著者ア行 レビュー

2012年02月16日

道化師の蝶 

ついに円城塔氏が前回の雪辱を果たし芥川賞を受賞しました。
その作品がこの「道化師の蝶」です。

デビュー当初からのファンとしてこれほどうれしい事はないです。

難解だといわれる氏の作品ですが、この作品で初めて
氏の作品を読まれる方は確かに面食らうかもしれないです。

五つの章からなる構成で、章によって私が入れ替わり、
語るものと語られるものが入れ替わる、小説の構造自体に
ひとひねりある作品なので確かに読む人を選ぶかも。

しかし関西ローカル番組「ちちんぷいぷい」に
出演された時も「読み方に正しいとか間違いとかないので、
好きに読んでください」とのとおり、わからなければ
無理に理解しようとせず最期まで読めば楽しめる、または
なにかがわかったり観えたりすると思います。

しかし無活用ラテン語て本当にあるんだ。絶対氏特有のユーモアで
フェイクだと思ってました。

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chirakasi8796 at 21:48|PermalinkComments(13)TrackBack(0)

2011年10月21日

これはペンです

円城塔さんの芥川賞候補になった「これはペンです」読了しました。

円城氏の作品は、はっきりと好みが別れるというか、何が書いてあるか
さっぱりわかんねーと言う方と、わかんないけどこれ好き!って人と
真っ二つに評価が別れるのですが、今回の芥川賞選考でもそうだったようですね。

これは余談ですが、この選考で委員のひとり村上龍氏が評判を下げたのは
間違い無い事でしょう。
わりと好きな作家さんだったんですが、円城塔ファンとしては村上龍の小説は
今後二度と読みません。
(詳しく知りたい方は「これはペンです 村上龍」で検索してみてね。
しかしなあ、村上龍が老害に成り下がるとは…)

さて「これはペンです」ですけど、(だけど、なんと人をくったタイトルなんだろ)
世界各地からヘンテコな手紙を送りつけてくる叔父を姪の目から見て語られるお話。

この叔父がまた変な人で(でもちょっと可愛い)ひょっとして円城さん御自身が
モデルでは?と思ったりします。

円城さんの作品は読み難くて敷居が高いと思ってる方、この作品はとても
読みやすいです。初円城塔にするのは良いんじゃないでしょうか。

存在しない架空の街を克明に記憶している父の思い出を語る
「良い夜を持っている」も傑作。
この主人公の「わたし」が長じて「これはペンです」の叔父になっちゃうのかな。
いやそれは考え過ぎか。

なにはともあれ「これはペンです」お薦めです。




chirakasi8796 at 19:44|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2010年09月02日

オー!ファーザー

伊坂幸太郎氏の「オー!ファーザー」読了しました。

氏の作品の特徴に、とてもあり得ない設定っていうのがあるんですけど
(例えば「オーデュボンの祈り」では話をするカカシが殺されるミステリー)
この作品では主人公はごく普通の高校生由紀夫。

彼は6人家族なんですが、その家族構成が不思議でまず由紀夫と母。
これで二人。
そして残り四人なんですが、信じられないことに全員が父親。

さて、このマンガ的とも呼べるこの状況。
氏の持ち味であるさらり洒落たユーモアのある会話。
そしてクライマックスでのパタンパタンとパズルのピースが
はまって行くような快感のある伏線の回収。

単行本化が遅れたようで、氏の初期の持ち味が生かされた良作です。
氏の初期のテイストが好きな方ならぜひお薦めします。



chirakasi8796 at 20:51|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2010年05月01日

烏有此譚

円城塔さんの“烏有此譚”(うゆうしたん)読了しました。

氏の魅力は独特のリズム感のある文章と絶妙なユーモア感。

それと摩訶不思議な設定なんですが、今作品でも既成概念を突き抜けています。
だいたい友人に灰が降り積もるってなんなんだ?ナゾだ。

それに今回は下段に書き下ろしの注釈が付いているのですが、これが嘘か本当か
わからない(^.^)。それで注釈にまたもや注釈が付いてと、それだけでクスリと
笑ってしまうような心憎い演出。
普通の注釈ではないとだけ言っておきましょう。

この人には純文学とかSFとかジャンル分けは必要ないんじゃないかな。
万人受けはしないんでしょうが、僕はこの作品大好きです。



chirakasi8796 at 11:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2010年03月26日

深泥丘奇談

綾辻行人さんの“深泥丘奇談”読了しました。

綾辻行人さんといえば新本格派ミステリー作家。しかしこの作品は
ミステリーではありません。綾辻氏流の怪談話。

御自身をモデルにされたと思われる主人公の小説家が自宅近くの
深泥丘病院を訪れてから身辺でおこる奇怪な事件の数々。

具体的な謎の解明はされず、そこがまた怪談っぽい味わいを残します。

京都の方なら御存知だと思いますが、この深泥丘のモデルは
深泥池(みどろがいけ)。もちろん近くに某病院もあります。
この病院は今でこそ近代的な総合病院になってますが、もとは昔から
有名な精神病院。

そのせいかどうか深泥池付近では“幽霊を見た”とか、タクシーの運転手さんが
幽霊乗せた等の噂が多数あります。

そのへんの噂や、当地の雰囲気をご存知ならさらに楽しめるかと^^;

ところで昔よく聞いた「緑の救急車」の噂って本当ですかね?




chirakasi8796 at 20:04|PermalinkComments(2)TrackBack(1)