皆さんは「竜退治にはもう飽きた!」というキャッチコピーをご存知でしょうか。TVゲーム『メタルマックス』のTVCMにて、「元ジャイアン」ことたてかべ和也氏のが叫んだこのフレーズは「戦車と人のRPG」である同シリーズを象徴する名キャッチコピーとしてファンの間では語り草となっています。



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ですが、広大な世界にはたてかべ和也氏ならずとも「もう飽きた!」と叫びたくなるような様々な事象が存在することは論をまたないでしょう。今回はそんな中から、仕事における「もう飽きた!」の好事例、「エア仕事論」を
紹介します。「エア仕事論」とはその名の通り、「本人はドヤ顔で語るも、現実には何の意味もない仕事論」「仕事論のフリした自慢・アピール」の総称です。今回は数多くの「エア仕事論」の中から5つを紹介する事で現代社会に対する警鐘とさせていただきたいと思います。

1.コミットメントなき仕事論

コミットメント。様々な人によって指摘されていますが、ビジネスを進めていく上で基本中の基本となる能力です。ビジネス上のある事柄にコミットメント(責任を伴う約束)する以上、責任をもってその業務を遂行する必要があります。ところが、エア仕事論ではこうしたコミットメントは無視され、「自分が気持ちいいか」「自分が有利なポジションにつけるか」「PVが稼げるか」が優先されます。簡単に言えば、全てのエア仕事論はコミットメントなき仕事論だと言えます。
「あの人が気に入らないから俺は仕事しないよ」という人や、「前の会社では○○だった」「googleでは云々」「アップルでは云々」「ワークライフバランスが」「ダイバーシティが」などなど。「エア仕事論をぶつ前に事務員と不倫するのやめろ」(愛知・フレキシブルコンテナバック)「そんなこと言うならとっとと転職しろよ」(尖閣諸島・官房長官)、「あんたが勤めてるのは何の変哲もない日本の中小企業なんですが・・・」(岐阜県・童貞)といわれても仕方がないでしょう。

2.ノマド

「ノマド」とは遊牧民の事ですが、転じて「オフィスのない会社」「働く場所を自由に選択する会社員」といったワークスタイルの事を指します。当初はモバイルやクラウドを使った仕事術やツールの紹介であったはずのノマドですが、フリーランス礼賛と結びつき、現在ではノマドなんだかノ○ソなんだかエア仕事論なんだかよくわからないことになっております。それに伴い、「年収150万円で僕らは自由に生きていく 」(それ単に嫁さんが理解と稼ぎのある人ってだけだろ)とか「月5,000円でサバイバルキットを買えば大丈夫」(新手のネットワークビジネスか)などなど「ノマド的エア仕事論」も増殖傾向です。安易にノマドを信奉する皆さんには「歴史上ほとんどのノマド(遊牧民)は安定した収穫を目指して農耕民族に侵攻、征服後、農耕民族に逆制服(農耕民族化)された」という事実に思いを馳せてほしいものです。


3.「カンブリア宮殿は見ろよ」

『カンブリア宮殿』といえば、各業界の社長を招いての企業PR研究番組です。村上龍と小池栄子の名コンビもすっかり板に付き、テレビ東京の看板番組とも言えるこの番組。あなたは、放送翌日の会議などでやたらとどこかで聞いたような、もっといえば、昨日の夜中に両胸にスイカをつけたねーちゃんとドヤ顔のおっさんから聞いたのと全く同じ内容を話す上司に遭遇する光景に遭遇したことはないのでしょうか。「部長がドヤ顔で「カンブリア宮殿」の話をするのでますます見たくなくなる」(埼玉県・団体職員)「紹介されている事例を1つでも実行してほしい」(ユタ州・NPO)など、彼らの存在は若手社員からの評判が非常に悪いです。番組そのものよりも、「唯一の情報源」「単なる広報番組を先進事例の紹介だと勘違いする」上司の存在が「カンブリア宮殿を見てる人はイタい」という逆効果を生んでいる事実は我々の胸に刻まれるべきです。

4.ぼくがかんがえたさいきょうのますこみぎょうかい

あなたのフォロワーの中にはマスコミ業界の人間でもないのにやたらと「マスメディアの未来」や「マスコミ論」を語りたがる人がいないでしょうか。で、意外とそうした発言がリツイートされてたりします。
「マスコミに入ってから言え」(インターネット・こじらせ女子)「他にやることないのか」(樺太・製麺業)などなど、こちらも評判は悪いです。よくよく考えてみると、業界のインサイダーでもない人が考えた理論がそこまで正しいと言えるのでしょうか。自分の業界に置き換えてみれば、そうした現状が如何にバカバカしい事かよくわかります。しかもタチの悪い事に、そうした発言は就職活動の裏返しのルサンチマンである可能性が多く注意が必要です。ですが、よくよく考えてみると、我々の周りには「ぼくがかんがえたさいきょうのかちょう」や「さいきょうのしんきじぎょう」「さいきょうのえいぎょう」を開陳する人にあふれています。
「さいきょうのかいしゃ」トークはせめて飲み屋での泥酔時ぐらいにとどめておきたいものです。


5.中二病にいつまでも罹患

中二病。本来であれば「中学2年生程度の屁理屈で社会を否定し、結果何の行動も起こさなくなる「病」」の事を総称していますが、世の中には困ったことにこの病にかかったまま大人になって就職……はおろか、管理職になろうが50になろうが中二病がいまだに完治しない人がいます。いい年こいて「俺が中心にならない飲み会には参加しない」という人や、もう50にもなるのに、「俺に従わない後輩とは口もきかない」という人。いつまでたっても「ぼくにはもっとふさわしい仕事がある」と夢想する人。「ぼくはゆうのうなんだい!」というアピールに余念のない人……。
「ほんとに迷惑。早く魔眼に目覚めてダークフレイムマスターに転生してほしい」(岐阜・文化系童貞)「そんなに中二病がいいならアーカム財団にでも入ってろ」(梁山泊・ミニコミ編集)など、中二病を批判する前に自らを省みてほしいと思う事しきりです。


そもそも、エア仕事論とは全ての会社において、全ての安居酒屋で必須の概念でした。ただ、それらは翌日には酒とともにきれいさっぱり忘れ去られていたという意味で、大変健康的なものでした。ですが、今日では全てのエア仕事論はアーカイブ化され「痛い言動」として保存される一方、「事故物件」扱いを恐れない一部の人たちは、エア仕事論を語ることを仕事とするようになりました。我々にできる事は、彼らの発言の不備をあげつらうことではなく、彼らの発言をしっかりとアーカイブ化し、後世の人々に残すことなのではないのでしょうか。2010年代の日本に咲いたあだ花として……。