みそらの花を星といひ
わがよの星を花といふ

michinoku

東北地方に点在する、土井晩翠の詩碑を探す旅。
余計な注釈は省いて、写真だけという潔さ。
カラーでないので、よけいに想像力がかきたてられる。

bansui

その中から、私も一枚撮ってきました。
仙台の「晩翠通り」のそばにある土井晩翠の家(晩翠草堂)の碑です。

詩碑とか句碑って、けっこうあちこちにあるみたいだよね。
でも、地元の人は知らないってことも多い。
この本に弘前のもひとつ載っていたので在住の知人に訊いてみたら、あっさり「見たことない」って。
場所的にその人の生活圏内で、碑の前を通ってるはずなんだけどなあ。

興味がなければ、路傍の石だものね。
私は物言わぬ石の前で、さまざまな想いを巡らすのが好きであります。
たいてい、ぐるぐる考えすぎて、結局何も考えなかった最初に戻ってしまうんだけど。
ナントカの考え、休むに似たり。(笑)

土井晩翠にはたくさんの詩があるけれど、なんと言っても『荒城の月』でしょう。

春高楼の花の宴
巡る盃影さして
千代の松が枝分け出でし
昔の光今いづこ

「千代の松が枝」とあるけれど、「千代」は「せんだい」で(伊達政宗が“仙臺”と改め、“仙台”になった)青葉城のことと言われている。
福島の鶴ヶ城も以前訪れた時に感銘を受けたとのことで、イメージの中に入っていたと思われる。
岩手の九戸城跡にも碑があり、こちらは歌ができた後に訪れ、そのあまりに荒涼とした景色にここが『荒城の月』だと詞を書き残して行ったとのこと。

晩翠28歳の時の作。
作曲は滝廉太郎、21歳。
若い。
なのに、すごい。
「ガキのくせに」と言われて若さはハンディになることも多いんだけど、そう口にする年寄りの何人が、人の心に留まり、後世にまで残るものが作れるだろうね。

今朝、新聞を読んでいたら、ローカルなこんなニュースが。
「山形の加茂水族館に、ノーベル化学賞を受賞した下村脩博士からCDが送られてきた。19歳の音大生の作った光り輝くクラゲのイメージのピアノ曲だという」
クラゲ展示室で流されることになったらしい。
これも多分、水族館がなくならない限り残ると思うんだ。
ラッキーなんだろうけど、下村博士の耳に残らなければこうはならなかったはず。
クラゲを知り尽くした人に「いい」と思わせた、若い力。
ぜひ聴きに行かなくちゃ。