【ま行】

April 07, 2010

マイレージ、マイライフ

ジェイソン・ライトマン監督

独身主義者(?)のジョジクルが、独身主義者でイケメンで仕事できる男の役をやる、
なんて興味もあって見たんだけど、
なかなか考えさせられるお話でした。

彼が今の立場やその他に、「楽」って思うのは、よくわかる。
それがちょっとしたことで「一抹の寂しさ」にかわることも、わかるんだ。
雇われ首切り人という彼の仕事の厳しさも、設定だけ聞くと、えー、って気もするけど、
実際に働く立場になると、ナルホドと思うんだ。

誰かを、ただ感情的に非難できるほど、わたしたちは子どもではないけれど、
すべてうけいれられるほどには、大人でもない。

そんなことをしみじみ思わせてくれるいい話でした。


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February 02, 2010

ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女

ニールス・アルデン・オブレヴ監督

これは傑作だわ。
展開が早すぎるきらいはあるけど、ハードで陰惨。
生ぬるさは一切なし。

探偵役の二人(特にリスベット)が魅力的。


スウェーデン映画って初めて観たかも……(製作国は、デンマークとドイツも共に上げられている)
しかしどんだけ自由な監獄なんだ。

次回の「火と戯れる女」も楽しみ。


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November 09, 2009

真夏の夜の夢(さんかく山のマジルー)

中江裕司監督

シェイクスピアの古典劇を原案として、沖縄・世嘉冨(ゆがふ)島を舞台に描くコメディ。キジムンたちが暮らすこの島だが、人間たちは彼らのことを忘れかけていた。島では村長の息子の政略結婚が目前で、青年会ではお祝いの劇が演じられようとしていた。そんななか、島出身のゆり子が不倫の恋に疲れ戻って来る。彼女を追って恋人が、またその妻がやってきて……

中江監督お得意の沖縄映画。
トークショーつきで見たんだけど、逆に沖縄映画のオファーしか来なくて、いろいろまいるなあ、とのこと(笑)

三角関係四角関係に精霊(この映画の場合はキジムン)が加わって大混乱、という基本があるので面白くないわけはないのですが……、

……いや、さほど面白くなかったのはなぜでしょうか。

どたばたラブストーリーよりも沖縄の自然や方言、精霊という設定のほうが魅力的だったので、なにも原作に拠る必要はないと思うのですよねえ。

ストーリー展開も結論などが投げ捨てられているし。

トークショーでは映画作りのことなどもお話され、
半大人が作る映画より、子どもたちの作る映画のほうが、
「どこかで見た感」がなくフレッシュで面白いと言ってらっしゃった。
だから結論のつく展開を投げているのか、
ならばなぜこの原作を下敷きにしたのか。

ちょっとわかんないです。
でも本当に、映像はよかった。太陽の「光」が、画面の中で生きていた。


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August 15, 2009

MW −ムウー

岩本仁志監督

16年前、“沖之真船島”で島民全員が一夜で虐殺された。生き残ったのは、少年が2人だけ。長じた彼らは別の道を歩むことになる。ひとりは、神父として。そしてひとりは、冷酷な殺人者として。やがて彼らは運命に導かれ、ひとつの名前にたどり着く。16年前の悪夢、その名は、『MW(ムウ)』

原作未読で映画を観て、やっと先日、手塚治虫の原作(1976年〜78年ビッグコミック連載)を読みました。
漫画喫茶ですがね(笑)
三巻しかないから、一時間で楽勝かと思ったら、さすが33年前の漫画だ。セリフが多くて死んだわ。……ヤワになったなあ、自分。

さて、原作を読まずに観た感想としては、
「つっこみどころはあるけれど、適度にエキサイトする、アクション映画」
「もっとも、どこかで観たアクションを積み重ねた感じ。そこが邦画アクションらしいともいえるけど」
「山田孝之は厚みがたりないかも。玉木宏は魅力的な悪役っぷり」
「ラスト、もったいつける意味があるのかなあ。ラスボスを殺さずにどうするんだ」

でした。

しかし自分、あまり余計な情報を入れずに観るほうなので、

どうやら、二人は同性愛者らしい
どうやら山田くんの役は、もっと年上だったらしい
どうやら原作ファンはがっかりしているらしい

ということを後で知りました。

……え。どこに同性愛が??
たしかに同世代ではなく、諌める役割の年上か、護って貰った負い目のある年下のほうが、ええと思うよ
つか、原作ってそんなに凄い作品なの?

と思い、
「面白いが取り立てて凄くもない。ごく普通」という程度の映画だったので、原作を読んでみようと思いました。

で、感じたのは。

たしかに枝葉落として幹だけにして、
しかしベニヤ板に加工されたらこういう映画になるわね、でした。
ラスト、実は○○でしたってとこだけ原作を踏襲してるのかな。(まったくの逆効果だけど)

当時、タブーとされていることをことごとく盛り込んでみました、という巻末のコメント
(読んだのは流通してる文庫サイズじゃなく、講談社の手塚治虫漫画全集です)
などを見ると、
多分、描かれた当時はショッキングだったんだろうなあ。

でも、今読んで、そんなに「トンデモナイ」と思えなくなってしまったのは、
時代のせいなのか、この世の中の色んな害毒に侵されてしまった自分のせいなのか。
(あ、手塚治虫がこんな問題作を……的なビックリはもともとないですが。なにしろ、最初に手塚作品にふれたのは小学校のとき『火の鳥』で、何編だったかは忘れたけど、ホテイアオイが怖かった。その次が『BJ』なんで、手塚=社会派という印象)


けど、原作の持つ衝撃度というのは、
きっとそのままの形で映画にしても「今の時代」には伝わらないと思うよ。
本映画の形がいいとは思えないけれど、でも原作に光を当てることだけはできたんじゃないかな。

作品の持つ力を伝えるには、映画化する時期を逸したような気がする、というのを結論とさせていただきます。


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April 06, 2009

マイ・ブルーベリー・ナイツ

ウォン・カーウァイ監督

ニューヨークのとある街角、高架そばにあるカフェ。向かいのアパートに住む男にふられたエリザベスは、カフェのオーナーとのおしゃべりと彼が焼くブルーベリーパイに癒される。オーナーのジェレミーも突然飛び込んできた形のエリザベスを気になっている様子。しかし恋人のことを忘れられないエリザベスは、ふらりと「遠回り」の旅にでるのだった……。

お洒落な音楽と映像と、美形ぞろいの出演陣。
アル中の警官も含めて「綺麗な部分」「絵になる部分」を抽出して物語を繋げているところなど好みが判れそうだけど、
スタイリッシュでどこが悪いと開き直ってるようなこだわりが
これでもかと伝わってきます。
ストーリー性などなくてもいいのだ。ウォン・カーウァイなんだから。という感じ?

「2046」では、男はずっと同じ部屋に住み続けて一人の女を想い、充たされない想いを抱いたまま女性遍歴を重ねたのだけど、
この映画では、女は一人の男を想いながら、住処と仕事を替えていろいろなひととの出会いを重ねて行くのですね。
でもそうやって一年近くをかけて気持ちにケリをつけていく。
元の自分に戻るわけじゃない。心に想う男も、いつしか恋人からカフェのオーナーに代わっている。
かっこいい車を手に入れて、ラスベガスから、太陽と砂漠の中から帰ってくる。
このシーンがまたキラキラして実に颯爽としている。

で一方のカフェのオーナー(ジュード・ロウ)がまた、彼女の帰りをけなげに待ってるんだなあ(笑)
メンフィスから手紙が届いたということで、メンフィス中のダイナーに電話かけたりしてるんだ。
もともとそういう性質なんでしょうね。昔の女(ロシア娘)の鍵をずっと持ってたりしてたし。

男の方がロマンチストなんだろうなあ。
女って結構逞しいのかもしれない。

……というようなスタンスでいるんでしょうか、ウォン・カーウァイというひとは。


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May 18, 2008

ミスト

フランク・ダラボン監督

嵐の翌日、発生した霧。息子とスーパーに出かけた主人公に、突然の恐怖が襲う。霧のなかに謎の生物が現れたと、住民のひとりが血まみれになってかけこんできたのだ。買い物客はマーケットに閉じこもり、やがて謎の生物による血の惨劇がはじまって……という話。

いや、上手い造りだ。

たんなるクリーチャーパニックかと思って観てたのだけど、ラスト数分で膝を打ちました。
「衝撃のラスト」という宣伝文句が、あまりに「笑劇のラスト」に思えることが多かった最近だけれど、
今回は素直に面白かったといえます。
見事な逆転にぞくぞくしました。

いやもちろん、クリーチャーパニックとしても悪くないですよ。
閉じ込められた人々の極限状態も、かなりの見所。

ネタバレをしないほうがいいので詳しくはかけないけど、
観客の「共感」や「視点」をうまく利用して、ラストの残酷さに持っていってます。

つまり、自分ならどうするか、という行動をちゃんと共感できる人物にさせておいて、
(個人的には、あのおばあちゃん元教師がタフで素敵ですが、それはともかく)
そのうえできっちり裏切ってくれるわけです。
そして、起こっている状況を描いているように見かけはみせつつも、
でも実は、ほんの一部しか「あのひとたち」にはわかってないんです。
情報が与えられなかった(ことさえ忘れていた)狭い視点で物語が進んでいたのです。

嫌いな人はとことん嫌いな映画でしょうけど、わたしは好きだなあ。
なんて残酷で独り善がりな、「ヒト」の、物語。
きっといまもどこかで、同じことが繰り返されているのでしょう。

トラックに載せられたある親子の母親の台詞もまた、ここにきて「効いた」わけね。

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February 17, 2008

マリー・アントワネット

ソフィア・コッポラ監督

オーストリアの皇女、マリーは14歳でフランス皇太子に嫁ぐ。素直で奔放に育ったマリーは、フランス皇室のしきたりになかなかなじめない。そのうえ夫のルイときたら、狩りと錠前に夢中で彼女に手も触れない……

飲んで騒いで踊って夜更かしして噂に花を咲かせて……と、
ハイスクールが舞台のようでした。
なんたって、ティーンエイジャーだもんなあ。
時代が彼女を悲劇の女王にしたんだよなあ。

音楽とファッションとスイーツを楽しむガーリッシュな映画でそこは満足だけど、
人物関係と歴史の流れが説明不足。

これは「ベルばら」を読み直して復習しなくては!!


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December 29, 2007

魍魎の匣

原田眞人監督

昭和27年、東京。榎木津は、元女優の陽子より娘を探してくれという依頼を受ける。が、見つかった陽子はある理由で「巨大箱型建物」に入ることに。一方関口は、匣封じの謎の教団を調査していた。そして木場刑事は箱に収められた少女の腕バラバラ殺人事件を追う。それぞれの事件は実は繋がっており、みなは京極堂(中尊寺)の元に集う。……という、「京極堂」シリーズの映画化第二段。

これぞ正しきマッド・サイエンティスト!という映画でした。
美女に陰謀に猟奇殺人に少年探偵団という、江戸川乱歩風味。

……実際は、43歳同級生俳優三人+アルファによる、中年探偵団でしたが、
まあ、それはそれとして。


ミステリーとしては、冒頭でいきなり犯人をばらしてるわ、
3つの事件が直線で結ばれてる構成だわ、
なにをどう楽しめばいいか悩むのだけど、
雰囲気はとてもいい映画だと感じました。

あ、上海ロケじゃなくて、俳優陣の掛け合いのほうね。
ロケはもう、どこから見ても中国にしか見えない(笑)
お堀端のつもりなのか、あの運河は。
「M:I:3」よろしくトム・クルーズが走ってくるかと思いましたよ。

俳優陣は超豪華でハイテンション。
メイン四人もそうだし、妹・敦子、青木刑事、鳥口と、
みんな、役を演じることが楽しくて楽しくてたまらない情熱(?)が伝わってきました。
コネタ満載で、
堤真一の「日本舞踊風陰陽道」、椎名桔平の「ずっと階段を登りつづけている……」、もいいけど、
阿部寛による「かもいをひょいひょいくぐる」というのに、萌え。
青木を演じた堀部もSABU映画の常連で(つまり堤氏と何度も共演してる)、結構好きなんだよねえ。

そして最後に、巨大箱建物。『AKIRA』風のチューブ・カテーテル。でも妙にチープで爆笑。
声を出さずにずっと笑ってました。腹筋遺体。いや、痛い。

ある意味傑作です。

ちなみに前作『姑獲鳥の夏』は、横溝正史風味だと思ったんだよね。

監督が違うため、全然雰囲気が違い、比べようもないんだけど、
背景美術関係は、前作の方が好き。
でもキャラ同士の関係は、今回のがスマートかな。


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October 20, 2007

マイ・ボス マイ・ヒーロー(頭師父一体)

ユン・ジェギュン監督

ヤクザの若頭ケ・ドゥシクは喧嘩も強く、組織では一目置かれている。しかし、高校中退の彼はあまりに無知で、ボスからは高校を卒業しなくては明洞(ミョンドン)を任せられないと言われてしまい、裏口から高校に編入することとなる……。

長瀬くん主演TVドラマの、原作韓国映画。
韓国では大ヒットらしく、続編も作られたそうです。
CSでやってたので観てみました。
ドラマのエンドロール見ながら、「頭師父一体」ってどういう意味だろうと思ってたのだけど、
頭=カシラ(親分)と、 師と、父は、同じものだと思いなさい。すべて敬うべき存在です、って意味のよう。
へええ、さすがは儒教の国。

……と思ったのもつかの間、
シモネタ・エッチ系のコメディが続出。
話に絡んでるとは思えないコート男(見せ痴漢)まで出てるし。

どんな映画なんだこれは、話の展開が早すぎるぞ。
キャラがたくさん出てくるけど、考えてることや立場がわからない〜

……と観ている間に、
次は殴り合いのオンパレード。
教師も生徒も親も、女子も男子も中間の人も、血を見るほど殴ったり殴られたり。ERに運ばれるほど生徒を殴って大丈夫なのか?

学歴偏重や金儲け主義に風刺をこめつつ、最後は学園の陰謀へ。
そしてまたもや大立ち回り。
こんな学園ありえんだろ。っていうか、なんで警察が来ないの?(総てが終わった後に来ますが)

勢いがあるので観てしまったのだけど、かなり滅茶苦茶な話でしたよ。
警察につかまったにも関わらず、なぜか卒業証書は手に入れてるし。(戸籍偽造してなかったっけ?)

とはいえ、ヤクザの若頭が高校生になる、というアイディアはやっぱり凄い。
そして、ヤクザコメディの色が濃かったこの映画を、友情メインの学園ものにアレンジした日本のTVドラマの脚色も巧かったですね。

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October 12, 2007

マイアミ・バイス

マイケル・マン監督

マイアミ警察の特捜課の刑事、ソニーとリカルドは、彼らが知る情報屋が殺されたことで、FBIの関わる麻薬密輸事件の任務を引き受けることになる。彼らはドラッグ・ディーラーになりすまし、マフィアへと潜入していく。

なんでもマイケル・マン監督は、TVシリーズの製作総指揮をやっていたそうですね。
もしかしたら、TVシリーズを観ていることが前提で話が作られているのかなあ。80年代の作品だそうだけど。

TVシリーズを知らないせいかもしれないけど、二人のキャラの違いがさっぱり判りません。
あと、サブキャラというか仲間たちも。

困ったなーと思いながらも観てたのだけど、
話もそれほど心躍るものがなく。

リカルドのカノジョをさらった時点で、彼らの正体はわかったんじゃないの?
捜査途中のまま、物語が終わってるように思うんだけど、いいの?

2作目作るつもりなんかなあ……


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October 07, 2007

めがね

荻上直子監督

南の島の小さな旅館。ある春の日、都会からひとりの女性が観光にやってくる。
旅を存分に楽しみたい女性はアクティブに動き回ろうとするが、宿の主人も犬も常連客サクラも高校教師もどこか妙なペースで……という話。

ビールも食べ物もすごく美味しそう。
観ながらとてもお腹がすいて……というのは前作「かもめ食堂」と共通してました。

ただ、どうも、イマイチ感が漂うんだなあ。
……わたしは、ですが。
レディースディのせいもあって場内満員で、補助椅子も出てたし(そういう館があるんですわ)
前の回のお客さんが、満足そうにパンフを求めていたりしたので、
満足されている方はたくさんいるんだと思うんだけど。

イマイチ、と感じた理由は、
狙いすぎてる、ってこと。

綺麗な景色と「たそがれる」時間の愛おしさと、
そしてその空気に染まっていく、多分、都会のキャリアウーマンらしき女性。
いかにも女性向けの「癒し」を狙ってます、という計算が、
透けて見えちゃってるんですよね。


ところで小林聡美って、よほど小柄なんでしょうか。
小柄なイメージの薬師丸ひろ子が大きく見えました。
(エキセントリックな役柄のせいもあるだろうけど)

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June 23, 2007

舞妓Haaaan!!!

水田伸生監督

修学旅行で京都をおとずれた折、舞妓の美しさにホレた主人公鬼塚。やがて食品メーカーの平凡ないちサラリーマンになったのだが、趣味は非凡でオタク。舞妓マニアの道、一直線なのだ。とはいえ、いまだお茶屋遊びデビューも果たせぬ、カメラ小僧と舞妓サイトの管理人どまり。そんな彼に、京都勤務が命じられた。舞い上がる彼は、付き合っていた女性もさくっと捨て、一路京都へ!! めざすは「舞妓との野球拳」だ。宮藤官九郎脚本。

次々と笑いの花火が上がる、ドタバタコメディです。

阿部サダヲが面白いのは当然のことながら、柴咲コウもなかなかのコメディエンヌぶり。美人ながらも不機嫌そうな顔が、逆に合ってます。
「京都の歯軋りと三重の歯軋りは違う!」
という鬼塚のセリフでは、微妙な笑いが館内に満ちましたね。
なにしろ名古屋駅直結の劇場だもん(笑)<<電車で15分もあれば三重ですから。

やがて「野球拳」を目指していたはずの話が、なぜかいきなり「野球狂の詩」になっていく……。

そんな後半の、あれよあれよといわんばかりの「転進&転身」ぶりに、どこまで進むのか呆れながらも笑ってたんだけど、市長室への乗り込みとやりとりのシーン以降は、ちょっと失速かな。
一度花火を上げた以上は、どんどん大きく派手にならなきゃ。
やっぱり最後は笑いの連続投下、スターマインのように華々しく終わって欲しいものです。

……ま、大文字焼きも風情があって、京都に相応しくはあるけど。


さてところで、舞妓さんというのは白塗りなので、その下にどんな顔が隠れているかわからない。
そこがこの映画でも「ある重要なファクター」だったわけだけど、
塗られていない顔を知って驚きました。(あまり先に情報を入れないほうなので)

柴咲コウに次ぐメイン女性キャラの「駒子さん」って、「真加出くん@時効警察」だったんだー。
小出早織さんという役者さんです。

他の舞妓さんたちも、京野ことみ(小梅)とか、酒井若菜(豆福)とか、塗っていると全然別の人に見える。
そのギャップが、綺麗だけど、怖くもあるよ、舞妓はん。

なにしろラスト、ありえない二人が舞妓になってましたし。
それでもしっかり美しく見えるところが、また着物のさばきかたも踊りも様になっていたところが、さすが舞台人です。


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March 29, 2007

蟲師

大友克洋監督

「蟲」といわれる妖しきそれは、人や動物とはまた別種の生き物である。蟲はただそこにいるだけのこともあれば、人にとりつくこともある。そんな蟲の起こした事件を扱うものを蟲師といった。これはまだ日本が自然と共存していたころの物語である……。

情景を愛でる映画ですね。
ロケ地も、滋賀や岐阜ということで、映画で描かれた風景には馴染みを感じます。
山里で育ったこともあり、そこになにかの異形が潜む……というシチュエーションはかなり好きなのですよ。
(ちなみに原作者は山口出身だそうです。今回の映画は山が中心だったけど、原作には海も登場します。山陰を旅行したとき、山と海の多い景色を見て、ナルホドと思わされました)

俳優陣もなかなか美しく、幻想的で、まったりと、2時間余をスクリーンを眺めて過ごすにはよい感じの映画でした。

……うん、雰囲気はね。いい感じなんですよ。

でもストーリーは、着地点がよくわかりませんでした。
狐に化かされたような気分です。

原作は、漫画喫茶で読んだので、微細なところは記憶にないです。
たぶん、4つほどの話を混ぜてあったと思います。
その繋ぎ方が問題なのか、解釈を違えているのか、
基礎知識はあるつもりなんだけど、やっぱりわかんないや。
特に、どうしてギンコが元気になったのかというあたりと、ぬいの最期と彼女の行動が。

説明不足は否めないでしょうね。
一緒に観に行ったのが、原作を読んだことのないひとで、
物語の重要なファクターである「こうき」がなにか、ちっともわからなかったそうです。
「こうき」は命の水であり、蟲のもとだとも説明される「光酒」、光の酒という文字を当てるんだけど(美酒らしい)、
はがね(鋼・刃金)の気、だと思っていたと、後で言われました。光脈も鉱脈だと。
どうしてあの父親が酒のにおいがするっていってたのかやっとわかった、らしい(苦笑)。


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October 18, 2006

man-hole マンホール

鈴木貴之監督

交番勤務の小林は正義派で、毎日の職務に燃えている。この日もバイク逃走のひったくりを官給品のチャリで追いかけ、水路に落ちながらも捕まえた。しかし被害者の女子高生は逃げ出してしまう。女子高生も女子高生で、実は悩みをかかえており、そしてゆっくりと関係者が関わっていく……という話。

CSのチャンネルnekoで鈴木監督の特集やっているんです。
それでまとめて(「銀のエンジェル」は劇場だけど)観たのですが、作成年度の古い順に観てしまったようです。自分。
この映画が、初監督作だそうですね。

デビュー作にはその人の思いが詰まっているとよく聞きますが、
まさに、
人とのかかわり、自分探し、その時の「そのキャラクター」ならではの気持ち、人の表と裏、
みたいなものが凝縮されていて、
マンホールのくだり以外は、正直よくあるエピソード(援交とか親との関係とか職場の温度差とか)なのだけど、でも、すがすがしい映画でした。
自主制作映画のような雰囲気もまたよい感じ。

マンホールを、「man と hole」という二つの言葉にしているところが、
それがテーマやモチーフに上手く関わっているところが、
なにより「いい!」と思ってしまいました(すいませんね、言葉フェチで)。


余談だけど、北村一輝がでてたのも嬉しい(笑)
仕事を適当にすませて昇進試験の勉強に励む警察官なんだけど、
でも自殺未遂で知りあった女性を恋人にしていて、最終的に……(自主規制)……となって。
メインの話である女子高生のくだりと小林の心の揺れよりも、響いてきました。


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September 11, 2006

マッチ・ポイント

ウディ・アレン監督

元テニスプレイヤーのクリスはセレブなテニスクラブにインストラクターの職を得、まんまと金持ちの友人をつくり、彼の妹と親しくなる。ところが、その友人には美貌の婚約者がいた。妹との仲を進めつつ、友人の婚約者にも惹かれるクリスだが……。

アンドレ・アガシ(今期限りで引退か??と噂されるプロテニスプレイヤー)の名前が出ているとこからみて、現代の話なのでしょうけど、
とてもクラシカルな雰囲気が漂っていました。

妻か愛人か、さあどっち! という話のなりたちも、その後にとる行動も、クラッシックな展開。

正直、もうちょっとサスペンス漂う話だと思ってました。
または、「運」が悪さする話かと。
そういう期待との差でいえば、もう一歩乗れなかったなあ。

作中にあるのですが、ボールがオン・ザ・ネットになったあと、
こちらに戻ればアウト。向こうに落ちればインなのです。

この映画の場合(以下ネタバレ↓↓)続きを読む

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July 31, 2006

M:i:III

J・J・エイブラムス監督

囚われた恋人を助けるために奔走していたイーサン・ハント。
しかし10カウントの後、彼の目の前で恋人は撃たれる。はたして何がおきたのか! ……という倒叙形式で始まるミッション・インポッシブル第三弾。

躁映画。
観終わってまず頭に浮かんだのが、そんな言葉。
全編ハイテンション。飛ばしすぎ。
そりゃ、この調子なら「ジャンピング・オン・カウチ」(なんでも、とあるトーク番組で、トムは突然カウチに飛び乗って跳ねたらしい)もするよなー。などと感じたのでした。

観終わって二週間経った今も、その印象しか残ってません。
……あ、細かいところは忘れてるってことですね(笑)

これでもかとばかりに次々押し寄せる困難。
けど、倒叙形式で語られるせいか展開は読めます。
とてもわかり易い(=誰でも楽しめる。しかし、キレ味は鈍い)映画だったけど、
術中にはまったというか、楽しませていただきました。
これぞハリウッド映画! でした。
後に残るものはないけど、こういうの好きです。血が騒ぎます。

「パート1」や「カクテル」や「宇宙戦争」などのコネタもオイシイ。

ところでこのミッション。
「不可能なミッション」というより、「プライベートなミッション」に思えるのですが。

パート4は日本で作りたいと言ったとか言わないとか。
でも毎回パートナーになる女性が代わってますよね。
今回の展開を受け、でも、今後どうなるんでしょう。
「結局、妻が殺されて……」から始まったりして。

ボンド・ガールならぬ、ハント・ガールの中では、
パート1のエマニュエル・ベアールが好みだなあ。


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April 20, 2006

間宮兄弟

森田芳光監督

毎日を真面目に暮している間宮兄弟。趣味のものに囲まれ、ビデオやTV視聴、食事も一緒にして、三十路を過ぎた今も仲がいい。ある日、その日常は保ちつつも、ちょっとだけ踏み出してみた。弟の勤務先の小学校の先生と、レンタルショップの店員という二人の女性を家に誘って、カレーパーティを開こうと思い立ったのだ……と始まる話。

試写会でみたのだけど、とっても面白かったですー!! 

佐々木蔵之介主演ということと、映画のCMの何シーンかで興味を持ったんだけど、
本音を言うと、少々不安もありました。

森田芳光監督の最近の作品と(自分と)の相性が、半々くらいの割で良くなくて(笑)
ちなみに「(ハル)」「刑法第三十九条」はよい相性。「模倣犯」「海猫」はよくない相性。
……そう、有名文学作品の映画化が、いまいちで。
でも今回はよい相性でした。

原作(江國香織)は読んでいないので、どこまでがオリジナルの部分かわからないけど、
間宮兄・弟、のキャラクターがなによりいいです。
からむ女子たちもそのカレシも兄の同僚たちも、それぞれ面白い。

間宮兄(明信)に佐々木蔵之介。弟(徹信)に塚地武雄@ドランクドラゴン。
小学校の先生(依子)に常盤貴子。レンタル屋の店員(直美)に沢尻エリカ。そして、兄弟の母役で中島みゆき!

公開前(東京は5/13。名古屋は5月下旬)なので、詳しくは以下(ネタバレあり)↓↓↓
続きを読む

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April 19, 2006

マイ・ボディガード

トニー・スコット監督

誘拐事件が続いているメキシコ・シティ。過去の暗殺任務のせいでアルコール漬けの男は、旧友に頼まれ少女のボディーガードの仕事に就く。嫌がりながらもいつしか少女の笑顔に癒される男。そんな時、少女が誘拐され……という話。

ハードボイルド&イノセントかあ、ありがちだなあ……、と思いながら観てたんですが、
ついつい惹き込まれてしまいました。
基本的に好きな路線なのね。

後半部分のハードな展開も、カットを多用した畳み込むような映像もよい感じです。
真犯人(というか実は…部分)も予想通りながら、
その分、きっちりと楽しませてくれました。

ラストも余韻が残る終わり方になっていて満足。
ここでオールハッピーエンドでは「は?」だものね。

デンゼル・ワシントンと、ダコタ・ファニングの取り合わせもさすがの演技派同士でいいけど、
クリストファー・ウォーケンがいいなあ。
一見、枯れてみえるんだけど、その中に熱い気持ちを上手に塗りこめている。


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April 05, 2006

マッハ!

トニー・ジャー監督

えーとさー、Wowowでは「コーテーションマーク“!”」1つだったんですよ。
でも、公開時は7つほどついていたような気がします。
正確にはどうなの??

物語は単純。
タイはある田舎の村で、村民の信仰の対象である仏像の首が奪われる。
その首を取り戻すべく首都バンコックに赴く青年。ムエタイの秘儀をもつ彼が、悪漢に立ち向かう……という話。

CGを使わないとか、ワイヤーアクションもスタントも使わないとか、
わいら生身の身体で映画を魅せるからよ!! が売りだそうです。

「今」のCGバリバリ映画を見慣れている人からみると、「凄い」なのかな??
でも、80年代頃のジャッキー・チェンの映画が面白かった自分としては、
「きゃー、懐かしい」でした。

街にある、あらゆる「モノ」を使った逃走&アクションシーン、
ちょっとトボけた「間」(包丁売りとか)、
そしてラスト後の、エンドロールにかかるNGシーン集。
ああ、もろジャッキー・チェンだよ。
もちろん、カンフーとムエタイは違うけど。でも、つい、ニコニコ。

正直、こういう生身アクションと、コメディの融合って、
どの映画がエポック・メーキングか判らないんですけどね。
(……ちなみに私は、ジャッキーカンフーアクション映画は後発組で、「プロジェクトA」が好きです。「キャノンボール」は映画館で観たけど、「酔拳」とかは後からTVで観ました)
いつ、どんな映画に触れたか、で、感想は異なるんでしょうね。

話の後半は、えぐいシーンもありましたが、御伽噺として楽しかったっすよ。


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March 12, 2006

モンスター

パティ・ジェンキンス監督

1986年。娼婦アイリーンは自分に乱暴しようとした男を殺してしまう。
おりしも、バーで出会った少女に慕われ、彼女との生活を夢見る。しかし生活の術がない彼女は身を売るしかなく、金や車を求めるため、また恐怖心からさらに多くの男を殺し……という話。

実話の映画化だそうです。アメリカで初めて連続殺人犯として死刑になった女性の話だそうです。
また、この主人公を演じるにあたって、シャーリーズ・セロンが肉体改造に挑み、13キロ太り、アカデミー賞優秀主演女優賞を獲得しています。

や、たしかにシャーリーズ・セロンは迫力でした。
悪女役は以前にも観ていた(「レインディア・ゲーム」とか)けど、
このブチキレかたは凄いです。怖いです。

ただどうにも楽しめない。
カタルシスの欠片も無い。

楽しむ映画ではないとわかってはいるけど、
それでも観てて疲れてしまいました。

主人公アイリーンは「可哀想」だとは思うけど「同情」はできないし。
そのうえ、彼女を慕う少女があまりに身勝手すぎて、
その彼女にいいように扱われた主人公を思うと落ち込んでしまう。
(演じたクリスティーナ・リッチはその無邪気さと恐ろしさをみせつけてくれて、これまた上手かったんですけどねえ)

リアリティとはこういうものなのかしらん。
彼女はモンスターではなく、愛を求める人間だった、というテーマなのだろうとは思うのですが、
しかし、……ほんと疲れました。
行き詰まり、な気になってしまいます。


もしあなたが、完全犯罪狙って、身近な誰かを殺したいと思ってるなら、
毎日毎日毎日、これ、見せるといいかも。
ふらりとビルから飛び降りたい気分になれます。

chikachan112 at 23:55|Permalinkclip!

January 05, 2006

モーターサイクル・ダイアリーズ

ウォルター・サレス監督
実話を元にした映画ですよね。
青年エルネスト・ゲバラが、かの「チェ・ゲバラ」(チェは、呼びかけの言葉だそうです)に変わっていく物語。

ノンポリっぽい二人の若者が、バイクで旅立つところから始まって、いろいろな人と出会い、バイクは壊れ、さらにさまざま出会いと別れがあり、次第に「想い」を得る。

演出を排してるみたいに、淡々と進んでいく映像でした。
つきつけられる現実(当時の)が、どこか風景のようで、でも噛み付いて離さない強さを持ってます。

克明に、これをもって、革命家を志したというきっかけが示されてたわけじゃないです。
でも、風景のひとつひとつに、エピソードのかけらごとに、
どこかしら、「感じるもの」が、彼(主人公)のなかに生まれていたんだなと、思える話でした。

ゆっくりと、彼らとともに旅をしたような気分にさせられる一品。
こういう話は、若い子が演じるべきだよねえと、つくづく思い入りました。
演技のうまさなどは問題じゃない。物語にするっと入り込んで、一緒に成長しているように感じられる。ええですのお(<ばばあか私は)

今年二本目の映画でした。初・しみじみ。



chikachan112 at 23:34|Permalinkclip!

December 22, 2005

木曜組曲

篠原哲雄監督

4年前に死んだ女流作家、重松時子。彼女の死の時間、集っていた5人の女達。
彼女らは、その後も毎年、命日の前後(同週の木曜を挟んで二泊三日)に集うことをやめない。
今年もおなじ食事会が始まるが、それはいつしか時子の死の真相を探ることになり……という話。

同名の、恩田陸のミステリ小説の映画化です。
例によって(?)、原作は読んだけど、すっかり忘れてます。
真相も忘れてるので、丁度いいというか、楽しめたというか。<をいをい。

でもたしか、原作でも場所と登場人物を限定されてて、
会話と思索中心で進んでいたように記憶してます。
そうそう、これって舞台劇のよう。
舞台で見たいな。上演されてるのかな?

ただその分、一般受けはしないというか、エンターテインメント要素が薄いというか。
時子の死の真相を探るというに、
彼女らの心情というか「物を書く」想いを見せるが見え隠れしてます。

死体を前にしてるのに、刑事に取り調べられてる最中だというのに
「前から思ってたけど、あなた小説かくべきよ」「それ私も思ってた。読みたいわ」「無理よ。そっちこそ、このあいだのあれ良かったわ」「ううん、あなたのあの話だけど……」という会話を交わす。
刑事ほっといて、勝手に盛り上がる。

さーてこのエピソードで、「ありえない」と思いますか?
それとも「あはは、わかるわかる」と思える?
その感覚が、映画を面白いと思うか否かのような気がします。
そしてわたしとわたしの周囲が後者の反応をしそうな気も、……なぜ?

まあそれはいいや。

話のヤマも真相も、「……それなの?」という地味さは感じましたが、
上記の理由もあって、5人の女性のぶつかり合いを楽しく観ることが出来ました。

思いのほか、エイコさん役の加藤登紀子がうまい。
素で演じてる(え?)のかもしれないけど。

作家の後継者候補(?)の4人の女優も個性的ですね。
鈴木京香、原田美枝子、西田尚美、富田靖子。
それぞれ、
ノンフィクションライター、美術ライター、純文学作家、ミステリ作家という設定です。

会話や、表情などから、
さばさばした西田尚美と、陰にこもる富田靖子は、設定逆だろ、という気もします。
けど、「謎」と関わる部分を見ると、それもありなのかな??

男性陣たちの会話劇も発展性あって楽しいけど、
女性たちの会話劇・狭い舞台というのは、怖くて楽しいっすね。
表と裏の落差とか、なにがとびでるかわかんないとことかね。

近いモチーフに「8人の女たち」があって、そっちには及ぶべくもないけど、
でも楽しめました。


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December 09, 2005

Mr.&Mrs.スミス

ダグ・リーマン監督

嵐のような恋に落ち、スピード結婚した二人。
しかしふたりは、別の組織に属する殺し屋だった。
互いの正体を知らぬ間に、5年or6年が過ぎて、はや倦怠期。
ある時ふたりのミッションがダブり、正体がバレ、そしてふたりは……という話。

派手な夫婦喧嘩ですね!

アンジェリーナ・ジョリーがめっちゃカッコよくてセクシーで
ひたすら見惚れていました。垂涎ものです。

アクションシーンのスピード感も、
粋なセリフもセクシーなジョークも、テンションが高くて、
楽しんでみてました。
……前半は。

後半は、ちょっとダレ気味でしたね。
落としどころはわかってるのに、
いつまでもアクションでひっぱっるから疲れる。2時間は長いな。

ふたりの仕事上のパートナー(というか腹心? 親友?)の扱いも中途半端。
もう少し、強力に味方するか、強力に裏切るかすれば、
後半のスパイスになったのに。

見終わって思ったのは、
夫婦喧嘩は犬も喰わない
の一言です。
そうねえ。カップル間の話に茶々を入れるのは無粋だよね。

あとはおふたりで、ゆっくり楽しんでください。

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December 04, 2005

ミリオンズ

ダニー・ボイル監督

「トレスポ」「ザ・ビーチ」「28日後…」など、
ちょっと「普通じゃない」、キレた系の映画を撮ることで有名な(しかし最近さほどキレテナ〜イと酷評もされてる)ダニー・ボイルの新作はなんと
少年を主人公とした心温まる感動ストーリーだった。
……というお話。

なんでも、自分の子供に「見せたい」と言える映画を撮りたかったとか??

そういって保守に転じるってゆーのはどうなのよ! とは思ったのですが、やっぱり観にいってしまいました。

私、ダニー・ボイルで一番好きなのは、「トレインスポッティング」ではなく「シャロウ・グレイブ」です。(これもユアン・マクレガーが主人公)
「トレスポ」も、映像とか、おされ〜だとは思うけど、
大金が友情を壊してしまう「シャロウ・グレイブ」の方が、
ネタも、それぞれの関係・気持ちが変わっていく怖さも、好きなのです。

そう、劇場映画デビュー作(それ以前にTVを撮っていたはず)の
「シャロウ・グレイブ」と、この「ミリオンズ」は、
”突然転がり込んだ大金を巡ってすったもんだ”というモチーフは同じなのですね。

「ミリオンズ」では、信仰心があつく、
イノセントな少年が主人公となります。
彼の目を通し、お金のせいで心が変わってしまう年上の人たちを見せることで、
ここまで印象の違う話になるとは。

自分のものではないお金なのに、それを守る為に周囲をすべて疑ってしまう。
そして「本来(?)の持ち主」がやってきて恐怖を与える。

このあたりの、”大金を巡る話”から導かれるエピソードは同じです。

ただ、もちろん、子供に見せたい話なわけですから、
その後の処理は全然違ってきます。
また、ポンドからユーロに換わるため、数日中に使うか交換するかしなくてはいけない、
というタイムリミットの壁も加えられます。

主人公は、お金に翻弄される大人たちを全否定するわけでなく、
弱い部分も一緒に受け入れる度量を、子供ながらに持っている様子です。
もしかしたら裏切られるかもしれないと思いながらも、
母を亡くした彼らに近寄ってきたある女性を信じようともします。

ブラックな部分はありつつも、
視点者のお陰で印象が暖かい話でした。

人の気持ちの裏側の怖さを描いてきた(と私は思っている)ダニー・ボイル。
しかし、裏と表は同居しているのです。
裏側の裏は表。
弱い部分もあるけれど優しさも忘れていないという、
人の奥深さを描いたということなのでしょうか。

「シャロウ・グレイブ」から約10年。
成功して、結婚して、子供も出来、監督も変わったのでしょうね。

「ミリオンズ」。
これはこれで、優しい、とてもいい話でした。
例えばデヴィッド・リンチの「ストレイト・ストーリー」が、
それはそれで、いい映画だと思えるように。

でもやっぱ、ダーク系の方が好きです。個人的には。

あ、映像はね、CGも風景も凝ってて、でも気持ちよい明るさで、ダークじゃなくても好きです。
主人公の少年のそばかずだらけの笑顔もね。


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October 03, 2005

メゾン・ド・ヒミコ

犬童一心監督

優しい話ではないのです。
でも柔らかい話でした。
(以下、隠したまま感想の書きようがないのでネタバレしてます)

自分と母親を捨てた、ゲイの父親が死にかけている。彼が住んでいるのは、自らが作ったゲイの老人ホーム。恋人だという美しい男に頼まれ、また自分の都合もありアルバイトに出向く主人公。けれど彼女にとって、ゲイの住人たちは、忌み嫌うべき存在。

ここで彼らに共鳴し、父を許せた、というなら
誰もが感動するお話になるのでしょう。
確かに主人公には変化が生まれ、住人とも次第に打ち解けあっていく。
けれどどうしても、混じれない部分がある。心をぶつけられて反発する。おまえには関係ないのだと、追い払われてしまう。

誰かを丸ごと赦すことが、なんと困難なことか。

そんな人間の痛みから決して目を逸らすことなく、物語が収束を迎えようとします。

ラスト、再び渡されたメッセージは、彼らとの第二ステージがはじまろうとしていることを示唆していると感じます。
そしてこの後は、想像範囲内の展開が待っている。
だからあえて、語らない。

メゾン・ド・ヒミコで描きたかったのは、「物語」ではないのかもしれない。
人の心の揺れ動きであり、その時その時の、機微。
それこそが、人生というものの真実だと言ってるのかもしれない。

そんな気持ちの波が、柔らかいのです。心の包みこみが、柔らかいのです。

時ごとに吐露される各々の気持ちが、
正直で、同時に嘘つきで、痛々しい。
痛々しいからこそ、人間くさい。

主人公・沙織の暴言、ホームの住人たちの嫌味、中坊たちの暴挙。
生々しい。
大切なものを貫くための、自分の大切な相手のための、やりきれなさをごまかすための、様々な嘘と行為。
観ていられないほど辛そうな嘘もあれば、身勝手さに呆れる嘘もある。
ホームのためにヒヒ爺と寝て、大味で期待はずれのセックスだったと嘯く。
仲間に対してさえも、美しい衣装に憧れていることを隠す。
最期の時間を安らかに過ごさせるために、家族に介護を強いるような真似をする。
遺産があると騙す。

そして、さんざん嘘をついて、気持ちを溜めきって、やっと見せる本心。
「あなたが好きよ」
「羨ましかったな」

ずるいなあ。
そんなこと言われたら、言い返しようがない。

そうそう、セリフのひとつひとつが、
表情のひとつひとつが、とても決まっていましたね。

どの役者さんも、目の表情の変化が素晴らしい。

「欲望なんだ」と涙を湛えるオダギリジョー。
父親を見つめる柴咲コウ。
視線を外して、また戻して「あなたが好きよ」とつぶやく田中泯。
ドレスを着て我に返った、また、化粧直しをする時の、青山吉良(山崎)。
「オレを軽蔑してもいいから」とホームに出向く田辺季正(中学生)。
死んだ目をしている(注・誉めてます)西島秀俊。

いやもちろん、立ち姿から、仕草から、指先まで(笑)足の先まで(爆)、決まってました。

巧い役者さんたちが揃ったからこそ、味わえた映画でした。




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May 21, 2005

ミリオンダラー・ベイビー

クリント・イーストウッド監督

老トレーナーと、年齢的にもギリギリの女ボクサー。そして試合で片目を失った元ボクサー。
女は教えないと言っていたトレーナーだが、彼女の真摯な態度にうたれ、タッグを組むこととなる。
めきめきと実力をつけていく彼女、……という話。

最近の映画は、CMで内容をバラしていることが多いです。
わざとでないにしても、「その映像を流したら展開が判るだろ」という絵を平気で流す。結末は教えないでくださいという言葉さえも、宣伝文句。
でも、大多数の客に興味を持たせるには、仕方ないのかもしれません。

さて、なるべく情報を入れないようにしてた為ばかりではなく、
この映画、「アカデミー賞」と「女性ボクサーの話」、「負け組たちの挑戦」、プラスアルファしか、まだ聞こえてきてないように思うのだけど。

それだけに、こういう話だったのか!!と、ある意味、衝撃を受けました。

公開は来週末です。(試写会で見ました)
映画のネタバレが嫌な人は早めに観に行ったほうがいいかも。

……以下、ネタはなるべく割りませんが↓↓
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May 08, 2005

真夜中の弥次さん喜多さん

宮藤官九郎監督

ディープなホモだちのヤジさんとキタさん。そんな彼らの元にお伊勢参りの招待状(?)が届く。キタさんの薬物中毒治癒祈願もかねて、二人は東海道を下るのだが……という話。

原作を読んでいないのでオリジナルがどこまでかはわかりませんが、
クドカンワールド全開の映画でした。
つまり、ついていけないと感じる人は、まるで受け付けないだろう悪ふざけ。
小学生のころ、男子が喜んで読んでいた下ネタ漫画のテイストを、大人になっても保っているような感覚を持ちました。

以下は個人的な感想。
悪ふざけにはついていけるから面白かったけど、前宣伝で言われているほどディープな話とは感じられませんでした。一部除いて原色バリバリの映像のせいかな、満載のコメディのせいかな。
愛と死の深さや屈折を指しているのだとしたら、むしろ、ARATAと麻生久美子のエピソードの方が私的にはディープでした。
バカ笑いができるノリのいい映画、という印象です。
楽屋落ちも多いです。サブキャラというかゲストキャラの名前を知っている方が楽しめると思います。そういや、あの二人が親子というのは、某事件で図らずもみんなが知ったことだよねえ。
衣装関係はやたらとカッコいいです。あのヘルメット欲しいです。<バイクのらんだろ
松尾スズキも素敵でした。

そうそ、リアルを求めてはいけないけど、伊勢まで3キロ地点では、あんな高層ビルは建ってないですよ(笑)。
でも、いいとこです、お伊勢さん。

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