ちとせ館

(あしたもよろし ゆうべもよろし)

小説

猫町

北越地方のKという温泉に行っていました。

猫町 他十七篇 (岩波文庫)
萩原 朔太郎
岩波書店
1995-05-16


萩原朔太郎の、小説なのか随筆なのかちょっと迷う短編。
湯治に訪れて、方向音痴の主人公が迷い込む不思議な町。
一匹の素早い動きの動物を見たのを皮切りに、通りにも家の窓にも、人でないものが。

湯畑

そんなふうに、「猫、猫、猫、猫、猫、猫、猫。どこを見ても猫ばかりだ」にならないかなー、とあちこち散策。

竹久夢二館

秋の真ん中。
見事な紅葉。

ポスト

不思議な町。

そして、見つけました!

かねいちや

「ねこ、ねこ、ねこ」

おとなしい〜。
かわいい〜。
三匹だけだけど、よかった〜。

いいところでした。
K温泉。

西の河原

『いづこにも湯が噴きいでて流れゐる谷間を行けば身はあたたかし』
(斎藤茂吉)

美しの神の伝え



萩尾望都さんのSF小説。
こちらは『ピアリス』みたいに木下司名義ではなく、萩尾望都の名前で発表されたもの。

大部分は以前出版された↓『音楽の在りて』に入っているものだけど、単行本未収録だった『クシュリナの季節』と『いたずららくがき』が加えられている。

音楽の在りて
萩尾 望都
イースト・プレス
2011-04-23



『いたずららくがき』は、タイトルののほほんとした響きとは裏腹に、切なく怖ろしく、ラストは衝撃的。
たった8ページに収められた悠久の時の流れ。
もうただ、すごいとしか言いようがない。

あと、山上たつひこさんの解説も面白かった。
落語?昔話?
不思議な展開のひとつの読み物として、ただの解説ではないところ。

『ポーの一族』の再開から、萩尾望都さんのお名前があちこちで見られて、ファンとしてはうれしい限り。

酔いどれ小藤次



川原泉さんのインタビューが載った『ダ・ヴィンチ』を読んでいたら、「佐伯泰英さんの小説がおもしろい」とのこと。
それなら一度読んでみたいと思ったのだけれど、多作な方でどれかから手に取っていいかわからない。
先日、そんな話を知人にしたら、「佐伯泰英なら出版されたのは全部持ってます。貸しますよ」と言ってくれ、とりあえずこれからと『酔いどれ小籐次』シリーズを渡してくれたのでした。

蝦蟇の顔をひらったくしたようなご面相。
背は低く、頭は禿げ上がっている。
年は今なら中年だけど、この江戸時代では老人になるだろう。
それなのにモテるんだなあ。
読んでいくうちに、好感度がどんどん上がる不思議な主人公。

おもしろいです。
でも、困ったことがひとつ。
『酔いどれ小籐次』で20冊。
『新・酔いどれ小籐次』で7冊。
『酔いどれ小籐次決定版』で10冊。
他の、居眠り磐音シリーズや空也十番勝負シリーズやらやら、全部で何冊になるのかわからない。
読み切れるんだろうか、と不安。

あわてないあわてない。
休み休み、読みたい時に読みたいだけ。

季節感のあるシーンが好き。
桜。
凌霄花。
柳。
表紙の絵もいい。

酔いどれ

SF作家・木下司は私でした

今は廃刊になってしまったけれど、角川の雑誌にSF小説が載っていて、萩尾望都さんが挿絵を描いていた・・・
と思っていたら、その小説の作者「木下司」は萩尾望都さんだった!
びっくりです。

でも、うれしい。
今度、まとめて本になるのです。
作者は「萩尾望都」になってます(笑)

願いに力があるのなら、あたしは一番にこのことを願おう。
いつか、ユーロに会えますように。

七夕に読みたいお話だけど、発売は一週間後。
約束された先の楽しみ。
それまでわくわくできるって、お得かもしれないね。

ピアリス
萩尾望都
河出書房新社
2017-07-13


表紙の赤色、きれい〜。
早く実物を見たい。


ポーの一族

月刊フラワーズの定期購読特典も届きました。

もったいなくて使えない。
と言っていては宝の持ち腐れなので、どう使おうか思案中。

消えてなくなっても

消えてなくなっても (幽ブックス)
椰月 美智子
KADOKAWA/メディアファクトリー
2014-03-07


もうすぐ文庫が発売になるそうです。

3年くらい前?
「泣ける小説」として話題になっていた。
こういうキャッチコピーがついている本はちょっと苦手だった。

kadokawa

帯につられて手に取った。

このお話で泣く人は、主人公の「あおの」や「つきの」側から読んでいるのかも。
萩尾望都さんは、ふたりを家に住まわせる「節子」に近いようだ。
河童の長老は名前だけで姿は出てこないけれど、こういうふうに言いそうでもある。
温かい眼差し。

河童の描写を読んでいて、細長い手足を想像したら、グラン・パになってしまった。
『アメリカン・パイ』の。
河童が、「会えなくなっても友達だ」って言うのと、グラン・パが「友達はまたいつかたずねてくるかもしれんだろ」
って言うのが重なったら、泣けてきた。
グラン・パ、好き。
河童も好き。

世の中に理不尽はたくさんあって、正直者が馬鹿を見ることもある。
何も悪いことはしてないつもりなのに、何の罰?という目にあうこともある。
それでも、自分の“今”の中で何ができるか考えること。
何をしないか考えること。
そして、覚えていること。


アメリカン・パイ (秋田文庫)
萩尾 望都
秋田書店
2003-05


表紙を見ただけで泣けてくる…


あきない世傳 金と銀




父と兄を喪い、生活に困窮した少女が大阪の呉服商に奉公に出される。
台所で鍋の底を磨く生活が続く。

庭の千草も虫の音も〜♪
この歌はおしんでしたか。
一巻目の『源流編』はホントそんな感じ。

二巻目の『早瀬編』は、成長した幸が呉服商五鈴屋の後添いに入る。
とはいえ、店は落ちぶれ夫は放蕩と、脳内BGMは
幸子の幸は どこにある〜♪

この歌は赤色でしたか。
小説のサブタイトルは金と銀でした。
幼い頃に兄と見た故郷の景色、夕陽の金と川面の銀。
幸せの色。
それが幸を支える。

そして三巻目『奔流編』では、四代目だった夫が亡くなり五代目を継ぐ義弟に嫁すことになる。
幸は商いのことを学んで、夫と共に傾いた五鈴屋を立て直そうと懸命に働く。

ものが売れない時代にものを売る。
幸が商いに知恵を絞る姿を応援しましょ。
四巻目も期待!

kyouzome
(金と銀の帯)

火の路

火の路〈上〉 (文春文庫)
松本 清張
文藝春秋
2009-07-10


志村ふくみさんの『たまゆらの道』で取り上げられていた小説。
沈黙の塔がとても印象的だったと語っていた。


火の路

私の持っている文庫本は、上のリンクと違って表紙が主人公・通子の横顔と沈黙の塔。

通子は考古学者で、ペルシア文明と飛鳥文化との関係を調べるためにヤズドを訪れる。
そこで案内されたのが沈黙の塔。
ゾロアスター教の鳥葬の場所。
火を神聖なものとする拝火教では、不浄とされる死体を焼くことはしない。
鳥に食べさせることは、最後の功徳となるという。
そこには乾いた白骨が積み上がり、風に舞う。
そうしていずれは自然に還る。

お彼岸で、お墓やお葬式の特集をテレビでやっていた。
それを見ていたら、宇宙葬というのができるんだってね。
カプセルに入れた遺灰をロケットで打ち上げ、それが大気圏で燃え尽きて流れ星になるって。

これいいなあ。
「ジョー、きみはどこにおちたい?」
ってね。
どこにも落ちないで消滅するらしいけど。
それも潔し。

費用は28.5万円。
貯めておかねば。


千年茶師の茶房録

お正月の帰省は最近ずっと車だったんだけど、今回は新幹線にした。
金額的には4倍くらいかかるけど、体はものすごく楽ですわ。

行く前に書店で、車中で読むのと実家で読むのと何冊か買おうと文庫本コーナーを眺めていて、このタイトルが目に入った。
「ほうほう、お茶の本?」
棚から抜き出して、表紙にちょっとびびった。(笑)
でも、ぱらぱらっとしてみると静岡のお茶の話らしいし、ちょうどいいかと。


静岡駅前にある小梳神社と、その隣にある緑茶専門店『燎』を中心にしたローカルな地名満載の話。
でも、そこから続く緑茶廻廊は時空を超えて無限に広がる。

お茶のことをなにもしらない大学生が、『燎』の店主や緑茶廻廊の住人と触れ合ううちにお茶のおいしさに惹かれていく。
ラストは静岡まつりの駿府城で利き茶会。
わくわくする展開に、おもしろく読み終えた。
お茶はペットボトルが手軽でいいという人も、この本読むと急須で飲んでみたくなるんじゃないかな。


平次

私はいつも、遠出をする時はマグボトルを持っていく。
中にはお茶。
今回は一保堂の「新春大福茶」を入れた。

『大福茶鄙びて重き木曽漆器』
(水野吐紫)

なんて俳句があるけど、東京駅のホームで買った平次弁当は軽い木の二段重。
あなごとサーモンのちらし寿司、迷い箸したくなるようなとりどりの和のおかず。
これはおいしくて、リピートしたい駅弁でありますよ。
大福茶との相性もよし。

猫の手、貸します


ひとりの武士が猫の姿に変わってしまい、人間に戻るために人助けの得を積むというお話。
役に立たないことの代名詞の猫の手だけど、使いようだよね。


ねこのて

年賀状出しましたか?
大掃除終わりましたか?
まだの方、お貸ししましょうか?

私は全日本フィギュアが終わってから取り掛かる予定なので、今は使っていません。
しょーまくんの成長がすごい〜♪

などと録画を何度も見直してたら、あっという間に来年になっちゃうね。(笑)

いしゃ先生

このタイトルで書くのは二度目。
今年の夏に大井沢に行った時に、ちょっと映画の話に触れたのでした。
長年無医村だった故郷に帰ってきた、ひとりの女医の話。


その映画の原作本。

東京へ行く前に、新幹線の中で読もうと山形駅の本屋で買った。
行きに半分、帰りに残りの半分を読んだ。
涙があふれそうになるのを飲み込み飲み込みしながら。

この粛々と繰り返される日々の暮らしこそ本当は奇跡の連続である

中島みゆきさんのコンサートで、戦争と平和と命のことを考えて頭がショート寸前なのを救ってくれた本。
(多分だけど、今回のコンサートは夜会『橋の下のアルカディア』とセット)
読み終えて、『命の別名』が聴こえた気がする。
この本には、同じような僻地医療のドラマ・Dr.コトーの『銀の龍の背に乗って』ではないと思う。

密謀


上杉影勝に仕えた直江兼続の歴史小説。
「愛」の兜の武将と言えば、ああってなるのかな。
お墓は、山形県米沢市にある。
この小説は戦国武将達の密謀がスリリングなんだけど、季節の描写がとてもいいと思う。

暗鬱な雲が頭上を覆い、木々は残る木の葉をふり落とそうとしていた。氷雨が野山を叩き、時おりさしかける日射しは、日一日と淡くはかない色を帯びた。

東北の冬前の風景。
ほんとにその通りなんであります。

今日は昨日からの雨が残る中、米沢へ。
写真を撮るような用事ではなかったので、帰りに寄った高畠のを一枚。

高畠

暗鬱な雲は強い風に吹き飛ばされて、つかの間の青空。
晴れてても寒い寒い。
来月、もう一度米沢へ行くことになっているけど、もしかしたら雪で白いかも。
昔の人は、どうやってこの厳しい冬を超えてきたのだろう。

100万分の1回のねこ


佐野洋子さんのトラねこは、たくさんの人に親しまれている。
100万回生きて、100万回死んだねこ。
そのねこが、いつかどこかでこんなふうに生きていたかもを書いたトリビュート短篇集。
100万回生きても、そのどれも幸せそうじゃなかったから、この本の中の100万分の1回もそんなに幸せそうなお話はない。
最後の谷川俊太郎さんのねこは、もしかしたら幸せという考えから一段高みにいるのかもしれない。


トラ猫

うちのトラねこには、今がうれしくて楽しくて大好きなことがあるといいなと思って毎日一緒に暮らしている。
ねこがどう思っているかは知らないけれど、ねこがそばにいてくれて私は幸せだ。


『ひとときの淋しさならん初時雨』
(汀子)

ゲイルズバーグの春を愛す


懐かしいハヤカワ文庫を引っ張り出してみましたよ。
朝日新聞で大貫妙子さんが「思い出す本、忘れない本」として紹介していたジャック・フィニイのSF。

表紙が内田善美さんで、それで持っているのでした。
断筆して、単行本は絶版状態と聞く。
今、どこでどうしていらっしゃるのだろう。

セピア色の美しいヘレン。
以前の「りぼん」や「ぶ〜け」の緻密で上品なカラーページを思い出している。


葡萄が目にしみる


目にしみるものといえば、タバコの煙とか、タマネギとか、空の青とか、夕日の赤とか、あとは汗とか?
葡萄が目にしみたことはないなあ。

指に色が染みることはあるよね。
食べる時より、世話の時に。
葡萄そのものじゃなくて、葡萄を浸す液で。

葡萄を成熟前にジベレリンに浸すと、種なし葡萄ができる。
この薬剤は無色透明なので、浸けた葡萄とまだ浸けてない葡萄を区別するために食紅で色をつける。
ジベを入れたコップにひと房ずつ葡萄を入れていくという根気のいる作業。
でも期間は生育とお天気を見ながら数日でという、大変な作業。
種なし葡萄を楽だからと喜ぶだけでなく、葡萄農家の皆さんの手間暇に感謝して頂かなくては。
で、この作業をすると指先が紅く染まる。

中学生の乃里子は家が葡萄農家なので、当然のこととしてジベの時期は手伝いをする。
サラリーマンの家の子のきれいな指をうらやましいと思うこともある。
なのに手伝いを嫌がることもなく真面目にやるんだなあ。

そんな乃里子の学校と家での出来事や想いを、一年、また一年と重ねていく小説。
男の子へのときめき。
女の子への妬み。
劣等感や自意識。
様々な感情が目まぐるしく変わる。
高校進学、大学、就職と環境も変わっていく。

ちなみに私は中学の時、目まぐるしいを目ぐるましいと覚えていて、大恥かいたことを思い出した。
今では笑い話さ〜。
そんなもんだよね。


ぶどう

種なしは楽だけど、種があったほうがおいしいような気がする。
気がするだけかもしれないけど。
末次由紀さんの『クーベルチュール』でも、チョコレートコーティングする葡萄の種類を決める時にそんなこと言ってたな。

葡萄が目にしみたことはないけど、病院で検査のために絶食して、終わってから食べる葡萄は五臓六腑にしみわたる〜♪

モモ 時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語


小さな円形劇場の廃墟に住み着いた女の子。
劣悪な施設から逃げてきたのだと言う。
名前はモモ。
優しい街の人たちはモモを快く受け入れ、何かと世話をしてくれるのだった。

そばにいて話を聞いてもらうだけで気持ちが晴れる。
そんな不思議な力を持った女の子は街の人が好きで、街の人もモモのことが好きだった。

ところが、平和な街の中に灰色の男たちが出没するようになって、様子が変わり始める。
みんな忙しそうにして、気持ちがささくれだっている。
その灰色の男たちは、街の人たちから「時間」を盗んでいたのだった。

ミヒャエル・エンデの少年少女向けファンタジー小説だけど、時間がないと嘆いている大人にもいいと思う。
ぼーっと夢を見る時間、人から見れば益のないことをする時間。
それらは無駄ではないと思わせてくれる。


桃

モモ♪

こちらでは桃の季節はもう終わり。
すごく安くなってます。
これひと箱で480円ですって。
色ムラはあるけど、味には全然関係なし。

次はぶどうの季節だよ。

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