しておかなきゃ」「ここも足りない」……と、ダラダラと長くなってしまったのかもしれないね。

さて犯人どうこうの結論が出ないと上記で書いたけど、
多分こいつが犯人だろう、という、限定に近いシーンがあり、映画が終わります。
(しかしその後のDNA鑑定ではシロだったそうだ)
原作は事件に関わってきたグレイスミス自身の本で、読んでないのだけど、その結論でまとめてるのかな??
時代のせいもあって科学的な捜査方法が確立していないし、
情報も各警察間で行き渡っておらず、初動捜査もまずいし、
関係する人間がどんどん鬼籍に入ってしまうしで、
署によってはまだ捜査が続けられているらしいけれど、真相はこのまま闇の中となる可能性が高そう。

ただ、この映画を観ていると、
むしろゾディアックというのは、「“犯人と目された彼”単体」ではなく、実行犯と暗号マニアの愉快犯がいて、捜査の拙さもあって便乗犯まで呼んだ「複合体」のように思えるんだよね。
「彼」にしても、独立記念日の事件に限れば犯人かもしれない。
でも、暗号マニアも、タクシーの運転手は殺してるかもしれない(というか、本物だと見せるためにわざわざ殺したのかも。だって他の被害者と共通性ないじゃん!)。
ゾディアックというそいつは、急速に変化する時代が作った、実体のない怪物のよう。
もちろん、あくまで“クロニクルの漫画家グレイスミス”の目から見ての情報から導いたものだから、実際に起こったできごととイコールじゃないだろうけどさ。

……おっといけない。
冗長とか書きながら、自分すっかり、謎解きにはまってしまっているじゃないですか(苦笑)

まあ、退屈な部分もあったけれど、アレコレと理屈をひねくりまわすのが好きなヒトには材料として楽しめる……かも。


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June 16, 2007

ザ・シューター/極大射程

アントワーン・フークア監督

3年前、アフリカはエリトリア。米海兵隊の敏腕狙撃手スワガーは相棒のドニーとともに、敵地で取り残される。軍は彼らを置いて撤退。ドニーの絶命でスワガーは軍に愛想がつき、引退して山奥で隠遁生活を送る日々。そんな彼のもとに、大統領暗殺を察知したので協力してほしいと退役大佐がやってくる。1600メートルも先の標的を狙える場所はどこか調査しろという。しかしそれは、仕組まれた罠だった。
原作はスティーヴン・ハンターの『極大射程』(00年のこのミスで1位だったらしい。読んでないけど)。

元アーミーが主役のサバイバーなアクション映画。
80年〜90年代にかけて、シュワちゃんスタちゃんが演っていたような話ですね。
でまー、このあと、裏切り、どんぱち、ヒロインとの絡み、復讐、ヒロイン誘拐、激突、そして……となるわけですね。

でも時代の流れもあって、熱より冷。肉体より頭脳。
クール、っていうか、皮肉が利いてて冷徹なヒーローでした。

話の展開は見えているけど、
どうサバイバルしていくか、どんな手を使って、どう攻撃に転ずるか、
そこらあたりが見所でしょうか。

大統領は嫌いだ、でも前の大統領だって嫌いだ、とか、
大統領が殺されたらアメリカはならずものの国になると(大佐に)訴えられ、もう既になってると答えるとか、
愛国心とか言われるとついご用命はと答えてしまうんだ、などの台詞には、苦笑。
(……愛国心ってアーミーの萌えワードなのかい!)

どんぱちシーンはさすがにR−12、容赦がなくて、カタルシスを得られました。
射撃の名手という設定を最大限にいかしたシーンも多く、息詰る展開。

ただ、ラストの…………(以下、ネタバレ↓↓)
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May 30, 2007

スーパーマン リターンズ

ブライアン・シンガー監督

クリプトン星の痕跡がみつかったという情報を知ったクラーク・ケントことスーパーマンは、宇宙に旅立った。5年の時がすぎ、戻ってきたスーパーマン。しかし、地球には犯罪が増えており、宿敵レックス・ルーサーも富豪夫人を騙して出所。ケントはかつての職場に復帰し、再び正義の活躍を始めたのだが、しかしかつての恋人ロイス・レインには別のパートナーが……

長いわ。
154分って、この単調なストーリーでは、少々疲れます。

ブライアン・シンガー監督は、「X-MEN」の1と2を監督されたかた。
(個人的には、むしろ95年の「ユージュアル・サスペクツ」で好きな監督)
たしかにアクションシーンなどに迫力はあるし、CGも見ごたえあるのだけど、
ストーリーにさほどの強弱がないのでつまらない。

まあ、昔の恋人云々という葛藤はあるのだけど、
そこでひっぱるには、恋人レインの行動や心理に共感できないよ。
多分あの子はそうなんだろうなあ……、と思いながら観てただけに、
女性のずるさが透けて見えてイライラ。

よかったのはケヴィン・スペイシーのレックス・ルーサーくらいでしょうか。
彼も「ユージュアル・サスペクツ」、および同年の「セブン」で名を上げているけど、
どれも別のタイプの悪役でサスガという印象。
鬘のシーンは爆笑してしまいました。

ところで、クリプトン星と地球ってどのくらい離れているんだろう。
地球で現在見えている星っていうのは、
それは相手の星にとって過去の時間なのだけど。
たとえクリプトン星が見つかったにしても、そりゃとっくに死の星になってるんじゃないかと思ったのだけど。


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May 17, 2007

スパイダーマン3

サム・ライミ監督

遺伝子操作をされた蜘蛛にさされ、へたれなピーターはスパイダーマンになった。
殺されたおじさんに関するあれこれ、ハイスクールクイーンだったMJとのあれこれ、富豪の親友とのあれこれ、そして新聞社のカメラマンという立場でのあれこれ。
彼をとりまくすべてのことが、スパイダーマンとしてのピーターに関わってくる……という話。

てんこもりエンターテインメントで、面白くはありましたね。
なんせ、敵が3人だ。
まばたきするひまもありゃしない。

CGの派手さとか、物語の広がりとか、
一気にはじけて、あー、楽しかった!!

やや薄いなーという気分はありましたけどね。

おじさん殺害のうんぬんが、実は……だったり、
その犯人に、お涙ちょうだい物語があったり、
なにより、
執事――――!!
おまえ、いまさら言うかよ! だったりね。

一応この回(?)は、3部作で終わるようですが、
別の怪人をだせば別の物語もつくれるわけだし、
もっともっと楽しませて欲しいなと、思ってます。


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May 04, 2007

神童

萩生田宏治監督

言葉を覚えるよりも先にピアノを弾いたという中学生ピアニストのうた。音大ピアノ科を目指して浪人中の和音(ワオ)。ひょんなことから出会ったふたりは、和音の音大入試を通じて関わっていく。うたは周囲から期待されながらも学校ではういており、ピアノを弾くことにも反発していた。和音のストレートな情熱に刺激を受けるうただが、しかし彼女の身に……。

映像も音楽も俳優の演技や間も、
雰囲気たっぷりで美しい映画。
……けど、とても不親切な話の進め方。

萩生田監督作品は、最近『帰郷』を観たけど、
あまり状況を説明しない人なのかな。

そういう撮り方もある、とは思う。
現実社会では、会話は流れていくことも多いし、いちいち自分の背景や過去をすべて説明しないし、
もしもAというエピソードのあとに、Bというエピソードがあったとしたら、
その間に流れた時間や状況は、頭の中で補完するしかないわけだし。

けど、漫画が原作(さそうあきら・未読)で、松山ケンイチと成海璃子という若手注目株が主演していて、今時流行りの音楽モノとなれば、
もうちょっとエンターテインメントに寄ってもいいはず。

それでも語られるエピソードがベタなので、物語にはついていけます。
過干渉の母親への反発とか、その母の行動や才があるゆえに学校で浮いている状況とか、和める空間である「和音」とのやりとりとか、彼を取り巻くものへの対抗心とか。

しかしなにより大事な、神童少女「うた」のピアノに対する思いや、葛藤や、人物関係を、キレた彼女の行動のはしばしを見て、「ああ、こういうことなのかな」と
想像でしか補えないのが、隔靴掻痒。

なにせ、いきなり中盤すぎで父親の死に関するエトセトラがでてくるものなあ。
単に若くして死んだだけかと思ってたら、
洋行先で船から落ちただの、それが自殺か事故かわからないだの。

彼女の身体のことと関係があるようなので、隠しておきたかったのかしらん??

ラストもよくわからなかったなあ。
以下、展開に触れるので隠しておきますが↓↓↓
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April 24, 2007

スターフィッシュホテル

ジョン・ウィリアムズ監督

建設会社に勤める有須は平凡なサラリーマン。美人の妻を持つが、過去に浮気が一度……。それは仕事先のホテルでであった不思議な女性。人気ミステリ作家黒田の小説を彼同様好きだといっていた女性だった。そんな有須はこのところ悪夢に悩まされている。そして悪夢から出てきたかのようなウサギ男が現れ、また妻が失踪し……という話

いつ名古屋に来るのかという期待値の大きさもあったかもしれないけど、モチーフが分散してて、ちょっと中途半端な話だったなあ。

あ、期待値高というのは、主役の佐藤浩市と妻役の木村多江にでござります。
ふたりの醸し出すものに対しては大満足っすが(笑)

白ワイシャツの似合う中年サラリーマンをやらせたら、佐藤浩市。
美人ででもどこか影の漂う儚げな人妻をやらせたら、木村多江。
……妄想入ってますが、なにか。

あと、全体の雰囲気も幻想的でとても綺麗。
都会の中に口を開けている歪みや、なにかが入り込んでもわからないような喧騒。
音が包み込まれるような雪国の静謐さ、妖しい女性と出会う妖しいホテル。

ぼーんやりと画面を見ている分には、とても楽しめます。

さてお話。主人公名前からもウサギ男からもわかるように、「不思議の国のアリス」をモチーフにしてます。
ウサギとアリスの話、黒田という作家の描く謎の小説(結局どんな小説かわからないまま)、妻の失踪、二年前の浮気、ワンダーランドなるセクシャルなクラブ、悪夢。
重層的に話が進むんだけど、それぞれが絡んでいるようで、でも冷静に考えるとあまり絡んでなくてという展開。

そう。イギリスの「アリス」と、日本の「雪国の怪談めいた雰囲気」の、いいとこどりをしただけという印象が、どうも強いんだよね。(ジョン・ウィリアムズはイギリス出身)

とはいえ、それぞれのシーンが美しく、どうなるのか興味はあるので、それなりに面白く見ていたのだけど、
ラスト近くになって、
「どうしてそんなに現実的な説明と解決をもってくる?」
「とは言えども現実解決ならツッコミどころが満載では?」
という展開に、ポカーン。

これならいっそ、幻想の世界のまま終わったほうが狂ってて面白いんじゃないかなあ。

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April 21, 2007

13/ザメッティ

ゲラ・バブルアニ監督

貧しいグルジア移民の主人公セバスチャンは、屋根葺きの仕事先の家主が、大金を手に入れる算段をしていることを偶然知ってしまう。ヤク漬けだった家主は急死し、大金をもたらすだろう手紙が、セバスチャンの手元に残る。自分と家族の生活を変えるため、セバスチャンは手紙を利用することを決意。そうやってやってきた森の中の家で、彼は恐ろしい体験をすることになる。死と大金を賭けた、ロシアンルーレットを。

監督自身がグルジア出身で、ザメッティという単語も13を現すグルジア語だそうで。

ちなみにグルジアは、ここ(wikipedia)で確認を。

経済的になかなか苦しい国のよう。
そこから逃れても寒々とした暮らしを送っている様子が、モノクロの陰鬱とした画面からも伝わります。

ハリウッドリメイク(監督はそのままらしい)が決まっているとのことだけど、下手にカラーにしないほうがいい気もするなあ。
主人公のギオルギ・バブルアニは監督の弟だそうで、……まさに自主映画のノリだな(笑)
(他に、監督自身も兄役で、監督の実姉も家主の妻役で出演してる)

ストーリーラインは、単純。
命を賭けの材料にしたアンダーグラウンド組織が行う死のゲームに、
まきこまれた主人公がどうなるか。
ちょっとしたサプライズはあるけど、ひねりはない。

でも、モノクロの画面の重さや、緊迫感でひっぱってます。
クールで救いのないラストも映画のトーンに合ってて、いいなあ。


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March 27, 2007

さよならみどりちゃん

古厩智之監督

「バイト先の憧れの人」だったユタカと遂に結ばれたユウコだが、彼は「オレ、彼女いる」とあっさり。それでも彼が好きなユウコはセフレとして半年(一年半かも……)を過ごす。ユウコはユタカに命じられるがままスナックで働くこととなり……という話。

あらすじを書いていて、ろくでもない話だなあと思ってしまった(笑)。
実際、「おいおい、なにやってるんだよ」と思ってしまう「ろくでもなさ」を持った話でした。

つまらない、とはちょっと違うんですよ。
えーかげんにせんかい! とユウコとユタカを怒鳴りつけたくなる気分になるんです。

たぶんその「えーかげんにせんかい」時期が、恋愛どっぷりはまり時期なんだろうなあ、と思ってしまいました。
そうなんだよね、なんでこんな恋愛を、なんでこんな男を(女を)と、周囲や未来の自分から、呆れられたり叱られたりすることって、人間誰しもあります。
  …………いやあると、思うよ。完璧な恋愛を繰り返してきた人には
  呆れられるかもしれないけど(爆)。


ユタカは万年金欠のバイト暮らしで、前カノが訪ねてくるとその職場も放棄するいいかげんな男で、沖縄にいるという本カノみどりちゃんと別れもせずユウコの家に泊まりに来る。新人バイトの女の子とも軽口を叩き、機に乗じて寝る。
ユウコは元々嫌と言えない性格で、そんな彼の言いなりになっている。でも割り切れない気持ちが蓄積し、紛らすように行きずりの男や思いを寄せてくれた年下の男と関係を持ってしまう。

どうにも共感できない彼らの行動。
だけど、ここまで酷くはないにせよ、理性が感情に負けてしまうことはありますよね。

ダメだよそんなことやっていちゃ! とTVのこちらで幾ら叫んでも、彼らには届かない。
ま、映画の登場人物に届かないのは当たり前だけど、
「恋は盲目」状態になったひとに対しても、同じようなものかもしれないね。
助言は、別の次元からの言葉にしか思えないのかもしれない。
「好き」という感情には、誰も立ち向かえない。

ひとは正しい道ばかりを歩くものではない。

観てる間は楽しめないんだけど(ラストは弾けてて楽しめましたが)、
腹立たしくも面白い、不思議な印象の映画でした。


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March 25, 2007

シリアナ

スティーヴン・ギャガン監督

シリアの石油をめぐって世界の(本作では主にアメリカ)思惑が絡み合う。ある小国の新たな油田に王位継承権争いが重なり、複数のアメリカ石油企業やアナリストが群がる。その合併を巡り、幾人かの人生ドラマが交錯する。……という話。

うーん、こんな短い文なのに「からむ」「かさなる」「あう」と似たような単語が多くなってますね。

そこから思い計ってください、というのは大変横柄ですが、
実に、絡まりあって難しい話でした。

そりゃそうだよね、富や権利や争いのもとである石油の問題を2時間のドラマに仕上げているわけだから。
現実世界でも頭狂いそうなほど駆け引きがあるわけで、
王にも企業戦士にもその妻にもスパイにも末端の作業員にも、ものすごい影響があるわけです。

監督とともに脚本も手がけたスティーヴン・ギャガンは「トラフィック」の脚本もやってます。こちらも麻薬がからんだ3つのドラマが重なり合う話。複数視野の話がすきなのかな?

てなわけで、冒頭から30分くらいは混乱してさっぱりわかりませんでした。誰がなにを狙って、どんな立場なのか、ちんぷんかんぷん。
でも、マット・ディロンにある事件が襲い掛かってから、面白くなってきたな。

誰がなにを狙って……って書いたけど、
狙いはひとつ「石油をいかに自分の利にするか」なんかな。
兄王子とマット・ディロンの熱い言い争いには、ぐっときました。
男として「この計画」に関わりたい、世界を変えたい、と思うマット・ディロン演ずる彼の気持ちはよくわかります。

であると同時に、もしかしたら陰謀めぐらすオヤジたちも、
元は彼のように熱い思いを持ってたのかなあ……なんて想像も。

それぞれの思惑が複雑に絡まって、どこからか変化して、濁って、腐って……
このあたりが経済モノの面白さなんかなあ。

しかし物語は、実にあっけなく、かなしく、そしてとても「ありうる」と納得する形で、終焉を迎えました。
その終焉を悔しく思い、そして恐ろしさも感じました。


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March 13, 2007

叫(さけび)

黒沢清監督

東京湾岸の埋立地でみつかった赤い服を着た女の死体。捜査に加わった吉岡(役所広司)は、なぜかそこに自分の痕跡を見つける。吉岡には赤い服の女が誰なのかまったくわからない。自分が殺したはずはない。そんな吉岡の前に、女の幽霊がやってくる。あなたに逢いたかったと……。

新しい幽霊映画を描きたかった、という監督。
まあたしかに、幽霊が歩いたり人と会話したりというのは、最近のJホラーではなさげですが、
しかし、映画を観て一番感じたのは、新しさよりも
「ああ、いつもの黒沢監督っぽい」でした。

以下、ネタバレ ↓↓↓
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February 15, 2007

さくらん

蜷川実花監督

吉原に売られた8歳の少女はきよ葉と名づけられ、廓街から「自力で出て行く」ことを誓う。勝気なきよ葉はその美しさゆえに人気を呼び、周囲とぶつかりつつも、やがて花魁へと上り詰める。彼女の恋は? そして廓を出ることはできるのか?

「てめえの人生、てめえで咲かす」というキャッチコピーからもわかるように、
ひとりの遊女の半生を女の子たちへの応援歌にした映画でした。

試写会で観たので、以下は隠しておきます。↓↓(関東は2月24日から。全国公開が3月3日)
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February 09, 2007

スタンドアップ

ニキ・カーロ監督

2人の子どもを連れ、暴力夫から逃れて故郷に帰ったジョージー。彼女は子どもたちのために給料のいい鉱山で働くことにするが、そこは男の職場。悪質低脳な嫌がらせの毎日に、遂にセクハラ訴訟に踏み切る……という話。

米で初のセクハラ訴訟に勝った女性をモデルにしてるそうです。

嫌がらせのひどさ、世間の冷たさに怒り、
しかし、友情と家族の愛に涙し、
押さえるところをきちんとおさえた「上手な」話です。

実に真面目な話なんだけど、わたしには真面目すぎて退屈でした。
セクハラ問題うんぬんではなく、「映画」としてね。

あばずれ扱いされた母親を軽蔑し家出した息子と和解するところとか、
理解ある男性と友情をはぐくめるところとか。
もうちょっとセオリーをはずして欲しいなー。


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December 29, 2006

それでもボクはやってない

周防正行監督

就活にでかけた金子は電車の中で、痴漢の疑いをかけられ、被害者の女子高生に現行犯逮捕されてしまった。全面否認がために釈放もかなわず、被疑者として収監された彼。やがて裁判をむかえるのだった……という話。

1週間前、伏見ミリオンで行われた試写会で見ました。監督のティーチインつき。
とても面白い映画でした。

面白いっていうと、ちっと違いますかね。
興味深い。というか、考えさせられる。というか、実に恐ろしい。
……で、やっぱり、面白いんですよね。

しこ・ダンス・しこ・ダンスな監督のコメディを想像すると、外れます。
今回の映画、
非常にマジメな話です。
なんてったって、裁判ネタ。

でも、
とあるひとつの家族も、お坊さんも、学生相撲も、ソシアルダンスも、
中にいる人にとっては「当たり前」なことが、
外からみると「奇妙」なんですよね。
そんな、「こんな世界があったのね」という驚きや、
題材とされた特殊世界と日常世界をすりあわせたときに生ずる「ズレ」、
そこからくるおかしみ、
なんてあたりは、デビュー作からずれていないと思います。

今回、痴漢冤罪裁判ということで、
おかしさよりもやりきれなさのほうが、より強調されているんだけど。

2時間強、目を離すことができず、
そして終わってからも、気持ちの中にとぐろを巻くなにかの残る、
いい映画でした。

話の作りもいいけど、なにより、キャストがよかったです。
加瀬くん最高。
痴漢にされたなさけない系の男、そのものになりきってます。
しかしラストの彼の「つぶやき」は最高です。
いい顔に変化しています。

以下、ティーチインの話などは長くなるので隠しておきます……↓↓
続きを読む

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December 18, 2006

杉山くんたちは夜専門

佐々木睦雄 演出
堀江貴文 製作

……としかジャケに載ってなかったの。
監督は、不明です。
もとが舞台劇だからなのかなあ。
(でも映画なんだから監督担当のひとはいるはず……でわ。ご存知のかた詳細キボンヌ)

閑話休題。
これは登場人物5人の密室劇。
とある小規模な昼夜二交代勤務の工場に、ひとりの可憐なOLと怪しげな男がやってくる。彼女は当工場の夜間勤務の男性にストーカー行為を受けているのだと訴える。工員の誰がストーカーなのか。そして彼女のそばにいる男はなにものなのか……? という話

……だと思いきや、実は二転三転する、深い社会派な物語でした。
タイトルの真意に拍手です。
(とはいえ、労基署のスタッフ位置とか労災と不法滞在の関係なんかは、ありえない〜的なとこはあります。……まあ、創作物ってのは、リアルに「見えれば」いいわけなので、知らなきゃ問題視するほどのことではないんだけど)

ともあれ、
なにより面白かったのは、
労働関係をめぐる深くてヒューマンなテーマが、
ストーカーうんぬんという、恐ろしげで一般受けして、でもどこか笑えるエンターテインメントにすりかえられていたこと。

ストレートに「こいつは問題だー」と訴えるのは、簡単だと思うんですよ。
わかりやすいつくりで「泣かせる」こともできる。
そういうの、私の性格がすれてるせいもあって、鼻につくのですね。

鼻につかないように笑わせながら、ちょっぴり考えさせることって、むずかしい。

でも、そこをきっちりコメディに落としてくれたあたりが(特に前半が)面白かった。

ストーカー撃退人物にみえて、実は……という怪しい男を演じていたのが津田寛治。
ねっとりした気持ち悪さが最高です。


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December 03, 2006

Jam Films S

同じく新進気鋭監督による(?)短編映画集の3本目。で、なんで3じゃなくてSなの??

「Tuesday」 薗田賢次監督
火曜日、午後1時過ぎ。あるマンションの一室で離婚届を置き去った男は、しかし次に別の部屋にいって……という話。
マンションって怖いね、という以上の感想をもてないのですが。
整形美女はちょっとワラタ。

「HEAVEN SENT」高津隆一監督
屋上に転がった刑事と殺し屋の死体。そこに「神の使い」があらわれ、殺し屋を復活させ、3つの願いをかなえてやるといいだす……という話。
遠藤憲一主演!! 彼のみかけと中身がそのまんまストーリーになっているようで、またどこか伊坂幸太郎の小説のようで、オチは気にいっています。
神の使い役に、乙葉。エンドロールみるまで気づかなかった。意外とうまいじゃん。<それ超失礼

「ブラウス」石川均監督
地道なクリーニング屋のもとに、思い出すように上品なブラウスを出しに来る美しい女性。季節を過ごすうちにやがて彼女は人妻となるようだがどこか危うげで……。
「仕立て屋の恋」みたいな、秘めた禁欲的エロス。大杉漣のフェチなクリーニング屋はいいのだけど、小雪は色気があるのかねえ……。

「NEW HORIZON」手島領監督
朝が訪れなくなった地球の話。
うーん、すべての場所で朝がこないというのは、この地球は地道説で動いているんですか??? でもふんころがしの球体でもあるし。ファンタジーだからいいの?

「すべり台」阿部雄一監督
幼稚園のときに同級の男の子に怪我をさせたことを気にしている少女。転校を機に、その気持ちに決着をつけようと彼を呼び出して……という話。
篠原哲雄監督がかかわっていて、また山崎まさよしもでてるし、と、これ初作「Jam Films」の「けん玉」か「月キャベ」のワンシーンみたいですね。
それがプラス評価ってわけじゃないけど、とてもいいエピソードでした。
少年少女のほのかな恋と性と、そしてなにより「生!!」の激情がいいですわ。
ここまで覗き見させておいて、それかよ!!というのも最高。

「α」原田大三郎監督
近未来らしき美しい都市。ピクニックにでかけようとするカップル。プリクラのカップル。ラブホのカップル。ライブハウスのカップル。彼女彼らはどうやら……。
んー、実にありがち。そして最大の盛り上がりになるはずのシーンのCGだか特殊メイクだかがボロボロ。……似なさすぎというか演出不善というか。

「スーツ -suit-」浜本正機監督
軍隊を放棄する代わりに、国難が起ったときには英雄を選出することとしたアメリカ。日本もまたそれにならい「英雄」を選び、難に当たらせることとした。その装備を「スーツ」と呼ぶ……。
というどこか変身ヒーローものをおちょくった設定なのに、なぜかカサノバ物語に落ちてました。
爆笑です。その落差がなにより面白く、押し! ですよー。
ぐびなま、呑も! といつ言い出すかと思ったよ、小西真奈美。

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December 02, 2006

Jam Films2

新進気鋭監督による(?)短編映画集。今回は30分ほどの尺で4本。

最初のは劇場でみたけど、ここからはDVDに。

「机上の空論」小島淳二監督
日本における「交際=おつきあい=あいびき」の実体とは?? そして「偶然の出会いっぽい出会い」による恋愛とは??って話。
これがこのオムニバスの一押し。
アヤシゲ外国人による恋愛教育ビデオ(?)と実践編というのは、ちょっと「美女缶」っぽい。<どっちが先かよーわからんが
コメディとその外しが巧くて笑えました。

「CLEAN ROOM」 高橋栄樹監督
細菌・ヨゴレ・そしてそこからの感染を恐れるかのようにクリーンルームに閉じこもる少女の物語。
物語はイメージ的というかやや伝わりづらいというか、「少女所以の潔癖」に共感できる人間じゃないとまったくわかんないだろうなあ、と思える話。
映像が綺麗なこともあって、まあまあ楽しめた。

「HOOPS MEN SOUL」井上秀憲監督
ストリートバスケとボードと金貸しのバトル物語。
ごめん、さっぱり面白くなかった。騒いでるだけにしかみえん。

「FASTENER」丹下絋希監督
ウルトラマンの背中にもファスナーはある。ファスナーの内と外で、ひとの姿は違うのだ……というテーマの、夢の中にいるような話。
「CLEAN ROOM」が女子物語なら、こちらは男子物語かな? 「いいたいこと」はわかるけど、「物語の膨らみ」がつまらない。「CLEAN ROOM」に関しては逆だったので、それが性差なのかもとも思ってしまったよ。
嶋田久作の女装が見られたのが評価高。<え、見たくないですか、そうですか。


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December 01, 2006

ALWAYS 三丁目の夕日

山崎貴監督

昭和33年。東京タワーがまさに建設されようとしていたとき。とある東京は下町で暮らす人々の、こころが触れ合う物語。

マンガみたいな映画だなあと思ったら、本当にマンガ原作だった。

まずは画面。
CGで昭和30年代の背景を作ったのだと聞いたけど(正確にはVFXだっけ?) 、冒頭、汽車や駅のシーンなど見事に人物と背景が分かれていて、背景画に置かれたセル画を見ているように思える。
そうなの。なんか実写なのにアニメを観てるみたいだった。
とはいえ、見慣れてくると、その不自然さもなくなり、物語の中に入り込めた。
現代モノならひっかかるCGも、アクションやSFモノなら、「CGです」って作りでもあまり違和感を覚えないからかしらん。
この話も、どこかファンタジーに近い雰囲気があったからかなあ。

そして物語。
これは「ちょっといい話、懐かしい話」を繋げてあるわけですね?
シーンの終わりが暗転して、はい、お次の物語、となるわけね。
そしてそれぞれでオチのついたエピソードを繋げて繋げて一年(弱)を語るわけ。
このやりかたは、あれね、サザエさんみたいだ。
四コママンガの関わりあるエピソードをつなげて一話にしていった印象。
もちろん、長編映画と10分にも満たない話ではスケールが違うけど。

そんなつぎはぎの物語でも、重ねて重ねて感動させるってのは、すごいわ。
「人の絆の暖かさ」エピソードをてんこもりにすると、こうなるのかねえ。
……「お安い感」が鼻について、わたし個人はそれほど感動しなかったのだけどね(苦笑)
でも万人受けしそうだし、「淳之介」がらみの話はよかったな。

そう。俳優陣がうまい。
先の「淳之介」役の子役須賀健太くんとか、吉岡秀隆とか。
いやあ、吉岡くんは本当にダメ男が似合うねえ。そして切ないよ。ヒューマンな医者よりずっと似合う。
そして出番は少なかったけど、もたいまさこがいいねえ。
もたいまさこ、どんな風景にも溶け込んで、どんな年齢でも(さすがにセーラー服は見たくないが)自然に見えてしまうとこが好きだわ。


ところで、話よりもなによりもマンガみたいだったのが、
レンタルDVDをコピっていたのにまんまと地上波に追いつかれてしまったわたしだね。
そのうち観ようと放置してたらこれだ。ああ、情けない。


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November 26, 2006

自殺サークル(再見)

園子温監督

続編と銘打たれた「紀子の食卓」を観て
一度は本作も観ているのだけど、どこがどう繋がっているか確認したくてもう一度DVD借りてしまいました(苦笑)

2002年5月、新宿駅のホームで、女子高生54人が手を繋いで電車に飛び込んだ。あたりは血に染まり、所轄の刑事たちがそれを調べるが、彼女たちは制服もバラバラでどんな繋がりかわからない。やがてその事件を追うかのように、別々の場所で様々なひとびとが「自殺」を決行していく。そして、そんな彼らの死に呼応するかのようにあるサイトで、死亡者の数をカウントするマークが増えていく。……それは「廃墟ドットコム」というアングラサイトだった……という話。

03年に観た時も「……わからない」と思ったのだけど、
今回もやっぱりわかりませんでしたわ(爆)

センセーショナルな集団自殺というかなり魅力的な物語のスタートなのだけど、
後半、謎解きがされるにつれて、いっそう謎が深まるというか、整合性がとれないというか。
いやもともと、整合性なんて取るつもりのない物語なのでしょうなあ。
「紀子」を観て、この映画を再度見直してみて、それが改めてわかりました。
ちなみに「紀子」の方でも、この事件の裏を説明してましたが、
本映画とは繋がらないです。
(それでも「紀子」の方が、理に落ちる説明だったけど)

説明になっていないくせに、連続する自殺に関して、まるでバックがあるように物語を進めてしまったのが、本作の敗因(勝手に負けと言っちゃってますが)では。
特に、刑事という「物語を整理すべき立場の人間」側から描いたのがまずかったんじゃないかなあ。
あと、観客を呼ぶためなのか、さとう珠緒とか宝生舞とか付け加えのようなエピソードも鼻につくし。

とりあえず、本作と「紀子の食卓」とが関係しているかどうかを確認できたのでよしとします。

さてところで、DVDには映像特典として、54人自殺シーンについて監督コメントが(文章だけど)入れられていて、撮影秘話としてはなかなかGOODでした。
54人では見る角度によっては少なく見えるから、実際には100人くらい並ばせたシーンがあるとか、
血糊だけだとリアリティに欠けるから、肉片を混ぜたとか、
自殺者の身体が列車に飛び込んでくることがあるらしいからそうしたとか、
なるほど。なるほど。

でも、リアリティを追求するならさあ、

女子高生とはいえ54人もの人間が
いっぺんに飛び込んでいっぺんに車輪に砕かれることになったなら、
(映像だと、弾かれるではなく砕かれていた)
電車が脱線してもっと大惨事になるのでは?

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November 11, 2006

ソウ2 〜SAW

ダーレン・リン・バウズマン監督

あの連続殺人者ジグゾウが再び殺しをはじめた。無残な遺体でみつかったのは、荒くれ刑事エリックが使っていた情報屋。ジグゾウを追いつめたエリックたちだが、そこで見せられたのは新たな犠牲者候補たちの映像。そのなかにはエリックの息子が……という話。

監督変わったんですね。
前作『SAW』のジェームズ・ワン監督は製作総指揮にまわっているみたいです。

残忍さと舞台装置と犯人探しと、どちらも衝撃的だった前作。
これの続編作ってもつまらないんじゃないかなあ、と思って斜に構えていたのだけど、
予想よりは面白かったですね。
ちょっと『CUBE』入っているけど。

『SAW』で一番「こうきたのか!」と膝を打ったのは、
「犯人は最前列で見ている」という言葉の意味でした。
A・クリスティの某インディアン人形話ネタ(←タイトル書くとバレバレなのであえて)の亜流だけど、他のことに目を奪われてちゃんと隠されていました。

2では、もう犯人はわかっているし、刑事たちのそばにいるし、で、
どう処理するのかと思ってましたが、なるほど納得。

衝撃度はどうあがいても『SAW』に劣るけど、
続編のパワーダウンの割合は低い。

どうやら3も作られるみたいで、ちょうど昨日行ったシネコンでポスター掛かってましたが、どうするんでしょうね?
再び、犯人はわかってる状態だし……。
劇場で見るほどではないのだけど<ヲイ
確かめてみたいです。


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August 23, 2006

Shall We Dance?

ピーター・チェルソム監督

世間的には幸せながら、ほんの少しの物足りなさを感じている男が、ふと見かけた社交ダンスの教室に通い始める。仲間との交流、美人の教師と、久々に達成感と充実感を味わう彼だが……。

今更感が強いのですが、一応チェックを、と観てみました。
リメイク元の周防監督作品(96年作)は、劇場で観ています。今は亡き(閉館した)名古屋伏見の映画館で、たしか同じビルにダンス教室だがダンス用のドレスを売っている店だかがあったんじゃなかったかなあ。映画を観て、でもそれらの店に人が入っているのを見たことないなあなんて思ったっけ。もはやビルそのものがないし、10年前だから記憶が怪しいけどね。
でも映画はとても面白かった。その前の「シコふんじゃった」も「ファンシーダンス」も楽しかったし期待値も高かったけど、充分応えてくれた。

で、ハリウッド版。
奥さんの役が、主婦からキャリアっぽい働く女性に。たまこ先生=ミッツィー先生が、ポケットウィスキーを隠れ飲む女性に。ラストでは薔薇持って奥さんをパーティに誘いに行く演出追加、などなど、
文化の違いなどからくる展開の違い、見せ方の違いを楽しみました。
なかでもコンテスト前の、ジョンとポリ−ナのセクシーなダンスには、
これってベタなラブストーリー映画の盛り上がり前に挿入されるベッドシーンそのものじゃん、と感じました。
黄門さまの印籠シーン、由美かおるの入浴シーン、片平なぎさの崖っぷちシーン、それらに共通するベタ展開。
でもそれはそういう「観客の趣味(なにを楽しむか)」に合わせた演出なので、アリなんでしょう。興味深かったです。

と、笑えるコメディとしては面白かったのだけど、哀愁と滑稽さは感じられなかったなあ。

やっぱり中年男性(しかも96年の)が社交ダンスを習うというとんでもなさ、ぎこちなさが、
ハリウッド版では出ないんだよねえ。
偏見かもしれないけど、高校でプロムパーティがあったり、結婚式でおじいちゃんおばあちゃんが踊ってたり、という映画を観てると、ノリノリでダンスしそうなお国柄に見えるし。
正直、日本でも、「今」創ると、当時ほどのギャップは感じられないかもしれない、とも感じます。
主役の役所公司は96年当時で40歳。でも今の40歳は、77年作の「サタデー・ナイト・フィーバー」を中学生くらいで観てるわけで、大学ではディスコブームで踊ってるから、それほど違和感感じないんだよねえ。
映画の面白さって、時代も関係してるんだよなあ。


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August 20, 2006

深紅

月野木隆監督

修学旅行中、カコ(奏子=かやこ)の家族は惨殺された。両親に加え、幼い双子の弟もだ。犯人はその場で逮捕されたが、彼にはカコと同じ歳の娘がいた。8年後、犯人の死刑判決が迫る中、「わたしも一緒に殺せばいい」と犯人の娘が言ったことを知り、カコはその娘(未歩)に近づく。由香子(呼び名はカコ)という偽名を使って。
原作と脚本は野沢尚。

公開時、大きな宣伝はされていないけれど、口コミで面白いという話を聞きました。
でもそれゆえに公開館が限られていて、ぼんやりしてるうちに終わっちゃったんですよね(笑)

DVDでやっと観たのだけど、確かに秀作ですねー。
被害者と加害者の残された二人の娘の間で繰り広げられる心理戦が、ビシバシ伝わってきます。
でも、宣伝が行き届かなかったというのも納得できる、売りの少ない地味な展開(爆)
キメの殺人事件はもう終わっているので、あとはふたりの再生の物語なんですよね。
生き残ったことに罪悪感を持つカコと、親の正当性を感じつつも罪を引き継ぐべきだとも考えている未歩。
DVに苦しむ未歩に同情する気持ちも、親(犯人)と同じ犯罪者にしてやりたいと思う気持ちも、両方持っていて、カコは揺れ動く。

どんな選択をすればカコは過去から解き放たれるのか。
観ながら一緒に考えてしまう映画でした。
ラストのさわやかさも○。

けどさ。小学6年生のカコが堀北真希で、20歳のカコが内山理名ってゆーのは、かなり無理がないか?(2005年の作品なので、堀北真希は16歳か17歳)

最初、堀北真希の修学旅行シーンから始まった時には、「高校の修学旅行?」と思い、8年後に内山理名が大学生っぽい雰囲気(恋人が塚本高史)で出たときには、「中学生だったのか」と思い、後からもうすぐ20歳という設定だとわかって、頭が混乱しました。
同じ年に小学生役で堀北真希が出たという「HINOKIO」を観てないってこともあるだろうけど。

堀北真希の方が惑っている演技が上手そうだったし、20歳なら充分できるんじゃない?


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June 22, 2006

STAY

マーク・フォースター監督

精神科医のサムは、代診でヘンリーという大学生の患者に会う。彼は数日後にせまった21歳の誕生日に自殺すると予告して姿を消す。ヘンリーは、雹がふることを予知し、初対面のはずの別の医師には、「あなたは父親のはずだ」などと言うのだった。

スリラーというべきか、SFというべきか、記憶ミステリーというべきか、ラブストーリーというべきか。
ジャンルわけが難しい映画でした。
というか、オチからジャンル分類する話です。

肝腎のオチは、あ、それ系か。って、納得します。
オチの斬新さはないけど、
でもそこにいたるまでが実に面白く、映画を観ながら、
「あそこでああなら、どうなるんだ?」「ここはこれにつながる?」「あの可能性も捨てられないし、だとするとこうとも考えられる?」「しかしここは……」
と推測を楽しむ話。

100分くらいだから、飽きない。
映像も面白いです。なんかのっけからフツーじゃないの。衣装もね。
最初、背景の絵が歪んで、ユアン・マクレガーにズームアップしたまま背景が入れ替わって揺れるんですよね。会話時のショットの入れ替えが変とか、縦横がずれて斜めとか。もっと進むと上下感覚がなくなるとか。外と内が混乱するとか。
「気分」が揺さぶられてしまいます。
そうなるともう話の進み具合に整合性がとれなくなっていて、
これはただのミステリーではないと感じられます。
観ながら、あれこれとオトシドコロを考えてしまう。

同時に同じシーンが繰り返されるとか同じ人間が何役か出てくるとか、
「あきらかに変」って思いしらされる。

タイムトリップ? だとパターンはさまざま。
むしろ妄想してるのはサムの方?
恋人は実は死んでいるとか?
かのふたりは同一人物? 
もしや彼女の夢の中?
ホストは誰だ?

推測と妄想をしながら映画を観るのは面白いです。
映画にはこういう楽しみ方もあるんだよねー。一種の脳トレーニングっつか?

結論がわかって、戻って考えるとあれこれ納得します。
もっともわからない部分もあり、例えばあの画家はなにを象徴していたのかという疑問など、謎も少々残ってます。が、まあ満足。
「STAY」。うん、たしかにステイだね。留まっている。
テーマは救いなのでしょうね。しごく納得。

東京などではすでに公開しているようですが、こちら名古屋では来月のようで、昨日のぴあの試写会で観ました。

そうそ、私は例の彼の裾を、しゃがみこんでいた状態でしか見なかったから、ああいう短さで認識していたと感じましたが、正解はいかに?? まあ、あれもこれも、どうとでもとれる話ではありんす。


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May 26, 2006

ジャケット

ジョン・メイバリー監督

湾岸戦争で頭を撃たれたジャックは記憶障害を抱える身となった。そして翌年、ある「警官殺し」の疑いで起訴されるが病症のために精神病院へ。そこで受けた治療によって、15年後の2007年にタイムスリップした彼。ところが巡りあった女性が「警官殺し」の日に出会っていた少女で、しかも自分がすでに死んでいると知り……という話。

15年を行き来することで生じる話は、
ありがちでした。
未来が過去に影響を及ぼし、過去が未来を変えていく、というネタも、SF的にはよく見ます。
主人公ジャックがかつて戦争で経験した出来事、治療の内容……などは、
想像するだに恐ろしいので、ホラーとしても面白いのですが。

出会った少女ジャッキーの幸せを願っていくという流れは納得。
それもあって、ラストはかなり好印象。

ネタバレ……というか妄想的感想は、以下。↓↓続きを読む

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May 16, 2006

ザ・リング2

中田秀夫監督

田舎町へ逃げ延びた主人公レイチェルと息子。しかしその町にもなぜか「あのビデオ」による謎の死が。怨念のもととなる「サマラ」は、なぜか息子を執拗につけねらい……という話。

「リング」の設定を借りた別の物語としては、……ま、こんなもの?

感想はその一言に尽きます。
もはやどうリングしてる(情念らしきものが連なって続いて巡り来て……という意味での、リングというかリンク)のかわからないです。
少年をみながら、これって「オーメン」? それとも「エクソシスト」? って気分になりました。

けど原作つきの映画って、そういう作り方“=原作に添わない”――をすること自体は、アリなんですよね。
削ったり加えたりして、その結果にできたものが楽しいのなら(<<注・楽しいというのがなにより大事)、観客の自分は満足です。

こいつは凄いぜ!という設定があって、
その設定から、二次・三次と物語が膨らんでいく、作られたものが観るものを楽しませる。
……ってのもまあアリかなあ。

ってわけで「リング」だ。

「リング」という物語は、原作者の手によって、「らせん」「ループ」の三部作、また「バースディ」という外伝(?)に、変換され、連なっていきます。
であれば、ハリウッド版「リング」において別の「読み替え」があったとしても、それはひとつの形なんでしょうか。
むしろ、物語が別の形であっても連なっていき、数多くの目に触れるというそのことこそが、自分を増殖させたいという「貞子」の狙いでもある……とこじ付けることができよう。

だがしかし、
その新たな物語が面白かったかと言われると、かなり微妙でした。
特にホラー映画として怖いかといわれれば、怖くなかったんだなー、これが(爆)。
鹿は壮絶でしたね。日本における「鹿=神の遣い」という考え方、アメリカにもあるんですかね。(そういう意図があるかどうかはわからないっすけど)


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April 21, 2006

呪怨(ハリウッド版)

清水崇監督

かの呪われた館にやってきたアメリカからの留学生の美女。借り手の一家も海外赴任者とあって彼女が派遣されたのだが……。

んーと、毎度の「あの家物語」を、登場人物ハリウッドからの派遣者で作ってみました、という話でした。
……つまり、日本版を観てる日本人にとっては、「んで?」という印象です。
もういいかげん、怖くないから。

伽耶子さんとトシオくんは、同じ役者さんがやってると聞きました。
大人の伽耶子さんはいいとして、
トシオくんっていくつ?? 白塗りブリーフ姿だけでキャリアが積み重なってしまうのもどうかと思う。


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April 11, 2006

スチームボーイ

大友克洋監督

19世紀後半。万博直前のイギリス。主人公レイは、研究者の父と祖父の影響もあって発明好きの少年。そんな彼の元に届いた謎の荷物。続く、父たちの勤務先オハラ財団による拉致。レイは、とてつもない力を持った「スチームボール」と関わっていく……という話。

うむー。わたし自身は、肩透かしの印象が強いです。
でも、もっと年若かったら、特に男の子であったなら、もしかしたら楽しめたのかなあ、なんて思うと、少々残念。

イマイチと感じたのは、第一に、大友克洋という呪縛にかかっちゃってたことがあるでしょう。
漫画は、他の作を知らないけど、「AKIRA」と「童夢」が、強烈すぎた。
映画は、『AKIRA』は別格としても、『MEMORYS』や『ワールド・アパートメント・ホラー』の方が面白かったなあ。

冒険・発明・そして正義とは?
面白い要素は詰まってる……んですよねえ。
それなのになぜかウキウキしない。
ツンデレお嬢さま(スカーレット嬢)も悪くないのだけど、萌えないわ(笑)

テーマの選び方にも共感できるんですよ。
父の考える科学、祖父の考える科学、そしてスチーブンソンさん(と手下)の考える科学。
さらには、科学と人の関わり方。
それぞれ、間違ってるわけじゃないんですよね。(利用されてる部分はあれ)
先駆的な科学者の抱える願いも危うさも、納得できる。
時代を超え、形を違え、今もあらゆる先進科学・医学で問われている矛盾に、正しい答えがあるわけではないのだから。

――自分で判断して行動しなさいっていう、レイに対して問いかけられる思いは、観客に問われていること。
頷いて、考え込む。でもなーんか、染みてこない。


イマイチ第二。
キャラの立ち位置が曖昧。
対立構図が間違ってるのではないかなあ。
冒険物語なら、もっと敵味方の強弱をはっきりさせるべきでは?
なんせ、敵対してる相手が「父」と「祖父」でしょう。
そしてどちらも最初から主義主張を表に出してて、謎に包まれてはいない。
それぞれの正義が納得できるし、レイを愛していることも伝わってくるから、
主人公はこの後どうなるんだ? という緊迫感がないのよねえ。

さらに謀略を極めていそうな「オハラ財団」を代表している(映画内で)のがスカーレット嬢。
ワガママ娘だけど、物分りは良さそう。

結局、敵役がいない(またはシーンによりころころ変わる)んだよねえ。

いかにもの悪役を配することが、必ずしもよいとは思わないけど、
こういう単純な陰謀系のアクションものだと、
わかりやすいほうが面白いですよ。やっぱ。

さて。
鈴木杏、小西真奈美という女優陣が声優をやることに、上映前はマイナスの口コミがされていたけど、
そこらあたりは、ま、いいんじゃない? って気分です。
むしろ中村嘉葎雄(祖父)のカツゼツの悪さが気になりました。演技派だと思うのだけど、「声」だけに感情を込めるのは得意じゃないんでしょうか?

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March 31, 2006

好きだ、

石川寛監督

ユウ(17歳)は、同級生のヨースケがちょっと気になっている。彼の奏でるたどたどしいギターのメロディも覚えてしまっている。けれどユウは、ヨースケが自分の姉のことを気にかけていると思っていて、心を伝えられないままでいる。じれったい時間を重ねて、深まるかと思ったふたりだが、ある事情から遠く離れてしまう。そして17年後。かすかに重なるふたりの時間……という話。

あああああ、もどかしい!!!!

恋愛初期の、やるせなさ、つーんですかね?
自分の気持ちとか存在とか空気とかなにもかもを好きな相手に知ってもらいたいという衝動。でもそう思っていることに気付かれると、穴掘って埋もれたくなるような絶望。相反する感情が交互に襲ってきて、やっぱりまた埋もれたくなる。
そんなふたつの気持ちに引き裂かれそうになる「若かった自分」を思い出して、
懐かしくて面映くて情けなくて、すごーく恥ずかしくなってしまう。
……そんな映画でした。

17歳。そして、さらに17年。
倍の時間を重ねていても、好きな人に対峙するときのドキドキした気持ちって、変わらないんだよねえ。

17歳のふたり、と、34歳のふたり、を、違う俳優が演じています。
宮あおいと瑛太。永作博美と西島秀俊。
どの時間の気持ちにも共感してしまいます。

と。と、いっても。
感じ入ったのは、それぞれの人の一瞬ごとの気持ちであって、物語の全体像ではないのです。
全部をまとめて思い返してみると、
スピードは遅いし、わからない部分もあるし、エンターテインメントなドラマに慣れきっている(セオリーに慣れてるってゆうか)自分からすると、「たるい!」と感じる部分も多いので、
チョー面白かった! とはいえないのです。

だけど、それぞれの時点での「もどかしさ」が、やはり泣けそうに気持ちに迫ってくるのですね。

どこに切なさを感じるか、って、人によって違うんでしょうね。
わたしは、「好きな人は、別の人を見てる」「好きな人に、素直になれない」ってあたりがツボなんだなあ、と、つくづく感じました。


いい大人になって。
面映くて、愛だの恋だの、いえない歳になって。
それでも気持ちを丸裸にされてしまう、やるせない想いがある。

……そんな時間に引き戻してくれる映画でした。


個人的には、後半部よりも前半部の方が好きですね。
特に、宮あおいに寄っていくような、撮影方法がね。
一緒にいる瑛太の感情は、実はそれほどわかんないんですよ(笑)。
でも、ユウこと宮あおいの表情とか、仕草とか、一瞬の間とかが、いいのです。
それをじーっと、ある意味執拗に(笑)映してるのですね。
恋するゆえに考えすぎちゃってる彼女の気持ちの揺れ動きがわかるのです。

あ、情けない西島秀俊もよかったですよー。
なんだかんだ言って、わたし西島氏、好きかもしんない。けっこー、観てるよなあ。


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