2009年11月

2009年11月27日

ミセス1979年11月号「父の好物 野菜」

モノクロ特集の「父の好物」で最初に出ている森茉莉の文章。
森茉莉の名前の上には「野菜」とタイトルがある。
この年の3月に森茉莉は日赤病院に入院し、5月に退院している。

文章の横には大正5年の鴎外の写真と新潮社提供の森茉莉顔写真。
この文章は旧仮名。冒頭の文章は下記の通りです。

私の父の好きだつたたべものといふと、先づ野菜の料理である。

焼茄子、白瓜や茄子の糠漬、南瓜の煮物、ふろふき大根など。
じゃがいもを茹でたものを輪切りにし、それに醤油をかけたものが
鴎外は好きだったが、森茉莉は「ちつとも美味しくない」と書いている。

そして鴎外の留学期間は「八年もゐたために」と実際の期間の倍設定。
ドッキリチャンネルでも8年と書いているが、森茉莉の頭の中でいつ頃
4年→8年と変化したのだろうか。

後半は、鴎外がドイツの惣菜料理(コロッケやロールキャベツ)
を作らせた話や、漬物に鰹節と醤油をかけて食べるようになった話、
葬式饅頭の話などで目新しいものはなし。

森茉莉の次は、室生朝子が犀星の魚好きのことを書いている。

chiwami403 at 21:38|PermalinkComments(0)森茉莉全集未収録? 

2009年11月21日

ミセス1971年3月号「料理控え」

モノクロの記事で「私と料理」という小特集。
冒頭の文章は

――人参のうま煮を自慢する私――大変に残念なことだが、
誰一人として私が料理の名人だということを信じる人間はない。


他のエッセイで読んだ料理やエピソードが多く本当に未収録か疑問。
以下文中に登場する料理やエピソードを列記します。

・入院中の萩原葉子にぬたを振舞った
・編集者に人参の直がつお煮を食べさせた
・キャベツと牛肉を煮たもの
・オムレツにトマトケチャップがかかったものが嫌い
・甘鯛の切身の白味噌漬けを焼いたもの
・白味噌で蜆汁
・ほうれん草の木の芽和え
・ロシア風サラダ
・ムウル貝のサラダ(日本ではアサリで作る)
・トマトのバタア焼き、玉葱のバタア焼き
・皮を剥いて茹でた栗を醤油と清酒で煮る
・輪切りにした固ゆでの卵を醤油と清酒で煮る
・生椎茸で作る茸のボルドオ風
・お芳さんから教わった牛鍋
・麺麭の温菓(ブレッド・バタア・プディング)

最後の文章は

又料理の味は春とか、夏とか、その日その日の天気の加減、
涼しかったり、暑かったり、又、たべる人の気分にも変化が
あるから、匙に何杯、何点の何グラムなぞと杓子定規にいく
ものではないのである。



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2009年11月20日

12月に宇野亜喜良挿画の『マドゥモァゼル・ルウルウ』が出る

e-honもうすぐ出る本の予約より - 悪漢と密偵
によると、12月に河出から『マドゥモァゼル・ルウルウ』
が刊行予定だそうです。

河出書房新社|マドゥモァゼル・ルウルウ
の内容紹介を引用します。

おしゃまな貴族のおてんば娘、ルウルウが繰り広げる日常の大冒険!
薔薇十字社からの単行本刊行より三十余年、ついに待望の新装復刊。
本文二色刷の豪華仕様。解説=中野翠/挿画=宇野亜喜良/
装丁=名久井直子


薔薇十字社本のかわいい装丁は有名だけど、装い新たにまた別の
ルゥルゥ本が出るんですねー。でも私はこの作品苦手なので
本屋で手にとってはみると思うけど買わないであろう。
宇野亜喜良のルゥルゥはどんなかちょっと気になりますが。
装丁はユリイカの表紙やってる人だそうです。森茉莉特集の
表紙はいい感じだったな。


chiwami403 at 21:28|PermalinkComments(0)森茉莉 

2009年11月19日

ミセス1971年10月号「下北沢界隈の店々と私」

今回いくつか未収録作品と思われるものをコピーしてきて
個人的に一番興味深かったのがこれ。モノクロ5ページ分。

冒頭の文章。

どれも、第一に書きたいが、想い出した順に並べると「スコット」である。

以下、バンガロール、蕎麦屋の砂場、鰻の大井川、駅前市場、
古道具屋イトウ商店、森茉莉がもめん屋と呼んでいる布の店
コットンについて書いている。

写真は、下北沢駅前にオープンしたパチンコ屋とチンドン屋、
バンガロールの主人夫妻、駅前市場の3点、あとは編集部作成と
思われる下北沢周辺の手書き地図2点。各店の描写から一部引用します。

スコット:コオンのスウプと鶏肉入りのグラタンが美味しい。
御飯もよく炊けているし、野菜も新しい。番茶と漬物も出してくれるし、
ハムエッグを頼むと、グラタン皿で焼いた儘出るので猫舌の私は一寸困るが、
ハムも上等で美味しい。


バンガロール:この店で私のすきなのは、卵カレエ(茹卵が添えてある)
とビイフ・ピカタ、バンガロール焼きめしである


主人の似内さんは背が高い人で、それについての描写もあり。

砂場:ここの天麩羅は海老が大変に新しいので、天丼、天蕎麦、天麩羅御飯、
どれでも素敵だ。唯一の欠点は番台のようなところに座っているお内儀さんが
不機嫌な面構えで、私が行き出してから十八年有余、一度として笑ったことが
ないことである。


が、猫にやる鰹節を買い忘れたので鰹節を分けてくれとお内儀に
申し出た森茉莉(勿論断られている)も強烈。

大井川:たれに酒が、たっぷり入っていていい。第一、大井川という
名がいかしている。


駅前市場:このマァケットの中に一軒ある、大きな魚屋は冬の大晦日
近い頃なんかに遅く行くと、ビニイルの袋に入った数の子が二百円で買えたり、
夏の夜、閉店頃に行くと、お刺身の新しいのがばかに安く買えたりするのだ。


他に、このマーケットで買った安物の指輪、アメリカ製ニットのワンピース、
マシュマロをチョコでくるんだお菓子、ウールの靴下などについて贅沢貧乏
ぽい描写もあり。

イトウ商店:私が通る度に、ものほしそうに一応のぞく店である。(中略)
ボッチチェリの女神の頸に似合う感じの鎖があって、買ったことがあるからである。


もめん屋:昔この店で、濃い橄欖地に薄い白茶の細かい小紋的な模様のある
木綿を買って、極く薄いクリイム色の裏をつけた掛布団に縫わせたが、まるで
ボッチチェリの画の色調で、自分の顔に似合うと信じていて、気取って寝ていたものだ。


chiwami403 at 19:27|PermalinkComments(0)森茉莉全集未収録? 

2009年11月14日

ミセス1970年12月号「芝居と情緒〜16歳の時に見た芝居」

ネット古書店のサイトでは「情熱」となっていましたが、
掲載誌見たら「情緒」が正しかった。
ミセスの白黒ページで、最初の1ページはタイトルと加山又造
のカットのみ、文章は3ページ分です。

冒頭の文章。

昔、岡本綺堂という劇作者がいた。(狂言綺語)の綺をとったらしい
名の、この作者は、黙阿弥なんかとは又ちがった、新しさのある、
一種いうにいわれない清新なものを持った、歌舞伎というより日本古典劇、
といった方が当たっている芝居を書いた。


そして綺堂の芝居に出ていた左団次のことを回想。

ヨーロッパ帰りの左団次が新作歌舞伎で学者などを演じると素晴らしかったこと、
白い歯を見せて微笑うと素晴らしく、父鴎外とどこか似ていたこと、
「鳥辺山心中」など左団次の恋愛劇は、上等の仏蘭西映画のように十六歳の
自分に恋愛の美しさを教えたことなど。


chiwami403 at 20:50|PermalinkComments(2)森茉莉全集未収録? 

2009年11月11日

ミセス1969年1月号「杏子のタルトレット」

文化出版局の「ミセス」は森茉莉が「私の美の世界」を連載していた
こともあり、大抵全集に入ってるのですが、いくつか未収録作品と
思われるものがありました。

この「杏子のタルトレット」は「西洋菓子12か月」というタイトルで、
雑誌の目次コピーを見ると1月から12月まで色々なお菓子の名前が出てたから
「これはもしや森茉莉のお菓子エッセイ12ヶ月分?」と血湧き肉躍った
のですが、閲覧してみると森茉莉が執筆したのは1〜2月分だけで残念。
2月は「シュウ・ア・ラ・クレエム」です。『貧乏サヴァラン』に出てるやつ。

見開き2ページで26種類のパイの写真+森茉莉の文章。
このタイトル、作品索引には見当たらなかったのですが、
「パイでなくピー」とかシラノからの引用とか「どこかで読んだ感」
がすごくあるので全集に掲載されてるようにも思えてくる。

私は一匹の肉食獣であって、というと恐ろしいが、他人(ひと)
の好意にも、着るものにも、硝子で出来たいろいろなものにも、
すべて食いしん棒の子供のようによくばりなのである。


以上冒頭の一文。

杏子や林檎が、ねっとりと艶をおびて、外側はこんがりと焦げ、
中の方はムニャムニャしているメリケン粉を焼いた皮の間にはみ出さん
ばかりに挟まっている、あのおいしい焼菓子は、やっぱりパイでなく
タルトレットである。

私は十八世紀の、「シラノ」のような男のいたころのフランスの
麺麭屋の造らえた杏子入りタルトレットが口に入れたい。


パリを褒めちぎった後に東京の菓子屋が作ったアンズのパイは
ノンメルシイとけなすなど、森茉莉の文章にありがちな流れ。

chiwami403 at 19:27|PermalinkComments(3)森茉莉全集未収録? 

2009年11月07日

「森茉莉全集未収録?」カテゴリを作ってみた

新たにカテゴリーを作ってみました「森茉莉全集未収録?」です。
これまでも未収録のものはいくつか紹介してきましたが、今回
まとめていくつか紹介するつもりなので。
「?」がついているのは私が6、7巻しか森茉莉全集を持ってなくて、
一応収録作品索引のコピーは手元にあるけど、文章見ただけでは本当に
未収録かどうか分からないから。

「森茉莉」で検索したことある人なら見たことある人多いと思いますが、

古雑誌&古本Re-Make/Re-Model ファッション 音楽 インテリア
デザイン アート など雑誌バックナンバーの古本屋


というネット古書店があって、以前「森茉莉+誰か作家名」で検索してたら
この店のサイトにヒットして森茉莉の名前の横に見慣れないタイトルがあった。
トップページにはありがたいことに検索窓があり、森茉莉で検索したら
森茉莉が執筆してる雑誌が意外とあり、全集の作品名索引と照らし合わせ、
未収録っぽいものをリストアップし、お茶の水図書館で閲覧・複写して
きました。本当はこのネット古書店で買うのがいいんだろうけど、私には
買える値段ではないので……すみませんお店の人。

索引に同じタイトルがなかったので喜々としてコピーとってきたけど、
単行本「私の美の世界」収録時にタイトルが変わっていた、というのもあった。

お茶の水図書館は入館料を払えば一般の人でも利用できるのですが、複写の際
所属や目的を用紙に記入する必要があります。どこにも所属せず、研究者でも
学生でも仕事でもなく単なる個人的な趣味で、と言ったら微妙な反応だった。
そういうケースは少ないのだろうか。複写断られなくてよかったけど。

個人でやってるブログなので全文掲載するわけにはいきませんが、
雑誌名と発行年月、タイトル、冒頭の文章や興味深い点など最低限の
データだけでもネット上にあればちょっとは役立つかもしれない。
もし森茉莉の全集未収録作品を集めたものが出版される計画があるなら
ここのデータはいくらでも利用してほしいものです。
ユリイカの森茉莉特集で全集未収録作品として掲載されたのは、どれもネット
で読めるものばかりだった。探せばまだ未収録作品はあるのに何故。


chiwami403 at 21:34|PermalinkComments(0)森茉莉全集未収録?