2007年09月22日

森於莵も卵が好き

『「あまカラ」抄』は食べ物雑誌『あまカラ』の食べ物随筆アンソロジーで
全3巻。1巻は作家、2巻は学者、3巻は登山家などその他の職業の人々。
森於莵の文章が2巻に出ている。

タイトルは「オフ・ア・ラ・コック・ファンタスティーク −空想半熟卵−」、
昭和35年6月号掲載と文末にあった。森於莵の卵への思い入れは以下↓

ぼくは半熟卵が好物だ。毎朝古女房に半熟卵を拵えてもらって、
白い瀬戸のふちで生あたたかい白い楕円形をコチンとたたくときの
気持ちはなんともいえない。それを二本の指でカッと開くとどろり
とした白身が湯気をたてて黄身といっしょに落ちてくる。スプーンで
殻の内壁についた白身を削りとり、それに塩か醤油をかけ、あるいは
女房の眼を盗んで化学調味料をちょっぴりかけ、それをスプーンで
しゃくって食べる。貧乏なぼくにはそれが涙がポロポロでてくるほど
旨いのだ。下手な宴会料理なぞよりはるかに旨い。


その後はタイトル通り空想の卵料理、中にエビやシャコの入った半熟卵が
あったらいいだろうなあ、という空想とその作りかたを語っている。
森於莵は当時「卵殻外発生」の実験をしていて、研究室には卵の殻が大量に
あったらしい。空腹のときは孵卵器の未熟の雛を見て、料理法をあれこれ
考えてしまうが助手がいる手前しかつめらしい顔をしているお茶目な森於莵。
ついでに江上トミの説明口調「こうして召し上がりますとおいしーくお召し
上がりになれます。パセリなどをお添えしてどうかお熱いうちに召し上がって
下さいませ」が思い浮かぶ、というのも笑える(当時、物真似などで流行った
らしい)。

あまカラについては、海月書林のサイトで当時の冊子の表紙や
執筆メンバーの一部が見られます。

くらげしょりん...あまカラ

「あまカラ」抄〈2〉


chiwami403 at 20:38│Comments(0)森茉莉 

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