自殺未遂を起こしたベロニカが精神病院に入れられ、余命数日と宣告される話である。さて、前から思っていたのだが、動物園に入れられた動物はどんな気持ちだろう。昔は、ずっと檻に入れられたままで、ストレスが貯まって気が狂ってしまわないかなあ、と思ったこともあった。
だが実際、動物にとって檻の外とは弱肉強食の世界であり、好き好んでその世界にいるわけでもなく、実は動物園にいる動物の方がはるかに幸せに違いない。何も鳥は飛びたくて飛んでいるわけではなく、生きるために飛んでいるだけで、必要がなければじっとしているだろうし、ライオンだってエサがあれば無意味に他の動物を追いかけ回したりしない。このことについては娯楽王本編の「生物との対話王」をよく読んでもらいたい。
そして動物園の檻の中に長くいれば、外の世界で殺しあいながら生きている野生動物の世界の方が、よほど狂気の世界に見えるかもしれない。そういうわけで、この本のベロニカもまさにそんな動物園の檻の中みたいな精神病院の中に放り込まれるのである。狂人は狂人ゆえに自由で、何をやっても狂人だからと許される世界である。しかも動物園みたいにエサももらえる。この精神病院から抜け出そうとする人はいない。その自由な精神病院の住人から見れば、生きるために神経をすり減らし、いろんな無理をしている社会の人々の方が、それこそ狂人に見えるかもしれない。
作中、面白いたとえ話が紹介されていて、ネクタイは「一般の」社会の人からみればただのネクタイだが、狂人の側から見れば、わざわざ首が絞まってしまうような布きれを首に巻き付けている「狂人の」所作ということになる。その通り、どう考えてもネクタイに意味などなく、それに無理矢理意味付けしているのは「一般の」社会のいささか狂った「常識」でしかない。要するに狂人とそうでない人を区別しているのは、まさに区別しているだけのことであって、どちらも「正しい」わけではない。
なんとも今のわしには魅力的だけど危険な本であった。自分が今のこの世界で生きづらい、つらいと感じていることは、要するにこの世のそのまさに「正しい」「正しくない」であって、また生きていくためにこなさなきゃいけない、ネクタイに代表される狂気じみた「常識」なのであって、何とか動物園の動物か水族館の魚のように「自由に」生きていきたいと感じることは、もはや狂気や深い憂鬱の淵に自分も入りかけているということなのだろうか。
ついでにそのことについて作中の医者が、荒治療法を発見しているのだが、これがまた何とも、今のわしにはどうなんだろう、ウーム、とうなってしまう内容でした。そこは読んでのお楽しみ。余命何日ということもあって、サスペンスフルでもあり、一気に読ませる。中古1円だし。おすすめ。ちなみにわしはこころのくりにっく待合室で読んだので、重層的で頭が余計に混乱しました。蛇足。
だが実際、動物にとって檻の外とは弱肉強食の世界であり、好き好んでその世界にいるわけでもなく、実は動物園にいる動物の方がはるかに幸せに違いない。何も鳥は飛びたくて飛んでいるわけではなく、生きるために飛んでいるだけで、必要がなければじっとしているだろうし、ライオンだってエサがあれば無意味に他の動物を追いかけ回したりしない。このことについては娯楽王本編の「生物との対話王」をよく読んでもらいたい。
そして動物園の檻の中に長くいれば、外の世界で殺しあいながら生きている野生動物の世界の方が、よほど狂気の世界に見えるかもしれない。そういうわけで、この本のベロニカもまさにそんな動物園の檻の中みたいな精神病院の中に放り込まれるのである。狂人は狂人ゆえに自由で、何をやっても狂人だからと許される世界である。しかも動物園みたいにエサももらえる。この精神病院から抜け出そうとする人はいない。その自由な精神病院の住人から見れば、生きるために神経をすり減らし、いろんな無理をしている社会の人々の方が、それこそ狂人に見えるかもしれない。
作中、面白いたとえ話が紹介されていて、ネクタイは「一般の」社会の人からみればただのネクタイだが、狂人の側から見れば、わざわざ首が絞まってしまうような布きれを首に巻き付けている「狂人の」所作ということになる。その通り、どう考えてもネクタイに意味などなく、それに無理矢理意味付けしているのは「一般の」社会のいささか狂った「常識」でしかない。要するに狂人とそうでない人を区別しているのは、まさに区別しているだけのことであって、どちらも「正しい」わけではない。
なんとも今のわしには魅力的だけど危険な本であった。自分が今のこの世界で生きづらい、つらいと感じていることは、要するにこの世のそのまさに「正しい」「正しくない」であって、また生きていくためにこなさなきゃいけない、ネクタイに代表される狂気じみた「常識」なのであって、何とか動物園の動物か水族館の魚のように「自由に」生きていきたいと感じることは、もはや狂気や深い憂鬱の淵に自分も入りかけているということなのだろうか。
ついでにそのことについて作中の医者が、荒治療法を発見しているのだが、これがまた何とも、今のわしにはどうなんだろう、ウーム、とうなってしまう内容でした。そこは読んでのお楽しみ。余命何日ということもあって、サスペンスフルでもあり、一気に読ませる。中古1円だし。おすすめ。ちなみにわしはこころのくりにっく待合室で読んだので、重層的で頭が余計に混乱しました。蛇足。
Comment
世界遺産の城のある某H市立動物園では、象が厩舎の隅で異様な同じ動きをずっと繰り返してました。
コメントする