2006年04月27日

資本と食欲を呑み込む中国外食業界

(記事より / 情報元:2006年4月26日付け 第一財経日報)
リスクを好む機関投資家は、これまでハイテク産業などのリスクの高い産業に投資をしてきた。
しかし彼らはいま投資の矛先を変えようとしている。
彼らが狙うのは外食産業だ。
これが次の標的になる。

(コメント)
記事に依りますと、一部の機関投資家が中華料理関連のいくつかのチェーン企業にすでに手を伸ばし始めているようです。
例えば、記事には「小肥羊」というチェーン店のことが紹介されています。
「1999年、内モンゴルでテーブル数わずか30個の第一店目をオープンした「小肥羊」は、その後中国の各都市で次々に店舗を増やし、現在は700店舗出店するまでに急成長した。
現在、小肥羊は国際戦略にも着手し始めている。」
数年間で急激に成長した小肥羊に対し、すでに8つほどの国内外の機関投資家が接触してきているということです。

企業の大きさに関わり無く、上海の外食業界は非常に熱いと私は感じています。食事時になれば大抵の店は満席になり、店の外にテーブルを用意して料理を出す大胆な店もあります。
しかし競争も激しく、消費者から全く相手にされない店もあります。


私なりに中国の外食産業を見てみますと、幾つかの特徴があるように思います。
一つ目は、多様化です。
中華料理がいまだ主流である中国外食業界に、少しずつ海外のレストランが増えてきていること。
また、マクドナルドやケンタッキーフライドチキンといった海外ファーストフード店に対抗するように、中華料理のファーストフード店が現れ始めていることです。

二つ目は、いわゆる「セミ・リッチ」をターゲットにした外資チェーン店が成功していること。
典型的な例がスターバックスとピザハットです。値段が明らかに高いにも関わらず、非常に人気があります。

三つ目は、消費者のお金の使い道が限りなく限られていること。
遊ぶ場所が非常に少ないため、食べることに対して多くのお金が消費される傾向にあると考えます。

四つ目は、中国の方々は「食」に対してこだわりを持っていること。

五つ目は、「中食(なかしょく)」が未発達であること。
中食とは、お弁当やお惣菜のように、家に持ち帰って食べることです。
この業界が未発達であるため、消費者は外食に集中します。

六つ目は、組織経営が出来ていないこと。
単体で営業している飲食店が市場全体の95%を占めます。
規模が小さく組織経営が未成熟な飲食店の寿命は長くありません。

七つ目は、サービスが未成熟であること。
細部にこだわる管理が出来ていない店は、中国といえども淘汰されます。

八つ目は、中華料理に飽きた若い消費者が海外の新しい物を求めていること。

そして九つ目は、競争がとても激しいことです。


巨大な資本と食欲を飲み込むようにして、中国の外食業界は成長しています。
上海などの都市部の競争は激化していますが、地方都市や海外に店舗を拡大するという余地も残されています。
また気軽に行くことの出来るフレンチの店や、日本式の居酒屋といった業態がまだ普及していないため、多様化の浪とともに市場全体が更に大きくなる可能性も十分にあります。


最後に、或る資料に載せられていたデータをご紹介します。
直近5年間の中国外食業界売上高・年間平均増加率は17%に達しています。
2004年全国外食業界売り上げ総額は7486億元、前年比21.6%増。
2005年同売り上げ総額は8886.8億元、前年比17.7%増。15年連続の二桁増加率となっています。
(出所:CHINA INVESTMENT CONSULTING)

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chinaeconomyreport at 01:20|PermalinkComments(4)TrackBack(3) 中国経済 

2006年04月21日

企業の国際競争力と国家の姿勢

(記事より / 情報源:2006年4月20日付け 第一財経日報)
    華為技術有限公司のPCT(特許協力条約)国際出願件数が米国企業・シスコシステムズを上回った。
    昨年度における華為の国際特許出願件数は249件であり、一方シスコシステムズは212件だ。
    同企業の申請件数は世界で37番目の多さになる。
    なお、同企業のPCT出願数量は中国全体の10%を占めている。

(コメント)
    華為技術有限公司というのは電信ネットワーク設備を製造する企業です。
    民営企業ですが中国政府との結びつきが強く、中国国家開発銀行から100億ドルを低利子で借り入れており、また製造した設備を国家に供給しています。
    この企業の国際特許出願件数がシスコシステムズを上回ったというのが、今回の記事の中心的内容になるわけですが、注目したいのはこの企業の性質ではなく、中国企業全般の知的財産権についてです。

    世界の工場と呼ばれて久しい中国ですが、しかし中国国内企業はこう呼ばれることに明らかに憂いを感じています。焦りと表現してもよいかもしれません。
    中国はこれまで低労働コストという優位性を活かして、「世界の工場」に成り得てきました。しかし知的財産権の少なさや、国際的競争力の無さ、或いは企業のブランド力の無さが中国国内企業を悩ませています。
    この問題については、テレビや新聞、雑誌などのあらゆる場面で数年前から活発に議論されていたのですが、いまだに突破口を見つけられていないのが現状です。

    そういった情況の中で、華為技術有限公司の昨年におけるPCT国際出願件数が世界34位にランクされたというのは、一つの変化であると私は考えます。
    勿論、「世界34位」や「シスコシステムズを抜いた」といったものは単なる目安に過ぎません。
    大事なのは、国際的な競争力を持つ企業を育てようとする国家の姿勢です。

    民間企業であるこのような企業が、国家の支援を受けながら国際舞台に踊り出ていくというのは、中国にとっては悪くないシナリオであるはずです。
    国際舞台で成長し国内周辺産業を活性化させることの出来る企業が今の中国には必要であり、政府はそれを国家の戦略として考える必要があるように思います。
    今回の華為はその先例に成り得る可能性があるため、同企業の今後の動向には注意を払う価値があると考えます。

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2006年04月02日

「アパレル戦国時代の静かなる幕開け」           ブランド力のエスプリ VS 個性のI.T(前篇)

上海の街を観察していて最近思うことは、ファッションが非常に個性的になっているということです。
上海の人たちのファッションが東京などに比べて洗練されているかどうかは別にして、色やデザインが非常に個性的になってきています。
そういった街の変化に合わせるように、多くのカジュアルブランドが独自の個性を打ち出してきており、すでに市場の中での棲み分けも始まっています。
もはや、個性の無いブランドは淘汰される環境になっていると、私は感じています。

そういった状況の中で、個性がひときわ目立つのが、「I.T」(HK.0999 テクニカル指標はこちら)です。
赤を基調とした店内は、それ自体がすでに自己主張していて、個性を重視する消費者を惹きつける力を持っています。
店内を奥に入ると、個性の異なる関連ブランドが並んでいて、消費者は自分の個性に合わせたブランドを選べるようになっています。スケーターファッションを扱うショップなどは壁や仕切りが金網になっていて、若者の反逆的な気持ちを煽るような雰囲気を作り出しています。

IT

売られている商品も個性を重視したもので、デザインも悪くありません。私自身、買いたいと思うものがたくさんありました。服に付けられているタグを見ると、日本語で書かれているものもあります。こういった商品は日本にも輸出されているのかも知れません。或いは上海在住の日本人向けに売られているのかもしれません。

個性を重視した「I.T」の戦略は今後、上海の多くの消費者に支持されるであろうと、私は思っています。去年ごろから上海での店舗数も増えて始めていますので、ブランドの知名度もこれから上がっていくはずです。

ただ、問題点もあります。
一番大きな問題は、価格設定です。I.Tの商品の価格はやや高めです。日本の物価水準で売られています。日本人である私にとっては適切な値段ですが、上海の若い人たちにとっては高いと感じられるはずです。店内が賑わっていないのは価格設定に原因があると考えられます。

しかしながら、今後、ストリートファッション情報が増え、若い人たちがファッションに更に敏感になれば、値段の高い服も買われるようになると、私は考えています。実際、私自身も二十歳前後の頃はアルバイトで貯めたお金のほとんどを洋服の購入に使っていました。お金が無いのに値段の高い人気ブランドの服を買っていたわけです。

いつの時代も、若者はおしゃれに敏感です。私の父も、若い頃はアフロのようなパーマを施し、レイバンのサングラスをかけ、白いパンタロンを穿いていました。(母に、父の若かれし頃の写真を見せてもらったことがあります。)

現在の「I.T」にはまだ、ファッション業界に潮流を起こせるほどの影響力も力量もありません。上海ファッション業界に潮流を巻き起こすためには、「I.T」自らがその仕掛け人にならなければなりません。
「I.T」が潮流の仕掛け人になれるのか否かについては、更に観察をしてから判断しなければなりませんが、「I.T」はその急先鋒になり得ると、私は認識しています。
(本投稿の後半部分は近日中にお届けします)

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2006年04月01日

日々の観察  「Skip」という中国経済の特徴

中国経済には或る特徴があると私は考えます。
その特徴とは、発展のリズムがスキップしているということです。

具体的な例を挙げてみます。
上海では、VHSのようなビデオデッキが普及する前にDVDが普及しました。
また、プレイステーションのようなゲーム機が普及する前にPCのオンラインゲームが普及しました。
或いは、MDが普及する前にMP3が普及しています。
通販が普及する前に、ネットオークションが普及しています。

つまり、経済が順を追って発展しているのではなく、或る段階を飛び越えながら、スキップするように発展しているということです。

このことから言えることが一つあります。
それは、或る分野の業界が、経済の表舞台に立つ機会さえ与えられないまま、消えていってしまう可能性があるということです。
VHSやMDがその典型的な例です。
そういった業界に属する企業は、努力の甲斐も無く消えていくことになります。

逆に、日本などの先進国と同歩調で先端の技術を研究している組織は、その産業が順を追って成熟してくるのを待たずに突如として表舞台に立つことができます。
例えば、ユビキタスなどの分野がそれであると考えています。

現在、日本と上海の間には、いろいろな分野において時差が存在しています。しかしそういった状況の中で、或る特定の分野では、差が縮まってきているように思います。特にハイテクの分野ではそれが顕著です。

このような、テンポの速い経済発展のリズムは、先端の技術を研究する組織にとっては有利であり、先端ではない技術を扱う組織にとっては明らかに不利であると考えます。

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2006年03月31日

日々の観察 「中国でも動き始めた!!中古車販売市場」

    先日コンビニに立ち寄った時、私は或るものを発見しました。
    それは、無料で配布されていた中古車情報雑誌です。
    無料誌なので紙や印刷の質はよくありませんが、中身は私が日本で見た中古車情報誌と変わりありません。

    中国の自動車産業の発展に伴い、中古車販売市場が発展してくるのも自然なことです。
    しかし、この産業が発展するためには、「情報の不透明性」というハードルを乗り越える必要があります。
    これまでにも中国には中古車売買が存在していました。しかしそれは非常に小規模な組織によって拡散的に行われていたものです。こういった拡散的な売買においては情報は極めて不透明です。中古車の価格が適正なのか、判断することは非常に困難です。価格の比較もできません。買い手が車の状態を自分で判断できないのもごく一般的なことです。
    こういった状況下では、買い手は当然、この市場に近づこうとしません。

    こういった中で、中古車情報誌が市場に出回り始めたというのは、大きな前進です。これをきっかけにして、中古車売買が盛んになる可能性もあります。

    情報誌が出回り始めた一方で、インターネットオークションでの中古車個人売買も動き始めています。規模はまだ大きくありませんが、大きく発展する可能性があります。
    日本では、中古車売買の主要な情報源は、いまでも情報誌だということです。しかしここで注意したいのは、中国の発展の仕方には「スキップする」という特徴があることです。(これについては、別の投稿で書きたいと思います。)

      
    今後、中古車が市場で多く取引された場合、幾つかの業界が影響を受けると考えられます。
    一つ目は、中国国内自動車メーカーです。中国国内メーカーの自動車は、低価格というセグメントに分類されますが、海外大手メーカーの中古車が市場に多く流通した場合、低価格という領域で国内外メーカーが衝突することになります。その場合消費者は、少し古くても質とデザインの良い海外メーカーを選ぶ可能性があります。

    二つ目は、メンテナンス業界です。買い手の知識がある程度成熟しない限り、市場に流通する中古車の質は向上しないと考えられます。そうなれば買った後のメンテナンスが必要になります。

    三つ目は、地方の消費です。交通インフラが整備されていない地方都市や農村地域において、自動車は非常に重要な交通手段になります。国内メーカーの低価格自動車が中古車として更に安く売買されるようになると、低所得者にも購入が可能になります。
   
    四つ目は、カーアイテム・パーツ業界です。若い人が中古車を買って、自分でパーツを交換して自分流の車を作るというのは、日本でも見られる現象です。走り屋を題材にした「イニシャルD」というアニメがこちらでも人気がありますので、そちら方面の素地はあると考えます。

    それ以外にも、少し長期的に見れば、地方の道路の自動車交通量や、道路網の整備、自動車保険や、ガソリンなどに影響があるように思います。


    中国で中古車販売産業がしっかりと根付くには、まだもう少し時間がかかると思いますが、中古車情報誌が出回り始めたということは、とても大きな一歩であると私は思います。

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2006年03月30日

日々の観察 「100ドルノートパソコンが出る」

    100ドルのノートパソコンなるものが、来年にも中国の市場に入ってくるようです。

    この100ドルのノートパソコンは、マサチューセッツ工科大学によって設立された非営利組織「ワン・ラップトップ・パー・チャイルド」(OLPC:子供1人に1台のノートパソコン)によって開発されたものです。
    この100ドルのノートパソコンが、来年の初め頃にも中国に供給されるようです。

    この100ドルノートパソコンは、もともと発展途上国の子供たちの教育のために開発され、供給されるものです。そのため、PC市場に与える影響はそれほど大きくないと思いますが、教育の面から見るととても大きな意義があります。

    この100ドルノートパソコンが発展途上国で普及した場合は、先進国と発展途上国の子供たちの間に存在する、IT分野における知識の差が縮まることになります。
    もしこれが貧しい地域でも普及するようになれば、このパソコンが貧しい環境から抜け出す一つのきっかけになるかも知れません。

    政府としてはこれをきっかけにしてIT分野のエリートをたくさん育てたいという想いもあるでしょうから、国のプロジェクトとして、100ドルノートパソコンが中国で早く普及する可能性もあると考えられます。

    いま中国では貧富の格差を縮める方法がいろいろと模索されていますが、教育の面から貧しい層を引き上げるという方法もあるのではないかと、私は思いました。

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2006年03月29日

TOM集団、新浪買収の噂(現地ニュース早読みチェック)

「TOM ONLINE、新浪買収の噂」

(記事より/情報元:2006年3月27日付け 第一財経日報)
    TOM集団(HK.2383 テクニカル指標はこちら)が新浪の一部分の株を買収するという噂が立っている。
    証券業界の或る関係者によれば、TOM集団による新浪の買収はすでに決定してしており、来週にも正式に発表されるという。
    この噂に対し、両企業は否定した形だ。

(コメント)
    私がこの噂に関する記事を目にしたのは今月27日です。この買収が実際に行われるのは否かは、私には分かりません。
    仮にこの買収が行われれば一体どういうことが起こるのか。それに関連する記事を、28日の第一財経日報の中に見つけましたので、今日はその内容をご紹介したいと思います。

    その記事には「もし仮にTOMが新浪を買収したとしたら」というタイトルが付けられています。
    記事によりますと、「もし仮にTOM ONLINEが新浪を買収すれば、TOMの企業価値は大きくなるだろう」とあります。ではなぜ企業価値が大きくなるのでしょうか。

    新浪というのは、中国で最大手のポータルサイトのひとつです。私がいつも利用するのも新浪のサイトです。新浪のポータルサイトの情報量は非常に豊富であり、情報ポータルサイトとしての価値はTOM ONLINEを凌いでいます。
    一方TOM ONLINE(HK.8282 テクニカル指標はこちら)もポータルサイトを運営していますが、その価値は新浪ほど突出していません。事実、TOM ONLINEの収益の94%は無線インターネットサービスによるもので、ポータルサイトの広告収入はわずか6%に過ぎません。
    両社の2005年のポータルサイト広告収入を比較して見ますと、TOM ONLINEが921万ドル、新浪が8500万ドルです。
    この数字がはっきりと、両社のポータルサイトの実力の差を表しています。

    次に、記事は3Gについて言及しています。
    「新浪にとって、3Gは最大のチャンスである。なぜなら、通信事業者にとっては通信設備はもはや問題ではなく、今後カギになるのは、コンテンツだからだ」
    TOM ONLINEは最近になってSKYPEと提携して中国の市場を開拓しようとしたり、或いはワーナーブラザーズオンラインの株の27%を買収し、同社とウェブまたは携帯電話上でのコンテンツ配信サービスにおいて提携したりと、コンテンツの配信に力を入れていますので、TOMが新浪のような強力な情報サイトを欲しがっても不思議ではありません。

    今回の買収が実現するのかどうかは、まだ分かりません。しかしもし実現したとすれば、それは中国のメディア業界においては、魅力的な買収劇となります。

    記事は最後に、タイムワーナーとAOLの合併について触れています。
    2000年、米国のこの二つの企業は合併し、AOLタイムワーナーが生まれました。しかし合併後、AOLタイムワーナーは大きな赤字を計上することになります。
    原因は、ダイアルアップインターネットアクセスの最大手であったAOLが、ブロードバンドの波に呑み込まれたためです。タイムワーナーはブロードバンドに移行するため、AOLに膨大な資産をつぎ込まなければならなかった、ということです。

    時代の変化の波に呑みこまれるリスクという点について言えば、新浪についても注意しなければならないことがあります。
    新浪の問題は、その企業価値がここ最近になって下がってきていることです。
    もしTOMが新浪を買収するとすれば、TOMは新浪の企業価値を高めようとするはずです。ではどうやってそれを行うのか、その点に注意を払う必要がありそうです。

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2006年03月27日

飽和状態になりつつある家電小売市場(現地ニュース早読みチェック)

「飽和状態になりつつある家電小売市場」

(記事より /情報元:2006年3月24日付け 第一財経日報)

    北京の家電小売業界は飽和状態に直面している。
    北京家電小売業界の巨頭「大中電器」は今月に3店舗を閉店する。大中電器の計画によれば閉店するのは3店舗だけに限っているわけではないという。今年は閉店数が増える可能性が高い。
    北京にはすでに128店舗の家電小売店が存在する。北京が収納できる家電小売店の数は多くても150店舗だ。国美(HK.0493 テクニカル指標はこちら)、蘇寧、永楽(HK.0503 テクニカル指標はこちら)は今年北京で更に出店を計画している。
    北京の家電小売業界が飽和状態になる可能性は高い。

(コメント)
    当ブログの3月13日付けの投稿で、小売チェーン売り上げランキングをご紹介しましたが、その中で、店舗増加率の数字も取り上げました。
    その中で気づいたことは、家電小売チェーンの店舗拡大のスピードがあまりにも激しいということです。国美、蘇寧、永楽の店舗増加率は同年比で80%ほどにもなっています。この速度で店舗を拡大し続ければ、市場が飽和状態になる可能性も高まります。

    記事は北京についてですが、上海でも近いうちに飽和状態になると想像できます。実際、国美、蘇寧、永楽が同じ場所に店舗を出しているといった光景が非常によく見られます。

    都市部の商業用不動産の価格が継続して上がっていますので、市場が飽和状態になりつつある状況での店舗の拡大は、固定コストを膨らませるだけの結果に終わる可能性もありますので注意が必要だと考えます。

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小型車は消費税引き上げを歓迎する

「小型車は消費税引き上げを歓迎する」

(記事より/ 情報元:2006年3月23日付け 第一財経日報)
4月1日から新しい消費税制が施行される。
新しい自動車消費税は以下の通り。
排気量1.5L以下  税率3%
排気量1.5L−2.0L  税率5%
排気量2.0L-2.5L  税率9%
排気量2.5L-3.0L  税率12%
排気量3.0L-4.0L  税率15%
排気量4.0L以上  税率20%

    今回の税率の改正では、排気量2.0L以上の消費税率が引き上げられたのに対し、排気量1.0L−1.5Lの自動車の税率は下げられている。排気量1.0L−1.5Lの自動車を中心に生産する吉利汽車(HK.0175 テクニカル指標はこちら)にとっては有利だ。

(コメント)
    今回の自動車税制改正は明らかに小型車に有利になっています。税率が8%から大きく引き上げられることになるBMW(ブリリアンスチャイナ HK.1114 テクニカル指標はこちら)やメルセデスベンツなどの排気量の大きい車は、4月1日の消費税制改正を前に、まとまった注文が出ているようです。

    一方、小型車の最大の問題は、高架道路に乗れないなどの規制があることです。しかし政府が環境などへの配慮から小型車の消費税率を引き下げていることを考えると、小型車への規制がなくなるのも時間の問題だと思われます。

    そして、小型車にとってもう一つ有利な条件が、ガソリン価格の引き上げです。これまで一定に保たれていたガゾリンの値段が、8ヶ月ぶりに引き上げられています。

    ただ、小型車は安全面で問題を抱えていますし、特に吉利自動車の場合はアメリカ進出挑戦の際に衝突安全テストで不合格になっているという経緯もあります。

    消費税やガソリン代といった有利な条件を活かしながら、どうやって安全面や性能面でのパフォーマンスを高めていくかが、吉利汽車などの課題だと思います。

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chinaeconomyreport at 22:07|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 中国自動車業界 | 中国経済

2006年03月25日

農村市場の可能性  チャイナテレコムのこれからの戦略

「農村市場の可能性  チャイナテレコムのこれからの戦略」

(記事より:2006年3月23日付け 新浪科技)
チャイナテレコム(HK.0728)(テクニカル指標はこちら)は3Gライセンスが交付されるまでの戦略を発表した。
チャイナテレコムが今後重視するのは二つの分野だ。
一つは「ブロードバンド」、もう一つが「農村市場」だ。
3Gライセンスが未だに交付されない中で、チャイナテレコムは農村市場における固定電話利用者を増やそうという狙いだ。

(コメント)
「村村通」というプロジェクトがあります。これは、全ての村に電話を引こうという計画です。このプロジェクトは2004年1月から始まっており、このプロジェクトにより、2005年末には村落における電話開通率が97.1%に達しています。

  政府がこういったプロジェクトを推し進めているのは、都市部と農村部との間に「情報格差」の問題が存在するためです。
    私の友人にも、農村地区から上海に来た人がたくさんいます。彼らの中には、上海に来て初めてテレビを見たという人もいるわけです。こういった「情報の不均衡」は、人口の75%を占める農村戸籍の人たちを取り残すことになりますし、また巨大な数の人材を活かすことができないということにも結果にもなります。

    村村通プロジェクトがどういった効果を生み出すのか、いまは想像することしかできませんが、私はこのプロジェクトが教育の場面で利用されればいいなと思っています。
    農村部には、山をいくつも越えて学校に通わなければならない人がいるかもしれません。また、先生の足りない学校もたくさんあるかもしれません。そういった地域で、固定電話を利用して、農村部の人たちが都市部と同じレベルの教育を受けられるようになれば、良いだろうなと思っています。

    チャイナテレコムは国営企業であるため、国の事情も考えなければなりません。そのため、利益の少ない事業も行わなければなりません。しかし村村通のようなプロジェクトは必ず必要であり、また、利用の仕方によってはとても大きな効果を生み出すことも出来ると私は思っています。

    単にインフラとしての電話設備を増やすだけではなく、電話を利用することによって便利を生み出す仕組みを、チャイナテレコムには構築していってもらいたいと思います。


    ちなみに、記事に載せられていたデータに依りますと、2005年のブロードバンド事業の収益は178.6億人民元、2004年と比べると32.6%の伸び。ブロードバンド利用者は2102万人、2004年より51.9%の伸びです。
一方、固定電話事業の収益は1231.8億人民元、2004年と比べると1.7%の伸び。100人あたりの固定電話保有台数は農村地区で16.7台、都市部で36.2台とあります。

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chinaeconomyreport at 11:32|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 中国経済 

2006年03月19日

「フラットパネル市場を攻略せよ!!  スカイワースの新たなる戦略」(現地ニュース早読みチェック)

(記事/情報元:2006年3月16日付け 中華工商時報)
    スカイワース(HK.0751)は3月16日から、新製品と技術的な優勢を活かし、フラットパネル市場攻略に向けて、新たな戦略を全国的に展開する。
    手始めに行うのは、値下げ戦略だ。42インチから50インチの液晶、プラズマテレビを突破口に、20%の値下げを行う。
    今回の戦略においては、サプライヤーのバックアップも得られている。
    低コストとコア技術で優位に立つスカイワースは今、値下げ戦略によって大きく攻めに出ようとしている。

(コメント)
    いろいろな資料を見ていて、私個人は、スカイワースは強いと感じました。強いと感じた理由は主に二つあります。一つはコストを抑える力があるということ、二つ目は技術力があり、市場のルールを変える力を持っているということです。

    まず、コストを抑える力についてです。
    資料によれば、今年に入ってから、日本メーカーと韓国メーカーが液晶およびプラズマテレビの価格を下げてきています。日韓メーカーがこのような行動に出た理由は、各メーカーの市場シェアが下がってきており、利益が下がってきているからです。つまり、日韓メーカーは競争環境の激化から、しぶしぶ価格を下げたということです。
    一方、スカイワースは今年の2月半ばから、値下げを行っています。液晶で最大20%、プラズマで最大30%の値下げです。
    一見、スカイワースのこの値下げは、日韓メーカーに対抗して行われたかのように見えます。しかしスカイワースの幹部はこの値下げを、準備の上での戦略であると語っています。つまり、受動的な値下げではなく、積極的な値下げ戦略であるということです。受動的な値下げと、戦略的な値下げでは、何が違うのでしょうか。次はそれについて見てみたいと思います。

    現在、テレビの製造の領域においても、部品製造の国際分業化が進んでいます。例えば、コンピューターチップは欧米、ディスプレイは韓国や台湾、そしてその他の部品は中国で作られるといった具合です。これら主要な部品の仕入れにおいては、ソニー、シャープ、スカイワース、TCLなどの間には本質的には違いがないようです。つまり、各メーカーが使う部品はほぼ同じということです。
    そうなると、差がつくのは製造技術とシステム集成技術になりますが、製造技術に関しては、中国はコスト面で優勢であり、またブルーカラーワーカーの技術力も成長しています。またシステム集成技術においては、中国は80年代から日本の技術を吸収してきたため、この分野においては飛躍的な成長を遂げています。
    このように見てくると、スカイワースの技術力は他の海外メーカーと比較しても遜色なく、一方コストの面では優位に立っているということになります。スカイワースが戦略として値下げを行えるのは、こういった背景があるからだと考えられます。
    コスト面で優位に立つスカイワースは、場合によってはプライスリーダーとして他の企業の価格設定に影響力を持つようになるかもしれないと、私は考えています。

    続いて、技術力についてです。
    昨年、スカイワースは「6基色」技術というものを打ち出してきました。「6基色」とは、基調となる6色を組み合わせて生み出す色彩のことです。本来、色彩は赤、緑、青という3色の組み合わせによって作り出すことができます。これは常識であり、すべてのディスプレイの色彩はこの3原色によって作られています。しかしスカイワースはこの常識を打ち破ってきました。ディスプレイの基色を6色にまで増やし、画質をさらに高めることに成功しています。スカイワースはこの技術において、特許を得ています。
    「6基色」技術も勿論たいへん評価できますが、私がなによりも評価したいのは、この企業が持つ、常識を打ち破ろうとする意志です。業界の常識を打ち破り、或る特定の分野でリーダーになろうとする意志を、私はとても評価したいと思います。こういった企業は、「また次も何か大きなことをやってくれるかもしれない」と、期待させてくれます。
    「6基色」ディスプレイは、商品として価値があるだけではなく、企業を代表する技術として、ブランド価値を高める効果も持つはずです。そして、こうした特許は当然、競争相手を押さえつける武器にもなります。
    スカイワースはこれ以外にも最近は、教育の場で使われる設備としてのDLP(ビジネスのプレゼンなどで用いられる映像技術)を、インテルのマルチメディア対応CPUと融合させて作ったりと、家庭用テレビ以外の分野でも動いていることが分かります。

    そして、スカイワースはサービスの面でも優れていることが、「2005年度 顧客が満足している企業 エレクトロニクス部門」、「2005年度 消費者が満足している商品 エレクトロニクス部門」(政府機関である情報産業部が主催)を今年2月に受賞していることから見ても、推察することが出来ます。
    こういった賞を受賞したということは、大きな宣伝効果をもたらすでしょうし、また、消費者が中国国内メーカーに対して持つ「品質がよくない」というイメージを変える効果を持つはずです。国内メーカーがアフターサービスによって海外メーカーに対抗しようとする戦略は、非常に有効であると私は考えます。


     或る資料に依りますと、2005年の業界全体の液晶およびプラズマテレビの売り上げは190万台で、カラーテレビ全体の売り上げの16.7%を占めています。そして2005年の売り上げ成長率は、2004年と比べると、375%伸びています。
    2006年にスカイワースが採る値下げ戦略は、消費者の購買意欲を更に刺激するでしょうし、また、地方の都市の消費者をターゲットにすることも可能になるかもしれません。

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2006年03月17日

聯想集団(レノボ)、リストラ断行へ (現地ニュース早読みチェック)

「聯想集団(レノボ)、リストラ断行へ (現地ニュース早読みチェック)」

(記事/情報元:2006年3月17日付け 第一財経日報)
    聯想集団・レノボ(HK.0992)はリストラを断行する。実行するのは、6ヶ月から12ヶ月以内。アメリカ、アジア、ヨーロッパ各地区の5%の人員を削減する予定だ。
    同企業は同時に、その他の面でのコスト削減計画も打ち出している。

(コメント)
    今回レノボはコスト削減に動いてきました。
    記事に依りますと、今回リストラするのは世界各地区にいる社員21400人のうちの1000人です。
    そしてレノボは同時に他の方面でのコスト削減も行っているようです。
    今回のリストラ等のコスト削減により、レノボは今後、毎年2.5億ドルの費用を節約できるということです。しかし、今回のリストラ等を実行に移すにあたり、1億ドルの費用がかかったとあります。ちなみに、この費用は2006年3月31日に公表される、05/06年度第4四半期の財務情報の中に組み込まれます。

    レノボのこうした動きを非常に気にしているのはデルではないかと思います。実際、こちらのニュースではレノボとデルに関する記事がちらほらと書かれています。
    今年の2月末には、海外で「レノボ」ブランドのPCを発売するというニュースもありましたので、今後レノボとデルは激しく激突するかもしれません。
    デルとレノボについては、また機会を改めて書きたいと思います。

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2006年03月16日

ワインが文化に溶け込むまで。(中国株現地ニュース早読みチェック)

本日の「中国株現地ニュース早読みチェック」ではワインに関する記事をご紹介します。

(記事 / 情報元:2006年3月14日付け 第一財経日報)
    張裕ワイン(200869)は最近になって頻繁に原材料生産基地を拡大している。原材料であるぶどうの収穫量が減少しているためだ。
    原材料の収穫量が減少した一方、ワイン業界自体は成長している。昨年はワイン醸造用のぶどうの価格が30%から50%上昇した。
    原材料が逼迫しているため、張裕は原材料生産基地拡大に動き出した。
    生産規模拡大に動き出しているのは張裕だけではない。中国粮油国際(HK.0506)や、保守的な王朝酒業(HK.0828)も同様に動き出している。
    現在、張裕は中国ワイン市場の35%のシェアを握っている。今後もこのシェアを守り切れるかどうかは、生産基地拡大の成否にかかっていると言えそうだ。

(コメント)
    或る日本語の資料に依りますと、「中国でのワインの売り上げは94年から04年にかけて79%伸び、そして今後も平均15%の成長が見込まれる」とあります。そして別の日本語の資料によりますと、「2005年、上海ではワインの消費量が白酒の消費量を上回った」とあります。データを見る限りでは、ワインは売れているようです。
 
    私は機会がある毎に、あちこちのデパートやスーパーを見に行きます。大抵の中規模以上のスーパーには、わりとしっかりとしたワイン売り場がありますので、必ずチェックするのですが、私はこれまで、ワイン売り場が賑わっているのを見たことがありません。お客さんは、いても一組か二組くらいです。では先ほどのデータと矛盾するじゃないか、と思うわけですが、どうやら理由があるようです。

    先ほどの資料をもう少し読んでみますと、「ワインは全体の90%以上がレストランで飲まれている」とあります。要するに、中国の方々は外で食事をするときはワインを飲むが、家ではあまり飲まないということです。そうなると、気づくことが一つ出てきます。それは、「家庭で飲むワイン」という市場はまだほぼ未開拓であるということです。

    生活が多様化するにつれ、西欧風の食事も家庭の中に浸透してくるはずです。そうなった時、ワインを家庭で楽しむという習慣も、自然に溶け込んでくるように思います。

    新しい文化が定着するには、時間がかかります。しかしそれが定着した時には、しっかりとした強い流れになります。
    いま上海では、ワインはゆっくりと文化の中に溶け込み始めたばかりだと、私は感じています。

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chinaeconomyreport at 03:20|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 日々の観察 | 中国株関連

2006年03月15日

日々の観察 「切り拓け!!中国携帯電話市場のブルーオーシャン」

    3月9日付けの投稿で、「中国携帯電話ランキング」をお届けしました。数字を見て分かったことは、中国の市場ではノキアが非常に強いということ、トップ3の海外勢がパイの半分を奪い取っていること、そして、あたかも大家族の兄弟たちが限りある食卓のおかずを奪い合うように、中国国内メーカーが残りのシェアを奪い合っているということです。
    ではなぜ、ノキアがこれほどまでに強いのでしょうか。また、なぜ中国国内メーカーは残されたシェアを奪い合わなければならないのでしょうか。言い換えれば、なぜ新たな市場を開拓できないのでしょうか。家電小売店の携帯売り場を実際に見てきて思ったことがありますので、今回はそれについて書いてみたいと思います。

    まずノキアについてです。なぜノキアが強いのか。それは、ノキアが中国市場において、二つの分野において先頭を走っているからだと、私は考えます。その二つの分野とは即ち、「頑丈である」という分野と、「ハイテク」です。
    「頑丈であること」。中国の低所得者層でとって、これほど大事な要素はありません。どんなことをしても壊れない。軽い人なら踏んでも壊れない。トラブルも起こりにくい。「頑丈」というのは、学生のように飛んだり跳ねたり踊ったりする消費者にとって、最大級の魅力であり最高級の褒め言葉です。ノキアはこの「頑丈」という分野で、先駆者でありリーダーでもあります。
    そして、「ハイテク」であるということ。この要素もノキアの強みです。多機能やハイテクといった分野では日本の携帯電話も先端を走っていますが、ノキアの携帯の方がより中国の消費者のニーズを捉えているように思います。例えば、中国の若い消費者が求めているものは娯楽です。
    ノキアが最近売り出しているのが、通話機能付きの小型ゲーム機です。重点はあくまでもゲーム機能に置かれていて、通話機能は附属的なものになっています。見た目も小型ゲーム機そのものです。携帯電話には見えません。

    娯楽が少ない中国では、消費が一点に集中しやすいように思います。つまり、お金の使い道が少ないので、特定の分野の高価なものが売れるという傾向が存在するように思います。実際、月収が2000元程度の人が4000元もする携帯を持っているのをよく目にします。これはつまり、一般所得者も高価格商品市場のターゲットに成り得るということを意味します。(ちなみに、中国では携帯電話はレンタルではなく、購入するのが一般的です。)
    いま携帯電話の分野では、或る特定の機能を突出させる傾向が強いように思います。たとえばサムスンはこの頃、1000万画素のカメラ付き携帯を出してきています。またノキアはカールツァイスレンズ搭載の携帯も出してきています。或る機能を突出させ、細かい顧客ニーズに対応していく流れにあるように思います。

    以上のように、特定のセグメントに焦点を絞った製品作りをしているノキア、サムスンが上位にランクされている中国携帯電話市場ですが、では、中国国内メーカーはどのような戦略を採っているのか、見てみたいと思います。
    私が最も好感を持ったのは、聯想集団・レノボ(HK.0992)の携帯電話です。デザインは良く、多様な機能を備えており、価格も他のメーカーに比べると安い。中国国内メーカーの中では最も競争力があるように私には見ました。しかし、トップ3の海外勢と比較をした場合、どうしても見劣りがしてしまいます。特定の機能を突出させているようにも見えません。平均点以上ですが、90点以上のものがありません。 レノボが消費者を惹きつけるためには、他には無い、魅力的な個性が必要であると感じました。
    では、企業そのものを見た場合、レノボにあって他のメーカーに無いものとは何でしょうか。それは、PCであると私は思います。PCと携帯電話の間の境界線を、いわゆる「シームレス(継ぎ目の無い状態)」にし、PCと携帯電話を相互に関連させながら、様々なサービスを生み出していく。そうすることで、レノボの携帯電話に独自の個性を持たせることが出来るうえ、レノボのPCに対する需要も伸びていく、私はそう考えます。
    KDDIは今年に入り、「LISMO(リスモ)」という戦略を打ち出しています。LISMO(リスモ)とは簡単に言えば、携帯電話版のiPodです。auの音楽ケータイをiPodに見立て、パソコンから携帯電話に楽曲をダウンロードできるようにするサービスです。
    PCと携帯をどのように組み合わせて新しい市場を開拓していくのか。私は今後のレノボに期待したいと思います。

    続いては、ハイアール(HK.1169)です。私が蘇寧電器という家電量販店で見つけたハイアールの携帯は、やや値段が高く、デザインもあまりよくありませんでした。もちろん、そのお店で売られていたものが、ハイアールの全てではないと思いますが、しかしハイアールの携帯は魅力に乏しいように感じました。
ただ、ハイアールについても、レノボと同様、他のメーカーには無い強みがあります。それは、家電製品です。
    近い将来、IPV6(インターネットプロトコル ヴァージョン6)が普及した場合、インターネットのアドレスが天文的数字にまで増えるため、あらゆる家電製品にインターネットアドレスを振り分けることが出来るようになります。そういったユビキタス社会が訪れた時、ハイアールは家電に特化した情報端末としての携帯電話を打ち出していけるように思います。携帯で全ての家電製品を動かせるようになるかもしれません。私は未来のハイアールに、そういった環境を作ってくれることを期待します。


    中国特有の顧客ニーズがあることにも注意しなければなりません。たとえば、農村の低所得者層は巨大な市場です。この巨大な農村低所得者層に向けて、通話機能以外の全ての無駄な機能を削ぎ落とした、100元以下の超低価格で頑丈な携帯電話を売る。或いは、大量の音楽や画像を保存したい消費者に向けて、大容量メモリーの低価格携帯を打ち出す、こういった戦略もあるかもしれません。

    技術力で勝る海外企業だけが生き残れるとは、私は思いません。いかにして新しい市場を生み出すか、いかにして競争のない青い海を見つけ出すか、それが大事であると私は思います。

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2006年03月13日

データが語る!!(3回目) 「2005年中国小売チェーン売上高ランキング」

今回は「2005年中国小売チェーン店売上高ランキング」をお伝えします。

「2005年小売チェーン店ランキング(売上高)」
(カッコ)内の数字は、(売上高、同年比)です。単位は万元です。


1.百聯集団 (720739、37.2%)
2.北京国美電器 (4984000、108.7%)
3.蘇寧電器 (3971841、79.7%)
4.大商集団 (3011739、30.5%)
5.北京華聯集団 (2080000、30%)
6.物美集団 (1907184、43.6%)
7.蘇果スーパー (1812000、30.5%)
8.農工商スーパー (1754900、28.1%)
9.カルフール(中国) (1743580、24.9%)
10.上海永楽電器 (1516550、40%)

(グラフは本投稿末尾にあります。クリックで拡大してご覧ください)

    まずは2005年の中国小売チェーン店の売上高についてです。
2005年、中国小売チェーン店トップ30の売上高総額は4910.4億元、同年比で30.9%の増加でした。
    2005年の売上高1位は、「百聯集団」です。この企業は2003年4月に、上海一百集団、華聯集団、上海友誼集団(上海B.900923)、上海物資集団(上海B.900927)の4社の合弁によって設立されています。このグループは老舗百貨店である第一百貨店、華聯商業ビル、華聯スーパー、上海友誼集団股フェン、マテリアルトレーディングセンター、第一医薬、そして、聯華超市を抱えています。
    百聯集団が聯華スーパーを所有しているのは、聯華超市(HK.0980)の筆頭株主である上海友誼集団が、百聯集団を合弁で設立した一社であるためです。
    百聯集団を合弁で設立した4社は独立して存在していて、共に上海で上場しています。しかしこの4社の経営は百聯集団の管理下のもとで行われています。百聯集団を設立した直接の企業ではない聯華超市も、その筆頭株主が上海友誼集団であるため、その経営管理は百聯集団によってコントロールされていると考えてもよいかも知れません。

    聯華超市との合弁であるカルフール(中国)は9位に入っています。しかし2005年上半期の時点ではカルフールは5位にランクされていたため、やや順位を落としています。
(なお、ウォルマートは今回のランキングには参加していません。その理由は、ウォルマートは世界規模の経営を行っているため、一つの国だけの売上高を公表したくないからだということです。)

    物美集団(HK.8277)は6位と健闘しています。
    記事に依りますと、これまで萎えていた百貨店が2005年は復興してきたということです。売上高も前年比25.7%の増加とあります。

    次に、家電小売チェーン店を見てみます。
    国美電器(HK.0493)が2位、蘇寧電器が3位、そして上海永楽電器(HK.0503)が10位に入っています。2位の国美電器の売上高は、永楽電器の3倍以上であることが分かります。そして、これら3社を見て驚くのは、その成長率です。国美電器の売上高が同年比108.7%の増加、蘇寧電器が79.7%の増加、そして上海永楽電器が40%の増加です。
    トップ30にランクされている5大家電小売チェーン店(国美、蘇寧、永楽、江蘇五星、山東三聯集団)の売上高総額の増加率が同年比66.8%ですから、家電が圧倒的な勢いで売れていることが分かります。


    続いて、トップ10の店舗総数と店舗増加率を見てみます。
  
  「2005年小売チェーン店ランキング(店舗数)」
   (カッコ)内の数字は(店舗総数、同年比)

1.百聯集団 (6345店舗、15.4%)
2.北京国美電器 (426店舗、87.7%)
3.蘇寧電器 (363店舗、88.1%)
4.大商集団 (130店舗、8.3%)
5.北京華聯集団 (74店舗、5.7%)
6.物美集団 (659店舗、8.4%)
7.蘇果スーパー (1503店舗、11.7%)
8.農工商スーパー (1572店舗、27.6%)
9.カルフール(中国) (78店舗、25.8%)
10.上海永楽電器 (199店舗、80.9%)


    まず初めに注目したいのは百聯集団の店舗数です。6345店舗と、圧倒的な数であることが分かります。店舗数がこれほどまでに多いのは、このグループが聯華スーパーと華聯スーパー、そしてコンビ二を抱えるためです。聯華スーパーと華聯スーパーは地域密着型のスーパーマーケットであり、居住区には必ずといっていいほど店舗を出しています。

    そして次に注目したいは、家電小売チェーン店の増加率です。国美電器が同年比87.7%、蘇寧電器が88.1%、そして永楽電器が80.9%の増加です。トップ10内の他の企業の増加率をはるかに上回っています。
    家電小売チェーン店を少し詳しく見てみると、国美電器の店舗数は永楽電器の2倍以上であることが分かります。これは国美電器が全国展開をしているのに対し、永楽電器は主に上海や三角デルタで店舗展開をしていることが関係していると思われます。
    また、売上高総額を店舗数で割ってみると、国美電器の1店舗あたりの売上高が11699.5億元、永楽電器が7620.8億元となり、1店舗あたりの単純平均売上高では国美電気が永楽電器を上回っていることが分かります。


    中国人の貯蓄率は、年々増えています。これは伊藤洋一氏が指摘するように、中国の社会保障制度の未発達が地方の低所得者の不安を生み出しているからかも知れません。或いは、お金に対する考え方が、アメリカなどの国の人たちとは根本的に異なるのでしょうか。
    一方、政府は、外需依存型経済から内需主導型経済への移行を目論んでおり、経済政策により消費を刺激しようとしています。
    2006年、中国の消費は、様々な思惑を巻き込みながら、それでもやはり増加していくのではないでしょうか。

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2005年中国小売チェーン売り上げランキング2

chinaeconomyreport at 23:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0) データが語る!! 

2006年03月11日

「シャングリラのヨーロッパ進出」(中国株現地ニュース早読みチェック)

「シャングリラのヨーロッパ進出」
(記事/情報元:2006年3月6日付け 南方都市報)
アジア太平洋地区の先進的ホテルグループであるシャングリ・ラ ホテルズ&リゾーツ(HK.0069)は、2008年末にオープン予定のシャングリ・ラ ホテル パリの建設に向け、歴史的建造物であるプリンス・ローランド・ボナパルト宮殿の収得を発表。シャングリラ ホテル パリはヨーロッパにおける同グループの初のホテルとなる。(プリンス・ローランド・ボナパルトはナポレオン・ボナパルトの弟、ルシアンの孫にあたり、有能な科学者・人類学者として世界中を旅行した。)
同グループはシャングリ・ラ ホテル パリに続き、2010年にはヨーロッパで第2番目のシャングリ・ラ ホテルとして、シャングリ・ラ ホテル ロンドン・ブリッジタワーをオープンする予定。
(記事/情報元:2006年3月7日 第一財経日報)
シャングリ・ラ ホテルズ&リゾーツは中東のオマーンでも間もなく中東3つ目のリゾートホテルをオープンする予定。中東への進出に力を入れようとしている。
また同グループは内モンゴルにホテルを3つ建設する計画を立てている。本土地方都市へのホテル建設は拡大している。


(補足:シャングリラのサイト(日本語版)に依りますと、香港を拠点とするシャングリ・ラ ホテルズ&リゾーツは、現在「シャングリ・ラ」および「トレーダース」ブランド名で48のホテルを世界で運営し、総客室数23,000を有しています。ホテルをオープンしている国は主に、北アメリカ地区、オセアニア地区、東南アジア、中東です。)


(コメント) 
    2008年にパリでオープンさせるホテルに、私はとても興味を感じます。ヨーロッパ進出の第一歩に、ローランド・ボナパルト王子の宮殿を選んだことは、これから開拓しようとする新しい土地で知名度を上げるのに役立ち、そして何よりも、プリンス・ローランド・ボナパルト宮殿の文化的な価値が、世界中からの多くの旅行者を惹きつけるであろうと考えます。
  
ヨーロッパへの展開は、アジア地区の収益増加に寄与すると考えます。なぜなら、ヨーロッパの顧客がシャングリラに満足した場合、彼らがアジアやその他に地区に旅行に行った場合、シャングリラを選ぶ可能性が高くなるためです。

以前、私はリッツ・カールトンに関する興味深いお話を読んだことがあります。内容はこうです。
ある夫婦がボストンのリッツ・カールトンに宿泊する機会がありました。二人はホテルの中のレストランに行きました。ご婦人の方はお酒が好きですが、旦那さんの方はお酒を飲みません。そのため旦那さんはお酒のことを良く知りません。それに気づいたソムリエは、ご夫人に的確なアドバイスを与え、その日の料理に合うワインを選んでくれました。ご婦人に言わせれば、その日のワインはとても満足できるものだったそうです。ここまでは、高級ホテルでよくあることです。
数年後、この夫妻が大阪のリッツカールトンに出かける機会があり、ホテルのレストランに入りました。すると、ソムリエが微笑みながら近づいてきて、「**さま、以前ボストンで奥様が召し上がり、ご満足いただいたワインがちょうど入荷しております。今日のお料理にも大変相性がよいかと存じますので、ご用意しましょうか。」 夫妻はとても驚いたということです。

世界のどの都市に行っても、心からのぬくもりを感じられるサービスを提供してくれることを、私はシャングリラに期待したいと思います。

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2006年03月10日

日々の観察  「新しい世界へ」

「今、上海で家具が売れている」ということに疑問を持たれる方はいらっしゃらないと思います。なぜなら、上海では不動産ブームが起き、また、上海には結婚後、家を買うという文化が存在するため、家具が売れるのは非常に当然のことのように思えるからです。しかし、私は先週土曜日、上海スタジアムのすぐ隣に店を出している、IKEAというスウェーデンから来た巨大な家具屋の中で衝撃を受けました。なぜか。
  その理由は、簡単に言えばそのお店が物凄く繁盛していたからです。
  上海のIKEAには、入り口と出口がそれぞれ一つずつあるのですが、その唯一の出口から次々に湧いてくるのは、人間でした。店内に入れば、家具と家具の間を人間が川のように流れています。これほどまでに人で溢れかえっている家具屋を私は他に見たことがありません。
 
  IKEAの商品は非常に多様で、色彩も豊かであり、またデザインにも優れていて、商品に遊び心もあります。値段も安いものから高いものまであり、経済的に豊かな人だけが楽しめる空間では決してありません。
また、監視役の店員がいないため、消費者は思い思いに家具の使い勝手を調べることができます。中には商品のソファーで眠る男女さえいました。
  内部の構造は迷路のように複雑であるにもかかわらず、消費者は一本の道筋を通ることによって、店内すべての商品を見ることの出来る構造になっています。(お化け屋敷のような構造です。)
  方向感覚を失ったまま最後の出口にたどり着いた時、私はまるで遊び疲れた時のように、身体がぐったりと疲労していることに気づきました。
 
  IKEAは商品の多様性やデザイン、店内の特殊な内部構造、そして低価格などによって多くの消費者を惹き付けています。では他の家具屋はどうなのかというと、一般的に上海では家具は売れています。しかし、IKEAほど繁盛している家具屋はありません。ではなぜIKEAがこれほどまでに消費者を惹きつけているのでしょうか。その答えは、「新しい世界へ」という言葉で表せるのではないかと思います。

   ワインスタンド、ワインオープナーを備え、日常的にワインを楽しむ家が、これまで上海にどれくらいあったでしょうか。休日にはバスタブにゆっくりと浸りながら本を読む習慣を持つ上海人が、これまでどれくらいいたでしょうか。いろいろな国のコーヒー豆を自分でブレンドして、味を楽しむ中国の人がどれくらい存在したでしょう?
   IKEAに行けばそういった「新しい世界」があり、上海の消費者はそれを見つけにIKEAに探索に出かける、私にはそのように見えました。
IKEAが上海の消費者に売っているもの、それは単なる家具ではなく、「新しい世界」、言い換えれば「新しい生活」であると、私は認識しています。

   上海の人たちの生活スタイルは、驚くべき速度で多様化しています。先日も百盛・パークソン(HK.3368)の地下一階にある食料品売り場に出かけてきたのですが、そこで売っているものは海外からの輸入品ばかりです。イタリアのパスタや高級チーズ、海外のワイン、日本の味噌や、巻き寿司を作る際に使用する海苔などが売られていました。本来これらの商品は上海に住む外国人をターゲットにしていたのかもしれませんが、いまでは中国人を目標にした宣伝活動も行われていて、新たな市場を開拓しようという意図も見られます。一般的な食材(チーズやパスタ)、寿司などはごく普通のスーパーでも売られていて、中国の人たちもそれを購入します。上海には湯船に浸からずシャワーだけの人がほとんどですが、日本の入浴剤「旅の宿」やバスクリンなども売られるようになりました。また、外食産業も多様化しています。
  
   上海の人たちにとっての「新しい生活」は、企業にとっては即ち「未開拓の市場」です。企業がこうした未開拓の市場を切り開くことによって、場合によってはそれがとても力強い流れになり、新しい文化にまで昇りつめることもありうると考えます。例えば、中華料理しか食べない家庭において、ワインを飲むといった行為は習慣にとてもなりにくいはずです。しかし洋食風の料理を食べる習慣が広がれば、ワインを飲む機会も増えます。ワインを飲む人が増えれば、それはブームになり、そしてそれが定着して文化になります。企業は単に海外の物を棚に並べて売るのではなく、新しい文化や習慣を生み出す工夫をしなければなりません。

  上海では「新しい世界」への探求が非常に旺盛です。このようなニーズをどのように発見し、どのような仕掛けを使って文化にまで昇華させてゆくか。企業はこのような問いに対して答えを持っていなければなりません。

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chinaeconomyreport at 23:25|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 日々の観察 

2006年03月09日

データが語る!!(第2回)  2005年中国携帯電話市場 売り上げランキング

   2006年2月23日に発表された信息産業部(情報産業部)のデータに依りますと、1月末の中国携帯電話利用者数は3.98億人になり、まもなく4億人を越えようとしています。中国の携帯利用者数は毎月300万人から500万人の速度で増加しており、この市場の規模は膨らみ続けています。
   市場の規模が膨らみ続ける中で、市場内部の競争は激しくなっています。
   今回は、成長し続ける中国携帯電話市場の売り上げランキングをお届けします。


2005年中国携帯電話市場 売り上げランキング

市場シェア
1. ノキア 23.90%
2. モトローラー 13.30%
3. サムスン 9.60%
4. 波導 6.10%
5. 夏新 4.20%
6. ソニーエリクソン 4.10%
7. レノボ(HK.0992) 4.10%
8. TCL(HK.2618) 3.70%
9. 康佳(深センB.200016)2.80%
10. ハイアール(HK.1169) 2.50%

(情報元:「シンクタンク *盛電信」   *は言偏に若)
(上のデータに基づいて作成したグラフが本投稿の末尾部分にあります。クリックで拡大してご覧ください)

   このデータを見てみると、トップ3は海外の3社が占めています。そして中国国内企業は6社がトップ10入りしています。
   トップ3が全体の46.8%占めており、残りのパイを中国国内企業が分け合っているといった情況です。
   技術が日増しに成熟するこの業界では頭一つ抜け出すのは容易ではなくなってきています。そのため各企業は携帯電話の外観やデザインでどうにか差別化を図ろうとしています。ただ、自ら独自のデザインを設計するのはリスクが伴います。流行の流れから外れてしまうと致命傷になりかねません。また、市場調査にも時間とお金がかかります。そのため、財力に乏しい中国国内メーカーは海外メーカーの追随戦略をとるわけですが、そこにはデザインの権利の侵害という危険性も存在します。

   ランキングを見ていて気づくことがあります。それは、ソニーとエリクソンの合弁であるソニーエリクソンを除くと、純粋な日本メーカーがトップ10入りしていないということです。小売店には日本の携帯電話は売っています。NECやソニー、パナソニックなどのメーカーです。しかし価格や機能などに問題があるのでしょうか、日本の携帯電話は中国市場で完全に取り残されています。

   まもなく3Gライセンスが交付されます。3Gの領域においては日本は先端を走っているといわれています。そのため3Gライセンスの交付は、日本のメーカーにとってシェアを奪い返すチャンスになります。

   3Gライセンスの交付により日本勢が勢いを盛り返してきた場合、業界勢力地図に変化が起こるかもしれません。技術面で劣勢に立つ中国国内メーカーは、この大きな波に乗ることができるのでしょうか。それとも浪に呑み込まれてしまうのでしょうか。

2005年中国携帯電話市場 売り上げランキング

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2006年03月08日

アメリカ市場進出を断念する吉利汽車(HK.0175)、アフリカ市場を見据える江鈴汽車(深センB.200550)

本日の「中国株現地ニュース早読みチェック」をお届けします。

「アメリカ市場進出を断念する吉利汽車、アフリカ市場を見据える江鈴汽車」

(記事のまとめ / 情報元:2006年3月6日付け 第一財経日報)
   去年、吉利汽車(HK.0175)が高らかに宣言したアメリカ市場進出計画は、頓挫している。
   原因は二つ。一つはエンジンの排出ガス検査がアメリカの合格基準に満たなかったこと。そして二つ目は、車体側面の衝突安全テストに不合格であったこと。どちらの問題も致命的だ。
   吉利汽車は現在、アメリカ市場進出への計画を無期限延期に変更した。

(コメント)
   自動車業界において、アメリカは最大の市場です。2005年、アメリカの自動車販売台数は1700万台を越えています。世界第2位の日本が590万台、中国が572万台ですから、アメリカ自動車市場の規模は日本、中国の3倍になります。こういった事情があるため、自動車企業にとってアメリカがとても魅力的な市場に見えてしまうのは仕方がありません。しかし先ごろのフォードやGMの不振に見られるように、アメリカで勝ち残るのは容易ではありません。或る資料に依りますと、日本の自動車企業がアメリカ市場で定着し始めるまでに20年かかり、韓国の自動車企業の場合は10年ほどかかったとあります。また、ルノーやPSAプジョーシトロエングループはいまだにアメリカ市場で突破口を見出せていません。中国の自動車企業が低価格だけでアメリカ市場に勝負を挑むのは、尚早であるかも知れません。
   現在、欧米や日本など、先進国はいずれも安全面と環境保護、省エネを重視しています。そのため、今回吉利汽車がぶつかった二つの問題、つまり排出ガス検査と衝突安全テストが不合格であったという問題は、致命的なものです。排出ガスの問題を解決するためにはエンジンを新たに設計し直さなければならないため、容易ではありません。そのため吉利汽車はアメリカ市場への進出を無期限延期、最も早くても2007年、しかし断言はできないとしています。

   吉利自動車のアメリカ市場への輸出計画は頓挫していますが、しかし中国自動車業界の輸出台数は増加しています。2005年、中国の輸出台数は輸入台数を初めて上回りました。主な輸出国は中東、ロシア、東南アジア、そしてアフリカです。
   3月1日付け第一財経日報には、江鈴汽車(深センB 200550)に関する次のような記事がありました。
「江鈴汽車貿易部門責任者の話によれば、“アフリカはすでに江鈴汽車にとって最大の輸出市場になっている”とのこと。 去年、江鈴汽車はアフリカ市場で4000台以上の車を売っている。そして今年の目標は6000台という。」

 中国には「蟹(カニ)を食べる」という表現があります。この言葉は、「前例のないことに挑戦をする」ことを意味します。初めて蟹を食べた人は、大変な覚悟でそれを口にしたのかも知れません。日本の場合はさしずめ、ウニといったところでしょうか。
 レノボがIBMのPC部門を買収したとき、この言葉が頻繁に使われていました。レノボのこの前例のない買収が成功するのか失敗に終わるのか、誰にも分からないからです。
吉利汽車のアメリカ市場への挑戦も、「蟹を食べる」という行為かも知れません。成功すればとても大きな成果を得ることができますが、失敗のリスクも存在します。
吉利汽車がアメリカ市場で新たな市場を開拓できるのか、それとも失敗をして痛手を負うのか、或いは挑戦をあきらめるのか。吉利汽車の次の一手を待たなければなりません。

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2006年03月06日

中国株個別銘柄体感レポート   勝ち残れるか!!  中国化粧品小売業界「ササ・インターナショナル」 

ここ2,3日の間に上海はとても暖かくなりました。一種間ほど前までは気温が5度前後であったのに、今日の最高気温は22度です。上海には春が訪れたようです。
気候のこのような急な変化に対して、最も敏感に反応したのは、女性のファッションです。気候が冬から春へと急反転した最初の朝、私は街を歩く女性の素早い変化に驚きました。少なくない女性が、鮮やかな色の、薄手のスカートなどを身に着けていて、コートも軽い上着に変わっていました。私はその光景を見て、上海の女性が如何にファッションに敏感になったかを感じました。
上海の女性のファッションは、4年前に私が来たばかりの頃とは大きく変化しています。4年前、冬にスカートを穿く人があまりいなかったと、私は記憶しています。服の色もグレーや黒など、おとなしい色ばかりでした。しかし今では、冬でもスカートにブーツという女性はごく一般的になりましたし、色でも自己主張をするようになっています。
ファッションのもうひとつの大きな変化は、香水を使う女性が増えたということです。女性とすれ違う時、香水の香りがかすかに漂ってくることが以前に比べて本当に増えました。
上海の女性は急速に進化しています。

上海で香水を購入する方法は、主に4つあります。一つはデパートの各ブランドの専門店、二つ目はインターネット上での個人売買、三つ目がAMWAYやAVON(エイボン化粧品)といったダイレクトセリング、そして4つ目がササ・インターナショナルなどの化粧品小売店です。
私は昨日、ササ・インターナショナル(HK.0178)のお店を覗いてきました。今回はその様子をレポートします。

私が覗いてきたのは、伊勢丹一階に出している店舗でした。その伊勢丹はフォアイハイ路という繁華街にあります。
以前、上海では、伊勢丹は「高級な商品を扱うデパート」というイメージがありました。消費者はある程度の収入があるか、あるいはある程度の覚悟を決めている人たちです。つまりターゲットはお金を持っている人たちです。そのため中国人の一般消費者にとって、伊勢丹の敷居は高く、気軽にふらっと入れるような場所ではありませんでした。
現在、消費者の収入が上がっているため、伊勢丹に対する恐怖感は薄れていると思います。しかしやはり、以前のイメージは残っています。店内が人で「ごったがえす」といった情況は、伊勢丹では起こりえません。
ササは、そのようなデパートの中にお店を出しています。そのため、一般消費者がお店を覗いてみたくても、「ちょっと値段が高いのかな」と考え、尻込みしてしまうことがあるはずです。こういったことは、ササにとってはあまりよいことではありません。
こうした、お店の出店場所から考えると、ササはもともと、高所得者をターゲットにしていたと推測できます。しかし現在、化粧品に興味を持っているのはお金持ちだけではありません。平均的所得者も化粧品を買います。「ササ伊勢丹店」に限っていえば、この店舗は平均所得消費者の呼び込みに成功しているとは思えません。

店内に入ると、照明が適度に明るく、店内の色彩が鮮やかに見え、気分も明るくなるのを感じます。店員さんは若くておしゃれな女性です。男性の店員さんも2人いました。黒い服を着た店員さんはみんな清潔感があり、とても良い印象を受けました。女性の店員さんはみんな綺麗に化粧をして、消費者のお手本になっています。
私が店内に入ってまず気づいたことは、店員さんの数が多いということです。120平方メートル程度の店内(目測です)に7,8人の店員さんが立っていました。なぜそんなにも店員さんが多いのか、初めは不思議に思ったのですが、その理由はすぐに分かりました。
私と友人が店内に入って、いろいろと品物を手にとって見ていると、女性の店員さんが話しかけてきました。そしていろいろと、商品についてとても熱心に語りかけてきます。
「この香水は一番人気がありますよ」
「この商品はオーストラリアから輸入したものです」 
こういった具合です。周りを見てみると、他のお客さんにも、ひとりひとりの店員がついて、アドバイスをしている様子でした。
消費者の知識不足に対し、店員さんがサポートをする、そういった努力に私はとても好感を持ちました。中国では化粧品の使い方を知らない消費者も多いはずです。そういった消費者を取り込もうとする努力を私は評価したいと思いました。
  
商品に目を移すと、わりといろいろな品物を取り扱っていることに気がつきます。例えば、香水、スキンケア化粧品、シャンプー、髪のスタイリング剤、化粧の際に使用する小物(ブラシやパフなど)、そして、あまり有名ではないメーカーのメイクアップ化粧品などです。海外から輸入したものも多く、日本の顔パックや、ギャッツビーなどの男性用のスタイリング剤、あるいはオーストラリア製の女性用の髪のスタイリング剤などがありました。
香水を見てみると、バーバリーやANNA SUI 、ジバンシーなど、いわゆる高級ブランドメーカーの商品ばかりです。値段は50mlの香水で500元程度、5mlで100元ほどです。上海の大卒新卒の人の給料が2000元程度なので、平均的所得者に買えないことはありませんが、しかし若い消費者にとっては気軽に買えるような値段でもありません。
販売価格は定価よりもやや安く設定してあるということでした。しかし大幅に割引をしているわけではありません。つまり、値段では勝負をしていないということです。実際、店内には「20%OFF」などといった札は見当たりませんでした。
全体的に見てみると、化粧をする際に必要なものは、ササに行けば大体の物は揃えられるといった印象です。そして、分からないことがあれば、店員さんに相談できる。肌のことや、化粧の仕方についても、店員さんにいろいろ教えてもらえる。店員さんと仲良くなれば、楽しいかもしれない。こういった所が、ササの特徴ではないかと、私は思います。

もしこの業界に、ササにとってのライバルがいなければ、ササは十分に消費者を惹きつけていたと思います。しかし現在、ササには強力なライバルが存在します。一つは、日本のドラッグストアのようなスタイルで人気を集める「WATOSONS(屈臣氏)」、そして、フランスの化粧品小売「SEPHORA」です。
  まず、「WATOSONS(屈臣氏)」についてです。このチェーン店は、低価格と品揃えで勝負をする、いわゆるドラッグストアです。取り扱う品物の範囲は、シャンプーなどの日用品から、美容、コスメ、健康グッズ、日本から輸入したお菓子にまで亘り、そして化粧品、クスリも少し扱っています。また、自社製品もあります。品物の種類の豊富さもさることながら、このお店のもう一つの強みは価格競争力で、店内には低価格であることを示す札(例えば、30%OFFなどの札)がいたるところに掲げられています。豊富な品揃えと価格競争力という点において、ササは明らかに劣勢に立たされています。
本来ならば、化粧品小売業のササと、ドラッグストアのWATOSONSは異なった業界に属していたはずです。しかし、WATOSONSが美容グッズや化粧品の領域に侵入し始めた以上、衝突は避けられません。今後、場合によっては、WATOSONSは美容業界へ更に深く侵入してくるかもしれません。潜在的競争者として、WATOSONSはササにとって大きな脅威となっています。

そして、もう一つのライバルである「SEPHORA」は、1979年にフランスで設立され、1988年にはパリでの第一店目を開いています。上海にはここ1,2年の間に何店かオープンさせています。
SEPHORAは化粧品小売業に属します。そのためササとは真正面から激突することになります。
SEPHORAが扱う商品はすべて化粧品です。純粋に化粧品のみを専門に扱っていて、洗練されたイメージを受けます。(ササの店内には、シャンプーや顔パック、髪のスタイリング剤などがありましたが、SEPHORAはそういった商品を取り扱わず、資生堂やMAYBELLINといった大手メーカーの化粧品や香水のみを扱っていました。)店内には細かな気配りが随所に施されていて、たとえば香水コーナーにはコーヒー豆がたくさん入った器が置かれています。香水の香りを試す際に、一度コーヒーのにおいをかいでから香水の香りをかぐと、香水の香りをより正確に感じられるからです。また、店員の態度はとても物静かで、試用品を試す消費者の後ろで、そっと見守っているという風です。そのため、消費者は比較的自由に試用品を試すことができます。(この点は前回の投稿のIKEAのケースと同じです。) 印象的だったのは、ヨーロッパ人の店員さん(恐らくフランスの女性の方です)が、楽しそうに試用品を手に取って見ている女性の消費者の少し離れた後ろで、微笑みながら見守っていた光景です。この光景は、ササの店内で見たものとは、全く正反対のものでした。

ササとSEPHORAの間には、相違点がいくつも見られます。その相違点について、優劣をつけることはできません。なぜならそれぞれのお店にそれぞれの個性があり、消費者は自分の好みに合わせて、自分の好きな店を選ぶからです。それぞれのお店を選ぶ人が多いか少ないか、ただそれだけのことです。
しかしながら、私個人の意見を言いますと、現状のササはとても中途半端なポジションを取っているように見えて仕方がありません。つまり、価格で勝負をするわけでもなく、また化粧品だけを専門に扱うわけでもなく、どっちつかずで、とても中途半端な戦略を取っているように見えます。
安いものが欲しい場合はWATOSONSに行けばいいわけですし、また、化粧品が欲しい場合はSEPHORAに行った方が、洗練された品物を選ぶことが出来ます。
また、高所得者をターゲットにしているのか、それとも若い消費者をターゲットにしているのか、そういった点でも非常に不明確に見えます。
中途半端でどっちつかずのポジションとは、そういった意味です。


ササにとって、競争環境はこれから厳しいものになっていくかもしれません。
冒頭付近でも書きましたが、現在、上海で化粧品を購入する方法は4つあります。その4つのうち、ネット売買による化粧品市場は急速に膨らんでいます。そして、ネット上の売買ではすでに悪性の価格競争が始まっています。利幅が限りなくゼロに近い低価格競争です。ササはこういった、新たな競争相手とも戦わなければなりません。
   そして、ここ4年間連続で上昇している上海の商業用不動産価格も、小売企業であるササの利益を圧迫しているはずです。
   しかし、化粧品業界自体は明らかに成長しています。
   たとえば、ファッション雑誌は現在も増えています。去年の9月にはVOGUEも中国で発刊されました。テレビでは毎日、ミラノやパリ、NYなどのコレクションショーの様子が放送されています。そして、去年の夏には、上海浦東国際空港でシャネルのコレクションショーが行われ、テレビがそれを生放送していました。上海は世界のファッションに関心を持ち、そして世界も上海に注目しています。
  女性のファッションへの関心の高まりと共に、化粧品への興味も高まっています。雑誌には必ずメイクに関する特集が組まれており、またデパートの化粧品売り場では各ブランドメーカーが特別ブースを設けて、メイクアップアーティストによる実演メイクなどのイベントを行い、多くの観客を集めています。
  もともと、上海には化粧をする習慣がありませんでした。女性が仕事に出かける時も、化粧をする習慣はなかったようです。そのため、化粧をするということが上海の女性たちの間で定着するためには、もう少しの時間がかかるかもしれません。しかし、単なる流行ではなく、文化あるいは習慣としてそれが定着した場合、その流れはとても強くて大きいものになるはずです。

   私個人は、ササの店内の雰囲気や店員さんの接客態度にとても好感を持ちました。ササが今後、明確な戦略を採り、他の企業には無い独自性を打ち出してくることを、私は期待しています。

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2006年03月04日

日々の観察 「上海のセキュリティー事情」

   私が上海に住み始めたばかりの頃、最も違和感を感じたのは、スーパーマーケットやコンビ二で買い物をする時、店員の人が影のようについて来ることでした。私が物を選んでいる時、店員さんはじーッと私を見ています。落ち着かないので他のものを見に行くと、まだついてきます。振り切ってやろうと思って店の中をぐるぐる回ると、先回りされていました(店員さん、経験が豊富ですね)。いずれにしましても、泥棒を見るような目でお客を監視するのは、あまりよくありません。

   なぜ店員さんがずっとお客の後をつけて来るのかというと、多くのスーパーマーケットやコンビ二には防犯カメラが無いからです。つまり、店員さんがお客を監視しているわけです。

   中国のセキュリティーの特徴は、「人による防犯」です。防犯カメラの無いお店には、監視用の店員が配置され、またほとんどのマンションには門衛(門番)がいます。マンションの門衛を手配するセキュリティー企業は公安局との合弁で設立され、警察との強いつながりをもっています。

   一方、機械によるセキュリティーは、少しずつ増えてきています。セコムは10年以上前から中国に進出してきています。高級不動産物件を扱う湯臣集団(トムソングループ)(HK.0258)の高級マンションなどは、指紋検知型のエレベーターを備えています。エレベーターのボタンの代わりに指紋を検知する機械があり、指を当てれば自動的に自分の階まで上がっていきます。と同時に、部外者はその階まで上がれない仕組みになっています。

   最近は、大きなスーパーマーケットの中には、機械の防犯カメラも、人の監視員も置かないお店が増えています。おそらく、監視される客の不快感を、お店の側は察したのだと思います。たとえば巨大家具屋さんのIKEAなどは、店内には物凄い数のお客さんがいるにも関わらず、見張り用の店員を配置していません。そのため、お客は自由に商品に触れて使い勝手を確かめることができます。

   「人による監視」が存在する背景には、やはり貧富の差や地域の文化的格差などの理由が挙げられると思います。そういった背景を考えると、中国にこういった独特の習慣が存在しているというのは、仕方がないことなのかも知れません。
しかしそういった環境の中で、IKEAは全く逆の、開放的な方法をとりました。顧客を信用し、どのような背景の人に対しても、思い思いに商品に触れる機会を提供しました。
   こういった方法をとることにはリスクは存在するはずです。そのためリスクを最小限におさえる努力と工夫は必要になるかもしれません。コストもかかります。しかしリスクを冒しながらも常識を破ったIKEAの戦略が膨大な数の消費者に受け入れられていることを見れば、この戦略がいかに中国の消費者の心を揺さぶったか、非常に明らかです。
家具屋の写真

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2006年03月03日

「中国株現地ニュース早読みチェック」

本日の一本目
「メディア王マードック、フェニックステレビから撤退か」

(記事/情報源:2006年3月1日付け 第一財経日報)
   フェニックステレビ(HK.8002)の株37.5%を保有するニューズ・コーポレーションCEO,ルパード マードック氏がフェニックステレビから撤退するという噂が出ている。
   マードック氏は完全子会社である香港の衛星放送局「スターTV」を通して、フェニックステレビの株37.5%を保有。
   撤退の理由は、スターTVの中国本土メディア市場での開拓が遅々として進まないため。中国の政策的な背景がスターTVの本土での発展を遅らせている。
   この噂に対し、フェニックステレビとスターTVは共に、そいうった事実はないと否定。

(コメント)
   フェニックステレビやスターTVという企業は、上海で生活する私にとって、全くなじみがありません。というのも、本土のメディア市場は政治的な理由で閉ざされているからです。
   中国本土で放送されるテレビ番組は、中央電視台、あるいは各地方都市のテレビ局によって制作され、その内容は政府によってコントロールされています。番組の内容は非常に保守的で、種類も決して豊富であるとはいえません。新しいものが好きな若い人たちのニーズに応えられているとは、必ずしもいえません。そのため、仮に本土のメディア市場が開放されれば、香港メディア企業にとっては非常に大きなチャンスになります。
  去年の10月頃、私は第一財経日報で、「2006年、本土メディア市場は香港企業に対して解放される」といった記事を読んだことがあります。この記事自体はとても小さく、詳しい説明もなかったので、それ以上のことについては今は知ることができません。そのため、いつ、どのような形で、本土メディア市場が開放されるのか、現在はまだ不明確です。しかし、幕の裏側で何かが動き始めているということだけは、推し量ることができます。
   2005年、中国本土メディア界で最も大きな出来事は、蒙牛乳業(HK.2319)の独占スポンサーで放送された「超級女声」というオーディション番組の成功であったと、多くの雑誌や新聞が書いています。それまで保守的で硬直的であった番組の常識を覆し、携帯電話による人気投票という民主主義的な方法を取り入れたこの番組は、中国メディア業界において新しい基準点になりました。そしてそれと同時に、蒙牛乳業のマーケティングの大成功は、他企業の羨望の的にもなりました。
   今後、政府の監視のもと、香港メディア企業が本土で番組を放送するというのは、十分に考えられます。そうなった場合、本土系企業は、のどから手が出るほど欲しがっているマーケティングのツールを手にすることになります。
   ただ、繰り返しますが、本土のメディア市場がいつ開放されるのか、今はまだ非常に不明確です。




本日の二本目
「中国の新しい自動車消費税、4月1日にも実施か」
(記事/情報元:3月3日付け 第一財経日報)
   新しい自動車税が4月1日にも実施される。計画段階での消費税率は以下の通り。
排気量1.0L以下(3%→3%) 
排気量1.0L−2.2L(5%→5%)
排気量2.2L-3.0L(8%→9%)
排気量3.0L-4.0L(8%→14%)
排気量4.0L以上(8%→20%)

以上の計画段階での消費税は、場合によっては更に高くなる可能性もある。

(コメント)
   新しい自動車消費税を見てみると、3.0L以下の車の購買にはあまり影響はないと考えられますが、3.0L以上の車の購入には大きく影響すると思われます。
   4年前、上海で見かけた車はほとんどが中型のセダンでした。最も多く見られたのがフォルクスワーゲン、そしてアウディーやGMです。2年くらい前から、トヨタやホンダのアコードを見かけるようになり、1年ほど前からは日産のブルーバードやマツダなども見かけます。中国の人たちにとって、車はステータスの一つでもあるので、やや大きな車体の車に人気が集まっているように思います。そして、このごろはミニバンやSUVも見かけます。
   大きくて存在感のある車が売れている一方で、大気汚染やガゾリン価格の上昇などから、小型車やハイブリッドカーに対する注目も高まっています。
   やや古い情報になるのですが、2005年11月28日付けの第一財経日報に掲載されていたアンケートによりますと、「あなたは、トヨタが中国でハイブリッドカーを販売する目的は何だと思いますか」という質問に対して、19.9%が環境保護のイメージを高めるため、58.25%がガソリン価格高を見越して、といった回答がありました。また、「あなたはハイブリッドカーを買いますか」という問いに対して、51.2%がはい、12.0%がいいえ、36%がなんとも言えないと答え、そして三つ目の質問「あなたがハイブリッドカーを購入する理由は何ですか」という質問に対し、16.7%が省エネ、環境保護のため、71.0%が長期的に見てガソリン代の節約になるから、と答えています。このアンケートから見てみると、現時点では、消費者にとって環境保護は副次的なものとなっていますが、しかしハイブリッドカーがエネルギーの節約や環境に優しいということを消費者は認識しているはずです。
   アメリカではハイブリッドカーに対して税金控除措置が取られています。環境汚染対策に熱心に取り組み始めた中国政府をみていると、今後中国でもそういった措置が取られるかもしれません。

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chinaeconomyreport at 18:31|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 中国株関連 

2006年03月02日

新企画 「中国株現地ニュース早読みチェック」

今日から今年三つ目の新たな試みとして、「中国株現地ニュース早読みチェック」を始めます。
ここでは、現地の新聞やニュースサイトの記事の内容をごく短い文章で紹介し、それを題材にして私なりの短いコメントを加えて、皆さんにお届けします。


本日の一本目
「スピードを増す国美電気の国外進出」 (毎日経済新聞 2006年2月17日)

(記事より) 国美電気(HK.0493)は3月中旬にもマカオ第一店舗目を開店する予定。年内には2,3店舗を開店する計画。香港ではすでに13店舗がオープンしている。今後、国美電気は香港、マカオの経験を活かして海外進出も計画中。

(コメント)国美電気が海外進出を目指すのは、国内の家電小売業界がすでに飽和状態に近づいているためです。ライバルである蘇寧や永楽電気との間で激化する価格競争が収益を圧し下げているのに加え、商業用不動産価格の上昇がコストを押し上げています。そのため利幅が薄くなってきているのが現状です。
  悪性の価格競争が激化して利幅が薄くなっているから海外進出を計画するというのは、もっともらしく聞こえます。しかし低価格以外にも顧客を惹きつける方法はあるはずです。私が国美電気で買い物をする時にいつも不満に思うのは、店員の接客態度の悪さです。ポケットに手を入れたまま接客をする店員や、商品にもたれかかって休んでいる店員もいます。接客態度やサービスの向上など、中心競争力以外での向上を私は期待します。また、中国ではローン利用者が非常に少ないのですが、こういったローン未経験者にローンを組ませる仕組みを考え出すことも、利益を押し上げる一つの方法になるはずです。



本日の二本目
「中国大手ポータルサイト系企業は岐路に立たされている」

(記事より/情報源:2006年3月1日付け 第一財経日報)
   2005年、中国インターネット業界は空前の盛り上がりを見せた。しかし新しいチャンスが新たな参入者を生み、厳しくなった競争環境が大手企業を曲がり角に立たせている。
   2005年のポータルサイトは全体的に活力を欠いていた。広告と携帯電話サービスは安定して伸びた。しかしこの業界においては、20%から30%程度の成長率は投資家の興味の対象にならない。
多くのポータルサイトの内容が似たようなのになっている現状で、どうやって頭一つ抜け出すのか。
   企業は確かに岐路に立たされている。

(コメント)
   以前、TOM.ONLINE(HK 8282)について調べた時に感じたことは、この業界は差別化が非常に難しく、また新しい参入者の侵入を防ぐのが非常に困難であるということでした。事実、この業界の三大ポータルサイトである新浪はかつてほど優位を保っていません。同様に、TOM.ONLINEのポータルサイトとしての価値もあまり高くなくなっていると私は感じています。
   なぜそのように思うのかというと、それぞれのポータルサイトに独自性が無いためです。「ここのポータルサイトにしかないもの」、そういったものがありません。どれも同じ内容になっています。TOM.ONLINEの携帯電話の着メロサービスなども、いまではどこにでもあるサービスです。そのため、ポータルサイトの広告収入が主な収入源になっている企業は、変革を迫られています。
   一方、テンセントホールディングス(HK. 0700)には、QQというチャットツールがあります。このQQは、恐らく中国で最も利用者の多いチャットツールです。利用自体は無料であり、登録が簡単であるため、誰でもすぐに登録が出来ます。いまではQQは学生や若い人の重要なコミュニケーションツールになっています。一つの文化といっても差し支えはないと私は感じています。
   こういった、インターネットを利用したツールは、利用者の数で勝負が決まります。利用者の数が増えれば増えるほど、知り合える人の数が増えて便利になるからです。現在、中国にはQQ以外にもチャットツールがあります。たとえばMSNです。しかしMSNを利用する人は多くありません。なぜなら、MSNを利用している人が少ないためです。現在、QQはこの分野においてほぼ独占状態であると言えます。
   QQは現在もすでに独特な方法で収入を得ているのですが、今後はどうやって収入チャネルを増やしていくかに焦点が移されていくはずです。
   企業を観察する側としては、この企業が数の優位性をどのように維持していくかに注目したいと思います。

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2006年02月28日

データが語る!!(一回目)  上海の不動産はバブルなのか―――価格と需給のバランスが崩れる時

   今回は、今年二つ目の新しい試みとして、「データが語る!!」を始めたいと思います。
   「データが語る!!」では、現地の雑誌や新聞などで見つけた様々なデータを皆様にご紹介し、そのデータについて、私なりにコメントしたいと思います。
   例えば、上海の女性ファッション雑誌のアンケート結果や、現地の車雑誌の人気車ランキング、デジタル家電メーカーの売り上げランキングなど、様々な分野のデータを多岐にわたって、お伝えしていきます。
 
   第一回目の今回は、「房地産時報(不動産タイムス)」の中に見つけた、上海の商業用不動産に関するデータをご紹介します。

   上海の不動産はすでにバブルではないのかといった議論は、テレビや新聞、或いはインターネット上でもよく目にします。この問題に対する意見は様々で、ある人は上海の不動産バブルはもうすぐ弾けると言い、ある人は不動産価格は大きく下がることはないと言います。大多数の人は、これから値段は上下に変動するかもしれないが、変動幅はそれほど大きくないという、曖昧で無難な態度をとっています。このように、未来の不動産価格に対する予想は非常に不明確です。

   2005年の上海不動産事情に関するデータが、2月27日付けの「房地産時報(不動産タイムス)」に載せられていました。本投稿末尾部分のグラフが、房地産時報のデータを基に筆者が作成したものです。(クリックで拡大してご覧ください)。
   今回のグラフは二つあります。一つは「2005年1月から12月までの期間に上海で売買された商業用不動産の取引量」です。そしてもう一つは「2000年から2005年までの上海の商業用不動産の価格の推移」です。
   まず一つ目の取引量についてです。2005年の1月から4月までは取引高は高い水準を維持しています。これは2004年の不動産投資ブームの余波によるものです。しかし5月ごろから急に落ち込みます。これは政府の引き締め政策による効果のあらわれと見られています。そして年末にかけて再び活気を取り戻してきます。これは郊外の発展に伴い、郊外の商業施設に対する需要が取引量を引き上げた結果といえます。しかし注意しなければならないのは、2005年一年全体の取引高は2004年よりも11.38%減少しているということです。
   房地産時報の記事に依りますと、2005年の上海の商業不動産の供給と需要の比率は1:0.73です。供給が需要を大きく上回っています。2004年の比率1:1.3から逆転が起こっています。
   この供給過剰を引き起こしている原因は、郊外の商業施設の大幅な増加と見られています。郊外の商業施設が増加するに伴い、市場全体の不動産供給量も同様に増加しているのですが、上海の中心部に比べて郊外の商業施設は見劣りするため、需要が伸びません。そのため、供給が需要を上回る結果になっています。

   供給が需要を上回り、そのうえ市場に多く出回っている郊外の物件の魅力が乏しいにも関わらず、商業用不動産価格は上がり続けています。2003年中ごろから2004年の中ごろまで、価格がほぼ横ばいであったのが、2004年から現在まで、価格は急激に上昇しています。2004年と比較すると35.64%の上昇、2000年と比較すると、ほぼ倍になっていることが分かります。
   房地産時報は、上海の商業用不動産価格がこのように上昇している理由を、ふたつ挙げています。一つは、2005年、商業用不動産価格の上昇が一般化してしまっていたということです。2005年だけではなく、ここ4年の間、上海の商業用不動産の価格は上昇し続けています。
   そしてもう一つの理由は、2005年、1平方メートルあたりの値段が1万元の物件が、全体の取引量の35%を占め、全体の取引価格を引き上げていることです。

   ここまで見てきますと、二つの傾向が存在することが分かります。一つは、供給が需要を上回っているという傾向。もう一つは、価格がこれまで上昇し続けてきたということです。
   現在、需給関係は去年までと同様、供給が需要を上回っている状態です。一方、価格の上昇はなだらかになってきています。
   今後、この不均衡な需給関係と、これまで急速に上昇を続けてきた不動産価格が、どのような形でバランスを取り合うのか、注意して見守らなければなりません。

不動産関連データ

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2006年02月26日

今年の夏、中国のアイスクリーム市場を制するのは蒙牛か光明か、それともA株の伊利か

まだ二月の末ということもあり、上海では気温の低い日が続いています。そのため、アイスクリーム市場が動き出すまで、今しばらく待たなければなりませんが、乳製品業界企業はすでに、今年の夏に向けて、戦略を練り始めている様子です。

2月22日付けの毎日経済新聞に、上海実業(HK.0363)傘下の光明乳業に関する記事がありました。
「今年、光明はアイスクリームの価格を上げ、高級アイスクリーム市場に攻め入る戦略を採る模様。全国売上高トップ5を目指す」

なぜ光明がアイスクリームの値上げを決断したのか。それには理由があります。
去年、一トンあたり2600元ほどであった砂糖の値段が、現在は3300元ほどになり、約30%の値上がり。また、主要原材料である牛乳の値段が、去年の一トンあたり1400元から現在は1500−1600元ほどに値上がりしています。更に、牛の飼料となるトウモロコシや麦の皮、羊草の値段もすべて値上がりしています。つまり、原材料コストが大幅に上昇していることになります。
一方、アイスクリームの小売価格自体はほとんど変化していません。光明のアイスクリームの平均的な小売価格は1.5元ほどです。この値段は数年前からほぼ変化していません。
  つまり、光明がアイスクリームの値上げを決断した理由の一つに、小売価格が変わらないという情況の中で、原材料コストの上昇が利益を圧迫し始めているということが挙げられます。
 
その一方で、光明が値上げを行う積極的な理由も存在します。
 消費者の収入の増加や、生活水準が上がるにつれて、高級商品に対する需要が増加しているという理由です。消費者の収入が増加していることや、アイスクリームの価格が他の代替品(例えば、コカコーラは2.5元、キリンの午後の紅茶が3.5元)に比べて安いということを考えると、アイスクリームの質の向上に対する消費者の満足度は、値段が1.5元から3元あるいは4元に上がったことに対する不満を上回るように思われます。
 
 高品質市場を開拓する戦略を採っているのは、光明だけではありません。蒙牛乳業(HK.2319)も、牛乳市場において、同様の戦略をすでに採っています。
 蒙牛乳業は去年の秋ごろから、高品質の牛乳を売り始めました。これまでの市場での平均的牛乳が250ミリリットルあたり2.5元程度であるのに対して、蒙牛は250ミリリットルあたり3.5元に価格を設定し、その引き換えに、高品質の牛乳を、高級なイメージを与えるパッケージで売り出してきています。
これまで中国の市場では、牛乳は健康食品であったと思うのですが、蒙牛はこのイメージを崩しにかかり、素材をじっくり味わうための牛乳という分野を打ち出して来ました。新しい分野を切り開いたのと同時に、コスト上昇圧力を受けて、いち早く値上げ戦略を採った蒙牛を、私は評価したいと思います。

今年の夏、乳製品業界の各企業が、どのような戦略を採ってくるのか、まだ明確ではありません。
アイスクリーム市場では低価格戦略を採る蒙牛が高品質市場に乗り出してくる可能性も十分に考えられますし、また、蒙牛の最大のライバルであり中国最大の乳業企業である伊利(上海A株)がどのように動いてくるのかも、引き続き観察しなければなりません。また、ネスレや和路雪といった企業が中国アイスクリーム市場ですでに高価格・高品質ポジションを築き上げているため、光明や蒙牛がどのようにしてその市場に切り込んでいくのかについても、注目してみていかなければなりません。


 ちなみに、現在の各乳業企業のアイスクリーム市場におけるポジションと、商品のおよその価格帯は以下の通りです。
蒙牛乳業  低価格(平均価格 1元から2元)
伊利     低価格(平均価格  1.5元から3.5元)
光明     低価格(1.5元から3元)
ネスレ    やや高い価格(2元から5元)
ハーゲンダッツ 高価格(30元以上)

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2005年12月18日

或る家電メーカーがゲーム業界に与える巨大なインパクト

 中国の若者のうちで最も熱いものの一つに、オンラインゲームが挙げられます。この加熱するオンラインゲームブームを、或る家電メーカーが更に熱くさせる可能性があります。

  2005年11月28日、国内大手家電メーカー長虹とチャイナテレコムが共同でインターネットテレビ事業に踏み出すというニュースがありました。長虹はインターネット端末内臓型テレビとセットトップボックスの両方で製品を出していき、またチャイナテレコムは通信インフラで長虹をサポートしていくということです。
 
   中国におけるインターネットテレビを考える上で、ポイントになることが二つあると考えられます。一つは市場の規模、もう一つは市場に与えるインパクトです。
  まず、市場の大きさについてですが、現在、中国のテレビの利用者がおよそ3.7億人、インターネット利用者が1億人と言われています。テレビの利用者数とインターネット利用者との差が即ち現時点での潜在的な市場と言えますが、しかしながら、両者の差である2.7億人がすべてインターネットテレビを利用するとは到底考えられません。では、どうような消費者がインターネットテレビを使うのでしょうか。
  実証するデータなどはありませんが、今後インターネットテレビを利用する消費者の中で最も高い比重を占めるのは、オンラインゲームのユーザーではないかと私は考えます。
 過去2,3年の間に、中国で爆発的ブームとなったオンラインゲームは、いまでこそその加熱ぶりは少し落ち着きつつあるものの、現在でも若い消費者に対して強い吸引力を持っています。これまでは韓国製やアメリカ製のゲームが中国オンラインゲーム市場の主役でしたが、今後は物語性の豊かな日本製ゲームが市場に入ってくることによって、中国オンラインゲーム業界がこれまでよりも多様性を持ち、幅広いゲーマーを取り込めるようになると考えられます。  
  また、パソコンの小さいディスプレイでゲームをするよりは、テレビの大きい画面でゲームをしたいといったニーズも考え得ることから、パソコンをすでに所有している消費者がインターネットテレビを利用するといったことも考えられるのではないでしょうか。
 このように、オンラインゲームを軸にして考えてくると、インターネットテレビ市場は十分に大きいと考えられます。

  では、インターネットテレビが中国で普及した場合、市場に対してどのようなインパクトがあるのでしょうか。
 まず、オンラインゲームを中心にして考えた場合、最もインパクトを受けるのはやはりゲーム業界です。PCのオンラインゲームがX−BOXやPSと競争するという構図自体はこれまでも存在していたものであり、インターネットテレビによるオンラインゲームが普及した後も続いていくはずです。従って、この構図自体は変わらないと考えられるのですが、しかしここで注意しなければならないのは、長虹という、本来はゲームに直接関与しない家電メーカーがゲーム業界に大きなインパクトを与え得るということです。単にインターネット端末を備えただけのテレビやボックスが、X−BOX360やPS3のようなハードウェアとして消費者に捉えられる可能性もあり、それが市場に与える影響は非常に大きいものであると推測出来ます。

 「ゲーム中毒」や、ゲーム中の死亡など、中国国内外ではゲームが社会問題となっています。そのため中国でも、政府が2006年を目安にオンラインゲームに3時間程度の時間制限を導入するなど、過熱するオンラインゲームブームを抑えようとする動きが見られます。こういった動きがゲーム業界にとって幾らかの負の影響があるかもしれません。しかし一方、中国における娯楽の少なさや、今後も多様化するゲームの内容などを考えると、ゲーム業界の規模は継続して膨れ上がっていくと私は見ています。
 そして、ゲーム業界が伸びるにつれ、オンラインゲーム業界インフラであるブロードバンドや、ハードウェアなどの業界に対する需要も、当然伸びていくと考えられます。

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chinaeconomyreport at 18:48|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 娯楽産業 | 中国経済

2005年12月11日

失われつつあるエスプリのブランド価値

   12月10日付けのチャイナネット日本語版に、「中国、世界第三の贅沢品消費国に」といった見出しの記事が載せられていたのですが、中国の消費力が急速に伸びていることを、私は上海で生活する中で常に感じます。特にブランドに対する敏感度が日に日に高まっていることは、雑誌やテレビや街の様子などから非常に強く感じ取ることができます。
   こうした流れの中で最近はファッションの市場において、若い人向けのカジュアルブランドを多く見つけることができます。そういったカジュアルブランドの中で若い消費者にとって最も知名度の高いのが、エスプリ(HK.0330)ではないでしょうか。

   エスプリは中国の市場においては、「やや高価なカジュアルブランド」として消費者に認識されています。「やや高価」と私は書きましたが、実際にエスプリの商品には、他のカジュアルブランドよりも高い値段が付けられています。
   エスプリの商品の中には、確かに非常におしゃれなものもあります。たとえば、「ESPRIT MEN」が取り扱っている洋服は、カジュアルブランドの中ではおしゃれであると言えます。また、赤を基調にした店内は、個性や品性などを感じさせます。
   しかし私はここで敢えて、エスプリの全ての商品が他のカジュアルブランドよりも品質の面で優れているわけではないと指摘したいと思います。なぜなら私の目には、一部を除いたエスプリの商品が他よりも優れている点を、見つけることができなかったからです。
 
   ではエスプリにはどういった価値があるのでしょうか。

   一般的に、高級ブランドに高い値段が付けられているのは、その商品の品質が高いから、または、精神的な付加価値が備わっているから、と言えます。精神的な付加価値というのは、例えば品格や、ロマンティックな感覚や、前衛的なイメージなど、そのブランドを身に纏うことによって得ることの出来る、無形の価値です。服や装飾品で自らを飾ることは、とても便利な自己表現の方法でありますが、消費者はそれぞれのブランドに備わる精神的な価値を身に纏うことによって、自分を表現することが出来ます。
   このような無形の付加価値に高い価値を見出す人は、その品物を手に入れるために高い代価を払います。

   では、エスプリにはどのような精神的な付加価値が備わっているのでしょうか。
   或る資料に依りますと、20世紀の60年代後半にアメリカでエスプリが生み出されたとき、このブランドには「世界平和と自己表現」といったスローガンが存在していたようです。このスローガンはその後も引き継がれ、環境保護を強調したポスターや宣伝活動が行われていたようです。
   しかし現在私が目にするエスプリには、環境保護を重視しているといったイメージは全くありません。ポスターにはエスプリの商品を着たモデルさんが写っているだけで、スローガンが全く透けてきません。以前は店内に植物を並べて、大自然を想起させるレイアウトにしていたこともあったそうですが、現在はただ服を並べているだけです。
   現在のエスプリを見る限り、このブランドは以前は持っていた無形の価値を失ってしまっています。

   高級なものが売れている現在の中国において、「世界平和と自己表現」や「環境保護」といったスローガンを基に商品を売るのは、エスプリにとってはあまり賢い選択ではないかもしれません。そのため、エスプリがそういった過去のイメージを捨てて、洗練されたカジュアルブランドとしての市場でのポジションを固めていくことに、私は賛成です。しかしながら、他のカジュアルブランドの追随により、品質やデザインにおいて決して優位ではなくなり、また、コストパフォーマンスにおいて他よりも明らかに劣るエスプリが、精神的な付加価値を備えなくなった場合、いずれは他のカジュアルブランドの中に埋もれて目立たなくなるような気がします。
   
   今後、エスプリがいかにしてブランド力を高めていくのか、私は期待しながら見ていきたいと思います。
 
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chinaeconomyreport at 23:57|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 中国株関連 

2005年12月09日

政治が冷え込む中で

  マレーシアのクアラルンプールで今月開催される予定だった中日韓3カ国の第7回首脳会議が延期されるなど、政治の分野では日本と中国の関係は依然わだかまりを残しています。こうした政治的要素が原因で、今年には大規模なデモが起き、また日貨排斥運動なども広がりました。以前は政冷経熱といった言葉が通っていましたが、しかし現在は政治と経済どちらにおいても冷たくなる心配も出てきています。日本にとって中国は、生産基地としてもマーケットとしても重要であるため、何らかの形で関係を築いていく必要があります。では、どのようにして強い関係を築けばよいのでしょうか。

  12月6日付けの第一財経日報に、日立に関する記事が取り扱われていました。
「一年間のお見合いを経て、日立と上海復旦大学は近日、正式に研究所を設立する運びとなった。」(12月6日付け 第一財経日報)
  この記事に依りますと、日立と上海復旦大学は2004年から共同で研究を進めており、今回はその延長で、正式な研究所を立ち上げたようです。
  日本の企業が中国の大学とこのような協力関係を築くことはとても大きな意味があると考えます。一つは、日本の企業が中国の大学の発展に寄与することで、日本の企業が単なる売り手としてではなく、中国の発展に関与する重要なパートナーとして、中国社会に認められるということ。二つ目は、国の財産である人材がこういった研究所で育つことにより、日本側は今後中国を担うエリートとの強い結びつきを作ることができるということ。三つ目は、研究所で生み出された技術などが中国人の手によっても生み出されているという事実が、中国人が日本企業に対して抱く硬直したイメージを変え得るということ。そして四つ目は、目的を共有することにより、敵対意識を薄れさせることができるということです。実際、記事の見出しは「復旦大学が日立と手を携えて、世界の一流大学を目指す」といったものです。第一財経日報はこの記事を非常に好意的に取り扱っています。


  これまでのように、日本企業が単に低賃金低コストを理由に中国に進出する場合、中国の技術が日本の技術を上回った時点で、中国企業との関係が切れてしまうという危険性が存在していました。また、中国の日本に対する政策がいつ変わるか分からないといった政治的リスクもあります。
  そういった状況の中で、中国側と強い結びつきを作るためには、中国の将来にとって影響力のある関係を作る必要があるはずです。例えば、現在、トヨタ、日産、ホンダは生産拠点を広州に置いているのですが、広州はこれら日系自動車メーカーの生産拠点になることによって、地域としての競争力をつけてきています。今後広州は国内では上海に次ぐ自動車生産地に成り得るという見込みもあることから、日系自動車メーカーがいかにこの地域の発展に寄与しているかが分かります。

  企業と地域がこのような関係を築くことによって、双方にとって様々な利益が生まれた場合、生み出される利益が大きいほど、相手に対する依存度は高くなります。そして、依存度が高くなるほど、その関係を断ち切ることは困難になるはずです。

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chinaeconomyreport at 23:47|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 中国自動車業界 | 日々の観察

2005年12月07日

中国の駐車場事情    

  自動車の数が増えるにつれて栄えてくる産業の一つとして挙げられるのが、駐車場産業です。
  上海の駐車場業界では、供給が需要に追いついていないのが現状です。しかしここのところ、新しく建設された立体駐車場や、地下駐車場を備えたマンションも多く見かけることができます。では、駐車場の数さえ増えれば、駐車場の問題は解決できるのでしょうか。

  この問いについて考えるにあたり、今回のまず、中国の駐車場情報専用サイト「中国駐車網(china parking net)」で紹介されていた、駐車場に関する消費者アンケートを取り上げてみたいと思います。

  このアンケートにはいくつかの質問が設けられているのですが、ここではそのいくつかを抜き出してお伝えします。
  まず、このアンケートの一つ目の質問として、「あなたは駐車料金値上げに賛成ですか、反対ですか」という質問がありました。アンケートに答えた1988人のうち、70%以上が反対と答えています。値上げに反対するのは消費者の態度としてごく自然なのですが、一方の「値上げ幅が小さければ受け入れられる」という回答がわずか14%であることから見て、消費者は駐車料金をすでに安いとは考えておらず、値上げが自動車購入や外出などの行動にいくらかの影響を及ぼす可能性があると考えることができます。
  このことは、「あなたは毎月の駐車費用が高いと思いますか」という二つ目の質問で「高い」と答えた人が64%であったことからも伺えます。

  三つ目の質問「駐車をする時に出くわす問題は何ですか」という問いに対して、2005年の回答では、「駐車場の供給不足」という回答が62.2%、「駐車時のルールが乱れている」が52.1%、「駐車料金が高い」が58.3%になっています。そして、回答が最も多かったのが、「駐車場はお金を取るだけで管理をしない」71.9%でした。

  これらのアンケートから見えてくるのは、駐車場の数は徐々に増えてきているものの、まだまだ不足しているということ、そして、消費者は料金や管理、サービスに対しても要求を出してきているということです。
  このような要求が生まれていることから見て、今後は自然の流れとして、セキュリティー業界や駐車場自動管理システム、自動課金システムなどの周辺産業に対する需要も高まってくると見られます。
 また、駐車場問題がレンタカーに対する需要を高めることも予想できます。



  北京では交通渋滞の緩和に向けて、インフラ整備が着々と行われているようです(中国情報局)。しかし、私が実感する限りでは、上海の交通渋滞は緩和されていないように思います。
  こういった交通渋滞に加え、ガソリン価格の値上げや駐車場問題が自動車産業に間接的に負の影響を及ぼすと見られますが、他方では、消費者の要求の高まりから、自動車の周辺産業が伸びてくると予想できます。

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chinaeconomyreport at 23:09|PermalinkComments(1)TrackBack(2) 中国自動車業界 | 日々の観察

2005年12月06日

国美電器   ローン利用者が極端に少ないのはなぜか     

  先日、私は国美電器(HK.0493)のお店を覗いてきたのですが、その時に気づいたことがありました。
  店内で最も賑わっていたのは携帯電話のコーナーで、続いてパソコン売り場なども人気があったのですが、液晶テレビなど、商品の値段が上がるに連れて、お客さんの数は明らかに減っていました。どうしてそうなのかなと考えてみた時、思い当たることが一つありました。それは、ローンです。

  国美ではローンを利用できます。しかし、現在、ローンを利用して家電製品を購入する人は5%程度に過ぎないようです。ではなぜ、中国のローン利用者はこのように少ないのでしょうか。
  挙げられる理由としては、まだ認知度が低いということ、そして、文化的な要因です。或る現地の雑誌の中で、一般消費者の声が紹介されていました。「お金があれば買うが、無ければ買わない。ローンは心理的には受け入れがたい」ということです。この声は現在の中国の大多数の声を代表しているのかもしれません。
  国美電気にとっては、今後どのような方法を使って、この低いローン利用率を上昇させるかが、ポイントになると思われます。


  家電製品において、ローン利用者が少ないのは分かりました。では、住宅や、車の購入においてはどうなのでしょうか。
 「中国新車販売の現状(PDF)」によりますと、2003年に35%程度だった中国の自動車ローン利用率が、2004年初に20%、2004年中に10%まで低下しています。このレポートの中で、ローン利用率が下がっている原因として挙げられているのが、政府の金融引き締め政策ですが、もう一つ挙げられるのは、自動車ローンの貸付条件の強化です。消費を促したい中で貸付条件を厳しくしなければならなかったのは、不良債権が増加していったためです。
  中国人民銀行が公表したデータによりますと、2004年年初までで、中国の個人自動車消費ローン額が1800億元に達している一方、1000億元が回収困難な状況になっているということです。こういった状況の中で、大手銀行の自動車ローン部門が2005年1月1日以降、VWやGM,トヨタの製品の購入者に対する貸付業務を取り止めたといった動きもありました。

  ローンが消費に大きく影響することはいうまでもありません。しかしその認知度が未だに低いことや文化的な要因、また、不良債権問題などがこれまではローン普及の障害になってきました。

  今後、これらの問題が自動車業界や金融業界によってどのように取り除かれていくのかを観察することで、消費を先読みすることができそうです。

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chinaeconomyreport at 01:35|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 中国株関連 

2005年12月04日

小さな洗車のお店が繁盛していた理由        

  今日私は自宅近くで、ある光景を目にしました。
それは、或るとても小さなお店の前で、車が列を成して並んでいる、という光景です。
  車が並んでまで待っていたのは、洗車です。つまりその小さなお店とは、洗車や車内の掃除サービスを主に行うお店でした。

  今日は日曜日ということもあり、また、今日の上海の最高気温が4度だったということも関係しているのでしょう、その小さなお店はとても繁盛していました。

  実は私は2週間ほど前に、新奇特というカーメンテナンスのチェーン店を覗いてきました。この新奇特はとても大きく、商品やサービスなども充実しているように見受けられたのですが、繁盛しているという印象は受けませんでした。このお店はカー用品も扱っていたのですが、日曜日であるにもかかわらず、お客はいませんでした。修理をしている車は何台かあったのですが、壊れていないホイールをわざわざ新しいホイールに換えている車は、私が見る限りは、見られませんでした。そして、自動洗車機もありましたが、私がその場にいた時は、使われることはありませんでした。つまり総合的に見て、この新奇特はそれほど繁盛しているように見えませんでした。

  では、今日私が見てきた小さなお店は、なぜ繁盛していたのでしょうか。最大の要因は、この小さなお店は手を使って車を洗車している、ということだと思います。自動洗車機を使うと車に傷が付くので、手で洗ってくれるお店で洗車をしたい、こういう心理が利用者側に働くのは当然だと思います。
  そしてもう一つの要因は、洗車の値段です。手で洗ってくれる洗車の方が、自動洗車機よりも安かったのです。

  この二つの要因から分かることは、現地の状況に合わせて、方法を変えなければならないということです。
  自動洗車機は、海外では受け入れられるかもしれません。しかし中国では自動車はまだまだ贅沢品であるため、機械には任せたくない人が多いのではないでしょうか。もちろん海外でも、自動洗車機が好きな人はいないと思います。しかし、値段の問題が存在します。
  では、上海ではなぜ値段の問題が生じないかというと、それはやはり、労働賃金が安いからです。貧富の格差がコストを下げているというわけです。

  私がこの小さな洗車のお店を見て思ったのは、海外の有名なカーメンテナンスのチェーン店といえども、海外でやってきたことをそのままやっていたのでは、成功するとは限らない、ということです。
  
  今後は海外からも中国のカーメンテナンス業界に多くの企業が参入してきますが、現地の条件に応じて自らを変えることの出来る企業が、現地消費者の支持を得ることができると考えます。

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chinaeconomyreport at 20:28|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 日々の観察 

2005年12月03日

食肉加工業界における対立 「雨潤(HK.1068) vs 双ホイ(深センA)」

  中国にはおそらくかなりたくさんの食肉加工業界が存在すると思うのですが、上海のコンビ二やスーパーで見かけることのできるメーカーはごく限られています。主なメーカーは、双ホイ(深センA)、雨潤(HK.1068)、旺潤などです。各スーパーやコンビ二によってこれらのメーカーがハムコーナーに占める比率は異なっているのですが、一般的に見て、双ホイと雨潤の占める割合は非常に高く、現在はすでに「双ホイ 対 雨潤」という構図が出来上がっているといっても過言ではありません。
  事実、2005年に発表された、「2004年 中国食肉加工業界ランキング トップ50」によれば、1位が双ホイ(1,602,002万元)、2位が大衆食品の金ハム(1,004,678万元)、雨潤(792,147万元)(括弧内は2004年総売上高)となっており、業績からも双ホイと雨潤の強さが見て取れます。
 
  直接商品を手にする消費者として双ホイと雨潤を見比べてみると、商品に大きな違いはないように見えます。むしろ非常に似通っていて、商品のパッケージなどは酷似しており、市場でのポジションも同じです。しかし、強いて違いを挙げるのであれば、双ホイの方が消費者のニーズを捉えることに長けていると言えます。例えば、双ホイは商品のサイズにバリエーションを持たせることによって、必要に応じて必要なサイズの商品を買いたいという消費者のニーズに応えており、また、最近は消費者のライフスタイルなどの変化により生鮮冷凍食品が売れてきているのですが、双ホイはこういった消費傾向の変化に対して敏感に反応して、他社に先駆けて、生鮮冷凍食品の生産力の拡大を計画しているようです。

  このように見てくると、確かに双ホイが強いことに間違いはないのですが、双ホイが雨潤などに対して今後も優位を保ち続けることができるのかといえば、決して簡単ではないはずです。なぜなら、双ホイの商品は常に模倣される危険に曝されているからです。
  例えば、双ホイの商品の中に、一口サイズのソーセージがあります。このソーセージの中にはコーンが粒のまま含まれていて、若い人が好みそうな味になっています。パッケージにもキャラクターのデザインが施されていて、子供などをターゲットにしていることが分かります。私の記憶によれば、この商品は今年の夏頃に発売され始めました。
  この商品は、私の印象では非常にヒットしていたと思います。この商品は子供や若い人たちがおやつのように食べることの出来る食品として非常にオリジナリティーがありました。こういった商品を出していたのは、双ホイだけでした。
  しかし、私は昨日、コンビ二の中で、この商品に酷似したものを発見しました。模倣品と言ってもいいその商品を売り出していたのは、雨潤です。雨潤が売り始めたその商品は、一口サイズで、コーンの粒が中に含まれており、そして、パッケージにはキャラクターのデザインが施されていました。これは誰の目から見ても、雨潤が双ホイの商品を模倣して作ったものであるのが明らかでした。

  このような模倣は中国の不正競争防止法に触れるのではないかといった議論もあるかとは思いますが、これが法的にどうように判断されるべきなのかについてはここでは考察しません。今回注意したいのは、模倣は技術面では容易であることから、双ホイと雨潤のほとんどの商品はすでに酷似してしまっており、模倣される側はオリジナリティーを出せなくなってしまっていること、また、そのために価格競争を行わざるを得ないこと、そして、一つの企業が他社を突き放してシェアを拡大することが困難になっていることです。
  そしてもう一つ注意が必要なことは、他の企業にとっても双ホイや雨潤の模倣をするのは技術的に十分に可能であるということです。

  資料に依りますと、2004年の時点では、中国食肉加工業界におけるトップ4の業界シェアはわずかに20%に止まっています。アメリカの食肉加工業界トップ3の業界シェアが2004年の時点で65%以上、トップ5で80%という数字から見ても、中国の食肉加工業界の集中度がいかに低いかが分かります。つまり、双ホイと雨潤の規模は業界全体においてまだ小さく、双ホイと雨潤を含めた業界トップ4社を合わせてもシェアがわずかに20%に過ぎないということです。このことが意味するのはつまり、各企業はまだこれから自分のシェアを伸ばすことが出来るということなのですが、しかし一方で、一つ一つの企業がまだ小さいために、業界内の順位がいつ変わるか分からないということでもあります。特に、中規模の企業同士の統合や合併などが行われた場合、業界上位の企業に与える影響は小さくないはずです。


 中国の消費者は食に対しては非常にこだわりがあり、また、深い食文化があるため、食肉加工業界全体は今後も伸びていくと考えられます。しかし、業界内の集中度の低さや、差別化を図ることの難しさなどから、食肉加工業界はしばらく混沌とした状態が続くかもしれません。
今後は、単なる模倣に頼るのではなく、品質、安全面、栄養面などといった、本質的な部分で競争力を高めていくことのできる企業が勝ち残っていくと考えられます。

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chinaeconomyreport at 21:14|PermalinkComments(0)TrackBack(1) 中国株関連 

2005年11月26日

中国自動車市場に未だ谷底が見えないのはなぜか

「中国の自動車市場はまだ谷底が見えない。2006年は更に悪化するであろう」
 これはモルガンスタンレーが発表した最新報告書の中の一行です。モルガンスタンレーは中国自動車市場が来年も谷を落ちていく主要な原因として、価格競争の激化が企業の利益を蝕むということを挙げています。

 ここのところ、中国の自動車業界において、前向きなニュースは決して多くありませんでした。
 たとえば、
「フォルクスワーゲンの中国市場におけるシェアが、2001年の50%から、2004年は28%にまで低化。今年の目標は18%」(11月3日付け)
「長安フォードのFOCUSの生産が注文に追いつかず、キャンセルが続出。販売代理店によっては4分の一がキャンセル。現在2万台の注文に対して、FOCUSの一日の生産台数は110台程度。」(11月10日付け)
「フォルクスワーゲン、生産能力拡大を停止」(10月18日付け)
「広州ホンダ、北京ヒュンダイ、東風日産などは生産量を縮小へ」(11月25日付け)(以上はすべて第一財経日報に依ります)
などといったニュースです。つまり、全体的に見てみると、focusのケースを除いては、各社は生産を拡大しすぎたために在庫が利益を圧迫し始め、今度は在庫を減らすために生産を減らさなければならなくなった、ということだと思います。
 ではなぜ在庫がこれほどまでに増えてしまったのかということですが、いくつかの要因が挙げられます。たとえばそれは、自動車の消費税率の調整や、ガソリン価格の高騰、駐車場料金などの維持費や悪化する交通渋滞、また、消費者が自動車の価格の更なる値下がりを待っているといった心理的要素などがあげられると思うのですが、そういった外的要因だけではなく、内的な要因、つまり企業側にも原因があるのではないかと考えます。
 その問いに関連した、非常に興味深い記事がありましたので、みなさんにご紹介したいと思います。
「中国の自動車企業は外部の変化に対して非常に敏感である。なぜなら、中国の自動車企業の発展は海外大手自動車メーカーとの合弁によって成り立つためである。このことは、中国自動車企業の脆弱性を表すものであり、また、海外企業への依存性を表している。言い方を換えれば、中国自動車企業は海外自動車メーカーの戦略や経営状態の衝撃をまともに食らうということである。」
 そしてこの筆者は続けてフォルクスワーゲンを例に取り、「フォルクスワーゲンが中国市場で行うオリンピック計画は、フォルクスワーゲン中国が単独で決めたものではなく、飽くまでもフォルクスワーゲン本社が全世界で行う計画の一環である。つまり、フォルクスワーゲン中国の問題はすなわち、フォルクスワーゲンの全世界における問題である。フォルクスワーゲンと中国の二つの自動車メーカー(一汽と上海汽車)による合弁企業の、中国における方向性は、一汽や上海汽車によって決められるのではなく、フォルクスワーゲンのリズムによって決められてしまうのである。」
 つまり、海外大手メーカーと手を組む中国自動車企業は、たとえ合弁企業の株を50%持っていたとしても、決して対等の立場を得ることができず、海外メーカーの採る世界戦略に翻弄されながら生存しなければならないということです。
 
 現場に最も近い場所にいて、現地の消費者を最も理解しなければならないはずの現地中国自動車企業がなにもできないのであれば、誰が消費者の声を聞き、消費者と対話していくのでしょうか。
 こういった現地の中国自動車メーカーも、いずれは政府の産業政策の調整のもとで独立するのでしょうが、しかしそうなるまでは、中国の消費者が本当に自分たちに合った車を手に入れることは難しいのではないかと思います。

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chinaeconomyreport at 12:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 中国自動車業界 | 中国経済

2005年11月24日

個別企業レポート (HK.8282   TOM.ONLINE)

 11月22日付けの投稿の中でTOM.ONLINEについての内容をお届けしましたが、ではTOM.ONLINEとはどのような企業なのか、説明が不足していたように思いますので、今回はTOM.ONLINE(8282)と、その親会社になるトムグループ(2383)について書いてみたいと思います。

 トムグループは中国本土、台湾、香港でメディア関連事業を広く行っている企業です。主な事業内容ですが、 
1.インターネット関連事業(TOM.COMの運営など)(6億2千1百万HK$、35%増) 
2.屋外広告事業(1億8千4百万HK$、15%増) 
3.出版業(5億1千2百万HK$、16%増)  
4.スポーツイベント事業(6千6百万HK$、49%減)  
5.テレビの娯楽チャンネルの運営(3千2百万HK$、185%増)  
(括弧)内は、2005年度上期の売上高と、前年同期比です。
 トムグループ全体の2005年度上期の売上高は14億1千6百万HK$、前年同期比18%となっています。ただし、純利益は前年同期比約75%減の1.69億香港ドルとなっています。

 娯楽チャンネルの売上高が前年同期比で185%上がっていますが、主な原因は広告収入の増加です。
 現在中国ではマーケティングの重視から、企業の広告への投資が増えています。かつては中央電視台の独占状態にあったメディア広告市場ですが、今年の夏、中国におけるマーケティングに新たな潮流を生み出した「超級女声」の成功により、湖南衛視などの地方テレビ局への関心も急速に高まっており、おそらく今後はメディアを使ったマーケティングやビジネスモデルが増えていくと予想されます。また、11月21日付けの第一財経日報によりますと、近い将来、中国政府は香港のメディア業界に対して本土のメディア市場を開放するというニュースもあり、そしてまた、同日付の記事には、本土のメディア関連企業が上場するであろうというニュースなどもあることから、今後はメディア産業を中心に、各業界を巻き込んだビジネスが生まれてくると考えられますので、娯楽チャンネルを持つトムグループにとっては、有利であるはずです。
(「超級女声」や中国のメディア事情については、後日改めて詳しくお伝えしたいと思います。)

 ポータルサイト運営の売り上げのうち、5億7千5百万HK$をTOM.ONLINEと、Indiagames limitedというゲーム開発子会社が占めています。ポータルサイトの広告費は、2千7百万HK$です。
  
 TOM.ONLINEは、トムグループ傘下の子会社として、主にTOM.COMというサイトを運営しています。そして、TOM.ONLINEはこのTOM.COMの中で、携帯電話向けのショートメールサービスや、ゲーム、着メロ、待ち受け画面の配信サービスを行っています。これらのサービスの2005年度上期の売上高が5億7千5百万NK$、前年同期比40%増なので、非常に成長している分野だといえます。
 
 最近のTOM.ONLINEの動向ですが、いくつかの新しい動きがありました。一つは、トムオンラインがSKYPEと合弁会社を設立したというニュースです。出資額の比率はトムオンライン側が51%でSKYPE側が49%です。この二つの企業は去年11月からすでに提携して中国語版SKYPEを制作したということです。ちなみに今年9月5日の時点ですでに中国国内340万人の利用契約者がいます。ただ、チャイナテレコムとの摩擦や、本土では通信キャリア以外はVOIP事業を行ってはならないという法律が障害になり、今後、VOIP事業で利益を出せるのかどうか、非常に不透明です。

 もう一つの大きな動向は、ワーナーブラザーズオンラインの株27%を買収したという動きです。やはりこれは、第三世代、第四世代携帯における動画配信サービスと、オンラインでの映画配信サービスを見越しての提携だと考えられます。
 
 そしてもう一つは、TOM.ONLINEが北京聯動優勢科技有限公司(Union Mobile Pay Ltd.)という企業と業務提携したという動きです(9月13日付け 第一財経済日報)。 この北京聯動優勢科技有限公司という企業は、チャイナモバイルのプラットフォーム上でお財布携帯業務を行う権利を得ている唯一の企業で、その株主はチャイナモバイルと中国銀聯(銀行系)です。現在のところ、中国のいわゆるお財布携帯は日本のそれとは異なり、携帯を専用機器にかざすだけで電子決済ができるというものではなく、携帯電話代やガス、電気代などを携帯電話で支払うことが出来るというレベルのものです。
 中国でお財布携帯などの電子マネーが一般化するまでにはまだ時間がかかるでしょうが、ただ、上海などではプリペードカードが普及しており、電車やバスでプリペードカードを利用する人が非常に多いため、設備さえ整えば、普及するのが速いのではと考えます。
 
 このように見てくると、トムグループは常に技術革新を見越して、先手を打つ戦略を採る企業のように見えます。skypeとの合弁企業の設立やお財布携帯事業などからそれが見て取れます。しかしskypeとの合弁によるVOIP事業が政府の妨害に遭っていることや、またお財布携帯の現時点での普及率の低さなどを見てみると、それらの事業をいつ、どのようにして利益に結びつけることが出来るのか、非常に不透明です。
 また、トムグループが置かれている競争環境は厳しく、広告業に関していえば、ライバルには中国広告メディア三大企業というのがありますし、またインターネット関連事業においても、ライバルになるポータルサイトや、携帯サービスを提供する企業が多数存在します。たとえばポータルサイトの分野では、新浪(sina)やヤフー、MSNなどが主なライバルになるのですが、これらが提供するサービスは非常に似通っており、差別化するのが非常に困難になっています。
 携帯電話のショートメールや着メロ配信サービスの分野においても、チャイナモバイルが運営する移動夢網(monternet.com)や新浪、21CN.COMなどがあり、トムオンラインの独占状態ではありません。また、VOIP事業においても、中国で圧倒的人気を誇る騰訊(通称QQ)やMSNなどが存在するため、シェアを取るのは決して容易ではありません。
 
 厳しい競争環境からなど見て、企業としては決して楽観はできないものの、3億6千万人という中国国内の携帯電話利用者(2005年6月末現在)や、急速に高まるメディアへの需要などといった要素を考えると、この企業は今後も、ある程度の不確実性を抱えながらも成長していくであろうと予想できます。
 
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chinaeconomyreport at 01:27|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 中国株関連 

2005年11月22日

チャイナテレコムは果たしてNTTを戦略パートナーに選ぶのか

 チャイナテレコムに関する情報が、11月18日付けの第一財経日報で報じられていました。(ここのところ、通信業界の記事が目立ちます)

 第一財経日報に依りますと、チャイナテレコムは海外の通信キャリアを株主として引き入れる意向があり、その候補にはNTTやDoCoMo,フランステレコムなどの名前が挙がっているということです。予想では、この実現は最も早くて来年ということです。(第一財経日報)

 チャイナテレコムにとって、今回のビジネスパートナーは同業者であるため、この戦略的提携はやはり技術面などでうまみがあります。

 なお、海外通信キャリアに株を売り渡す際、新株を発行するか、或いはチャイナテレコムが保有する株をH株として放出するかどうかは、いまのところ定かではありません。

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TOM.ONLINEは通信キャリアと提携できるのか

今回はTOM.ONLINEとSKYPEに関する記事をご紹介したいと思います。ご存知の方もたくさんいらっしゃるかと思いますが、SKYPEは現在TOM.ONLINEと合弁会社を設立し、中国で無料通話サービスを提供しています。しかしSKYPEが提供する無料通話などのサービスは、固定電話を中心事業とするチャイナテレコムやチャイナユニコムなどにとって大変な脅威であるため、チャイナテレコムは国内の法律を使うことにより、合法的にSKYPEを市場から追い出そうとしています。これについては、当ブログ11月19日付けの投稿でもお伝えした通りです。
 
 TOM.ONLINEやSKYPEにとって、チャイナテレコムが今回採る措置は致命的なダメージになりかねないため、TOMやSKYPEは何らかの対策を立てなければなりません。その対策として浮上したのが、通信キャリアとの提携です。

11月18日付けの第一財経日報(日本における日経新聞のような存在です)に依りますと、TOM.ONLINEは、skype out(パソコンから固定電話への通話サービス)などの中国国内での営業許可を得られるよう、中国通信キャリアに直談判し、またVOIP事業において協力関係を築けるよう、求めたということです。(第一財経日報)
 
 TOM.ONLINEやSKYPEにとって、skype outは収入の一部に過ぎません。今後はおそらく、更に付加価値の高いサービスを提供していくはずです。もし現在、通信キャリアとの摩擦が激しくなり、関係が悪化してしまうと、今後の展開に大きく影響してしまいます。そのため、TOM.ONLINEとしては現在、ある程度妥協した形で、通信キャリアと協力関係を築いていきたいのではと考えられます。

また、通信キャリアとしても、SKYPEやTOM.ONLINEを提携することで、付加価値の高いサービスを提供することができ、また、それによりブロードバンド加入者の増加も見込めます。

しかし、もしチャイナテレコムが自らVOIP事業を行う意思がある場合、チャイナテレコムにとってSKYPEは強力なライバルになるため、協力関係が築かれない可能性が高いです。

 いずれにしましても、VOIP事業の動向は多くの企業を巻き込むため、今後も注目が必要です。

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2005年11月19日

SKYPEはなぜ中国市場から締め出されるのか

今年の9月ごろから、中国政府が人気インターネット電話サービスSKYPEへのアクセスを遮断するという噂が流れていたのですが、この最近になってこの噂が真実味を帯びてきました。

11月10付けの第一財経日報の記事によれば、中国の或る通信業界の企業が、米国のVerso Technologiesという企業と接触し、中国国内でのSKYPEの使用を阻止する準備を進めているということです。Verso Technologiesはインターネット上でのSKYPEの使用を阻止するシステムを提供している模様で、現在一部の都市ではすでにテストが行われているようです。そして、この、或る通信業界の企業とは、チャイナテレコムである可能性が高いとしています。(第一財経日報)

実は今年9月の時点で、すでに深センではSKYPEの利用が制限されていました。このことは或る出来事がきっかけで明るみになったのですが、その出来事の経緯とはこうです。「今年9月頃、深センに住む王さんが、普段利用しているSkypeにアクセスしようとしたところ、突然「サーバーにつながりません」というメッセージが表れました。深セン電信局の10000号に問い合わせたところ、かえってきた返事は意外にも、彼がSkype out機能を使用したためにすでにブラック・リストに入れられ、二度とこの機能を使用しないと保証しなければ、罰金処分すると、警告された(9月8日付け 第一財経日報)」ということです。このニュースは中国国内のみならず、海外でも取り扱われました。
ではなぜ、SKYPEの使用者がこのような警告を受けなければならないのか(言い換えると、電信局がなぜこのようなことを行えるのか)というと、それは中国には或る法律が存在するためです。その法律というのは、「六大通信キャリア以外の業者はパソコン−固定電話間、或いPhonetoPhoneの通話サービスを提供してはならない」というものです。この法律は「電信業務分類目録」というものの中に明記されているのですが、実はこの法律は、数年前に中国国内で起こった或る事件がきっかけで2003年4月の時点で公布されました。一方、SKYPEのソフトは2003年8月から公開が始まっているわけですから、中国政府はSPYPEを封じ込めるためにわざわざこの法律を作ったわけではなさそうです。
 いずれにしましても、中国政府は法律によって、VOIP市場を合法的に独占する方法を得たわけです。

 それではなぜチャイナテレコムはSKYPEをこれほどまでに恐れるのでしょうか。
 まず理由の一つに、電話利用者総数における固定電話利用者の比率が年々下がってきていることが挙げられます。2004年の時点で、中国国内の固定電話加入者は3.12億であったのに対し、携帯電話利用者の数は3.35億人となり、携帯電話利用者数が固定電話のそれをすでに超えています。そしてさらに、その増加率においても、携帯電話利用者増加率は固定電話のそれを大きく上回っているため、今後、両者の差はさらに広がるものと予想されます。現在のところ、固定電話利用者は増加していますが、今後この固定電話利用者が携帯電話に乗り換える可能性も否定できません。実際、チャイナテレコム北京研究員の予想によれば、2009年には35%の利用者が固定電話を放棄し、電話利用者の70%が携帯電話を使用するということです。携帯電話などに比べて、潜在的な技術革新を戦略に織り込めない固定電話業界が、新たな脅威になるであろうSKYPEを恐れるのは当然だと思われます。
 そして、もう一つの理由はやはり、SKYPEは無料であり、加えてファイルや画像を転送する機能も備えているということがいえると思います。
 
 これらの理由から、中国通信業界はVOIP市場を閉鎖するわけですが、そうなると当然、市場に大きな負の影響を与えるはずです。影響を受けるのはSKYPEだけではなく、VOIPに関連した周辺産業や、無料IP電話をコスト削減の方法として見込んでいた個人や企業なども挙げられると思うのですが、とりわけ、すでにSKYPEと共に合弁会社を設立し、SKYPEのサービスを無料で提供しているTOM.ONLINEなどへのダメージは非常に直接的だと思います。
 また、SKYPEなどのVOIPの普及に伴い、周辺機器やアプリケーション連携などの分野も発展してくるはずですが、そういった分野へのダメージも大きいはずです。もしかするとSKYPEの普及を見越して準備を進めていたベンダーなどがあったかもしれません。
今回、中国通信キャリアがVOIP業界を閉鎖したことにより、踏み潰されてしまったビジネスチャンスは数知れないと思うのですが、一番の問題は、中国政府の急な政策や法律の変更が今後も起こるかも知れないという雰囲気が市場に広がってしまい、市場の仕組みを根本的に変えてしまうようなイノベーションや技術革新が生まれにくい土壌が出来上がってしまう可能性があるということだと思います。
 もしそうなってしまうと、中国のベンチャー企業が育ちにくくなるはずです。

このような市場環境を作ってしまう以上、チャイナテレコムなどはそれなりの措置を採る必要があります。現在、VOIPの発展は世界的な流れであるため、中国もこの流れに逆らうことはできません。したがって今後、中国電信がVOIP事業を行う可能性は十分にあると考えられます。もし実際にそうなれば、ブロードバンドインフラ事業を行っているチャイナテレコムなどにとっては、ブロードバンド利用者を増やすことになるため、IP電話の通話が無料であったとしても利益を上げていくことができます。


今回のチャイナテレコムが採った措置に対して、様々な意見があるかと思います。市場を閉鎖することにより自由な競争が行われなくなる、または、エンドユーザーの利益が損なわれるという議論が中心になるかと思うのですが、しかし一方では、チャイナテレコムを初めとした通信キャリアは、通信インフラ設備において重要な役割を担うため、産業全体の発展やその国の経済を考慮した場合、今回のチャイナテレコムの措置はやむを得ないという見方もできます。
中国の通信産業全体が競争政策と産業政策をうまく均衡させ発展してゆくことが、結局は市場の参加者やエンドユーザーの利益になると考えます。

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2005年11月18日

個別銘柄 体感レポート (新焦点 HK.0360)

 みなさん、ご無沙汰しております。森川です。
先日私は新焦点(HK 0360)が出しているカー用品店を見てきましたので、今回はそのレポートをお伝えしたいと思います。

 今回私が見て来たのは、上海のカルフールの中に出しているお店です。出店しているのがカルフールの中ということなので、規模はそれほど大きくはないであろうと、行く前は想像していたのですが、実際は想像を遥かに超える小ささでした。目測ですけれども、15平方メートル程度のお店でした。商品も少なく、主に芳香剤やコインホルダー、ドリンクホルダーやステアリング、洗車用品などを扱っていました。品揃えは決して豊富とは言えず、たくさんある品物の中から選べるという状態ではありません。たとえば、ステアリングは二種類しかありませんでした。値段の方は、決して高くはありません。車を買えるくらい経済力があれば、これくらいは全く問題ないという金額です。

 扱っている商品は新焦点の自社ブランドではなく、他社ブランドのものでした。或る物はアメリカ企業のブランド、また或る物は日本企業のブランドといった具合です。商品のパッケージの説明書の部分を見ると、言語は日本語であったり英語であったり、という具合で、中国人の消費者のために作られたものではないことが分かります。そして製造国ですが、これも台湾製、中国の深セン、マレーシア製という風に非常に国際色豊かで、新焦点が製造したものではないであろうと推測されます。実は新焦点自身もNFAという自社ブランドを持っているのですが、その主力商品であるシガーライターソケット及びプラグ、バッテリー、ライト(HIDなど)、ラジエーター、充電器や変電気などはこのお店では見当たりませんでした。

 私は日曜日の午後5時にこのお店をのぞきに行ったのですが、店内にお客さんは一組いるか、いないかといった状態でした。日曜日の午後5時なので、カルフール内の他のコーナーで買い物をするお客さんは非常に多かったのですが、新焦点のお店は非常に寂しい状態でした。(ギャップが凄かったです。非常にガックリきました。)念のため、5時半、6時にものぞきにいったのですが、結果は同じでした。
何人かのお客さんは商品を手にとって見ていました。そして、その隣では店内にたった一人の店員さんが熱心に商品の説明をしていました。若い女性の店員さんでしたので、あらかじめ、研修などで商品に関して勉強したことが分かります。しかし、店員さんの努力の甲斐なく、商品を手に取ったお客さんがレジに向かうことはありませんでした。(もちろんこれは、私の見ている前では、という意味です。)お客さんは商品の説明を聞いたけれども、必要なものだと判断しなかったということだと思います。

 お店の場所が、カルフール三階、長いエスカレーターを上がりきってすぐのところにありました。ということは、三階に上がってきた人は全て、新焦点のお店を見るということになります。これは当然、宣伝として効果があります。赤字覚悟でこのような良い場所にお店を出す意味もここにあると思いました。
また、宣伝効果についてもう一つ言えば、消費者が実際に品物を手にとって見て、そして店員が消費者に対して説明をすることで、カー用品業界全体の宣伝になると思います。そもそも、中国人の消費者はカー用品がどんなものなのか知らない人がほとんどだと思いますので、商品を実際に手にとって見ることの出来る場所を提供するというのは、業界を発展させる上で非常に大事なことだと思います。

 ただし,いくら宣伝効果があるとはいえ、商品が売れなければ、どうにもなりません。実は今回私が行ってきたカルフールは、上海の古北という地区のお店だったのですけれども、古北という地区は、他の地区に比べて外国人の人口密度がとても高い地区で、日本人や韓国人がたくさん住んでいます。またヨーロッパやアメリカの人たちもたくさん住んでいて、たくさんの外国人がこの古北のカルフールの中で買い物をしに来ます。またこのあたりは不動産価格が比較的高いため、このあたりに住む中国人たちの生活水準は平均以上とあると思われます。車を持っている人の数も多いはずです。従って、もしこの地区で商品が売れなければ、他の地区に出している新焦点のお店も、非常に厳しいのではと思います。

 ではなぜこのお店の客足がこんなにも悪いのかというと、これは私の推測ですけれども、まず外国人にとっては品揃えがあまりにも少なすぎて面白くない、ということと、中国人の側から見てみると、まだカー用品に関心がない、ということだと思います。つまり、中国人の消費者はまだカー用品を買うレベルに達していないということだと思います。これは他のサービス業にも言えることなのですが、消費者の未成熟さがその業界の一番のネックになっていることがよくあると思います。

 今回、新焦点のお店を見て、一番に感じたことは、やはり消費者が未成熟であるということです。車の単純な修理以外のメンテナンスが中国人の間に定着するにはまだ少し時間がかかるなと思いました。
そして、消費者が未成熟であるため、企業としては消費者を分析できない、あるいは、消費者のニーズに合わせて商品を売り出すことが出来ない、といったことが起こっているように思います。そのため企業としては、他の先進国で売れている定番商品を、中国国内でも少しずつ売りながら、様子を見ていくしかないのだと思います。

 こういった状況なので、新焦点のカー用品店の売り上げの伸び率は、短期的には鈍いと思います。ただ長期的に見ると、やはり非常に魅力のある業界であることには間違いありません。

 現時点で、この新焦点という企業を積極的に評価するとすれば、この企業の行動はとても速いということがいえると思います。いま中国ではまだカーメンテナンスが定着していませんが、そういった状況の中で新焦点は店舗を急速に拡大しています。今後カーメンテナンスが中国の市場に定着する可能性は十分に考えられますので、新焦点が今のうちに知名度を高めておくのはとても賢明だと思います。

 今後は海外からも多くの強力な競合他社が参入してくるでしょうし、国内の同業社も力をつけてくるはずです。そういった中で、新焦点がどのように顧客を集めていくのか、注目する必要があります。
 また、消費者が未成熟であるという現状の中で、どのようにして利益をあげていくのかについても注意して観察しなければなりません。


(今回のレポートはあくまでも、新焦点が中国国内に出しているたくさんの店舗の中の一店のみを見ての感想です。決して新焦点の全体についてレポートしたものではないということに、どうかご注意ください。)

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2005年11月08日

交通銀行、本土での保険業参入を計画

 今回は交通銀行に関する記事を皆さんにご紹介したいと思います。
 一週間ほど前の記事になりますが、10月31日付けの経済観察報によりますと、交通銀行(HK.3328)は、中国本土で保険業に参入する計画を立てている模様です。
 現在、交通銀行傘下の中国交通保険有限公司が香港で2001年から営業を行っていますが、今回交通銀行は、この中国交通保険有限公司を筆頭株主として、本土で合弁の保険会社を設立する模様です。(経済観察報)

 実はもともと、交通銀行は過去に本土で保険業を行っていました。1988年に交通銀行保険業務部を設立し、そして1991年には上海で中国太平洋保険公司を設立しています。しかし、1995年に「商業銀行法」が執行され、本土の銀行は保険などの商品を扱うことを禁止されたため、交通銀行は97年と99年に上海政府に太平洋保険公司を渡さざるを得ませんでした。
 しかし2003年に締結されたCEPA(香港•中国経済貿易緊密化協定)によって、交通銀行は再びチャンスを得たわけです。

 このニュースは現地でも大変注目を集めています。なぜなら、交通銀行は、本土で保険業に着手する初めての銀行になるかも知れないからです。
 現地のアナリストは、今回の交通銀行の動きを、この銀行が今後、事業の多角化(保険や証券など)を行っていくための布石と見ているのですが、ただ、いくらCEPAのおかげでそれが可能になったとはいえ、中国本土ではやはり未だ銀行の事業多角化は法律によって規制されていますから、政府がどう対応するのか、分かりませんし、また本土の金融システムは非常に未成熟であるため、交通銀行がどこまでやれるのかは、未知であると思います。ですが、今回の交通銀行の積極的なチャレンジは、非常に評価できると思います。

 ちなみに、交通銀行の本土での保険業参入の計画はまだ準備段階ということなので、いつ実際にその保険会社が設立されるのかは分かりません。けれども、長い目で見た場合、この計画は現実的かつ夢のある計画だと思うのですが、皆さんはどのようにお考えでしょうか。


 ところで、日曜日に新焦点(HK. 0360)のお店を見てきました。今回私が見てきたのは、上海のカルフールの中に出しているお店だったのですが、非常にこじんまりとしたお店だなあ、という印象でした。
 このレポートは後日改めてお伝えしたいと思います。

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2005年11月06日

発電業界の新しい動き

今日は大唐国際発電(HK. 0991)の原子力発電所建設計画についてレポートしたいと思います。

 大唐国際発電(HK. 0991)が、中国広東核電集団公司と組み、原子力発電所を建設する計画を立てているという記事が11月3日付けの第一財経日報、中国能源網などで取り上げられました。記事に依りますと、大唐国際発電はすでに、中国広東核電集団公司と合弁で福建寧徳核電有限責任公司を設立し、今後は百万KWレベルの原子力発電機を6基建設する予定で、そのうち2基を第一期目の計画として建設する模様です。現在この計画は極めて初期の準備段階にあるようで、正式な着工はおそらく再来年、完成までには3年はかかるということです。(第一財経日報、中国能源網)
 
 現在中国には広東の大亜湾原子力発電所や秦山原子力発電所などの原子力発電所があり、全部で11基、あわせて870万KWの容量を持っているのですが、中国国内発電所の総容量に占める原子力発電の割合はわずか2%にとどまっています。同数値の国際平均は16%なので、中国ではそれが非常に低い水準にとどまってるのが分かります。また世界の総発電量のうち14〜16%が原子力発電によるものであるのに対して、中国ではその数値が2%にも達していません。やはり非常に低い数字です。
 現在は原油価格が非常に不安定な状態にありますし、石炭は大気汚染問題を更に悪化させます。大気汚染問題は政府にとっては財政的な負担にもなりますので、今後はエネルギー源が石炭から水力、天然ガス、そして原子力に転換していくと予想されます。
 現在、中国政府は15年以内に原子力発電機を30基建設し、総容量を4000万KWにまで高める計画を打ち出しています。これはつまり国レベルのプロジェクトになりますので、電力関連企業にとっては、原子力発電は巨大なビジネスチャンスであるといえます。ちなみに、今回原子力発電所を建設する大唐国際発電は、もともとは原子力発電所を建設する資格を持っていませんでした。大唐国際発電は中国核工業集団総公司と中国広東核電集団公司に接触し、最終的に後者をパートナーに選んだ模様です。現在、原子力発電の市場は独占傾向にありますが、政府は原子力発電の建設速度と効率を高めるため、この市場を若干開放する可能性もあります。従って今後は原子力発電所を建設する資格のない電力会社の動きにも注目する必要がありそうです。
(データは主に中国能源網に依ります。)


 ところで今日私は新焦点(HK 0360)という会社が出しているお店を偵察してこようと考えています。このお店は日本で言えばオートバックスのようなサービスを行っているということですので、この会社に注目していらっしゃる方もたくさんいらっしゃるようです。
 お店の様子と、そしてこの会社の事業内容や展望などを合わせてレポートしたいと思います。  
 
 そして、自動車に関連した分野でいえば、中国の駐車場事情などについても後日レポートしたいと思います。

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chinaeconomyreport at 15:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 中国株関連 

2005年11月05日

今日からスタートします

 みなさん、はじめまして。今日からCHINA ECONOMY REPORTを始めることになりました、森川と申します。

 現在私は上海に住んで3年半になります。ここ数年の中国の急激な変化を、肌で感じ取っています。
 
 このブログでは、私が日々の中で感じ取ったこと、また現地で話題になっていること、或いは話題になっているニュースなどをテーマにして、レポートしていきたいと思います。

 また、中国株に投資されている方に向けて、個別企業のレポートなども行っていきたいと考えています。

 

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