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ミニコミ『奇刊クリルタイ』の公式ページ。お知らせやメルマガ「週刊メルマガクリルタイ」の過去記事を掲載していきます。

電子書籍

amazonで自分の本を出版するまでまとめ

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  • はじめに

このサイトを運営している「奇刊クリルタイ」は何者か、というとそもそもはミニコミ『奇刊クリルタイ』を集まって年2回ほど出版している有志の集まりです。主に活動しているのは「文学フリマ」や「コミックマーケット」で、イベントの開催に合わせて新刊を出す、というような活動をしています。『奇刊クリルタイ』のシリーズ最新号は「6.0」で、

奇刊クリルタイ6.0奇刊クリルタイ6.0
著者:クリルタイ
販売元:クリルタイ
(2011-11-07)
販売元:Amazon.co.jp
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これまで増刊号2冊を合わせると通算で8冊を刊行しています。

奇刊クリルタイ増刊「dorj」 Vol.2奇刊クリルタイ増刊「dorj」 Vol.2
著者:クリルタイ
販売元:クリルタイ
(2011-06-20)
販売元:Amazon.co.jp
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ご覧の通り、「クリルタイ」のシリーズはamazonでも買えますが、これはどこかの出版社から組んで出版しているわけではなく、私(republic1963)が個人で刊行しています。これは、多少のお金とヒマさえあれば誰でもできます。そこで今回はamazonに出品するためのHOW TOと、知られざるセルフパブリッシング(自費出版ならぬ自力出版)の世界をご紹介したいと思います。

  • 5万で誰でも本を出版できる

5万円で誰でもamazonで本を出版できる、と聞いたら驚く方もいるかもしれません。でも、実際に5万円あれば誰でも自作の本を出版できます(本当はもっと安く上げる方法もありますが、後述します)。amazonには「e託販売サービス」という委託販売のためのサービスがあり、そこでは和書、CD、DVD、ビデオゲーム、ソフトウェアといった作品を委託販売する事ができます。書籍の場合、そこで必要なのは、次の2点です。
 
・Amazon e託販売サービス 年会費(年会費9,000/年)を購入する
・ISBNコードを取得している

amazonの年会費は1クリックで買えます。ちなみに、買うとペラペラのマウスパッドが1枚付いてきます。

Amazon e託販売サービス 年会費Amazon e託販売サービス 年会費
販売元:Amazon.co.jp
(2006-10-01)
販売元:Amazon.co.jp
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もう一つ、ISBNコードを入手するには「日本図書コード管理センター」というところに出版者(会社ではなく、個人としても登録できる)として登録する必要があります。これが6桁(100書名分)のISBNで¥28,350(税込)※1。ただし、amazonで登録する場合には書籍JANコードとセットでの登録が必須になります。この書籍JANコードの申請料は3年¥10,500(税込)※2。この金額を(財)流通システム開発センターに振り込む必要があります。
つまり、28,350+10,500+9000=47,850円がamazonに登録するための費用になります※3。この費用は自分で作業を行った場合ですが、amazonへの登録代行業者もおり、そちらを利用すれば費用はさらに安く上げられます※4。後はamazon、e託サービスで本を登録するれば完了!となりますが、問題はこの後です。

  • それにしても売れない

我々がamazonに登録して1年と少し経ちますが、最高に売れたのが、『奇刊クリルタイ増刊「dorj」』で、

奇刊クリルタイ増刊「dorj」奇刊クリルタイ増刊「dorj」
著者:クリルタイ
販売元:クリルタイ
(2010-09-01)
販売元:Amazon.co.jp
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約30部販売しています。1年強で30部、微妙な数字だと思いませんか。それもそのはずamazonには登録は誰でも可能ですが、それを売るのは我々なのです。地道にtwitterやサイトで告知が必要。で、ほっとくと見事なまでに売れない。登録直後には少し売れ、その後はかなり頑張って3カ月に1冊売れるとかそういうレベルです。ちなみに、我々のような、文字主体のミニコミ誌を「文学フリマ」や「コミックマーケット」で頒布した場合、1日で50部出ればまぁ成功、と言われています。それに比べても微妙な数字だと言わざるを得ません。また、amazonのe託販売は手数料40%という「インフラビジネスご苦労様です!」と心から言いたくなる素晴らしい手数料率を誇っており、この点でも微妙です(登録代行サービスを利用するとamazonの委託手数料を合わせて半分ぐらい持っていかれる)※5。

  • 既存の書店サービスを利用する

「amazonがぼったくりだ」という事で気に入らなければ、書店様のリアル店舗を利用するという方法もあります。、『奇刊クリルタイ』では一部ですが書店での取り扱いもしていただいています(取り扱いいただいている店舗様はこちらを参照ください)。ミニコミの取り扱いは個々の書店(店舗)様によってまちまちなので、個別に営業をかけていく必要があります。この手間は半端な手間ではないので「俺も早く文芸社の編集さんにみそめられて共同出版デビューしたいなぁ・・・」などと夢想する次第です。
そもそも、現在毎年75,000冊(2010年度の数値)近くの本が商業出版として出版されている世の中です。書店様に卸すという事は、そういう本と書店の棚を巡って争う、という事を意味しているわけでかなり大変だ、と言わざるをえません。もちろん、「タコシェ」さんや「comic-zin」さんのようにミニコミに力を入れて販売していただける書店様もありますが。
そして、リアル店舗に卸そうがネット書店に卸そうが告知の問題は付いて回ります。
告知として有効なのが「コミックマーケット」などの同人誌即売会です。比較的興味を持っているお客さんが大挙していらっしゃるという部分もあり、現状では即売会での頒布が一番部数が出る、という部分もあり、また、即売会で入手していただいた方の感想がtwitterで上がるなどして、amazonでの販売を後押ししていただける可能性もあります。つまり、現時点では、即売会に合わせて新刊を出し、残りをamazon他の委託販売で販売する・・・というあまりに当たり前な結論が出てしまいました。

  • まとめ

こうしてまとめてみると、「本を出す」という行為には様々な行程があり、現在我々が出版社と呼ぶ企業にはそれら様々な機能を一括して持っている、という事がよくわかります。出版業界が今後どうなるべきか、という事は門外漢があれこれ言うべき事ではありませんが、もし営業、広告など様々な機能ごとにサービスを利用できるようになる事で様々な書き手にチャンスが広がればいいのではないかなぁ、と思う次第です。

※1 10件でも登録可能。この場合は¥16,800(税込)になります
※2 Eランク(出版者の出版物の年間総売上高(最新の決算期)が1億円未満)の場合の金額。
※3 この流れをもっと細かく知りたい方はこちらを参照してください
※4 1:委託手数料がかかる、2:出版者としての扱いがよくわからない、3:多点数を扱うなら自分で登録した方が早い などの理由で私は利用していませんが。
※5 こうして考えると、以前話題になった「「こんなの論外だ!」アマゾンの契約書に激怒する出版社員 国内130社に電子書籍化を迫る」というニュースにおける55%という手数料もさもありなん、という感じがします。

電子出版市場と文章系同人の可能性は?

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(「週刊メルマガクリルタイ」Vol.36(2010/04/07 配信分) の原稿を再掲)

2009年12月、第九回文学フリマで頒布した中で、大塚英志『物語の体操』を実践した『bnkr』Vol.2が、Amazon電子書籍リーダーKindle版をリリースしました。

また、『bnkr』で表紙・装丁を担当なさっている『大東京トイボックス』うめ氏が、1月に『青空ファインダーロック』をKindleで発表され、話題騒然となったのも記憶に新しいところです。

http://www.amazon.com/dp/B0035LDN7I

3月には、イラストレーターの安倍吉俊氏が、過去に発表した同人誌『宇宙人ですが質問です01(I am an Alien. I have a Question.01)』のKindle版の販売をはじめました。

http://www.amazon.com/dp/B003B66J50
このように、特にマンガの分野では、出版社・取次を介さずに作者自身がKindle版を発表する、という潮流が出来つつあります。

もともとマンガと電子書籍は非常に相性が良いです。また、ちょっと書店で購入し、本棚に並べるのに躊躇するような、ボーイズラブやアダルトマンガ本なども希求が高くなっています。電子書店パピレスのベストセラーも、BL・アダルトにハーレクインが上位を独占しています。

※参考 
http://www.papy.co.jp/act/static/best/010.htm
http://www.papy.co.jp/act/static/best/045.htm

現在、最新の電子書籍市場の動向を調査したものは、インプレスが毎年発表している『電子書籍ビジネス調査報告書』になります。昨年7月の時点で発表されたものを参照すると、2008年度の電子書籍の市場規模は464億円、そのうち402億円がケータイのものになります。

http://www.impressrd.jp/news/090708/ebook_ecomic2009

前述した理由もあって、ケータイ電子書籍のうちの約8割はBL・レディコミ・アダルトといった分野が占められています。「めちゃコミックス」などといった携帯マンガ配信サイトでの人気作も竹書房などで人気のアダルト系作家の短編が多い印象があります。

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さて、上記のような状況をもとに、文章系同人・ミニコミサークルが電子書籍で出来ることはどのようなことがあるのか、簡単に考えてみたいと思います。

まず、踏まえておきたいのは、報道の加熱や期待の膨張とは裏腹に、Kindleはまだ日本にあまり台数が入ってきていない、ということです。先日、電子出版を勉強する集まりに参加させて頂いたのですが、40名ほどの出席者の中でKindleを持参してきたのはわずか1名の方のみでした。関係者のうちでも、その程度の所有率ということは、現状ではコンシューマのレベルではほどんど市場がないと判断することが妥当でしょう。
また、Kindleは日本語対応しておりませんので、現在先行してリリースする意味が薄い、ということもあるのでは、と考えられます。PDFの読み込みということは可能ですが、そこからリンクを飛ばすなど、紙の本では出来ないようなことを盛り込むのも難しい状況では、面白みもないし、あえて電子出版の道を探る意味もなくなります。
今後、状況は逐次変わってくるでしょうから、タイミングを見計らってリリースできる体制を整えておくことは悪い選択ではないでしょう。が、「その時」はまだ先なのではないのではないでしょうか?

一方で、アップルのiPhoneは全世界で累計3000万台を超えたといわれ、日本でも着実に台数を増やしています。また、4月にはiPadの発売が北米で開始され、本格的な電子出版のデバイスとしても期待されます。また、AppStoreという配布・課金のプラットフォームがあるということも魅力の一つです。
ただ、PDFをそのまま読み込むことが可能で、PCなどでも読む環境が整いつつあるKindleに比べると、アプリケーションの開発が必要になるなど、下手をすると印刷と同程度の費用がかかってしまうことになります。
これを回収するためには、500~1000冊という販売実績が必要になりますが、コグレマサト氏・いしたにまさき氏共著の『ツイッター 140文字が世界を変える』のiPhone版でも、お伺いしたところ数百冊というダウンロード数とのことでした。

個人的には、出版社勤務時代に雑誌電子化・ダウンロード販売という事業に携わった経験から判断するに、電子出版の時代は必ずしも報道や世間で言われているような「バラ色のセカイ」が広がっているとはどうしても思えません。
しかし、それでもマンガに限らず、文章系同人・ミニコミサークルが、KindleやiPhone・iPadといったデバイスに対応していくことはトライする価値があるように考えます。まず、現状では出版社・取次といった流通が介在していない分、作者の意図により沿った作品を世に問うことが出来ること。次に、共通のフォーマットがない分、自由な表現が可能なことがその理由に挙げられます。
例えば、Webサイトとの連動、音楽・映像を盛り込んだコンテンツ化など、これまで紙の本では出来なかった表現の可能性は、無限に広がっています。
KindleやiPhone・iPadの電子出版の市場は、今ならまっさらなフラットな土壌です。そこで勝負してみるのは、チャレンジングですが同時にエキサイティングな試みにもなるでしょう。

私たち『クリルタイ』でも、そういった取り組みに敏感になっていきたいと考えております。現状走りはじめている案件も実はあったりするので、是非ともご期待ください。よろしくお願い申し上げます。

(Parsley)
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