2018年10月17日

#AI時代の新・地政学

本書の著者はTV・マスコミ等でも売れっ子の宮家邦彦氏。宮家氏は元外交官で現在はキャノングローバル戦略研究所主幹。

 

本書は、2015年年末から2018年4月ま「週刊新潮」に連載したコラム「新聞 ネットじゃわからない国際問題 鳥の目 虫の目 魚の目」から抜粋し、加筆、修正、再編集し、本年9月に新潮社より発行されたもの。

 

AI時代を迎え、従来の地政学の常識は大きく書き換えられていく。戦略核兵器となった「AI兵器」が核にとって代わり、熱い戦争ではなく「水面下の刺し合い」が主戦場となる可能性すらある。

 

大事なのは、技術の革新を認識しつつ、変わらぬ人間の本質と冷徹な現実を見据え、世界の行く末をクールに考え抜く姿勢だと宮家氏は言う。

 

今世界を席巻している、醜く、不健全で、無責任な大衆迎合主義的ナショナリズムは何故生まれたのか。冷戦終了後に拡大した貧富の差が大量の「負け組」 を生んだが、著者はこの現象を「ダークサイドの覚醒」と呼んでいる。

 

著者は、本書の中で「諸帝国の逆襲」についても論じているが、世界は「スターウォーズ化」していると言う。

 

これは今後の世界情勢を理解する上で、大変面白い切り口となると思う。



chikointernational at 19:45|PermalinkComments(0)地政学 | 宮家邦彦

2018年10月09日

#言ってはいけない中国の真実

本書の著者はベストセラー作家の橘玲氏。橘玲氏の著書『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』は30万部以上も売れたという。

 

本書は2015年3月ダイヤモンド社より刊行された『橘玲の中国私論』を文庫化したもので、新潮社より本年4月に発行されたもの。

 

中国崩壊説を尻目に急速な経済成長を遂げた人口13億の大国・中国。

 

満州からチベット、内モンゴルまで、その隅々を旅した著者は、至る所で不動産バブルの副産物で「鬼城」と呼ばれるゴーストタウンに出くわした。

 

著者は、高層ビルが林立する超モダンな廃墟が建てられる元となった「錬金術」の仕組みに着目し、本書の中で日本と異なる国家体制、組織のあり方、国民性を読み解く新中国論を展開している。

 

人口13億の『厄介な隣人』はどこへ向かうのか?

 

著者の該博な知識(中国の歴史・地理、生活・文化、政治・経済他)と洞察力が本書の中で随所に光っている。

 

チャイナ・ウォッチャーには是非お勧めオススメしたい本だ。
 



chikointernational at 13:12|PermalinkComments(0)中国 | 橘玲

2018年09月26日

#神社崩壊

本書は著名な宗教学者(作家)島田裕巳氏の新著で、本年8月に新潮社より発行(新潮新書)されたものである。

 

昨年末、TVや新聞・雑誌等マスコミを通じて大きく報道された富岡八幡宮で起きた前代未聞の殺人事件は、多くの人々に衝撃を与え、私の記憶にも今も大きな疑問符付きで残っている。

 

元宮司の弟が宮司の姉を刺殺するという凶行の背景には、不透明かつ放漫な神社経営、神社本庁との軋轢などがあり、いずれも神社界の危機を象徴するものだった。

 

本書は、この事件を糸口に、そもそも神社とはどのような場所で、何を祀っているのか。さらに、その収入源や経済格差、神社本庁の正体と歪な権力構造、「日本会議」との関係など、御簾の裏に隠された“暗部”を宗教学者が炙り出そうと試みている。

 

昨年末に起きた富岡八幡宮の殺人事件を深掘りするという意味では若干肩透かしをくらった感もあるが、神社界の過去と現状、そして将来を展望する意味で、門外漢には非常に参考になった。

 

特に、森友学園問題で時々名前が出てきた「日本会議」と「神社本庁」の関係を、政治の観点から理解する一助となったのは幸いだ。



chikointernational at 20:35|PermalinkComments(0)宗教 | 島田裕巳

2018年09月18日

#プライベートバンカー 驚異の資産運用砲

本書の著者は野村證券出身のプライベートバンカー、杉山智一氏で、現在も富裕層の資産運用・管理に携わっておられるそうだ。

 

本書は株式会社講談社より本年3月に発行されたもの。(講談社現代新書)

 

杉山智一氏は以前このブログでも紹介した清武英利氏の著書『プライベートバンカー カネ守りと新富裕層』の実質的な主人公だ。

 

杉山智一氏は、国内証券・銀行のみならずシンガポールでのプライベートバンキング業務を通じ自ら磨き上げてきたスキルの一部を、本書で開示されている。

 

特に海外のオフショア生命保険を活用しての資産運用スキームは、著者の真骨頂スキルのような気がする。ただ、個人的にはその際のリスク・マネジメントをどうするのか、突っ込んで質問したい気になる。

 

本書には、富裕層以外の方にも資産運用をどうすれば良いか、そのウンチクが述べられているので、将来、年金給付が期待できない若い層の方には是非読んでもらいたい書籍の一つだ。



chikointernational at 13:03|PermalinkComments(0)海外分散投資 | 杉山智一

2018年09月10日

#スノーデン 監視大国日本を語る

本書はEdward Snowden氏、国谷裕子氏、Joseph Cannataci氏、Steven Shapiro氏、井桁大介氏、出口かおり氏の共著で、本年8月に集英社より発行されたもの。

 

Edward Snowden氏は、CIA,NSA及びDIAの元情報局員。アメリカ政府が無差別監視をしている実態等を暴露した2013年6月の「スノーデン・リーク」で世界を震撼させた人物。2014年より「報道の自由基金」の理事をされているそうだ。

 

国谷裕子氏はご存知の方も多いと思うがNHKのキャスターだ。

 

本書は、2017年10月1日に一橋講堂で行われた、公益社団法人自由人権協会(JCLU)70周年記念シンポジウム「デジタル時代の監視とプライバシー 市民によるコントロールのために」を翻訳・書籍化したもの。

 

2017年、日本関連の秘密文書が新たに暴露され、そこには大量監視システムXKEYSCOREがアメリカ政府から日本政府に譲渡されていることが記されていた。

 

安全のためと称し増大する一方の国家による監視活動に対し、市民によるコントロールをどのように及ぼして行くべきか。

 

スノーデン氏と日米の識者、プライバシー権に関する国連特別報告者が対策とヴィジョンをシンポジウムで語っている。

 

2013年、安倍政権の強力な推進の下で特定秘密保護法が成立し、秘密情報の漏えいに対する厳罰化が進行した。

 

そして2017年6月捜査機関にフリーハンドを与えてしまうような共謀罪法案が可決された。

 

これらの流れを念頭に本書を読むと、この先、真綿でゆっくり、ゆっくりと、首を絞められるような不自由な未来が待っている気がしてならない。

 

監視国家・某国のことをあれこれ言う前に、日本もヤバイ国家を目指している?ことを国民全体が気付くべきだ。



chikointernational at 14:00|PermalinkComments(0)未来予測 | Edward Snowden