クリスチアン・シャヴァニュー
2016年08月24日
タックスヘイブン グローバル経済を動かす闇のシステム
本書の著者はクリスチアン・シャヴァニュー氏とロナン・パラン氏で翻訳は杉村昌昭氏。本書は2007年に作品社より発行されている。
最近、パナマ文書で世界的に話題を集めたタックスヘイブンだが、これは古くから指摘されていた問題だ。
新聞・雑誌や国際情報紙に日常的に目を通していると、世界中のどこかの地域で起きているスキャンダラスな企業破産、横領、贈収賄、政党の裏金、マフィアのシンジケートといったニュースが目に飛び込んでこない週はない。
これらのすべての出来事に、タックスヘイブンが関係していると著者らは指摘している。
タックスヘイブンとは「世界金融の汚濁の最深部」にほかならないが、一般に「オフショア金融センター」と婉曲的に呼ばれているこの「最深部」は、同時に、グローバル化した金融の大中心部でもある。
実際、グローバル経済におけるタックスヘイブンの役割は、脱税やマネーロンダリングと言った派生的現象よりもはるかに大きなものであると著者は言う。
出版されて久しいが、本書は、これまでほとんど手付かずののテーマであったタックスヘブンの闇の部分に迫り、その機能や構造、過去・現在・将来に関して深く考察を加えた優れた本だと思う。
chikointernational at 11:48|Permalink│Comments(0)