2009年04月

2009年04月14日

『東亜あちらこちら』に福田勝治撮影の春子写真

長谷川春子の『東亜あちらこちら』を買いました。
昭和18年1月20日初版発行
東京都神田区神保町三丁目二十九番 発行所 室戸書房

この本に長谷川春子の写真が出ていた。撮影は福田勝治。
最後の「写真を撮る」という文章に撮影のことが書いてあります。
春子の随筆を読んで、突然家に訪ねてきて撮影したいと申し込んだ福田氏。

春子による福田の印象はこんな感じ。旧字は改めてあります。

お互ひに顔を見合すと、この中年男の表情はやさしくはにかんだ
やうで、さて中々しんに一てつなところがありさうで、金もうけや
闇のもうけなんぞには縁のなささうな表情、つまり我々絵描きなど
と同類縁者の顔である。そしてそれが相当の人であるといふことは。
芸の人の風ぼうといふより、空気といつた方のいいものが彼の身体
からかげろふのやうに、眼にさはやかに見えねども発散してゐるのだ。


原文では下線部分に傍点が入っています。来訪時の春子の服装は

絵具のついたブラウスの上へ母親の片身(ママ)の黒びろうど
の肩掛の化けたチョツキ、スカアトは茶色のスフのぶくぶく型、
そしてねづみの古ちりめんでこさへた筒袖の和洋せつちうの
細えりの羽織を着てゐるのだ


春子は「もと/\相当のお多福なのであるから、別に今さら美しき
年増に撮つたつて有難くもない
」ので写真のために身支度するのは
嫌だと、この服装のまま写真におさまってます。

掲載の写真は、撮影が終了しくつろいでいる春子を撮ったもので
福田談「美醜の点ではワルイですが、一番いい写真です」。
『東亜あちらこちら』の長谷川春子写真

chiwami403 at 21:13|PermalinkComments(0)長谷川時雨